説明

債権評価支援システム、債権評価支援方法及び債権評価支援プログラム

【課題】クレジット商品において、債権のデフォルトを考慮し、回収予定表の作成や債権の時価評価等、的確な会計管理処理を行なうための債権評価支援システム、債権評価支援方法及び債権評価支援プログラムを提供する。
【解決手段】債権評価支援サーバ20の制御部21は、分析期間候補を特定し、分析対象を抽出する。制御部21は、クレジット商品毎に、債権の内容や利用者属性に含まれる個別項目とデフォルト率との相関性評価処理を実行し、相関性評価結果を出力する。相関性評価結果においてグループ化指定された個別項目を組み合わせたデフォルト率マップを作成する。次に、制御部21は、グループ化指定された個別項目を用いて、回収予定表を算出する。そして、制御部21は、デフォルト率マップ、回収予定表を用いて、債権の時価評価を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、債権についての会計管理、具体的には、債権についての回収予定表の作成や債権の時価評価を行なうための債権評価支援システム、債権評価支援方法及び債権評価支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、金融機関が融資を行なう場合、融資先のリスクを評価する必要がある。この場合には、例えば融資先の倒産による貸し倒れ(デフォルト)の可能性などを予測する。そこで、倒産確率を予測するシステムが検討されている(例えば、特許文献1、2参照)。特許文献1に記載されたシステムにおいては、カテゴリセット毎の区分データに対して、倒産確率実績値をロジット変換して得られたロジット変換後倒産確率実績値について、数量化理論1類に基づく回帰分析を行なってアイテムカテゴリ毎のスコア値を算出する。そして、指定されたアイテムカテゴリについて、ロジット値を〔評点区分スコア値+業種区分スコア値+成長率区分スコア値+金利区分スコア値+為替区分スコア値+物価区分スコア値+政権区分スコア値+定数〕から算出し、倒産確率を所定の関数式を用いて算出する。
【0003】
また、特許文献2に記載されたシステムにおいては、対象企業の経営環境などの変化を反映させて信用リスク評価を行なう。具体的には、信用リスク評価サーバが、評価対象企業の企業情報と、評価対象企業の属する企業群の予測倒産件数を取得し、取得した企業情報及び予測倒産件数に基づいて信用リスクを決定する。
【0004】
また、金融機関は、住宅ローンや企業融資といった貸出債権(クレジット債権)において、予定されている個別の返済キャッシュフローを管理している。このような貸出債権の前払いリスク、デフォルトリスク、延滞リスクを反映したキャッシュフローの将来を予測するシステムも検討されている(例えば、特許文献3参照)。この特許文献3に記載された技術においては、過去の実績キャッシュフローに基づいて実績データの要因を分析する。そして、分析処理結果に基づいて債権種毎の返済各年「i」における回収不能率、及び返済予定年「j」から実際の支払いが「i」年となる返済時期変更確率を求める。更に、回収不能率及び返済時期変更確率に基づいて、全債権あるいは債権種毎の将来のキャッシュフローを予測する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−250466号公報(第1頁、図1)
【特許文献2】特開2002−279174公報(第1頁、図1)
【特許文献3】特開2003−141356号公報(第1頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、クレジット債権にも、債務不履行によって債権が回収不能になるデフォルトリスク等を負っている。また、期限前償還(プリペイメント)により、予定していた将来のキャッシュフローに差異が生じる場合もある。更に、クレジット商品には、キャッシングリボ払い、ショッピングボーナス払い、ショッピング分割払い、ショッピングリボ払いのように多様な商品が提供されていることが多い。この場合、複数のクレジット商品を利用する場合もあれば、クレジット商品により利用者層が異なる場合もあり、まとめてデフォルトリスクやプリペイメントリスクを評価することは困難である。
【0007】
また、国際会計基準の導入の際には、市場価格がない金融資産について、公正価値(時価)を算出する必要がある。例えば、債権の時価評価の方法としては、DCF法(Discounted Cash Flow法)がある。このDCF法においては、収益資産を持ち続けたとき、それが生み出すキャッシュフローの割引現在価値を理論価格とする。この現在価値を算出する場合、デフォルト率を考慮する必要がある。しかしながら、従来は、国際的な会計基準に対応した、債権について的確な時価評価は十分に検討されていなかった。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、債権についての会計管理を的確に行なうための債権評価支援システム、債権評価支援方法及び債権評価支援プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、債務者識別子に関連付けて、債務者の属性情報を記録した債務者情報記憶手段と、債務者識別子に関連付けて、回収リスクが生じたかどうかを特定する情報とともに、償却された債権情報を記録した償却債権情報記憶手段と、債務者識別子に関連付けて、債権残高がある債権情報を記録した現存債権情報記憶手段と、会計管理処理を実行する制御手段とを備えた債権評価支援システムであって、前記制御手段が、前記償却債権情報記憶手段を用いて、回収リスクが生じた債務者識別子を特定し、前記債務者情報記憶手段から、前記債務者識別子の債務者の属性情報を取得する手段と、前記属性情報又は債権情報に含まれる項目の分類毎に、前記償却債権情報記憶手段に記録された債権について回収リスク率を算出する手段と、前記項目について、前記回収リスク率との相関指標を算出し、前記相関指標において相関性がある項目を特定する手段と、前記特定された項目のマップ要素として、回収リスク率を算出した回収リスク率マップを作成する手段と、前記現存債権情報記憶手段に記録された債権残高、及び前記回収リスク率マップを用いて前記会計管理処理を行なう手段とを備えたことを要旨とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の債権評価支援システムにおいて、前記会計管理処理において、前記現存債権情報記憶手段に記録された債権の債権情報を用いて、回収予定時期及び回収予定金額を算出し、前記債権が属するマップ要素を特定し、前記項目のマップ要素毎に、前記回収予定時期に応じて、前記回収予定金額を集計した回収予定表を作成することを要旨とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の債権評価支援システムにおいて、前記会計管理処理において、前記回収リスク率マップのマップ要素毎に、前記回収リスク率と前記回収予定表とを用いて、キャッシュフローを更に算出することを要旨とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の債権評価支援システムにおいて、前記キャッシュフローに含まれる各回収時期について回収予定金額を用いて現在価値を算出し、前記回収時期毎の現在価値を総和することを要旨とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1つに記載の債権評価支援システムにおいて、前記制御手段には、出力手段と入力手段とが接続されており、相関性がある項目を、前記出力手段に出力し、前記入力手段を用いて選択された項目を用いて回収リスク率マップを作成することを要旨とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1つに記載の債権評価支援システムにおいて、前記償却債権情報記憶手段には、複数のクレジット商品の商品情報に関連付けて債権情報が記録されており、特定の複数のクレジット商品の組み合わせにおいて、前記組み合わせの各クレジット商品を利用する総債務者数に対して、前記組み合わせの全クレジット商品を利用する債務者数の割合が高い場合には、前記クレジット商品の債権情報をまとめて回収リスク率マップを作成することを要旨とする。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1つに記載の債権評価支援システムにおいて、前記償却債権情報記憶手段から、複数の分析期間毎に、各分析期間内に償却された債権情報を取得し、前記分析期間毎に、前記項目について、前記回収リスク率との相関指標を算出することを要旨とする。
【0016】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1つに記載の債権評価支援システムにおいて、過去の回収リスク率マップを記録した履歴情報記憶手段を更に備え、前記償却債権情報記憶手段に記録された債権情報を用いて、前記履歴情報記憶手段に記録された回収リスク率マップに含まれるマップ要素について回収リスク率実績を算出し、前記回収リスク率マップに記録された回収リスク率と、前記回収リスク率実績とを比較し、この比較結果に応じて、前記回収リスク率マップの再利用の可否を判定する手段を更に備えたことを要旨とする。
【0017】
請求項9に記載の発明は、債務者識別子に関連付けて、債務者の属性情報を記録した債務者情報記憶手段と、債務者識別子に関連付けて、回収リスクが生じたかどうかを特定する情報とともに、償却された債権情報を記録した償却債権情報記憶手段と、債務者識別子に関連付けて、債権残高がある債権情報を記録した現存債権情報記憶手段と、会計管理処理を実行する制御手段とを備えた債権評価支援システムを用いて、債権評価を支援する方法であって、前記制御手段が、前記償却債権情報記憶手段を用いて、回収リスクが生じた債務者識別子を特定し、前記債務者情報記憶手段から、前記債務者識別子の債務者の属性情報を取得する段階と、前記属性情報又は債権情報に含まれる項目の分類毎に、前記償却債権情報記憶手段に記録された債権について回収リスク率を算出する段階と、前記項目について、前記回収リスク率との相関指標を算出し、前記相関指標において相関性がある項目を特定する段階と、前記特定された項目のマップ要素として、回収リスク率を算出した回収リスク率マップを作成する段階と、前記現存債権情報記憶手段に記録された債権残高、及び前記回収リスク率マップを用いて前記会計管理処理を行なう段階とを実行することを要旨とする。
【0018】
請求項10に記載の発明は、債務者識別子に関連付けて、債務者の属性情報を記録した債務者情報記憶手段と、債務者識別子に関連付けて、回収リスクが生じたかどうかを特定する情報とともに、償却された債権情報を記録した償却債権情報記憶手段と、債務者識別子に関連付けて、債権残高がある債権情報を記録した現存債権情報記憶手段と、会計管理処理を実行する制御手段とを備えた債権評価支援システムを用いて、債権評価を支援するためのプログラムであって、前記制御手段を、前記償却債権情報記憶手段を用いて、回収リスクが生じた債務者識別子を特定し、前記債務者情報記憶手段から、前記債務者識別子の属性情報を取得する手段、前記属性情報又は債権情報に含まれる項目の分類毎に、前記償却債権情報記憶手段に記録された債権について回収リスク率を算出する手段、前記項目について、前記回収リスク率との相関指標を算出し、前記相関指標において相関性がある項目を特定する手段、前記特定された項目のマップ要素として、回収リスク率を算出した回収リスク率マップを作成する手段、前記現存債権情報記憶手段に記録された債権残高、及び前記回収リスク率マップを用いて前記会計管理処理を行なう手段として機能させることを要旨とする。
【0019】
(作用)
請求項1又は9、10に記載の発明によれば、制御手段が、償却債権情報記憶手段を用いて、回収リスクが生じた債務者識別子を特定し、債務者情報記憶手段から、この債務者識別子の債務者の属性情報を取得する。次に、属性情報又は債権情報に含まれる項目の分類毎に、償却債権情報記憶手段に記録された債権について回収リスク率を算出する。次に、前記項目について、回収リスク率との相関指標を算出し、相関指標において相関性がある項目を特定し、特定された項目のマップ要素として、回収リスク率を算出した回収リスク率マップを作成する。そして、現存債権情報記憶手段に記録された債権残高、及び回収リスク率マップを用いて会計管理処理を行なう。これにより、債権や債務者の属性に基づいて回収リスク率を予測し、この回収リスク率を考慮して、より的確な会計管理を行なうことができる。
【0020】
請求項2に記載の発明によれば、会計管理処理において、現存債権情報記憶手段に記録された債権の債権情報を用いて、回収予定時期及び回収予定金額を算出し、債権が属するマップ要素を特定し、項目のマップ要素毎に、回収予定時期に応じて、回収予定金額を集計した回収予定表を作成する。これにより、回収リスク率と相関性がある項目に対応した回収予定表を作成することができる。
【0021】
請求項3に記載の発明によれば、会計管理処理において、回収リスク率マップのマップ要素毎に、回収リスク率と回収予定表とを用いて、回収予定額と回収時期とからなるキャッシュフローを更に算出する。これにより、回収リスク率と相関性がある項目に対応したキャッシュフローを算出することができる。
【0022】
請求項4に記載の発明によれば、会計管理処理において、キャッシュフローに含まれる各回収時期について回収予定金額を用いて現在価値を算出し、回収時期毎の現在価値を総和する。これにより、回収リスク率と相関性がある項目を考慮して、より会計基準に適合した現在価値を算出することができる。
【0023】
請求項5に記載の発明によれば、相関性がある項目を、出力手段に出力し、入力手段を用いて選択された項目を用いて回収リスク率マップを作成する。これにより、相関性があると判断して指定された項目を用いて、回収リスク率を予測したマップを作成することができる。
【0024】
請求項6に記載の発明によれば、特定の複数のクレジット商品の組み合わせにおいて、前記組み合わせの各クレジット商品を利用する総債務者数に対して、組み合わせの全クレジット商品を利用する債務者数の割合が高い場合には、クレジット商品の債権情報をまとめて回収リスク率マップを作成する。これにより、複数のクレジット商品を利用している場合にも、利用状況を考慮した回収リスク率を算出することができる。
【0025】
請求項7に記載の発明によれば、償却債権情報記憶手段から、複数の分析期間毎に、各分析期間内に償却された債権情報を取得し、分析期間毎に、項目について、回収リスク率との相関指標を算出する。これにより、異なる分析期間を考慮して相関性を判定し、この相関性を用いて債権についての会計管理を行なうことができる。
【0026】
請求項8に記載の発明によれば、償却債権情報記憶手段に記録された債権情報を用いて、履歴情報記憶手段に記録された回収リスク率マップに含まれるマップ要素について回収リスク率実績を算出する。そして、回収リスク率マップに記録された回収リスク率と、回収リスク率実績とを比較し、この比較結果に応じて、回収リスク率マップの再利用の可否を判定する。これにより、過去の評価結果を利用して、効率的に回収リスク率マップを作成することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、クレジット商品において、債権の回収リスクを考慮して、回収予定表の作成や債権の時価評価等、的確な会計管理処理を行なうための債権評価支援システム、債権評価支援方法及び債権評価支援プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施形態のシステム概略図。
【図2】本発明の実施形態の情報記憶部の説明図であって、(a)は利用者情報記憶部、(b)は償却債権情報記憶部、(c)は商品別債権情報記憶部に記録されたデータの説明図。
【図3】本実施形態の処理手順の説明図。
【図4】本実施形態の処理手順の説明図。
【図5】本実施形態の処理手順の説明図であって、(a)は相関性評価処理、(b)はマップ作成処理の説明図。
【図6】本実施形態の処理手順の説明図。
【図7】他の実施形態の処理手順の説明図。
【図8】他の実施形態の処理手順の説明図。
【図9】他の実施形態の処理手順の説明図。
【図10】他の実施形態の処理手順の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を具体化した一実施形態を、図1〜図6に従って説明する。本実施形態では、各種クレジット商品の残高に基づいて、回収予定表を作成し、債権の時価評価を行なうための債権評価支援システム、債権評価支援方法及び債権評価支援プログラムとして説明する。本実施形態では、企業が提供している複数のクレジット商品について、回収リスク(デフォルトやプリペイメント)を考慮して、債権の時価評価を行なう場合を想定する。
【0030】
本実施形態では、図1に示すように、クライアント端末10、債権評価支援サーバ20が、ネットワークを介して接続されている。
クライアント端末10は、企業が保有する債権の管理を行なう担当者が利用するコンピュータ端末である。クライアント端末10は、出力手段(ディスプレイ等)や入力手段(キーボードやポインティングデバイス等)を備えている。
【0031】
債権評価支援サーバ20は、各クレジット商品の債権の残高を評価し、時価を算出するためのコンピュータシステムである。債権評価支援サーバ20は、図1に示すように、制御部21、元データ記憶部22、利用者情報記憶部23、償却債権情報記憶部24、商品別債権情報記憶部25、回収リスク率マップ記憶部26、回収予定表記憶部27、評価基本情報記憶部28を備えている。
【0032】
制御部21は、クライアント端末10からの指示に基づいて、クレジット商品の債権残高について、債権の時価評価等の各種会計管理処理を行なう。制御部21は、制御手段としてのCPU、RAM及びROM等を有し、後述する処理(相関性評価処理段階、マップ作成処理段階、回収予定表作成処理、時価評価処理段階等の各処理)を行なう。このための債権評価支援プログラムを実行することにより、制御部21は、図1に示すように、債権情報取得手段211、評価管理手段212、相関性評価手段213、マップ作成手段214、予定表作成手段215、時価算出手段216等として機能する。
【0033】
債権情報取得手段211は、クライアント端末10からロードファイルを取得し、債権の時価評価を行なうための債権情報に編集する処理を実行する。
評価管理手段212は、債権の時価評価のための各種処理を管理する処理を実行する。
【0034】
相関性評価手段213は、各種クレジット商品の利用者(債務者)や債権内容に含まれる個別項目と、デフォルト率やプリペイメント率との相関性を評価する処理を実行する。そして、相関性評価手段213は、デフォルト率やプリペイメント率と相関性がある個別項目をグルーピング要素として仮記憶するメモリを備えている。
【0035】
マップ作成手段214は、相関性に基づいて特定した属性の組み合わせを用いて、デフォルト率やプリペイメント率の分布を示したマップを作成する処理を実行する。
予定表作成手段215は、クレジット債権の回収予定表を作成する処理を実行する。
時価算出手段216は、回収予定表を用いて、デフォルト率、プリペイメント率を考慮したキャッシュフローを算出するとともに、公知のDCF法により、債権の現在価値を算出する処理を実行する。
【0036】
元データ記憶部22には、債権の時価評価に用いる元データ(ロードファイル)が記録される。このロードファイルは、クライアント端末10から時価評価に用いるデータを取得した時に記録される。このロードファイルには、償却ファイルや残高ファイルが含まれる。償却ファイルには、既に償却された債権について、債権コード、利用者コード、商品コード、残高、返済条件、償却状況、償却日に関するデータが含まれる。この償却ファイルの内容は、後述する償却債権情報記憶部24に記録されるデータと同じである。
【0037】
残高ファイルには、各クレジット商品の利用者毎に、利用者属性情報や、利用しているクレジット商品を特定するための商品コード、債権コード、残高、返済条件に関するデータが記録される。
【0038】
利用者情報記憶部23は、債務者情報記憶手段として機能する。この利用者情報記憶部23には、図2(a)に示すように、各クレジット商品の利用者に関する債務者情報として利用者管理レコード230が記録されている。この利用者管理レコード230は、元データ記憶部22に記録されたロードファイルを編集した場合に記録される。この利用者管理レコード230には、利用者コード、属性情報に関するデータが記録される。
【0039】
利用者コードデータ領域には、各クレジット商品の利用者(債務者)を特定するための識別子(債務者識別子)に関するデータが記録される。
属性情報データ領域には、この利用者の属性に関するデータが記録される。本実施形態では、属性情報として、年齢、性別、住所(都道府県)、スコア(信用度)等に関するデータが記録される。
【0040】
償却債権情報記憶部24は、償却債権情報記憶手段として機能する。この償却債権情報記憶部24には、図2(b)に示すように、完済や期限前償還(プリペイメント)、貸し倒れ(デフォルト)によって償却された債権情報として償却債権管理レコード240が記録される。この償却債権管理レコード240は、クライアント端末10から取得したロードファイルを編集した場合に記録される。この償却債権管理レコード240には、債権コード、利用者コード、商品コード、契約日、残高、返済条件、償却状況、償却日に関するデータが含まれる。
【0041】
債権コードデータ領域には、償却された各債権を特定するための識別子に関するデータが記録される。
利用者コードデータ領域には、この償却債権の発生原因であるクレジット商品の利用者(債務者)を特定するための識別子に関するデータが記録される。
【0042】
商品コードデータ領域には、この償却債権の発生原因であるクレジット商品を特定するための識別子(商品情報)に関するデータが記録される。
契約日データ領域には、このクレジット商品についての契約時期(年月日)に関するデータが記録される。この契約日により、債権の発生日を特定することができる。
【0043】
残高データ領域には、償却時の債権残高に関するデータが記録される。完済やプリペイメントによる償却の場合には「0」が記録され、貸し倒れの場合にはデフォルト時の残高が記録される。
【0044】
返済条件データ領域には、この償却債権における返済条件に関するデータが記録される。本実施形態においては、返済方法、返済時期、適用利率に関するデータが記録される。
償却状況データ領域には、この債権の償却状況を特定するためのフラグが記録される。本実施形態では、完済やプリペイメント、デフォルトのいずれかを特定するフラグが記録される。
償却日データ領域には、この債権が償却された時期(年月日)に関するデータが記録される。
【0045】
商品別債権情報記憶部25は、現存債権情報記憶手段として機能する。この商品別債権情報記憶部25には、図2(c)に示すように、クレジット商品毎に、時価評価の対象として、債権残高がある債権情報として債権管理レコード250が記録される。この債権管理レコード250は、元データ記憶部22に記録されたロードファイルを編集した場合に記録される。債権管理レコード250は、クレジット商品毎に別個のファイルに記録されており、債権コード、利用者コード、契約日、残高、返済条件に関するデータが記録される。図2(c)においては、商品(1)〜商品(n)の債権管理レコード250が別個に記録されている。
【0046】
債権コードデータ領域には、返済金を回収する各債権を特定するための識別子に関するデータが記録される。
利用者コードデータ領域には、この債権の発生原因であるクレジット商品の利用者(債務者)を特定する識別子に関するデータが記録される。
契約日データ領域には、このクレジット商品についての契約時期(年月日)に関するデータが記録される。
【0047】
残高データ領域には、この債権についての残高に関するデータが記録される。
返済条件データ領域には、この債権についての返済条件に関するデータが記録される。本実施形態においては、返済方法、返済時期、適用利率に関するデータが記録される。
【0048】
回収リスク率マップ記憶部26には、債権の時価評価に用いるデフォルト率マップやプリペイメント率マップが記録される。このデフォルト率マップやプリペイメント率マップは、後述するマップ作成処理が行なわれた場合に記録される。このデフォルト率マップには、グループ化指定された個別項目を変数として、各マップ要素におけるデフォルト率が記録される。また、プリペイメント率マップには、グループ化指定された個別項目を変数として、各マップ要素におけるプリペイメント率が記録される。ここで、デフォルト率マップやプリペイメント率マップには、それぞれ、経過期間を変数として、現時点から所定期間が経過した時点で貸し倒れる割合(デフォルト率)や期限前償還される割合(プリペイメント率)が時系列に表わされる。
【0049】
回収予定表記憶部27には、債権の時価評価に用いる回収予定表が記録される。この回収予定表は、後述する回収予定表作成処理が行なわれた場合に記録される。この回収予定表は、グループ化指定された個別項目毎に作成され、回収予定時期と回収予定金額が記録される。
【0050】
評価基本情報記憶部28には、債権の時価評価に用いる基本情報が記録されている。この基本情報は、各処理の実行前に予め登録される。本実施形態では、基本情報として、分析期間候補、リスクフリーレート及びリスクプレミアム、相関性基準値、各個別項目の刻みが記録される。
【0051】
分析期間候補は、相関性評価の対象となる償却債権管理レコード240の抽出に用いられる。本実施形態では、複数の分析期間候補を記録しておくことも可能である。また、期間の指定においても、「直近1年間」、「直近6ヶ月」のように期間の長さを変更した指定や、「1年前の同時期6ヶ月」のように始期・終期を変更した指定も可能である。
【0052】
リスクフリーレート及びリスクプレミアムは、DCF法において用いられるパラメータである。
相関性基準値は、個別項目と回収リスク率との相関性の有無を判定するために用いられる基準値である。本実施形態では、個別項目とデフォルト率との相関性の有無を評価する。
各個別項目の刻みは、債権の個別項目の項目値を分類するための変数範囲が記録されており、相関性評価処理において債権を分類するために用いられる。
【0053】
上記のように構成されたシステムを用いて、各クレジット商品の残高についての時価評価を行なう場合の処理手順について説明する。以下では、処理手順の概略(図3)、時価評価処理(図4)、相関性評価処理(図5(a))、マップ作成処理(図5(b))、回収予定表作成処理(図6)の順番に説明する。
【0054】
(処理手順の概略)
まず、図3を用いて、処理手順の概略を説明する。
ここでは、債権評価支援サーバ20の制御部21は、ロードファイルの登録処理を実行する(ステップS1−1)。具体的には、クレジット商品に関する債権の時価評価を行なう場合、担当者は、クライアント端末10を用いて、債権評価支援サーバ20にアクセスする。そして、クライアント端末10において、時価評価処理の開始指示を送信する。この場合、債権評価支援サーバ20の制御部21の債権情報取得手段211は、クライアント端末10のディスプレイに、評価対象データの要求を出力する。クライアント端末10に評価対象データが入力された場合、制御部21の債権情報取得手段211は、クライアント端末10から評価対象データ(ロードファイル)を取得する。そして、債権情報取得手段211は、取得したロードファイルを元データ記憶部22に登録する。
【0055】
次に、債権評価支援サーバ20の制御部21は、クレジット商品毎の分割処理を実行する(ステップS1−2)。具体的には、制御部21の債権情報取得手段211は、元データ記憶部22に記録されたロードファイルの償却ファイルに基づいて、償却債権管理レコード240を生成し、償却債権情報記憶部24に登録する。更に、債権情報取得手段211は、残高ファイルに含まれる債権情報をクレジット商品毎に分割する。そして、債権情報取得手段211は、残高ファイルに記録されていた利用者コードを付与して、クレジット商品毎の債権管理レコード250を生成し、商品別債権情報記憶部25に登録する。
次に、債権評価支援サーバ20の制御部21は、クレジット商品毎に、後述する時価評価処理を実行する(ステップS1−3)。
【0056】
(時価評価処理)
次に、図4を用いて、時価評価処理を説明する。
まず、債権評価支援サーバ20の制御部21は、分析期間候補の特定処理を実行する(ステップS2−1)。具体的には、制御部21の評価管理手段212は、評価基本情報記憶部28から分析期間候補を取得する。そして、特定した各分析期間候補において、処理対象の分析期間を特定して、以下の処理を繰り返す。
【0057】
ここでは、債権評価支援サーバ20の制御部21は、分析対象の抽出処理を実行する(ステップS2−2)。具体的には、制御部21の評価管理手段212は、処理対象の分析期間に含まれる償却日が記録された償却債権管理レコード240を、分析対象として償却債権情報記憶部24から抽出する。
【0058】
次に、債権評価支援サーバ20の制御部21は、相関性評価処理を実行する(ステップS2−3)。具体的には、制御部21の相関性評価手段213が、後述する相関性評価処理を実行する。そして、すべての分析期間候補について、上記ステップS2−2、S2−3の処理を繰り返す。
【0059】
すべての分析期間候補の相関性評価処理を終了した場合、債権評価支援サーバ20の制御部21は、相関性評価結果の出力処理を実行する(ステップS2−4)。具体的には、制御部21の評価管理手段212は、クライアント端末10のディスプレイに、相関性評価結果画面を出力する。この相関性評価結果画面には、分析期間候補毎に、相関性評価処理においてグルーピング要素として特定された各個別項目(デフォルト率に相関性がある個別項目)及び算出した相関係数(相関指標)が表示される。
【0060】
次に、債権評価支援サーバ20の制御部21は、マップ作成処理を実行する(ステップS2−5)。具体的には、制御部21のマップ作成手段214が、後述するマップ作成処理を実行する。
【0061】
次に、債権評価支援サーバ20の制御部21は、回収予定表作成処理を実行する(ステップS2−6)。具体的には、制御部21の予定表作成手段215が、後述する回収予定表作成処理を実行する。
【0062】
次に、債権評価支援サーバ20の制御部21は、時価算出処理を実行する(ステップS2−7)。具体的には、制御部21の時価算出手段216は、評価基本情報記憶部28から、リスクフリーレート及びリスクプレミアムを取得するとともに、回収リスク率マップ記憶部26からプリペイメント率、デフォルト率を取得する。ここで、プリペイメント率、デフォルト率は、後述するように、デフォルト率に相関性がある個別項目により、グループ化されるとともに、現時点からの経過期間に対応した時系列で表されている。そして、時価算出手段216は、マップ要素に応じてグループ化された回収予定表に記録された回収予定金額に対して、時系列のプリペイメント率、デフォルト率を考慮したキャッシュフローを算出する。具体的には、時価算出手段216は、回収リスク率マップ記憶部26に記憶されたデフォルト率マップやプリペイメント率マップから、回収予定時期までの経過期間に対応したプリペイメント率、デフォルト率を取得する。そして、時価算出手段216は、取得したプリペイメント率、デフォルト率を「1」から差し引いた割合を回収予定金額に乗算することにより、回収リスクを考慮した考慮したキャッシュフローを算出する。更に、時価算出手段216は、このキャッシュフロー、リスクフリーレート及びリスクプレミアムを用いた公知のDCF法により、債権の現在価値を計算する。ここでは、各回収予定に対応したキャッシュフローの現在価値を総和する。そして、時価算出手段216は、クライアント端末10のディスプレイに出力する。
【0063】
(相関性評価処理)
次に、図5(a)を用いて、相関性評価処理を説明する。ここでは、デフォルト率と利用者属性との相関関係により、後述する回収リスク率マップに用いる個別項目を特定する。具体的には、債権内容(残高、返済条件等)や利用者属性(年齢、都道府県等)に含まれる個別項目において、処理対象の個別項目を特定して、以下の処理を繰り返す。
【0064】
まず、債権評価支援サーバ20の制御部21は、デフォルト率の算出処理を実行する(ステップS3−1)。具体的には、制御部21の相関性評価手段213は、分析対象の償却債権管理レコード240において、処理対象の個別項目の値(項目値)を取得する。ここで、債権内容に関する個別項目の場合には、償却債権管理レコード240に記録された情報を項目値として取得する。また、利用者属性に関する個別項目の場合には、償却債権管理レコード240に記録された利用者コードを用いて、利用者情報記憶部23から利用者管理レコード230を抽出して、属性情報を項目値として取得する。次に、相関性評価手段213は、評価基本情報記憶部28に記録された個別項目の刻みを用いて、各債権を分類する。そして、相関性評価手段213は、各刻みに含まれる債権総数とデフォルト債権数とをカウントし、デフォルト債権数を債権総数で除算したデフォルト率を算出する。
【0065】
次に、債権評価支援サーバ20の制御部21は、相関係数の算出処理を実行する(ステップS3−2)。具体的には、制御部21の相関性評価手段213は、公知の相関係数算出関数を用いて、個別項目とデフォルト率との相関係数を算出する。なお、都道府県については、東京から都道府県庁の所在地までの直線距離を用いて、相関係数を算出する。
【0066】
次に、債権評価支援サーバ20の制御部21は、相関性があるかどうかについての判定処理を実行する(ステップS3−3)。具体的には、制御部21の相関性評価手段213は、評価基本情報記憶部28から、相関性基準値を取得する。そして、算出した相関係数の絶対値が相関性基準値よりも高い場合には、相関性があると判定する。
【0067】
相関性があると判定した場合(ステップS3−3において「YES」の場合)、債権評価支援サーバ20の制御部21は、グルーピング要素の特定処理を実行する(ステップS3−4)。具体的には、制御部21の相関性評価手段213は、この個別項目をグルーピング要素としてメモリに仮記憶する。
【0068】
一方、相関係数が相関性基準値よりも低く、相関性がないと判定した場合(ステップS3−3において「NO」の場合)には、債権評価支援サーバ20の制御部21は、この個別項目についての処理を終了する。以上の処理を、すべての個別項目について終了するまで繰り返す。
【0069】
(マップ作成処理)
次に、図5(b)を用いて、デフォルト率、プリペイメント率についてのマップ作成処理を説明する。
【0070】
ここでは、債権評価支援サーバ20の制御部21は、グループ化指定処理を実行する(ステップS4−1)。具体的には、担当者は、クライアント端末10を用いて、ステップS2−4において出力された相関性評価結果画面に含まれるグルーピング要素(個別項目)を確認する。この相関性評価結果画面において、デフォルト率マップを作成するためのグループ化に用いる個別項目を指定する。この指定においては、複数の個別項目を選択することができる。そして、クライアント端末10において、グループ化する個別項目の確定入力が行なわれた場合、債権評価支援サーバ20の制御部21のマップ作成手段214は、クライアント端末10において指定された個別項目に関する情報を取得する。
【0071】
次に、債権評価支援サーバ20の制御部21は、グループ化指定によるマップ要素の生成処理を実行する(ステップS4−2)。具体的には、制御部21のマップ作成手段214は、評価基本情報記憶部28から、クライアント端末10において指定された個別項目についての刻みを取得する。そして、マップ作成手段214は、各個別項目の刻みを組み合わせたマップ要素から構成されたマトリクス(マップ)を作成する。ここでは、n個の個別項目が選択されている場合にはn次元マップ(例えば、2つの個別項目が選択されている場合には2次元マップ)を作成する。
【0072】
次に、生成したマップ要素について、以下の処理を繰り返す。
債権評価支援サーバ20の制御部21は、マップ要素におけるデフォルト率の算出処理を実行する(ステップS4−3)。具体的には、制御部21のマップ作成手段214は、指定された分析期間において、マップ要素における各個別項目変数の刻みに含まれる償却債権管理レコード240を抽出する。次に、マップ作成手段214は、この償却債権管理レコード240において、債権総数を算出する。次に、マップ作成手段214は、デフォルト債権において、契約日から償却日までの経過期間(月数)毎にデフォルト債権数を算出する。そして、マップ作成手段214は、経過期間毎のデフォルト債権数を債権総数で除算することにより、処理対象のマップ要素について、現時点から経過期間に応じた時系列のデフォルト率を算出する。
【0073】
次に、債権評価支援サーバ20の制御部21は、マップ要素におけるプリペイメント率の算出処理を実行する(ステップS4−4)。具体的には、制御部21のマップ作成手段214は、プリペイメント債権において、契約日から償却日までの経過期間(月数)毎にプリペイメント債権数を算出する。そして、マップ作成手段214は、経過期間毎のプリペイメント債権数を債権総数で除算することにより、処理対象のマップ要素について、現時点から経過期間に応じた時系列のプリペイメント率を算出する。
【0074】
すべてのマップ要素について、デフォルト率、プリペイメント率の算出処理を終了した場合、債権評価支援サーバ20の制御部21は、回収リスク率マップの記録処理を実行する(ステップS4−5)。具体的には、制御部21のマップ作成手段214は、算出したデフォルト率(時系列)を各マップ要素に設定したデフォルト率マップを、回収リスク率マップ記憶部26に記録する。更に、マップ作成手段214は、算出したプリペイメント率(時系列)を各マップ要素に設定したプリペイメント率マップを、回収リスク率マップ記憶部26に記録する。
【0075】
(回収予定表作成処理)
次に、図6を用いて、回収予定表作成処理を説明する。
この処理は、商品別債権情報記憶部25に記録されている債権管理レコード250を処理対象として特定して、以下の処理を繰り返す。
【0076】
ここでは、まず、債権評価支援サーバ20の制御部21は、回収予定の算出処理を実行する(ステップS5−1)。具体的には、制御部21の予定表作成手段215は、この債権管理レコード250に記録されている残高及び返済条件に基づいて回収予定時期、及び各回収予定時期における回収金額を算出する。
【0077】
次に、債権評価支援サーバ20の制御部21は、この債権が属するグループ化指定の特定処理を実行する(ステップS5−2)。具体的には、制御部21の予定表作成手段215は、この債権管理レコード250において、グループ化指定された個別項目の項目値を取得する。グループ化指定された個別項目に利用者の属性情報に関する項目が含まれている場合には、債権管理レコード250に記録された利用者コードを用いて、利用者情報記憶部23から利用者管理レコード230を抽出し、属性情報の項目値を取得する。そして、予定表作成手段215は、グループ化指定された個別項目の項目値が属するマップ要素を特定する。
【0078】
次に、債権評価支援サーバ20の制御部21は、回収予定金額の加算処理を実行する(ステップS5−3)。具体的には、制御部21の予定表作成手段215は、このクレジット商品について、特定されたマップ要素によりグループ化された回収予定表において、回収予定時期に対応した回収予定金額に、先に算出した回収金額を加算する。
【0079】
すべての債権について上記処理を終了した場合、債権評価支援サーバ20の制御部21は、回収予定表の出力処理を実行する(ステップS5−4)。具体的には、制御部21の予定表作成手段215は、クライアント端末10のディスプレイに、クレジット商品毎に、マップ要素によりグループ化された回収予定表を出力する。
【0080】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態においては、債権評価支援サーバ20の制御部21は、デフォルト率についてのマップ作成処理(ステップS2−5)、回収予定表作成処理(ステップS2−6)、時価算出処理(ステップS2−7)を実行する。これにより、デフォルト率やプリペイメント率を考慮した債権の時価評価を行なうことができる。
【0081】
(2)本実施形態においては、債権評価支援サーバ20の制御部21は、相関性評価処理(ステップS2−3)、相関性評価結果の出力処理(ステップS2−4)を実行する。これにより、債権内容や利用者属性を考慮して、デフォルト率やプリペイメント率を予測することができる。
【0082】
また、債権評価支援サーバ20の制御部21は、分析期間候補の特定処理(ステップS2−1)、分析対象の抽出処理(ステップS2−2)を実行する。これにより、分析期間を考慮して、デフォルト率と相関性がある個別項目を特定することができる。
【0083】
(3)本実施形態においては、債権評価支援サーバ20の制御部21は、デフォルト率の算出処理(ステップS3−1)、相関係数の算出処理(ステップS3−2)、相関性があるかどうかについての判定処理(ステップS3−3)を実行する。相関性があると判定した場合(ステップS3−3において「YES」の場合)、債権評価支援サーバ20の制御部21は、グルーピング要素の特定処理を実行する(ステップS3−4)。そして、債権評価支援サーバ20の制御部21は、グループ化指定処理を実行する(ステップS4−1)。これにより、相関性を考慮して、債権の時価算出に用いる個別項目を選択することができる。
【0084】
(4)本実施形態においては、債権評価支援サーバ20の制御部21は、回収予定の算出処理(ステップS5−1)、債権が属するグループ化指定の特定処理(ステップS5−2)、回収予定金額の加算処理(ステップS5−3)を実行する。これにより、デフォルト率マップやプリペイメント率マップのマップ要素を考慮して、回収予定表を作成することができる。
【0085】
なお、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
・ 上記実施形態では、ネットワークを介して接続されているクライアント端末10、債権評価支援サーバ20を用いて、債権の時価評価を行なう。債権の時価評価を行なうためのハードウェア構成はこれに限定されるものではなく、入力部や出力部を備えたスタンドアローンの債権管理支援装置を用いることも可能である。
【0086】
・ 上記実施形態では、新たに取得したロードファイルを用いて、時価評価処理を実行する。これに代えて、過去の評価実績を用いて、回収リスク率マップを作成するようにしてもよい。この場合には、債権評価支援サーバ20に、履歴情報記憶手段としての評価履歴情報記憶部を設ける。この評価履歴情報記憶部には、過去(前回)の時価算出に用いたグループ化指定(個別項目)や、過去に作成したデフォルト率マップを記録しておく。更に、評価基本情報記憶部28には、デフォルト率の予測と実績との差(絶対値)が許容範囲内かどうかを判定するための予測評価基準値や、利用者構成の変化が許容範囲内かどうかを判定するための利用者属性基準値を記憶させておく。本実施形態の時価評価処理を、図7を用いて説明する。
【0087】
まず、債権評価支援サーバ20の制御部21は、グループ化指定実績の取得処理を実行する(ステップS6−1)。具体的には、制御部21の評価管理手段212は、評価履歴情報記憶部に記録されたグループ化指定(グループ化指定実績)を取得する。ここでは、例えば、評価履歴情報記憶部から、前回の時価評価に用いたグループ化指定を取得する。
【0088】
次に、債権評価支援サーバ20の制御部21は、予測と実績との比較処理を実行する(ステップS6−2)。具体的には、制御部21の評価管理手段212は、マップ作成手段214に対して、前回の時価評価の対象期間のデフォルト実績マップの作成を指示する。この場合、マップ作成手段214は、償却債権情報記憶部24から、前回の時価評価の対象期間の償却債権管理レコード240を抽出する。次に、マップ作成手段214は、ステップS4−3と同様に、マップ要素におけるデフォルト率の算出処理を実行する。次に、マップ作成手段214は、算出したデフォルト率(時系列)を各マップ要素に設定したデフォルト率実績マップを作成する。そして、マップ作成手段214は、作成したデフォルト率マップを評価管理手段212に提供する。この場合、評価管理手段212は、評価履歴情報記憶部から前回作成したデフォルト率マップを取得し、デフォルト率実績マップと比較する。
【0089】
次に、債権評価支援サーバ20の制御部21は、許容範囲内かどうかについての判定処理を実行する(ステップS6−3)。具体的には、制御部21の評価管理手段212は、前回作成したデフォルト率マップとデフォルト率実績マップとにおいて、各マップ要素におけるデフォルト率の差(絶対値)を算出し、この差の合計値を算出する。そして、この差の合計値が、評価基本情報記憶部28に記録された予測評価基準値以下の場合には、許容範囲内と判定する。
【0090】
実績が予測の許容範囲内と判定した場合(ステップS6−3において「YES」の場合)、債権評価支援サーバ20の制御部21は、利用者構成の変化は許容範囲内かどうかについての判定処理を実行する(ステップS6−4)。具体的には、制御部21の評価管理手段212は、前回の時価評価において利用した利用者管理レコード230の属性情報の統計値を算出する。更に、相関性評価手段213は、前回の時価評価対象の債権、及び今回の時価評価対象の債権についての利用者管理レコード230を利用者情報記憶部23から取得する。そして、相関性評価手段213は、前回の属性情報の統計値、及び今回の属性情報の統計値を算出し、両者の差(絶対値)を算出する。統計値の差が、利用者属性基準値以下の場合には、利用者構成の変化は許容範囲内と判定する。
【0091】
利用者構成の変化が許容範囲内と判定した場合(ステップS6−4において「YES」の場合)、債権評価支援サーバ20の制御部21は、回収リスク率マップの再利用処理を実行する(ステップS6−5)。具体的には、制御部21の評価管理手段212は、前回の回収リスク率マップを採用する。
【0092】
一方、実績が予測の許容範囲内でないと判定した場合や、利用者構成の変化が許容範囲内でないと判定した場合(ステップS6−3、S6−4において「NO」の場合)、債権評価支援サーバ20の制御部21は、相関係数の算出を再実行する。具体的には、分析期間候補の特定処理(ステップS2−1)〜マップ作成処理(ステップS2−5)を新たに実行する。そして、債権評価支援サーバ20の制御部21は、新たに作成した回収リスク率マップ、又は前回の回収リスク率マップを用いて、ステップS2−6、S2−7と同様に、回収予定表作成処理(ステップS6−6)、時価算出処理(ステップS6−7)を実行する。
これにより、過去に用いた回収リスク率マップの適否や、債務者の変化の有無を判定して、効率的に債権の時価評価を行なうことができる。
【0093】
・ 上記実施形態では、評価基本情報記憶部28に記録された各個別項目の刻みを用いてマップを作成する。ここで、刻みは固定的である必要はなく、状況に応じて変更してもよい。この場合、評価基本情報記憶部28において、各個別項目に対して、大きさが異なる複数の刻みを記録しておく。この相関性評価処理を、図8を用いて説明する。
【0094】
ここでは、ステップS3−1〜S3−4と同様に、債権評価支援サーバ20の制御部21は、デフォルト率の算出処理(ステップS7−1)、相関係数の算出処理(ステップS7−2)、相関性があるかどうかについての判定処理(ステップS7−3)、グルーピング要素の特定処理(ステップS7−4)を実行する。
【0095】
次に、債権評価支援サーバ20の制御部21は、いずれかの個別項目に相関性があるかどうかについての判定処理を実行する(ステップS7−5)。具体的には、制御部21の相関性評価手段213は、算出した相関係数が相関性基準値よりも高い個別項目があるかどうかによって判定する。
【0096】
いずれかの個別項目に相関性があると判定した場合(ステップS7−5において「YES」の場合)、相関性評価処理を終了する。この場合には、グルーピング要素として特定された個別項目を用いて、デフォルト率マップを作成する。
【0097】
一方、いずれの個別項目にも相関性がないと判定した場合(ステップS7−5において「NO」の場合)、債権評価支援サーバ20の制御部21は、再評価可能かどうかについての判定処理を実行する(ステップS7−6)。具体的には、制御部21の相関性評価手段213は、評価基本情報記憶部28に記録された刻みの中で、利用していない刻みが残っている場合には、再評価可能と判定する。
【0098】
再評価可能と判定した場合(ステップS7−6において「YES」の場合)、債権評価支援サーバ20の制御部21は、刻みの変更処理を実行する(ステップS7−7)。具体的には、制御部21の相関性評価手段213は、評価基本情報記憶部28において、まだ利用していない刻みを用いて、ステップS7−1の処理から再実行する。一方、再評価不可と判定した場合(ステップS7−6において「NO」の場合)、相関性評価処理を終了する。この場合には、デフォルト率と個別項目とは相関性がないことになる。
これにより、刻みを変更することにより、相関性を検出して、デフォルト率マップを作成することができる。
【0099】
・ 上記実施形態の相関性評価処理では、デフォルト率の算出処理(ステップS3−1)において、クレジット商品毎にデフォルト率を算出する。ここで、同一利用者が複数のクレジット商品を利用する場合もある。そこで、複数のクレジット商品の利用者を考慮して、相関性評価処理を行なう場合を、図9を用いて説明する。
【0100】
まず、債権評価支援サーバ20の制御部21は、クレジット商品毎に、デフォルト率の変化履歴の算出処理を実行する(ステップS8−1)。具体的には、制御部21の相関性評価手段213は、所定期間毎に償却債権管理レコード240を、償却債権情報記憶部24から抽出する。そして、相関性評価手段213は、クレジット商品毎に、この償却債権管理レコード240を用いて債権総数を算出する。更に、相関性評価手段213は、デフォルト債権において、契約日から償却日までの経過期間(月数)毎にデフォルト債権数を算出する。そして、相関性評価手段213は、経過期間毎に、デフォルト債権数を債権総数で除算したデフォルト率から構成されたデフォルト率変化履歴を算出する。
【0101】
次に、債権評価支援サーバ20の制御部21は、クレジット商品間におけるデフォルト率の相関係数の算出処理を実行する(ステップS8−2)。具体的には、制御部21の相関性評価手段213は、各クレジット商品のデフォルト率変化履歴を、相関係数算出関数に導入して相関係数を算出する。
【0102】
次に、債権評価支援サーバ20の制御部21は、相関性があるクレジット商品の組み合わせの特定処理を実行する(ステップS8−3)。具体的には、制御部21の相関性評価手段213は、相関係数が基準値以上となったクレジット商品の組み合わせを特定する。
【0103】
次に、債権評価支援サーバ20の制御部21は、関連性が高い商品の債権をまとめてデフォルト率の算出処理を実行する(ステップS8−4)。具体的には、制御部21の相関性評価手段213は、特定したクレジット商品の債権をまとめて相関性評価処理を実行する。なお、他のクレジット商品との関連性が低いクレジット商品については、単独で相関性評価処理を実行する。
これにより、デフォルト率変化履歴において相関性が高いクレジット商品については、まとめて相関性評価処理を行ない、共通したデフォルト率マップを作成することができる。
【0104】
・ 上記実施形態の相関性評価処理では、デフォルト率の算出処理(ステップS3−1)において、クレジット商品毎にデフォルト率を算出する。ここで、同一利用者が複数のクレジット商品を利用する場合もある。そこで、複数のクレジット商品の組み合わせにおいて、各クレジット商品を利用している債務者の多くが共通している場合には、まとめて相関性評価処理を行なう。具体的には、特定の複数のクレジット商品の組み合わせにおいて、この組み合わせの各クレジット商品を利用する総債務者数に対して、この組み合わせの全クレジット商品を利用する債務者数の割合が高い場合を想定する。この場合、評価基本情報記憶部28において、この割合の高低を判定するための共通利用基準値を記録しておく。この処理を、図10を用いて説明する。
【0105】
まず、債権評価支援サーバ20の制御部21は、複数商品の利用者の特定処理を実行する(ステップS9−1)。具体的には、制御部21の相関性評価手段213は、複数のクレジット商品の組み合わせを生成する。そして、相関性評価手段213は、この組み合わせに含まれるクレジット商品を利用している債務者を、商品別債権情報記憶部25を用いて特定する。そして、相関性評価手段213は、この組み合わせに含まれる全クレジット商品を利用する債務者の人数(利用者数)を算出する。
【0106】
次に、債権評価支援サーバ20の制御部21は、各クレジット商品の利用者総数に対する全クレジット商品の利用者数割合の算出処理を実行する(ステップS9−2)。具体的には、制御部21の相関性評価手段213は、組み合わせに含まれるクレジット商品の中で少なくとも1つ以上の商品を利用する全債務者を、商品別債権情報記憶部25を用いて特定し、その利用者総数を算出する。そして、相関性評価手段213は、組み合わせに含まれる全クレジット商品の利用者数を、組み合わせに含まれる各クレジット商品の利用者総数で除算した共通利用者割合を算出する。
【0107】
次に、債権評価支援サーバ20の制御部21は、関連性が高いクレジット商品の特定処理を実行する(ステップS9−3)。具体的には、制御部21の相関性評価手段213は、算出した共通利用者割合が共通利用基準値を超えているクレジット商品の組み合わせ(関連性が高いクレジット商品)を特定する。
【0108】
次に、債権評価支援サーバ20の制御部21は、関連性が高い商品の債権をまとめてデフォルト率の算出処理を実行する(ステップS9−4)。具体的には、制御部21の相関性評価手段213は、特定したクレジット商品の債権をまとめて相関性評価処理を実行する。これにより、相互に関連性が高いクレジット商品については、まとめて相関性評価処理を行ない、共通したデフォルト率マップを作成することができる。
【0109】
・ 上記実施形態では、クレジット商品毎に、デフォルト率マップを作成する。これに代えて、クレジット商品の利用状況に応じて、任意のクレジット商品の組み合わせを指定して、デフォルト率マップを作成するようにしてもよい。この場合には、利用されているクレジット商品の組み合わせ毎に、債権管理レコード250を商品別債権情報記憶部25に記録する。そして、この組み合わせ毎に相関性評価処理を実行する。
これにより、複数の商品を利用している利用者や債権内容に応じて、デフォルト率との相関性を算出することができる。
【0110】
・ 上記実施形態では、デフォルト率を用いてグループ化指定を行なうことにより、マップ要素を決定する。これに代えて、プリペイメント率を用いてグループ化指定を行なうことにより、マップ要素を決定するようにしてもよい。この場合には、相関性評価処理において、プリペイメント率を用いる。
【0111】
また、デフォルト率と相関性がある個別項目と、プリペイメント率と相関性がある個別項目とを組み合わせて、グループ化指定を行なうようにしてもよい。この場合、相関性評価処理において、プリペイメント率及びデフォルト率を用いる。そして、プリペイメント率又はデフォルト率と相関性が高い個別項目を、グルーピング要素として特定する。ここで、デフォルト率と相関性が高い個別項目と、プリペイメント率と相関性が高い個別項目とを混在させてマップ要素を決定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0112】
10…クライアント端末、20…債権評価支援サーバ、21…制御部、211…債権情報取得手段、212…評価管理手段、213…相関性評価手段、214…マップ作成手段、215…予定表作成手段、216…時価算出手段、22…元データ記憶部、23…利用者情報記憶部、24…償却債権情報記憶部、25…商品別債権情報記憶部、26…回収リスク率マップ記憶部、27…回収予定表記憶部、28…評価基本情報記憶部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
債務者識別子に関連付けて、債務者の属性情報を記録した債務者情報記憶手段と、
債務者識別子に関連付けて、回収リスクが生じたかどうかを特定する情報とともに、償却された債権情報を記録した償却債権情報記憶手段と、
債務者識別子に関連付けて、債権残高がある債権情報を記録した現存債権情報記憶手段と、
会計管理処理を実行する制御手段とを備えた債権評価支援システムであって、
前記制御手段が、
前記償却債権情報記憶手段を用いて、回収リスクが生じた債務者識別子を特定し、前記債務者情報記憶手段から、前記債務者識別子の債務者の属性情報を取得する手段と、
前記属性情報又は債権情報に含まれる項目の分類毎に、前記償却債権情報記憶手段に記録された債権について回収リスク率を算出する手段と、
前記項目について、前記回収リスク率との相関指標を算出し、前記相関指標において相関性がある項目を特定する手段と、
前記特定された項目のマップ要素として、回収リスク率を算出した回収リスク率マップを作成する手段と、
前記現存債権情報記憶手段に記録された債権残高、及び前記回収リスク率マップを用いて前記会計管理処理を行なう手段と
を備えたことを特徴とする債権評価支援システム。
【請求項2】
前記会計管理処理において、
前記現存債権情報記憶手段に記録された債権の債権情報を用いて、回収予定時期及び回収予定金額を算出し、
前記債権が属するマップ要素を特定し、前記項目のマップ要素毎に、前記回収予定時期に応じて、前記回収予定金額を集計した回収予定表を作成することを特徴とする請求項1に記載の債権評価支援システム。
【請求項3】
前記会計管理処理において、前記回収リスク率マップのマップ要素毎に、前記回収リスク率と前記回収予定表とを用いて、回収予定額と回収時期とからなるキャッシュフローを算出することを特徴とする請求項2に記載の債権評価支援システム。
【請求項4】
前記会計管理処理において、前記キャッシュフローに含まれる各回収時期について回収予定金額を用いて現在価値を算出し、前記回収時期毎の現在価値を総和することを特徴とする請求項3に記載の債権評価支援システム。
【請求項5】
前記制御手段には、出力手段と入力手段とが接続されており、
相関性がある項目を、前記出力手段に出力し、前記入力手段を用いて選択された項目を用いて回収リスク率マップを作成することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の債権評価支援システム。
【請求項6】
前記償却債権情報記憶手段には、複数のクレジット商品の商品情報に関連付けて債権情報が記録されており、
特定の複数のクレジット商品の組み合わせにおいて、前記組み合わせの各クレジット商品を利用する総債務者数に対して、前記組み合わせの全クレジット商品を利用する債務者数の割合が高い場合には、前記クレジット商品の債権情報をまとめて回収リスク率マップを作成することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の債権評価支援システム。
【請求項7】
前記償却債権情報記憶手段から、複数の分析期間毎に、各分析期間内に償却された債権情報を取得し、
前記分析期間毎に、前記項目について、前記回収リスク率との相関指標を算出することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の債権評価支援システム。
【請求項8】
過去の回収リスク率マップを記録した履歴情報記憶手段を更に備え、
前記償却債権情報記憶手段に記録された債権情報を用いて、前記履歴情報記憶手段に記録された回収リスク率マップに含まれるマップ要素について回収リスク率実績を算出し、
前記回収リスク率マップに記録された回収リスク率と、前記回収リスク率実績とを比較し、
この比較結果に応じて、前記回収リスク率マップの再利用の可否を判定する手段を更に備えたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の債権評価支援システム。
【請求項9】
債務者識別子に関連付けて、債務者の属性情報を記録した債務者情報記憶手段と、
債務者識別子に関連付けて、回収リスクが生じたかどうかを特定する情報とともに、償却された債権情報を記録した償却債権情報記憶手段と、
債務者識別子に関連付けて、債権残高がある債権情報を記録した現存債権情報記憶手段と、
会計管理処理を実行する制御手段とを備えた債権評価支援システムを用いて、債権評価を支援する方法であって、
前記制御手段が、
前記償却債権情報記憶手段を用いて、回収リスクが生じた債務者識別子を特定し、前記債務者情報記憶手段から、前記債務者識別子の債務者の属性情報を取得する段階と、
前記属性情報又は債権情報に含まれる項目の分類毎に、前記償却債権情報記憶手段に記録された債権について回収リスク率を算出する段階と、
前記項目について、前記回収リスク率との相関指標を算出し、前記相関指標において相関性がある項目を特定する段階と、
前記特定された項目のマップ要素として、回収リスク率を算出した回収リスク率マップを作成する段階と、
前記現存債権情報記憶手段に記録された債権残高、及び前記回収リスク率マップを用いて前記会計管理処理を行なう段階と
を実行することを特徴とする債権評価支援方法。
【請求項10】
債務者識別子に関連付けて、債務者の属性情報を記録した債務者情報記憶手段と、
債務者識別子に関連付けて、回収リスクが生じたかどうかを特定する情報とともに、償却された債権情報を記録した償却債権情報記憶手段と、
債務者識別子に関連付けて、債権残高がある債権情報を記録した現存債権情報記憶手段と、
会計管理処理を実行する制御手段とを備えた債権評価支援システムを用いて、債権評価を支援するためのプログラムであって、
前記制御手段を、
前記償却債権情報記憶手段を用いて、回収リスクが生じた債務者識別子を特定し、前記債務者情報記憶手段から、前記債務者識別子の債務者の属性情報を取得する手段、
前記属性情報又は債権情報に含まれる項目の分類毎に、前記償却債権情報記憶手段に記録された債権について回収リスク率を算出する手段、
前記項目について、前記回収リスク率との相関指標を算出し、前記相関指標において相関性がある項目を特定する手段、
前記特定された項目のマップ要素として、回収リスク率を算出した回収リスク率マップを作成する手段、
前記現存債権情報記憶手段に記録された債権残高、及び前記回収リスク率マップを用いて前記会計管理処理を行なう手段
として機能させることを特徴とする債権評価支援プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−88971(P2013−88971A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228001(P2011−228001)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(592131906)みずほ情報総研株式会社 (187)