説明

光カプラ収納ユニット

【課題】 カプラトレイに実装する光カプラの数を増やすことにより、一つのカプラトレイで処理できる光ファイバケーブルの本数増やす。
【解決手段】 ラック2と、ラック2に出し入れ可能に装着されたカプラトレイ7と、光ファイバケーブル20を複数の光ファイバ心線21に分岐する複数の光カプラ16からなる光カプラ群15とを備えた光カプラ収納ユニット1であって、前記カプラトレイ7に、前記光カプラ群15を前記カプラトレイ7の出し入れ方向の前後に並ぶように複数列に実装した光カプラ収納ユニット1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光カプラ収納ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、光ファイバ通信網を構築する場合、ラックと、ラックに出し入れ可能に装着される複数のカプラトレイと、各カプラトレイに実装された複数の光カプラとを備えた光カプラ収納ユニット(光成端架、光成端箱ともいう。)を用い、この光カプラ収納ユニットを光ファイバ通信網の局舎内に複数設置し、各光カプラ収納ユニットに光ファイバケーブルを引き込み、各光ファイバケーブルを各光カプラ収納ユニットの各光カプラで複数の光ファイバ心線に分岐し、各光ファイバ心線を各光カプラ収納ユニットからそれぞれ引き出すことが行われている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−98138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような構成の光カプラ収納ユニットを用いて光ファイバケーブルを複数の光ファイバ心線に分岐する場合、光カプラ収納ユニットの各カプラトレイには、所定数量の光カプラが各カプラトレイの出し入れ方向に一列に並べられた状態で実装されているため、光カプラ収納ユニットで処理できる光ファイバケーブルの本数がカプラトレイの数に依存することになり、このため、処理する光ファイバケーブルの本数を増やしたい場合には、ラックを大型化するか、或いはラックの設置面積を増やす等の対策を採らなければならない。
【0005】
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みなされたものであって、一つのカプラトレイに実装する光カプラの数を増加させて、一つのカプラトレイで処理できる光ファイバケーブルの本数を増加させ、これにより、一つのラック当たりの光ファイバケーブルの処理本数を増やすことのできる光ファイバ収納ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記のような課題を解決するために、本発明は、以下のような手段を採用している。
すなわち、本発明は、ラックと、ラックに出し入れ可能に装着されたカプラトレイと、光ファイバケーブルを複数の光ファイバ心線に分岐する複数の光カプラからなる光カプラ群とを備えた光カプラ収納ユニットであって、前記カプラトレイに、前記光カプラ群を前記カプラトレイの出し入れ方向の前後に並ぶように複数列に実装したことを特徴とする。
【0007】
本発明の光カプラ収納ユニットによれば、複数の光カプラからなる光カプラ群を、カプラトレイの出し入れ方向の前後方向に並ぶように複数列に実装したので、一つのカプラトレイに光カプラ群を一列に実装したものに比べて、一つのカプラトレイに実装できる光カプラの数を大幅に増やすことができる。従って、一つのカプラトレイで処理できる光ファイバケーブルの本数を大幅に増やすことができるので、ラックの設置面積当たりの光ファイバケーブルの処理本数を大幅に増やすことができる。
【0008】
また、本発明において、前記各光カプラ群の各光カプラは、前面側に一つの入力ポートと複数の出力ポートとが設けられ、前面側の入力ポート及び出力ポートが前記カプラトレイの出し入れ方向の前方側に位置するように、前記カプラトレイに実装されていることとしてもよい。
【0009】
本発明の光カプラ収納ユニットによれば、カプラトレイの出し入れ方向の前方側から各光カプラ群の各光カプラの前面側の入力ポートに光ケーブルが接続され、各光ケーブルが各光カプラで複数の光ファイバ心線に分岐され、各光ファイバ心線が各光カプラの前面側の出力ポートからカプラトレイの外部に引き出されることになる。
【0010】
さらに、本発明において、前記各光カプラ群の各光カプラは、前面側に複数の出力ポートが設けられ、後面側に一つの入力ポートが設けられ、前面側の入力ポートが前記カプラトレイの出し入れ方向の前方側に位置するように、前記カプラトレイに実装されていることとしてもよい。
【0011】
本発明の光カプラ収納ユニットによれば、カプラトレイの出し入れ方向の前方側から各光カプラ群の各光カプラの後面側の入力ポートに光ケーブルが接続され、各光ケーブルが各光カプラで複数の光ファイバ心線に分岐され、各光ファイバ心線が各光カプラの前面側の出力ポートからカプラトレイの外部に引き出されることになる。
【0012】
さらに、本発明において、前記一の光カプラ群の各光カプラは、前面側に一つの入力ポートと複数の出力ポートとが設けられ、前面側の入力ポート及び出力ポートが前記カプラトレイの出し入れ方向の前方側に位置するように、前記カプラトレイに実装され、前記他の一の光カプラ群の各光カプラは、前面側に複数の出力ポートが設けられ、後面側に一つの入力ポートが設けられ、前面側の入力ポートが前記カプラトレイの出し入れ方向の前方側に位置するように、前記カプラトレイに実装されていることとしてもよい。
【0013】
さらに、本発明において、前記カプラトレイには、該カプラトレイと一体に出し入れ可能なケーブルクランプ棚が設けられ、該ケーブルクランプ棚に、前記各光カプラ群の各光カプラに接続された光ファイバケーブル、及び各光カプラから引き出された光ファイバ心線が、クランプによって支持されていることとしてもよい。
【0014】
本発明の光カプラ収納ユニットによれば、カプラトレイとケーブルクランプ棚とが一体に出し入れされることにより、各光カプラに接続された各光ファイバケーブル及び各光カプラから引き出された各光ファイバ心線に無理な力が加わるのが防止され、各光ケーブル各光ファイバ心線が断線等するのが防止される。
【発明の効果】
【0015】
以上、説明したように、本発明の光カプラ収納ユニットによれば、カプラトレイの出し入れ方向の前後に並ぶように複数の光カプラからなる光カプラ群を複数列に実装したので、一つのカプラトレイに一列に光カプラ群を実装したものに比べて、一つのカプラトレイに実装できる光カプラの数を大幅に増やすことができ、一つのカプラトレイで処理できる光ファイバケーブルの本数を大幅に増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明による光カプラ収納ユニットの第1の実施の形態のカプラトレイの全体を示した概略図である。
【図2】本発明による光カプラ収納ユニットの第2の実施の形態のカプラトレイの全体を示した概略図である。
【図3】本発明による光カプラ収納ユニットの第3の実施の形態のカプラトレイの全体を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
図1には、本発明による光カプラ収納ユニットの第1の実施の形態が示されている。本実施の形態の光カプラ収納ユニット1は、ラック2と、ラック2に複数段に出し入れ可能に装着される複数のカプラトレイ7と、各カプラトレイ7に複数列に実装される複数の光カプラ群15とを備えている。
なお、以下の各実施の形態においては、本発明を4段のカプラトレイ7を備えた光カプラ収納ユニット1に適用しているが、図示はしないが、各実施の形態において、3段以下又は5段以上のカプラトレイ7を備えた光カプラ収納ユニット1に本発明を適用してもよい。
【0018】
ラック2は、例えば、4本の支柱3〜6と、4本の支柱3〜6の上端に設けられる天板(図示せず)と、4本の支柱3〜6の下端に設けられる底板(図示せず)と、左右の2本の支柱3〜5、4〜6間にそれぞれ設けられる側板(図示せず)と、背面側の2本の支柱5、6間に設けられる背面板(図示せず)とから構成され、このラック2に前面側から複数のカプラトレイ7が出し入れ可能に装着されている。
【0019】
ラック2の左右の2本の支柱3〜5、4〜6の内面側には、左右一対のガイドレール(図示せず)がラック2の前後方向を向いた状態で設けられ、この一対のガイドレールによって各カプラトレイ7がラック2に出し入れ可能に支持されている。
なお、ガイドレールは、必ずしも設ける必要はなく、必要に応じて設ければよい。
【0020】
各カプラトレイ7は、左右一対の帯板状の側板(左側板8及び右側板9)と、両側板8、9の下端間を閉塞する四角形板状の底板10と、両側板8、9の後端間を閉塞する背面板11とを備えたものであって、左右の側板8、9の内面と背面板11の内面と底板10の上面とによって囲まれる部分に上方及び前方が開口する実装部14が設けられている。
【0021】
各カプラトレイ7の各側板8、9の前端には、外方に略直角に屈曲された所定幅の耳部12、13が一体に設けられ、各カプラトレイ7をラック2の内部に収納し、各耳部12、13をラック2の前面側の各支柱3、4の前面に係止させ、この状態で各耳部12、13をねじ(図示せず)によって各支柱3、4に固定することにより、各カプラトレイ7がラック2の内部に収納された状態に固定される。
【0022】
各カプラトレイ7の実装部14には、各カプラトレイ7の出し入れ方向と直交する方向に複数の光カプラ16を並べて構成した光カプラ群15が、各カプラトレイ7の出し入れ方向の前後に間隔をおいて複数列(本実施の形態では2列)に設けられている。
【0023】
各光カプラ群15を構成する各光カプラ16(光スプリッタともいう。)は、例えば、前面側の上部中央に1つの入力ポート17が設けられ、下部に4つの出力ポート18が横並びに設けられた4分極タイプの光カプラであって、各光カプラ16の入力ポート17に光ファイバケーブル20が接続され、各光カプラ16の内部で複数に分岐された各光ファイバ心線21が各出力ポート18から引き出されるようになっている。
【0024】
本実施の形態においては、カプラトレイ7の出し入れ方向の後方側に10個の光カプラ16を横並びに一列に配置して光カプラ群15を構成し、前方側に8つの光カプラ16を横並びに一列に配置して光カプラ群15を構成している。
【0025】
また、前方側の光カプラ群15の左端の光カプラ16とカプラトレイ7の左側板8との間、及び右端の光カプラとカプラトレイの右側板との間には、それぞれ所定の間隙19が設けられ、各間隙19を介して各光ファイバケーブル20が後方側の各光カプラ16に引き込まれ、後方側の各光カプラ16から引き出された各光ファイバ心線21が各間隙19を介してカプラトレイ7の前方側に引き出されるようになっている。
【0026】
カプラトレイ7の引き出し方向の前方側には、ケーブルクランプ棚22が一体に設けられ、カプラトレイ7とケーブルクランプ棚22とが一体に出し入れ可能に構成されている。ケーブルクランプ棚22にはクランプ23が設けられ、このクランプ23によって各光カプラ16に接続される各光ファイバケーブル20、及び各光カプラ16から引き出される各光ファイバ心線21が束ねられた状態で支持されている。
【0027】
上記ように構成した本実施の形態による光カプラ収納ユニット1にあっては、カプラトレイ7の実装部14に、複数の光カプラ16を横並びに一列に配置して構成した光カプラ群15を、カプラトレイ7の出し入れ方向の前後に複数列(本実施の形態では2列)に実装したので、実装部14に複数の光カプラ16からなる光カプラ群15を一列に実装したものに比べて、カプラトレイ7の実装部14へ実装可能な光カプラ16の数を大幅に増やすことができる。
【0028】
従って、一つのカプラトレイ7で処理できる光ファイバケーブル20の処理本数を大幅に増やすことができるので、ラック2を大型化することなく、また、ラック2の数を増やすことなく、光ファイバケーブル20の処理本数を増加させることができる。
【0029】
また、各カプラトレイ7の引き出し方向の前方側の部分には、ケーブルクランプ棚22が一体に設けられ、各カプラトレイ7とケーブルクランプ棚22とが一体に出し入れ可能に構成され、このケーブルクランプ棚22に設けられたクランプ23により、各光カプラ16に接続される各光ファイバケーブル20、及び各光カプラ16から引き出される光ファイバ心線21が支持されているので、各カプラトレイ7を出し入れする際に、最下段のカプラトレイ7のようにカプラトレイ7を出した状態でも、その上方の3段のカプラトレイ7のように入れた状態でも、各光ファイバケーブル20及び各光ファイバ心線21に無理な力が加わるようなことはなく、各光ファイバケーブル20及び各光ファイバ心線21の破断等を防止できる。
【0030】
なお、本実施の形態においては、各カプラトレイ7に2列に光カプラ群15を実装したが、3列以上に光カプラ群15を実装してもよい。また、本実施の形態においては、各光カプラ16に4分極タイプの光カプラを用いたが、その他の各種のタイプの光カプラを用いてもよい。
【0031】
図2には、本発明による光カプラ収納ユニットの第2の実施の形態が示されている。この光カプラ収納ユニット1は、各光カプラ16として、後面側に一つの入力ポート17が設けられ、前面側に4つの出力ポート18が設けられた4分極タイプの光カプラを用い、この光カプラ16を、4つの出力ポート18が縦並びとなるように、各カプラトレイ7に複数の光カプラ16を横並びに一列に配置して光カプラ群15を構成し、この光カプラ群15を各カプラトレイ7の出し入れ方向の前後に複数列(本実施の形態では2列)に実装したものであって、その他の構成は前記第1の実施の形態に示すものと同様である。
【0032】
そして、本実施の形態の光カプラ収納ユニット1にあっても、前記第1の実施の形態に示すものと同様に、カプラトレイ7の実装部14に、複数の光カプラ16を横並びに一列に配置して構成した光カプラ群15を、カプラトレイ7の出し入れ方向の前後に複数列(本実施の形態では2列)に実装したので、実装部14に複数の光カプラ16からなる光カプラ群15を一列に実装したものに比べて、カプラトレイ7の実装部14へ実装可能な光カプラ16の数を大幅に増やすことができる。
【0033】
従って、一つのカプラトレイ7で処理できる光ファイバケーブル20の処理本数を大幅に増やすことができるので、ラック2を大型化することなく、また、ラック2の数を増やすことなく、光ファイバケーブル20の処理本数を増加させることができる。
【0034】
また、本実施の形態においては、4つの出力ポート18が縦並びとなるように、各光カプラ16を実装部14に実装しているので、第1の実施の形態に示すものよりも、更に多くの光カプラ16を実装部14に実装できることになり、カプラトレイ7で処理できる光ファイバケーブル20の処理本数を更に増やすことができる。
【0035】
図3には、本発明による光カプラ収納ユニットの第3の実施の形態が示されている。この光カプラ収納ユニット1は、第1の実施の形態の光カプラ群15と第2の実施の形態の光カプラ群15とを組み合わせ、これらの光カプラ群15を各光カプラトレイ7の実装部14の出し入れ方向の前後に複数列に実装したものであって、その他の構成は前記第1及び第2の実施の形態に示すものと同様である。
【0036】
そして、本実施の形態の光カプラ収納ユニット1にあっても、前記第1の実施の形態及び第2の実施の形態に示すものと同様の作用効果を奏する。
【符号の説明】
【0037】
1 光カプラ収納ユニット
2 ラック
3、4、5、6 支柱
7 カプラトレイ
8 左側板
9 右側板
10 底板
11 背面板
12、13 耳部
14 実装部
15 光カプラ群
16 光カプラ
17 入力ポート
18 出力ポート
19 隙間
20 光ファイバケーブル
21 光ファイバ心線
22 ケーブルクランプ棚
23 クランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラックと、ラックに出し入れ可能に装着されたカプラトレイと、光ファイバケーブルを複数の光ファイバ心線に分岐する複数の光カプラからなる光カプラ群とを備えた光カプラ収納ユニットであって、
前記カプラトレイに、前記光カプラ群を前記カプラトレイの出し入れ方向の前後に並ぶように複数列に実装したことを特徴とする光カプラ収納ユニット。
【請求項2】
前記各光カプラ群の各光カプラは、前面側に一つの入力ポートと複数の出力ポートとが設けられ、前面側の入力ポート及び出力ポートが前記カプラトレイの出し入れ方向の前方側に位置するように、前記カプラトレイに実装されていることを特徴とする請求項1に記載の光カプラ収納ユニット。
【請求項3】
前記各光カプラ群の各光カプラは、前面側に複数の出力ポートが設けられ、後面側に一つの入力ポートが設けられ、前面側の入力ポートが前記カプラトレイの出し入れ方向の前方側に位置するように、前記カプラトレイに実装されていることを特徴とする請求項1に記載の光カプラ収納ユニット。
【請求項4】
前記一の光カプラ群の各光カプラは、前面側に一つの入力ポートと複数の出力ポートとが設けられ、前面側の入力ポート及び出力ポートが前記カプラトレイの出し入れ方向の前方側に位置するように、前記カプラトレイに実装され、前記他の一の光カプラ群の各光カプラは、前面側に複数の出力ポートが設けられ、後面側に一つの入力ポートが設けられ、前面側の入力ポートが前記カプラトレイの出し入れ方向の前方側に位置するように、前記カプラトレイに実装されていることを特徴とする請求項1に記載の光カプラ収納ユニット。
【請求項5】
前記カプラトレイには、該カプラトレイと一体に出し入れ可能なケーブルクランプ棚が設けられ、該ケーブルクランプ棚に、前記各光カプラ群の各光カプラに接続された光ファイバケーブル、及び各光カプラから引き出された光ファイバ心線が、クランプによって支持されていることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の光カプラ収納ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−141394(P2011−141394A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−1476(P2010−1476)
【出願日】平成22年1月6日(2010.1.6)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】