説明

健康管理システム、通信端末、健康管理方法およびプログラム

【課題】サーバーとの通信頻度/通信量を大幅に削減しながら、健康管理目的に応じた的確な管理を容易にする。
【解決手段】通信端末10は、サーバー20に携帯アプリケーションを要求してダウンロードを行い、サーバーにライセンス認証を要求してライセンス認証結果と食事データ(及び/又は運動データ)のダウンロードを行い、ユーザが入力した食事データ(及び/又は運動データ)を端末内のメモリ12,13に保存する。携帯アプリケーションは、ユーザが入力した食事データ(及び/又は運動データ)を使ってユーザの食事摂取量(及び/又は運動消費量)について健康管理情報を提供する。通信端末には、あらかじめ設定したコース別に目標とする食事摂取量やカロリー、運動消費量を設定しておき、健康管理コースの目的により食事バランスガイド又は食品交換表の使用を切り替えて目的にあった食事管理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話やパソコンなどの通信端末を利用して人の健康管理を支援する健康管理システム、通信端末、健康管理方法およびプログラムに関し、特に健康管理対象者の身体状況に応じて日々の食事管理(何をどのくらい食べたかとその過不足状況)や運動管理(どのような運動をどのくらい行ったかとその過不足状況)を支援する手法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の健康管理には、通信端末に健康管理対象者の食事データや運動データを入力し、通信端末と回線接続した健康管理サーバーとの間の健康管理に係る情報のやり取りによって健康管理対象者に健康管理情報(食事管理情報や運動管理情報)を提供するシステムや方法が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、健康管理サーバーは、ユーザの個人現況データと健康管理目標を定めた目標データから、所定の期間におけるユーザの目標摂取カロリーおよび目標消費カロリーを算出し、ユーザの運動状況を示す運動データを受け取り、ユーザの携帯端末に対して目標消費カロリーの達成状況を表示する。また、ユーザの食事状況を示す食事データを受け取り、ユーザの携帯端末に対して目標摂取カロリーの達成状況を表示する。
【0004】
また、特許文献2では、ユーザ個人の健康管理および食事管理を一元的に行うため、健康管理センター装置は、ユーザが選択した食事メニューを受信してデータベースに格納し、ユーザ個人からの照会要求に応じてデータベースに格納された食事メニューを含む個人情報やカロリー等の食事情報に基づき算出したユーザの適正値を個人端末に提示するシステムとしている。
【特許文献1】特開2008−181317号公報
【特許文献2】特開2002−334158号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
(1)従来の携帯端末を利用した健康管理は、食事の検索、摂取した食事や実施した運動の登録、身長・体重・体脂肪率・血糖値など身体データの記録を携帯サイト側になる食事管理サーバーで行っている。
【0006】
例えば、図9に食事管理の情報処理例を示すように、携帯端末1は、健康管理の都度、サーバー2(携帯サイト)に毎回アクセスして携帯サイトページを取得し(S1,S2)、ログイン毎にログイン完了ページを取得する(S3,S4)。そして、携帯端末1は食事検索毎に検索結果ページを取得して食事検索を行い(S5,S6)、ページ遷移毎に次ページを取得して次ページに遷移し(S7,S8)、摂取食事記録・運動記録・身体データ記録毎に結果表示ページを取得して記録入力し(S9,S10)、グラフ表示毎にグラフページを取得する(S11,S12)。
【0007】
このため、ユーザが何か操作するたびに食事管理サーバーとの間でパケット通信によりデータ取得・登録を行うことになり、常にパケット料金が発生する。また、サーバーとの通信にはその都度、アクセス、ログイン、検索などで時間がかかり、ユーザにストレスを与える問題がある。
【0008】
(2)従来の食事管理手法は年齢や性別、体重などにより目標の摂取カロリーを決め、共通の管理方法で実施している。しかし、個人毎に食事管理の目的は異なり、同じ管理方法では様々な状況に対応できない。例えば、糖尿病で食事制限がある人、ダイエットを行いたい人、食事制限はないが普通に食事のバランスを良くしたい人、妊娠中の人など様々な状況の人がいるし、時間と共に状況は変わっていく。このため、ユーザが自身の状況に応じた食事管理をしようとすると、サーバーとの間の通信頻度および通信時間が大幅に増大し、通信費用が肥大化するし、ユーザによる健康管理意欲を阻害するおそれもある。同じ課題はユーザによる携帯端末を使った運動管理にもある。
【0009】
本発明の目的は、サーバーとの通信頻度/通信量を大幅に削減しながら、健康管理目的に応じた的確な管理が容易になる健康管理システム、通信端末、健康管理方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の課題を解決するため、本発明は以下の健康管理システム、通信端末、健康管理方法およびプログラムを特徴とする。
【0011】
(システムの発明)
(1)通信端末に健康管理対象者の食事データと運動データの一方または両方を入力し、前記通信端末と回線接続した健康管理サーバーとの間の健康管理に係る情報のやり取りによって健康管理対象者に健康管理情報を提供する健康管理システムであって、
通信端末は、初回のシステム利用時に、健康管理サーバーに携帯アプリケーションを要求し、そのダウンロードを行う手段と、初回起動時と一定期間毎に、健康管理サーバーにライセンス認証を要求し、ライセンス認証結果と食事データと運動データの一方または両方のダウンロードを行う手段を備え、
前記携帯アプリケーションは、健康管理対象者が入力した食事データと運動データを端末内のメモリに保存する手段と、前記メモリに保存する健康管理対象者が入力した食事データと運動データの一方または両方を使って健康管理対象者の食事摂取量と運動消費量の一方または両方について健康管理情報を提供する手段を備えたことを特徴とする。
【0012】
(2)通信端末は、
健康管理サーバーに任意のタイミングで最新食事データまたは運動データの一方または両方の取得を要求し、その食事データまたは運動データを更新していたときのみダウンロードする手段と、
健康管理サーバーに食事画像または運動画像の一方または両方の取得を要求して取得する手段と、
任意のタイミングでサーバーチェックを要求し、そのサーバーデータを更新していたときのみダウンロードする手段と、
任意のタイミングで健康管理サーバーに更新データのみのアップロードを要求し、アップロード結果を取得する手段と、
の1つの手段または複数の手段を備えたことを特徴とする。
【0013】
(3)前記携帯アプリケーションは、前記食事データまたは運動データについて、あらかじめ設定したコース別に健康管理対象者が目標とする食事摂取量やカロリーまたは運動消費量を設定する手段を備えたことを特徴とする。
【0014】
(4)前記携帯アプリケーションは、前記コース別に、食事バランスガイド又は食品交換表の使用を切り替えて健康管理情報を提供する手段を備えたことを特徴とする。
【0015】
(5)前記携帯アプリケーションは、前記コースを途中で変更できる手段を備えたことを特徴とする。
【0016】
(6)前記携帯アプリケーションは、前記コース設定を1日単位で切り替えて食事データまたは運動データを保持し、1日単位で過去のデータを閲覧できる手段を備えたことを特徴とする。
【0017】
(通信端末の発明)
(7)健康管理対象者の食事データと運動データの一方または両方を入力し、回線接続した健康管理サーバーとの間の健康管理に係る情報のやり取りによって健康管理対象者に健康管理情報を提供する通信端末であって、
初回のシステム利用時に、健康管理サーバーに携帯アプリケーションを要求し、そのダウンロードを行う手段と、初回起動時と一定期間毎に、健康管理サーバーにライセンス認証を要求し、ライセンス認証結果と食事データと運動データの一方または両方のダウンロードを行う手段を備え、
前記携帯アプリケーションは、健康管理対象者が入力した食事データと運動データを端末内のメモリに保存する手段と、前記メモリに保存する健康管理対象者が入力した食事データと運動データの一方または両方を使って健康管理対象者の食事摂取量と運動消費量の一方または両方について健康管理情報を提供する手段を備えたことを特徴とする。
【0018】
(8)通信端末は、
健康管理サーバーに任意のタイミングで最新食事データまたは運動データの一方または両方の取得を要求し、その食事データまたは運動データを更新していたときのみダウンロードする手段と、
健康管理サーバーに食事画像または運動画像の一方または両方の取得を要求して取得する手段と、
任意のタイミングでサーバーチェックを要求し、そのサーバーデータを更新していたときのみダウンロードする手段と、
任意のタイミングで健康管理サーバーに更新データのみのアップロードを要求し、アップロード結果を取得する手段と、
の1つの手段または複数の手段を備えたことを特徴とする。
【0019】
(方法の発明)
(9)通信端末に健康管理対象者の食事データと運動データの一方または両方を入力し、前記通信端末と回線接続した健康管理サーバーとの間の健康管理に係る情報のやり取りによって健康管理対象者に健康管理情報を提供する健康管理方法であって、
通信端末は、初回のシステム利用時に、健康管理サーバーに携帯アプリケーションを要求し、そのダウンロードを行うステップと、初回起動時と一定期間毎に、健康管理サーバーにライセンス認証を要求し、ライセンス認証結果と食事データと運動データの一方または両方のダウンロードを行うステップを有し、
前記携帯アプリケーションは、健康管理対象者が入力した食事データと運動データを端末内のメモリに保存するステップを有し、前記メモリに保存する健康管理対象者が入力した食事データと運動データの一方または両方を使って健康管理対象者の食事摂取量と運動消費量の一方または両方について健康管理情報を提供するステップを有することを特徴とする。
【0020】
(10)通信端末は、
健康管理サーバーに任意のタイミングで最新食事データまたは運動データの一方または両方の取得を要求し、その食事データまたは運動データを更新していたときのみダウンロードするステップと、
健康管理サーバーに食事画像または運動画像の一方または両方の取得を要求して取得するステップと、
任意のタイミングでサーバーチェックを要求し、そのサーバーデータを更新していたときのみダウンロードするステップと、
任意のタイミングで健康管理サーバーに更新データのみのアップロードを要求し、アップロード結果を取得するステップと、
の1つのステップまたは複数のステップを有することを特徴とする。
【0021】
(11)前記携帯アプリケーションは、前記食事データまたは運動データについて、あらかじめ設定したコース別に健康管理対象者が目標とする食事摂取量やカロリーまたは運動消費量を設定するステップを有することを特徴とする。
【0022】
(12)前記携帯アプリケーションは、前記コース別に、食事バランスガイド又は食品交換表の使用を切り替えて健康管理情報を提供するステップを有することを特徴とする。
【0023】
(13)前記携帯アプリケーションは、前記コースを途中で変更できるステップを有することを特徴とする。
【0024】
(14)前記携帯アプリケーションは、前記コース設定を1日単位で切り替えて食事データまたは運動データを保持し、1日単位で過去のデータを閲覧できるステップを有することを特徴とする。
【0025】
(プログラムの発明)
(15)上記(9)〜(14)のいずれか1項に記載の健康管理方法における処理ステップをコンピュータで実行可能に構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
以上のとおり、本発明によれば、健康管理に必要な処理の大部分を通信端末(携帯アプリケーション)側で実現するため、健康管理サーバーとの通信頻度/通信量を大幅に削減することができる。
【0027】
また、通信端末側で、健康管理コース別に目標とする食事摂取量やカロリー、運動消費量を設定しておき、健康管理コースの目的により食事バランスガイド又は食品交換表の使用を切り替えて食事管理を行うため、健康管理サーバーとの通信を大幅に削減しながら、健康管理目的に応じた的確な管理が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
(1)システム構成と健康管理
図1は、本発明の実施形態を示す健康管理システムの要部構成図である。通信端末としての携帯端末(携帯アプリケーション)10は、CPU部11と揮発性メモリであるRAM部12と不揮発性メモリであるフラッシュメモリ部13と通信制御部14とユーザが操作する入力操作キー(図示省略)および画像表示器(図示省略)を備える。
【0029】
携帯端末10の通信制御部14が無線通信する基地局とインターネットで接続される健康管理サーバー20(携帯サイト)は、例えばLinexパソコンをWebサーバーとしての通信機能を搭載し、健康管理サーバーとしては健康管理プログラムがハードディスク装置にユーザデータ部21とデータベース22に対してデータ入出力管理し、ユーザデータ部21ではXMLファイルとして管理する。
【0030】
携帯端末(携帯アプリ)10のCPU部11はフラッシュメモリ部13からRAM部12にダウンロードされた各機能タスクを実行するユニットである。RAM部12はフラッシュメモリ部13からアプリケーション起動時にダウンロードされたタスクが格納されるエリアと、通信制御部14内の送受信バッファエリアおよびフラッシュメモリ部13にリードライトするデータのバッファエリアからなる。
【0031】
通信制御部14は、携帯端末側の無線基地局およびサーバー側の有線回線を介してサーバー20との送受信を行う。フラッシュメモリ部13は、少なくともアプリケーション(タスク)が格納されるエリア、食事データ等のデータが格納されるエリアを有する。
【0032】
以上のシステム構成において、本実施形態では、健康管理に必要な処理の大部分を携帯端末(携帯アプリ)10側で実現することにより、健康管理の機能を実行する時にできるだけサーバーとの通信を削減する。すなわち、携帯端末10にもつ保存領域をメモリ12,13として利用し、携帯端末10で記録したデータを保存領域(メモリ12,13)に格納し、これらデータを使って端末アプリケーションにより健康管理情報を得ることでサーバー20との通信を不要にする。また、健康管理に必要なデータは保存領域(メモリ12,13)に検索対象データとして保持することで携帯端末内でのみデータの検索を行うことでサーバー20との通信を不要にする。
【0033】
図2は、図1の構成になるシステムにおける携帯端末を利用した食事管理の情報処理例を示す。なお、携帯アプリケーションは、携帯端末側でのみ行う健康管理のための画面遷移(タスク実行に応じた画面切り替え)、食事検索(過去に摂取した食事の検索)、食事登録(過去に摂取した食事の登録)、運動記録(過去の運動種別と運動量の記録)、身体データ記録、グラフ表示などの各種機能をもつ。また、運動管理をも行う場合は運動管理の情報処理を併用で行う機能をもつ。
【0034】
携帯端末10は、初回のシステム利用時に、サーバー20に携帯アプリケーションを要求してそのダウンロードを行う(S21,S22)。この携帯アプリケーションを取得した携帯端末10は、ライセンス認証(初回起動時と1月毎など)を要求し、ライセンス認証結果と食事データ(初回のみ)のダウンロードを行う(S23,S24)。また、携帯端末10は、任意のタイミングで最新食事データ取得を要求し、その食事データを更新していたときのみダウンロードする(S25,S26)。
【0035】
また、携帯端末10は、食事画像を取得(オプション)を実行し、食事画像を取得する(S27,S28)。また、携帯端末10は、任意のタイミングでサーバーチェックを要求し、そのサーバーデータを更新していたときのみダウンロードする(S29,S30)。また、携帯端末10は、任意のタイミングで更新データのみのアップロードを要求し、アップロード結果を取得する(S31,S32)。
【0036】
図3は携帯端末10に搭載する携帯アプリケーションの起動時の処理フローを示す。携帯アプリケーションの起動で、まずトップ画面を表示し(S41)、初回起動か否かを判定する(S42)。初回起動でなければ携帯アプリケーションの保存領域から設定データ、食事データ、運動データ、日々の記録を読み込み(S43)、この後に前回のライセンス認証から年月の変更が有ったか否かを判定する(S44)。変更がなければサーバーのデータを読み込むか否かをユーザに確認し(S45)、読み込む場合はサーバーデータの読み込み(S46)、読み込まない場合はアプリケーション起動を完了する。
【0037】
処理S44で、年月の変更があった場合は、ライセンス認証を行い(S47)、認証判定がOKであればS45へ進み、NGであればアプリケーションを終了する(S48)。
【0038】
また、処理S42で、初回起動の場合、ライセンス認証を行い(S49)、認証判定がOKが得られるか判定する(S50)。認証判定がOKであれば食事データなどをダウンロードを行い(S51)、ダウンロードが完了した後にダウンロードした食事データなどを保存し(S52)、処理S45に進む。処理S50で認証判定にOKが得られない場合はアプリケーションを終了する。
【0039】
したがって、本実施形態では、携帯端末10で記録したデータを保存領域(メモリ12,13)に格納しておくことでサーバー20との通信を不要にし、また、健康管理に必要なデータは保存領域(メモリ12,13)に検索対象データとして保持することで携帯端末内でのみデータの検索を可能にする。このため、携帯端末10とサーバー20の通信による健康管理について、携帯端末10とサーバー20との通信を大幅に削減でき、パケット通信料によるユーザの金銭的負担を減らすことができる。また、サーバーと通信が減ることにより、ユーザ操作によるレスポンスが早くなり、ストレスを感じさせることなく健康管理を行うことができるようになる。
【0040】
(2)健康管理の実行
前記のように、従来の食事管理は年齢や性別、体重などにより目標の摂取カロリーを決め、共通の管理方法で実施している。しかし、個人毎に食事管理の目的は異なり、同じ管理方法では様々な状況に対応できない。例えば、糖尿病で食事制限がある人、ダイエットを行いたい人、食事制限はないが普通に食事のバランスを良くしたい人、妊娠中の人など様々な状況の人がいるし、時間と共に状況は変わっていく。このため、ユーザが自身の状況に応じた食事管理や運動管理をしようとすると、サーバーとの間の通信頻度および通信時間が大幅に増大し、通信費用が肥大化するし、ユーザによる健康管理意欲を阻害するおそれもある。
【0041】
本実施形態では、端末装置には、あらかじめ設定したコース別に目標とする食事摂取量やカロリーを設定しておき、健康管理コースの目的により食事バランスガイド又は食品交換表の使用を切り替えて目的にあった食事管理手法を提案する。同様に、食事管理(摂取量)に運動管理(消費量)を併用した健康管理手法を提案する。
【0042】
なお、「食事バランスガイド」は、厚生労働省と農林水産省が平成17年6月に制定した、望ましい食生活についてのメッセージを示した「食生活指針」を具体的な行動に結びつけるものとして、1日に「何を」「どれだけ」食べたらよいかの目安を分かりやすく示したものである。「食品交換表」は、食事管理のための面倒なカロリー計算をすることなく適切なエネルギー(カロリー)の範囲内で栄養のバランスのよい献立をつくることを可能にするもので、食品を 6つのグループに分類し、80kcalを1単位とし、同じ分類同士の食品を交換できるよう各食品の単位量を定めている。
【0043】
図4は、端末アプリケーションによるコースとその食事管理の設定例を示し、男性用のコース設定には、「一般」「メタボリック対策」「糖尿病改善」のコースを用意しておき、女性用のコース設定には「一般」「妊娠初期」「妊娠中期」「妊娠末期」「授乳期」「ダイエット」「糖尿病改善」のコースを用意しておき、これらコースのうち、食事制限が必要な「メタボリック対策」「ダイエット」「糖尿病改善」のコースでは食品交換表、その他のコースでは食事バランスガイドを利用して食事管理を行う。
【0044】
また、コースは途中で変更が可能で、「ダイエット」→「一般」や、「妊娠初期」→「妊娠中期」→「妊娠末期」→「授乳期」→「一般」など個人の状況によって適切なコース切替を可能にする。また、コース設定は1日毎のデータとして保持することで、過去のデータを閲覧する場合はそのときの状況のままデータを閲覧可能にする。
【0045】
図5は端末装置に保存する食事データの持ち方を例示し、食事バランスガイドのグループと食品交換表のグループ、さらに両方で共通に使用する嗜好品、食塩のデータを格納している。食事バランスガイドでは「主食」、「副菜」、「主菜」、「牛乳・乳製品」、「果物」を「つ(SV)」という単位で設定する。なお、「つ(SV)」は、食事バランスガイドで使用する単位で、各要素毎に求め方が異なる。食品交換表では「穀類・芋・豆」、「果物」、「肉・野菜・卵・大豆」、「牛乳・乳製品」、「油脂」、「野菜・海草」、「調味料」を、80kcalを1単位として設定し、「嗜好品」は80kcalを1単位として設定し、「食塩」は1グラムを1単位として設定する。
【0046】
図6は、端末装置に保存するコース設定情報の持ち方の例を示す。1日のデータ毎にコースの設定情報を保持しており、1日毎に異なるコースでの画面表示を行う。また、過去の食事データを画面表示する際には過去の日付のコース設定に従い食事データの表示を行うことで、その当時の状況をそのまま表示する。
【0047】
図6中では、日々の記録(ディリーデータ)として、12月10日がダイエットコース、12月11日がダイエットコース、12月17日に一般コースに変更され、各コース別に食事摂取状況などのデータが入力される。これらのデータを基に、食事交換表または食事バランスガイドによって日々の摂取カロリー、栄養素などを計算し、食事データとして画面表示する。
【0048】
図7は、携帯アプリケーションがもつ食事データ表示処理フローを示す。食事データの表示は、食事データ検索やビンゴシート表示、グラフ表示など、様々な機能で行うことができる。なお、ビンゴシート表示は、食事バランスガイドに対応した既存のビンゴシートに代えて画像として表示するものであり、料理区分を「主食」「副菜」「主菜」「牛乳・乳製品」「果物」に分けてビンゴシート画像として表示し、摂取した食事の分だけビンゴシート画像上のボール枠の色を変化させることにより、あと「何を」「どれだけ」食べればよいか一目でわかり易く表示する。
【0049】
図7において、表示対象のデイリーデータが存在する限り(S61)、デイリーデータを取得してそのデータ内のコースにより表示種別を判定する(S62、S63)。表示種別が食事バランスガイドの場合、食事バランスガイド用目標値を算出し(S64)、摂取した食事の食事バランスガイドデータを取得し(S65)、1日に摂取した食事データの合計を計算し(S66)、食事バランスガイドの食事データを表示する(S67)。
【0050】
表示対象が食品交換表の場合は、食事交換表の目標値を算出し(S68)、摂取した食事の食事交換表データを取得し(S69)、1日に摂取した食事データの合計を計算し(S70)、食事交換表の食事データを表示する(S71)。
【0051】
これら食事データの表示の後、次のデイリーデータに移動し(S72)、処理S61で次のデイリーデータがあれば再びその取得から食事データ表示までを繰り返す。
【0052】
なお、「デイリーデータ」の項目は、サーバー20側に保存されており、携帯端末10ではライセンス認証で予め取得しておき、各項目の値は携帯端末上でユーザによる登録を可能にする。データ項目としては、図8に例を示すようになり、食事データの他に運動データも含めることで、摂取した食事内容と運動した消費量を基にした健康管理を可能にする。
【0053】
この健康管理には、携帯端末のアプリケーションは、日々の運動した消費量と摂取した食事内容(SV値をカロリー換算)によりバランス表示し、ユーザは食事(摂取)と運動(消費)の状態を知ることができ、食生活改善などに利用することができる。
【0054】
したがって、本実施形態では、あらかじめ設定したコース別に目標とする食事摂取量や運動量を設定しておき、コースの目的により食事バランスガイド又は食品交換表の使用を切り替えて食事管理対象者の健康管理目的にあった食事と運動の管理を行うことができる。また、コースは途中で変更が可能で、個人の状況によって適切なコース切り替えをスムーズに行うことができる。また、コース設定は1日毎のデータとして保持するため、過去のデータを閲覧する場合はそのときの状況のままデータを閲覧することができる。また、ユーザは食事管理に面倒なカロリー計算や栄養成分表示の確認は不要となるし、食事後に、ガイド本にて料理区分、栄養素を調べ、メモを取る必要もなくなる。
【0055】
しかもこれら管理には、ユーザが自身の状況に応じた食事管理の殆どを携帯端末側で実施することができ、サーバーとの間の通信頻度および通信時間が大幅に削減し、通信費用が肥大化することはない。また、ユーザによる健康管理意欲を阻害するおそれもない。
【0056】
(3)変形例
実施形態において、以下の機能を追加することで、ユーザが煩わしさを感じることなく、より一層容易に健康管理を行うことができる。
【0057】
長期間に渡るデータ保存機能による統計表示を可能とすること。特定健康診断補助ツールとして保健指導員が使用可能にすること。運動データは登録されたデータ以外にもユーザ独自の運動データ(名称、行う時間、行う時間に対する消費カロリー)を登録すること。摂取前後の食事内容を携帯電話で写真として撮影し、第3者に送付可能にすること。キャラクタを用いて目標と食事や運動の状況を判断し、簡単なコメントを表示すること。
【0058】
なお、本発明は、図2等に示した健康管理方法の一部又は全部の処理機能をプログラムとして構成してコンピュータで実行可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施形態を示す健康管理システムの要部構成図。
【図2】携帯端末を利用した食事管理の情報処理例。
【図3】携帯アプリケーションの起動時の処理フロー。
【図4】端末アプリケーションによるコースとその食事管理の設定例。
【図5】端末装置に保存する食事データの持ち方の例。
【図6】端末装置に保存するコース設定情報の持ち方の例。
【図7】携帯アプリケーションがもつ食事データ表示処理フロー。
【図8】デイリーデータのデータ項目の例。
【図9】従来の食事管理の情報処理例。
【符号の説明】
【0060】
10 携帯端末
20 サーバー
11 CPU部
12 メモリ
13 フラッシュメモリ
14 通信制御部
21 ユーザデータ
22 データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信端末に健康管理対象者の食事データと運動データの一方または両方を入力し、前記通信端末と回線接続した健康管理サーバーとの間の健康管理に係る情報のやり取りによって健康管理対象者に健康管理情報を提供する健康管理システムであって、
通信端末は、初回のシステム利用時に、健康管理サーバーに携帯アプリケーションを要求してそのダウンロードを行う手段と、初回起動時と一定期間毎に、健康管理サーバーにライセンス認証を要求し、ライセンス認証結果と食事データと運動データの一方または両方のダウンロードを行う手段を備え、
前記携帯アプリケーションは、健康管理対象者が入力した食事データと運動データを端末内のメモリに保存する手段と、前記メモリに保存する健康管理対象者が入力した食事データと運動データの一方または両方を使って健康管理対象者の食事摂取量と運動消費量の一方または両方について健康管理情報を提供する手段を備えたことを特徴とする健康管理システム。
【請求項2】
通信端末は、
健康管理サーバーに任意のタイミングで最新食事データまたは運動データの一方または両方の取得を要求し、その食事データまたは運動データを更新していたときのみダウンロードする手段と、
健康管理サーバーに食事画像または運動画像の一方または両方の取得を要求して取得する手段と、
任意のタイミングでサーバーチェックを要求し、そのサーバーデータを更新していたときのみダウンロードする手段と、
任意のタイミングで健康管理サーバーに更新データのみのアップロードを要求し、アップロード結果を取得する手段と、
の1つの手段または複数の手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の健康管理システム。
【請求項3】
前記携帯アプリケーションは、前記食事データまたは運動データについて、あらかじめ設定したコース別に健康管理対象者が目標とする食事摂取量やカロリーまたは運動消費量を設定する手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の健康管理システム。
【請求項4】
前記携帯アプリケーションは、前記コース別に、食事バランスガイド又は食品交換表の使用を切り替えて健康管理情報を提供する手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の健康管理システム。
【請求項5】
前記携帯アプリケーションは、前記コースを途中で変更できる手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の健康管理システム。
【請求項6】
前記携帯アプリケーションは、前記コース設定を1日単位で切り替えて食事データまたは運動データを保持し、1日単位で過去のデータを閲覧できる手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の健康管理システム。
【請求項7】
健康管理対象者の食事データと運動データの一方または両方を入力し、回線接続した健康管理サーバーとの間の健康管理に係る情報のやり取りによって健康管理対象者に健康管理情報を提供する通信端末であって、
初回のシステム利用時に、健康管理サーバーに携帯アプリケーションを要求してそのダウンロードを行う手段と、初回起動時と一定期間毎に、健康管理サーバーにライセンス認証を要求し、ライセンス認証結果と食事データと運動データの一方または両方のダウンロードを行う手段を備え、
前記携帯アプリケーションは、健康管理対象者が入力した食事データと運動データを端末内のメモリに保存する手段と、前記メモリに保存する健康管理対象者が入力した食事データと運動データの一方または両方を使って健康管理対象者の食事摂取量と運動消費量の一方または両方について健康管理情報を提供する手段を備えたことを特徴とする通信端末。
【請求項8】
通信端末は、
健康管理サーバーに任意のタイミングで最新食事データまたは運動データの一方または両方の取得を要求し、その食事データまたは運動データを更新していたときのみダウンロードする手段と、
健康管理サーバーに食事画像または運動画像の一方または両方の取得を要求して取得する手段と、
任意のタイミングでサーバーチェックを要求し、そのサーバーデータを更新していたときのみダウンロードする手段と、
任意のタイミングで健康管理サーバーに更新データのみのアップロードを要求し、アップロード結果を取得する手段と、
の1つの手段または複数の手段を備えたことを特徴とする請求項7に記載の通信端末。
【請求項9】
通信端末に健康管理対象者の食事データと運動データの一方または両方を入力し、前記通信端末と回線接続した健康管理サーバーとの間の健康管理に係る情報のやり取りによって健康管理対象者に健康管理情報を提供する健康管理方法であって、
通信端末は、初回のシステム利用時に、健康管理サーバーに携帯アプリケーションを要求し、そのダウンロードを行うステップと、初回起動時と一定期間毎に、健康管理サーバーにライセンス認証を要求し、ライセンス認証結果と食事データと運動データの一方または両方のダウンロードを行うステップを有し、
前記携帯アプリケーションは、健康管理対象者が入力した食事データと運動データを端末内のメモリに保存するステップを有し、前記メモリに保存する健康管理対象者が入力した食事データと運動データの一方または両方を使って健康管理対象者の食事摂取量と運動消費量の一方または両方について健康管理情報を提供するステップを有することを特徴とする健康管理方法。
【請求項10】
通信端末は、
健康管理サーバーに任意のタイミングで最新食事データまたは運動データの一方または両方の取得を要求し、その食事データまたは運動データを更新していたときのみダウンロードするステップと、
健康管理サーバーに食事画像または運動画像の一方または両方の取得を要求して取得するステップと、
任意のタイミングでサーバーチェックを要求し、そのサーバーデータを更新していたときのみダウンロードするステップと、
任意のタイミングで健康管理サーバーに更新データのみのアップロードを要求し、アップロード結果を取得するステップと、
の1つのステップまたは複数のステップを有することを特徴とする請求項9に記載の健康管理方法。
【請求項11】
前記携帯アプリケーションは、前記食事データまたは運動データについて、あらかじめ設定したコース別に健康管理対象者が目標とする食事摂取量やカロリーまたは運動消費量を設定するステップを有することを特徴とする請求項9に記載の健康管理方法。
【請求項12】
前記携帯アプリケーションは、前記コース別に、食事バランスガイド又は食品交換表の使用を切り替えて健康管理情報を提供するステップを有することを特徴とする請求項9に記載の健康管理方法。
【請求項13】
前記携帯アプリケーションは、前記コースを途中で変更できるステップを有することを特徴とする請求項9に記載の健康管理方法。
【請求項14】
前記携帯アプリケーションは、前記コース設定を1日単位で切り替えて食事データまたは運動データを保持し、1日単位で過去のデータを閲覧できるステップを有することを特徴とする請求項9に記載の健康管理方法。
【請求項15】
請求項(9)〜(14)のいずれか1項に記載の健康管理方法における処理ステップをコンピュータで実行可能に構成したことを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−152470(P2010−152470A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−327344(P2008−327344)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(502002474)明電ソフトウエア株式会社 (12)
【出願人】(507219686)静岡県公立大学法人 (63)