説明

債権買取査定支援システム及び債権買取査定支援方法

【課題】信頼性の高い査定を容易に行う債権買取査定支援システムの提供。
【解決手段】顧客個人情報を格納した顧客マスタ110と、債務に対する過去返済情報を格納した取引データベース109と、顧客マスタ110及び取引データベース109に格納した顧客個人情報及び返済情報を基に債務者を債務返済能力の査定を支援する買取査定支援コンピュータ104とを含み、買取査定支援コンピュータ104が、取引番号及び債務返済の取引日に基づいて債務者の返済状況別に点数を付与した取引スコアを算出する取引スコア処理と、顧客個人情報に基づいた債務者の債務回収の期待度に分類した複数のグループ区分にグループ分けするグループ分け処理と、グループ区分及び債務者の個人情報を含む査定データとに基づいて査定データが属するグループ区分に属するかを判定するグループ算出処理とを実行する債権買取査定支援システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、法務省が営業を許可した債権回収会社(以下、「サービサー」という。)が、主に消費者金融会社やノンバンク等が個人を対象に貸付けた比較的小口の無担保・無保証のキャッシング・カードローン等の貸金債権(以下、「小口債権」という。)を購入する際の査定(値付け)の判定を行うことができる債権買取査定支援システム及び債権買取査定支援方法に係り、特に小口の個々の小口債権の詳細な査定を行うことなく容易に多量の小口債権の査定を行うことができる債権買取査定支援システム及び債権買取査定支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、金融機関の不良債権処理が一段落し、サービサーが扱う債権数は10年間で約140倍に増加しているが、債権金額は21倍の増加にとどまっており、1債権あたりの平均残高が約15%にまで減少し、債権単価が小さな小口債権が増加したことによって、サービサー各社は小口債権の取扱い数を増加させている。
【0003】
この小口債権は、一般的に数百から数万の大量債権を一単位として取引されることからコンピュータシステムによる支援が、査定業務の効率化を図るために必要とされている。
【0004】
なお、金融期間等における顧客信用度の審査を判定する技術が記載された文献としては、下記特許文献1が挙げられ、この特許文献1には、融資金額等の最低限度を点数化したランク点と月間売上を含む資金力とを対比して算出した限度金額とをそれぞれテーブルで記憶し、特定顧客の実際の資産と借入金をそれぞれバランス点テーブルに当嵌め実際のバランス点を求め、実際の月間売り上げ金額と従業員数を業績点テーブルに当嵌め営業規模を借入金に置換した基準借入金を業績点として求め、求めたバランス点に求めた業績点を加減算し、資金力が一定金額に満たない場合に所定のカット率を乗算して実際のランク点を求め、実際の月間売上金額と求められたランク点とから実際の融資等の限度金額を求め、この限度額とランク点に基づき融資の可能性を審査する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−73981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記の特許文献1に記載の技術は、借り手側の資産と借入金のバランスと平均売上げと従業員数による業績見込みと一般的な顧客対する融資安全性のランクと、売上金額と資金力による限度金額等の情報に対して係数による調整を行ったスコアリング結果を算出し、与信を目的とした借りた側の信用度を算出するものであるが、収支の観点から支払い余力を判断するものであって、既存顧客の取引情報や属性情報を判断材料として取り入れていないため、信頼性の高い査定を得ることが困難であるという課題があった。
【0007】
本発明の目的は、前述の従来技術による課題を解決しようとするものであり、既存債務者の実際の取引から導いた債務者の取引スコアを設定し、この取引スコアを参照することによって、個々の小口債権の詳細な査定を行うことなく信頼性の高い査定を行うことができる債権買取査定支援システム及び債権買取査定支援方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために本発明は、顧客の個人情報を格納した顧客マスタと、債務者の債務に対する過去の返済情報を格納した取引データベースと、該顧客マスタ及び取引データベースに格納した顧客個人情報及び返済情報を基に債務者を債務返済能力の査定を支援する買取査定支援コンピュータとを備える債権買取査定支援システムであって、
債務者の氏名と性別と年齢と婚姻有無と子有無と持家有無と家族同居有無と職業有無とを含む顧客個人情報並びに債務者の債務回収の期待度によって分類された複数のグループ区分とを格納した顧客マスタと、
債務者の過去の債務の取引番号と債務返済取引日と取引金額を格納した取引データベースと、
前記取引データベースに格納した取引番号及び債務返済の取引日に基づいて債務者の返済状況別に点数を付与した取引データ毎の取引スコアを算出する取引スコア処理部と、前記顧客マスタに格納した顧客個人情報に基づいた債務者の債務回収の期待度に分類した複数のグループ区分にグループ分けするグループ分け処理部と、前記顧客マスタに格納した前記グループ区分及び債務者の個人情報を含む査定データとに基づいて前記査定データが属するグループ区分に属するかを判定するグループ算出処理部とを含む債務査定支援コンピュータとを備えたことを第1の特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記第1の特徴の債権買取査定支援システムにおいて、前記債務査定支援コンピュータが、債権買取査定支援が、査定データに含まれる債務者の個人情報と前記顧客マスタに格納した債務者の個人情報とに基づいて個人情報が一致する査定データを同一の債務者として一元管理する名寄せ処理を行う名寄せ処理部を備えたことを第2の特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記第1又は第2の特徴の債権買取査定支援システムにおいて、前記取引スコア処理部が、前記取引データベースに格納した債務返済の取引日が取引スコア算出時を基準とした過去の所定月数内の返済回数に基づいて点数を付与した取引スコアを算出することを第3の特徴とする。
【0011】
また、本発明は、前記何れかの特徴の債権買取査定支援システムにおいて、前記取引スコア処理部が、取引スコアを算出するとき、取引スコア算出時を基準として過去の所定月数未満の取引データの取引データ算出を行わないことを第4の特徴とする。
【0012】
更に、本発明は、債務者の氏名と性別と年齢と婚姻有無と子有無と持家有無と家族同居有無と職業有無とを含む顧客個人情報並びに債務者の債務回収の期待度によって分類された複数のグループ区分とを格納した顧客マスタと、債務者の過去の債務の取引番号と債務返済取引日と取引金額を格納した取引データベースと、該顧客マスタ及び取引データベースに格納した顧客個人情報及び返済情報を基に債務者を債務返済能力の査定を支援する買取査定支援コンピュータの債権買取査定支援方法であって、
前記債務査定支援コンピュータに、前記取引データベースに格納した取引番号及び債務返済の取引日に基づいて債務者の返済状況別に点数を付与した取引データ毎の取引スコアを算出する取引スコア処理工程と、前記顧客マスタに格納した顧客個人情報に基づいた債務者の債務回収の期待度に分類した複数のグループ区分にグループ分けするグループ分け処理工程と、前記顧客マスタに格納した前記グループ区分及び債務者の個人情報を含む査定データとに基づいて前記査定データが属するグループ区分に属するかを判定するグループ算出処理工程とを実行させることを第5の特徴とする。
【0013】
また、本発明は、前記特徴の債権買取査定支援方法において、前記債務査定支援コンピュータに、前記査定データに含まれる債務者の個人情報と前記顧客マスタに格納した債務者の個人情報とに基づいて個人情報が一致する査定データを同一の債務者として一元管理する名寄せ処理を行う名寄せ処理工程を実行させることを第6の特徴とする。
【0014】
また、本発明は、前記第4又は第5の特徴の債権買取査定支援方法において、前記取引スコア処理部に、前記取引データベースに格納した債務返済の取引日が取引スコア算出時を基準とした過去の所定月数内の返済回数に基づいて点数を付与した取引スコアを算出させることを第7の特徴とする。
【0015】
また、本発明は、前記何れかの特徴の債権買取査定支援方法において、前記取引スコア処理部に、取引スコアを算出するとき、取引スコア算出時を基準として過去の所定月数未満の取引データの取引データ算出を行わせないことを第8の特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明による債権買取査定支援システム及び債権買取査定支援方法は、買取査定支援コンピュータが、取引番号及び債務返済の取引日に基づいて債務者の返済状況別に点数を付与した取引スコアを算出する取引スコア処理と、顧客個人情報に基づいた債務者の債務回収の期待度に分類した複数のグループ区分にグループ分けするグループ分け処理と、グループ区分及び債務者の個人情報を含む査定データとに基づいて査定データが属するグループ区分に属するかを判定するグループ算出処理とを実行することによって、個々の小口債権の詳細な査定を行うことなく信頼性の高い査定を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態による債権買取査定支援システムの全体構成を示す図。
【図2】本発明の実施形態による取引スコア処理フローを示す図。
【図3】本発明の実施形態によるグループ分け処理フローを示す図。
【図4】本発明の実施形態によるディシジョンツリー構成を示す図。
【図5】本発明の実施形態による名寄せ処理フローを示す図。
【図6】本発明の実施形態によるグループ算出処理フローを示す図。
【図7】本発明の実施形態による顧客マスタの構成を示す図。
【図8】本発明の実施形態による顧客マスタのデータサンプルを示す図。
【図9】本発明の実施形態による取引データベースの構成を示す図。
【図10】本発明の実施形態による取引データベースのデータサンプルを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明による債権買取査定支援方法を実現する債権買取査定支援システムの一実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
[構成]
本発明による債権買取査定支援システム及び同方法は、取引データベースに保存されている既存債務者の過去の実取引データから、入金の有無と入金頻度と完済の有無等の回収実績等をスコアリングした情報(取引スコア)と、既存債務者の顧客マスタに登録済の属性データをディシジョンツリーにてグループ分けした情報から、グループ毎のランクを付けておき、査定を行う際、査定対象者の属性から該当するグループを判定して信用度(回収の期待度)の目安とし、査定対象者の名寄せ処理を実行することによって、対象者が既存債務者に該当した場合に当該債務者の取引スコアを直接参照し、信頼性の高い査定を行うものである。なお、本実施形態による査定支援システムとは、無担保、無保証の、個人を対象としたキャッシング、カードローン等の小口債権を大量に購入する際の査定判断を効率的に行うものを対象とする。
【0020】
本実施形態による買取査定支援コンピュータ104は、図1に示す如く、査定業務を行うコンピュータであるクライアント端末101とネットワーク102を介して接続され、債務者の過去の債務及び返済に関する取引データを格納した取引データベース(DB)109と、該取引データベース109の取引データを基に取引スコアを算出する取引スコア処理部105と、債権者(査定対象者)の個人情報に含まれる属性から判別したグループ分けを行うグループ分け処理部106と、債務者の個人情報を含む顧客データを格納した顧客マスタ110と、査定データ及び顧客マスタ110を照合して債務者の名寄せ処理(査定データに含まれる債務者の個人情報と顧客マスタに格納した債務者の個人情報とに基づいて個人情報が一致する査定データを同一の債務者として一元管理する処理)を行う名寄せ処理部107と、査定データがどのグループ区分に属するかを判断するグループ算出処理部108から構成される。
【0021】
前記顧客マスタ110は、図7に示す如く、債権者氏名と、該債権者氏名の読み表記であるカナ氏名と、債権者の性別と、債権者の生年月日と、債権者の婚姻有無を表す婚姻区分と、債権者の子供の有無を表す子区分と、持ち家の有無を表す持ち家区分と、家族と同居か否かを表す同居区分と、債権者の職業種類(経営/勤務/無職/専業主婦[夫]他)を表す職業区分と、後述する本実施形態の特徴である取引スコアと、既存債務が完済したか否かを表す完済FLG(フラグ)と、本実施形態により分類された債務者を分類したグループ区分と、債権の買取日(譲渡日)の各項目情報から構成され、具体的には、図8に示す如く、債権者氏名が「日立太郎」、カナ氏名が「ヒタチ タロウ」、性別が「1」(男性)と、生年月日が「1970/01/01」、婚姻区分が「1」(既婚)、子区分が「1」(あり)、持ち家区分が「1」(持ち家)、同居区分が「1」(同居)、職業種類が「2」(勤務)、取引スコアが「55」、完済FLGが「1」(完済)、買取日が「2009/10/15」の如く登録されている。
【0022】
即ち、本実施形態による顧客マスタ110は、性別と年齢と婚姻有無と子有無と持家有無と家族同居有無と職業区分とを含む顧客個人情報並びに債務者の過去の債務返済状況に応じて設定した取引スコア並びに後述する債務者の一般的な信用度(回収の期待度)によって区分けした債務者のグループ区分とを格納している。
【0023】
前記取引データベース109に格納される取引データは、図9に示す如く、取引ログのシステムが付与した通し番号を表す取引番号と、当該取引処理を実行する前の残高を表す前回残高と、当該取引の年月日を表す入出金日と、当該取引の取引金額を表す入出金額と、当該取引処理実行後の残高を表す取引残高の各項目とから構成され、具体的には、図10に示す如く、取引番号が「10123」、前回残高が「1.250.000」、入出金日が「20101015」、入出金額が「50.000」、取引残高が「1111.200.000」の如く登録される。
【0024】
また、前記取引スコア処理部105が入金の有無と入金頻度と完済の有無等の回収実績等をスコアリングした点数である取引スコアとは、例えば、図2(b)に示す如く、取引状況が完済の債務者ではスコア「30」、3ヶ月以内の入金が3回以上の債務者ではスコア「5」、3ヶ月以内の入金が2回の債務者ではスコア「3」、3ヶ月以内の入金が1回の債務者ではスコア「1」、3ヶ月から1年未満に入金がない債務者ではスコア「−5」、直近の1年間の入金がない債務者ではスコア「−10」の如く、債務者の未返済がない場合はスコア「30」、直近1年間に返済がない場合にスコア「−10」の如く、債務の毎月返済状況に応じて、返済率が高い債務者にはプラスの配点、逆に返済が滞っている債務者に対してはマイナスの配点の如く段階的にスコア(点数)を設定するものであるが、このスコア数に限られるものではない。
【0025】
前記グループ分け処理部106が実行する顧客マスタ110に登録した属性データのグループ分け処理とは、前記図7に示した債権者の婚姻区分と子区分と年代と持家区分と性別と同居区分と職業区分の各条件に基づいて判定するものである。例えば、既婚、子有、30歳以上、持ち家有り、男性、家族同居、職有りの全条件を満たす債権者をAグループとし、未婚、子無し、20歳代、持ち家無し、女性、独居、職無しの全条件を満たす債権者をHグループと区分するような債務回収の期待度をグープ分けするものであって、図4に示す如く、1回目処理401において「既婚/未婚」を判定し、2回目処理において「子あり/子なし」判定又は「30歳以上/20歳代」を判定し、3回目処理403において「持家/賃借」の判定又は「男性/女性」の判定又は「家族同居/独居」を判定又は「職あり/無職」の判定を行い、これら判定の組み合わせによってAグループからHグループに分けたものであって、債務者の一般的な信用度(回収の期待度)によってグループ区分に分類するものである。
【0026】
[動作]
さて、このように構成された本実施形態による債権買取査定支援システムは、取引スコアを算出するとき、取引スコア処理部105が、図2(a)に示す如く、既存の債務者個々の取引データを取引データベース109から読込むステップ202と、図2(b)に示した取引スコアの設定に基づいて買取6ヶ月未満か否かを判定するステップ203と、該ステップ203において買取6ヶ月未満と判定したとき、処理を行わずに終了するステップ208と、前記該ステップ203において買取6ヶ月未満でないと判定したとき、完済FLG(フラグ)が有るか否かを判定し、あると判定したときに前記ステップ208に移行するステップ204と、該ステップ204において完済FLGがないと判定したとき、前月が完済か否かを判定し、前月完済と判定したときに完済FLGを顧客マスタ110に登録するステップ209に移行するステップ205と、該ステップ205において前月完済でないと判定したとき、取引状況から取引スコアを導出するステップ206と、該ステップ206によって導出した取引スコアを顧客マスタ110に加算するステップ207とを順次実行することによって、定期的な入金(返済)実績がある顧客はプラスの取引スコアを保持し、入金のない顧客はマイナスの取引スコアとなり、取引実績に基づく客観的なスコアリングを行うように構成している。
【0027】
なお、前記ステップ203による買取6ヶ月未満か否かの判定は、債権買取後6ヶ月を経過しない債権が、サービサーが債権回収行為を行っていないために取引がない可能性があり、これを除くためであり、ステップ204による完済FLG有無の判定は既に完済している場合、新たに取引スコアを算出する必要がないためである。
【0028】
次いで、本実施形態による債権買取査定支援システムは、取引スコアと顧客の属性データからグループ分けを行うとき、図3に示す如く、顧客マスタ110から図7に示した顧客マスタデータを読み込むステップ303と、該読み込んだ顧客マスタデータに取引スコアが含まれているか否かを判定(前記の図2を参照して説明したように、買取後6ヶ月を経過していない債権は取引スコアが設定されていないブランクであり、これを判定)し、含まれていないと判定したとき、処理を行わずに終了するステップ310に移行するステップ304と、該ステップ304において取引スコアが含まれていると判定したとき、顧客マスタデータを取引ポイントの上位50%と下位50%に分けるステップ305と、この分けた上位と下位に分けた顧客マスタデータの最も特徴を示す属性(例えば、「既婚・未婚」の属性項目が最も特徴を示す属性項目)を導出するステップ306と、この導出した属性の構成比が5%未満か否かを判定するステップ307と、該ステップ307において5%未満と判定したときに次の特徴を示す属性を導出して前記ステップ305に戻るステップ311と、前記ステップ307において5%未満でないと判定したとき、処理回数が2回未満か否かを判定するステップ308と、該ステップ308において処理回数が2回未満と判定したときに使用済属性の排除を行って前記ステップ305に戻るステップ302と、前記ステップ308において処理回数が2回未満でないと判定したき、顧客マスタ110にグループを登録して処理を終了するステップ309とを実行することによって、前記した図4の如く、例えば、最も優劣の特徴を示す属性項目が「既婚・未婚」の場合、「既婚・未婚」の属性項目で二つのグループへ分類し、上段が上位属性の「既婚」、下段が下位属性の「未婚」で二分されたグループに対し、それぞれステップ305及びステップ306の2回目処理を実行し、4グループへ分類し、同様に3回目処理を実行することによって、最終的にAからHの8グループへ分類を行い、導出されたグループ区分を顧客マスタ312へ記録するように動作する。
【0029】
なお、前記ステップ307の属性が5%未満か否かの判定は、特徴を示す属性の構成率が5%未満である場合、例外的な傾向を示している可能性があり、次に特徴を示す属性にてグループ分けを行うためである。
【0030】
更に、本実施形態による債権買取査定支援システムは、査定データの名寄せ処理を行う場合、図5に示す如く、査定データ501を取り込むステップ502と、この取り込んだ査定データと顧客マスタ110に登録した既存の債務者個々の取引データに基づいて、「a:該当あり(特定)」、「b:複数該当あり」、「c:該当なし」のいずれかに名寄せ処理を行うステップ503と、この名寄せ処理を行った取引データの顧客が既存顧客か否かを判定するステップ504と、該ステップ504において「a:該当あり(特定)」と判定したとき、該当者の一覧を出力するステップ506と、前記ステップ504において「b:複数該当あり」と判定したとき、重複した該当者明細を出力するステップ505と、該ステップ505にて出力した重複明細を基に債権を特定した場合を想定して手操作での入力を行うステップ507と、前記ステップ504において「c:該当なし」と判定したとき、グループ算出処理を行うステップ512と、前記ステップ507によって入力した債権者及びステップ506によって出力した債権者を基に取引スコアを照会して前記ステップ512に出力するステップ508と、該ステップ508によって照会した取引スコアを出力するステップ509と、この出力された取引スコアの結果一覧を出力するステップ510とを実行することによって、重複した債権者の取引データの名寄せ処理を行うことができる。
【0031】
次いで本実施形態による債権買取査定支援システムは、グループ算出処理を行う場合、グループ算出処理部108が、条件を入力するステップ601と、該ステップ601によって入力された条件を設定するステップ603と、査定データ501を読み込むステップ604と、図6(b)に示す条件1(既婚/未婚)を判定するステップ605と、該ステップ605において既婚(優)と判定したとき、条件2(子有無)を判定するステップ606と、該ステップ606において子あり(優)と判定したとき、条件4(持家/賃借)を判定するステップ608と、前記ステップ606において子なし(劣)と判定したとき性別を判定するステップ609と、前記ステップ605の条件1において未婚(劣)と判定したとき条件3(年代)を判定するステップ607と、該ステップ607において30歳以上(優)と判定したときに条件6(家族同居/独居)を判定するステップ610と、前記ステップ607の年代判定において20歳代(劣)と判定したときに条件7(職の有無)を判定するステップ611とを実行し、前記条件4(持家/賃借)において持家(優)と判定したときにグループAとし、賃借(劣)と判定したときにグループBとし、前記ステップ609の条件5(性別)において男性と判定したときにグループCとし、女性と判定したときにグループDとし、前記ステップ610の条件6の家族同居か否かの判定において同居(優)と判定したときにグループEとし、独居と判定したときにグループFとし、前記ステップ611の条件7(職の有無)において職ありと判定したときにグループGとし、職なしと判定したときにグループHと判定するグループのアウトプットを行うステップ612と。該ステップ612によって出力したグループ算出結果の一覧を出力して処理を終了するステップ613とを実行することによって、複数の条件の判定結果に応じて債務者をグループ分けすることができる。
【0032】
このようにグループ算出処理部108は、債務者の債務を返済する可能性が高い社会的な評価基準(既婚/未婚、子有無、年代、持家/賃借、性別、家族同居有無、職の有無)を判定条件として設定し、この判定条件の組み合わせによる判定結果によって債務者をグループ分けすることができる。
【0033】
以上述べた如く、本実施形態による債権買取査定支援システムは、取引スコア処理部105が債務者の過去の債務返済状況を点数として導出した取引スコアを設定すると共に、グループ算出処理部108が債務者の債務を返済する可能性が高い社会的な評価基準(既婚/未婚、子有無、年代、持家/賃借、性別、家族同居有無、職の有無)を判定条件として設定し、この判定条件の組み合わせによる判定結果によって債務者をグループ分けし、これら取引スコア及びグループ分けの結果によって、例えば、取引スコア(点数)が高く且つグループが上位(例えば、グループA〜D)の債務者に対してより信頼性の高い査定を行うことができる。
【0034】
即ち、本実施形態による債権買取査定支援システムは、既存債務者の実際の取引から導いた過去の取引スコアと、既存顧客の実際の属性データのデータ分析から導出したグループとを設定し、個々の査定対象者の属性データが、どのループに属するかを判断することによって、個々の小口債権の詳細な査定を行うことなく債権回収の信用度を容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0035】
101 クライアント端末、102 ネットワーク、
103 買取査定支援システム、104 買取査定支援コンピュータ、
105 取引スコア処理部、106 グループ分け処理部、107 名寄せ処理部、
108 グループ算出処理部、109 取引データベース、110 顧客マスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客の個人情報を格納した顧客マスタと、債務者の債務に対する過去の返済情報を格納した取引データベースと、該顧客マスタ及び取引データベースに格納した顧客個人情報及び返済情報を基に債務者を債務返済能力の査定を支援する買取査定支援コンピュータとを備える債権買取査定支援システムであって、
債務者の氏名と性別と年齢と婚姻有無と子有無と持家有無と家族同居有無と職業有無とを含む顧客個人情報並びに債務者の債務回収の期待度によって分類された複数のグループ区分とを格納した顧客マスタと、
債務者の過去の債務の取引番号と債務返済取引日と取引金額を格納した取引データベースと、
前記取引データベースに格納した取引番号及び債務返済の取引日に基づいて債務者の返済状況別に点数を付与した取引データ毎の取引スコアを算出する取引スコア処理部と、前記顧客マスタに格納した顧客個人情報に基づいた債務者の債務回収の期待度に分類した複数のグループ区分にグループ分けするグループ分け処理部と、前記顧客マスタに格納した前記グループ区分及び債務者の個人情報を含む査定データとに基づいて前記査定データが属するグループ区分に属するかを判定するグループ算出処理部とを含むタとを含む債権買取査定支援債務査定支援コンピュータとを備えたことを特徴とする債権買取査定支援システム。
【請求項2】
前記債務査定支援コンピュータが、前記査定データに含まれる債務者の個人情報と前記顧客マスタに格納した債務者の個人情報とに基づいて個人情報が一致する査定データを同一の債務者として一元管理する名寄せ処理を行う名寄せ処理部を備えたことを特徴とする請求項1記載の債権買取査定支援システム。
【請求項3】
前記取引スコア処理部が、前記取引データベースに格納した債務返済の取引日が取引スコア算出時を基準とした過去の所定月数内の返済回数に基づいて点数を付与した取引スコアを算出することを特徴とする請求項1又は2記載の債権買取査定支援システム。
【請求項4】
前記取引スコア処理部が、取引スコアを算出するとき、取引スコア算出時を基準として過去の所定月数未満の取引データの取引データ算出を行わないことを特徴とする請求項1から3何れかに記載の債権買取査定支援システム。
【請求項5】
債務者の氏名と性別と年齢と婚姻有無と子有無と持家有無と家族同居有無と職業有無とを含む顧客個人情報並びに債務者の債務回収の期待度によって分類された複数のグループ区分とを格納した顧客マスタと、債務者の過去の債務の取引番号と債務返済取引日と取引金額を格納した取引データベースと、該顧客マスタ及び取引データベースに格納した顧客個人情報及び返済情報を基に債務者を債務返済能力の査定を支援する買取査定支援コンピュータを備えるコンピュータシステムの債権買取査定支援方法であって、
前記債務査定支援コンピュータに、前記取引データベースに格納した取引番号及び債務返済の取引日に基づいて債務者の返済状況別に点数を付与した取引データ毎の取引スコアを算出する取引スコア処理工程と、前記顧客マスタに格納した顧客個人情報に基づいた債務者の債務回収の期待度に分類した複数のグループ区分にグループ分けするグループ分け処理工程と、前記顧客マスタに格納した前記グループ区分及び債務者の個人情報を含む査定データとに基づいて前記査定データが属するグループ区分に属するかを判定するグループ算出処理工程とを実行させることを特徴とする債権買取査定支援方法。
【請求項6】
前記債務査定支援コンピュータに、前記査定データに含まれる債務者の個人情報と前記顧客マスタに格納した債務者の個人情報とに基づいて個人情報が一致する査定データを同一の債務者として一元管理する名寄せ処理を行う名寄せ処理工程を実行させることを特徴とする請求項5記載の債権買取査定支援方法。
【請求項7】
前記取引スコア処理部に、前記取引データベースに格納した債務返済の取引日が取引スコア算出時を基準とした過去の所定月数内の返済回数に基づいて点数を付与した取引スコアを算出させることを特徴とする請求項5又は6記載の債権買取査定支援方法。
【請求項8】
前記取引スコア処理部に、取引スコアを算出するとき、取引スコア算出時を基準として過去の所定月数未満の取引データの取引データ算出を行わせないことを特徴とする請求項5から7何れかに記載の債権買取査定支援方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−238073(P2012−238073A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105137(P2011−105137)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(000233491)株式会社日立システムズ (394)