傘の水滴防止カバー、及び、傘
【課題】従来の水滴防止カバーでは水滴防止カバーのついていない通常使用される一般の傘では水滴防止カバーを後でつけることが難しいという課題を有していた。
【解決手段】本発明は、傘の先端部の軸に4方向から圧入用溝によって圧入することで前記傘の先端部の軸に取り付けるよう構成し、かつ4個の溝によって水滴が落ちるよう空洞を構成した軸取付け具と前記軸取付け具の先端にねじで取り付けるように構成したキャップと前記傘本体と、前記傘の外側に順次嵌合する態様で径の異なる複数の筒体が嵌合された伸縮自在の筒状体(筒状カバー)を備えた水滴防止カバー。
【解決手段】本発明は、傘の先端部の軸に4方向から圧入用溝によって圧入することで前記傘の先端部の軸に取り付けるよう構成し、かつ4個の溝によって水滴が落ちるよう空洞を構成した軸取付け具と前記軸取付け具の先端にねじで取り付けるように構成したキャップと前記傘本体と、前記傘の外側に順次嵌合する態様で径の異なる複数の筒体が嵌合された伸縮自在の筒状体(筒状カバー)を備えた水滴防止カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はぬれた傘の水滴を防止するカバー、及び、このカバーを取り付けた傘に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から傘にカバーを装着することで水滴を防止する傘はよく知られており、各種の水滴防止カバーが提案されている。(例えば特許文献1、2参照)
以下従来の傘の水滴防止カバーについて図5を用いて説明する。
【0003】
図5の従来の傘の水滴防止カバーは、傘21の先端の土突き部22に水受け部23を有し、その水受け部の上側に、伸縮自在の筒状体24が設けられ、その伸縮自在の筒状体が、径の異なる複数の筒体を順次嵌合して、伸縮自在に構成された筒状体である。
【0004】
傘21を使用する際には伸縮自在の筒状体24を折りたたんで傘の先端部分に収束してから傘を開き、傘を使用した後傘21をたたんでから伸縮自在の筒状体24を伸ばして傘の水滴がつかないようカバーとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−219013号公報
【特許文献2】特開平11−32821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の水滴防止カバー付き傘では水滴防止カバーのついていない通常使用される一般の傘に水滴防止カバーを後でつけることが難しく、また傘の先端の土突き部から水滴を落とすか落とさない様にするか自在に選択できず、また傘を使用する際に傘を逆さにすれば水滴防止カバーの中に入っていた水がこぼれてきて手をぬらしてしまうという課題を有していた。
また、傘を使用する際に傘を逆さにすれば水滴防止カバーの中に入っていた水がこぼれてきて手をぬらしてしまうという課題のみを有することとしても良い。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記記載の課題を解決するために本発明は、傘を折りたたんだ際に径の異なる複数の筒体を順次嵌合して筒状体とし伸縮自在に構成された筒状カバーを前記傘にかぶせることによって水滴が落ちるあるいは他の物についてしまうことを防止する水滴防止カバーにおいて、前記傘の先端部の軸に4方向の圧入用溝によって前記傘の先端部の軸に圧入して取り付けることができるよう構成し、その4方向の前記圧入用溝に沿って水滴が落ちるよう空洞を構成し、かつその空洞に例えばスポンジのような吸水性の部材を挿入した軸取付け具と、前記軸取付け具の先端にねじで取り付けるように構成したキャップと、前記径の異なる複数の筒体を順次嵌合して筒状体とし伸縮自在に構成された筒状カバーの伸ばしたときに最も取手に近くなる最外径部の筒体は外周部を光を反射する反射用部材で構成されている筒体とを備えたものである。
【0008】
本発明は、折りたたんだ傘を被覆可能な傘の水滴防止カバー1において、前記傘11の先端部の軸に取り付け可能な軸取付け具13と、この軸取付け具13から上方へ伸縮自在で且つ径の異なる複数の筒体31を順次嵌合した筒状カバー12と、前記軸取付け具13に着脱自在なキャップ14とを有しており、前記軸取付け具13の内部に設けられた空洞16は、前記筒状カバー12の内部と連通していて、前記キャップ14の取外し時に出し入れ自在な吸水性の部材32で充填されていることも特徴とする。
【0009】
本発明に係る傘の水滴防止カバー1の特徴は、上記特徴に加えて、前記吸水性の部材32は、シート状に形成されていて、前記軸取付け具13の空洞16の内部で巻回されている点にある。
【0010】
これらの特徴により、本発明に係る傘の水滴防止カバー1は、軸取付け具13の内部に設けられた空洞16を筒状カバー(筒状体)12の内部と連通させ、キャップ14の取外し時に出し入れ自在な吸水性の部材32で空洞16を充填させていることで、ぬれた傘11を使用する際に広げようとして逆さにしたときにも水が落ちてきて手をぬらしてしまうこともない。
また、シート状の吸水性の部材32を、軸取付け具13の空洞16の内部で巻回することで、空洞16を隙間なく吸水性の部材32で充填し易くなり、より多くの水を保持できる。
【0011】
本発明に係る傘11は、上述した傘の水滴防止カバー1を取り付けていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明の水滴防止カバーによれば、水滴がついた傘に伸縮自在に構成された筒状カバーをかぶせることによって水滴が傘から落ちることもなく、かつ傘の水滴が洋服等の他の物についてぬらしてしまうということもなく、同時に傘の大部分を水滴防止カバーで覆うことができるため傘の強度を増す補強の効果を得ることができる。
【0013】
また、軸取付け具の空洞にスポンジ等の吸水性の部材を挿入しているため、ぬれた傘を使用する際に広げようとして逆さにしたときにも水が落ちてきて手をぬらしてしまうこともなく、また、伸縮自在に構成された筒状カバーを折りたたんで、傘を広げて使用する際には筒状カバーの最外径部が光を反射する反射用部材であるために、傘を視認しやすく安全に歩行できるという効果が得られるものである。
【0014】
さらには、一般に使用されている傘においても本発明の軸取付け具を傘の軸先端部に圧入することで本発明の伸縮自在に構成された筒状カバーをかぶせて使用することができるため本発明の水滴防止カバーのついた傘として使用することができるという効果が得られるものである。
尚、本発明は、ぬれた傘を使用する際に広げようとして逆さにしたときにも水が落ちてきて手をぬらしてしまうことがない効果のみを有していても良い。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の水滴防止カバーの全体構成を表す模式図である。
【図2】本発明の水滴防止カバーをたたんだ状態を表す模式図である。
【図3】本発明の水滴防止カバーの軸取付け具とキャップの断面を表す模式図である。
【図4】本発明の水滴防止カバーの軸取付け具を上部から見た模式図である。
【図5】従来の水滴防止カバーの全体構成を表す模式図である。
【図6】本発明の水滴防止カバーが取り付けられた傘を開いた状態を示す模式図である。
【図7】本発明の水滴防止カバーを伸長させて、折りたたんだ傘を被覆した状態を示す模式図である。
【図8】本発明の水滴防止カバーの筒状カバーの側断面図であって、(a)は伸長状態を、(b)は縮短状態を示す。
【図9】本発明の水滴防止カバーの支持筒の一部断面を表す分解斜視図である。
【図10】図9におけるA−A線の断面図である。
【図11】本発明の水滴防止カバーの吸水性の部材を、巻回して空洞に充填する状態を示す模式図である。
【図12】本発明の水滴防止カバーの吸水性の部材を、折りたたんで空洞に充填する状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態に係る水滴防止カバーについて説明する。尚、各図において、同一部分には同一符号を付している。
【0017】
図1は本発明の実施の形態に係る水滴防止カバー全体構成の概略であって伸縮自在に構成され水滴防止カバーを傘を覆うように取り付けた状態を表す模式図、図2は本発明の水滴防止カバーの伸縮自在に構成され水滴防止カバーをたたんで傘の先端部にまとめている状態を表す模式図、図3は本発明の水滴防止カバーの軸取付け具とその軸受け部(軸取り付け具)下部にねじによって取付けるように構成したキャップのそれぞれの断面を表す模式図、図4は本発明の水滴防止カバーの軸取付け具を上部から見た模式図である。
【0018】
本発明の水滴防止カバー1において、伸縮自在の筒状体12は傘11を折りたたんだときに筒状体12を図2の筒状体12が縮んでいる状態から筒状体12を伸ばすことによって図1に示す傘11を筒状体12で覆った状態になるよう構成され、この伸縮自在の筒状体12の筒状体12を伸ばした状態にしたときに最も傘11の取手に近い部分となる最外径部の筒体は外周部を光を反射する反射用部材によって構成されている。これによって傘11が雨に濡れても水滴は筒状体12で覆われるため水滴が他の物につくことを防止できるものである。
【0019】
傘11の軸先端部には図2に示す軸取付け具13が装着されており、軸取付け具13は図2及び図3に示す圧入用溝15によって傘11の軸先端部に固定されており、軸取付け具13の先端部にはキャップ14がねじ17によって取付けられている。筒状体12の先端部はキャップ14がストッパーとなるため傘11から抜け落ちることはない。
【0020】
以上のように構成された水滴防止カバーにおいて、傘11を折りたたんだ際、傘11に水がついており、その水が軸取付け具13に多くたまってきた場合には、キャップ14をそのねじによって軸取付け具13から外せばたまっていた水は外に出すことができるものである。水が外に出ないようにするにはキャップ14を軸取付け具13にしめつければよい。なお軸取付け具13の空洞16は傘11についている水をよりスムーズにキャップ14のついている軸先端部に導くことができるものである。
【0021】
また、軸取付け具13に水がたまってきた場合で傘11を使用するため広げる際、水は軸取付け具13の圧入用溝15に隣接した空洞16あるいは空洞16の中に挿入したスポンジ等の吸水性の部材に溜まっているため、キャップ14を閉めている状態では空気の入ってくる隙間がないため傘11を使用するために逆さにしても水は軸取付け具13から容易に落ちてこない、そのため傘11を使用する際にも手をぬらすことがない。
【0022】
次に、傘11を広げて使用する際には、前述した光を反射する反射用部材で筒状体12の最外径部筒体の外周部が構成されているため、雨の日の夜間でも光を反射することによって傘の存在を知らしめるため安全に歩行できるものである。
【0023】
以下に、本発明を図6〜12に基づいても詳細に説明する。
本発明の水滴防止カバー1は、図6〜10のように筒状カバー(筒状体)12と軸取付け具13とで構成され、筒状カバー12は、図6のように軸取付け具13を介して傘地2の中央から突設された傘軸の頂部(傘の先端部の軸)3に装着され、常時は傘11の開閉動作に支障がないように筒状カバー12を縮短(短く縮めた)状態にして保持されている。
また、図7のように傘11を閉じた状態にして筒状カバー12を伸長(長く伸ばした)状態にさせると、濡れた傘地2の外周を防水被覆することができる。
【0024】
次に、筒状カバー12の詳細を、図8で説明する。この筒状カバー12には、次第に縮径する円筒状をした複数の短尺な筒体31が使用される。
これら複数の各筒体31は、例えばポリプロピレン等のように可撓性を有する比較的軟質なプラスチック材で形成され、小径側の端部内周に小径内突縁33が、大径側の端部外周に大径外突縁34が、大径側の端部内周に大径内突縁35が各々環状に突設されている。
この大径内突縁35と所定の間隔を置いた小径側には、円周方向に沿って所定間隔ごとに、大径内突縁35より突出する高さを低くした係合突起36が、対向状に複数突設されている。
【0025】
上述した構成で、順次径を細くした相似形に形成された複数の各筒体31a、31b、31c・・・は、同心状に嵌合され、これらの各筒体31a、31b、31c・・・は、突縁が相互に係止する態様で順次連結され、伸縮自在な一体の筒状カバー12が形成される。
尚、この筒状カバー12を、図7のように伸長状態にすると、傘11の柄の近くまで傘地2が被覆されるように筒体31の長さと本数が設定されている。
【0026】
この筒状カバー12は、各筒体31a、31b、31c・・・を、図8(a)のように伸長させた際に、内側の筒体31cの大径外突縁34cが、外側の筒体31bの小径内突縁33bに係止され、この外側の筒体31bの大径外突起34cは、更に外側の筒体31aの小径内突縁33aに係止されるので、これにより筒状カバー12の伸長時における各筒体31a、31b、31c・・・の脱落が防止される。
また、筒状カバー12の各筒体31a、31b、31c・・・を縮短させると、図8(b)のように、内側の筒体31cの大径外突縁34cが、外側の筒体31bの係合突起36bに一旦係止され、この外側の筒体31bの大径外突縁34bは、更に外側の筒体31aの係合突起36aに一旦係止される。
【0027】
この状態で更に縮短方向へ押圧すると、大径外突縁34c、34bが係合突起36b、36aを各々乗り越えて、大径外突縁34cは、は係止突起36bと大径内突縁35b間に嵌り込み、大径外突縁34bは、は係止突起36aと大径内突縁35a間に嵌り込む。
これにより筒状カバー12は、縮短時における各筒体31a、31b、31c・・・の縮短方向Y1 への脱落が防止されると共に、縮短後における各筒体31a、31b、31c・・・の伸長方向Y2 へのずり落ちが防止される。
尚、最も径の大きい筒体31の外周面には、滑り止め用で線状の突部が傘軸方向に延びるように形成されている。
【0028】
次に、軸取付け具13の詳細を、図9、10で説明する。
この軸取付け具13は、傘地2に付着して水滴として滴下された雨水を一時的に貯蔵し且つ筒状カバー12内部と連通した空洞16が内部に形成された支持筒41と、この支持筒41の一方端部内で形成され且つ傘11の先端部でむき出しになった軸3に固着する取付筒42と、支持筒41内の空洞16に充填された吸水性の部材32と、支持筒41の他方端部に螺合されたキャップ14で構成されている。
【0029】
支持筒41は、図9で示すように、最も径が細い筒体31の小径側(下端)に嵌合された複数の各筒体31a、31b、31c・・・と同心状の略円筒状の部材であって、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ABS(アクリロ二トリル・ブタジエン・スチレン)、アクリル、ポリアミド、ポリアセタール、PBT(ポリブチレンテレフタレート)等の合成樹脂から構成される。
支持筒41は、筒体31(筒状カバー12)側、つまり、上端側の端部外周に外突縁41aが環状に突設されており、この外突縁41aは、筒状カバー12を伸長状態にする際に、最も径が細い筒体31の小径内突縁33に係止する。これにより伸長時における筒状カバー12の支持筒41の上端側からの脱落が防止される。
【0030】
尚、支持筒41下端の外周面には、キャップ14と螺合するための雄ネジ41bが形成されており、この雄ネジ41bの支持筒41の軸方向中途部には、支持筒41を貫通する水抜き孔44が、複数穿設されている。
よって、キャップ14を緩めることで、この水抜き孔44から空洞16内部の水を抜くことができる。尚、この水抜き孔44は、設けなくとも良い。
【0031】
取付筒42は、その外周面から支持筒41の内周面に向かって4方向に延びるフランジ43によって、支持筒41と一体的に形成されており(図10参照)、取付筒42の傘11側の端(上端)は、支持筒41の上端と略同じ高さ位置となっている。
取付筒42の軸方向長さは、支持筒41の軸方向長さより短く、例えば、略半分であるため、取付筒42の下方には、支持筒41内を仕切ることのない空洞16が設けられている。
【0032】
つまり、この空洞16は、フランジ43の間を通じて、筒状カバー12の内部と連通しており、連通する空洞16内には、吸水性の部材32が充填されている。
尚、取付筒42には、傘11の傘地2を先端部の軸3に押え付ける押え環4が外嵌しており、筒状カバー12内の水が、この押え環4の外面を伝って、フランジ43の間を通って空洞16まで落ちるため、傘地2の下方面(内面)側に水が入ることはない。
【0033】
また、取付筒42の軸方向長さは、支持筒41の略半分でなくとも、略3分の1や、略4分の1など略半分として、空洞16をより大きく確保しても良い。逆に、取付筒42の軸方向長さを、支持筒41の略半分以上としても良い。
更に、取付筒42は、傘11の先端部の軸3に対して、必ずしも固着されていなくても良く、この傘11の先端部の軸3に嵌合や係合する等で、取付け自在としても良い。
【0034】
本発明における「吸水性」とは、繊維や素材自体で水を吸い込んで保持する性質、または、繊維や素材自体では水を吸い込まないが、繊維・素材内の間隙もしくは隣接する繊維・素材間の間隙で水を保持する性質のうち、少なくとも何れか一つの性質をいう。
また、本発明における「充填」とは、支持筒41(空洞16)における内周壁や、内底(キャップ14の内底)だけにフェルト等を敷くなどの支持筒41内の空洞16を構成する内表面41cを覆う程度ではなく、少なくとも、この内表面41cから所定距離だけ離れた位置にも、吸水性の部材32が存在している状態をいう。
吸水性の部材32は、多孔質構造のシート状部材であって、スポンジなどの発泡体であったり、または、不織布(フェルト)、織布、編布等の布帛であっても良い。
【0035】
この不織布や織布、編布としては、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール、ポリアミド等の繊維からなるものが使用できる。
また、これらの材料として、セルロース繊維、タンパク繊維等の天然繊維を用いたものの他に、ビスコース法レーヨン等の再生繊維、酢酸セルロース繊維等の半合成繊維や、PETボトルを回収して再生したリサイクル品を用いたり、トウモロコシを原料として得られるポリ乳酸等を含む生分解性プラスチックを適用したりして、水土嚢を保管、撤去する際の環境にも配慮したものとすることもできる。
【0036】
吸水性の部材32を構成する繊維は、捲縮させても良く、このように捲縮することによって、隣接する繊維間の隙間が多くなり、保持できる水の量が増える。
また、吸水性の部材32を構成する繊維は、単繊維繊度が10dtex以下であったり、極細繊維であっても良く、特に極細繊維であれば、隣接する繊維間により多くの隙間が生じることとなる。
【0037】
これらの材料の中でも、単繊維繊度が3dtex以下のポリエステル、アクリル等の捲縮合成繊維が、吸水性の部材32には好ましい。
上述したものに加えて、吸水性の部材32は、デンプン−アクリロニトリルグラフトポリマーの加水分解物、中和されたデンプン−アクリル酸グラフトポリマー、鹸化された酢酸ビニル−アクリルエステルコポリマー、アクリロニトリルコポリマー、またはアクリルアミドコポリマーの加水分解物、及びそれらの架橋生成物、及び部分的に中和された架橋アクリル酸などの吸水性樹脂の粒子状を、不織布、織布、編布等の布帛に、含有・担持させたものであっても良い。
更に、吸水性の部材32は、細い糸で編んだ組み紐等のようにひも状であったり、不織布(フェルト)を積層したものでも良い。また、吸水性の部材32は、使い捨て可能な素材としても良いが、支持筒41から取り外した後に水を絞り出して、再利用可能な素材とすることが望ましい。
【0038】
図9、11に示すように、吸水性の部材32は、シート状(短冊状)であって、支持筒41の空洞16内で巻回されている。
巻回することによって、吸水性の部材32を略円柱状とし、支持筒41の内周壁に沿って吸水性の部材32を入れることが可能となるため、空洞16内に隙間なく、より多くの吸水性の部材32を充填させることができる。
尚、短冊状の吸水性の部材32は、2つ折りにしたものを巻回することとしても良い。
【0039】
また、巻回された吸水性の部材32の体積を、支持筒41内の空洞16の容積よりも大きく、例えば、巻回されて略円柱状となった吸水性の部材32における高さを、支持筒41内の空洞16における筒軸方向の長さより大きくしても良い。
この場合、空洞16に吸水性の部材32が充填されても、キャップ14を外すと支持筒41の先端(先端開口)から吸水性の部材32が露出することとなり、この露出した部分を摘んで吸水性の部材32を取り外し易くなる。
【0040】
一方、図12に示すように、吸水性の部材32は、支持筒41の空洞16内で、少なくとも筒状カバー12の軸と略直交する方向に沿って折りたたまれていても良い。
これによって、空洞16内に、より多くの吸水性の部材32を充填させることができると同時に、筒状カバー12の軸と略直交する方向だけに沿って折りたたまれていれば、キャップ14を取外し後、吸水性の部材32を出し入れする際に、支持筒41の内周面に引っ掛かり難くなり、出し入れ時の抵抗を低減させることができる。
【0041】
キャップ14は、支持筒41の先端側に螺合して空洞16内の水を漏らさなければ良く、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ABS(アクリロ二トリル・ブタジエン・スチレン)、アクリル、ポリアミド、ポリアセタール、PBT(ポリブチレンテレフタレート)等の合成樹脂から構成される。
また、キャップ14は、水滴防止カバー1を取り付けた傘11において、土突き部の先端、つまり、石突きの役割を果す。よって、キャップ14は、傘11を杖のように用いた場合であっても、割れたりせず、水漏れや脱落しない強度を有する。
尚、キャップ14は、使い捨て可能な素材としても良いが、支持筒41の雄ネジ部41bに対して何度も螺合できる(再利用可能な)素材とすることが望ましい。
更に、キャップ14は、支持筒41の雄ネジ部41bに螺合している際には、最も径が細い筒体31の小径内突縁33に係止可能となって、これにより、縮短時における筒状カバー12の支持筒41の下端側からの脱落が防止される。
【0042】
尚、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。水滴防止カバー1の各構成または全体の構造、形状、寸法などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することが出来る。
筒状カバー12の各筒体31a、31b、31c・・・における外周面や、支持筒41の外周面に、タワーやロケット等をモチーフとした色彩、凹凸等による模様を施しても良い。
【0043】
ここで、凹凸による模様は、筒状カバー12の伸縮(及び支持筒41に対する伸縮)に支障がない範囲の凹凸差で形成される。
また、支持筒41において色彩による模様を施す際には、この模様が、最も径の小さい筒体31の小径内突縁33と擦れて、掠れたり消えないように、筒体31の小径内突縁33と支持筒41の(外突縁41aや雄ネジ部41b以外における)外周面との間に、あえて隙間を形成しても良い。
この隙間は、支持筒41における外径を、外突縁41aから雄ネジ部41bまでに亘って、最も径の小さい筒体31の小径内突縁33の内径より小さくすることで形成しても良く、また、支持筒41の一部の外径を小さくするなどしても良い。
【0044】
支持筒41内のフランジ43は、4方向に延びるものだけでなく、傘11の先端部の軸3に対して取り付け可能であれば、2方向や、3方向、5方向等に延びるものとしても良い。
吸水性の部材32は、支持筒41内の空洞16に充填されても、キャップ14を外すと支持筒41の先端開口から露出する部分(端部)に紐状の部材を設けていても良く、この紐状の部材を摘むと、吸水性の部材32を取り外し易くなる。
【0045】
キャップ14は、金属部材を内包したインサート成型による構成としても良く、金属を部分的又は全体に使用することで、石突きとしての強度が増すと共に、捩じり・締付けが強固に行える。
尚、キャップ14に金属を使用するだけでなく、支持筒41にもインサート成型等で、金属を部分的又は全体に使用しても良い。
【符号の説明】
【0046】
11:傘
12:筒状体
13:軸取付け具
14:キャップ
15:圧入用溝
16:空洞
17:ねじ
21:傘
22:先端の土突き部
23:水受け部
24:伸縮自在の筒状体
31:筒体
32:吸水性の部材
【技術分野】
【0001】
本発明はぬれた傘の水滴を防止するカバー、及び、このカバーを取り付けた傘に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から傘にカバーを装着することで水滴を防止する傘はよく知られており、各種の水滴防止カバーが提案されている。(例えば特許文献1、2参照)
以下従来の傘の水滴防止カバーについて図5を用いて説明する。
【0003】
図5の従来の傘の水滴防止カバーは、傘21の先端の土突き部22に水受け部23を有し、その水受け部の上側に、伸縮自在の筒状体24が設けられ、その伸縮自在の筒状体が、径の異なる複数の筒体を順次嵌合して、伸縮自在に構成された筒状体である。
【0004】
傘21を使用する際には伸縮自在の筒状体24を折りたたんで傘の先端部分に収束してから傘を開き、傘を使用した後傘21をたたんでから伸縮自在の筒状体24を伸ばして傘の水滴がつかないようカバーとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−219013号公報
【特許文献2】特開平11−32821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の水滴防止カバー付き傘では水滴防止カバーのついていない通常使用される一般の傘に水滴防止カバーを後でつけることが難しく、また傘の先端の土突き部から水滴を落とすか落とさない様にするか自在に選択できず、また傘を使用する際に傘を逆さにすれば水滴防止カバーの中に入っていた水がこぼれてきて手をぬらしてしまうという課題を有していた。
また、傘を使用する際に傘を逆さにすれば水滴防止カバーの中に入っていた水がこぼれてきて手をぬらしてしまうという課題のみを有することとしても良い。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記記載の課題を解決するために本発明は、傘を折りたたんだ際に径の異なる複数の筒体を順次嵌合して筒状体とし伸縮自在に構成された筒状カバーを前記傘にかぶせることによって水滴が落ちるあるいは他の物についてしまうことを防止する水滴防止カバーにおいて、前記傘の先端部の軸に4方向の圧入用溝によって前記傘の先端部の軸に圧入して取り付けることができるよう構成し、その4方向の前記圧入用溝に沿って水滴が落ちるよう空洞を構成し、かつその空洞に例えばスポンジのような吸水性の部材を挿入した軸取付け具と、前記軸取付け具の先端にねじで取り付けるように構成したキャップと、前記径の異なる複数の筒体を順次嵌合して筒状体とし伸縮自在に構成された筒状カバーの伸ばしたときに最も取手に近くなる最外径部の筒体は外周部を光を反射する反射用部材で構成されている筒体とを備えたものである。
【0008】
本発明は、折りたたんだ傘を被覆可能な傘の水滴防止カバー1において、前記傘11の先端部の軸に取り付け可能な軸取付け具13と、この軸取付け具13から上方へ伸縮自在で且つ径の異なる複数の筒体31を順次嵌合した筒状カバー12と、前記軸取付け具13に着脱自在なキャップ14とを有しており、前記軸取付け具13の内部に設けられた空洞16は、前記筒状カバー12の内部と連通していて、前記キャップ14の取外し時に出し入れ自在な吸水性の部材32で充填されていることも特徴とする。
【0009】
本発明に係る傘の水滴防止カバー1の特徴は、上記特徴に加えて、前記吸水性の部材32は、シート状に形成されていて、前記軸取付け具13の空洞16の内部で巻回されている点にある。
【0010】
これらの特徴により、本発明に係る傘の水滴防止カバー1は、軸取付け具13の内部に設けられた空洞16を筒状カバー(筒状体)12の内部と連通させ、キャップ14の取外し時に出し入れ自在な吸水性の部材32で空洞16を充填させていることで、ぬれた傘11を使用する際に広げようとして逆さにしたときにも水が落ちてきて手をぬらしてしまうこともない。
また、シート状の吸水性の部材32を、軸取付け具13の空洞16の内部で巻回することで、空洞16を隙間なく吸水性の部材32で充填し易くなり、より多くの水を保持できる。
【0011】
本発明に係る傘11は、上述した傘の水滴防止カバー1を取り付けていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明の水滴防止カバーによれば、水滴がついた傘に伸縮自在に構成された筒状カバーをかぶせることによって水滴が傘から落ちることもなく、かつ傘の水滴が洋服等の他の物についてぬらしてしまうということもなく、同時に傘の大部分を水滴防止カバーで覆うことができるため傘の強度を増す補強の効果を得ることができる。
【0013】
また、軸取付け具の空洞にスポンジ等の吸水性の部材を挿入しているため、ぬれた傘を使用する際に広げようとして逆さにしたときにも水が落ちてきて手をぬらしてしまうこともなく、また、伸縮自在に構成された筒状カバーを折りたたんで、傘を広げて使用する際には筒状カバーの最外径部が光を反射する反射用部材であるために、傘を視認しやすく安全に歩行できるという効果が得られるものである。
【0014】
さらには、一般に使用されている傘においても本発明の軸取付け具を傘の軸先端部に圧入することで本発明の伸縮自在に構成された筒状カバーをかぶせて使用することができるため本発明の水滴防止カバーのついた傘として使用することができるという効果が得られるものである。
尚、本発明は、ぬれた傘を使用する際に広げようとして逆さにしたときにも水が落ちてきて手をぬらしてしまうことがない効果のみを有していても良い。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の水滴防止カバーの全体構成を表す模式図である。
【図2】本発明の水滴防止カバーをたたんだ状態を表す模式図である。
【図3】本発明の水滴防止カバーの軸取付け具とキャップの断面を表す模式図である。
【図4】本発明の水滴防止カバーの軸取付け具を上部から見た模式図である。
【図5】従来の水滴防止カバーの全体構成を表す模式図である。
【図6】本発明の水滴防止カバーが取り付けられた傘を開いた状態を示す模式図である。
【図7】本発明の水滴防止カバーを伸長させて、折りたたんだ傘を被覆した状態を示す模式図である。
【図8】本発明の水滴防止カバーの筒状カバーの側断面図であって、(a)は伸長状態を、(b)は縮短状態を示す。
【図9】本発明の水滴防止カバーの支持筒の一部断面を表す分解斜視図である。
【図10】図9におけるA−A線の断面図である。
【図11】本発明の水滴防止カバーの吸水性の部材を、巻回して空洞に充填する状態を示す模式図である。
【図12】本発明の水滴防止カバーの吸水性の部材を、折りたたんで空洞に充填する状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態に係る水滴防止カバーについて説明する。尚、各図において、同一部分には同一符号を付している。
【0017】
図1は本発明の実施の形態に係る水滴防止カバー全体構成の概略であって伸縮自在に構成され水滴防止カバーを傘を覆うように取り付けた状態を表す模式図、図2は本発明の水滴防止カバーの伸縮自在に構成され水滴防止カバーをたたんで傘の先端部にまとめている状態を表す模式図、図3は本発明の水滴防止カバーの軸取付け具とその軸受け部(軸取り付け具)下部にねじによって取付けるように構成したキャップのそれぞれの断面を表す模式図、図4は本発明の水滴防止カバーの軸取付け具を上部から見た模式図である。
【0018】
本発明の水滴防止カバー1において、伸縮自在の筒状体12は傘11を折りたたんだときに筒状体12を図2の筒状体12が縮んでいる状態から筒状体12を伸ばすことによって図1に示す傘11を筒状体12で覆った状態になるよう構成され、この伸縮自在の筒状体12の筒状体12を伸ばした状態にしたときに最も傘11の取手に近い部分となる最外径部の筒体は外周部を光を反射する反射用部材によって構成されている。これによって傘11が雨に濡れても水滴は筒状体12で覆われるため水滴が他の物につくことを防止できるものである。
【0019】
傘11の軸先端部には図2に示す軸取付け具13が装着されており、軸取付け具13は図2及び図3に示す圧入用溝15によって傘11の軸先端部に固定されており、軸取付け具13の先端部にはキャップ14がねじ17によって取付けられている。筒状体12の先端部はキャップ14がストッパーとなるため傘11から抜け落ちることはない。
【0020】
以上のように構成された水滴防止カバーにおいて、傘11を折りたたんだ際、傘11に水がついており、その水が軸取付け具13に多くたまってきた場合には、キャップ14をそのねじによって軸取付け具13から外せばたまっていた水は外に出すことができるものである。水が外に出ないようにするにはキャップ14を軸取付け具13にしめつければよい。なお軸取付け具13の空洞16は傘11についている水をよりスムーズにキャップ14のついている軸先端部に導くことができるものである。
【0021】
また、軸取付け具13に水がたまってきた場合で傘11を使用するため広げる際、水は軸取付け具13の圧入用溝15に隣接した空洞16あるいは空洞16の中に挿入したスポンジ等の吸水性の部材に溜まっているため、キャップ14を閉めている状態では空気の入ってくる隙間がないため傘11を使用するために逆さにしても水は軸取付け具13から容易に落ちてこない、そのため傘11を使用する際にも手をぬらすことがない。
【0022】
次に、傘11を広げて使用する際には、前述した光を反射する反射用部材で筒状体12の最外径部筒体の外周部が構成されているため、雨の日の夜間でも光を反射することによって傘の存在を知らしめるため安全に歩行できるものである。
【0023】
以下に、本発明を図6〜12に基づいても詳細に説明する。
本発明の水滴防止カバー1は、図6〜10のように筒状カバー(筒状体)12と軸取付け具13とで構成され、筒状カバー12は、図6のように軸取付け具13を介して傘地2の中央から突設された傘軸の頂部(傘の先端部の軸)3に装着され、常時は傘11の開閉動作に支障がないように筒状カバー12を縮短(短く縮めた)状態にして保持されている。
また、図7のように傘11を閉じた状態にして筒状カバー12を伸長(長く伸ばした)状態にさせると、濡れた傘地2の外周を防水被覆することができる。
【0024】
次に、筒状カバー12の詳細を、図8で説明する。この筒状カバー12には、次第に縮径する円筒状をした複数の短尺な筒体31が使用される。
これら複数の各筒体31は、例えばポリプロピレン等のように可撓性を有する比較的軟質なプラスチック材で形成され、小径側の端部内周に小径内突縁33が、大径側の端部外周に大径外突縁34が、大径側の端部内周に大径内突縁35が各々環状に突設されている。
この大径内突縁35と所定の間隔を置いた小径側には、円周方向に沿って所定間隔ごとに、大径内突縁35より突出する高さを低くした係合突起36が、対向状に複数突設されている。
【0025】
上述した構成で、順次径を細くした相似形に形成された複数の各筒体31a、31b、31c・・・は、同心状に嵌合され、これらの各筒体31a、31b、31c・・・は、突縁が相互に係止する態様で順次連結され、伸縮自在な一体の筒状カバー12が形成される。
尚、この筒状カバー12を、図7のように伸長状態にすると、傘11の柄の近くまで傘地2が被覆されるように筒体31の長さと本数が設定されている。
【0026】
この筒状カバー12は、各筒体31a、31b、31c・・・を、図8(a)のように伸長させた際に、内側の筒体31cの大径外突縁34cが、外側の筒体31bの小径内突縁33bに係止され、この外側の筒体31bの大径外突起34cは、更に外側の筒体31aの小径内突縁33aに係止されるので、これにより筒状カバー12の伸長時における各筒体31a、31b、31c・・・の脱落が防止される。
また、筒状カバー12の各筒体31a、31b、31c・・・を縮短させると、図8(b)のように、内側の筒体31cの大径外突縁34cが、外側の筒体31bの係合突起36bに一旦係止され、この外側の筒体31bの大径外突縁34bは、更に外側の筒体31aの係合突起36aに一旦係止される。
【0027】
この状態で更に縮短方向へ押圧すると、大径外突縁34c、34bが係合突起36b、36aを各々乗り越えて、大径外突縁34cは、は係止突起36bと大径内突縁35b間に嵌り込み、大径外突縁34bは、は係止突起36aと大径内突縁35a間に嵌り込む。
これにより筒状カバー12は、縮短時における各筒体31a、31b、31c・・・の縮短方向Y1 への脱落が防止されると共に、縮短後における各筒体31a、31b、31c・・・の伸長方向Y2 へのずり落ちが防止される。
尚、最も径の大きい筒体31の外周面には、滑り止め用で線状の突部が傘軸方向に延びるように形成されている。
【0028】
次に、軸取付け具13の詳細を、図9、10で説明する。
この軸取付け具13は、傘地2に付着して水滴として滴下された雨水を一時的に貯蔵し且つ筒状カバー12内部と連通した空洞16が内部に形成された支持筒41と、この支持筒41の一方端部内で形成され且つ傘11の先端部でむき出しになった軸3に固着する取付筒42と、支持筒41内の空洞16に充填された吸水性の部材32と、支持筒41の他方端部に螺合されたキャップ14で構成されている。
【0029】
支持筒41は、図9で示すように、最も径が細い筒体31の小径側(下端)に嵌合された複数の各筒体31a、31b、31c・・・と同心状の略円筒状の部材であって、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ABS(アクリロ二トリル・ブタジエン・スチレン)、アクリル、ポリアミド、ポリアセタール、PBT(ポリブチレンテレフタレート)等の合成樹脂から構成される。
支持筒41は、筒体31(筒状カバー12)側、つまり、上端側の端部外周に外突縁41aが環状に突設されており、この外突縁41aは、筒状カバー12を伸長状態にする際に、最も径が細い筒体31の小径内突縁33に係止する。これにより伸長時における筒状カバー12の支持筒41の上端側からの脱落が防止される。
【0030】
尚、支持筒41下端の外周面には、キャップ14と螺合するための雄ネジ41bが形成されており、この雄ネジ41bの支持筒41の軸方向中途部には、支持筒41を貫通する水抜き孔44が、複数穿設されている。
よって、キャップ14を緩めることで、この水抜き孔44から空洞16内部の水を抜くことができる。尚、この水抜き孔44は、設けなくとも良い。
【0031】
取付筒42は、その外周面から支持筒41の内周面に向かって4方向に延びるフランジ43によって、支持筒41と一体的に形成されており(図10参照)、取付筒42の傘11側の端(上端)は、支持筒41の上端と略同じ高さ位置となっている。
取付筒42の軸方向長さは、支持筒41の軸方向長さより短く、例えば、略半分であるため、取付筒42の下方には、支持筒41内を仕切ることのない空洞16が設けられている。
【0032】
つまり、この空洞16は、フランジ43の間を通じて、筒状カバー12の内部と連通しており、連通する空洞16内には、吸水性の部材32が充填されている。
尚、取付筒42には、傘11の傘地2を先端部の軸3に押え付ける押え環4が外嵌しており、筒状カバー12内の水が、この押え環4の外面を伝って、フランジ43の間を通って空洞16まで落ちるため、傘地2の下方面(内面)側に水が入ることはない。
【0033】
また、取付筒42の軸方向長さは、支持筒41の略半分でなくとも、略3分の1や、略4分の1など略半分として、空洞16をより大きく確保しても良い。逆に、取付筒42の軸方向長さを、支持筒41の略半分以上としても良い。
更に、取付筒42は、傘11の先端部の軸3に対して、必ずしも固着されていなくても良く、この傘11の先端部の軸3に嵌合や係合する等で、取付け自在としても良い。
【0034】
本発明における「吸水性」とは、繊維や素材自体で水を吸い込んで保持する性質、または、繊維や素材自体では水を吸い込まないが、繊維・素材内の間隙もしくは隣接する繊維・素材間の間隙で水を保持する性質のうち、少なくとも何れか一つの性質をいう。
また、本発明における「充填」とは、支持筒41(空洞16)における内周壁や、内底(キャップ14の内底)だけにフェルト等を敷くなどの支持筒41内の空洞16を構成する内表面41cを覆う程度ではなく、少なくとも、この内表面41cから所定距離だけ離れた位置にも、吸水性の部材32が存在している状態をいう。
吸水性の部材32は、多孔質構造のシート状部材であって、スポンジなどの発泡体であったり、または、不織布(フェルト)、織布、編布等の布帛であっても良い。
【0035】
この不織布や織布、編布としては、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール、ポリアミド等の繊維からなるものが使用できる。
また、これらの材料として、セルロース繊維、タンパク繊維等の天然繊維を用いたものの他に、ビスコース法レーヨン等の再生繊維、酢酸セルロース繊維等の半合成繊維や、PETボトルを回収して再生したリサイクル品を用いたり、トウモロコシを原料として得られるポリ乳酸等を含む生分解性プラスチックを適用したりして、水土嚢を保管、撤去する際の環境にも配慮したものとすることもできる。
【0036】
吸水性の部材32を構成する繊維は、捲縮させても良く、このように捲縮することによって、隣接する繊維間の隙間が多くなり、保持できる水の量が増える。
また、吸水性の部材32を構成する繊維は、単繊維繊度が10dtex以下であったり、極細繊維であっても良く、特に極細繊維であれば、隣接する繊維間により多くの隙間が生じることとなる。
【0037】
これらの材料の中でも、単繊維繊度が3dtex以下のポリエステル、アクリル等の捲縮合成繊維が、吸水性の部材32には好ましい。
上述したものに加えて、吸水性の部材32は、デンプン−アクリロニトリルグラフトポリマーの加水分解物、中和されたデンプン−アクリル酸グラフトポリマー、鹸化された酢酸ビニル−アクリルエステルコポリマー、アクリロニトリルコポリマー、またはアクリルアミドコポリマーの加水分解物、及びそれらの架橋生成物、及び部分的に中和された架橋アクリル酸などの吸水性樹脂の粒子状を、不織布、織布、編布等の布帛に、含有・担持させたものであっても良い。
更に、吸水性の部材32は、細い糸で編んだ組み紐等のようにひも状であったり、不織布(フェルト)を積層したものでも良い。また、吸水性の部材32は、使い捨て可能な素材としても良いが、支持筒41から取り外した後に水を絞り出して、再利用可能な素材とすることが望ましい。
【0038】
図9、11に示すように、吸水性の部材32は、シート状(短冊状)であって、支持筒41の空洞16内で巻回されている。
巻回することによって、吸水性の部材32を略円柱状とし、支持筒41の内周壁に沿って吸水性の部材32を入れることが可能となるため、空洞16内に隙間なく、より多くの吸水性の部材32を充填させることができる。
尚、短冊状の吸水性の部材32は、2つ折りにしたものを巻回することとしても良い。
【0039】
また、巻回された吸水性の部材32の体積を、支持筒41内の空洞16の容積よりも大きく、例えば、巻回されて略円柱状となった吸水性の部材32における高さを、支持筒41内の空洞16における筒軸方向の長さより大きくしても良い。
この場合、空洞16に吸水性の部材32が充填されても、キャップ14を外すと支持筒41の先端(先端開口)から吸水性の部材32が露出することとなり、この露出した部分を摘んで吸水性の部材32を取り外し易くなる。
【0040】
一方、図12に示すように、吸水性の部材32は、支持筒41の空洞16内で、少なくとも筒状カバー12の軸と略直交する方向に沿って折りたたまれていても良い。
これによって、空洞16内に、より多くの吸水性の部材32を充填させることができると同時に、筒状カバー12の軸と略直交する方向だけに沿って折りたたまれていれば、キャップ14を取外し後、吸水性の部材32を出し入れする際に、支持筒41の内周面に引っ掛かり難くなり、出し入れ時の抵抗を低減させることができる。
【0041】
キャップ14は、支持筒41の先端側に螺合して空洞16内の水を漏らさなければ良く、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ABS(アクリロ二トリル・ブタジエン・スチレン)、アクリル、ポリアミド、ポリアセタール、PBT(ポリブチレンテレフタレート)等の合成樹脂から構成される。
また、キャップ14は、水滴防止カバー1を取り付けた傘11において、土突き部の先端、つまり、石突きの役割を果す。よって、キャップ14は、傘11を杖のように用いた場合であっても、割れたりせず、水漏れや脱落しない強度を有する。
尚、キャップ14は、使い捨て可能な素材としても良いが、支持筒41の雄ネジ部41bに対して何度も螺合できる(再利用可能な)素材とすることが望ましい。
更に、キャップ14は、支持筒41の雄ネジ部41bに螺合している際には、最も径が細い筒体31の小径内突縁33に係止可能となって、これにより、縮短時における筒状カバー12の支持筒41の下端側からの脱落が防止される。
【0042】
尚、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。水滴防止カバー1の各構成または全体の構造、形状、寸法などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することが出来る。
筒状カバー12の各筒体31a、31b、31c・・・における外周面や、支持筒41の外周面に、タワーやロケット等をモチーフとした色彩、凹凸等による模様を施しても良い。
【0043】
ここで、凹凸による模様は、筒状カバー12の伸縮(及び支持筒41に対する伸縮)に支障がない範囲の凹凸差で形成される。
また、支持筒41において色彩による模様を施す際には、この模様が、最も径の小さい筒体31の小径内突縁33と擦れて、掠れたり消えないように、筒体31の小径内突縁33と支持筒41の(外突縁41aや雄ネジ部41b以外における)外周面との間に、あえて隙間を形成しても良い。
この隙間は、支持筒41における外径を、外突縁41aから雄ネジ部41bまでに亘って、最も径の小さい筒体31の小径内突縁33の内径より小さくすることで形成しても良く、また、支持筒41の一部の外径を小さくするなどしても良い。
【0044】
支持筒41内のフランジ43は、4方向に延びるものだけでなく、傘11の先端部の軸3に対して取り付け可能であれば、2方向や、3方向、5方向等に延びるものとしても良い。
吸水性の部材32は、支持筒41内の空洞16に充填されても、キャップ14を外すと支持筒41の先端開口から露出する部分(端部)に紐状の部材を設けていても良く、この紐状の部材を摘むと、吸水性の部材32を取り外し易くなる。
【0045】
キャップ14は、金属部材を内包したインサート成型による構成としても良く、金属を部分的又は全体に使用することで、石突きとしての強度が増すと共に、捩じり・締付けが強固に行える。
尚、キャップ14に金属を使用するだけでなく、支持筒41にもインサート成型等で、金属を部分的又は全体に使用しても良い。
【符号の説明】
【0046】
11:傘
12:筒状体
13:軸取付け具
14:キャップ
15:圧入用溝
16:空洞
17:ねじ
21:傘
22:先端の土突き部
23:水受け部
24:伸縮自在の筒状体
31:筒体
32:吸水性の部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
傘を折りたたんだ際に径の異なる複数の筒体を順次嵌合して筒状体とし伸縮自在に構成された筒状カバーを前記傘にかぶせることによって水滴が落ちることを防止する水滴防止カバーにおいて、前記傘の先端部の軸に4方向の圧入用溝によって前記傘の先端部の軸に圧入して取り付けることができるよう構成し、その4方向の前記圧入用溝に沿って水滴が落ちるよう空洞を構成し、かつその空洞に吸水性の部材を挿入した軸取付け具と、前記軸取付け具の先端にねじで取り付けるように構成したキャップと、前記径の異なる複数の筒体を順次嵌合して筒状体とし伸縮自在に構成された筒状カバーの最上端に外周部を光を反射する反射用部材によって構成している筒体とを備えたことを特徴とする傘の水滴防止カバー。
【請求項2】
折りたたんだ傘を被覆可能な傘の水滴防止カバーにおいて、
前記傘の先端部の軸に取り付け可能な軸取付け具と、この軸取付け具から上方へ伸縮自在で且つ径の異なる複数の筒体を順次嵌合した筒状カバーと、前記軸取付け具に着脱自在なキャップとを有しており、
前記軸取付け具の内部に設けられた空洞は、前記筒状カバーの内部と連通していて、前記キャップの取外し時に出し入れ自在な吸水性の部材で充填されていることを特徴とする傘の水滴防止カバー。
【請求項3】
前記吸水性の部材は、シート状に形成されていて、前記軸取付け具の空洞の内部で巻回されていることを特徴とする請求項2に記載の傘の水滴防止カバー。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の傘の水滴防止カバーを取り付けていることを特徴とする傘。
【請求項1】
傘を折りたたんだ際に径の異なる複数の筒体を順次嵌合して筒状体とし伸縮自在に構成された筒状カバーを前記傘にかぶせることによって水滴が落ちることを防止する水滴防止カバーにおいて、前記傘の先端部の軸に4方向の圧入用溝によって前記傘の先端部の軸に圧入して取り付けることができるよう構成し、その4方向の前記圧入用溝に沿って水滴が落ちるよう空洞を構成し、かつその空洞に吸水性の部材を挿入した軸取付け具と、前記軸取付け具の先端にねじで取り付けるように構成したキャップと、前記径の異なる複数の筒体を順次嵌合して筒状体とし伸縮自在に構成された筒状カバーの最上端に外周部を光を反射する反射用部材によって構成している筒体とを備えたことを特徴とする傘の水滴防止カバー。
【請求項2】
折りたたんだ傘を被覆可能な傘の水滴防止カバーにおいて、
前記傘の先端部の軸に取り付け可能な軸取付け具と、この軸取付け具から上方へ伸縮自在で且つ径の異なる複数の筒体を順次嵌合した筒状カバーと、前記軸取付け具に着脱自在なキャップとを有しており、
前記軸取付け具の内部に設けられた空洞は、前記筒状カバーの内部と連通していて、前記キャップの取外し時に出し入れ自在な吸水性の部材で充填されていることを特徴とする傘の水滴防止カバー。
【請求項3】
前記吸水性の部材は、シート状に形成されていて、前記軸取付け具の空洞の内部で巻回されていることを特徴とする請求項2に記載の傘の水滴防止カバー。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の傘の水滴防止カバーを取り付けていることを特徴とする傘。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−27689(P2013−27689A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−115628(P2012−115628)
【出願日】平成24年5月21日(2012.5.21)
【出願人】(506008434)株式会社クラフト (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年5月21日(2012.5.21)
【出願人】(506008434)株式会社クラフト (5)
【Fターム(参考)】
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