光コネクタ収容器
【課題】 多くの光コネクタをスペース効率良く収容しつつ、光コネクタの収容及び取り出しを容易に行うことができる光コネクタ収容器を提供する。
【解決手段】 光コネクタ収容器4は、光成端架に着脱自在に取り付けられるベース8と、このベース8に移動自在に支持された保留部材9とを有している。保留部材9の一端側には、保留光コードの先端部に装着された光コネクタを個別に保持する複数の保持部21を有するコネクタ収容棚19,20が設けられている。保持部21は、光コネクタ34が差し込まれる差込口21aを有し、この差込口21aより光コネクタ34を差し込んで保持するように構成されている。保留部材9の他端側には、保留光コード3をコネクタ収容棚19,20に向けてガイドするためのR状ガイド部23と、保留光コード3をR状ガイド部23に対して押さえ付けて固定するコード固定部26とが設けられている。
【解決手段】 光コネクタ収容器4は、光成端架に着脱自在に取り付けられるベース8と、このベース8に移動自在に支持された保留部材9とを有している。保留部材9の一端側には、保留光コードの先端部に装着された光コネクタを個別に保持する複数の保持部21を有するコネクタ収容棚19,20が設けられている。保持部21は、光コネクタ34が差し込まれる差込口21aを有し、この差込口21aより光コネクタ34を差し込んで保持するように構成されている。保留部材9の他端側には、保留光コード3をコネクタ収容棚19,20に向けてガイドするためのR状ガイド部23と、保留光コード3をR状ガイド部23に対して押さえ付けて固定するコード固定部26とが設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光成端架において未接続の光コードに装着された光コネクタを収容する光コネクタ収容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光成端架に具備された光コネクタ収容器としては、例えば特許文献1に記載されているように、光コードの先端部に装着された光コネクタプラグを係止する複数の係止部を有し、収容部から引き込まれた光コードのうち未接続の光コードを保留する保留盤が知られている。
【特許文献1】特開2001―57683号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、光成端架では数多くの光コードが配線されることから、光成端架用の光コネクタ収容器としては、多くの光コネクタをスペース効率良く収容できること、光コネクタの収容及び取り出しが容易に行えることが強く望まれている。
【0004】
本発明の目的は、多くの光コネクタをスペース効率良く収容しつつ、光コネクタの収容及び取り出しを容易に行うことができる光コネクタ収容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、複数本の光コードを配線する光成端架に設けられ、未接続の光コードの先端部に装着された光コネクタを収容する光コネクタ収容器において、光成端架に着脱自在に取り付けられるベースと、ベースに支持され、複数の光コネクタを個別に保持する複数の保持部を有するコネクタ収容棚と、光コードをコネクタ収容棚に向けてガイドするためのガイド部とを備え、保持部は、光コネクタが差し込まれる差込口を有し、光コネクタを差込口より差し込んで保持するように構成されていることを特徴とするものである。
【0006】
このような本発明の光コード収容器に、未接続の光コードの先端部に装着された光コネクタを収容するときは、光コードをガイド部に沿って光コード収容器の正面まで持っていき、その状態で光コネクタを保持部の差込口より保持部に差し込んで保持する。従って、未接続の光コードが数多く存在する場合でも、それら多くの光コードの光コネクタをスペース効率良く収容することができる。また、光コード収容器に収容された光コネクタを取り出すときは、光コード収容器の保持部から光コネクタを引き抜く。このように光コネクタを光コード収容器に収容したり、光コード収容器から光コネクタを取り出すときは、光コネクタを保持部に対して抜き差しするだけで良い。これにより、光コネクタの収容及び取り出しを容易に行うことができる。
【0007】
好ましくは、差込口の寸法が光コネクタの外形寸法よりも小さい。このような構成では、光コネクタを光コード収容器の保持部に差し込んだときには、保持部と光コネクタとの摩擦抵抗により光コネクタが強固に保持されることとなる。従って、光コネクタが保持部から抜け出ることを簡単な構成で確実に防止できる。
【0008】
また、好ましくは、ベースに移動自在に支持され、未接続の光コードを保留する保留部材を更に備え、コネクタ収容棚は保留部材の一端側に設けられ、ガイド部は保留部材の他端側に設けられており、保留部材は、ベースが光成端架に取り付けられた状態において、差込口が光成端架の手前側を向くようにベースに対して傾きながら移動可能である。
【0009】
未接続の光コードの先端部に装着された光コネクタを光コード収容器に収容するときは、保留部材をベースに対して移動させることで、コネクタ収容棚の各保持部の差込口が光成端架の手前側を向くように保留部材をベースに対して傾けた状態で、上記のように光コネクタを保持部に差し込んで保持する。また、光コード収容器に収容された光コネクタを取り出すときは、上記と同様に保留部材をベースに対して傾けた状態で、光コード収容器の保持部から光コネクタを引き抜く。従って、光コード収容器が光成端架に取り付けられている状態において、コネクタ収容棚の各保持部の差込口が光成端架の手前側を向いていなくても、光コネクタの収容及び取り出しを容易に且つ確実に行うことができる。
【0010】
このとき、保留部材の裏面にはガイド用突起が設けられ、ベースには、ガイド用突起と係合するガイドレールが設けられており、ガイドレールは、保留部材をベースに対して傾けながら移動させるための湾曲部を有することが好ましい。この場合には、保留部材のガイド用突起がガイドレールの湾曲部を通ると、保留部材がベースに対して傾くようになる。従って、簡単な構成で、保留部材をベースに対して傾けながら移動させることができる。
【0011】
さらに、好ましくは、光コードをガイド部に対して固定するコード固定手段を更に備える。この場合には、光成端架内において複数本の光コードがより整然と配線されるようになる。このため、例えば作業中に光コードの曲げや損傷等が発生しにくくなる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、多くの光コネクタを光コネクタ収容器にスペース効率良く収容することができる。また、光コネクタ収容器への光コネクタの収容作業と光コネクタ収容器からの光コネクタの取り出し作業とを容易に行うことができ、作業性を向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係る光コネクタ収容器の好適な実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明に係る光コネクタ収容器の一実施形態を備えた光成端架を示す概略正面図である。同図において、光成端架1は、所外(加入者側)光ケーブルに内蔵された複数本の光ファイバコード(以下、単に光コードという)と架間光ケーブルに内蔵された複数本の光コードとを接続する光配線装置である。
【0015】
光成端架1は、所外光ケーブルに内蔵された光コードと接続された複数のカプラユニット(図示せず)と、架間光ケーブルに内蔵された光コードと接続された複数のジャンパユニット2とを備え、これらのユニット同士は光コードで接続される。光コードの両端部には光コネクタ(例えばMUコネクタ)が装着されており、光コードと各ユニットとがコネクタ接続される。このとき、ジャンパユニット2にはコネクタ接続されているが、カプラユニットにはコネクタ接続されていない光コード(以下、保留光コードという)3が多数存在する。
【0016】
そこで、光成端架1には、そのような保留光コード3を保留すべく、保留光コード3の先端部に装着された光コネクタ34(図8等参照)を収容するための複数の光コネクタ収容器4が具備されている。これらの光コネクタ収容器4は、光成端架1の裏扉5に取り付けられている。光コネクタ収容器4は、ジャンパユニット2と同じ数だけ有しており、各ジャンパユニット2と1対1の対応関係となっている。光コネクタ収容器4は、複数段にわたって2列に配置されている。裏扉5には、各光コネクタ収容器4を取り付けるための矩形状の大穴部6及び小穴部7が並んで複数ずつ形成されている(図6等参照)。
【0017】
図2は、光コネクタ収容器4の外観を示す斜視図である。同図において、光コネクタ収容器4は、光成端架1の裏扉5に着脱自在に取り付けられるベース8と、このベース8に移動自在に支持され、保留光コード3を保留する保留部材9とを有している。ベース8及び保留部材9は、例えばポリプロピレン等のプラスチックで形成されている。なお、ベース8の材質は、アルミニウムや鉄等の金属であっても良い。
【0018】
ベース8は、図3に示すように、底板8aと側板8bとからなる断面略L字状の部材である。側板8bには、裏扉5に形成された上記の大穴部6及び小穴部7にそれぞれ係合する係止部10,11が設けられている。
【0019】
係止部10は、側板8bの一端側上部に設けられ、大穴部6に挿入される略三角状の突起12と、この突起12から底板8a側に延び、裏扉5に引っ掛かる引っ掛け爪13aをもった係止片13と、この係止片13を弾性変形させるための略L字状の変形操作片14とからなっている。係止部11は、係止部10から離間するよう側板8bの上部に設けられ、小穴部7に挿入されて裏扉5に引っ掛かるようにL字状をなしている。
【0020】
底板8aの中央部には、窓穴部15が形成されている。また、底板8aには、ガイドレール16,17が窓穴部15を挟むように設けられている。ガイドレール16は係止部10側に配置され、ガイドレール17は係止部11側に配置されている。
【0021】
ガイドレール16は、底板8aの一端部から窓穴部15まで延びている。ガイドレール17は、窓穴部15から底板8aの他端側に延びると共に、側板8bの反対側に向かって湾曲した湾曲部18を有している。ガイドレール16における窓穴部15の反対側の端部にはストッパ16aが設けられ、ガイドレール17における窓穴部15の反対側の端部にはストッパ17aが設けられている。
【0022】
図2に戻り、保留部材9の一端側には、上記のカプラユニット(図示せず)に接続されない保留光コード3の先端部に装着された光コネクタ34(図8等参照)を収容するための2段構造のコネクタ収容棚19,20が設けられている。下段のコネクタ収容棚19は、保留部材9と一体化され、上段のコネクタ収容棚20は、下段のコネクタ収容棚19上に積層されている。コネクタ収容棚19,20同士は、例えば突起と穴との嵌合により位置決め固定されている。
【0023】
コネクタ収容棚19,20は、複数の光コネクタ34(図8等参照)を個別に収容保持する複数(ここでは32個)の保持部21を有している。これらの保持部21は、格子状(メッシュ状)に配列されている。保持部21は、光コネクタ34が差し込まれる矩形状の差込口21aを有し、この差込口21aより光コネクタ34を差し込んで保持するように構成されている。
【0024】
差込口21aの開口寸法は、光コネクタ34の外形寸法よりも僅かに小さくなっている。これにより、光コネクタ34を保持部21に差し込むと、両者間に生じる摩擦抵抗によって光コネクタ34が保持部21に十分強く保持されることになるため、例えば作業中に光コネクタ34が保持部21から抜け出ることが防止される。
【0025】
また、図示はしないが、コネクタ収容棚19,20の背面側(差込口21aの反対側)には、背壁部が設けられている。従って、保持部21に差し込まれた保留光コード3がコネクタ収容棚19,20の背面から抜けることは無い。また、コネクタ収容棚19,20が光コネクタ34のキャップの役目を果たすことになるため、光コネクタ34に塵や埃等が付着しにくくなる。
【0026】
コネクタ収容棚19,20の各保持部21には、コード番号が予め設定されている。例えば、コネクタ収容棚19の最下段左側から最上段右側に向かってコード番号が順に1〜32に付され、コネクタ収容棚20の最下段左側から最上段右側に向かってコード番号が順に33〜64に付されている。光コネクタ34を保持部21に保持する際には、光コネクタ34が装着された保留光コード3の番号に対応するコード番号の保持部21に当該光コネクタ34を差し込むようにする。これにより、任意の保留光コード3に装着された光コネクタ34を保持部21から抜き出すときに、当該保留光コード3をいちいち探し出さなくて済む。
【0027】
また、保留部材9におけるコネクタ収容棚19,20の前面側には、窓穴部22がベース8の窓穴部15と対応するように形成されている。このため、光コネクタ34をコネクタ収容棚19の一番下の保持部21に保持する際には、指を窓穴部22に入れることで、その一番下の保持部21にも光コネクタ34を容易に且つ確実に差し込むことが可能となる。
【0028】
保留部材9の他端側には、保留光コード3をコネクタ収容棚19,20に向けてガイドするためのR状ガイド部23が設けられている。R状ガイド部23は、保留光コード3に曲げ癖がつかないように、最小曲げ半径20mm以上を確保するような曲げRとなっている。これにより、保留光コード3の局所曲がりを防止することができる。
【0029】
保留部材9におけるR状ガイド部23の左右両側には、側壁24,25がそれぞれ設けられている。側壁24には、保留光コード3をR状ガイド部23に対して押さえ付けて固定するコード固定部26がヒンジ部27を介して開閉(回動)可能に一体化されている。コード固定部26の裏面には、保留光コード3を固定する際に保留光コード3に外力が加わりにくくするためのスポンジ28が固着されている。
【0030】
側壁25の外側面には、係止用突起29が設けられている。コード固定部26の先端部には、係止用突起29と係合する係止穴30を有する係止受け部31が設けられている。係止用突起29が係止穴30に入って係止受け部31に引っ掛かることで、コード固定部26が閉じた状態となり、複数本の保留光コード3を一括して固定することが可能となる。これにより、複数本の保留光コード3が煩雑に配線されてしまうことを防止できる。
【0031】
なお、コネクタ収容棚は、特に2段構造に限られるものではなく、ジャンパユニット2から引き出される保留光コード3の本数によってはコネクタ収容棚20を積層しなくても良いし、或いは必要な数の保持部21を有する1つのコネクタ収容棚を保留部材9と一体化させても良い。
【0032】
保留部材9の裏面には、図4に示すように、ベース8に設けられたガイドレール16,17とそれぞれ係合する円柱状のガイド用突起32,33が窓穴部22を挟んで設けられている。ガイド用突起32はコネクタ収容棚19,20側に配置され、ガイド用突起33はR状ガイド部23側に配置されている。
【0033】
通常は、ガイド用突起32がガイドレール16のストッパ16aに当接した状態となっている。この通常状態では、図2に示すように、保留部材9がベース8に対して平行に配置されている。
【0034】
その通常状態から保留部材9をコネクタ収容棚19,20の正面側に動かすと、ガイド用突起32,33がガイドレール16,17に沿って移動する。そして、ガイド用突起33がガイドレール17の湾曲部18を通ってストッパ17aに当たることで、保留部材9が停止する。このとき、図5に示すように、保留部材9がベース8に対して傾いた状態となり、コネクタ収容棚19,20の保持部21の差込口21aが僅かに手前側(側板8bの反対側)を向くようになる。
【0035】
つまり、保留部材9は、保持部21の差込口21aがベース8に対して真横から斜め手前側を向くように傾きながら移動可能である。このとき、ベース8に対する保留部材9の傾き角度は、例えば30度程度である。これにより、光コネクタ収容器4を光成端架1から取り外すことなく、コネクタ収容棚19,20の保持部21に対して保留光コード3の抜き差しを行うことが可能となる。
【0036】
次に、以上のように構成された光コネクタ収容器4に保留光コード3を保留する作業手順について説明する。
【0037】
図6に示すように、光成端架1の裏扉5には、上述したように複数の光コネクタ収容器4が取り付けられている。この状態では、コネクタ収容棚19,20の保持部21の差込口21aは、光成端架1に対して真横(右側)を向いている。
【0038】
光コネクタ収容器4を裏扉5に取り付ける場合は、ベース8に設けられた係止部10の変形操作片14によって同係止片13を付勢力に抗して弾性変形させた状態で、裏扉5の大穴部6及び小穴部7にベース8の係止部10,11をそれぞれ挿入する。そして、係止部10の突起12及び係止片13が大穴部6に入りきった後、変形操作片14を離すと、係止片13が付勢力により元の状態に戻り、係止片13の引っ掛け爪13aが裏扉5に引っ掛かるようになる。
【0039】
そのような光コネクタ収容器4に保留光コード3の光コネクタ34(図8等参照)を収容するときは、図7に示すように、保留部材9をベース8に対して右手前側に移動させて傾けることにより、コネクタ収容棚19,20の各保持部21の正面を裏扉5の手前側に向ける。
【0040】
続いて、任意の保留光コード3を手で持って光コネクタ収容器4の高さ位置まで引き上げた後、図8に示すように、コード固定部26を開いた状態で、任意の保留光コード3をR状ガイド部23に沿わせながらコネクタ収容棚19,20まで導き、その保留光コード3の番号に対応するコード番号の保持部21に当該保留光コード3の光コネクタ34を差し込んで保持させる。
【0041】
その後、必要数の保留光コード3の光コネクタ34を該当する保持部21に保持させたら、図9に示すように、コード固定部26を閉じることで、各保留光コード3をR状ガイド部23に押し付けて固定させる。そして、図10に示すように、保留部材9をベース8に対して左奥側に移動させることで、保留部材9を通常状態に戻す。
【0042】
一方、光コネクタ収容器4から任意の保留光コード3の光コネクタ34を取り出すときは、まず図11に示すように、保留部材9をベース8に対して右手前側に移動させて傾けることにより、コネクタ収容棚19,20の各保持部21の正面を裏扉5の手前側に向ける。
【0043】
続いて、図12に示すように、コード固定部26を開いた状態で、任意の保留光コード3の光コネクタ34をコネクタ収容棚19,20の該当する保持部21から抜き取る。このとき、必要に応じて、コネクタ引き抜き治具を用いて光コネクタ34を保持部21から抜き取っても良い。
【0044】
以上のように本実施形態の光コネクタ収容器4にあっては、保留光コード3の先端部に装着された光コネクタ34を差し込んで保持する複数の保持部21を有するコネクタ収容棚19,20を設けたので、光成端架1内に多数の保留光コード3が存在する場合でも、それらの保留光コード3の光コネクタ34をスペース効率良く整然と収容することができる。これにより、光成端架1内において多くの保留光コード3が溢れて煩雑に配線されることが防止される。その結果、保留光コード3の断線等が起きにくくなるため、保留光コード3の信頼性の低下を避けることが可能となる。
【0045】
また、保留光コード3の光コネクタ34をコネクタ収容棚19,20の保持部21に収容するときは、光コネクタ34を単に保持部34に差し込むだけで良く、保留光コード3の光コネクタ34を保持部21から取り出すときは、光コネクタ34を単に保持部21から抜き取るだけで良いので、光コネクタ34の収容及び取り出しを容易に行うことができる。
【0046】
さらに、コネクタ収容棚19,20を保留部材9に設け、コネクタ収容棚19,20の保持部21の差込口21aが光成端架1の裏扉5の手前側を向くように保留部材9をベース8に対して傾きながら移動可能となる構造としたので、光コネクタ収容器4を光成端架1から取り外すことなく、保留光コード3の光コネクタ34を保持部21に対して抜き差しすることができる。これにより、光コネクタ34の収容及び取り出しに関する作業性を十分向上させることができる。
【0047】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、光コネクタ収容器4のベース8に窓穴部15が形成されているが、光コネクタ収容器の小型化を図るために窓穴部15を形成しなくても良く、この場合にはガイドレール16,17を連続的に設けても良い。
【0048】
また、上記実施形態では、光コネクタ収容器4をベース8と保留部材9という2つの部品で構成したが、保留部材9の無い構造、つまりベース8にコネクタ収容棚19,20及びR状ガイド部23を設けた構造としても良い。
【0049】
ここで、例えば上述したようにコネクタ収容棚19,20の保持部21の差込口21aがベース8の長手方向にまっすぐ向いている場合には、光コネクタ収容器が光成端架1に取り付けられたままの状態で光コネクタ34の収容等を行うことは困難である。しかし、ベース8は光成端架1に対して着脱可能であるため、光コネクタ収容器を光成端架1から取り外して、光コネクタ34の収容等を行えば良い。このとき、光成端架1内に多くの保留光コード3が存在していても、それらの保留光コード3の光コネクタ34はコネクタ収容棚19,20に整然と収容されているため、光コネクタ収容器を光成端架1から取り外す時に保留光コード3が邪魔になることは殆ど無く、光コネクタ収容器を片方の手で持ったまま、もう片方の手で光コネクタ34の抜き差しを行うことができる。
【0050】
さらに、上記実施形態では、保留光コード3をR状ガイド部23に対して固定するコード固定部26を、ヒンジ部27により開閉(回動)可能な構造としているが、保留光コード3を固定する手段としては、特にそのような構造には限られず、例えば保留部材9の側壁24,25に係止溝を設け、平板状のコード固定部材の両端部を係止溝に挿入するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明に係る光コネクタ収容器の一実施形態を備えた光成端架を示す概略正面図である。
【図2】図1に示した光コネクタ収容器の外観を示す斜視図である。
【図3】図2に示したベースの外観を示す斜視図である。
【図4】図2に示した保留部材を裏面側から見た状態の外観を示す斜視図である。
【図5】図2に示した保留部材がベースに対して傾いた状態の外観を示す斜視図である。
【図6】図2に示した光コネクタ収容器が光成端架に取り付けられている状態を示す斜視図である。
【図7】図2に示した光コネクタ収容器に保留光コードの光コネクタを収容する際に、保留部材をベースに対して傾けた状態を示す斜視図である。
【図8】図7に示したコネクタ収容棚の保持部に保留光コードの光コネクタが保持される状態を示す斜視図である。
【図9】図8に示したコネクタ収容棚の保持部に必要数の保留光コードの光コネクタが保持された後に保留光コードが固定された状態を示す斜視図である。
【図10】図9に示した保留部材が通常位置に戻された状態を示す斜視図である。
【図11】図2に示した光コネクタ収容器から保留光コードの光コネクタを取り出す際に、保留部材をベースに対して傾けた状態を示す斜視図である。
【図12】図11に示したコネクタ収容棚の保持部から光コネクタが抜き出される状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0052】
1…光成端架、3…保留光コード、4…光コネクタ収容器、8…ベース、9…保留部材、16,17…ガイドレール、18…湾曲部、19,20…コネクタ収容棚、21…保持部、21a…差込口、23…R状ガイド部、26…コード固定部(コード固定手段)、32,33…ガイド用突起、34…光コネクタ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光成端架において未接続の光コードに装着された光コネクタを収容する光コネクタ収容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光成端架に具備された光コネクタ収容器としては、例えば特許文献1に記載されているように、光コードの先端部に装着された光コネクタプラグを係止する複数の係止部を有し、収容部から引き込まれた光コードのうち未接続の光コードを保留する保留盤が知られている。
【特許文献1】特開2001―57683号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、光成端架では数多くの光コードが配線されることから、光成端架用の光コネクタ収容器としては、多くの光コネクタをスペース効率良く収容できること、光コネクタの収容及び取り出しが容易に行えることが強く望まれている。
【0004】
本発明の目的は、多くの光コネクタをスペース効率良く収容しつつ、光コネクタの収容及び取り出しを容易に行うことができる光コネクタ収容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、複数本の光コードを配線する光成端架に設けられ、未接続の光コードの先端部に装着された光コネクタを収容する光コネクタ収容器において、光成端架に着脱自在に取り付けられるベースと、ベースに支持され、複数の光コネクタを個別に保持する複数の保持部を有するコネクタ収容棚と、光コードをコネクタ収容棚に向けてガイドするためのガイド部とを備え、保持部は、光コネクタが差し込まれる差込口を有し、光コネクタを差込口より差し込んで保持するように構成されていることを特徴とするものである。
【0006】
このような本発明の光コード収容器に、未接続の光コードの先端部に装着された光コネクタを収容するときは、光コードをガイド部に沿って光コード収容器の正面まで持っていき、その状態で光コネクタを保持部の差込口より保持部に差し込んで保持する。従って、未接続の光コードが数多く存在する場合でも、それら多くの光コードの光コネクタをスペース効率良く収容することができる。また、光コード収容器に収容された光コネクタを取り出すときは、光コード収容器の保持部から光コネクタを引き抜く。このように光コネクタを光コード収容器に収容したり、光コード収容器から光コネクタを取り出すときは、光コネクタを保持部に対して抜き差しするだけで良い。これにより、光コネクタの収容及び取り出しを容易に行うことができる。
【0007】
好ましくは、差込口の寸法が光コネクタの外形寸法よりも小さい。このような構成では、光コネクタを光コード収容器の保持部に差し込んだときには、保持部と光コネクタとの摩擦抵抗により光コネクタが強固に保持されることとなる。従って、光コネクタが保持部から抜け出ることを簡単な構成で確実に防止できる。
【0008】
また、好ましくは、ベースに移動自在に支持され、未接続の光コードを保留する保留部材を更に備え、コネクタ収容棚は保留部材の一端側に設けられ、ガイド部は保留部材の他端側に設けられており、保留部材は、ベースが光成端架に取り付けられた状態において、差込口が光成端架の手前側を向くようにベースに対して傾きながら移動可能である。
【0009】
未接続の光コードの先端部に装着された光コネクタを光コード収容器に収容するときは、保留部材をベースに対して移動させることで、コネクタ収容棚の各保持部の差込口が光成端架の手前側を向くように保留部材をベースに対して傾けた状態で、上記のように光コネクタを保持部に差し込んで保持する。また、光コード収容器に収容された光コネクタを取り出すときは、上記と同様に保留部材をベースに対して傾けた状態で、光コード収容器の保持部から光コネクタを引き抜く。従って、光コード収容器が光成端架に取り付けられている状態において、コネクタ収容棚の各保持部の差込口が光成端架の手前側を向いていなくても、光コネクタの収容及び取り出しを容易に且つ確実に行うことができる。
【0010】
このとき、保留部材の裏面にはガイド用突起が設けられ、ベースには、ガイド用突起と係合するガイドレールが設けられており、ガイドレールは、保留部材をベースに対して傾けながら移動させるための湾曲部を有することが好ましい。この場合には、保留部材のガイド用突起がガイドレールの湾曲部を通ると、保留部材がベースに対して傾くようになる。従って、簡単な構成で、保留部材をベースに対して傾けながら移動させることができる。
【0011】
さらに、好ましくは、光コードをガイド部に対して固定するコード固定手段を更に備える。この場合には、光成端架内において複数本の光コードがより整然と配線されるようになる。このため、例えば作業中に光コードの曲げや損傷等が発生しにくくなる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、多くの光コネクタを光コネクタ収容器にスペース効率良く収容することができる。また、光コネクタ収容器への光コネクタの収容作業と光コネクタ収容器からの光コネクタの取り出し作業とを容易に行うことができ、作業性を向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係る光コネクタ収容器の好適な実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明に係る光コネクタ収容器の一実施形態を備えた光成端架を示す概略正面図である。同図において、光成端架1は、所外(加入者側)光ケーブルに内蔵された複数本の光ファイバコード(以下、単に光コードという)と架間光ケーブルに内蔵された複数本の光コードとを接続する光配線装置である。
【0015】
光成端架1は、所外光ケーブルに内蔵された光コードと接続された複数のカプラユニット(図示せず)と、架間光ケーブルに内蔵された光コードと接続された複数のジャンパユニット2とを備え、これらのユニット同士は光コードで接続される。光コードの両端部には光コネクタ(例えばMUコネクタ)が装着されており、光コードと各ユニットとがコネクタ接続される。このとき、ジャンパユニット2にはコネクタ接続されているが、カプラユニットにはコネクタ接続されていない光コード(以下、保留光コードという)3が多数存在する。
【0016】
そこで、光成端架1には、そのような保留光コード3を保留すべく、保留光コード3の先端部に装着された光コネクタ34(図8等参照)を収容するための複数の光コネクタ収容器4が具備されている。これらの光コネクタ収容器4は、光成端架1の裏扉5に取り付けられている。光コネクタ収容器4は、ジャンパユニット2と同じ数だけ有しており、各ジャンパユニット2と1対1の対応関係となっている。光コネクタ収容器4は、複数段にわたって2列に配置されている。裏扉5には、各光コネクタ収容器4を取り付けるための矩形状の大穴部6及び小穴部7が並んで複数ずつ形成されている(図6等参照)。
【0017】
図2は、光コネクタ収容器4の外観を示す斜視図である。同図において、光コネクタ収容器4は、光成端架1の裏扉5に着脱自在に取り付けられるベース8と、このベース8に移動自在に支持され、保留光コード3を保留する保留部材9とを有している。ベース8及び保留部材9は、例えばポリプロピレン等のプラスチックで形成されている。なお、ベース8の材質は、アルミニウムや鉄等の金属であっても良い。
【0018】
ベース8は、図3に示すように、底板8aと側板8bとからなる断面略L字状の部材である。側板8bには、裏扉5に形成された上記の大穴部6及び小穴部7にそれぞれ係合する係止部10,11が設けられている。
【0019】
係止部10は、側板8bの一端側上部に設けられ、大穴部6に挿入される略三角状の突起12と、この突起12から底板8a側に延び、裏扉5に引っ掛かる引っ掛け爪13aをもった係止片13と、この係止片13を弾性変形させるための略L字状の変形操作片14とからなっている。係止部11は、係止部10から離間するよう側板8bの上部に設けられ、小穴部7に挿入されて裏扉5に引っ掛かるようにL字状をなしている。
【0020】
底板8aの中央部には、窓穴部15が形成されている。また、底板8aには、ガイドレール16,17が窓穴部15を挟むように設けられている。ガイドレール16は係止部10側に配置され、ガイドレール17は係止部11側に配置されている。
【0021】
ガイドレール16は、底板8aの一端部から窓穴部15まで延びている。ガイドレール17は、窓穴部15から底板8aの他端側に延びると共に、側板8bの反対側に向かって湾曲した湾曲部18を有している。ガイドレール16における窓穴部15の反対側の端部にはストッパ16aが設けられ、ガイドレール17における窓穴部15の反対側の端部にはストッパ17aが設けられている。
【0022】
図2に戻り、保留部材9の一端側には、上記のカプラユニット(図示せず)に接続されない保留光コード3の先端部に装着された光コネクタ34(図8等参照)を収容するための2段構造のコネクタ収容棚19,20が設けられている。下段のコネクタ収容棚19は、保留部材9と一体化され、上段のコネクタ収容棚20は、下段のコネクタ収容棚19上に積層されている。コネクタ収容棚19,20同士は、例えば突起と穴との嵌合により位置決め固定されている。
【0023】
コネクタ収容棚19,20は、複数の光コネクタ34(図8等参照)を個別に収容保持する複数(ここでは32個)の保持部21を有している。これらの保持部21は、格子状(メッシュ状)に配列されている。保持部21は、光コネクタ34が差し込まれる矩形状の差込口21aを有し、この差込口21aより光コネクタ34を差し込んで保持するように構成されている。
【0024】
差込口21aの開口寸法は、光コネクタ34の外形寸法よりも僅かに小さくなっている。これにより、光コネクタ34を保持部21に差し込むと、両者間に生じる摩擦抵抗によって光コネクタ34が保持部21に十分強く保持されることになるため、例えば作業中に光コネクタ34が保持部21から抜け出ることが防止される。
【0025】
また、図示はしないが、コネクタ収容棚19,20の背面側(差込口21aの反対側)には、背壁部が設けられている。従って、保持部21に差し込まれた保留光コード3がコネクタ収容棚19,20の背面から抜けることは無い。また、コネクタ収容棚19,20が光コネクタ34のキャップの役目を果たすことになるため、光コネクタ34に塵や埃等が付着しにくくなる。
【0026】
コネクタ収容棚19,20の各保持部21には、コード番号が予め設定されている。例えば、コネクタ収容棚19の最下段左側から最上段右側に向かってコード番号が順に1〜32に付され、コネクタ収容棚20の最下段左側から最上段右側に向かってコード番号が順に33〜64に付されている。光コネクタ34を保持部21に保持する際には、光コネクタ34が装着された保留光コード3の番号に対応するコード番号の保持部21に当該光コネクタ34を差し込むようにする。これにより、任意の保留光コード3に装着された光コネクタ34を保持部21から抜き出すときに、当該保留光コード3をいちいち探し出さなくて済む。
【0027】
また、保留部材9におけるコネクタ収容棚19,20の前面側には、窓穴部22がベース8の窓穴部15と対応するように形成されている。このため、光コネクタ34をコネクタ収容棚19の一番下の保持部21に保持する際には、指を窓穴部22に入れることで、その一番下の保持部21にも光コネクタ34を容易に且つ確実に差し込むことが可能となる。
【0028】
保留部材9の他端側には、保留光コード3をコネクタ収容棚19,20に向けてガイドするためのR状ガイド部23が設けられている。R状ガイド部23は、保留光コード3に曲げ癖がつかないように、最小曲げ半径20mm以上を確保するような曲げRとなっている。これにより、保留光コード3の局所曲がりを防止することができる。
【0029】
保留部材9におけるR状ガイド部23の左右両側には、側壁24,25がそれぞれ設けられている。側壁24には、保留光コード3をR状ガイド部23に対して押さえ付けて固定するコード固定部26がヒンジ部27を介して開閉(回動)可能に一体化されている。コード固定部26の裏面には、保留光コード3を固定する際に保留光コード3に外力が加わりにくくするためのスポンジ28が固着されている。
【0030】
側壁25の外側面には、係止用突起29が設けられている。コード固定部26の先端部には、係止用突起29と係合する係止穴30を有する係止受け部31が設けられている。係止用突起29が係止穴30に入って係止受け部31に引っ掛かることで、コード固定部26が閉じた状態となり、複数本の保留光コード3を一括して固定することが可能となる。これにより、複数本の保留光コード3が煩雑に配線されてしまうことを防止できる。
【0031】
なお、コネクタ収容棚は、特に2段構造に限られるものではなく、ジャンパユニット2から引き出される保留光コード3の本数によってはコネクタ収容棚20を積層しなくても良いし、或いは必要な数の保持部21を有する1つのコネクタ収容棚を保留部材9と一体化させても良い。
【0032】
保留部材9の裏面には、図4に示すように、ベース8に設けられたガイドレール16,17とそれぞれ係合する円柱状のガイド用突起32,33が窓穴部22を挟んで設けられている。ガイド用突起32はコネクタ収容棚19,20側に配置され、ガイド用突起33はR状ガイド部23側に配置されている。
【0033】
通常は、ガイド用突起32がガイドレール16のストッパ16aに当接した状態となっている。この通常状態では、図2に示すように、保留部材9がベース8に対して平行に配置されている。
【0034】
その通常状態から保留部材9をコネクタ収容棚19,20の正面側に動かすと、ガイド用突起32,33がガイドレール16,17に沿って移動する。そして、ガイド用突起33がガイドレール17の湾曲部18を通ってストッパ17aに当たることで、保留部材9が停止する。このとき、図5に示すように、保留部材9がベース8に対して傾いた状態となり、コネクタ収容棚19,20の保持部21の差込口21aが僅かに手前側(側板8bの反対側)を向くようになる。
【0035】
つまり、保留部材9は、保持部21の差込口21aがベース8に対して真横から斜め手前側を向くように傾きながら移動可能である。このとき、ベース8に対する保留部材9の傾き角度は、例えば30度程度である。これにより、光コネクタ収容器4を光成端架1から取り外すことなく、コネクタ収容棚19,20の保持部21に対して保留光コード3の抜き差しを行うことが可能となる。
【0036】
次に、以上のように構成された光コネクタ収容器4に保留光コード3を保留する作業手順について説明する。
【0037】
図6に示すように、光成端架1の裏扉5には、上述したように複数の光コネクタ収容器4が取り付けられている。この状態では、コネクタ収容棚19,20の保持部21の差込口21aは、光成端架1に対して真横(右側)を向いている。
【0038】
光コネクタ収容器4を裏扉5に取り付ける場合は、ベース8に設けられた係止部10の変形操作片14によって同係止片13を付勢力に抗して弾性変形させた状態で、裏扉5の大穴部6及び小穴部7にベース8の係止部10,11をそれぞれ挿入する。そして、係止部10の突起12及び係止片13が大穴部6に入りきった後、変形操作片14を離すと、係止片13が付勢力により元の状態に戻り、係止片13の引っ掛け爪13aが裏扉5に引っ掛かるようになる。
【0039】
そのような光コネクタ収容器4に保留光コード3の光コネクタ34(図8等参照)を収容するときは、図7に示すように、保留部材9をベース8に対して右手前側に移動させて傾けることにより、コネクタ収容棚19,20の各保持部21の正面を裏扉5の手前側に向ける。
【0040】
続いて、任意の保留光コード3を手で持って光コネクタ収容器4の高さ位置まで引き上げた後、図8に示すように、コード固定部26を開いた状態で、任意の保留光コード3をR状ガイド部23に沿わせながらコネクタ収容棚19,20まで導き、その保留光コード3の番号に対応するコード番号の保持部21に当該保留光コード3の光コネクタ34を差し込んで保持させる。
【0041】
その後、必要数の保留光コード3の光コネクタ34を該当する保持部21に保持させたら、図9に示すように、コード固定部26を閉じることで、各保留光コード3をR状ガイド部23に押し付けて固定させる。そして、図10に示すように、保留部材9をベース8に対して左奥側に移動させることで、保留部材9を通常状態に戻す。
【0042】
一方、光コネクタ収容器4から任意の保留光コード3の光コネクタ34を取り出すときは、まず図11に示すように、保留部材9をベース8に対して右手前側に移動させて傾けることにより、コネクタ収容棚19,20の各保持部21の正面を裏扉5の手前側に向ける。
【0043】
続いて、図12に示すように、コード固定部26を開いた状態で、任意の保留光コード3の光コネクタ34をコネクタ収容棚19,20の該当する保持部21から抜き取る。このとき、必要に応じて、コネクタ引き抜き治具を用いて光コネクタ34を保持部21から抜き取っても良い。
【0044】
以上のように本実施形態の光コネクタ収容器4にあっては、保留光コード3の先端部に装着された光コネクタ34を差し込んで保持する複数の保持部21を有するコネクタ収容棚19,20を設けたので、光成端架1内に多数の保留光コード3が存在する場合でも、それらの保留光コード3の光コネクタ34をスペース効率良く整然と収容することができる。これにより、光成端架1内において多くの保留光コード3が溢れて煩雑に配線されることが防止される。その結果、保留光コード3の断線等が起きにくくなるため、保留光コード3の信頼性の低下を避けることが可能となる。
【0045】
また、保留光コード3の光コネクタ34をコネクタ収容棚19,20の保持部21に収容するときは、光コネクタ34を単に保持部34に差し込むだけで良く、保留光コード3の光コネクタ34を保持部21から取り出すときは、光コネクタ34を単に保持部21から抜き取るだけで良いので、光コネクタ34の収容及び取り出しを容易に行うことができる。
【0046】
さらに、コネクタ収容棚19,20を保留部材9に設け、コネクタ収容棚19,20の保持部21の差込口21aが光成端架1の裏扉5の手前側を向くように保留部材9をベース8に対して傾きながら移動可能となる構造としたので、光コネクタ収容器4を光成端架1から取り外すことなく、保留光コード3の光コネクタ34を保持部21に対して抜き差しすることができる。これにより、光コネクタ34の収容及び取り出しに関する作業性を十分向上させることができる。
【0047】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、光コネクタ収容器4のベース8に窓穴部15が形成されているが、光コネクタ収容器の小型化を図るために窓穴部15を形成しなくても良く、この場合にはガイドレール16,17を連続的に設けても良い。
【0048】
また、上記実施形態では、光コネクタ収容器4をベース8と保留部材9という2つの部品で構成したが、保留部材9の無い構造、つまりベース8にコネクタ収容棚19,20及びR状ガイド部23を設けた構造としても良い。
【0049】
ここで、例えば上述したようにコネクタ収容棚19,20の保持部21の差込口21aがベース8の長手方向にまっすぐ向いている場合には、光コネクタ収容器が光成端架1に取り付けられたままの状態で光コネクタ34の収容等を行うことは困難である。しかし、ベース8は光成端架1に対して着脱可能であるため、光コネクタ収容器を光成端架1から取り外して、光コネクタ34の収容等を行えば良い。このとき、光成端架1内に多くの保留光コード3が存在していても、それらの保留光コード3の光コネクタ34はコネクタ収容棚19,20に整然と収容されているため、光コネクタ収容器を光成端架1から取り外す時に保留光コード3が邪魔になることは殆ど無く、光コネクタ収容器を片方の手で持ったまま、もう片方の手で光コネクタ34の抜き差しを行うことができる。
【0050】
さらに、上記実施形態では、保留光コード3をR状ガイド部23に対して固定するコード固定部26を、ヒンジ部27により開閉(回動)可能な構造としているが、保留光コード3を固定する手段としては、特にそのような構造には限られず、例えば保留部材9の側壁24,25に係止溝を設け、平板状のコード固定部材の両端部を係止溝に挿入するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明に係る光コネクタ収容器の一実施形態を備えた光成端架を示す概略正面図である。
【図2】図1に示した光コネクタ収容器の外観を示す斜視図である。
【図3】図2に示したベースの外観を示す斜視図である。
【図4】図2に示した保留部材を裏面側から見た状態の外観を示す斜視図である。
【図5】図2に示した保留部材がベースに対して傾いた状態の外観を示す斜視図である。
【図6】図2に示した光コネクタ収容器が光成端架に取り付けられている状態を示す斜視図である。
【図7】図2に示した光コネクタ収容器に保留光コードの光コネクタを収容する際に、保留部材をベースに対して傾けた状態を示す斜視図である。
【図8】図7に示したコネクタ収容棚の保持部に保留光コードの光コネクタが保持される状態を示す斜視図である。
【図9】図8に示したコネクタ収容棚の保持部に必要数の保留光コードの光コネクタが保持された後に保留光コードが固定された状態を示す斜視図である。
【図10】図9に示した保留部材が通常位置に戻された状態を示す斜視図である。
【図11】図2に示した光コネクタ収容器から保留光コードの光コネクタを取り出す際に、保留部材をベースに対して傾けた状態を示す斜視図である。
【図12】図11に示したコネクタ収容棚の保持部から光コネクタが抜き出される状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0052】
1…光成端架、3…保留光コード、4…光コネクタ収容器、8…ベース、9…保留部材、16,17…ガイドレール、18…湾曲部、19,20…コネクタ収容棚、21…保持部、21a…差込口、23…R状ガイド部、26…コード固定部(コード固定手段)、32,33…ガイド用突起、34…光コネクタ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の光コードを配線する光成端架に設けられ、未接続の光コードの先端部に装着された光コネクタを収容する光コネクタ収容器において、
前記光成端架に着脱自在に取り付けられるベースと、
前記ベースに支持され、複数の前記光コネクタを個別に保持する複数の保持部を有するコネクタ収容棚と、
前記光コードを前記コネクタ収容棚に向けてガイドするためのガイド部とを備え、
前記保持部は、前記光コネクタが差し込まれる差込口を有し、前記光コネクタを前記差込口より差し込んで保持するように構成されていることを特徴とする光コネクタ収容器。
【請求項2】
前記差込口の寸法が前記光コネクタの外形寸法よりも小さいことを特徴とする請求項1記載の光コネクタ収容器。
【請求項3】
前記ベースに移動自在に支持され、前記未接続の光コードを保留する保留部材を更に備え、
前記コネクタ収容棚は前記保留部材の一端側に設けられ、前記ガイド部は前記保留部材の他端側に設けられており、
前記保留部材は、前記ベースが前記光成端架に取り付けられた状態において、前記差込口が前記光成端架の手前側を向くように前記ベースに対して傾きながら移動可能であることを特徴とする請求項1または2記載の光コネクタ収容器。
【請求項4】
前記保留部材の裏面にはガイド用突起が設けられ、
前記ベースには、前記ガイド用突起と係合するガイドレールが設けられており、
前記ガイドレールは、前記保留部材を前記ベースに対して傾けながら移動させるための湾曲部を有することを特徴とする請求項3記載の光コネクタ収容器。
【請求項5】
前記光コードを前記ガイド部に対して固定するコード固定手段を更に備えることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項記載の光コネクタ収容器。
【請求項1】
複数本の光コードを配線する光成端架に設けられ、未接続の光コードの先端部に装着された光コネクタを収容する光コネクタ収容器において、
前記光成端架に着脱自在に取り付けられるベースと、
前記ベースに支持され、複数の前記光コネクタを個別に保持する複数の保持部を有するコネクタ収容棚と、
前記光コードを前記コネクタ収容棚に向けてガイドするためのガイド部とを備え、
前記保持部は、前記光コネクタが差し込まれる差込口を有し、前記光コネクタを前記差込口より差し込んで保持するように構成されていることを特徴とする光コネクタ収容器。
【請求項2】
前記差込口の寸法が前記光コネクタの外形寸法よりも小さいことを特徴とする請求項1記載の光コネクタ収容器。
【請求項3】
前記ベースに移動自在に支持され、前記未接続の光コードを保留する保留部材を更に備え、
前記コネクタ収容棚は前記保留部材の一端側に設けられ、前記ガイド部は前記保留部材の他端側に設けられており、
前記保留部材は、前記ベースが前記光成端架に取り付けられた状態において、前記差込口が前記光成端架の手前側を向くように前記ベースに対して傾きながら移動可能であることを特徴とする請求項1または2記載の光コネクタ収容器。
【請求項4】
前記保留部材の裏面にはガイド用突起が設けられ、
前記ベースには、前記ガイド用突起と係合するガイドレールが設けられており、
前記ガイドレールは、前記保留部材を前記ベースに対して傾けながら移動させるための湾曲部を有することを特徴とする請求項3記載の光コネクタ収容器。
【請求項5】
前記光コードを前記ガイド部に対して固定するコード固定手段を更に備えることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項記載の光コネクタ収容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−145728(P2010−145728A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−322633(P2008−322633)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【出願人】(000163394)株式会社コミューチュア (12)
【出願人】(390001786)株式会社大栄製作所 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【出願人】(000163394)株式会社コミューチュア (12)
【出願人】(390001786)株式会社大栄製作所 (2)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]