説明

光ファイバ接続装置

【課題】本発明の課題は、屈折率整合剤中を伝搬する光の拡散を抑えて、光損失が上昇するのを抑制する光ファイバ接続装置を提供することにある。
【解決手段】本発明は、一方の光ファイバ22と他方の光ファイバ23が端面間に間隙を開けて突合されるように対向して配置される光ファイバ配置装置21と、前記光ファイバ22,23の端面間の間隙に設けられるフレネル反射を防ぐための屈折率整合剤24とを備えた光ファイバ接続装置であって、前記屈折率整合剤24を温度制御する温度制御装置25を設けたことを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ同士をフレネル反射を防ぐための屈折率整合剤を介在して光接続する光ファイバ接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光ファイバ通信線路、または光線路監視を行う光試験線路を構成する光ファイバ同士を接続する接続機構として、光ファイバ突合せ接続が用いられる。
【0003】
この光ファイバ突合せ接続ではフレネル反射防止および光損失を抑制するためにマッチングオイルと呼ばれる屈折率整合剤を用いている。
【0004】
しかしながら、ここ数年の光伝送システムにおいて、通信光あるいは分布ラマンシステムで用いる励起光の光パワーが1W級の大きなパワーになっている(以下、ハイパワー光という)。このようなハイパワー光を、光ファイバを突合せて接続する機構をもち、かつ屈折率整合剤を封入する光ファイバ接続部に入力すると光損失が上昇する現象が現れる(例えば、非特許文献1参照。)。
【0005】
この現象は以下のように説明できる。光ファイバ突合せ部へのハイパワー光入力時において、屈折率整合剤の温度上昇が発生する。その温度上昇はコア中心部が最も高く、径方向に徐々に低くなっている。その結果、径方向に屈折率整合剤が温度勾配を持つ。ここでその係数をδn/δTとし、ファイバコア中心から径方向rへの屈折率n(r)を式で表すと
【0006】
n(r)=n+[δn/δT]×[T(r)−T(0)] (1)
である。ここで、n(r)は半径rにおける屈折率、nはコア中心部(r=0)における屈折率、T(r)は半径rにおける温度、T(0)はコア中心部(r=0)における温度をそれぞれ表す。
【0007】
屈折率整合剤として用いる材料としてはシリコーンオイルなどがあるが、その係数δn/δTは負である(例えば、非特許文献2参照。)。これは、熱による大幅な温度上昇を考慮した材料選定を行っていないためである。よって、屈折率整合剤中の屈折率は中心部から半径rが大きくなるにつれ、分布的に大きくなる。したがって、屈折率整合剤中を伝搬する光は、光ファイバの伝搬とは逆に光が拡散される効果を持つことになるため、光損失が上昇する。
【0008】
図9は従来の光ファイバ接続を示す構成説明図である。図9において、一方の光ファイバ11と他方の光ファイバ12が端面間に間隙13を開けて突合されるように対向して配置される。前記光ファイバ11,12の端面間の間隙13にはフレネル反射を防ぐための屈折率整合剤14が設けられる。
【0009】
図10は一般的な単一モード光ファイバの屈折率プロファイルを示す説明図である。図10において、縦軸は屈折率nであり、横軸は半径rで、r=0は光ファイバ11,12のコアの中心部である。図10に示すように、光ファイバ11,12のコアの屈折率n1をクラッドの屈折率n2よりある程度大きくすることで、全反射の繰り返しにより光が光ファイバ11,12中を導波する。
【0010】
図11は従来のハイパワー光入力時の屈折率整合剤の屈折率プロファイルと温度分布を示す特性図である。図11において、縦軸は屈折率nであり、横軸は半径rで、r=0は光ファイバ11,12のコアの中心部である。図11に示すように、屈折率整合剤14で充填された光ファイバ11,12の突合せ部に、ハイパワー光が入力されて屈折率整合剤14中に分布的な温度上昇が生じた場合、その屈折率プロファイルはコア中心部r=0が最も低く、徐々に半径r方向に大きくなるようになる。このときのコア中心部r=0における屈折率をn(0)、半径rにおける屈折率をn(r)と記述すると、
T(0)>T(r)
n(0)<n(r)
が成り立つ。このときの温度分布は図11の点線15で示され、屈折率分布は図11の実線16で示されるようになる。
【0011】
この場合、屈折率整合剤14中で光を閉じ込めて導波することができなくなり、導波されている光が拡がり、放射され損失となる。
【0012】
【非特許文献1】I.Ogushi,H.Izumita,K.Tanaka,F.Ito and M.Arii,”Observation of ignition induced by a high power light input at a butt-joint splice with refractive index matching material ,“OFC/NFOEC,OFK6(2006).
【非特許文献2】M.Kihara,S.Nagasawa and T.Tanifuji,”Return loss characteristics of optical fiber connectors,”J.Lightwave Technol.,Vol.14,No.9,p.1986-1991,September 1996.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、屈折率整合剤中を伝搬する光の拡散を抑えて、光損失が上昇するのを抑制する光ファイバ接続装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために本発明は、一方の光ファイバと他方の光ファイバが端面間に間隙を開けて突合されるように対向して配置される光ファイバ配置装置と、前記光ファイバの端面間の間隙に設けられるフレネル反射を防ぐための屈折率整合剤とを備えた光ファイバ接続装置であって、前記屈折率整合剤を温度制御する温度制御装置を設けたことを特徴とするものである。
【0015】
また本発明は、一方の光ファイバと他方の光ファイバが端面間に間隙を開けて突合されるように対向して配置される光ファイバ配置装置と、前記光ファイバの端面間の間隙に設けられるフレネル反射を防ぐための屈折率整合剤とを備えた光ファイバ接続装置であって、前記屈折率整合剤を攪拌する攪拌装置を設けたことを特徴とするものである。
【0016】
また本発明は、一方の光ファイバと他方の光ファイバが端面間に間隙を開けて突合されるように対向して配置される光ファイバ配置装置と、前記光ファイバの端面間の間隙に設けられるフレネル反射を防ぐための屈折率整合剤とを備えた光ファイバ接続装置であって、前記屈折率整合剤の屈折率の温度係数が正であることを特徴とするものである。
【0017】
また本発明は、一方の光ファイバの端面が配置されると共に、他方の複数の光ファイバの端面が配置される光ファイバ配置装置と、前記一方の光ファイバを移動して前記他方の一つの光ファイバの配置位置に切り替えることにより、前記一方の光ファイバと前記他方の一つの光ファイバが端面間に間隙を開けて突合されるように対向して調芯する移動調芯駆動部と、前記光ファイバの端面間の間隙に設けられるフレネル反射を防ぐための屈折率整合剤とを備えた光ファイバ接続装置であって、前記屈折率整合剤を温度制御する温度制御装置を設けたことを特徴とするものである。
【0018】
また本発明は、一方の光ファイバの端面が配置されると共に、他方の複数の光ファイバの端面が配置される光ファイバ配置装置と、前記一方の光ファイバを移動して前記他方の一つの光ファイバの配置位置に切り替えることにより、前記一方の光ファイバと前記他方の一つの光ファイバが端面間に間隙を開けて突合されるように対向して調芯する移動調芯駆動部と、前記光ファイバの端面間の間隙に設けられるフレネル反射を防ぐための屈折率整合剤とを備えた光ファイバ接続装置であって、前記屈折率整合剤を攪拌する攪拌装置を設けたことを特徴とするものである。
【0019】
また本発明は、一方の光ファイバの端面が配置されると共に、他方の複数の光ファイバの端面が配置される光ファイバ配置装置と、前記一方の光ファイバを移動して前記他方の一つの光ファイバの配置位置に切り替えることにより、前記一方の光ファイバと前記他方の一つの光ファイバが端面間に間隙を開けて突合されるように対向して調芯する移動調芯駆動部と、前記光ファイバの端面間の間隙に設けられるフレネル反射を防ぐための屈折率整合剤とを備えた光ファイバ接続装置であって、前記屈折率整合剤の屈折率の温度係数が正であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明の光ファイバ接続装置は、屈折率整合剤中を伝搬する光の拡散を抑えて、光損失が上昇するのを抑制することにより、通信光あるいは励起光の光パワーが1W級の比較的大きなパワーを扱う光ファイバ通信線路における光接続や、ファイバ突合せ接続機構をもつ光ファイバセレクタ等に対応できるハイパワー光の入力に対応できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係る光ファイバ接続装置を示す構成説明図である。図1に示すように、中空部を有する筐体よりなる光ファイバ配置装置21には一方の光ファイバ22が先端面を中空部に挿入して設けられると共に、他方の光ファイバ23が先端面を中空部に挿入して設けられる。前記一方の光ファイバ22と他方の光ファイバ23は端面間に間隙を開けて突合されるように対向して配置される。前記一方の光ファイバ22と他方の光ファイバ23との端面間の間隙は数μ〜100μである。光ファイバ配置装置21の中空部にはフレネル反射を防ぐための屈折率整合剤24が充填され、前記光ファイバ22,23の端面間の間隙にはフレネル反射を防ぐための屈折率整合剤24が設けられる。前記光ファイバ22,23の端面間間隙近傍の光ファイバ配置装置21には中空部に充填された屈折率整合剤24を外部から温度制御する温度制御装置25が設けられる。
【0022】
尚、前記温度制御装置25としては、例えばヒータまたはペルチェ素子等を用いることができる。
【0023】
また、屈折率整合剤としては、シリカケトン等のシリコーン樹脂の側鎖の一部をフェニル基とメチル基で置き換えた化合物を用いることが有効であり、その中でもフェニル基とメチル基の配合比を48:52(側鎖基の%)とすることで特に好適な化合物(屈折率1.46でゴム弾性)が得られる。前記屈折率整合剤は、光ファイバの端面接合時に使用する光ファイバコアとほぼ同じ屈折率を有し、かつ低損失で光を透過するゲル状または、液体の屈折率整合剤であり、光通信用として使用できる。
【0024】
すなわち、温度制御装置25により屈折率整合剤24の温度制御を実施することにより、光ファイバ22,23の突合せ部に充填された屈折率整合剤24にハイパワー光が入力された場合に、屈折率整合剤24中に生じる分布的な温度上昇を抑えて温度勾配を緩和させることができる。
【0025】
図2は本発明の第1の実施形態で温度制御を行った場合と行わない場合における屈折率整合剤の温度分布を示す特性図である。図2において、縦軸は温度、横軸は半径rで、31は温度制御を行わない場合の温度分布、32は温度制御を行った場合の温度分布である。
【0026】
すなわち、屈折率整合剤24中へのハイパワー光入力によって、屈折率整合剤24中に生じる分布的な温度上昇が発生するが、屈折率整合剤24の温度制御を行わない場合における温度変化をΔTとすると
ΔT=T(0)−T(r)
である。ここで、T(r)は半径rにおける温度、T(0)は中心部(r=0)における温度をそれぞれ表す。
【0027】
外部の温度制御装置25によって屈折率整合剤24の温度制御を行う場合、その温度変化ΔT′は屈折率整合剤24の温度制御を行わない場合と比べてその変化幅は小さくなる。すなわち、
ΔT′=T′(0)−T′(r) (ΔT>ΔT′)
である。ここで、T′(r)は半径rにおける温度、T′(0)は中心部(r=0)における温度をそれぞれ表す。
【0028】
このときの温度制御を行う場合と行わない場合の屈折率整合剤24の温度分布の変化を矢印で示す。
従って、温度制御を行う場合には屈折率整合剤24の分布的な温度上昇が緩和される。
【0029】
図3は本発明の第1の実施形態で温度制御を行った場合と行わない場合における屈折率整合剤の屈折率分布を示す特性図である。図3において、縦軸は屈折率n、横軸は半径rで、41は温度制御を行わない場合の屈折率分布、42は温度制御を行った場合の屈折率分布である。
【0030】
すなわち、屈折率変化Δn=n(0)−n(r)、Δn′=n′(0)−n′(r)の変化量において
Δn>Δn′
が成り立ち、温度制御を行う場合において光の拡がりを抑える効果があると期待できる。ここで、Δnは温度制御を行わない場合の屈折率変化、Δn′は温度制御を行った場合の屈折率変化、n(0)は温度制御を行わない場合の中心部(r=0)における屈折率、n′(0)は温度制御を行った場合の中心部(r=0)における屈折率、n(r)は温度制御を行わない場合の半径rにおける屈折率、n′(r)は温度制御を行った場合の半径rにおける屈折率を表す。
【0031】
従って、屈折率整合剤24の分布的な温度上昇が緩和されるため、屈折率の変化においても同様に緩和される。
【0032】
図4は本発明の第2の実施形態に係る光ファイバ接続装置を示す構成説明図である。図4に示すように、中空部を有する筐体よりなる光ファイバ配置装置51には一方の光ファイバ52が先端面を中空部に挿入して設けられると共に、他方の光ファイバ53が先端面を中空部に挿入して設けられる。前記一方の光ファイバ52と他方の光ファイバ53は端面間に間隙を開けて突合されるように対向して配置される。光ファイバ配置装置51の中空部にはフレネル反射を防ぐための屈折率整合剤54が充填され、前記光ファイバ52,53の端面間の間隙にはフレネル反射を防ぐための屈折率整合剤54が設けられる。前記光ファイバ52,53の端面間間隙近傍の光ファイバ配置装置51には中空部に充填された屈折率整合剤54を攪拌する攪拌装置55が設けられる。
【0033】
尚、前記攪拌装置55としては、例えば屈折率整合剤54中で回転するファン等を用いることができる。
【0034】
すなわち、攪拌装置55により屈折率整合剤54を攪拌して対流を実施することにより、光ファイバ52,53の突合せ部に充填された屈折率整合剤54にハイパワー光が入力された場合に、屈折率整合剤54中に生じる分布的な温度上昇を抑えて温度勾配を緩和させることができる。
【0035】
図5は本発明の第2の実施形態で攪拌を行った場合と行わない場合における屈折率整合剤の温度分布を示す特性図である。図5において、縦軸は温度、横軸は半径rで、61は攪拌による対流を実施しない場合の温度分布、62は攪拌による対流を実施した場合の温度分布である。
【0036】
すなわち、屈折率整合剤54中へのハイパワー光入力によって、屈折率整合剤54中に生じる分布的な温度上昇が発生するが、屈折率整合剤54の攪拌による対流を実施しない場合における温度変化をΔTとすると
ΔT=T(0)−T(r)
である。ここで、T(r)は半径rにおける温度、T(0)は中心部(r=0)における温度をそれぞれ表す。
【0037】
攪拌装置55によって屈折率整合剤54の攪拌による対流を実施した場合、温度変化を均一に作用する効果が働くので、その温度変化ΔT′は屈折率整合剤54の攪拌による対流を実施しない場合と比べてその変化幅は小さくなる。すなわち、
ΔT′=T′(0)−T′(r) (ΔT>ΔT′)
である。ここで、T′(r)は半径rにおける温度、T′(0)は中心部(r=0)における温度をそれぞれ表す。
【0038】
このときの攪拌による対流を実施した場合と攪拌による対流を実施しない場合の屈折率整合剤54の温度分布の変化を矢印で示す。
従って、攪拌による対流を実施した場合には屈折率整合剤54の分布的な温度上昇が緩和される。
【0039】
図6は本発明の第2の実施形態で攪拌を行った場合と行わない場合における屈折率整合剤の屈折率分布を示す特性図である。図6において、縦軸は屈折率n、横軸は半径rで、71は攪拌による対流を実施しない場合の屈折率分布、72は攪拌による対流を実施した場合の屈折率分布である。
【0040】
すなわち、屈折率変化Δn=n(0)−n(r)、Δn′=n′(0)−n′(r)の変化量において
Δn>Δn′
が成り立ち、屈折率整合剤54の攪拌による対流を実施した場合において光の拡がりを抑える効果があると期待できる。ここで、Δnは攪拌による対流を実施しない場合の屈折率変化、Δn′は攪拌による対流を実施した場合の屈折率変化、n(0)は攪拌による対流を実施しない場合の中心部(r=0)における屈折率、n′(0)は攪拌による対流を実施した場合の中心部(r=0)における屈折率、n(r)は攪拌による対流を実施しない場合の半径rにおける屈折率、n′(r)は攪拌による対流を実施した場合の半径rにおける屈折率を表す。
【0041】
従って、屈折率整合剤54の分布的な温度上昇が緩和されるため、屈折率の変化においても同様に緩和される。
【0042】
次に、本発明の第3の実施形態に係る光ファイバ接続装置について説明する。すなわち、本発明の第3の実施形態に係る光ファイバ接続装置は、一方の光ファイバと他方の光ファイバが端面間に間隙を開けて突合されるように対向して配置される光ファイバ配置装置と、前記光ファイバの端面間の間隙に設けられるフレネル反射を防ぐための屈折率の温度係数が正である屈折率整合剤とを備えて構成される。
【0043】
屈折率の温度勾配係数が正となるような屈折率整合剤を用いることにより、ハイパワー光を入射した際に生じる伝搬光の界分布拡がりを生じさせなくできる。
【0044】
図7は本発明の第3の実施形態でハイパワー光入力時の屈折率整合剤の屈折率プロファイルと温度分布を示す特性図である。図7において、縦軸は温度及び屈折率n、横軸は半径r、r=0は光ファイバのコアの中心部、81はハイパワー光入力時の屈折率整合剤の温度分布、82はハイパワー光入力時の屈折率整合剤の屈折率分布である。
【0045】
図7に示すように、屈折率の温度勾配係数が正となるような屈折率整合剤で充填された光ファイバの突合せ部に、ハイパワー光が入力されて屈折率整合剤中に分布的な温度上昇が生じた場合、その屈折率プロファイルはコア中心部r=0が最も大きく、徐々に半径r方向に低くなるようになる。
【0046】
すなわち、屈折率整合剤の温度勾配係数が正、すなわち式(1)で示したδn/δTが正の場合、径方向に分布的な温度上昇に伴って屈折率変化は図11で示した屈折率プロファイルと真逆に作用する。このときのコア中心部r=0における屈折率をn(0)、半径rにおける屈折率をn(r)と記述すると、
T(0)>T(r)
n(r)<n(0)
が成り立つ。
【0047】
第3の実施形態の場合、グレーデッドインデックス型ファイバのような導波構造となるため、光の拡がりを抑えられ放射損失を抑えることができる。
【0048】
図8は本発明の第4の実施形態に係る光ファイバ接続装置を示す構成説明図である。図8に示すように、中空部を有する筐体よりなる光ファイバ配置装置91には一方の光ファイバ92が先端面を中空部に挿入して配置され、上下方向に移動自在に設けられると共に、他方の複数の光ファイバ93が先端面を中空部に挿入して上下方向に略等間隔に配置して設けられる。前記一方の光ファイバ92は移動調芯駆動部94に取付けられて上下方向に移動して前記他方の一つの光ファイバ93の配置位置に切り替えられることにより、前記一方の光ファイバ92と前記他方の一つの光ファイバ93が端面間に間隙を開けて突合されるように対向して調芯されるように配置される。光ファイバ配置装置21の中空部にはフレネル反射を防ぐための屈折率整合剤95が充填され、前記光ファイバ92,93の端面間の間隙にはフレネル反射を防ぐための屈折率整合剤95が設けられる。前記光ファイバ92,93の端面間間隙近傍の光ファイバ配置装置91には中空部に充填された屈折率整合剤95を外部から温度制御する温度制御装置96が設けられると共に、中空部に充填された屈折率整合剤95を攪拌する攪拌装置97が設けられる。
【0049】
尚、光ファイバ配置装置91には温度制御装置96または攪拌装置97のどちらか一方のみを設けるようにしてもよい。
【0050】
本発明の第4の実施形態に係る光ファイバ接続装置は一方の光ファイバ92を移動して調芯する移動調芯駆動部94と光ファイバ経路を切り替える他方のスイッチ用光フィアバ93を備えた光スイッチであり、本発明の第1の実施形態及び第2の実施形態で記述された効果を持つので、ハイパワー光の入力時において、光の拡がりによる放射損失を抑える光スイッチを提供できる。
【0051】
次に、第5の実施形態に係る光ファイバ接続装置について説明する。すなわち、第5の実施形態に係る光ファイバ接続装置は一方の光ファイバの端面が配置されると共に、他方の複数の光ファイバの端面が配置される光ファイバ配置装置と、前記一方の光ファイバを移動して前記他方の一つの光ファイバの配置位置に切り替えることにより、前記一方の光ファイバと前記他方の一つの光ファイバが端面間に間隙を開けて突合されるように対向して調芯する移動調芯駆動部と、前記光ファイバの端面間の間隙に設けられるフレネル反射を防ぐための屈折率の温度係数が正である屈折率整合剤とを備えて構成される。
【0052】
本発明の第5の実施形態に係る光ファイバ接続装置は一方の光ファイバを移動して調芯する移動調芯駆動部と光ファイバ経路を切り替える他方のスイッチ用光フィアバを備えた光スイッチであり、本発明の第3の実施形態で記述された効果を持つので、ハイパワー光の入力時において、光の拡がりによる放射損失を抑える光スイッチを提供できる。
【0053】
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る光ファイバ接続装置を示す構成説明図である。
【図2】本発明の第1の実施形態で温度制御を行った場合と行わない場合における屈折率整合剤の温度分布を示す特性図である。
【図3】本発明の第1の実施形態で温度制御を行った場合と行わない場合における屈折率整合剤の屈折率分布を示す特性図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る光ファイバ接続装置を示す構成説明図である。
【図5】本発明の第2の実施形態で攪拌を行った場合と行わない場合における屈折率整合剤の温度分布を示す特性図である。
【図6】本発明の第2の実施形態で攪拌を行った場合と行わない場合における屈折率整合剤の屈折率分布を示す特性図である。
【図7】本発明の第3の実施形態でハイパワー光入力時の屈折率整合剤の屈折率プロファイルと温度分布を示す特性図である。
【図8】本発明の第4の実施形態に係る光ファイバ接続装置を示す構成説明図である。
【図9】従来の光ファイバ接続を示す構成説明図である。
【図10】一般的な単一モード光ファイバの屈折率プロファイルを示す説明図である。
【図11】従来のハイパワー光入力時の屈折率整合剤の屈折率プロファイルと温度分布を示す特性図である。
【符号の説明】
【0055】
21…光ファイバ配置装置、22…光ファイバ、23…光ファイバ、24…屈折率整合剤、25…温度制御装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の光ファイバと他方の光ファイバが端面間に間隙を開けて突合されるように対向して配置される光ファイバ配置装置と、前記光ファイバの端面間の間隙に設けられるフレネル反射を防ぐための屈折率整合剤とを備えた光ファイバ接続装置であって、
前記屈折率整合剤を温度制御する温度制御装置を設けたことを特徴とする光ファイバ接続装置。
【請求項2】
一方の光ファイバと他方の光ファイバが端面間に間隙を開けて突合されるように対向して配置される光ファイバ配置装置と、前記光ファイバの端面間の間隙に設けられるフレネル反射を防ぐための屈折率整合剤とを備えた光ファイバ接続装置であって、
前記屈折率整合剤を攪拌する攪拌装置を設けたことを特徴とする光ファイバ接続装置。
【請求項3】
一方の光ファイバと他方の光ファイバが端面間に間隙を開けて突合されるように対向して配置される光ファイバ配置装置と、前記光ファイバの端面間の間隙に設けられるフレネル反射を防ぐための屈折率整合剤とを備えた光ファイバ接続装置であって、
前記屈折率整合剤の屈折率の温度係数が正であることを特徴とする光ファイバ接続装置。
【請求項4】
一方の光ファイバの端面が配置されると共に、他方の複数の光ファイバの端面が配置される光ファイバ配置装置と、前記一方の光ファイバを移動して前記他方の一つの光ファイバの配置位置に切り替えることにより、前記一方の光ファイバと前記他方の一つの光ファイバが端面間に間隙を開けて突合されるように対向して調芯する移動調芯駆動部と、前記光ファイバの端面間の間隙に設けられるフレネル反射を防ぐための屈折率整合剤とを備えた光ファイバ接続装置であって、
前記屈折率整合剤を温度制御する温度制御装置を設けたことを特徴とする光ファイバ接続装置。
【請求項5】
一方の光ファイバの端面が配置されると共に、他方の複数の光ファイバの端面が配置される光ファイバ配置装置と、前記一方の光ファイバを移動して前記他方の一つの光ファイバの配置位置に切り替えることにより、前記一方の光ファイバと前記他方の一つの光ファイバが端面間に間隙を開けて突合されるように対向して調芯する移動調芯駆動部と、前記光ファイバの端面間の間隙に設けられるフレネル反射を防ぐための屈折率整合剤とを備えた光ファイバ接続装置であって、
前記屈折率整合剤を攪拌する攪拌装置を設けたことを特徴とする光ファイバ接続装置。
【請求項6】
一方の光ファイバの端面が配置されると共に、他方の複数の光ファイバの端面が配置される光ファイバ配置装置と、前記一方の光ファイバを移動して前記他方の一つの光ファイバの配置位置に切り替えることにより、前記一方の光ファイバと前記他方の一つの光ファイバが端面間に間隙を開けて突合されるように対向して調芯する移動調芯駆動部と、前記光ファイバの端面間の間隙に設けられるフレネル反射を防ぐための屈折率整合剤とを備えた光ファイバ接続装置であって、
前記屈折率整合剤の屈折率の温度係数が正であることを特徴とする光ファイバ接続装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−309893(P2008−309893A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−155572(P2007−155572)
【出願日】平成19年6月12日(2007.6.12)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】