説明

傘留め構造

【課題】傘を畳んだ状態からその生地をいずれの向きに巻くようにしても、この状態の傘に適切に巻き付け可能で且つ傘のこの状態を維持可能とする傘留め構造を提供する。
【解決手段】傘を構成する生地5に対し傘を構成する隣り合う骨6の一方と他方との略中間となる箇所5bにおいて縫着されたボタン体1と、両端部にそれぞれループ部2aを備えて畳んだ状態の傘に巻き付けられるバンド体2とを有する。このバンド体2の一方のループ部2a’に、前記ボタン体1と生地5との間にある前記縫着をなす糸の一部4が通されて、この糸の一部4を中心に前記バンド体2が回動可能となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、畳んだ状態の傘に巻き付けられてこの畳んだ状態を維持するために傘に備えられる傘留め構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
傘の表面には、傘を畳んだ状態、つまり、傘の骨(rib)を傘の中棒(shank)と略平行をなすようにした状態から、傘の生地(canopy)をこの中棒に巻き付けるようにした状態を維持する傘留め(単にバンドなどとも称される。)が備えられる。典型的には、かかる傘留めは、前記生地に止着されるボタンとこのボタンへの引っ掛け部を備えたバンドから構成される。しかるに、従来の傘では、バンドはその引っ掛け部の形成された端部側と反対の端部側を傘の生地に単純に止着されるに留まるものであるため、傘を畳んで生地を前記のように所定の向きに巻いた状態においては(例えば反時計回りの向きに巻いた場合)ボタンが生地に隠れず且つこのように畳まれた傘にバンドを巻き付けて引っ掛け部をボタンに引っ掛けることが可能であるが、傘の生地を前記とは反対に巻いた場合には(例えば時計回りの向きに巻いた場合)生地にボタンが隠れると共に前記と同様には畳まれた傘にバンドを巻き付けることができなくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明が解決しようとする主たる問題点は、傘を畳んだ状態からその生地をいずれの向きに巻くようにしても、この状態の傘に適切に巻き付け可能で且つ傘のこの状態を維持可能とする傘留め構造を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題を達成するために、この発明にあっては、傘留め構造を、傘を構成する生地に対し、傘を構成する隣り合う骨の一方と他方との略中間となる箇所において、縫着されたボタン体と、
両端部にそれぞれループ部を備えて畳んだ状態の傘に巻き付けられるバンド体とを有し、
このバンド体の一方のループ部に、前記ボタン体と生地との間にある前記縫着をなす糸の一部が通されて、この糸の一部を中心に前記バンド体が回動可能となっているものとした。
【0005】
ボタン体は、傘を構成する隣り合う骨の一方と他方との略中間となる箇所において生地に縫着されているので、傘を畳んだ状態からその生地を傘の中棒を中心としたいずれの向きに巻くようにしてもボタン体は生地に隠れない。また、バンド体は前記糸の一部を中心に回動可能になっていることから、バンド体は畳んだ傘に対し傘の生地を巻いた向きと同じ向きに巻くことができるように調整でき、バンド体の他方のループ部は傘の生地をいずれの向きに巻いた場合であっても前記ボタン体に適切に引っ掛けることができる。
【発明の効果】
【0006】
この発明によれば、傘を畳んだ状態からその生地を傘の中棒を中心としたいずれの向きに巻くようにしても、この状態の傘にバンド体を適切に巻き付けることができ、かつ、このバンド体の他方のループ部をボタン体に引っ掛けて傘のこの状態を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は実施の形態にかかる傘留め構造を示す傘の要部の斜視図である。
【図2】図2は図1におけるA−A線断面図である。
【図3】図3は実施の形態にかかる傘留め構造を構成する各パーツの分離斜視図である。
【図4】図4は傘の中棒に対し反時計回りの向きに生地を巻いたときの様子を示した傘の要部側面図である。
【図5】図5は傘の中棒に対し時計回りの向きに生地を巻いたときの様子を示した傘の要部側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図1〜図5に基づいて、この発明の典型的な実施の形態について、説明する。この実施の形態にかかる傘留め構造は、畳んだ状態の傘に巻き付けられてこの畳んだ状態を維持するために傘に備えられるものである。かかる傘留め構造は、ボタン体1と、バンド体2とを含んで構成される。
【0009】
ボタン体1は、傘を構成する生地5に対し、この傘を構成する隣り合う骨6(親骨などとも称される。)の一方と他方との略中間となる箇所5bにおいて、縫着される。かかるボタン体1は前記生地5の表にあって、典型的には、前記生地5の裏には力ボタン3が配されて、かかるボタン体1の穴と力ボタン3の穴とに糸を通して前記縫着がなされる。ボタン体1は、傘の縁側、つまり、傘を畳んだ状態において傘のハンドル8側に位置される箇所に備えられる。
【0010】
バンド体2は、両端部にそれぞれループ部2aを備え、畳んだ状態の傘に巻き付けられる長さを持つように構成される。そして、このバンド体2は、このバンド体2の一方のループ部2a’に、前記ボタン体1と生地5との間にある前記縫着をなす糸の一部4が通されて、この糸の一部4を中心に回動させることができる状態で傘に備えられている。(図2)ループ部2aはバンド体2の両端部に何らかの構造をもって備えられていれば足り、帯状体にスリットを形成させたり、紐状体の端部にリングを取り付けたりすることで構成することができる。図示の例では、かかるバンド体2は、伸縮可能な二つの環状の紐状体2b、2b(典型的には環状をなすゴム紐)を組み合わせることで構成されている。バンド体2の長さ方向略中程の位置において、二つの環状の紐状体2b、2bが結び合わされている。(以下、この箇所を第一の結び目2cと称する。)二つの環状の紐状体2bの一方はさらにその中間で結ばれており、(以下、この箇所を第二の結び目2dと称する。)バンド体2はその両端部間に二箇所の結び目2c、2dを有している。そして、バンド体2の一端2’とこの一端2’側の第二の結び目2dとの間が前記一方のループ部2a’となり、バンド体2の他端2”とこの他端2”側の第一の結び目2cとの間に他方のループ部2a”が形成されている。(図3)かかる一方のループ部2a’はボタン体1の径よりループを小さくし、他方のループ部2a”は一方のループ部2a’よりもループを大きくしている。(図3)
【0011】
図示の例では、前記生地5にボタン体1を前記のように縫着させた状態から、バンド体2の一方のループ部2a’を弾性変形により拡開させてその中にボタン体1を通すことで、このボタン体1と生地5との間にある前記糸の一部4をこの一方のループ部2a’に通すようにしている。
【0012】
前記ボタン体1は、傘を構成する隣り合う骨6の一方と他方との略中間となる箇所5bにおいて生地5に縫着されているので、傘を畳んだ状態からその生地5を傘の中棒7を中心としたいずれの向きに巻くようにしてもボタン体1は生地5に隠れない。また、バンド体2は前記糸の一部4を中心に回動可能になっていることから、バンド体2は畳んだ傘に対し傘の生地5を巻いた向きと同じ向きに巻くことができるように調整できる。これにより、バンド体2の他方のループ部2a”は傘の生地5をいずれの向きに巻いた場合であっても前記ボタン体1に適切に引っ掛けることができる。(図4、図5)この実施の形態にあっては、バンド体2は伸縮性を有しており、弾性的に伸長した状態で畳んだ傘に巻き付けられるようにしておくことができる。
【0013】
なお、一般に右利きの者が傘を畳んだ状態からその生地5を巻く向きと、左利きの者が傘を畳んだ状態からその生地5を巻く向きとは逆向きになるが、この実施の形態にかかる傘留め構造は傘使用者の利き腕に起因した不都合を生じさせない特長も有する。
【符号の説明】
【0014】
1 ボタン体
2 バンド体
2a ループ部
2a’ ループ部
4 糸の一部
5 生地
5b 箇所(傘を構成する隣り合う骨の一方と他方との略中間となる箇所)
6 骨

【特許請求の範囲】
【請求項1】
傘を構成する生地に対し、傘を構成する隣り合う骨の一方と他方との略中間となる箇所において、縫着されたボタン体と、
両端部にそれぞれループ部を備えて畳んだ状態の傘に巻き付けられるバンド体とを有し、
このバンド体の一方のループ部に、前記ボタン体と生地との間にある前記縫着をなす糸の一部が通されて、この糸の一部を中心に前記バンド体が回動可能となっていることを特徴とする傘留め構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−239708(P2012−239708A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113775(P2011−113775)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(596012320)東京田川株式会社 (3)
【Fターム(参考)】