説明

偽造防止シート

【課題】分離線にて分離可能としながらも分離線にて分離する前の状態においては真贋判定を行うための構造が認識されることを回避する。
【解決手段】ミシン目11a,11bがそれぞれ形成され、互いに重ね合わされた2枚のシート10a,10bと、2枚のシート10a,10bの間に挟み込まれた中間シート20とを有し、ミシン目11a,11bは、カット部15a,15bとタイ部16a,16bとからなり、2枚のシート10a,10bが重ね合わされた状態において互いに重なり合うように2枚のシート10a,10bにそれぞれ形成され、中間シート20は、その全面が2枚のシート10a,10bとは異なる色に着色されているとともに、中間シート20が2枚のシート10a,10bに挟み込まれた状態においてミシン目11a,11bのタイ部16a,16bに対向する領域に貫通穴21が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偽造防止シートに関し、特に、使用時に分離線にて2つに分離されることを利用して真贋判定を可能とする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、プリペイドカードや各種入場チケット、商品券や株券等の有価証券においては、広く流通しており比較的容易に換金可能である等の理由から、偽造犯罪が頻発している。特に、近年では、カラーコピー機、スキャナー、カラープリンタ等の電子機器を利用した複写や読み取り、複製等の性能向上と普及に伴い、簡単には真正品と見分けられない偽造品が比較的容易に製造可能になってきており、偽造に対する対策が求められている。
【0003】
上述したようなプリペイドカードや各種入場チケット、商品券や株券等の有価証券のうち、入場チケットにおいては、2つに分離可能とするミシン目等の分離線が設けられており、使用時にこの分離線にて2つに分離されるものが多い。そこで、このように2つに分離されることを利用して真贋判定を可能とするチケットが特許文献1に開示されている。この特許文献1に開示されたチケットは、2枚の白紙層間にこの白紙層と同一形状の着色紙層を挟み込んでこれらを互いに貼着しておき、このチケットを2枚の白紙層のそれぞれに形成されたハーフカットによって2つに分離した際、着色紙層が白紙層の分離に伴って破断し、分離端面に着色紙層を表出させて真贋判定を可能とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−162978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されたチケットにおいては、真贋判定を可能とするために2枚の白紙層間に挟み込まれた着色紙層が白紙層と同一形状を有するものであるため、チケットが2つに分離される前の状態においてもその端面側から視認した場合、2枚の白紙層間に着色紙層が挟み込まれていることが認識されてしまい、そのような構成のチケットが偽造されてしまう虞れがある。また、チケットが2つに分離される前の状態においてチケットを撓ませた場合においても、ハーフカットが広がって着色紙層が視認されてしまい、同様の問題が生じてしまう。
【0006】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、分離線にて2つに分離した場合に真贋判定を可能とする偽造防止シートにおいて、分離線にて分離可能としながらも分離線にて分離する前の状態においては真贋判定を行うための構造が認識されることがない偽造防止シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、
分離線にて2つに分離した場合に真贋判定を可能とする偽造防止シートであって、
前記分離線がそれぞれ形成され、互いに重ね合わされた2枚のシートと、
前記2枚のシートの間に設けられた着色層とを有し、
前記分離線は、カット部とタイ部とからなり、前記2枚のシートが重ね合わされた状態において互いに重なり合うように前記2枚のシートにそれぞれ形成され、
前記着色層は、前記2枚のシートのタイ部が互いに対向する領域の少なくとも一部と、前記カット部に対向する領域及び当該着色層の外周部とで、互いに異なる色を有する。
【0008】
上記のように構成された本発明においては、2枚のシートにそれぞれ形成された分離線にて2つに分離した場合に、その分離端面において、2枚のシートの間に設けられた着色層による色が視認され、この着色層による色を確認することによって真贋判定が可能となるが、分離線がカット部とタイ部とからなり、着色層が、2枚のシートのタイ部が互いに対向する領域の少なくとも一部と外周部とで互いに異なる色を有するものであるため、分離線にて2つに分離した場合に、分離線にて分離する前の状態において偽造防止シートの端面側から視認した場合に着色層として視認される色とは異なる色がその分離端面にて視認されることとなり、また、着色層が、2枚のシートのタイ部が互いに対向する領域の少なくとも一部とカット部に対向する領域とで互いに異なる色を有するものであるため、分離線にて2つに分離した場合に、分離線にて分離する前の状態において分離線のカット部から視認される色とは異なる色がその分離端面にて視認されることとなり、それにより、分離線にて分離する前の状態においては、分離線にて2つに分離した場合に分離端面にて視認される色を認識することはできず、分離線にて分離可能としながらも分離線にて分離する前の状態においては真贋判定を行うための構造が認識されることがない。
【0009】
また、分離線にて2つに分離した場合に真贋判定を可能とする偽造防止シートであって、
前記分離線がそれぞれ形成され、互いに重ね合わされた2枚のシートと、
前記2枚のシートの間に設けられた着色層とを有し、
前記分離線は、カット部とタイ部とからなり、前記2枚のシートが重ね合わされた状態において互いに重なり合うように前記2枚のシートにそれぞれ形成され、
前記着色層は、前記2枚のシートのタイ部が互いに対向する領域の少なくとも一部には設けられていない構成とすることも考えられる。
【0010】
上記のように構成された本発明においては、2枚のシートにそれぞれ形成された分離線にて2つに分離した場合に、その分離端面において、2枚のシートの間に設けられた着色層による色が視認され、この着色層による色を確認することによって真贋判定が可能となるが、分離線がカット部とタイ部とからなり、着色層が、2枚のシートのタイ部が互いに対向する領域の少なくとも一部には設けられていないため、分離線にて2つに分離した場合に、着色層が設けられていない領域が視認されることとなり、それにより、分離線にて分離する前の状態において偽造防止シートの端面側から視認した場合に着色層として視認される色や分離線のカット部から視認される色とは異なる色がその分離端面にて視認されることとなる。そのため、分離線にて分離する前の状態においては、分離線にて2つに分離した場合に分離端面にて視認される色を認識することはできず、分離線にて分離可能としながらも分離線にて分離する前の状態においては真贋判定を行うための構造が認識されることがない。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように本発明においては、分離線がそれぞれ形成され、互いに重ね合わされた2枚のシートと、2枚のシートの間に設けられた着色層とを有し、分離線が、カット部とタイ部とからなり、2枚のシートが重ね合わされた状態において互いに重なり合うように2枚のシートにそれぞれ形成され、着色層が、2枚のシートのタイ部が互いに対向する領域の少なくとも一部と、カット部に対向する領域及び外周部とで、互いに異なる色を有する構成としたため、分離線にて2つに分離した場合に、分離線にて分離する前の状態において偽造防止シートの端面側から視認した場合に着色層として視認される色やカット部から視認される色とは異なる色がその分離端面にて視認されることとなり、それにより、分離線にて分離する前の状態においては、分離線にて2つに分離した場合に分離端面にて視認される色を認識することはできず、分離線にて分離可能としながらも分離線にて分離する前の状態においては真贋判定を行うための構造が認識されることがない。
【0012】
また、分離線がそれぞれ形成され、互いに重ね合わされた2枚のシートと、2枚のシートの間に設けられた着色層とを有し、分離線が、カット部とタイ部とからなり、2枚のシートが重ね合わされた状態において互いに重なり合うように2枚のシートにそれぞれ形成され、着色層が、2枚のシートのタイ部が互いに対向する領域の少なくとも一部には設けられていない構成としたものにおいては、分離線にて2つに分離した場合に、着色層が設けられていない領域が視認されることとなる。すなわち、分離線にて2つに分離した場合に、分離線にて分離する前の状態において偽造防止シートの端面側から視認した場合に着色層として視認される色やカット部から視認される色とは異なる色がその分離端面にて視認されることとなり、それにより、分離線にて分離する前の状態においては、分離線にて2つに分離した場合に分離端面にて視認される色を認識することはできず、分離線にて分離可能としながらも分離線にて分離する前の状態においては真贋判定を行うための構造が認識されることがない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の偽造防止シートの第1の実施の形態を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は裏面から見た図、(c)は(a)に示したA―A’断面図、(d)は中間シートの構成を示す図である。
【図2】図1に示した偽造防止シートの使用方法及び作用について説明するための図であり、(a)は偽造防止シートを2つに分離する前の状態を示す外観斜視図、(b)はミシン目が破断していく状態を示す外観斜視図、(c)は偽造防止シートが2つに分離した場合の分離端面を示す図である。
【図3】図1に示した偽造防止シートをミシン目に沿って2つに分離する前の状態において撓ませた場合の作用を説明するための図であり、(a)は偽造防止シートを撓ませた状態を示す外観斜視図、(b)は(a)に示したA部拡大図である。
【図4】本発明の偽造防止シートの第2の実施の形態を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は裏面から見た図、(c)は(a)に示したA―A’断面図、(d)は中間シートの構成を示す図である。
【図5】図4に示した偽造防止シートの使用方法及び作用について説明するための図であり、(a)は偽造防止シートを2つに分離する前の状態を示す外観斜視図、(b)はミシン目が破断していく状態を示す外観斜視図、(c)は偽造防止シートが2つに分離した場合の分離端面を示す図である。
【図6】図4に示した偽造防止シートをミシン目に沿って2つに分離する前の状態において撓ませた場合の作用を説明するための図であり、(a)は偽造防止シートを撓ませた状態を示す外観斜視図、(b)は(a)に示したA部拡大図である。
【図7】本発明の偽造防止シートの第3の実施の形態を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は裏面から見た図、(c)は(a)に示したA―A’断面図、(d)は中間シートの構成を示す図である。
【図8】図7に示した偽造防止シートをミシン目に沿って2つに分離した場合の分離端面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0015】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の偽造防止シートの第1の実施の形態を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は裏面から見た図、(c)は(a)に示したA―A’断面図、(d)は中間シート20の構成を示す図である。
【0016】
本形態は図1に示すように、同一形状を有する2枚のシート10a,10bが重ね合わされ、この2枚のシート10a,10bの間に着色層である中間シート20が挟み込まれ、これらが粘着剤(不図示)によって互いに貼着されて構成されている。
【0017】
2枚のシート10a,10bのうち一方のシート10aは、その表面にサーマルプリンタによって情報が印字可能な感熱紙等からなり、本体片13aともぎり片14aとが分離線となるミシン目11aを介して分離可能に連接している。そして、その表面には、サーマルプリンタ等によってチケット情報等が印字されている。また、ミシン目11aは、カット部15aとタイ部16aとが交互に並んで構成されている。
【0018】
また、2枚のシート10a,10bのうち他方のシート10bは、不透明度の高いコート紙等からなり、本体片13bともぎり片14bとが分離線となるミシン目11bを介して分離可能に連接している。なお、ミシン目11bは、カット部15bとタイ部16bとが交互に並んで構成されている。
【0019】
シート10aに形成されたミシン目11aと、シート10bに形成されたミシン目11bとは、ミシン目11a,11bが延びる方向についてカット部15a,15bとタイ部16a,16bのそれぞれが、同一の幅及び同一のピッチで形成されており、それにより、2枚のシート10a,10bが重ね合わされた状態においては、ミシン目11aのカット部15aとミシン目11bのカット部15bとが重なり合うとともに、ミシン目11aのタイ部16aとミシン目11bのタイ部16bとが重なり合っている。
【0020】
中間シート20は、全体がシート10a,10bとは異なる赤色に着色されており、その一部に複数の貫通穴21が形成されている。この貫通穴21は、中間シート20が2枚のシート10a,10bに挟み込まれた状態においてミシン目11a,11bのタイ部16a,16bに対向する領域にそれぞれ形成されており、それにより、中間シート20は、2枚のシート10a,10b間に設けられているものの、ミシン目11a,11bのタイ部16a,16bに対向する領域には設けられていない。また、中間シート20が2枚のシート10a,10bに挟み込まれた状態においてミシン目11a,11bのカット部15a,15bに対向する領域には、同様のカット部22が形成されている。なお、中間シート20の色は、シート10a,10bの色と異なるものであれば赤色に限らない。
【0021】
また、シート10aの厚さは、その表面側から透けて貫通穴21が視認可能とならない程度の100μm〜120μmが好ましい。
【0022】
以下に、上記のように構成された偽造防止シート1の使用方法及び作用について説明する。
【0023】
図2は、図1に示した偽造防止シート1の使用方法及び作用について説明するための図であり、(a)は偽造防止シート1を2つに分離する前の状態を示す外観斜視図、(b)はミシン目11a,11bが破断していく状態を示す外観斜視図、(c)は偽造防止シート1が2つに分離した場合の分離端面を示す図である。
【0024】
図1に示した偽造防止シート1を使用する場合は、2枚のシート10a,10bを、本体片13a,13bともぎり片14a,14bとに中間シート20とともに分離することになる。
【0025】
図1に示した偽造防止シート1において、2枚のシート10a,10bを、本体片13a,13bともぎり片14a,14bとに中間シート20とともに分離する前の状態においては、偽造防止シート1を端面側から視認した場合、図2(a)に示すように、2枚のシート10a,10b間に中間シート20の赤色が視認されるものの、中間シート20の貫通穴21は偽造防止シート1の端面には表出しておらず、そのため、中間シート20は赤色の一色で視認されることになる。
【0026】
そして、図2(a)に示すような状態から、2枚のシート10a,10bを、本体片13a,13bともぎり片14a,14bとに中間シート20とともに分離しようとすると、2枚のシート10a,10bのそれぞれに形成されたミシン目11a,11bが互いに重なり合っているため、2枚のシート10a,10bを、本体片13a,13bともぎり片14a,14bとに中間シート20とともに分離しようとする力は2つのミシン目11a,11bに作用し、それにより、図2(b)に示すように、2枚のシート10a,10b及びこれらに挟み込まれた中間シート20が互いに貼着された状態でミシン目11a,11bに沿って破断していき、2枚のシート10a,10bがそれぞれ、ミシン目11a,11bによって本体片13a,13bともぎり片14a,14bとに分離し、中間シート20もこれら本体片13a,13bに対向する領域ともぎり片14a,14bに対向する領域とに分離することになる。
【0027】
2枚のシート10a,10bがそれぞれ、ミシン目11a,11bによって本体片13a,13bともぎり片14a,14bとに分離するとともに、中間シート20がこれら本体片13a,13bに対向する領域ともぎり片14a,14bに対向する領域とに分離すると、中間シート20には、ミシン目11a,11bのタイ部16a,16bに対向する領域に貫通穴21がそれぞれ形成されているため、図2(c)に示すように、中間シート20の本体片13a,13bに対向する領域ともぎり片14a,14bに対向する領域のそれぞれの分離端面において、中間シート20に形成された貫通穴21が表出する。そして、中間シート20の貫通穴21以外の領域が赤色に着色されているため、中間シート20の本体片13a,13bに対向する領域ともぎり片14a,14bに対向する領域のそれぞれの分離端面においては、中間シート20による赤色が、ミシン目11a,11bが延びる方向に断続的に視認されることになる。
【0028】
このように、図1に示した偽造防止シート1をミシン目11a,11bに沿って2つに分離すると、中間シート20の本体片13a,13bに対向する領域ともぎり片14a,14bに対向する領域のそれぞれの分離端面において、中間シート20による赤色が、ミシン目11a,11bが延びる方向に断続的に視認されることになり、それにより、偽造防止シート1の真贋判定が可能となる。ここで、上述したように、2枚のシート10a,10bを、本体片13a,13bともぎり片14a,14bとに中間シート20とともに分離する前の状態においては、偽造防止シート1を端面側から視認した場合、中間シート20は赤色の一色で視認されるため、偽造防止シート1をミシン目11a,11bに沿って2つに分離した場合、偽造防止シート1を2つに分離する前の状態において偽造防止シート1を端面側から視認した場合とは異なる色がその分離端面にて視認されることとなり、それにより、偽造防止シート1を2つに分離する前の状態においては、偽造防止シート1の真贋判定を行うための構造が認識されてしまうことがなくなる。
【0029】
次に、図1に示した偽造防止シート1を上述したように2つに分離する前の状態において撓ませた場合の作用について説明する。
【0030】
図3は、図1に示した偽造防止シート1をミシン目11a,11bに沿って2つに分離する前の状態において撓ませた場合の作用を説明するための図であり、(a)は偽造防止シート1を撓ませた状態を示す外観斜視図、(b)は(a)に示したA部拡大図である。
【0031】
本形態における偽造防止シート1を、図3(a)に示すようにミシン目11aが形成された部分が突出する頂点となるようにシート10aを外側として撓ませた場合、図3(b)に示すように、ミシン目11aのカット部15a及び中間シート20のカット部22が広がり、カット部15a内において、2枚のシート10a,10b及び中間シート20の積層状態が視認可能となる。
【0032】
ところが、2枚のシート10a,10bに挟み込まれた中間シート20に形成された貫通穴21は、ミシン目11a,11bのタイ部16a,16bに対向する領域にそれぞれ形成されているため、図3(b)に示すように、カット部15a内では貫通穴21は視認されない。
【0033】
そのため、図1に示した偽造防止シート1をミシン目11a,11bに沿って2つに分離する前の状態において撓ませた場合は、シート10aに形成されたミシン目11aのカット部15aや、シート10bに形成されたミシン目11bのカット部15bの内部において中間シート20が赤色の一色で視認されることとなる一方、偽造防止シート1をミシン目11a,11bに沿って2つに分離した場合は、偽造防止シート1を2つに分離する前の状態においてカット部15a,15b内にて視認された色とは異なる色がその分離端面にて視認されることとなり、それにより、偽造防止シート1をカット部15a,15bによって分離可能としながらも、偽造防止シート1を2つに分離する前の状態においては、偽造防止シート1の真贋判定を行うための構造が認識されてしまうことがなくなる。
【0034】
このように、図1に示した偽造防止シート1をミシン目11a,11bに沿って2つに分離する前の状態においては、偽造防止シート1の端面側から視認した場合であっても、また、偽造防止シート1を撓ませた場合であっても、偽造防止シート1をミシン目11a,11bに沿って2つに分離した場合にその分離端面において視認される色を認識することができず、このような構成の偽造チケットが製造されてしまうことを回避することができる。
【0035】
(第2の実施の形態)
図4は、本発明の偽造防止シートの第2の実施の形態を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は裏面から見た図、(c)は(a)に示したA―A’断面図、(d)は中間シート120の構成を示す図である。
【0036】
本形態の偽造防止シートは図4に示すように、図1に示したものに対して、2枚のシート110a,110b間に設けられた着色層となる中間シート120の構成が異なるものである。
【0037】
本形態の偽造防止シート101の中間シート120は、中間シート120が2枚のシート110a,110bに挟み込まれた状態においてミシン目111a,111bのタイ部116a,116bに対向する領域がそれぞれ赤色に着色されることにより着色部121となっており、他の領域は、例えば、シート110a,110bと同様の色、または赤色とは異なる色となっている。また、中間シート120が2枚のシート110a,110bに挟み込まれた状態においてミシン目111a,111bのカット部115a,115bに対向する領域には、同様のカット部122が形成されている。なお、着色部121の色は、中間シート120の他の領域の色と異なるものであれば赤色に限らない。
【0038】
以下に、上記のように構成された偽造防止シート101の使用方法及び作用について説明する。
【0039】
図5は、図4に示した偽造防止シート101の使用方法及び作用について説明するための図であり、(a)は偽造防止シート101を2つに分離する前の状態を示す外観斜視図、(b)はミシン目111a,111bが破断していく状態を示す外観斜視図、(c)は偽造防止シート101が2つに分離した場合の分離端面を示す図である。
【0040】
図4に示した偽造防止シート101を使用する場合は、2枚のシート110a,110bを、本体片113a,113bともぎり片114a,114bとに中間シート120とともに分離することになる。
【0041】
図4に示した偽造防止シート101において、2枚のシート110a,110bを、本体片113a,113bともぎり片114a,114bとに中間シート120とともに分離する前の状態においては、偽造防止シート101を端面側から視認した場合、図5(a)に示すように、2枚のシート110a,110b間に挟み込まれた中間シート120は視認されるものの、中間シート120に設けられた着色部121は偽造防止シート101の端面には表出しておらず、着色部121による赤色は視認されない。
【0042】
そして、図5(a)に示すような状態から、2枚のシート110a,110bを、本体片113a,113bともぎり片114a,114bとに中間シート120とともに分離しようとすると、2枚のシート110a,110bのそれぞれに形成されたミシン目111a,111bが互いに重なり合っているため、2枚のシート110a,110bを、本体片113a,113bともぎり片114a,114bとに中間シート120とともに分離しようとする力は2つのミシン目111a,111bに作用し、それにより、図5(b)に示すように、2枚のシート110a,110b及びこれらに挟み込まれた中間シート120が互いに貼着された状態でミシン目111a,111bに沿って破断していき、2枚のシート110a,110bがそれぞれ、ミシン目111a,111bによって本体片113a,113bともぎり片114a,114bとに分離し、中間シート120もこれら本体片113a,113bに対向する領域ともぎり片114a,114bに対向する領域とに分離することになる。
【0043】
2枚のシート110a,110bがそれぞれ、ミシン目111a,111bによって本体片113a,113bともぎり片114a,114bとに分離するとともに、中間シート120がこれら本体片113a,113bに対向する領域ともぎり片114a,114bに対向する領域とに分離すると、中間シート120には、ミシン目111a,111bのタイ部116a,116bに対向する領域に着色部121がそれぞれ形成されているため、図5(c)に示すように、中間シート120の本体片113a,113bに対向する領域ともぎり片114a,114bに対向する領域のそれぞれの分離端面において、中間シート120に形成された着色部121が視認されることになる。
【0044】
このように、図4に示した偽造防止シート101をミシン目111a,111bに沿って2つに分離すると、中間シート120の本体片113a,113bに対向する領域ともぎり片114a,114bに対向する領域のそれぞれの分離端面において着色部121による赤色が視認されることになり、それにより、偽造防止シート101の真贋判定が可能となる。ここで、上述したように、2枚のシート110a,110bを、本体片113a,113bともぎり片114a,114bとに中間シート120とともに分離する前の状態においては、偽造防止シート101を端面側から視認した場合、中間シート120は着色部121による赤色とは異なる色で視認されるため、偽造防止シート101をミシン目111a,111bに沿って2つに分離した場合、偽造防止シート101を2つに分離する前の状態において偽造防止シート101を端面側から視認した場合とは異なる色がその分離端面にて視認されることとなり、それにより、偽造防止シート101を2つに分離する前の状態においては、偽造防止シート101の真贋判定を行うための構造が認識されてしまうことがなくなる。
【0045】
次に、図4に示した偽造防止シート101を上述したように2つに分離する前の状態において撓ませた場合の作用について説明する。
【0046】
図6は、図4に示した偽造防止シート101をミシン目111a,111bに沿って2つに分離する前の状態において撓ませた場合の作用を説明するための図であり、(a)は偽造防止シート101を撓ませた状態を示す外観斜視図、(b)は(a)に示したA部拡大図である。
【0047】
本形態における偽造防止シート101を、図6(a)に示すようにミシン目111aが形成された部分が突出する頂点となるようにシート110aを外側として撓ませた場合、図6(b)に示すように、ミシン目111aのカット部115a及び中間シート120のカット部122が広がり、カット部115a内において、2枚のシート110a,110b及び中間シート120の積層状態が視認可能となる。
【0048】
ところが、2枚のシート110a,110bに挟み込まれた中間シート120に設けられた着色部121は、ミシン目111a,111bのタイ部116a,116bに対向する領域にそれぞれ形成されているため、図6(b)に示すように、カット部115a内では着色部121による赤色は視認されない。
【0049】
そのため、図4に示した偽造防止シート101をミシン目111a,111bに沿って2つに分離する前の状態において撓ませた場合は、シート110aに形成されたミシン目111aのカット部115aや、シート110bに形成されたミシン目111bのカット部115bの内部において着色部121による赤色が視認されずに中間シート120の他の領域の色が視認される一方、偽造防止シート101をミシン目111a,111bに沿って2つに分離した場合は、偽造防止シート101を2つに分離する前の状態においてカット部115a,115b内にて視認された色とは異なる赤色がその分離端面にて視認されることとなり、それにより、偽造防止シート101をカット部115a,115bによって分離可能としながらも、偽造防止シート101を2つに分離する前の状態においては、偽造防止シート101の真贋判定を行うための構造が認識されてしまうことがなくなる。
【0050】
このように、図4に示した偽造防止シート101をミシン目111a,111bに沿って2つに分離する前の状態においては、偽造防止シート101の端面側から視認した場合であっても、また、偽造防止シート101を撓ませた場合であっても、偽造防止シート101をミシン目111a,111bに沿って2つに分離した場合にその分離端面において視認される色を認識することができず、このような構成の偽造チケットが製造されてしまうことを回避することができる。
【0051】
なお、上述した2つの実施の形態においては、ミシン目11a,111aのカット部15a,115aとミシン目11b,111bのカット部15b,115bとが重なり合うとともに、ミシン目11a,111aのタイ部16a,116aとミシン目11b,111bのタイ部16b,116bとが重なり合っているが、ミシン目11a,111aのタイ部16a,116aとミシン目11b,111bのタイ部16b,116bとが少なくともその一部にて重なり合い、中間シート20,120のその領域の色が他の領域の色と異なっていればよい。また、ミシン目11a,111aのタイ部16a,116aとミシン目11b,111bのタイ部16b,116bとが互いに対向する領域の少なくとも一部と、ミシン目11a,111aのカット部15a,115aとミシン目11b,111bのカット部15b,115bに対向する領域及び中間シート20,120の外周部とが互いに異なる色となっていれば、中間シート20,120の他の領域の色は任意に設定してもよい。
【0052】
(第3の実施の形態)
図7は、本発明の偽造防止シートの第3の実施の形態を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は裏面から見た図、(c)は(a)に示したA―A’断面図、(d)は中間シート220の構成を示す図である。
【0053】
本形態の偽造防止シートは図7に示すように、図1に示したものに対して、2枚のシート210a,210b間に設けられた着色層となる中間シート220の構成が異なるものである。
【0054】
本形態の偽造防止シート201の中間シート220は、その全体が赤色に着色されているものの、中間シート220が2枚のシート210a,210bに挟み込まれた状態においてミシン目211a,211bのタイ部216a,216bに対向する領域のみが着色されておらずに非着色部221となっており、さらに、その領域においても一部が赤色に着色されていることにより、1つのタイ部216a,216bに対向する領域において非着色部221が複数に分割されている領域が存在している。
【0055】
図8は、図7に示した偽造防止シート201をミシン目211a,211bに沿って2つに分離した場合の分離端面を示す図である。
【0056】
図7に示した偽造防止シート201をミシン目211a,211bに沿って2つに分離すると、図8に示すように、本体片213a,213b側と、もぎり片214a,214b側とのそれぞれにおいて、中間シート220のタイ部216a,216bに対向する領域にて非着色部221が視認可能となる。そのため、この非着色部221が視認されているかどうかによって偽造防止シート201の真贋判定が可能となる。さらに、本形態における非着色部221は、中間シート220のタイ部216a,216bに対向する領域のそれぞれにおいても、一部が赤色に着色されていることにより非着色部221が複数に分割されているものが存在しており、このように分割された非着色部221によっても、さらには、その分割数等によっても偽造防止シート201の真贋判定が可能となる。
【0057】
なお、上述した第2及び第3の実施の形態においては、2枚のシート110a,110b,210a,210b間に設けられる着色層として、着色部121あるいは非着色部221を有する中間シート120,220を例に挙げて説明したが、2枚のシート110a,110b,210a,210bの少なくとも一方に印刷を施すことにより着色層を形成し、その着色層によって着色部121や非着色部221を構成することも考えられる。その場合、図4に示した偽造防止シート101においては、着色部121とそれ以外の領域とを互いに異なる色によって印刷を施して2枚のシート110a,110b間の全面に着色層を設けたり、着色部121のみに印刷を施して2枚のシート110a,110b間の一部に着色層を設けたりし、また、図7に示した偽造防止シート201においては、非着色部221とそれ以外の領域とを互いに異なる色によって印刷を施して2枚のシート210a,210b間の全面に着色層を設けたり、非着色部221以外の領域のみに印刷を施して2枚のシート210a,210b間の一部に着色層を設けたりすることになる。
【0058】
また、上述した3つの実施の形態においては、中間シート20,120,220のうち、2枚のシート10a,10b,110a,110b,210a,210bに挟み込まれた状態においてミシン目11a,11b,111a,111b,211a,211bのカット部15a,15b,115a,115b,215a,215bに対向する領域に、同様のカット部22,122,222が形成されているが、これは、例えば、2枚のシート10a,10b,110a,110b,210a,210bと中間シート20,120,220とが積層された後に、カット部15a,15b,115a,115b,215a,215bを形成した場合に、中間シート20,120,220にもカット部22,122,222が同時に形成されることによるものであって、2枚のシート10a,10b,110a,110b,210a,210bと中間シート20,120,220とを積層する前に、2枚のシート10a,10b,110a,110b,210a,210bにカット部15a,15b,115a,115b,215a,215bを形成する場合は、中間シート20,120,220にカット部が形成されていない構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0059】
1,101,201 偽造防止シート
10a,10b,110a,110b,210a,210b シート
11a,11b,111a,111b,211a,211b ミシン目
13a,13b,113a,113b,213a,213b 本体片
14a,14b,114a,114b,214a,214b もぎり片
15a,15b,22,115a,115b,122,215a,215b,222 カット部
16a,16b,116a,116b,216a,216b タイ部
20,120,220 中間シート
21 貫通穴
121 着色部
221 非着色部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分離線にて2つに分離した場合に真贋判定を可能とする偽造防止シートであって、
前記分離線がそれぞれ形成され、互いに重ね合わされた2枚のシートと、
前記2枚のシートの間に設けられた着色層とを有し、
前記分離線は、カット部とタイ部とからなり、前記2枚のシートが重ね合わされた状態において互いに重なり合うように前記2枚のシートにそれぞれ形成され、
前記着色層は、前記2枚のシートのタイ部が互いに対向する領域の少なくとも一部と、前記カット部に対向する領域及び当該着色層の外周部とで、互いに異なる色を有する偽造防止シート。
【請求項2】
分離線にて2つに分離した場合に真贋判定を可能とする偽造防止シートであって、
前記分離線がそれぞれ形成され、互いに重ね合わされた2枚のシートと、
前記2枚のシートの間に設けられた着色層とを有し、
前記分離線は、カット部とタイ部とからなり、前記2枚のシートが重ね合わされた状態において互いに重なり合うように前記2枚のシートにそれぞれ形成され、
前記着色層は、前記2枚のシートのタイ部が互いに対向する領域の少なくとも一部には設けられていない偽造防止シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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