説明

充填ノズル

【課題】クリーニングや維持管理のために簡易な取付け取外しが可能であって、メッシュを十分に固定することができる充填ノズルを提供する。
【解決手段】ノズル本体と、ノズル本体から液体を吐出する吐出口に配設されるメッシュ41と、吐出口に臨む底部にメッシュ41を収容して固定しノズル本体の下端に着脱自在に取付けられるノズル先端部14とからなり、ノズル先端部14は、メッシュ41を係合段14aに固定しノズル先端部14の内壁との係合を確保する固定確保バネとを有し、固定確保バネ45は、2個の閉ループの線状バネ45a、45bからなり、線状バネ45a、45bは、2本の側面Z字状対角バネと、対角バネと対角バネの上端と下端とで平行に連結する2本の平行バネとからなり、対角バネがノズル先端部の内壁に係合することによる変形によって、メッシュ41の周辺を下方及び外方に、バネの復元力を付加して、メッシュ41の固定を確保する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動性食品などの液体を容器に定量ずつ充填する液体定量充填装置に用いられる充填ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
ジュースや牛乳などの液体食品などは、冷蔵用の屋根型紙容器に充填される。例えば、図4(b)に図示するような屋根型紙容器15では、図4(a)に図示するような空容器15の上部開口15aに、液体食品が、定量ずつ充填する液体定量充填装置を用いて、充填される。
【0003】
液体定量充填装置の充填ノズルでは、下端開口縁部内面に環状の上向き受け面および下向き押え面が所定間隔をおいて向き合うように設けられている垂直筒状ノズル本体と、受け面および押え面の間に周縁部を介在させるように多段に配されかつノズル本体内の液体の表面張力によって同液体の自重による流下を防止する複数の多孔板(メッシュ)と、隣接する多孔板(メッシュ)の周縁部間に介在させられている環状スペーサとを備えており、多孔板(メッシュ)の孔が、多孔板(メッシュ)の周縁部を含めた全体に散在するようにあけられている。(特許文献1参照)
また、垂直筒状ノズル本体の下端開口に、液体の重力による流下を、液体の表面張力により防止する複数の多孔板(メッシュ)を多段に配置し、隣接する多孔板(メッシュ)の周縁部間に環状スペーサを介在させ、多孔板(メッシュ)の周縁部に、これの全周にわたってのびた環状の孔無し部を設ける。(特許文献2参照)
【0004】
ホルダがメッシュをノズル内に保持し、このホルダが、バネ特性の棒状材を閉ループにした立体形状を有し、ノズルに着脱する場合はバネ特性によりホルダ外形が縮小し、ノズルへの着脱が容易にできる。この立体形状は、棒状材を菱形に閉ループに形成し、相対する頂点を結ぶ直線を軸にして鋭角に折り曲げて成る立体形状である、又は、棒状材を、相対する2本の平行な直線とそれらを繋ぐ2本の略円弧曲線との閉ループに形成し、前記直線と前記曲線との交点で垂直に折り曲げて成る立体形状である。(特許文献3参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平04−97010号公報
【特許文献2】特開平09−99914号公報
【特許文献3】特開2002−12206号公報
【特許文献4】実開昭64−47604号公報
【特許文献5】特開昭59−1396号公報
【特許文献6】特開昭58−216587号公報
【特許文献7】特開平9−112613号公報
【特許文献8】特開昭48−93846号公報
【特許文献9】実開昭50−94352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の充填ノズルでは、クリーニングや維持管理のための煩雑な取付け取外し作業を必要とし、また、充填ノズルの上部と下部とでは断面形状が、例えば、角形から円形に変化し、用途に応じて厚みに異なる多孔板(メッシュスクリーン)が用いられることなどによって、多孔板(メッシュスクリーン)の不十分な固定、取り外しのしにくさと、衛生性などの不都合がある。
【0007】
本発明は、上記の必要性、切望に応えるものであり、クリーニングや維持管理のために簡易な取付け取外しが可能であって、ノズル内部形状の差異、多孔板(メッシュ)の厚みの違いなどにも拘らず、多孔板(メッシュ)を十分に固定することができる充填ノズルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題を解決する本発明の充填ノズルは、液体を容器に定量ずつ充填する液体定量充填装置が容器に液体を吐出する位置に配設される充填ノズルであって、
ノズル本体と、ノズル本体から液体を吐出する吐出口に配設されるメッシュと、吐出口に臨む底部にメッシュを収容して固定しノズル本体の下端に着脱自在に取付けられるノズル先端部とからなり、
ノズル先端部は、ノズル本体の下端を収容する上部開口と、ノズル本体と係合する係合手段と、下端に形成された吐出口と、吐出口からメッシュの落下を防止する係合段と、メッシュを係合段に固定しノズル先端部の内壁との係合を確保する固定確保バネとを有し、
固定確保バネは、2個の閉ループの線状バネからなり、線状バネは、2本の側面Z字状対角バネと、対角バネと対角バネの上端と下端とで平行に連結する2本の平行バネとからなり、ノズル先端部の内壁と係合し対向して挿入される際に、2個の線状バネがそれぞれ邪魔することがないように平行バネの長さが異なり、
対角バネがノズル先端部の内壁に係合することによる変形によって、メッシュの周辺を下方及び外方に、バネの復元力を付加して、メッシュの固定を確保する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記構成の本発明によれば、以下の作用機能を発揮し、有利な効果が得られる。
本発明の充填ノズルは、液体食品を容器に定量ずつ充填する液体定量充填装置に配設される。充填ノズルは空容器に液体を吐出する位置に配設され、容器の開口から液体食品を容器内に充填する。
充填ノズルは、垂直筒状ノズル本体と、ノズル本体から液体を吐出する吐出口に配設されるメッシュと、吐出口に臨む底部にメッシュを収容して固定しノズル本体の下端に着脱自在に取付けられるノズル先端部とからなる。
【0010】
液体は、ノズル本体の筒内部を降下して通過し、ノズル本体の下端吐出口から吐出する。メッシュが吐出口に配設されている。このメッシュが、定量ずつ容器に充填する為に、液体の重力による流下を液体の表面張力により防止する。
ノズル先端部は、吐出口に臨む底部にメッシュを収容して固定しノズル本体の下端に着脱自在に取付ける。ノズル先端部を着脱することで、充填ノズルの中で最もクリーニングや維持管理が必要なメッシュを容易に簡易に取り外し取付けることができる。
【0011】
ノズル先端部は、ノズル本体の下端を収容する上部開口と、ノズル本体と係合する係合手段、具体的には、例えば、ノズル本体とバヨネットによって係合する係合溝と、下端に形成された吐出口と、吐出口からメッシュの落下を防止する係合段と、メッシュを係合段に固定しノズル先端部の内壁との係合を確保する固定確保バネとを有する。
ノズル本体から流れてきた液体食品は、ノズル先端部の上部開口から流入し、下端に形成された吐出口より出る。ノズル先端部は、上部開口でノズル本体下端を収容し、ノズル本体と係合手段、例えば、バヨネット方式によって係合溝と係合する。
ここで係合手段のためのバヨネットは、2〜4箇所の爪部分と溝がノズル本体とノズル先端部につけられており、ノズル先端部を差し込み爪と溝とを嵌合させ、そのままひねることで装着が可能となる。
【0012】
ノズル先端部は、吐出口に臨む底部にメッシュを収容する。メッシュは、ノズル先端部の係合段と引っ掛かって落下防止される。下から係合段で支えられるメッシュは、更に、固定確保バネによって固定される。
固定確保バネは、対角バネと対角バネの上端と下端とで平行に連結する2本の平行バネとからなり、ノズル先端部の内壁と係合し対向して挿入される際に、2個の線状バネがそれぞれ邪魔することがないように平行バネの長さが異なる。
対角バネがノズル先端部の内壁に係合することによる変形によって、メッシュの周辺を下方及び外方に、バネの復元力を付加して、メッシュの固定を確保する、
【0013】
本発明の充填ノズルの固定確保バネによって、メッシュ及びノズル先端部を、クリーニングや維持管理のために簡易に取付け、また取外しが容易に可能となる。
他方、固定確保バネのバネによって、多孔板(メッシュ)を十分に固定することができる。
固定確保バネのバネが、メッシュの周辺を下方及び外方に、バネの復元力を付加するので、機械的に弱い中央部のメッシュを破損することが無い。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明による充填ノズル例であって、線状バネ例を示す斜視図である。
【図2】この発明による充填ノズル例であって、ノズル先端部に線状バネを装着した様子を示す断面図である。
【図3】この発明による充填ノズル例であって、ノズル先端部に線状バネを装着した様子を示す斜視図及び斜視断面図である。
【図4】充填前の包装容器例(a)及び、充填封止後の包装容器例(b)の斜視図である。
【図5】充填ノズルが配設された液体定量充填装置を示す斜視透視図である。
【図6】ノズル先端部からメッシュを取外した分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図5は、液体定量充填装置の参考例を概略的に示す。
この液体定量充填装置は、液体食品を収容するタンク11、タンク11内の液体食品を計量する往復動型の計量用ポンプ12、計量用ポンプ12に接続された充填ノズル13及び、ノズル先端部14からなる。タンク11内の液体食品は、計量用ポンプ12によって定量ずつ計量され、充填ノズル13及び、ノズル先端部14を介して上端が開口されたカートン(容器)15に充填される。
液体定量充填装置例は、コンベヤ上の容器の搬送経路上方に配置される。
【0016】
液体食品は、計量用ポンプ12を駆動してタンク11から液体食品を吸い込む吸込モード、及び吸い込んだ液体食品を充填ノズル13に送り出す送出しモードによって計量され、充填される。
図5は、吸込モードの状態を示し、液体食品は矢印方向に計量用ポンプ12に吸い込まれる。
タンク11の底部には吐出開口が形成され、タンク11内は吐出開口及び吸込弁を介して計量用ポンプ12の計量スペースと連通する。吐出開口の下方に弁本体が取り付けられ、弁本体の下方に弁ハウジングが取り付けられる。弁ハウジングの下方に充填ノズル13及びノズル先端部14が取り付けられる。
【0017】
図1〜図3を参照して、本発明による充填ノズルの実施例を概略的に説明する。
充填ノズルは、液体を容器に定量ずつ充填する液体定量充填装置に配設される。充填ノズル13は容器15に液体を吐出する位置に配設され、容器15の開口15aから液体食品を容器内に充填する。
充填ノズルは、垂直筒状ノズル本体13と、ノズル本体から液体を吐出する吐出口44に配設されるメッシュ41a、41b、41cと、吐出口44に臨む底部にメッシュを収容して固定しノズル本体の下端に着脱自在に取付けられるノズル先端部14とからなる。
【0018】
液体は、ノズル本体13の筒内部を降下して通過し、ノズル本体の下端の下方の吐出口44から吐出する。メッシュ41a、41b、41cが吐出口44に配設されている。このメッシュが、定量ずつ容器に充填する為に、液体の重力による流下を液体の表面張力により防止する。
ノズル先端部14は、吐出口44に臨む底部にメッシュ41を収容して固定しノズル本体の下端に着脱自在に取付ける。ノズル先端部14を着脱することで、充填ノズルの中で最もクリーニングや維持管理が必要なメッシュ41を容易に簡易に取り外し取付けることができる。
【0019】
ノズル先端部14は、ノズル本体の下端を収容する上部開口43と、ノズル本体13とバヨネット(係合手段)によって係合する係合溝42と、下端に形成された吐出口44と、吐出口44からメッシュの落下を防止する係合段14aと、メッシュ41を固定しノズル本体との係合を確保する固定確保バネの2個の線形バネ45a,45bとを有する。
ノズル本体13から流れてきた液体食品は、ノズル先端部の上部開口43から流入し、下端に形成された吐出口44より出る。ノズル先端部14は、上部開口43でノズル本体下端を収容し、ノズル本体13とバヨネット方式によって係合溝42と係合する。
ここでバヨネットは、2〜4箇所の爪部分と溝がノズル本体13とノズル先端部14につけられており、ノズル先端部を差し込み爪と溝とを嵌合させ、そのままひねる事で装着が可能となる。
【0020】
ノズル先端部14は、吐出口に臨む底部にメッシュ41a、41b、41cを収容する。メッシュは、ノズル先端部の係合段14aと引っ掛かって落下防止される。下から係合段14aで支えられるメッシュ44は、更に、固定確保バネ45の2個の線形バネ45a,45bによって固定される。
固定確保バネ45の2個の線形バネ45a,45bは、上部開口43を通過可能な寸法を有する。
固定確保バネ45は、対角バネ45cと、対角バネ45cの上端と下端とで平行に連結する2本の平行バネ45dとからなり、ノズル先端部の内壁と係合し対向して挿入される際に、2個の線状バネがそれぞれ邪魔することがないように平行バネの長さが異なる。実施例では、線形バネ45aの平行バネの長さが,線形バネ45bの平行バネの長さより長い。
【0021】
上記構造によって、対角バネがノズル先端部の本体46の内壁に係合することによる変形によって、メッシュの周辺を下方及び外方に、バネの復元力を付加して、メッシュの固定を確保する、
ここでバネは、金属などの弾性体の復元力を利用し、弾性エネルギーを蓄積する機械要素である。バネに力を加え、弾性エネルギーを蓄積することを蓄勢(ちくせい)という。弾性体は弾性範囲内ではかかった力に応じて変形し、かかった力を取り去ればもとの形に戻る。これを応用して、力をかけて変形させ、あるいは変形させることで力を蓄えることができる
【0022】
実施例の充填ノズルの固定確保バネ45によって、メッシュ41a、41b、41c及びノズル先端部14を、クリーニングや維持管理のために簡易に取付け、また取外しが容易になる。
固定確保バネ45のバネ45bによって、メッシュ41を十分に固定する。
固定確保バネ45のバネ45bが、メッシュ41の周辺を下方及び外方に、バネの復元力を付加するので、機械的に弱い中央部のメッシュを破損することが無い。
更に、固定確保バネのバネ45bとリング45aとは、ノズル先端部14の内部周辺部に位置するようになり、その中央部・中心部が空洞になるので、液体食品の流れを妨げる不要なものがない。
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0023】
この発明は、ジュース、牛乳などの飲料を包装容器で包装充填する製造に適用することができる。
【符号の説明】
【0024】
11 ・・ タンク
12 ・・ 計量用ポンプ
13 ・・ 充填ノズル
14 ・・ ノズル先端部
14a・・ 係合段
41 ・・ メッシュ
45 ・・ 固定確保バネ
42 ・・ 係合溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を容器に定量ずつ充填する液体定量充填装置が容器に液体を吐出する位置に配設される充填ノズルであって、
ノズル本体と、該ノズル本体から液体を吐出する吐出口に配設されるメッシュと、該吐出口に臨む底部に該メッシュを収容して固定し該ノズル本体の下端に着脱自在に取付けられるノズル先端部とからなり、
該ノズル先端部は、該ノズル本体の下端を収容する上部開口と、該ノズル本体と係合する係合手段と、下端に形成された該吐出口と、該吐出口から該メッシュの落下を防止する係合段と、該メッシュを該係合段に固定し該ノズル先端部の内壁との係合を確保する固定確保バネとを有し、
該固定確保バネは、2個の閉ループの線状バネからなり、該線状バネは、2本の側面Z字状対角バネと、該対角バネと該対角バネの上端と下端とで平行に連結する2本の平行バネとからなり、該ノズル先端部の内壁と係合し対向して挿入される際に、2個の該線状バネがそれぞれ邪魔することがないように該平行バネの長さが異なり、
該対角バネがノ該ズル先端部の内壁に係合することによる変形によって、該メッシュの周辺を下方及び外方に、バネの復元力を付加して、メッシュの固定を確保する、
ことを特徴とする充填ノズル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−232754(P2012−232754A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−100774(P2011−100774)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000229232)日本テトラパック株式会社 (259)
【Fターム(参考)】