説明

光制御フィルム

光制御フィルム及びそれを組み込んだディスプレイが提供される。具体的には、光入射面と、光入射面に対向する光出射面とを含む、光制御フィルムが提供される。光制御フィルムは、光入射面と光出射面との間に交互に配置された透過領域及び吸収領域を更に含む。各透過領域は屈折率N1を有し、各吸収領域は屈折率N2を有し、N2−N1は−0.005以上である。連続する吸収領域の平均ピッチは0.070mm以下である。光入射面に入射した光は、光出射面に垂直な方向で65以上の最大相対輝度比(RBR)で光出射面から出射し、45°以下の有効極視野角(EPVA)で光出射面から出射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本説明は、一般に光制御フィルム及びそれを組み込んだディスプレイに関する。具体的には、本説明は改善された光透過率を有する光制御フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
光コリメーティングフィルムとしても知られる光制御フィルム(LCF)は、光透過率を調節するように構成されている光学フィルムである。各種のLCFが周知であり、典型的には、光吸収材料で形成されている複数個の平行な溝を有する光透過性フィルムが挙げられる。
【0003】
LCFは、表示面、像表面、又は見られる他の表面に近接して設置できる。見る人が、フィルム表面に垂直な方向においてLCFを通して画像を見る垂直入射(即ち視野角0°)では、画像を見ることができる。視野カットオフ角に達するまでは、視野角が増加するにつれてLCFを通って透過される光の量が減少し、視野カットオフ角では実質的にすべての光が光吸収材料により遮断され、画像はもはや見られなくなる。これは、視野角の典型的範囲の外側にいる他者による観察を遮断することによって、見る人にプライバシーを提供することができる。
【0004】
LCFは、ポリカーボネート基材上で重合性樹脂を成形し、紫外線硬化させることによって調製できる。このようなLCFは、3M Company,St.Paul,MNから商品名「3M(商標)Filters for Notebook Computers and LCD Monitors」で市販されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ディスプレイ技術の進歩により、消費者が欲する輝度、解像度、及びエネルギー効率の向上したディスプレイがもたらされた。セキュリティ又は他の目的でLCFをディスプレイの前側に設置した場合、ディスプレイの輝度及び解像度が低下する可能性がある。ディスプレイの輝度及び解像度を低下させないLCFを有することが望ましいと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの態様では、本説明は、光入射面、及び光入射面に対向する光出射面を含む、光制御フィルムに関する。光制御フィルムは、光入射面と光出射面との間に交互に配置された透過領域及び吸収領域を更に含む。各透過領域は屈折率N1を有し、各吸収領域は屈折率N2を有し、N2−N1は−0.005以上である。光制御フィルムは、0.070mm以下の連続する吸収領域の平均ピッチを有する。光入射面に入射した光は、光出射面に垂直な方向において65以上の最大相対輝度比(RBR)で光出射面から出射し、45°以下の有効極視野角(EPVA)で光出射面から出射する。幾つかの実施形態では、吸収領域は、最も狭い末端部で8μm以下の幅を有してよい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
明細書を通じて、添付図面を参照されたい。同様の参照番号は同様の要素を指す。
【図1】LCFの断面図。
【図2】ミクロ構造化フィルム物品の斜視図。
【図3】LCFの斜視図。
【図4】LCFの斜視図。
【図5】バックライトディスプレイの概略斜視図。
【図6】種々のLCFフィルムの輝度及び配向のプロット。
【図7】種々のLCFの水平視野角に対するRBRのプロット。
【図8】種々のLCFの垂直視野角に対するRBRのプロット。
【0008】
図面は、必ずしも縮尺に従っていない。図面で用いられる同様の番号は、同様の構成要素を指す。しかしながら、所定の図中の構成要素を指す数字の使用は、同じ数字を付けられた別の図中の構成要素を限定することを意図するものではないことが理解されよう。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本願は、明確な視野カットオフ角を維持しつつ、増加した輝度及び透過光の均一性を有するLCFを目的とする。具他的には、本願は、より小さな吸収領域のピッチ、より小さな吸収領域のベースに対する上面のアスペクト比、全反射(TIR)を低減又は排除するように選択される吸収領域及び透過領域の屈折率の選択、より小さな(又は更には排除された)モアレの出現に対するバイアス角、より高い軸上の輝度、及びより小さな透過領域に対する吸収領域のアスペクト比という特性の1つ以上の組み合わせを有するLCFを提供する。
【0010】
モアレの出現に対するバイアス角を低減又は排除することは、LCFの使用者又は設置者にとって非常に重要であり得る。例えば、LCFは、0°又は90°のバイアス角で機能するように意図されることが多い。つまり、ルーバーの向きは、水平(したがって、垂直方向のプライバシーを提供する)又は垂直(したがって、水平方向のプライバシーを提供する)のいずれかであるように意図されることが多い。ゼロでない又は垂直でないバイアス角の一部は、モアレ(例えば、LCDのピクセルピッチとLCFのルーバーピッチとの間の干渉により生じることがある)を最小化又は排除するためにLCFに求められることが多い。モアレの出現は、例えば、水平又は垂直のLCFシートを、ルーバーに対する角度でシートを切断することによりバイアス角を有する(即ち、ルーバーがその部分のエッジに対して平行でも垂直でもない)シートに交換することで排除されることがある。原因不明の場合、低下した画像品質はモアレによりもたらされることがある。モアレを排除する試みは、LCF部分を切断してバイアス角を供給することによりLCF部分を交換する点でかなりの無駄につながることがある。
【0011】
本明細書に記載のLCFは、確実に吸収領域が可能な限り多くの入射光線を吸収するように作製される。これには、十分な吸収を可能にして光の漏れを最小化するように吸収領域に充填するのに十分小さい粒径を有する吸収媒質(例えば、カーボンブラック)を使用することが含まれる。高吸収領域は、これらの領域から漏れる可能性のある光量を最小化する。したがって、LCFの指向性及びLCFのプライバシー機能を制御する。
【0012】
本明細書に記載のLCFの吸収領域から反射される入射光線も最小化されて、このような反射が原因で発生し得る擬似画像、つまり「ゴースト」画像が減少する。これは、確実に透過領域に対する吸収領域の屈折率が反射を最小化する(具体的には、TIRを最小化する又は排除する)ように選択されることにより行われる。例えば、幾つかの実施形態では、吸収領域の屈折率N2は、透過領域の屈折率N1との関係がN2−N1≧−0.005を満たすように選択される。
【0013】
LCFは、見る人とディスプレイの画像面との間に設置され、画像の視野角を制限できる。画像面は、例えば液晶ディスプレイ(LCD)、画像ディスプレイ、及びインディシアディスプレイに含めることができる。
【0014】
上述したように、本明細書に記載のLCFについて吸収領域及び透過領域の相対屈折率を選択してもよい。この選択によって、LCF内の反射によって生じるゴースト画像が減少することがある。透過領域の屈折率が吸収領域の屈折率より小さい場合、両者間の境界面に入射する光の一部は吸収領域に屈折されて吸収される(フレネルの関係により、入射角及び屈折率差に応じて吸収及び反射の量が決定され、最大量の反射はいわゆるグレージング角又はその付近で生じる)。吸収領域の屈折率が(等しくないとしても)透過領域よりも若干高く、反射が本質的に排除されるように、2つの領域の屈折率を本質的に「同等」にすることができる。
【0015】
LCFを組み込んだディスプレイの輝度は、入射光線が吸収領域と透過領域との間の境界面からTIRを受ける場合に上昇し得るが、これは上述したようなゴースト画像を招くことがある。光線がTIRを受けるどうかは、境界面との入射角、並びに透過領域及び吸収領域で用いられる材料の屈折率差によって決定できる。吸収領域の屈折率が透過領域の屈折率より大きくない場合、例えば、透過領域の屈折率が光吸収領域の屈折率より約0.005超だけ大きい場合、TIRが起きることがある。
【0016】
図1はLCF 100の断面図であり、光出射面120及び光出射面120に対向する光入射面110を含む。本明細書では参考として光入射面及び光出射面を記載しているが、使用する際には、本明細書に記載のLCFは見る人又はディスプレイ源のいずれかに面する光出射面を有し得ること、及び光入射面はディスプレイ源又は見る人のいずれかに面し得ることが認識されるであろう。LCF 100は、交互に配置された透過領域130、吸収領域140、及び透過領域130と吸収領域140との間の境界面150を含む。透過領域130は、ピッチ「P」だけ相互に離れて配置されるベース幅「W」を有し、吸収領域140と光出射面120との間のランド領域「L」を含む。吸収領域140は、ベース145、上面155、高さ「H」を有し、ピッチ「P」だけ相互に離れて配置される。境界面150は、光出射面120に対する垂線160を有する境界角θを形成する。本明細書に記載するとき、表面に対する「垂線」とは、表面の平滑度の任意の局所的な偏差を無視して表面の主平面に垂直であることを意味する。LCF 100は、交互に配置された透過領域130及び吸収領域140の形状によって画定される、内部視野カットオフ角φを含む。
【0017】
図2は、少なくとも1つのミクロ構造化表面210を含む、ミクロ構造化フィルム物品200を示す。この物品は、LCFの作製に使用できる。1つの実施形態では、ミクロ構造化表面210は、複数個の溝201a〜201dを含んでよい。図2に示すように、溝220のベースとミクロ構造化フィルム物品200の対向面211との間には、連続的なランド層230が存在してよい。あるいは、溝220は、ミクロ構造化フィルム物品200全体を貫通して延びていてよい(図示なし)。ミクロ構造化フィルム物品200は、ベース基材層260も含んでいてよく、ベース基材層260は、(押出成形、型硬化、又はその他の方法により)ミクロ構造化フィルム物品200と一体形成する、又はミクロ構造化フィルム物品200に別個に付加されることができる。
【0018】
図3は、図2の溝201a〜201dに光吸収材料350を充填することでこれらの溝を光吸収性にしたLCF 300を示す。ミクロ構造化フィルム200の溝201a〜201dの形状の光吸収材料350は、以下吸収領域140と呼ぶ(図3に示される、以下参照)。
【0019】
図4は、ベース基材層260と同じか、又は異なり得る任意のカバーフィルム470を更に含むLCF 400を示す。光学カバーフィルム470又はベース基材層260の材料には、例えば、市販のポリカーボネートフィルムが挙げられてよい。無光沢仕上げ又は光沢仕上げを提供するように、特定のポリカーボネート材料を選択してもよい。光学カバーフィルム470及びベース基材層260は、無光沢であっても、光沢があっても、又はその両方であってもよい。本明細書では4つの組み合わせのいずれも考慮される。任意のカバーフィルム470は、接着剤410でミクロ構造化表面に接着できる。接着剤410は、紫外線硬化性アクリル酸系接着剤、転写接着剤などの光学的に透明な任意の接着剤でよい。LCF 400は、光入射面110、及び光入射面110に対向する光出射面120も含んでおり、共に主平面を画定する。繰り返しになるが、本明細書に記載の実施形態を説明するために、光入射面110が吸収領域140のベース145に隣接して配置されるようにLCF 400が配置されているが、光入射面110は、上面155に隣接してベース145に対向するようにも配置され得ることを理解されたい。換言すれば、ベース145が光入射面110に光を入射させる光源(図示せず)により近くなるようにLCF 400を配置したり、上面155が光源(図示せず)により近くなるようにLCF 400を配置したりできる。
【0020】
図3及び4に示されるように(また図1により詳細に表示されるように)、吸収領域140間の透過領域130は、内包壁角θ、透過領域のベース幅「W」、有効高さ「H」、ピッチ「P」(それぞれ図3に示される)、及び極視野カットオフ角φ(図4に示される)を有する。対称な吸収領域については、内包壁角θは、図1に示す境界角θの2倍である。ある場合には、非対称の吸収領域については、境界角θは境界面150ごとに異なってよく、内包壁角θは、吸収領域140の両側の境界角θの合計に等しい。極視野カットオフ角φは、任意のカバーフィルム470、接着剤410、透過領域130、ベース基材層260、及びLCF400が置かれている物質(典型的には空気)の屈折率を使用して、スネルの法則を内部視野カットオフ角φを画定する光線に適用することで決定できる。極視野カットオフ角φは、極視野カットオフ半角φと極視野カットオフ半角φとの合計に等しく、これら角度はそれぞれ光入射面110に対する垂線から測定される。場合によっては、極視野カットオフ角φは対称であってよく、極視野カットオフ半角φは極視野カットオフ半角φと等しい。場合によっては、極視野カットオフ角φは非対称であってよく、極視野カットオフ半角φは極視野カットオフ半角φと等しくない。本開示の目的において、図4に示され、図示された方向に沿って光入射面110に対する垂線から測定される角度「φ」は、本明細書では「極視野角」と呼ぶ。極視野角φは、0°(即ち、光入射面110に垂直)〜90°(即ち、光入射面110に平行)の範囲であることができる。
【0021】
幾つかの実施形態では、吸収領域140のベース145に対する上面155の長さの比は、0.65以下、例えば、0.60以下、又は更には0.56以下である。
【0022】
透過領域130の材料特性、内包壁角θ、ピッチ「P」、及び透過領域のベース幅「W」は、LCF 400の光透過に影響を及ぼし得る。LCFは、10°以上など比較的大きい内包壁角を有することができる。より大きい壁角は光吸収領域の幅を増加させ、それによって垂直入射での光透過率を減少させる。垂直入射での光透過率をできる限り大きくできるように、10°未満など、より小さい壁角が好ましい。
【0023】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載のLCFは6°以下の内包壁角を有する。別の実施形態では、内包壁角は5°以下であり、例えば、最大5°、4°、3°、2°、1°、又は0.1°である。本明細書に記載するとき、内包壁角は、対称及び非対称の吸収領域の境界角に関連し得る。したがって、1つの態様では、境界角は、3°、又は3°以下であってもよく、例えば、2.5°、2°、1°、又は0.1°以下であってもよい。より小さな壁角は、より小さなピッチ「P」で比較的高いアスペクト比(H/W)を有する溝を形成でき、より小さな視野角でより鮮明な画像のカットオフを提供できる。場合によっては、透過領域は、平均高さ「H」及びその最大幅部分における平均幅「W」を有し、H/Wは少なくとも1.75である。場合によっては、H/Wは、少なくとも2.0、2.5、3.0、又はそれ以上である。
【0024】
本明細書に記載のLCFは、任意の望ましい極視野カットオフ角を有するように作製され得る。1つの態様では、極視野カットオフ角は、40°〜90°の範囲、又はそれ以上である。極視野カットオフ角φは、本明細書の他の部分に記載されるようにパラメーター「θ」、「H」、「W」、「P」、及びLCF材料の屈折率によって決定できる。
【0025】
場合によっては、極視野カットオフ角よりも大きい角度でLCFを通って透過される光を含む「有効極視野角」を画定することも有用であり得る。例えば、内部視野カットオフ角φよりも若干大きい角度で吸収領域を遮断する光は、吸収領域の最も薄い部分から「漏れ出す」(即ち、図1に示す台形で表される光吸収領域の上部及び下部を通って部分的に透過する)可能性がある。更に、LCFの平面に垂直に進む光は、散乱する及び有効極視野角の外側にそれることがある。本明細書で使用するとき、有効極視野角は、相対輝度比が5%以下まで低下する角度として定義される。相対輝度比は、LCFを通して測定した場合の拡散光源の輝度の、LCFなしで測定した場合の同じ拡散光源の輝度に対する比である(パーセンテージとして表される)。相対輝度比の測定の詳細については、以下の実施例で更に説明する。
【0026】
「機能的極視野角」という用語も当該技術分野において使用されており、同様に極視野カットオフよりも大きい角度でLCFを通って透過される光を含む。機能的極視野角は、LCFを備えるディスプレイの輝度が、LCFを備えるディスプレイの軸輝度の小さなパーセンテージ(例えば、10%、5%、又はそれ以下)まで低下する角度として定義される。しかしながら、このような視野角の定義は、ディスプレイに左右されることがある。
【0027】
LCFの光吸収領域の光吸収材料は、少なくとも可視スペクトルの一部で光を吸収又は遮断するように機能する任意の好適な材料であってよい。幾つかの実施形態では、光吸収材料は、光透過性フィルムの溝又はくぼみにコーティングされるか、ないしは別の方法で提供されて、光吸収領域を形成することができる。更なる実施形態では、光吸収材料は、カーボンブラックなどの黒色着色剤を含むことができる。カーボンブラックは、10マイクロメートル未満、例えば1マイクロメートル以下の粒径を有する粒状カーボンブラックであってよい。カーボンブラックは、幾つかの実施形態では、1マイクロメートル未満の平均粒径を有してよい。更に別の実施形態では、吸収材料(例えば、カーボンブラック、別の顔料若しくは染料、又はこれらの組み合わせ)は、好適な結合剤に分散され得る。光吸収材料には、光が光吸収領域を通って透過されるのを遮断するように機能することができる粒子又は他の散乱要素も挙げられる。
【0028】
光透過領域/光吸収領域の境界面における反射は、スペクトル、例えば人間の可視スペクトルの少なくとも一部において光透過性材料の相対屈折率と光吸収材料の屈折率とを一致させないことによって制御できる。場合によっては、矯正後の透過領域の屈折率(N1)は、矯正後の光吸収領域の屈折率(N2)よりも約0.005未満だけ大きい。このような場合、屈折率差(N2−N1)は−0.005未満ではない。つまり、(N2−N1)は−0.005以上である。
【0029】
本明細書に記載のLCFは、複数個の光吸収領域を含む。幾つかの実施形態では、光吸収領域は、本明細書の他の部分に記載されるように複数個のチャネルであってよい。場合によっては、LCFは、米国特許第6,398,370号(Chiuら)の図2bに示されるように、複数個の縦列を含むことができる。場合によっては、本明細書に記載のLCFは、これもまた米国特許第6,398,370号に記載されているように、第2のLCFと組み合わせることができる。他の実施形態では、光吸収領域は、縦列、柱、ピラミッド、円錐、及びフィルムに角度依存の光透過機能又は光遮断機能を追加できる他の構造である。
【0030】
重合性樹脂は、(メタ)アクリレートモノマー、(メタ)アクリレートオリゴマー、及びこれらの混合物から選択される第1重合性成分及び第2重合性成分の組み合わせを含んでよい。本明細書で使用するとき、「モノマー」又は「オリゴマー」は、ポリマーに変換できる任意の物質である。用語「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレート化合物の両方を指す。場合によっては、重合性組成物は、(メタ)アクリレート化ウレタンオリゴマー、(メタ)アクリレート化エポキシオリゴマー、(メタ)アクリレート化ポリエステルオリゴマー、(メタ)アクリレート化フェノールオリゴマー、(メタ)アクリレート化アクリルオリゴマー、及びこれらの混合物を含んでよい。重合性樹脂は、紫外線硬化性樹脂などの放射線硬化性ポリマー樹脂であってよい。場合によっては、本説明のLCFに有用な重合性樹脂組成物は、米国特許出願公開第2007/0160811号(Gaidesら)に記載されている重合性樹脂組成物などの重合性樹脂組成物をこれらの組成物が本明細書に記載の屈折率及び吸収特性を満たす程度まで含んでよい。
【0031】
ミクロ構造保有物品(例えば、図2に示すミクロ構造化フィルム物品200)は、(a)重合性組成物を調製する工程と、(b)マスターのキャビティを満たすのにかろうじて十分な量でマスターネガミクロ構造化成型表面上に重合性組成物を付着させる工程と、(c)予成形させたベースとマスター(少なくとも一方は可撓性である)との間で重合性組成物のビードを移動させることによりキャビティを満たす工程と、(d)組成物を硬化させる工程と、が含まれる方法によって調製できる。付着温度は、周囲温度〜約82℃(180°F)の範囲であってよい。マスターは、ニッケル、クロムメッキ銅、ニッケルメッキ銅、若しくは黄銅のような金属製であってよく、又は重合条件下で安定であり、かつマスターから重合材料をきれいに取り出すことができる表面エネルギーを有する熱可塑性材料であってもよい。ベースへの光学層の接着を促進するために、ベースフィルムの1つ以上の表面に、任意に下地処理又は他の処理を施すことができる。
【0032】
本明細書に記載の重合性樹脂組成物は、例えば、輝度上昇フィルムなどを含む他の光透過性物品及び/又はミクロ構造化物品の製造に用いるのに好適である。「ミクロ構造」という用語は、米国特許第4,576,850号(Martens)に定義及び説明されたように、本明細書で使用される。ミクロ構造は、中心線の上の表面輪郭により包囲された面積の合計が線の下の面積の合計と等しくなるように、ミクロ構造を通って引かれた平均中心線から輪郭がずれている物品表面の突出部及びくぼみのように、一般に不連続であり、線は物品の呼称面(nominal surface)(ミクロ構造を有する)に本質的に平行である。光学顕微鏡又は電子顕微鏡で測定した場合、高さのずれは、表面の代表的な特徴長さ、例えば1〜30cmにおいて典型的に約+/−0.005〜+/−750マイクロメートルである。平均中心線は、平面状、凹状、凸状、非球面状、又はこれらの組み合わせであってよい。ずれが低位、例えば、+/−0.005〜+/−0.1又は+/−0.05マイクロメートルであり、かつ、ずれがめったに起こらないか又は最小限に抑えられている、即ち、表面が任意の著しい不連続を含まない物品は、本質的に「平坦な」又は「滑らかな」表面を有すると見なすことができる。他の物品は、例えば、+/−0.1〜+/−750マイクロメートルの高位であり、並びに同じ又は異なる、及びランダム又は規則正しい方式により離間する又は連続する複数の実利的不連続を含むミクロ構造に起因するずれを有する。
【0033】
化学組成及びベース材料の厚みは、構築している製品の要件よって異なり得る。つまり、強度、透明性、光遅延特性、耐温度性、表面エネルギー、光学層への接着性に対するニーズのバランスを取る。場合によっては、ベース層の厚みは、少なくとも約0.025ミリメートル(mm)であり、約0.1mm〜約0.5mmであってよい。
【0034】
有用なベース材料には、例えばスチレン−アクリロニトリル、酢酸セルロースブチレート、酢酸セルロースプロピオネート、セルローストリアセテート、ポリエーテルスルホン、ポリメチルメタクリレート、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレンナフタレート、ナフタレンジカルボン酸に基づくコポリマー又はブレンド、ポリオレフィン系材料、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリクロロオレフィンのキャスト又は配向フィルム、ポリイミド、並びにガラスが挙げられる。任意に、ベース材料は、これらの材料の混合物又は組み合わせを含有することができる。ある場合には、ベースは多層であってもよいし、又は連続相の中に懸濁又は分散した分散成分を含有してもよい。
【0035】
1つの態様では、ベース材料の例には、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリカーボネート(PC)が挙げられる。有用なPETフィルムの例には、Wilmington,DelawareのDuPont Filmsから商品名「Melinex 618」として入手可能なフォトグレードのポリエチレンテレフタレートが挙げられる。光学グレードのポリカーボネートフィルムの例には、GE Polymershapes,Seattle WAから入手可能なLEXAN(登録商標)ポリカーボネートフィルム8010、及びTeijin Kasei,Alpharetta GAから入手可能なPanlite1151が挙げられる。
【0036】
幾つかのベース材料は、光学的に活性であり得、及び偏光板として作用することができる。多くのベースはまた、本明細書においてフィルム又は基材とも呼ばれ、光学製品分野において偏光板として有用であることが既知である。フィルムを通る光の偏光は、例えば通過光を選択的に吸収する、フィルム材料内二色偏光子の包含により実現され得る。光の偏光はまた、配列雲母チップ(aligned mica chip)のような無機材料を包含することによって、又は連続フィルム内に分散した不連続相、例えば連続フィルム内に分散した光変調液晶の液滴によって実現することができる。代替手段として、異なる材料のマイクロファイン層からフィルムを調製することができる。フィルム内の偏光材料は、例えば、フィルムの延伸、電場又は磁場の印加、及びコーティング技術のような方法を利用することによって、偏光配向に揃えることができる。
【0037】
偏光フィルムの例には、米国特許第5,825,543号(Ouderkirkら)、同第5,783,120号(Ouderkirkら)、同第5,882,774号(Jonzaetら)、同第5,612,820号(Shrenkら)、及び同第5,486,949号(Shrenkら)に記載されるものが挙げられる。これらの偏光フィルムとプリズム状輝度上昇フィルムとを組み合わせて使用した場合については、例えば米国特許第6,111,696号(Allenら)及び同第5,828,488号(Ouderkirkら)に記載されている。市販されているフィルムは、3M Companyから入手可能なVikuiti(商標)デュアル輝度上昇フィルム(Dual Brightness Enhancement Film)「DBEF」などの多層反射偏光フィルムである。
【0038】
本明細書に記載のベース材料は排他的なものではない。また、当業者に理解されるように、他の偏光フィルム及び非偏光フィルムもまた、本説明の光学製品用ベースとして有用であり得る。これらのベース材料は、多層構造体を形成するために、例えば偏光フィルムが挙げられる任意の数の他のフィルムと組み合わせることができる。特定のベースの厚さはまた、光学製品の所望の特性によって異なり得る。
【0039】
図5は、本説明の1つの例示の態様によるバックライトディスプレイ500の概略斜視図を示す。バックライトディスプレイ500はLCF 530を含み、LCF 530の出射面590から出射する光の極視野カットオフ角φを画定する。他の部分に記載されるように、極視野カットオフ角φは、光出射面590に対する垂線580から測定される極視野カットオフ半角φ及び極視野カットオフ半角φを含む。他の部分に記載されるように、LCF 530は、透過領域540及び吸収領域550を含む。バックライトディスプレイ500は、任意のプリズム状フィルム560を通過し、次に画像面520(LCDパネルなど)を通過し、最後にLCF 530を通過して、見る人595へ光を透過するように構成された光源510を含む。バックライトディスプレイ500は、任意のカバー層570を更に含んでいてもよい。任意のカバー層は、例えば、グレア防止コーティング、反射防止コーティング、汚れ防止コーティング、又はこれら幾つかの組み合わせを提供してもよい。他の部分に記載されるように、輝度が最大となる視野角は、極視野カットオフ角が垂線580に関して対称か、非対称かによって異なり得る。1つの態様では、バックライトディスプレイ500の輝度は、垂線580に沿って最大になる(「軸輝度」と呼ぶ)ことができ、視野角の増加に伴って減少する。非対称の極視野カットオフ角では、最大輝度は、垂線580と一致しないことがある。
【0040】
全体を通して記載するように、本明細書に記載のLCFは、吸収領域の方向に垂直な方向でプライバシー機能を提供できる視野カットオフ角を提供する。このことは、プライバシー用途において有益であり得るが、例えば、プラズマディスプレイパネルのコントラスト促進及び自動車用途の反射防止特性においても有用であり得る。具体的には、多くの自動車の計器パネルは、照光ディスプレイ、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)を提供する。しかしながら、このようなディスプレイからの光は、フロントガラスから反射して、運転者又は同乗者の気を散らすか、あるいは視界を遮ることがある。本明細書に記載のLCFの一部は、垂直方向の光を遮断することで、このようなフロントガラスの反射を軽減させることがある。
【0041】
場合によっては、吸収領域の方向に平行な方向でより多くの光を感知できることは有益である。例えば、上述した自動車用途では、フロントガラスから反射する光量を制限しながら、運転者及び同乗者にディスプレイパネルを見る際に最大輝度を提供することは有益であり得る。本説明の幾つかの実施形態では、本明細書に記載のLCFは、より多くの光をルーバーの方向にLCFを通して透過することができる(ルーバーの方向とは、設置時にこれが垂直方向又は水平方向を表すのかにかかわらず、吸収領域の方向に平行な方向を意味する)。これは、垂線から±20°の範囲にわたって、ルーバー(吸収領域)に平行な方向で測定される最小RBR値として表すことができる(以降はMB20と呼ぶ)。本明細書に記載のLCFの幾つかの実施形態では、LCFは、60以上、例えば、62以上、更には64以上のMB20を有する。
【0042】
本説明は、本明細書に記載の特定の実施例に限定されると考えるべきではなく、更に適切に言えば添付の特許請求の範囲に相当する本説明の全態様を包含すると理解されるべきである。本明細書を検討すると様々な修正形態、等価の方法、及び本説明を適用できる非常に多くの構造が、本説明が対象とする当業界の技術者には容易に明らかなはずである。上記の説明は、以下のモデリングの結果及び実施例で示される実施形態を考慮することでよりよく理解されることができる。
【実施例】
【0043】
硬化樹脂の屈折率の測定
本明細書に記載の透過性材料の樹脂を個別に混合し、精密な実験用ドローダウンコータ(ChemInstruments製)を使用して、0.20mm(0.008インチ)のPCフィルムと下地処理を施していない0.127mm(0.005インチ)のPETフィルムとの間にコーティングし、約50μmの厚さにした。紫外線(1パス、7.6メートル(25フィート)/分、2個のフュージョン(Fusion)D電球で片面曝露)を使用して、作製した積層体を硬化し、PETカバーシートを取り外した。Metricon Model 2010 Prism Coupler System(Metricon Corp,Pennington NJ)を使用して、周波数633nmで光重合樹脂の屈折率を測定した。吸収材料樹脂中のカーボンブラックの存在により、この方法はこれらの混合物には使用できなかった。
【0044】
樹脂の算出屈折率は、各個別の構成成分に対して公表されている屈折率値(周波数512nm)からそれぞれ決定した。線形混合ルールを使用した。カーボンブラックの添加による屈折率の増加は、各混合物に1重量%のカーボンブラックを添加するごとに0.009だった。
【0045】
ミクロ構造化フィルムの調製
94重量%のPhotomer 6010(Cognis,Cincinnati OHから入手可能な脂肪族ウレタンジアクリレート)、5重量%のSR−285(Sartomer,Exton PAから入手可能なテトラヒドロフルフリルアクリレート)、及び1重量%のDarocur 1173(Ciba Specialty Chemicals,Tarrytown NYから入手可能な光開始剤)を含有する樹脂混合物を0.178mm(0.007インチ)のポリカーボネート(PC)フィルム上に成形し、紫外線(UV)硬化することにより、ミクロ構造化フィルムを成型し、屈折率が1.498の硬化樹脂を提供した。その外面に刻み込まれた非常に微細なチャネルを有する円筒形の金属ロールは、これらの構造化フィルムのために、金型としての役割を果した。樹脂性混合物を最初にPC基材フィルム上にコーティングし、次いで金型を完全に充填するために金属ロールに対してしっかりと押し付けた。重合したら、構造化フィルムは金型から取り外された。硬化樹脂中に結果として生じた構造体は、各々が名目上台形の横断面を有する、均等に間隔をあけた一連のチャネルであった。硬化樹脂チャネルは、(最小幅地点で)幅約48マイクロメートル、深さ約148マイクロメートルであり、及び約64マイクロメートルのピッチで間隔をあけていた。内包壁角θは約3.6°であった。図2は、このようなミクロ構造化フィルムの代表例である。
【0046】
光コリメーティングフィルムの調製
ミクロ構造化フィルムの透明なチャネル間の空隙を、吸収材料含有樹脂で充填することにより、光コリメーティングフィルムを作製した。吸収材料含有樹脂の混合物は、67重量%のPhotomer 6210(Cognisから入手可能な脂肪族ウレタンジアクリレート)、20重量%の9B385(Penn Color,Doylestown PAから入手可能なカーボンブラックUV硬化性ペースト)、及び10重量%のSR285を含有する。吸収材料含有樹脂は、それぞれCiba Specialty Chemicals,Tarrytown NYから入手可能な光開始剤である、Irgacure 369、Irgacure 819、及びDarocur 1173も1%ずつ含有した。過剰な黒色含有樹脂は、透明チャネルの表面から拭き取った。樹脂混合物は1.514の算出屈折率を有する。次に、紫外線を使用してカーボンブラック充填チャネルを硬化させ、図3に示す光コリメーティングフィルムと同様のフィルムを得た。各光コリメーティングフィルムを、光学的に透明なUV硬化性アクリレート接着剤を使用して0.178mm(0.007インチ)のPCカバーシートフィルムに積層させた。図4は、このような光コリメーティングフィルムの代表例である。
【0047】
実施例フィルム1及び比較例フィルムAは、上述したように調製し、以下の幾何学的特性を有した。
【0048】
【表1】

【0049】
相対輝度比の測定
フィルムの相対輝度比(RBR)をEldim 80 Conoscop(Eldim Corp.,France)を使用して測定した。拡散透過性中空ライトボックスの上部にLCFを配置した。LCFを備えるライトボックスのルミナンス(cd/m)(輝度)特性を測定した。本明細書では、LCFなしで得られた値に対するこの値の比をRBRとして報告する。
【0050】
ライトボックスの拡散透過は、ランベルト型として説明できる。ライトボックスは、厚み〜6mmの拡散ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)板から作製した約12.5cm×12.5cm×11.5cm(L×W×H)の大きさの六面中空キューブであった。ボックスの1つの面をサンプル表面として選択した。中空ライトボックスは、サンプル表面で測定したとき、〜0.83の拡散反射率を有した(例えば、400〜700nmの波長範囲全体にわたり平均した場合、〜83%)。RBRの試験中、ボックスの底部(サンプル表面に対向し、内側からサンプル表面へと光が向けられる)にある〜1cmの円形孔を通してボックスを内部から照らした。照光は、光を方向付けるために用いられる、光ファイバーバンドルに取り付けられている安定化広帯域白熱光源(Schott−Fostec LLC,Marlborough MA and Auburn,NYの直径1cmのファイバーバンドル延長部付きFostec DCR−II)を用いて提供された。
【0051】
Eldim 80 Conoscope(Eldim Corp,France)を使用して、LCFあり及びLCFなしの両方の拡散光源のルミナンス(輝度)特性を測定した。これらの測定による結果を表2に示す。軸輝度(AB)は、LCFの表面に対して垂直に測定された輝度であった。結果をグラフとして図6に示す。図6において、GCは、拡散透過性中空ライトボックスを指し、GC+ALCF高T%光沢は、光沢面が検出器(したがって、見る人)の方向に向いた実施例フィルム1を指し、GC+ALCF高T%無光沢は、無光沢面が検出器の方向に向いた実施例フィルム1を指し、GC+ALCF光沢は、光沢面が検出器の方向に向いた比較例フィルムAを指し、GC+ALCF無光沢は、無光沢面が検出器の方向に向いた比較例フィルムAを指す。ABは、LCFの各光沢面が検出器に面する(したがって、光沢面が見る人に面することをシミュレートしている)場合、及びLCFの無光沢面が検出器に面する場合にそれぞれ測定されたRBRとしても以下に報告される。結果を表2に示したLCF構成体では、ベース基材層260(図4を参照)が光沢面であり、カバーフィルム470が無光沢面である。ルーバー方向に垂直(吸収領域に垂直)に測定された、角度に対するRBR値を図7に示す。ルーバーに平行な方向で測定された、角度に対するRBR値を図8に示す。RBRが5%以下である角度として定義された有効極視野角(EPVA)も以下に報告する。EPVAを超える絶対角度値では、RBRは同様に5%以下である。以下の表から分かるように、実施例フィルム1は、より高い軸上のRBRを提供しながら、同時に実質的に同等のEPVAを提供する。
【0052】
MB20も表2に含まれ、上述したように、図8に示されるデータから導かれる。データは、EPVAの測定値に垂直な軸に沿って測定された以外は、EPVAデータと同様に測定された。
【0053】
【表2】

【0054】
各EPVAにおいて、対応する負の角度値が存在する。例えば、実施例フィルム1は−33°のEPVAも有する。
【0055】
モアレの出現に対するバイアス角も測定した。この測定は、様々なピクセルピッチを有する幾つかの異なるディスプレイにLCFを使用した場合に、モアレパターンを定性的にヒトが観察することにより測定した。LCFをディスプレイ上に配置し、バイアス0°から、モアレ効果が目で見て分からなくなるバイアスまで回転させた。モアレ干渉の強度は、LCFをバイアス0°からモアレが消滅するバイアス角まで回転させるにつれて異なったが、この角度を超えるとモアレは観察されなかった。それらの結果を下記の表3に示す。
【0056】
【表3】

【0057】
モアレはバイアス0°でも観察されなかった。
ピクセルピッチ282μm、解像度1920×1200
ピクセルピッチ294μm、解像度1280×1040
ピクセルピッチ237μm、解像度1280×800
指示がない限り、本明細書及び請求項で使用される特性となるサイズ、量、及び物理特性を示すすべての数字は、「約」と言う用語によって修飾されることを理解されたい。それ故に、別の指示がない限りは、本明細書及び添付の請求項に説明される数字のパラメーターは近似値であり、本明細書に開示された教示を使用して当業者が獲得しようとする所望の特性に応じて変化し得る。
【0058】
本明細書において特定の実施形態が例示及び説明されてきたが、本開示の範囲から逸脱することなく、多様な代替及び/又は同等の実施態様が特定の実施形態と置き換えられ得ることは、当業者には明白であろう。本出願は、本明細書で説明された特定の実施形態のいかなる翻案又は変形をも包含すべく意図されている。したがって、本開示は特許請求の範囲及びその均等物によってのみ限定されるべきであることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光入射面及び前記光入射面に対向する光出射面と、
前記光入射面と前記光出射面との間に交互に配置された透過領域及び吸収領域であって、各透過領域が屈折率N1を有し、各吸収領域が屈折率N2を有し、N2−N1が−0.005以上である透過領域及び吸収領域と、を含み、
連続する吸収領域の平均ピッチが0.070mm以下であり、
前記光入射面に入射した光が、前記光出射面に垂直な方向で65以上の最大相対輝度比(RBR)で前記光出射面から出射し、45°以下の有効極視野角(EPVA)で前記光出射面から出射する、光制御フィルム。
【請求項2】
前記EPVAが40°以下である、請求項1に記載の光制御フィルム。
【請求項3】
前記EPVAが35°以下である、請求項1に記載の光制御フィルム。
【請求項4】
N2がN1と等しい、請求項1に記載の光制御フィルム。
【請求項5】
N2−N1が−0.005〜0.02である、請求項1に記載の光制御フィルム。
【請求項6】
各吸収領域が、顔料、染料、又はこれらの混合物から選択される光学的に吸収性の材料を含む、請求項1に記載の光制御フィルム。
【請求項7】
前記光学的に吸収性の材料が、カーボンブラック顔料である、請求項6に記載の光制御フィルム。
【請求項8】
前記透過領域及び吸収領域のそれぞれが放射線硬化(メタ)アクリレートポリマーを含む、請求項1に記載の光制御フィルム。
【請求項9】
各透過領域と吸収領域との間の第1境界面が、前記フィルムの平面に垂直な方向から測定される第1境界角θを形成し、前記第1境界角θが6°以下である、請求項1に記載の光制御フィルム。
【請求項10】
第1境界角θが4°以下である、請求項9に記載の光制御フィルム。
【請求項11】
各透過領域と吸収領域との間の第2境界面が、前記フィルムの平面に垂直な方向から測定される第2境界角θを形成し、前記第2境界角θが6°以下である、請求項9に記載の光制御フィルム。
【請求項12】
第2境界角θが4°以下である、請求項11に記載の光制御フィルム。
【請求項13】
第1境界角θが第2境界角θと等しい、請求項11に記載の光制御フィルム。
【請求項14】
吸収領域の幅が最も狭い末端部で12μm以下である、請求項1に記載の光制御フィルム。
【請求項15】
吸収領域の幅が最も狭い末端部で10μm以下である、請求項1に記載の光制御フィルム。
【請求項16】
吸収領域の幅が最も狭い末端部で8μm以下である、請求項1に記載の光制御フィルム。
【請求項17】
連続する吸収領域の平均ピッチが0.065mm以下である、請求項1に記載の光制御フィルム。
【請求項18】
MB20が60以上である、請求項1に記載の光制御フィルム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公表番号】特表2011−508262(P2011−508262A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539617(P2010−539617)
【出願日】平成20年12月8日(2008.12.8)
【国際出願番号】PCT/US2008/085889
【国際公開番号】WO2009/085581
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】