説明

側溝用ブロック蓋敷設装置

【課題】 重量物のブロック蓋を1人で簡単に移動し、所定位置にある側溝に安全に、且つ円滑に敷設できる簡便,安価の側溝用ブロック蓋敷設装置を提供する。
【解決手段】 ブロック蓋8は側溝用ブロック蓋敷設装置1の本体枠2の前方の足部13の係止部15(A点)と本体枠2の後方側に傾斜して挺子状に支持されている作動杆3の当接部23(B点)間で挟持される。車輪4の接地点のD点を中心として側溝用ブロック蓋敷設装置1の前方を持ち上げることによりブロック蓋8は持ち上げられ側溝まで運ばれる。ここで作動杆3のハンドル24の押圧力を解除するとブロック蓋8は自重で側溝側へ落下して敷設される。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、側溝用ブロック蓋を1人で簡単に敷設できる側溝用ブロック蓋敷設装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
道路のの側溝(U字溝)にはこれを閉止するためのブロック蓋が設けられている。図7に示すようにこのブロック蓋8は縦寸法aが600(mm)程度で横寸法bが310(mm)又は390(mm)で厚みが100(mm)の長方形状の48(kg)又は53(kg)の高重量コンクリートブロック体からなる。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
以上のように、側溝用ブロック蓋8は高重量物のため、図8に示すように、これを側溝9の所定の支持部10に蓋掛けするには少なくとも2人の人11,11が必要になる。この場合、図示のように人11,11はブロック蓋8の端部を夫々把持し、腰をかがめた無理な姿勢で作業をしなければならない。そのため、極めて労力を必要とすると共に危険である。従って、この作業は誰からも嫌われ、特に、若い人はこの作業につくことを強く反対する風潮が表れている。一方、このブロック蓋8を敷設する装置も存在するが大掛りなものであり、高価であると共に気軽に1人で自由に操作し得るものでなく現場的なものではない。
【0004】
本考案は、以上の事情に鑑みて考案されたものであり、1人で重量物のブロック蓋を比較的簡単に所定の側溝に敷設することができ、簡便で安価な構造からなり、現場において簡便に取り扱われる側溝用ブロック蓋敷設装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本考案は、以上の目的を達成するために、側溝用のブロック蓋を1人で順次敷設する敷設装置であって、該装置は、後方側を車輪で支持され前端下方にブロック蓋の前面上縁を係止する係止部を設ける枠体状の本体枠と、該本体枠に傾斜して挺子体状に支持されその短腕側の前端に前記ブロック蓋の後面に当接する当接部を有し長腕側の後端にハンドルを設ける作動杆とを有し、該作動杆の前記当接部が前記車輪の接地点よりも少なくとも前方に配置される側溝用ブロック蓋敷設装置を構成する。更に具体的に、前記作動杆が、中間部でヒンジ結合されるものからなり、前方側に向かって回動して前記本体枠の上面に保持されることを特徴とする。
【0006】
また、前記本体枠の後端側には後方に向かって突出する足掛け部が形成されることを特徴とする。また、前記本体枠の上面には小物用具,作業用道具等を搭載する保持台が設けられることを特徴とし、前記車輪には手動ブレーキ機構部が設けられ、前記作動杆のハンドルには前記手動ブレーキ機構部の操作レバが設けられることを特徴とするものである。
【0007】
まず、作動杆のハンドルを持って側溝用ブロック蓋敷設装置を転がしながらブロック蓋の保管場所まで移動し、側溝用ブロック蓋敷設装置の前方側でブロック蓋を覆う。ブロック蓋は本体枠の係止部に前面上縁を係止すると共に後面に当接する作動杆の当接部により押圧され、係止部と当接部間で挟持される。この状態で車輪の接地点を支点として側溝用ブロック蓋敷設装置の前方側を持ち上げることによりブロック蓋は持ち上げられ、現地の側溝の位置まで簡単に運ばれる。敷設位置に到達したら、作動杆のハンドルを弛めて当接部の押圧力を解除することによりブロック蓋は落下し、側溝の支持部上におさまる。以上の作業は1人で比較的簡単に行われ、且つ危険性も殆どない。
【0008】
【考案の実施の形態】
以下、本考案の側溝用ブロック蓋敷設装置の実施の形態を図面を参照して詳述する。まず、図1及び図2により側溝用ブロック蓋敷設装置1の全体構造を説明する。側溝用ブロック蓋敷設装置1は大別して、本体枠2と、作動杆3と、車輪4と、足掛け部5と、保持台6及び手動ブレーキ機構部7等とから構成される。
【0009】
本体枠2はね上面側の枠体12と、前端の足部13と、後方側に横方向に張り出して形成される車輪収納枠14等から囲まれる枠状体からなり、ブロック蓋8を保持できる適度な剛性を有するものからなり各種の補強部材により補強されている。前端の足部13の下方側にはブロック蓋8の前面上縁が係止する係止部15が固定される。なお、係止部15とブロック蓋8との係止点を説明の都合上A点とする。また、係止部15は左右の足部13,13間に架設されるアングル状のものからなる。また、枠体12の後端には後方に向かって突出して配置される前記の足掛け部5の基端部が固定される。なお、足掛け部5は図2に示すように人11の足首がの当り易いステップ部5aを有するものからなる。また、車輪収納枠14には作動杆3の作動中心のC点を保持する支持板16や車輪4を支持する車輪支持板17等が固定される。
【0010】
作動杆3は本体枠2の枠体12の後方側にその下方側を収納されて配置され、後方上方に向かって伸延する挺子体状のものからなり、全体として傾斜して配置される。作動杆3は下方杆18と上方杆19の分離体からなり、下方杆18と上方杆19はヒンジ20により連結される。なお、ヒンジ20は、作動杆3の上方杆19は図1の2点鎖線に示すように前倒し可能に形成され、逆方向には回動が拘束される形式のものからなる。また、作動杆3の下方杆18の中間部は支持板16のC点により支持される。よって、作動杆3はC点を中心として挺子動可能に形成されるが、実際上は作動杆3は本体枠2側に固定されるアングル21,22等により移動が拘束され、殆ど回動しない状態で本体枠2に挺子状に支持される。
【0011】
作動杆3の下方杆18の下端(前端)には当接部23が形成される。この当接部23は図1に示すようにブロック蓋8の後面と当接係合する形状のものからなる。なお、この当接点を説明の都合上B点とする。また、作動杆3の上方杆19の上端(後端)にはハンドル24が横方向に張り出して固着される。
【0012】
車輪4は本体枠2の後方側に設けられ、左右の車輪収納枠14内に収納される。その回転軸は車輪支持板17により支持される。車輪4は地面25に接地点のD点で接触する。従って、側溝用ブロック蓋敷設装置全体は車輪4のD点を中心として左又は右まわりに回動可能となる。また、D点は図1に示すようにB点よりも後方に配置される。
【0013】
手動ブレーキ機構部7は、車輪4側に設けられるブレーキ装置26と、ハンドル24側に設けられる操作レバ27と、ブレーキ装置26と操作レバ27との間に架設されるブレーキワイヤ28等とからなる。操作レバ27を把持することによりブレーキ装置26が作動し、車輪4のブレーキ操作が行われる。なお、この手動ブレーキ機構部7は公知のものが適用される。
【0014】
保持台6は本体枠2の枠体12の上面に搭載されるもので各種の用具や作業用道具等を乗せるための台である。例えば、ワイヤ等を網目状に組み合わせたものや、その他の任意の形状の公知形状の受け台が適用される。
【0015】
次に、本考案に係る側溝用ブロック蓋敷設装置の作動原理を図3,図4により説明する。前記したように、ブロック蓋8は本体枠2の係止部15のA点と作動杆3の当接部23のB点との間で挟持される。即ち、作動杆3はC点を中心に挺子式に作動可能であり、C点よりB点までの長さ(短腕)はC点よりハンドル24までの長さ(長腕)よりも極めて短い。よって、ハンドル24に下方向きの押圧力Pを作用すると前記短腕と前記長腕のレバ比に相当する大きな力P1がB点に作用する。この力P1の方向は作動杆3が図示のように傾斜しているため上向きとなり、A点側を向く押圧力として作用する。そのため、ブロック蓋8はA点とB点との間で押圧力P1等により挟持され、ブロック蓋8の自重に逆らってブロック蓋8を持ち上げることが可能になる。そこで、図4に示すように、車輪4の接地点のD点を中心としてハンドル24を下方に押圧すると、側溝用ブロック蓋敷設装置全体がD点を中心として右廻りに回動する。そのため、ブロック蓋8は地面25上から離れる。従って、この状態のままハンドル24を把持し側溝用ブロック蓋敷設装置1の全体を移動させてブロック蓋8を任意の場所に移動させることができる。
【0016】
次に、本考案の側溝用ブロック蓋敷設装置によるブロック蓋8の敷設作業を図5,図6により説明する。まず、前記の作動原理において説明したように、ブロック蓋8は側溝用ブロック蓋敷設装置1により容易に挟持され持ち上げることができる。従って、図5に示すように側溝用ブロック蓋敷設装置1を1人の人11がハンドル24を把持して押すことによりブロック蓋8を側溝9の支持部10(図8)の位置まで運搬することが簡単にできる。ブロック蓋8を支持部10との位置合わせは側溝用ブロック蓋敷設装置1を左右前後にハンドル24を用いて移動させることにより容易に行われる。
【0017】
ブロック蓋8と支持部10との位置合わせが終了したら、人11はハンドル24の押圧力を弛める。これにより、作動杆3の当接部23のB点の力P1がなくなり、ブロック蓋8は自重により支持部10側に向かって落下し所定位置に収納される。なお、この場合、図6に示すように人11が足掛け部5のステップ部5aに足首を掛けて押すことにより側溝用ブロック蓋敷設装置1の回動がより積極的に行われ、ブロック蓋8は側溝用ブロック蓋敷設装置1側から容易に離脱され。なお、このステップ部5aは、ブロック蓋8の挟持作業においても便利に使用される他、目的のブロック蓋8ではないブロック蓋8を把持した場合の入れ替え作業時においてもステップ部5aによる側溝用ブロック蓋敷設装置1の回動動作が便利に利用される。
【0018】
以上の説明によって明らかなように、重量物のブロック蓋8を1人の人11で目的の場所に容易に移動できると共に1人でブロック蓋8の側溝9への敷設作業が容易にできる。なお、側溝用ブロック蓋敷設装置1は、以上の説明のような構成からなるが、その細部の構造については前記内容のものに限定するものではなく公知技術が適用される。
【0019】
【考案の効果】
本考案の側溝用ブロック蓋敷設装置によれば、重量物のブロック蓋を容易に挟持でき、任意の場所に移動し、目的の側溝に簡単に敷設することができる。なお、この作業はすべて1人で行うことができる。また、直接、ブロック蓋に人手が触れることがなく、敷設作業時においてもブロック蓋を人手で把持する必要が全くないため極めて安全である。また、女性や非力の人でも簡単に操作することができる。また、構造が簡単で比較的安価に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の側溝用ブロック蓋敷設装置の全体構造を示す側面図。
【図2】図1の上面図。
【図3】本考案の側溝用ブロック蓋敷設装置の作動原理を説明するための模式図。
【図4】本考案の側溝用ブロック蓋敷設装置の作動原理を説明するための模式図。
【図5】本考案の側溝用ブロック蓋敷設装置によるブロック蓋の側溝への敷設作業を説明するための模式図。
【図6】本考案の側溝用ブロック蓋敷設装置によるブロック蓋の側溝への敷設作業を説明するための模式図。
【図7】ブロック蓋の構造を示す斜視図。
【図8】従来のブロック蓋の側溝への敷設作業を説明するための模式図。
【符号の説明】
1 側溝用ブロック蓋敷設装置
2 本体枠
3 作動杆
4 車輪
5 足掛け部
5a ステップ部
6 保持台
7 手動ブレーキ機構部
8 ブロック蓋
9 側溝
10 支持部
11 人
12 枠体
13 足部
14 車輪収納枠
15 係止部(A点)
16 支持板
17 車輪支持板
18 下方杆
19 上方杆
20 ヒンジ
21 アングル
22 アングル
23 当接部(B点)
24 ハンドル
25 地面
26 ブレーキ装置
27 操作レバ
28 ブレーキワイヤ

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 側溝用のブロック蓋を1人で順次敷設する敷設装置であって、該装置は、後方側を車輪で支持され前端下方にブロック蓋の前面上縁を係止する係止部を設ける枠体状の本体枠と、該本体枠に傾斜して挺子体状に支持されその短腕側の前端に前記ブロック蓋の後面に当接する当接部を有し長腕側の後端にハンドルを設ける作動杆とを有し、該作動杆の前記当接部が前記車輪の接地点よりも少なくとも前方に配置されることを特徴とする側溝用ブロック蓋敷設装置。
【請求項2】 前記作動杆が、中間部でヒンジ結合されるものからなり、前方側に向かって回動して前記本体枠の上面に保持されることを特徴とする請求項1に記載の側溝用ブロック蓋敷設装置。
【請求項3】 前記本体枠の後端側には後方に向かって突出する足掛け部が形成されることを特徴とする請求項1に記載の側溝用ブロック蓋敷設装置。
【請求項4】 前記本体枠の上面には小物用具,作業用道具等を搭載する保持台が設けられることを特徴とする請求項1に記載の側溝用ブロック蓋敷設装置。
【請求項5】 前記車輪には手動ブレーキ機構部が設けられ、前記作動杆のハンドルには前記手動ブレーキ機構部の操作レバが設けられることを特徴とする請求項1に記載の側溝用ブロック蓋敷設装置。

【図3】
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【図4】
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【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【登録番号】第3062873号
【登録日】平成11年(1999)7月28日
【発行日】平成11年(1999)10月15日
【考案の名称】側溝用ブロック蓋敷設装置
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平11−2230
【出願日】平成11年(1999)4月7日
【出願人】(399015595)