説明

先ピン切替式のテストリード

【課題】テストリードの先ピンを所望の先ピンに迅速に取り替えて測定作業を効率よく行うことのできる先ピン切替式のテストリードを提供する。
【解決手段】把持部を構成する細長形状の筒状とされるテストリード本体10と、テストリード本体10内に、テストリード本体10の長手方向に摺動自在に収納された複数本の測定プローブ31(31a、31b、31c)と、各測定プローブ31に作用し、選択されたいずれかの測定プローブ31の先ピン11をテストリード本体10の先端部10bに形成した先端穴12から突出させるための操作部20と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般には、測定切替スイッチにより電圧、電流、電気抵抗等の測定が可能であり、測定結果をデジタル表示部により表示するDMM(デジタルマルチメータ)などの計測機器のテストリードに関し、特に、複数の探針(即ち、先ピン)を選択的にテストリード先端より突出させて使用することのできる先ピン切替式のテストリードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、測定切替スイッチにより電圧、電流、電気抵抗等の測定が可能であり、測定結果をデジタル表示部により表示するデジタルマルチメータが広く使用されている。デジタルマルチメータの一例を、本願添付の図8に示す。
【0003】
本例に示すように、通常、デジタルマルチメータ1は、メータ本体2と、メータ本体2に接続された一対のテストリード3(3A、3B)とにて構成される。メータ本体2には、測定切替スイッチ4及びデジタル表示部5などが設けられている。
【0004】
ユーザは、メータを使用するに際して、メータ本体2に設けられた、本例ではロータリスイッチとされる測定切替スイッチ4を回して、測定対象、即ち、ファンクションを設定する。つまり、デジタルマルチメータ1は、図示するように、例えば、直流電圧(DCV)と交流電圧(ACV)が測定可能であって、ロータリスイッチ4を「OFF」位置から、「ACV」位置、或いは、「DCV」位置へと回し、ファンクションを設定する。
【0005】
その後、測定に際しては、一般に、ユーザは、メータ本体2をテーブル等に置き、テストリード3(3A、3B)をそれぞれの手に持って、テストリード3の先ピン11(11a、11b)を被測定物に接触させて測定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−249142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このようなデジタルマルチメータ1を使用しての測定作業においては、有効な測定作業を効率よく行うために、被測定物に合わせて所定形状寸法をした先ピン11を備えたテストリード3を選択して使用することがある。
【0008】
従来、このような場合には、一旦、測定作業を中断し、現在使用中のテストリード3を装置本体2から取り外し、所望の先ピンを備えたテストリード3(3A、3B)を新たに装置本体2に接続し直す作業が必要となる。斯かるテストリードの取り替え作業は面倒であり、また、少なくともテストリードの取り替えに必要な時間は測定作業を中断せざるを得ず測定作業時間を長くする原因ともなる。
【0009】
そこで、本発明の目的は、テストリードの先ピンを他の所望の先ピンに迅速に取り替えて測定作業を効率よく行うことのできる先ピン切替式のテストリードを提供することである。
【0010】
本発明の他の目的は、不使用時には、測定プローブをテストリード本体(グリップ)内に収納し、先ピンの損傷、或いは、周辺の損傷を防ぐことのできる先ピン切替式のテストリードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的は本発明に係る先ピン切替式のテストリードにて達成される。要約すれば、本発明は、
把持部を構成する細長形状の筒状とされるテストリード本体と、
前記テストリード本体内に、前記テストリード本体の長手方向に摺動自在に収納された複数本の測定プローブと、
前記各測定プローブに作用し、選択されたいずれかの前記測定プローブの先ピンを前記テストリード本体の先端部に形成した先端穴から突出させるための操作部と、
を有することを特徴とする先ピン切替式のテストリードである。
【0012】
本発明の一実施態様によると、前記操作部は、前記測定プローブの前記先ピンとは反対側端部に備えた操作部材と、前記測定プローブを前記テストリード本体内へと付勢している付勢部材と、を備え、
前記操作スイッチを前記付勢部材の力に抗して操作することにより、前記測定プローブの先ピンを前記テストリード本体の先端穴から突出させる。
【0013】
本発明の他の実施態様によると、前記テストリード本体は、前記テストリード本体の前記先端穴が形成された側とは反対側の後端部に、前記テストリード本体の軸線方向に沿って案内溝が形成された支持部を備え、前記操作スイッチは、前記案内溝内を摺動自在に配置されている。
【0014】
本発明の他の実施態様によると、前記操作スイッチは、前記操作スイッチを前記付勢部材の力に抗して操作することにより、前記測定プローブの先ピンを前記テストリード本体の先端穴から突出させたとき、前記後端支持部に係止して前記操作スイッチをその場に係止する係止部を有する。
【0015】
本発明の他の実施態様によると、前記測定プローブは、一端に前記先ピンを備え、他端に前記操作スイッチが連結された細長形状のプローブ軸を備えており、
前記テストリード本体は、軸内に、前記プローブ軸を支持するための貫通穴が形成されたガイド部材を一体に有しており、
前記付勢部材は、前記ガイド部材と前記操作スイッチとの間に配設され、前記操作スイッチを前記テストリード本体の後端部側へと付勢している。
【0016】
本発明の他の実施態様によると、前記先ピンは、バネ性を有する作動片により前記プローブ軸に連結されている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、テストリードの先ピンを他の所望の先ピンに迅速に取り替えて測定作業を効率よく行うことができる。また、不使用時には、測定プローブをテストリード本体(グリップ)内に収納し、先ピンの損傷、或いは、周辺の損傷を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る先ピン切替式のテストリードの一実施例の全体外観図である。
【図2】図2(a)は、先ピン切替式のテストリードの概略構成断面図であり、図2(b)は、テストリード後端部側から見た図である。
【図3】図3(a)は、測定プローブの先ピン形状を示す図であり、図3(b)は、測定プローブの一実施例の全体外観図である。
【図4】測定プローブの一実施例の先ピンの作動態様を説明する図である。
【図5】図5(a)は、図2(a)の線A−Aに取った断面図であり、図5(b)は、図5(a)にて操作部材を除去した時のテストリード本体支持部の断面図であり、図5(c)は、図5(b)と同様の斜視図であり、図5(d)は、操作部材の斜視図である。
【図6】図5(a)の線B−Bに取った断面図である。
【図7】図6と同様の断面図であり、操作部材が移動した状態を示す。
【図8】従来のデジタルマルチメータの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る先ピン切替式のテストリードを図面に則して更に詳しく説明する。
【0020】
実施例1
図1は、本発明に係る先ピン切替式のテストリード3の一実施例の全体外観図であり、図2は、本実施例の先ピン切替式のテストリード3の概略構成断面図である。
【0021】
本発明の先ピン切替式のテストリード3は、図8を参照して説明したデジタルマルチメータ1のような計測機器のテストリード3(3A、3B)として使用することができる。従って、本発明の先ピン切替式のテストリード3が使用される計測機器1についての説明は、先の説明を援用し、ここでの説明は省略する。
【0022】
図1及び図2を参照すると、本実施例にて、先ピン切替式のテストリード3は、測定時にユーザが手に把持するための把持部(グリップ)を構成する細長形状の概略筒状の軸とされるテストリード本体10と、該軸10内に、長手方向に摺動自在に収納配置された複数本の測定プローブ31(31a、31b、31c)とを有している。また、先ピン切替式のテストリード3は、各測定プローブ31に作用し、選択されたいずれかの測定プローブ31の先端探針(先ピン)11(11a、11b、11c)をテストリード本体10の先端部10aに形成した先端穴12から突出させるための先ピン切替操作部(以下、単に「操作部」という。)20を有している。
【0023】
(テストリード本体)
テストリード本体10は、電気的に絶縁性の、例えば合成樹脂などにて作製された断面が円形、多角形、或いはその他任意の形状を有した細長形状の概略筒状軸体とされ、一体に作製することができる。
【0024】
なお、本実施例にて、テストリード本体10は、一体に作製された筒状軸体であるとして説明するが、勿論、これに限定されるものではなく、図示してはいないが、先端部に先ピン突出可能とされる先端穴12が形成された先細形状の筒状の先軸と、詳しくは後述するように、後端部に操作スイッチ案内溝41a等が形成された筒状の後軸とにて構成することも可能である。
【0025】
なお、本実施例では、テストリード本体10の先端部には、先端穴12に隣接して環状の鍔部とされるバリア10cが一体に形成されている。バリア10cは、使用時にユーザが先ピン11に接触するのを防止する滑り止め機能をなす。勿論、バリア10cはなくても良い。
【0026】
(測定プローブ)
本実施例にて、先ピン11(11a、11b、11c)は、導電性であり且つバネ性を有する材料、例えば、リン青銅、ベリリウム銅などで作製された作動片33(33a、33b、33c)によりプローブ軸31の一端に連結されている。
【0027】
また、プローブ軸31は、電気的に絶縁性の例えば合成樹脂にて作製された一体の細長部材とすることもできるが、本実施例では、図3(b)に示すように、作動片33が固着された剛性のある第1プローブ軸部材31Aと、測定プローブの多少の変形を可能とするために、好ましくは弾性を持った第2プローブ軸部材31Bとを連結具31Cにて一体に連結することによって作製される。連結具31Cの構成は、任意の構成とすることができ、単に一方の軸部を他方の凹部に押入して固定する構成でもよい。又は接続リングで両者を固定しても良い。
【0028】
プローブ軸31は、図2(a)に示すように、第2プローブ軸部材31B部分をテストリード本体軸内に固定したプローブ軸ガイド部材34の貫通穴35に摺動自在に嵌合されて支持されている。
【0029】
詳しくは図示していないが、図3に示すように、各測定プローブ31のプローブ軸31(31A、31B)内には、作動片33を介して電気的に接続されたケーブル61(61a、61b、61c)(図3(b)参照)が一体に挿通されており、プローブ軸端から引き出され、接続ケーブル6を構成している。
【0030】
また、上記説明では、本実施例にて、テストリード本体10は、一体に作製された筒状軸体であるとして説明したが、勿論、これに限定されるものではなく、図示してはいないが、複数の部材から構成することもでき、例えば、先端部に先ピン突出可能とされる先端穴12が形成された先細形状の先軸と、詳しくは後述するように、後端部に先ピン切替操作スイッチ案内溝(以下、単に「案内溝」という。)41(41a、41b、41c)等が形成された後軸とにて構成することもできる。この場合には、先軸の後端部と、後軸の先端部とは、上記ガイド部材34にて一体に接続することができる。
【0031】
上述にて理解されるように、本実施例の測定プローブ31(31a、31b、31c)は、その全体構成は同様の構成とされるが、大きく異なるのは、先ピン11(11a、11b、11c)の形状が異なっている。即ち、図3(a)(a−1)、(a−2)、(a−3)を参照すると、第1の測定プローブ31aの先ピン11aは、被測定物が細かくない場合のものであって、一般的なテストリードと同じ太さの、即ち、直径2mm程度の寸法形状とされ、第2の測定プローブ31bの先ピン11bは、マイコンのピンのようなものに接触させたい場合のものであって、非常に細い、即ち、直径1mm程度の寸法形状とされる。第3の測定プローブ31cの先ピン11cは、ワイヤーを当たりたい場合のものであって、引っ掛け型の、即ち、鉤状の形状とされる。ユーザは、所望に応じて、いずれかの測定プローブ31を使用して測定を行なう。
【0032】
特に、第3の測定プローブ31cを使用する場合には、図2(a)、図4(a)、(b)に示すように、先ピン切替操作部材(以下、単に「操作部材」という。)21cの先ピン切替操作スイッチ(以下、単に「操作スイッチ」という。)21c2を操作することにより先ピン11cをテストリード本体先端穴12から外方へと突出した状態とし、被対象物であるワイヤーWに引っ掛け、次いで操作部材21cの操作スイッチ21c2を離すことにより、先ピン11cはテストリード本体内へと引っ込み、ワイヤーWを先ピン11cとテストリード本体先端部10aの端面10a1との間に挟持する態様で測定が行なわれる。詳しくは後述する。
【0033】
(操作部)
図2を参照すると、操作部20は、測定プローブ31の先ピン11とは反対側端部に設けた操作部材21(21a、21b、21c)と、測定プローブ31をテストリード本体10内へと付勢している付勢部材22と、を備えている。従って、通常、不使用時には測定プローブ31の先ピン11(11a、11b、11c)は、テストリード本体10内に引込められており、先ピンの損傷、或いは、周辺の損傷を防ぐことができる。一方、操作部材21を付勢部材22の力に抗して操作することにより、測定プローブ31の先ピン11をテストリード本体10の先端穴12から突出させることが可能とされる。図2では、操作部材21aが操作され、先ピン11aが先端穴12から突出している。
【0034】
更に説明すると、図5(a)〜(d)、図6、図7をも参照すると、テストリード本体10は、テストリード本体10の先端穴12が形成された側とは反対側の後端部10bに、支持部40(40A、40B、40C)が形成されている。後端支持部40には、テストリード本体10の軸線方向に沿って、テストリード本体内に収納される測定プローブ31の数に相当して複数の、本実施例では三つの、案内溝41(41a、41b、41c)が形成される。
【0035】
つまり、案内溝41aは、支持部40A、40Cの軸線方向に形成された側面41aa、41abにて形成され、同様に、案内溝41bは、支持部40A、40Bの軸線方向に形成された側面41ba、41bcにて形成され、案内溝41cは、支持部40B、40Cの軸線方向に形成された側面41cb、41ccにて形成される。
【0036】
操作部材21(21a、21b、21c)は、それぞれ、対応する案内溝41(41a、41b、41c)内に嵌合して摺動自在に配置されている。つまり、後端支持部40は、テストリード本体の後端部にて案内溝41(41a、41b、41c)により三つの支持部40A、40B、40Cに分割された支持部構造とされる。
【0037】
操作部材21(21a、21b、21c)の全体構成は同様の構成とされるので、操作部材21aについて説明する。
【0038】
図5、図6にて、操作部材21aは、案内溝41aの軸線(長手)方向に沿って形成された細長操作台部材21a1と、この細長操作台部材21a1から半径方向外方へと、即ち、案内溝41aから半径方向外方へと突出するように設けられた摘み部、即ち、操作スイッチ21a2と、この操作スイッチ21a2とは反対方向に細長操作台部材21a1から内方向へと突出して且つ細長操作台部材21a1の軸線方向に沿って所定距離だけ設けられた操作案内部材21a3と、を有している。
【0039】
図5(a)〜(d)に示すように、操作案内部材21a3は、案内溝41aの軸線方向に直交する断面にて細長操作台部材21a1より幅が狭くされており、従って、細長操作台部材21a1とガイド部材21a3により形成される肩部21a4が、案内溝部41aの内方部に形成された支持部40A、40Cの支持突起42a、42aに摺動自在に当接して支持される。
【0040】
上述したように、他の操作部材21b、21cもまた上記操作部材21aと同様に、案内溝部41b、41cの内方部に形成された支持部40A、40B;40B、40Cの支持突起42b、42b;42c、42cに摺動自在に当接して支持される。
【0041】
従って、操作部材21a、21b、21cは、操作スイッチ21a2、21b2、21c2を付勢部材22の力に抗して操作することにより、測定プローブ31の先ピン11をテストリード本体10の先端穴12から突出させることができる。
【0042】
また、本実施例によれば、各操作部材21a、21bの細長操作台部材21a1、21b1には、図5(d)に示すように、支持突起42a、42a;42b、42bに係止して操作部材21a、21bをその場に係止する係止部21a5、21b5が形成されている。ただ、後述する理由から、本実施例においては、操作部材21cには係止部は形成されない。
【0043】
付勢部材22は、本実施例では、コイルばねとされ、ガイド部材32と操作部材21a、21b、21cとの間に配設され、操作部材21a、21b、21c、従って、操作スイッチ21a2、21b2、21c2をテストリード本体10の後端部側へと付勢している。
【0044】
テストリード本体10の後端面には、閉止蓋35が取り付けられており、閉止蓋35にはケーブルカバー60が取り付けられている。図示してはいないが、各測定プローブ31のケーブル61(61a、61b、61c)がケーブルカバー60内へと案内され、ケーブル本体2に接続される。
【0045】
(操作態様)
次に、上記構成の先ピン切替式のテストリード3の操作態様について説明する。
【0046】
通常、先ピン切替式のテストリードにおける操作部材21(21a、21b、21c)は、テストリード本体10の後端部側に移動されており、先ピン11(11a、11b、11c)は、テストリード先端穴12から外方へと突出してはおらず、テストリード本体内に引込められている。
【0047】
ユーザは、測定に際して、所望の先ピンをテストリード先端穴12から外方へと突出させるべく、所定の操作部材21の操作スイッチ21a2、21b2、21c2を、案内溝41a、41b、41cに沿って、例えば、図1、図2にて、第1の測定プローブ31aに関して言えば、操作部材21aの操作スイッチ21a2をテストリード本体10の後端部側からテストリード先端穴12方向へと、付勢部材22の付勢力に抗して、図1、図2にて上方へと移動させる。
【0048】
この操作により、操作部材21aは、支持部40A、40C(図5(a))の支持突起42a、42aに支持案内されて、図6の状態から、図6にて上方矢印方向へと移動する。これにより、先ピン11aは、テストリード本体10の先端穴12から突出する。また、このとき、図7に図示するように、操作部材21aが支持部40A、40Cの支持突起42a、42aとの係合がなくなることにより、この時点にて、操作部材21aは、操作スイッチ21a2によりテストリード本体内方へと半径方向(矢印方向)に押下される。
【0049】
従って、操作部材21aの端面係止部21a5が支持突起42aの下面に係合する。この係合は、付勢部材22の力により外されることはなく、操作部材21aは、押下された状態に保持される。つまり、先ピン11aは先端穴12から突出した状態に維持される。
【0050】
尚、第3の測定プローブ31cを使用する場合には、上述したように、図4(a)、(b)に示すように、操作部材21cの操作スイッチ21c2を操作することにより先ピン11cをテストリード本体先端穴12から外方へと突出した状態とし、被対象物であるワイヤーに引っ掛け、次いで操作部材21cの操作スイッチ21c2から手を離すことにより、付勢手段22の力により先ピンはテストリード本体内へと引っ込み、ワイヤーWを先ピン11cとテストリード本体先端部10aの端面10a1との間に挟持する。
【0051】
従って、第3の測定プローブ31cの操作部材21cの端面には、図5〜図7に示すように、第1、第2の測定プローブ31a、31bの係止部21a5、21b5のような係止部は形成されていない。そのため、操作部材21cの操作スイッチ21c2から手を離すと、操作部材21cは、テストリード本体後端側へと戻り、先ピン11cはテストリード本体内へと引っ込み、ワイヤーWを先ピン11cに挟持した状態となる。
【0052】
また、例えば、第1の測定プローブ31aが使用されている段階で、他の第2及び第3の測定プローブ31b、31cに切り替える場合について説明する。
【0053】
例えば、次に、第2の測定プローブ31bが使用されるとすると、第2の測定プローブ31bについても、先に説明した第1の測定プローブ31aの場合と同様に、先ピン11bをテストリード本体10の先端穴12から突出させるために、操作部材21bを、図6にて上方矢印方向へと移動させる。この操作により、操作部材21bは、操作スイッチ21b2によりテストリード本体内方へと半径方向(矢印方向)に押下され、操作部材21bの端面係止部21b5が支持突起42bの下面に係合し、先ピン11bは先端穴12から突出した状態に維持される。
【0054】
この過程において、図7を参照すれば理解されるように、第2の測定プローブ31bのガイド部材21b3(図7におけるガイド部材21c3に相当)が、第1の測定プローブ31aの押下されているガイド部材21a3に当接し、ガイド部材21a3を半径方向外方向(矢印とは反対方向)へと押し上げる。これにより、第1の測定プローブ31aは、操作部材21aの端面係止部21a5が支持突起42aの下面に対する係合が外され、操作部材21aは、付勢手段22により、図6にて矢印とは反対の下方へと移動される。つまり、先ピン11aは先端穴12から引込められる。
【0055】
このように、本発明によれば、一つの測定プローブの先ピンを使用状態へと操作することにより、現在使用中の他の先ピンはテストリード本体10内へと引込められる。
【0056】
本発明の先ピン切替式のテストリード3は、テストリード3の先ピン11(11a、11b、11c)を、テストリード3のテストリード本体に設けられた操作スイッチ21a2、21b2、21c2を操作するだけで、今まで使用していた先ピンを他の所望の先ピンに迅速に取り替えることができる。従って、測定作業を効率よく行うことができる。また、不使用時には、測定プローブは、テストリード本体(グリップ)内に収納し、先ピンの損傷、或いは、周辺の損傷を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0057】
10 テストリード本体
12 先端穴
20 操作部
21(21a、21b、21c) 操作部材
31(31a、31b、31c) 測定プローブ
40(40A、40B、40C) テストリード本体支持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
把持部を構成する細長形状の筒状とされるテストリード本体と、
前記テストリード本体内に、前記テストリード本体の長手方向に摺動自在に収納された複数本の測定プローブと、
前記各測定プローブに作用し、選択されたいずれかの前記測定プローブの先ピンを前記テストリード本体の先端部に形成した先端穴から突出させるための操作部と、
を有することを特徴とする先ピン切替式のテストリード。
【請求項2】
前記操作部は、前記測定プローブの前記先ピンとは反対側端部に備えた操作部材と、前記測定プローブを前記テストリード本体内へと付勢している付勢部材と、を備え、
前記操作スイッチを前記付勢部材の力に抗して操作することにより、前記測定プローブの先ピンを前記テストリード本体の先端穴から突出させることを特徴とする請求項1に記載の先ピン切替式のテストリード。
【請求項3】
前記テストリード本体は、前記テストリード本体の前記先端穴が形成された側とは反対側の後端部に、前記テストリード本体の軸線方向に沿って案内溝が形成された支持部を備え、
前記操作スイッチは、前記案内溝内を摺動自在に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の先ピン切替式のテストリード。
【請求項4】
前記操作スイッチは、前記操作スイッチを前記付勢部材の力に抗して操作することにより、前記測定プローブの先ピンを前記テストリード本体の先端穴から突出させたとき、前記後端支持部に係止して前記操作スイッチをその場に係止する係止部を有することができることを特徴とする請求項3に記載の先ピン切替式のテストリード。
【請求項5】
前記測定プローブは、一端に前記先ピンを備え、他端に前記操作スイッチが連結された細長形状のプローブ軸を備えており、
前記テストリード本体は、軸内に、前記プローブ軸を支持するための貫通穴が形成されたガイド部材を一体に有しており、
前記付勢部材は、前記ガイド部材と前記操作スイッチとの間に配設され、前記操作スイッチを前記テストリード本体の後端部側へと付勢していることを特徴とする請求項3又は4に記載の先ピン切替式のテストリード。
【請求項6】
前記先ピンは、バネ性を有する作動片により前記プローブ軸に連結されていることを特徴とする請求項5に記載の先ピン切替式のテストリード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−61166(P2013−61166A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198177(P2011−198177)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000227180)日置電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】