説明

側溝蓋着脱運搬装置

【課題】側溝に被装された側溝蓋の着脱作業及び運搬作業を安全且つ簡易迅速に行うことができる側溝蓋着脱運搬装置を提供する。
【解決手段】フレーム2と、フレーム2の上端側に設けられるハンドル3と、フレーム2の下端側に設けられ側溝蓋を挟み込む挟持部4と、前記挟持部4に設けられ挟み込んだ側溝蓋を移動させるための車輪16とを備え、前記挟持部4は、側溝蓋の上面を支持する上面支持部材6と、側溝蓋の底面を支持する底面支持部材7と、上面支持部材6と底面支持部材7とを繋ぐ連結部材5とによって側面視コ字状に形成されていることを特徴とする側溝蓋着脱運搬装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、側溝蓋の着脱作業及び運搬作業ができる側溝蓋着脱運搬装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、道路脇、歩道、或いは住宅地の周囲等には、雨水を集めて排水するための側溝が設けられており、この側溝はコンクリート製の側溝蓋や、鋼製のグレーチング等によって被装されている。そして、これらの側溝蓋は車両などが通過しても破損しないように厚く堅固に形成され、さらには、雨水の増水によって移動しないよう相当の重量を有している。
【0003】
ところで、かかる側溝は、排水の滞りを防ぐため堆積した土砂やゴミ等を除去する清掃作業を定期的に行う必要がある。この清掃作業は、側溝蓋を一枚ずつ取り外して行われ、また、清掃完了後においては再びこれを設置することとなる。ここで、重量があるこのような側溝蓋の取り外し及び設置作業に使用する装置として、例えば、特許文献1に記載されたものが存在している。この特許文献1に開示された側溝蓋着脱装置は、側方から見て略L字状で、側溝蓋の長さに略等しい幅のフレームと、該フレームの下部後方の幅方向の両端部に各々設けられ、前後方向に対して回動可能に軸支された車輪と、該フレームの上端部に設けられた握持部と、該フレームの下部前方の幅方向の両端部に各々設けられ、側溝蓋を両側から引掛けて吊上げる吊り爪とを備えている。そして、この側溝蓋着脱装置によれば、吊り爪によって既設の側溝蓋を両側から引掛けた状態で、握持部を手前に引き下げ、2つの車輪の軸を中心にフレーム全体を回動させることで側溝蓋を吊上げるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−8544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の側溝蓋着脱装置は、側溝蓋を吊上げる動作及び吊り上げられた側溝蓋の運搬動作の双方において、その支点を車輪とするため、側溝蓋を吊上げる最中に装置が前後方向に動いてしまってうまく吊り上げることができなかったり、あるいは移動時にバランスを崩して運搬中の側溝蓋を落下させてしまうなどの問題があった。
【0006】
また、従来の側溝蓋着脱装置は、側溝の長手方向に対して直交する向きで着脱作業を行うため、装置及び作業者は道路に大きくはみ出し危険であると同時に、側溝の側方に作業スペースが必要となって歩道やあぜ道などでの作業が事実上困難であるという問題があった。さらに、坂道等に設けられた側溝の場合、側溝自体が傾斜しているため、側溝の側方から側溝蓋を吊り上げようとすると、バランスをうまく取ることができず、ひいては、側溝蓋をうまく吊り上げられないという問題もあった。
【0007】
さらに、従来の側溝蓋着脱装置は、側溝蓋の下面側縁に吊り爪を引掛けることによって側溝蓋を吊り上げているため、これを仮置きする場合、そのまま置くと吊り爪が側溝蓋と地面に挟まった状態になってしまう。そのため、一旦、地面に置いた側溝蓋を若干持ち上げながら、いちいち吊り爪を外さなければならないことになる。また、逆に地面に置いた側溝蓋を再び吊り上げるときは、重量のある側溝蓋を片側づつ若干持ち上げながら吊り爪を引っ掛けることが必要になる。そのため、従来の側溝蓋着脱装置では、これを回避するための方策として、特許文献1の図6に示されているように、まず、受け部材を用意して、この受け部材に側溝蓋の片側を載せ、後は取外した側溝蓋を順次斜めに積み重ねて並べるなど、側溝蓋の置き方にも制約があった。
【0008】
そこで、本発明は、従来のこのような実情に鑑みてなされたもので、作業者が安全且つ容易迅速に側溝蓋の着脱作業及び運搬作業を行うことができる側溝蓋着脱運搬装置を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するため本発明に係る側溝蓋着脱運搬装置は、フレームと、前記フレームの上端側に設けられるハンドルと、前記フレームの下端側に設けられ側溝蓋を挟み込む挟持部と、前記挟持部に設けられ挟み込んだ側溝蓋を移動させるための車輪とを備え、前記挟持部は、側溝蓋の上面を支持する上面支持部材と、側溝蓋の底面を支持する底面支持部材と、前記上面支持部材と前記底面支持部材とを繋ぐ連結部材とによって側面視コ字状に形成され、前記上面支持部材と前記底面支持部材との内法は前記側溝蓋が差込まれる程度の寸法に設定されており、前記フレームは前記挟持部に後方へ傾斜状に起立するように固着され、前記車輪は前記底面支持部材の下部であって前記連結部材よりの位置に設けられていることを特徴としている。
【0010】
また、本発明に係る側溝蓋着脱運搬装置は、フレームと、前記フレームの上端側に設けられるハンドルと、前記フレームの下端側に設けられ側溝蓋を挟み込む挟持部と、前記挟持部に設けられ挟み込んだ側溝蓋を移動させるための車輪とを備え、前記挟持部は、側溝蓋の上面を支持する上面支持部材と、側溝蓋の底面を支持する底面支持部材と、前記上面支持部材と前記底面支持部材とを繋ぐ連結部材とによって側面視コ字状に形成され、前記上面支持部材と前記底面支持部材との内法は前記側溝蓋が差込まれる程度の寸法に設定されており、前記フレームは前記挟持部に後方へ傾斜状に起立するように固着され、前記車輪は前記底面支持部材の下部であって前記連結部材よりの位置に設けられ、さらに、側溝の上面に横架される板状の部材であって、前記車輪を載せて方向転換を可能にする側溝横架材を備えていることを特徴としている。
【0011】
さらに、前記上面支持部材には、前記挟持部に挟み込まれた側溝蓋の前記連結部材側の側面と相対する側面に引掛ける係止部材が設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る側溝蓋着脱運搬装置は、上記構成により、側溝蓋の着脱作業及び運搬作業を安全且つ容易迅速に行うことができる。特に、側溝蓋の着脱作業を側溝の長手方向に向かって行うため、作業者は道路上にはみ出ることもなく安全に作業を行うことができ、また、作業スペースが狭くても問題なく着脱作業を行うことができる。
【0013】
また、本発明は、着脱作業から運搬作業までの一連の動作において、体勢を変えずに行うことができ、さらに、側溝蓋を取り外し、仮置きする場合も、側溝蓋を立てて置くだけでよく、受け材等を介在させる必要が一切ない。よって、複数の側溝蓋を連続して取り外す、あるいは設置する場合、腰の負担も少なく、効率よく迅速に作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態の側溝蓋着脱運搬装置の斜視図
【図2】本発明の実施形態の側溝蓋着脱運搬装置の斜視図(側溝蓋を挟持した場合)
【図3】側溝及び側溝横架材の斜視図
【図4】本発明の実施形態の側溝蓋着脱運搬装置の作用を表した側断面図
【図5】本発明の実施形態の側溝蓋着脱運搬装置の作用を表した側断面図
【図6】本発明の実施形態の側溝蓋着脱運搬装置の作用を表した平面図
【図7】本発明の実施形態の側溝蓋着脱運搬装置の作用を表した平面図
【図8】本発明の実施形態の側溝蓋着脱運搬装置の正面図
【図9】本発明の実施形態の側溝蓋着脱運搬装置の背面図
【図10】本発明の実施形態の側溝蓋着脱運搬装置の側面図
【図11】本発明の実施形態の側溝蓋着脱運搬装置の平面図
【図12】本発明の実施形態の側溝蓋着脱運搬装置の底面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
道路脇等には、図3に示すように側溝Aが設けられ、側溝Aの両側壁の上端部に形成された段部A1に側溝蓋Bを連続して被装させることで、側溝Aの上部開口部は塞がれている。前記側溝蓋Bにはその前端面B1と後端面B2の幅方向中央部にそれぞれ手掛用の切欠B3が形成されている。このような側溝蓋Bの側溝Aからの取り外し及び設置作業と、取り外した側溝蓋Bの所定位置への運搬作業の際に、本実施形態の側溝蓋着脱運搬装置が用いられる。なお、側溝蓋Bの着脱作業時に側溝横架材40を側溝Aの上面に横架した状態で用いることで、より容易に着脱作業を行うことができることになる。
【0016】
以下、本発明に係る側溝蓋着脱運搬装置1を図1及び図2に基づいて具体的に説明する。側溝蓋着脱運搬装置1は、金属製であり、長手状の平板からなるフレーム2と、該フレーム2の上端に設けられるハンドル3と、該フレーム2の下端に設けられ側溝蓋を挟み込む挟持部4とから大略構成されている。
【0017】
前記フレーム2は、挟持部4の後述する連結部材5に後方に傾斜状に起立するように固着されている。すなわち、フレーム2は、挟持部4の連結部材5に該挟持部4に対し後方へ鈍角に上向き傾斜するように固着されている。また、フレーム2の上端部には、該フレーム2に直交するようにハンドル3が設けられていて、フレーム2の上端部は正面からみるとT字状をなすようになっている。
【0018】
前記挟持部4は、側溝蓋を挟み込む部分で、側溝蓋の上面を支持する上面支持部材6と、側溝蓋の底面を支持する底面支持部材7と、上面支持部材6と底面支持部材7とを繋ぐ連結部材5とによって側面視コ字状に形成されている。そして、連結部材5、上面支持部材6、及び底面支持部材7に囲まれた空間部分が側溝蓋を差込む保持凹部8となっている。このように、保持凹部8に側溝蓋を差込んで該側溝蓋を上面支持部材6と底面支持部材7とで支持するため、上面支持部材6と底面支持部材7の内法は、側溝蓋が差込まれる程度の寸法、すなわち、側溝蓋Bの厚さと略同じか若干大きくなるように設定されている。具体的には、側溝蓋の厚さプラス5cmの範囲内に収まる程度の寸法になっている。
【0019】
前記連結部材5は、矩形板状の側板からなり、その外側面の上方中央位置にフレーム2の下端が溶接固定されている。また、連結部材5の幅は、側溝蓋Bの幅より短く、側溝蓋の切欠B3の幅より長く設定されている。
【0020】
前記上面支持部材6は、連結部材5の上部両側縁から前方へ、すなわちフレーム2と逆方向へ延設するように溶接固定される一対の上板9,9によって形成されている。また、一対の上板9,9の長さは、側溝蓋Bの長さの半分程度或いはそれより短い長さに設定されている。また、一対の上板9,9のそれぞれの前方位置には連結棒11が掛け渡されている。この連結棒11には、後述する係止部材20が回動自在に軸着されている。
【0021】
前記底面支持部材7は、連結部材5の下部両側縁から上板9,9と同方向に水平に溶接固定された一対の下板10,10によって形成されている。また、一対の下板10,10の長さは、上板9より長く上板9の2倍程度の寸法で、側溝蓋Bの長さよりは若干短く設定されている。また、一対の下板10,10のそれぞれの略中央位置には補強杆12が横架され、一対の下板10,10のそれぞれの下部前方位置には車輪軸13が、下部後方位置には車輪軸14が掛け渡されている。さらに、車輪軸13の両端部には前車輪15,15がそれぞれ軸支され、車輪軸14の両端部には後車輪16,16がそれぞれ軸支されている。そして、前車輪15,15及び後車輪16,16が接地することにより、上板9,9及び下板10,10は地面に対し水平になり、挟持部4が安定して車輪に支持されることになる。
【0022】
前記上面支持部材6、具体的には一対の上板9,9に横架された連結棒11には挟持部4に挟み込まれた側溝蓋の落下を防止するための係止部材20が回動自在に設けられている。この係止部材20は、一端に連結棒11を遊嵌するためのパイプ21aが設けられる矩形状の係止板21と、該係止板21の他端側で一部重なる同じく矩形状の調整板22とによって一枚板状に形成されている。また、調整板22の先端には、略直角に屈曲する係止片24が設けられている。さらに、係止板21と調整板22とが重なる部位のそれぞれの箇所には、長手方向に沿って等間隔の複数のボルト挿通孔23,23が開設されている。そして、互いに合致する少なくとも2以上のボルト挿通孔23,23にボルト25を挿通し蝶ナット26を螺締することで係止板21と調整板22とが連結される。なお、係止板21は、これらボルト25を挿通するボルト挿通孔23,23の位置を変えることで、その長さを自在に調節できるようになっている。
【0023】
前記フレーム2の略中央位置には、係止部材20が使われていない時に保持しておくための係止板受部材27が設けられている。係止板受部材27は、その一端が二股に分岐し、フレーム2を上方から跨ぐようにして回動自在に軸着されている。他方、係止板受部材27の他端は、略直角に屈曲した係止板受片28が形成されている。そして、係止部材20がフレーム2上まで回動した場合に、この係止板受片28が係止板21先端の係止片24と係合するようになっている。
【0024】
なお、フレーム2、連結部材5、上板9,9、及び下板10,10は、いずれも強度を十分に保つために所定の厚みをもって形成されている。また、フレーム2、上板9,9、及び下板10,10は、いずれも強度を十分に保つために所定の幅を有する板状に形成されている。
【0025】
次に、請求項2記載発明が構成要件としている側溝横架材40について説明する。この側溝横架材40は、図3に示すように側溝蓋の着脱作業時に側溝Aに横架した状態で用いるものである。具体的には、側溝横架材40は、側溝Aに架設可能な幅寸法を有する矩形の板状部材であって、側溝Aの長手方向と直交する一対の側縁に、それぞれ下方へ屈曲する側壁41,41が形成されていて、側面視下向きコ字状になっている。さらに、側壁41,41の幅は側溝の幅よりわずかに短く、また、側壁41の高さは側溝の段部A1の高さより若干短く設定されている。なお、側溝横架材40は、その側壁41,41を側溝Aに横架した状態で使用し得るようになっているため、一度架設した後は、足でスライドさせて位置を変更することが可能である。
【0026】
続いて、本発明に係る側溝蓋着脱運搬装置の作用について、図4乃至図7に基づいて説明する。なお、ここでは、連設された側溝蓋Bのうち、最初の一つの側溝蓋Bは、別途側溝蓋の垂直吊上げ装置(図示しない)などを用いて取り除かれて、側溝Aに上部開口がある状態を前提として説明する。
【0027】
側溝蓋Bを側溝Aから取り外す動作から説明すると、まず、図4(イ)に示されているように、側溝蓋着脱運搬装置1の挟持部4を側溝蓋Bの前端面B1から挟むように差し込み、挟持部4の保持凹部8に側溝蓋Bを位置させる。このとき、側溝蓋の前端面B1が連結部材5の内側に当接するまで挟持部4を滑り込ませる。そして、係止部材20の係止片24を係止板受片28から外し、側溝蓋の後端面B2に形成されている切欠B3に引掛ける。続いて、図4(ロ)に示すようにハンドル3を上方へ持ち上げて挟持部4を傾かせ、側溝蓋の前端面側B1を浮かせる。このとき、後車輪16,16も浮いているので、この浮いている状態の後車輪16,16の下方に側溝横架材40を滑り込ませる。次いで、図4(ハ)に示すようにハンドル3を下げ、後車輪16,16を側溝横架材40の上に載せ、後車輪16,16を側溝横架材40上で転動させながら側溝蓋着脱運搬装置1自体を図6に矢視する方向へと転換する。これによって、図7に示すように前車輪15,15が路肩等に接地することになるので、後は4輪が接地し安定した状態で側溝蓋Bを運搬することができる。
【0028】
なお、側溝蓋Bが側溝Aに設置されてからある程度の時間が経過していると、側溝蓋の左右両端面と側溝の隙間、及び側溝蓋と側溝蓋の間に土や砂利等が詰まって、側溝蓋を動かし難い状態となっていることが多い。しかしながら、本発明に係る側溝蓋着脱運搬装置1を使用した場合、上記した図4(ロ)に示されている動作、すなわち、側溝蓋を挟持部4に挟み込んだ状態でハンドル3を上方へ持ち上げるのみで、側溝蓋の左右両端面と側溝の隙間、及び側溝蓋と側溝蓋の間に詰まった砂利等を簡単に落とすことができ、ひいては側溝蓋を容易に外すことが可能となる。
【0029】
さらに、運搬した側溝蓋Bを路肩等に仮置きするには、図5に示すように4輪が設置し安定した状態にある側溝蓋着脱運搬装置1のハンドル3を前方へ起こして側溝蓋Bを前方へ傾かせ、側溝蓋の後端面B2を地面に接するように立てる。そして、側溝蓋の後端面B2の切欠B3から係止部材20の係止片24を外し、後はハンドル3を真上に持ち上げて挟持部4を側溝蓋Bから外す。このようにして、1枚の側溝蓋Bを取り外す作業は完了する。
【0030】
次に、一旦外した側溝蓋Bを再び設置する動作について説明する。まず、側溝蓋Bを設置したい位置の側溝A上に側溝横架材40を架設しておく。そして、立てた状態で仮置きされた側溝蓋Bを挟持部4で上方から挟み、係止部材20の係止片24を側溝蓋の地面に接している面の切欠B3に引掛ける。続いて、ハンドル3を手前にゆっくり傾斜させながら下げ、挟持部4の車輪を前車輪15,15、後車輪16,16の順に地面に接地させる。そして、後車輪16,16を側溝横架材40上へ移動させ、方向転換して側溝蓋を側溝A上に位置させる。さらに、側溝蓋の後端面B2を側溝段部A1に載せ、ハンドル3を持ち上げて後車輪16,16を浮かせて側溝横架材40を後方へスライドさせてどかす。そして、ハンドル3を下げて挟持部4を側溝A内まで下ろし、側溝蓋Bを側溝段部A1に設置する。後は、係止部材20の係止片24を切欠B5から外し、挟持部4を側溝蓋Bから外して設置作業が完了する。
【0031】
このように本発明に係る側溝蓋着脱運搬装置1によれば、容易迅速に側溝蓋の着脱作業及び運搬作業ができる。特に運搬作業においては、車輪を接地させた状態で運搬ができるため安全であり、さらには地面に勾配がある場合でも、バランスを崩すことも無く容易に利用が可能である。また、本発明は、側溝蓋の着脱作業を側溝の長手方向に向かって行うため、作業者は道路上にはみ出ることもなく安全で、また、作業スペースが狭くても問題なく着脱作業を行うことができる。
【0032】
さらに、着脱作業から運搬作業を行う一連の動作において、体勢を変えずに作業が行うことができるため、複数の側溝蓋を連続して取り外したり設置するような場合でも、腰の負担が少なく、効率よく迅速に作業を行うことができる。また、取り外した側溝蓋を仮置きする場合も立てておくだけでよく、側溝蓋の下面を浮かすための受け材などを介在させる必要がない。さらに、側溝蓋を立てた状態で置いておけるため、側溝の清掃作業中に側溝蓋を仮置きする広いスペースを必要としないというメリットもある。
【0033】
また、本発明によれば、側溝蓋の切欠が一端面にしか形成されていない場合や、両端面に切欠が形成されていない場合でも着脱作業が可能である。
【0034】
また、本発明に係る側溝蓋着脱運搬装置1に側溝蓋を挟持した状態で、側溝蓋を傾けたり、或いは斜面を運搬するような場合においても、係止部材20によって側溝蓋の後端面B2が支持されることになるため、側溝蓋が挟持部4からはずれ落ちることがなく安全である。さらに、係止部材20は長さ調節ができるため、種々のサイズの側溝蓋に対応することができる。なお、上記実施例では、本発明に係る側溝蓋着脱運搬装置1を使用するにあたり、側溝蓋に係止部材20を引掛けて使用する例を説明したが、当該係止部材20は、必ず使用しなければならないというものではない。
【0035】
なお、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すような構成のものに変更が可能である。すなわち、上記実施形態の挟持部4は、一対の上板9,9、一対の下板10,10、及び連結部材5からなる構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、一枚の板状部材を側面視コ字状となるように屈曲させて挟持部4としてもよい。さらに、挟持部4の連結部材5に長さ調節機能をもたせて、上面支持部材6と底面支持部材7の内法を適宜調節できるようにしてもよい。このようにした場合、種々のサイズの側溝蓋に対応することが可能となり、汎用性が拡大することになる。
【0036】
また、挟持部4の下方に設けられる車輪は、水平に設置された車輪軸に軸支される構成としたが、前後左右あらゆる方向に転動可能なキャスターであってもよい。さらに、上記実施例では、車輪を幅方向両端部に位置させてそれぞれ2つ設けた例で説明したが、これに限られず、例えば、幅方向中央部に1つの車輪を設けるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 側溝蓋運搬具
2 フレーム
3 ハンドル
4 挟持部
5 連結部材
6 上面支持部材
7 底面支持部材
16 後車輪
40 側溝横架材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、前記フレームの上端側に設けられるハンドルと、前記フレームの下端側に設けられ側溝蓋を挟み込む挟持部と、前記挟持部に設けられ挟み込んだ側溝蓋を移動させるための車輪とを備え、
前記挟持部は、側溝蓋の上面を支持する上面支持部材と、側溝蓋の底面を支持する底面支持部材と、前記上面支持部材と前記底面支持部材とを繋ぐ連結部材とによって側面視コ字状に形成され、
前記上面支持部材と前記底面支持部材との内法は前記側溝蓋が差込まれる程度の寸法に設定されており、
前記フレームは前記挟持部に後方へ傾斜状に起立するように固着され、前記車輪は前記底面支持部材の下部であって前記連結部材よりの位置に設けられていることを特徴とする側溝蓋着脱運搬装置。
【請求項2】
フレームと、前記フレームの上端側に設けられるハンドルと、前記フレームの下端側に設けられ側溝蓋を挟み込む挟持部と、前記挟持部に設けられ挟み込こんだ側溝蓋を移動させるための車輪とを備え、
前記挟持部は、側溝蓋の上面を支持する上面支持部材と、側溝蓋の底面を支持する底面支持部材と、前記上面支持部材と前記底面支持部材とを繋ぐ連結部材とによって側面視コ字状に形成され、
前記上面支持部材と前記底面支持部材との内法は前記側溝蓋が差込まれる程度の寸法に設定されており、
前記フレームは前記挟持部に後方へ傾斜状に起立するように固着され、前記車輪は前記底面支持部材の下部であって前記連結部材よりの位置に設けられ、
さらに、側溝の上面に横架される板状の部材であって、前記車輪を載せて方向転換を可能にする側溝横架材を備えていることを特徴とする側溝蓋着脱運搬装置。
【請求項3】
前記上面支持部材には、前記挟持部に挟み込まれた側溝蓋の前記連結部材側の側面と相対する側面に引掛ける係止部材が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の側溝蓋着脱運搬装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−219442(P2012−219442A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83186(P2011−83186)
【出願日】平成23年4月4日(2011.4.4)
【出願人】(502317611)
【Fターム(参考)】