説明

光ケーブル接続箱

【課題】光ケーブルに側圧がかかるのを防止することができる光ケーブル接続箱を提供することを目的とする。
【解決手段】少なくとも2本の光ケーブル110a,110b,120を導入する導入孔11a〜11cを下面に有し、相互に接続した光ケーブルと他の光ケーブルとの余剰部分を内部に収容する箱体10と、箱体10の下方に突出するように箱体10に取り付けられた支持部材20と、支持部材20に、各光ケーブル110a,110b,120に交差する方向に連続して形成された貫通溝21と、貫通溝21の任意の位置を選択して着脱自在に取り付けられ、各光ケーブル110a,110b,120を支持部材20に固定するケーブル固定部(ケーブル固定具30a〜30c)とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ケーブルを他の光ケーブルに接続するために用いられる光ケーブル接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、光ケーブル(光ファイバケーブル)を他の光ケーブルに接続するために光ケーブル接続箱が用いられている。例えば、雷遮蔽を目的として鉄塔の頂部に架線された架空地線に、光ファイバを内蔵させたOPGW(光ファイバ複合架空地線)と、発電所や変電所などの電気所内に設置された施設内光ケーブルとを接続する際には、図5に示すようなOPGW用光ケーブル接続箱が用いられている。
【0003】
OPGW用光ケーブル接続箱510は、同図に示すように、鉄塔の脚部に設置されている。OPGW用光ケーブル接続箱510の下面には3つの導入孔511a〜511cが設けられており、鉄塔の頂部から引き回された2本のOPGW510a,510bと、地下に敷設したケーブル保護管521内を引き回された施設内光ケーブル520とをそれぞれ接続することができるようになっている。
【0004】
一方、硬芯テンションメンバ用保持部を備えたクランプ枠部をクランプ本体の前面に着脱自在に設けると共に、そのクランプ枠部とクランプ本体との間に光ファイバコード保持用パッキンを保持可能とする光ケーブル接続箱が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2004−12691号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したような施設内光ケーブルなどの光ケーブルは側圧に弱いため、側圧がかからないようにする必要がある。しかしながら、上述したOPGW用光ケーブル接続箱では、施設内光ケーブルやOPGWは、OPGW用光ケーブル接続箱の導入孔部の1点で支持されることになるので、それらの光ケーブルに風などによる側圧がかかってしまうという問題があった。
【0007】
また、光ケーブルは外被損傷にも弱いので、その外被損傷からも光ケーブルを保護する必要がある。光ケーブルの保護方法としては、光ケーブルをケーブル保護管内に配置する方法がある。しかしながら、上述したようなOPGW用光ケーブル接続箱ではケーブル保護管を支持・固定することができない。また、たとえ施設内光ケーブルをケーブル保護管内に配置したとしても、ケーブル保護管自体の重量が施設内光ケーブルにかかってしまい、それらを損傷させてしまうおそれがあるという問題があった。なお、このような問題は、提案されている光ケーブル接続箱であっても解決することはできない。
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑み、光ケーブルに側圧がかかるのを防止することができ、また光ケーブル保護用のケーブル保護管を容易に支持・固定できる光ケーブル接続箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、少なくとも2本の光ケーブルを導入する導入孔を下面に有し、相互に接続した光ケーブルと他の光ケーブルとの余剰部分を内部に収容する箱体と、前記箱体の下方に突出するように前記箱体に取り付けられた支持部材と、該支持部材に、各光ケーブルに交差する方向に連続して形成された貫通溝と、該貫通溝の任意の位置を選択して着脱自在に取り付けられ、各光ケーブルを前記支持部材に固定するケーブル固定部とを具備することを特徴とする光ケーブル接続箱にある。
【0010】
かかる第1の態様では、各光ケーブルを支持部材に固定することにより、各光ケーブルに側圧がかかるのを防止することができる。
【0011】
本発明の第2の態様は、前記貫通溝は、前記箱体側に両端が配置された半円状に形成されていることを特徴とする第1の態様に記載の光ケーブル接続箱にある。
【0012】
かかる第2の態様では、導入孔に対する各光ケーブルの固定位置及び固定角度を調整することができる。
【0013】
本発明の第3の態様は、前記光ケーブルは、ケーブル保護管に挿入され、前記ケーブル固定部は、前記ケーブル保護管を介して前記光ケーブルを前記支持部材に固定することを特徴とする第1又は2の態様に記載の光ケーブル接続箱にある。
【0014】
かかる第3の態様では、光ケーブルの外被損傷を防止することができると共に、ケーブル保護管自体の重量が光ケーブルにかかるのを防止することができる。
【0015】
本発明の第4の態様は、前記ケーブル固定部は、前記支持部材表面に対して垂直方向の軸回りに回動自在であることを特徴とする第1〜3の何れか1つの態様に記載の光ケーブル接続箱にある。
【0016】
かかる第4の態様では、光ケーブル及びケーブル保護管の軸の方向に応じて、ケーブル固定具を適切な角度に回動させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る光ケーブル接続箱によれば、各光ケーブルを支持部材に固定することにより、各光ケーブルに側圧がかかるのを防止して、光ケーブルを確実に接続することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。なお、本実施形態の説明は例示であり、本発明は以下の説明に限定されない。
【0019】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る光ケーブル接続箱を示す概略斜視図であり、図2は図1に示すA方向から見た際の光ケーブル接続箱の概略側面図である。図1及び図2に示すように、本実施形態に係る光ケーブル接続箱1は、送電線鉄塔の脚部の板状部材100に取り付けられている。光ケーブル接続箱1は、相互に接続した光ケーブルと他の光ケーブルとの余剰部分を内部に収容する直方体状の箱体10を具備している。箱体10の下面には3つの導入孔11a〜11cが設けられており、2本のOPGW110a,110b及び施設内光ケーブル120をそれぞれ接続することができるようになっている。なお、施設内光ケーブル120は、ケーブル保護管121内に挿通されている。そして、施設内光ケーブル120は、図示しないが、2系統の信号伝送経路を有しており、OPGW110a及びOPGW110bのそれぞれの信号を別個に伝送することができる。
【0020】
箱体10の下部には、支持部材20が下方に向かって突設されている。支持部材20は半ドーナツ形状の板状部材からなり、その両端部が箱体10側に位置するようになっている。
【0021】
支持部材20には支持部材20の形状に沿って、すなわち箱体10側に両端が配置された半円状の貫通溝21が形成されている。貫通溝21の形状を半円状にすることにより、支持部材20に貫通溝21を容易に形成することができる。
【0022】
支持部材20の導入孔側表面には、ケーブル固定具30a〜30cが貫通溝21の任意の位置を選択して脱着自在に取り付けられており、OPGW110a,110b及びケーブル保護管121を支持部材20にそれぞれ固定することができるようになっている。具体的には、ケーブル固定具30a〜30cは、ボルト31とナット32とによって貫通溝21に沿って支持部材20に脱着自在に取り付けられている。このように構成することにより、各導入孔11a〜11cに対して、それぞれ挿入されるOPGW110a,110b及びケーブル保護管121の固定位置及び固定角度を調整することができる。
【0023】
また、ケーブル固定具30a〜30cは、上述のように支持部材20に取り付けられているので、支持部材20の導入孔側表面に対して垂直方向の軸周りにそれぞれ回動することができる。したがって、OPGW110a,110b及びケーブル保護管121の軸の方向に応じて、各ケーブル固定具30a〜30cを適切な角度に回動させることができる。
【0024】
さらに、ケーブル固定具30a〜30cは、図3に示すようなバンド状部材35からなっている。バンド状部材35には、1つの基準貫通孔36と複数の調節貫通孔37とが設けられており、図4に示すように、バンド状部材35を屈曲させて環状部351を形成し、その状態のバンド状部材35を基準貫通孔36と何れか1つの調節貫通孔37とを貫通するボルト31で支持部材20に固定することができるようになっている。そして、バンド状部材35の環状部351内にOPGW110a,110bやケーブル保護管121を挿入し、環状部351でそれらを締め付けることによって、OPGW110a,110bやケーブル保護管121を支持部材20に固定することができる。したがって、ボルト31が貫通する調節貫通孔37を変えることにより、バンド状部材35の環状部351の径の大きさを変更することができるので、様々な径のOPGW110a,110bやケーブル保護管121を支持部材20に固定することができる。また、バンド状部材35でケーブル保護管121を締め付けることによって支持部材20に施設内光ケーブル120を固定しているので、バンド状部材35で施設内光ケーブル120を直接締め付けて固定する場合と比較して、施設内光ケーブル120にかかる圧力を低減させることができる。さらに、施設内光ケーブル120は、導入孔11cに挿入されるまで、ケーブル保護管121内に挿通されているので、施設内光ケーブル120への側圧や外被損傷を防止することができる。
【0025】
以上説明したように光ケーブル接続箱1を構成して、OPGW110a,110bやケーブル保護管121を支持部材20に固定することにより、OPGW110a,110bにかかる負荷を低減できると共に、ケーブル保護管121で保護された施設内光ケーブル120を光ケーブル接続箱1に接続することができる。その結果、施設内光ケーブル120への側圧や外被損傷を防止して、OPGW110a,110bと施設内光ケーブル120とを確実に接続することができる。
【0026】
(他の実施形態)
実施形態1では、支持部材20は半ドーナツ形状となっていたが、支持部材20の形状は特に限定されない。
【0027】
また、実施形態1では、半円状の貫通溝21を支持部材20に設けたが、各OPGW110a,110bに交差する方向に連続された形状であれば貫通溝21の形状は特に限定されず、例えば水平方向に平行な直線状に形成されてもよい。
【0028】
さらに、OPGW110a,110bに代えて一般の光ケーブル(施設外光ケーブル)を用いる場合には、施設内光ケーブル120と同様に、それらの施設外光ケーブルにケーブル保護管をそれぞれ取り付けてもよい。このようにすることにより、ケーブル保護管で保護された施設外光ケーブルを光ケーブル接続箱1に接続することができる。その結果、施設内光ケーブル120と同様に、施設外光ケーブルへの側圧や外被損傷を防止して、施設外光ケーブルと施設内光ケーブル120とをより確実に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施形態1に係る光ケーブル接続箱の概略斜視図である。
【図2】図1に示すA方向から見た際の光ケーブル接続箱の概略側面図である。
【図3】実施形態1のバンド状部材の概略正面図である。
【図4】図3に示すバンド状部材を支持部材に取り付けた際の概略側面図である。
【図5】従来のOPGW用光ケーブル接続箱の概略斜視図である。
【符号の説明】
【0030】
1 光ケーブル接続箱
10 箱体
11a〜11c 導入孔
20 支持部材
21 貫通溝
30a〜30c ケーブル固定具
31 ボルト
32 ナット
35 バンド状部材
36 基準貫通孔
37 調節貫通孔
100 板状部材
110a,110b OPGW
120 施設内光ケーブル
121 ケーブル保護管
351 環状部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2本の光ケーブルを導入する導入孔を下面に有し、相互に接続した光ケーブルと他の光ケーブルとの余剰部分を内部に収容する箱体と、
前記箱体の下方に突出するように前記箱体に取り付けられた支持部材と、
該支持部材に、各光ケーブルに交差する方向に連続して形成された貫通溝と、
該貫通溝の任意の位置を選択して着脱自在に取り付けられ、各光ケーブルを前記支持部材に固定するケーブル固定部と
を具備することを特徴とする光ケーブル接続箱。
【請求項2】
前記貫通溝は、前記箱体側に両端が配置された半円状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光ケーブル接続箱。
【請求項3】
前記光ケーブルは、ケーブル保護管に挿入され、
前記ケーブル固定部は、前記ケーブル保護管を介して前記光ケーブルを前記支持部材に固定することを特徴とする請求項1又は2に記載の光ケーブル接続箱。
【請求項4】
前記ケーブル固定部は、前記支持部材表面に対して垂直方向の軸回りに回動自在であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の光ケーブル接続箱。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2008−299050(P2008−299050A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−144747(P2007−144747)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】