説明

光ケーブル接続用クロージャ及び光配線システム

【課題】 要求される接続機能が変わっても容易に対応可能な光ケーブル接続用クロージャ及び光配線システムを提供する。
【解決手段】 光ケーブル接続用クロージャ18は筐体21を有し、この筐体21のモジュール収納部22には、複数の接続モジュール23がクロージャ本体19の底面に対して立てられた状態で幅方向に沿って配列(収納)されている。接続モジュール23は、直方体盤状のモジュール本体27を有し、このモジュール本体27の一端面には、MTコネクタ28,29が上下に複数ずつ取り付けられている。モジュール本体27内には、各MTコネクタ28,29同士を接続する光接続部30が配置されている。モジュール収納部22は、接続モジュール23とは接続形態(機能)が異なる他種類の接続モジュールを収納可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ケーブル同士を接続するための光ケーブル接続用クロージャ、及び光ケーブル接続用クロージャを備えた光配線システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の光ケーブル接続用クロージャとしては、例えば特許文献1に記載されているものが知られている。特許文献1に記載の光ケーブル接続用クロージャは、クロージャ本体内に設けられたトレイ収納ケースと、このトレイ収納ケースに挿脱自在に収納され、下層トレイと上層トレイとを積み重ねてなるドロップ心線用トレイとを備えている。下層トレイ及び上層トレイには、光ファイバ心線を導出入する心線導出入部と、光ファイバ心線同士を接続したコネクタを収納するコネクタ収納部と、光ファイバ心線と接続される光スプリッタを収納するスプリッタ収納部と、光ファイバ心線の余長を収納する心線余長収納部とが設けられている。
【特許文献1】特開2003−215355号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
光ケーブルを用いたネットワークの中には、集線局から加入者宅までの間の3箇所のケーブル接続点(き線点、配線点、引落点)に光ケーブル接続用クロージャを設置し、各クロージャにおいて光ケーブルを分岐させることにより、集線局を起点としてツリー状に光ケーブルを配線するFTTH(Fiber To The Home)というものがある。
【0004】
このようなFTTHネットワークでは、集線局やクロージャに光スプリッタを配置し、1心の光信号を最大32分配して加入者宅に伝送するというPON(Passive Optical Network)システムが普及している。また、集線局側の光ケーブルは多心テープ型の光ファイバ心線を内蔵しているのが一般的であるが、加入者引き込み用の光ケーブルとの接続は単心単位で行われるため、何れかのクロージャで単心分離を行う必要がある。
【0005】
以上のことから、光ケーブル接続用クロージャに要求される接続機能としては、各ケーブル接続点で全く異なるものとなる。現状では、各ケーブル接続点において、それぞれ要求される接続機能に応じた異なる構造を有する専用のクロージャを設置している。しかし、この場合には、クロージャに要求される接続機能が変更されたときの対応が非常に難しく、将来的に想定される光配線システムの変更に対処することができない。
【0006】
本発明の目的は、要求される接続機能が変わっても容易に対応可能な光ケーブル接続用クロージャ及び光配線システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の光ケーブル接続用クロージャは、モジュール収納部を有する筐体と、モジュール収納部に出し入れ自在に収納され、第1光ファイバと第2光ファイバとを接続する接続モジュールとを備え、接続モジュールは、モジュール本体と、モジュール本体に取り付けられ、第1光ファイバ及び第2光ファイバとそれぞれ接続される第1コネクタ及び第2コネクタと、モジュール本体内に設けられ、第1コネクタと第2コネクタとを接続する光接続部とを有し、モジュール収納部は、モジュール本体の構造が同一であり光接続部の接続機能が異なる複数種類の接続モジュールを収納可能にするように構成されていることを特徴とするものである。
【0008】
このような光ケーブル接続用クロージャにおいては、モジュール本体の構造が同一であり光接続部の接続機能が異なる複数種類の接続モジュールが筐体のモジュール収納部に出し入れ自在に収納可能である。従って、光ケーブル接続用クロージャに要求される接続機能が変更された場合には、例えば要求される接続機能に適合する種類の接続モジュールを、既設の接続モジュールに替えて筐体のモジュール収納部に収納すれば良い。このとき、接続モジュールのモジュール本体には第1コネクタ及び第2コネクタが設けられているので、第1光ケーブル及び第2光ケーブルをコネクタ接続することで、接続モジュールの入れ替え作業が簡単に行える。これにより、光ケーブル接続用クロージャに要求される接続機能の変更に容易に対応可能となる。
【0009】
好ましくは、光接続部は、第1コネクタと第2コネクタとを直線接続する機能、第1コネクタと第2コネクタとを心数変換して接続する機能、第1コネクタと第2コネクタとを光分岐させて接続する機能の何れかを有する。
【0010】
このように光接続部の接続機能として直線接続機能、心数変換機能及び光分岐機能の何れかを有する3種類の接続モジュールを用いることにより、例えば局側光ケーブルと加入者側光ケーブルとの間で複数形態の光配線システムを構築することができる。
【0011】
また、好ましくは、第1コネクタ及び第2コネクタは、モジュール本体の一端部に設けられており、モジュール収納部は、第1コネクタ及び第2コネクタが筐体の前面側を向くように接続モジュールを筐体に対して縦置きにした状態で収納する構造を有している。
【0012】
このような構成においては、接続モジュールを筐体のモジュール収納部に配列状態で複数収納することができる。このため、例えば局側光ケーブルと加入者側光ケーブルとの間に構築される光配線システムでは、光ファイバの心数が多い局側光ケーブルと接続される光ケーブル接続用クロージャに適したものとなる。
【0013】
また、第1コネクタは、モジュール本体の一端部に設けられ、第2コネクタは、モジュール本体の他端部に設けられており、モジュール収納部は、第1コネクタ及び第2コネクタが筐体の前面に対して左右両側を向くように接続モジュールを筐体に対して縦置きにした状態で収納する構造を有していても良い。
【0014】
このような構成においては、筐体のモジュール収納部に1つの接続モジュールだけを収納する場合には、筐体を小型・薄型構造とすることができる。従って、例えば局側光ケーブルと加入者側光ケーブルとの間に構築される光配線システムでは、単心の加入者側光ケーブルと接続される光ケーブル接続用クロージャに適したものとなる。
【0015】
また、本発明は、架空において局側光ケーブルと加入者側光ケーブルとの間を光配線する光配線システムであって、局側光ケーブルと接続される第1光ケーブルと、加入者側光ケーブルと接続される第2光ケーブルと、局側光ケーブルと第1光ケーブルとを接続する局側クロージャと、加入者側光ケーブルと第2光ケーブルとを接続する加入者側クロージャと、第1光ケーブルと第2光ケーブルとを接続する中間クロージャとを備え、局側クロージャ、加入者側クロージャ及び中間クロージャは、上述した光ケーブル接続用クロージャで構成されていると共に、互いに異なる種類の接続モジュールを有していることを特徴とするものである。
【0016】
このような光配線システムにおいては、局側クロージャ、加入者側クロージャ及び中間クロージャとして、上述した光ケーブル接続用クロージャが使用される。従って、局側クロージャ、加入者側クロージャ及び中間クロージャに要求される接続機能が変更された場合には、例えば要求される接続機能に適合する種類の接続モジュールに交換することで、容易に対応可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、光ケーブル接続用クロージャに要求される接続機能の変更があっても、新たに光ケーブル接続用クロージャの設計及び製造を行うことなく、容易に対応することができる。これにより、将来的に想定される光配線システムの変更に十分対処することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る光ケーブル接続用クロージャ及び光配線システムの好適な実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明に係る光ケーブル接続用クロージャの実施形態を備えた光配線システムを示す構成図である。同図において、光配線システム1は、局内の伝送装置から複数の加入者宅までを光ケーブルで光配線するシステムである。
【0020】
光配線システム1は、地下から架空に導き出されたき線ケーブル2と、各加入者宅から延びるドロップケーブル3と、き線ケーブル2と接続される支線ケーブル4と、ドロップケーブル3及び支線ケーブル4と接続される準支線ケーブル5とを備えている。
【0021】
き線ケーブル2及び支線ケーブル4は、図2に示すように、中心部に抗張力体6が設けられたスペーサ7を有し、このスペーサ7には、複数(ここでは5つ)の螺旋状の溝部(スロット)8が形成されている。各スロット8内には、複数枚(ここでは5枚)の4心光ファイバテープ心線(単に4心テープ心線という)9が配置されている。スペーサ7には、ポリエチレン(PE)等で形成されたケーブル外被10で覆われている。
【0022】
ドロップケーブル3は、図3に示すように、支持線11と、単心の光ファイバ心線12と、この光ファイバ心線12の両側に配置された1対の抗張力体13とを有している。これらの支持線11、光ファイバ心線12及び各抗張力体13は、PE等からなるシース14で一括被覆されている。
【0023】
準支線ケーブル5は、図4に示すように、複数本(ここでは8本)の単心の光ファイバ心線15と、これらの光ファイバ心線15の両側に配置された1対の抗張力体16とを備えている。光ファイバ心線15は、2段に配列されている。各光ファイバ心線15及び各抗張力体16は、PE等からなるシース17で一括被覆されている。
【0024】
き線ケーブル2と支線ケーブル4は、き線点においてき線クロージャ18を介して接続されている。き線点とは、光ケーブルが地下から架空へ立ち上がるポイントのことである。
【0025】
き線クロージャ18は、図5に示すように、箱型のクロージャ本体19及び扉20からなる筐体21を有している。扉20は、クロージャ本体19の下端部に回動自在に支持され、クロージャ本体19に対して開閉可能である。クロージャ本体19は、モジュール収納部22を有している。モジュール収納部22には、複数の接続モジュール23がクロージャ本体19の底面に対して立てられた状態(縦置き状態)で幅方向(左右方向)に沿って配列されている。
【0026】
具体的には、モジュール収納部22には、前面引き出し式の収納ラック(図示せず)が配置されている。そして、各接続モジュール23は、その収納ラックに前面側(扉20側)から抜き差し自在に収納されている。接続モジュール23は、収納ラックに収納された状態では、例えばネジや挿抜ボード等の固定手段によって収納ラックに固定される。
【0027】
クロージャ本体19の一端部には、き線ケーブル2の端部のケーブル外被10を除去して取り出された4心テープ心線9を導入するための導入口を有するケーブル導入部24が設けられている。クロージャ本体19の他端部には、支線ケーブル4の端部のケーブル外被10を除去して取り出された4心テープ心線9を導入するための導入口を有するケーブル導入部25が設けられている。筐体21はプラスチック等で形成されているが、ケーブル導入部24,25は、シール性・防水性を確保すべくゴム等で形成されている。
【0028】
クロージャ本体19の背面には、架空に設置された吊り線(図示せず)にき線クロージャ18を保持・固定するための2つの取付具26が設けられている。取付具26は、例えばL字状板と平板とで吊り線を挟み込んだ状態でネジ止めすることにより、き線クロージャ18を吊り線に取り付けるものである。
【0029】
接続モジュール23は、図5及び図6に示すように、直方体盤状のモジュール本体27を有し、モジュール本体27の一端面には、4心のMTコネクタ28,29が上下に複数(ここでは5つ)ずつ取り付けられている。
【0030】
モジュール本体27内には、各MTコネクタ28,29同士を接続する光接続部30が配置されている。光接続部30は、各MTコネクタ28と各MTコネクタ29とをそれぞれ光ファイバ31で直線接続する機能を有している。
【0031】
このような接続モジュール23は、MTコネクタ28,29が筐体20の前面側を向くようにモジュール収納部22に収納される。そして、MTコネクタ28には、き線ケーブル2の4心テープ心線9がコネクタ接続され、MTコネクタ29には、支線ケーブル4の4心テープ心線9がコネクタ接続される。これにより、き線ケーブル2の4心テープ心線9と支線ケーブル4の4心テープ心線9とが接続モジュール23を介して接続されることとなる。
【0032】
支線ケーブル4と準支線ケーブル5は、配線点において配線クロージャ32を介して分岐接続されている。
【0033】
配線クロージャ32は、図7に示すように、箱型のクロージャ本体33及び扉34からなる筐体35を有している。筐体35は、上記き線クロージャ18の筐体20と同じ構造をなしている。クロージャ本体33はモジュール収納部36を有し、このモジュール収納部36には、接続モジュール37と複数の接続モジュール38とがクロージャ本体33の底面に対して立てられた状態で幅方向に沿って配列されている。モジュール収納部36における接続モジュール37,38の収納構造は、上記のモジュール収納部22における接続モジュール23の収納構造と全く同じである。
【0034】
クロージャ本体33の一端部には、支線ケーブル4の中間部分のケーブル外被10を除去して取り出された4心テープ心線9を導入するための導入口を有するケーブル導入部39が設けられている。クロージャ本体33の他端部には、準支線ケーブル5の端部のシース17を除去して取り出された8本の単心の光ファイバ心線15を導入するための導入口を有するケーブル導入部40が設けられている。また、図7では図示していないが、支線ケーブル4は、ケーブル導入部39,40を通ってクロージャ本体33内をスルーしている(図1参照)。なお、ケーブル導入部39,40は、上記のケーブル導入部24,25と同様にゴム等で形成されている。
【0035】
クロージャ本体33の背面には、配線クロージャ32を吊り線(図示せず)に保持・固定するための2つの取付具41が設けられている。取付具41の構造は、上記の取付具26と同様である。
【0036】
接続モジュール37は、図7及び図8(a)に示すように、モジュール本体42を有している。モジュール本体42は、上述した接続モジュール23のモジュール本体27と同じ構造及び寸法を有している。モジュール本体42の一端面には、4心MTコネクタ43と複数(ここでは4つ)の単心コネクタ44とが上下に取り付けられている。単心コネクタ44としては、例えばSCコネクタやFASコネクタ等が使用される。
【0037】
モジュール本体42内には、MTコネクタ43と各単心コネクタ44とを接続する光接続部45が配置されている。光接続部45は、MTコネクタ43と各単心コネクタ44とを光ファイバ46により4心−単心変換(心数変換)させて接続する機能を有している。
【0038】
接続モジュール38は、図7及び図8(b)に示すように、上記のモジュール本体42と同じ構造及び寸法のモジュール本体47を有している。モジュール本体47の一端面には、単心コネクタ48と複数(ここでは8つ)の単心コネクタ49とが上下に取り付けられている。単心コネクタ48,49としては、上記の単心コネクタ44と同じものが使用される。
【0039】
モジュール本体47内には、単心コネクタ48と各単心コネクタ49とを接続する光接続部50が配置されている。光接続部50は、1つの光入力を複数(ここでは8つ)の出力に分岐させる光スプリッタ(光分岐器)51を含んでおり、単心コネクタ48と各単心コネクタ49とを光ファイバ52により光分岐させて接続する機能を有している。
【0040】
接続モジュール37は、MTコネクタ43及び単心コネクタ44が筐体35の前面側を向くようにモジュール収納部36に収納され、接続モジュール38は、単心コネクタ48,49が筐体35の前面側を向くようにモジュール収納部36に収納される。そして、MTコネクタ43には、支線ケーブル4の4心テープ心線9がコネクタ接続され、各単心コネクタ49には、準支線ケーブル5の各光ファイバ心線15がそれぞれコネクタ接続される。また、単心コネクタ44と単心コネクタ48とが接続用光ファイバ53を介してコネクタ接続される。これにより、支線ケーブル4の4心テープ心線9と準支線ケーブル5の各光ファイバ心線15とが接続モジュール37、接続用光ファイバ53及び接続モジュール38を介して接続されることとなる。
【0041】
準支線ケーブル5とドロップケーブル3は、引落し点において引落しクロージャ54を介して分岐接続されている。
【0042】
引落しクロージャ54は、図9に示すように、箱型のクロージャ本体55及び扉56からなる筐体57を有している。扉56は、クロージャ本体55の下端部に回動自在に支持され、クロージャ本体55に対して開閉可能である。筐体57は、き線クロージャ18の筐体21に比べて小型・薄型となっている。
【0043】
クロージャ本体55は、1つの接続モジュール58を出し入れ自在に収納するためのモジュール収納部59を有している。接続モジュール58は、クロージャ本体55の底面に対して立てられた状態(縦置き状態)で、例えばネジやフック等の固定手段によってクロージャ本体55の後部内面55aに貼り付けられている。
【0044】
クロージャ本体55の一端部には、準支線ケーブル5の中間部分のシース17を除去して取り出された各光ファイバ心線15を導入するための導入口を有するケーブル導入部60が設けられ、クロージャ本体55の他端部には、ドロップケーブル3を導入するための導入口を有するケーブル導入部61が設けられている。また、図9では図示していないが、準支線ケーブル5は、ケーブル導入部60,61を通ってクロージャ本体55内をスルーしている(図1参照)。なお、ケーブル導入部60,61は、上記のケーブル導入部24,25と同様にゴム等で形成されている。
【0045】
クロージャ本体55の背面には、引落しクロージャ54を吊り線(図示せず)に保持・固定するための取付具62が設けられている。取付具62の構造は、上記の取付具26と同様である。
【0046】
接続モジュール58は、図9及び図10に示すように、モジュール本体63を有している。モジュール本体63も、上述した接続モジュール23のモジュール本体27と全く同じ構造及び寸法を有している。モジュール本体63の一端面には単心コネクタ64が取り付けられ、モジュール本体53の他端面には単心コネクタ65が取り付けられている。単心コネクタ64,65としては、上記の単心コネクタ44と同じものが使用される。
【0047】
モジュール本体63内には、単心コネクタ64,65同士を光ファイバ66で直線接続する機能を有する光接続部67が配置されている。
【0048】
このような接続モジュール58は、単心コネクタ64,65が筐体57の前面に対して左右両側を向くようにモジュール収納部59に収納される。そして、単心コネクタ64には、準支線ケーブル5の光ファイバ心線15がコネクタ接続され、単心コネクタ65には、単心のドロップケーブル3がコネクタ接続される。これにより、準支線ケーブル5の光ファイバ心線15とドロップケーブル3とが接続モジュール58を介して接続されることとなる。
【0049】
以上のような光配線システム1においては、き線クロージャ18、配線クロージャ32及び引落しクロージャ54のケーブル接続部分がモジュール化され、更にコネクタ接続可能な構成となっているので、ケーブル接続作業が簡単に行えるようになり、作業時間を短縮することができる。
【0050】
図11は、本発明に係る光ケーブル接続用クロージャの実施形態を備えた他の光配線システムを示す構成図である。図中、図1に示す光配線システムと同一の部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0051】
同図に示す光配線システム70では、き線ケーブル2と支線ケーブル4は、き線点においてき線クロージャ71を介して接続されている。
【0052】
き線クロージャ71は、図12に示すように、上述したき線クロージャ18と同様の筐体21を有し、この筐体21のモジュール収納部22には、複数の接続モジュール72がクロージャ本体18の底面に対して立てられた状態で幅方向に沿って配列されている。
【0053】
接続モジュール72は、図12及び図13に示すように、上述した接続モジュール23と同じ構造及び寸法のモジュール本体73を有している。モジュール本体73の一端面には、4心MTコネクタ74と複数(ここでは8つ)の4心MTコネクタ75とが上下に取り付けられている。
【0054】
モジュール本体73内には、MTコネクタ74,75同士を接続する光接続部76が配置されている。光接続部76は、4つの光スプリッタ51(前述)を含んでおり、MTコネクタ74と各MTコネクタ75とを光ファイバ77により光分岐集約して接続する機能を有している。
【0055】
このような接続モジュール72は、MTコネクタ74,75が筐体20の前面側を向くようにモジュール収納部22に収納される。そして、MTコネクタ74には、き線ケーブル2の4心テープ心線9がコネクタ接続され、各MTコネクタ75には、支線ケーブル4の4心テープ心線9がコネクタ接続される。これにより、き線ケーブル2の4心テープ心線9と支線ケーブル4の4心テープ心線9とが接続モジュール72を介して接続されることとなる。
【0056】
支線ケーブル4と準支線ケーブル5は、配線点において配線クロージャ78を介して分岐接続されている。
【0057】
配線クロージャ78は、図14に示すように、上述した配線クロージャ32と同様の筐体35を有し、この筐体35のモジュール収納部36には、複数の接続モジュール37(図8(a)参照)がクロージャ本体33の底面に対して立てられた状態で幅方向に沿って配列されている。
【0058】
接続モジュール37は、4心MTコネクタ43及び単心コネクタ44が筐体35の前面側を向くようにモジュール収納部36に収納される。そして、MTコネクタ43には、支線ケーブル4の4心テープ心線9がコネクタ接続され、各単心コネクタ44には、準支線ケーブル5の各光ファイバ心線15がそれぞれコネクタ接続される。これにより、支線ケーブル4の4心テープ心線9と準支線ケーブル5の各光ファイバ心線15とが接続モジュール37を介して接続されることとなる。
【0059】
準支線ケーブル5とドロップケーブル3とは、図1に示す光配線システム1と同様に、引落し点において引落しクロージャ54を介して分岐接続されている。
【0060】
このような光配線システム70では、光分岐機能を有する接続モジュール72をき線クロージャ71に設けたので、き線クロージャに接続される支線ケーブル4の数を増やし、ひいては局に接続される加入者数を増やして、システムの使用効率を高めることができる。
【0061】
図15は、本発明に係る光ケーブル接続用クロージャの実施形態を備えた更に他の光配線システムを示す構成図である。図中、図1及び図11に示す光配線システムと同一の部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0062】
同図に示す光配線システム80では、き線ケーブル2と支線ケーブル4は、図1に示す光配線システム1と同様に、き線点においてき線クロージャ18を介して接続されている。また、支線ケーブル4と準支線ケーブル5とは、図11に示す光配線システム70と同様に、配線点において配線クロージャ78を介して分岐接続されている。
【0063】
準支線ケーブル5とドロップケーブル3とは、引落し点において引落しクロージャ81を介して分岐接続されている。
【0064】
引落しクロージャ81は、図16に示すように、上記の引落しクロージャ54と同様の筐体57を有し、この筐体57のモジュール収納部59には、1つの接続モジュール82がクロージャ本体55の底面に対して立てられた状態で収納されている。モジュール収納部59における接続モジュール82の収納構造は、上記の接続モジュール58の収納構造と全く同じである。
【0065】
接続モジュール82は、図16及び図17に示すように、上記の接続モジュール58と同じ構造及び寸法のモジュール本体83を有している。モジュール本体83の一端面には単心コネクタ84が取り付けられ、モジュール本体83の他端面には複数(ここでは8つ)の単心コネクタ85が取り付けられている。
【0066】
モジュール本体83内には、単心コネクタ84と各単心コネクタ85とを接続する光接続部86が配置されている。光接続部86は、光スプリッタ51(前述)を含み、単心コネクタ84と各単心コネクタ85とを光ファイバ87により光分岐させて接続する。
【0067】
なお、接続モジュール82は、上述した接続モジュール58とは別に専用のモジュールとして作っても良いし、あるいは単心コネクタ84の取付位置をモジュール本体83の一端部と他端部とで切り換え可能とすることで、上述した接続モジュール58と兼用しても良い。
【0068】
このような接続モジュール82は、単心コネクタ84,85が筐体57の前面に対して左右両側を向くようにモジュール収納部59に収納される。そして、単心コネクタ84には、準支線ケーブル5の光ファイバ心線15がコネクタ接続され、単心コネクタ85には、ドロップケーブル3がコネクタ接続される。これにより、準支線ケーブル5の光ファイバ心線15とドロップケーブル3とが接続モジュール82を介して接続されることとなる。
【0069】
このような光配線システム80では、光分岐機能を有する接続モジュール82を引落しクロージャ81に設けたので、多くの加入者宅が密集している領域では、必要以上に支線ケーブル4及び準支線ケーブル5を増やすことなく、システムを有効利用することが可能となる。
【0070】
以上のように本実施形態にあっては、光コネクタ同士の接続形態(機能)が異なる複数種類の接続モジュール23,37,38,58,72,82は、同じ構造及び寸法のモジュール本体を有している。また、き線クロージャ及び配線クロージャにおける筐体のモジュール収納部は、同じ構造を有している。このため、接続モジュール23,37,38,72は、き線クロージャ及び配線クロージャの何れにも使用することができ、接続モジュール58,82は、引落しクロージャに使用することができる。従って、光配線システムの変更があっても、き線クロージャ、配線クロージャ及び引落しクロージャを、要求される接続機能に応じて最初から設計・製造しなくて済む。
【0071】
具体的には、図1に示す光配線システムを図11に示す光配線システムに変更する場合には、き線クロージャ18の扉20を開いた状態で、き線ケーブル2の4心テープ心線9と支線ケーブル4の4心テープ心線9とを接続モジュール23から取り外した後、接続モジュール23を筐体21から抜き出す。そして、別の接続モジュール72を筐体21のモジュール収納部22に収納し、き線ケーブル2の4心テープ心線9と支線ケーブル4の4心テープ心線9とを接続モジュール72にコネクタ接続する。これにより、図12に示すき線クロージャ71が構成されるようになる。
【0072】
また、配線クロージャ32の扉34を開いた状態で、準支線ケーブル5の各光ファイバ心線15を接続モジュール38から取り外し、接続用光ファイバ5を接続モジュール37,38から取り外した後、接続モジュール38を筐体35から抜き出す。そして、準支線ケーブル5の各光ファイバ心線15を接続モジュール37にコネクタ接続する。これにより、図14に示す配線クロージャ78が構成されるようになる。
【0073】
図1に示す光配線システムを図15に示す光配線システムに変更する場合には、上記と同様にして、配線クロージャ32の筐体35から接続モジュール38を抜き出し、準支線ケーブル5の各光ファイバ心線15を接続モジュール37にコネクタ接続することにより、図14に示す配線クロージャ78を構成する。
【0074】
また、引落しクロージャ54の扉56を開いた状態で、準支線ケーブル5の光ファイバ心線15とドロップケーブル3とを接続モジュール58から取り外した後、接続モジュール58を筐体57から抜き出す。そして、別の接続モジュール82を筐体57のモジュール収納部59に収納し、準支線ケーブル5の光ファイバ心線15とドロップケーブル3とを接続モジュール82にコネクタ接続する。これにより、図16に示す引落しクロージャ81が構成されるようになる。
【0075】
このようにき線クロージャ、配線クロージャ及び引落しクロージャに要求される接続機能が変わった場合には、その要求に適した別種類の接続モジュールに入れ替えたり、筐体に収納されている複数種類の接続モジュールのうち要求に適した種類の接続モジュールのみをそのまま残すだけで良い。従って、将来の光配線システムの変更に容易に対処することが可能となる。
【0076】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態は、局内の伝送装置と複数の加入者宅との間に構築される光配線システムに関するものであるが、本発明の光ケーブル接続用クロージャは、他の形態の光配線システムにも適用可能であることは言うまでも無い。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明に係る光ケーブル接続用クロージャの実施形態を備えた光配線システムを示す構成図である。
【図2】図1に示すき線ケーブル及び支線ケーブルの拡大断面図である。
【図3】図1に示すドロップケーブルの拡大断面図である。
【図4】図1に示す準支線ケーブルの拡大断面図である。
【図5】図1に示すき線クロージャの開いた状態の斜視図である。
【図6】図5に示す接続モジュールの概略平面図である。
【図7】図1に示す配線クロージャの開いた状態の斜視図である。
【図8】図7に示す各接続モジュールの概略平面図である。
【図9】図1に示す引落しクロージャの開いた状態の斜視図である。
【図10】図9に示す接続モジュールの概略平面図である。
【図11】本発明に係る光ケーブル接続用クロージャの実施形態を備えた他の光配線システムを示す構成図である。
【図12】図11に示すき線クロージャの開いた状態の斜視図である。
【図13】図12に示す接続モジュールの概略平面図である。
【図14】図11に示す配線クロージャの開いた状態の斜視図である。
【図15】本発明に係る光ケーブル接続用クロージャの実施形態を備えた更に他の光配線システムを示す構成図である。
【図16】図15に示す引落しクロージャの開いた状態の斜視図である。
【図17】図16に示す接続モジュールの概略平面図である。
【符号の説明】
【0078】
1…光配線システム、2…き線ケーブル(局側光ケーブル)、3…ドロップケーブル(加入者側光ケーブル)、4…支線ケーブル(第1光ケーブル)、5…準支線ケーブル(第2光ケーブル)、9…4心光ファイバテープ心線(第1光ファイバ、第2光ファイバ)、15…光ファイバ心線(第1光ファイバ、第2光ファイバ)、18…き線クロージャ(局側クロージャ、光ケーブル接続用クロージャ)、21…筐体、22…モジュール収納部、23…接続モジュール、27…モジュール本体、28…MTコネクタ(第1コネクタ)、29…MTコネクタ(第2コネクタ)、30…光接続部、32…配線クロージャ(中間クロージャ、光ケーブル接続用クロージャ)、35…筐体、36…モジュール収納部、37…接続モジュール、38…接続モジュール、42…モジュール本体、43…MTコネクタ(第1コネクタ)、44…単心コネクタ(第2コネクタ)、45…光接続部、47…モジュール本体、48…単心コネクタ(第1コネクタ)、49…単心コネクタ(第2コネクタ)、50…光接続部、51…光スプリッタ、53…接続用光ファイバ(第1光ファイバ、第2光ファイバ)、54…引落しクロージャ(加入者側クロージャ、光ケーブル接続用クロージャ)、57…筐体、58…接続モジュール、59…モジュール収納部、63…モジュール本体、64…単心コネクタ(第1コネクタ)、65…単心コネクタ(第2コネクタ)、67…光接続部、70…光配線システム、71…き線クロージャ(局側クロージャ、光ケーブル接続用クロージャ)、72…接続モジュール、73…モジュール本体、74…MTコネクタ(第1コネクタ)、75…MTコネクタ(第2コネクタ)、76…光接続部、78…配線クロージャ(中間クロージャ、光ケーブル接続用クロージャ)、80…光配線システム、81…引落しクロージャ(加入者側クロージャ、光ケーブル接続用クロージャ)、82…接続モジュール、83…モジュール本体、84…単心コネクタ(第1コネクタ)、85…単心コネクタ(第2コネクタ)、86…光接続部。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
モジュール収納部を有する筐体と、
前記モジュール収納部に出し入れ自在に収納され、第1光ファイバと第2光ファイバとを接続する接続モジュールとを備え、
前記接続モジュールは、モジュール本体と、前記モジュール本体に取り付けられ、前記第1光ファイバ及び前記第2光ファイバとそれぞれ接続される第1コネクタ及び第2コネクタと、前記モジュール本体内に設けられ、前記第1コネクタと前記第2コネクタとを接続する光接続部とを有し、
前記モジュール収納部は、前記モジュール本体の構造が同一であり前記光接続部の接続機能が異なる複数種類の前記接続モジュールを収納可能とするように構成されていることを特徴とする光ケーブル接続用クロージャ。
【請求項2】
前記光接続部は、前記第1コネクタと前記第2コネクタとを直線接続する機能、前記第1コネクタと前記第2コネクタとを心数変換して接続する機能、前記第1コネクタと前記第2コネクタとを光分岐させて接続する機能の何れかを有することを特徴とする請求項1記載の光ケーブル接続用クロージャ。
【請求項3】
前記第1コネクタ及び前記第2コネクタは、前記モジュール本体の一端部に設けられており、
前記モジュール収納部は、前記第1コネクタ及び前記第2コネクタが前記筐体の前面側を向くように前記接続モジュールを前記筐体に対して縦置きにした状態で収納する構造を有していることを特徴とする請求項1または2記載の光ケーブル接続用クロージャ。
【請求項4】
前記第1コネクタは、前記モジュール本体の一端部に設けられ、前記第2コネクタは、前記モジュール本体の他端部に設けられており、
前記モジュール収納部は、前記第1コネクタ及び前記第2コネクタが前記筐体の前面に対して左右両側を向くように前記接続モジュールを前記筐体に対して縦置きにした状態で収納する構造を有していることを特徴とする請求項1または2記載の光ケーブル接続用クロージャ。
【請求項5】
架空において局側光ケーブルと加入者側光ケーブルとの間を光配線する光配線システムであって、
前記局側光ケーブルと接続される第1光ケーブルと、
前記加入者側光ケーブルと接続される第2光ケーブルと、
前記局側光ケーブルと前記第1光ケーブルとを接続する局側クロージャと、
前記加入者側光ケーブルと前記第2光ケーブルとを接続する加入者側クロージャと、
前記第1光ケーブルと前記第2光ケーブルとを接続する中間クロージャとを備え、
前記局側クロージャ、前記加入者側クロージャ及び前記中間クロージャは、請求項1〜4のいずれか一項記載の光ケーブル接続用クロージャで構成されていると共に、互いに異なる種類の前記接続モジュールを有していることを特徴とする光配線システム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−224998(P2008−224998A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−62475(P2007−62475)
【出願日】平成19年3月12日(2007.3.12)
【出願人】(000231936)日本通信電材株式会社 (98)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】