説明

光反射計測装置、光通信システム及び光反射計測方法

【課題】光線路における反射率分布を高い空間分解能で容易に計測することができる光反射計測装置、光通信システム及び光反射計測方法を提供する。
【解決手段】光反射計測装置1Aは、第1変調信号m(t)を出力する信号源2と、第1変調信号m(t)に従って強度変調された監視光L1を光線路10に出力する光源3と、第2変調信号m(t−τ)を生成する遅延部5と、反射光L2を第2変調信号m(t−τ)に従って強度変調するとともに、該変調された反射光L2を、互いに相補的な第1信号光L3及び第2信号光L4に振り分ける光変調器11と、これらの信号光L3及びL4を電気信号に変換し、その電力の差の時間積分値を表す積分値信号Vを出力する演算部14と、遅延部5における遅延量τを制御するとともに、積分値信号Vに基づいて光線路10における反射率分布を求める制御部7とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光反射計測装置、光通信システム及び光反射計測方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光ファイバ線路を用いて光通信を行う光通信システムにおいて、その光ファイバ線路の破断や伝送損失増加などの故障を検知することは重要である。特に、近年普及しつつある加入者系の光通信システムでは、光ファイバ線路や加入者端末で故障が発生した場合に、迅速に故障箇所を特定して修復することが要求されている。
【0003】
そこで、光通信システムにおいては、このような故障を検知するために光反射計測装置が設けられる。光反射計測装置は、光リフレクトメトリ技術を利用するものであって、光ファイバ線路等の光線路を監視光が伝搬する際に生じる反射光(フレネル反射光およびレイリー散乱光)に基づいて、その光線路における反射率分布を求め、その光線路における故障の箇所を検知する。そして、このような光反射計測装置は、高い空間分解能で反射率分布を測定することが要求される。
【0004】
光リフレクトメトリ技術としては、パルス状の監視光が光線路を伝搬する際に生じる反射光の強度の時間変化に基づいて反射率分布を測定する光時間領域反射計測(OTDR;Optical Time DomainReflectometry)が知られている。また、他の光リフレクトメトリ技術として、光波コヒーレンス関数の合成を利用したリフレクトメトリである光コヒーレンス領域反射計測(OCDR;Optical Coherence Domain Reflectometry)も知られている。さらに、試験光として周波数を時間に対して線形に変調した連続光を用いるリフレクトメトリである光周波数領域反射計測法(OFDR;optical frequency domain reflectometry)も知られている。
【0005】
特許文献1には、光部品や光伝送路などの光反射特性を測定するための光反射測定回路に関する技術が開示されている。この光反射測定回路では、OCDRが用いられている。この回路は、光パルスを出力する光源としてのレーザを備える。レーザからの出力光は光カプラによって参照光および測定光に分岐される。測定光は光伝送路等に導かれ、この光伝送路等において反射したのち、当該反射光が光カプラを介して取り出される。そして、この反射光と光カプラから出力される参照光とのビート信号が光受信器によって受信される。なお、OCDR技術に関しては、非特許文献1にも記載されている。また、OFDR技術に関しては特許文献2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−148596号公報
【特許文献2】特開平8−145846号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Kazuo Hotate et al., Journal of Lightwave Technology, vol.24,pp.2541-2557 (2006)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一般的な光反射計測装置では、OTDRが多く用いられている。このOTDRの空間分可能は光源から出力される光パルスのパルス幅によって決定されるので、空間分解能を高くするためには光パルスのパルス幅を短くする必要がある。そして、パルス幅を短くすると信号対雑音比(S/N比;Signal to Noise ratio)が低下するので、光パルスのピーク強度を大きくする必要がある。しかしながら、ピーク強度を大きくすると、光線路の内部において誘導ブリルアン散乱などの非線形光学効果が誘起されてしまい、S/N比を十分に高めることが困難となる。
【0009】
加入者系の光通信システムに使用される光反射計測装置には数cm程度の空間分解能が要求されるが、このような理由により、OTDRによって数cm程度の空間分解能を実現することは難しい。これに対し、OCDRやOFDRによれば、例えば数km遠方の反射点を数cmの空間分解能で測定できることが可能である。しかしながら、従来のOCDRやOFDRでは回路構成が複雑になる等の種々の問題がある。
【0010】
本発明は、光線路における反射率分布を高い空間分解能で容易に計測することができる光反射計測装置、光通信システム及び光反射計測方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するために、本発明による光反射計測装置は、光線路における反射率分布を計測する光反射計測装置であって、(1)自己相関関数がデルタ関数的なピークを有する第1変調信号を出力する信号源と、(2)第1変調信号に従って強度変調された監視光を光線路に出力する光源と、(3)第1変調信号に遅延を与えることにより第2変調信号を生成するとともに当該遅延量が可変である遅延部と、(4)監視光が光線路を伝搬する際に生じた反射光を第2変調信号に従って強度変調するとともに、該変調された反射光を、第1信号光と、該第1信号光の強度に対して相補的な強度を有する第2信号光とに振り分ける光変調器と、(5)第1信号光及び第2信号光を電気信号に変換し、該電気信号に変換された第1信号光と第2信号光との電力の差の時間積分値を表す積分値信号を出力する演算部と、(6)遅延部における遅延量を制御するとともに、積分値信号に基づいて光線路における反射率分布を求める制御部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
また、上記光反射計測装置では、演算部が、第1信号光及び第2信号光を電気信号に変換する平衡検出器と、積分値信号を生成する積分器とを含むことが好適である。
【0013】
また、上記光反射計測装置では、信号源が、M系列符号に基づいて第1変調信号を生成することが好適である。
【0014】
また、上記光反射計測装置では、光源が、発振線幅が800MHz以上1.7GHz以下である光を強度変調することにより監視光を生成することが好適である。
【0015】
また、上記光反射計測装置は、監視光が光線路の第1区間を伝搬する際に生じた反射光を検出して当該反射光強度に応じた値の検出信号を出力する検出部と、検出信号に基づいて、第1区間における反射率分布を計測する計測部とを更に備え、制御部は、積分値信号に基づいて、光線路の第1区間に含まれる第2区間における反射率分布を求めることが好適である。
【0016】
また、本発明による光通信システムは、光ファイバ線路を介して互いに光学的に接続された局側端末と加入者端末との間で光通信を行う光通信システムであって、光ファイバ線路の途中に設けられた光結合器と、光結合器に光学的に接続された請求項1に記載の光反射計測装置とを備え、光源から出力される監視光が、光結合器を経て光ファイバ線路に伝搬し、監視光が光ファイバ線路を伝搬する際に生じる反射光が、光結合器を経て光反射計測装置に入力することを特徴とする。
【0017】
また、本発明による光反射計測方法は、光線路における反射率分布を計測する光反射計測方法であって、自己相関関数がデルタ関数的なピークを有する第1変調信号を生成し、第1変調信号に従って強度変調された監視光を光線路に出力し、遅延量が可変である遅延部により、信号源から出力された第1変調信号に遅延を与えることによって第2変調信号を生成し、監視光が光線路を伝搬する際に生じた反射光を第2変調信号に従って強度変調するとともに、該変調された反射光を、第1信号光と、該第1信号光の強度に対して相補的な強度を有する第2信号光とに振り分け、第1信号光及び第2信号光を電気信号に変換し、該電気信号に変換された第1信号光と第2信号光との電力の差の時間積分値を表す積分値信号を演算し、遅延部における遅延量を制御して、積分値信号に基づいて光線路における反射率分布を求めることを特徴とする。
【0018】
また、上記光反射計測方法では、M系列符号に基づいて第1変調信号を生成することが好適である。
【0019】
また、光反射計測方法では、監視光が光線路の第1区間を伝搬する際に生じた反射光を検出して当該反射光強度に応じた値の検出信号を生成し、検出信号に基づいて、第1区間における反射率分布を計測し、積分値信号に基づいて、光線路の第1区間に含まれる第2区間における反射率分布を求めることが好適である。
【発明の効果】
【0020】
本発明による光反射計測装置、光通信システム及び光反射計測方法によれば、光線路における反射率分布を高い空間分解能で容易に計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態に係る光反射計測装置の構成を示す図である。
【図2】光位相雑音及び光位相差の時間変化の一例を模式的に示す図である。
【図3】発振線幅と伝送速度との関係の一例を示すグラフである。
【図4】空間分解能の判断基準としての反射点間の最小完全識別距離を説明するための図である。
【図5】空間分解能の判断基準としての反射点間の最小完全識別距離を説明するための図である。
【図6】空間分解能の判断基準としての反射点間の最小完全識別距離を説明するための図である。
【図7】方向性結合器の構成例を示す図である。
【図8】マッハツェンダー干渉計の構成例を示す図である。
【図9】MEMSミラーを利用した光変調器の構成を示す図である。
【図10】光チョッパーを利用した光変調器の構成を示す図である。
【図11】一実施例としての測定手順を示すために、光線路を示す図である。
【図12】光線路の全範囲を大きな空間分解能(100m)にて測定した場合における、反射率分布の一例を示す図である。
【図13】図12の反射率分布において反射マーカーが密集している区間を選択し、空間分解能を上げてその区間の計測を行った場合の反射率分布の一例を示す図である。
【図14】図13の反射率分布において反射マーカーが密集している区間を選択し、空間分解能を上げてその区間の計測を行った場合の反射率分布の一例を示す図である。
【図15】図14の反射率分布において反射マーカーが密集している区間を選択し、空間分解能を上げてその区間の計測を行った場合の反射率分布の一例を示す図である。
【図16】第1実施形態に係る光反射計測装置の変形例として、光反射計測装置の構成を示す図である。
【図17】本発明の第2実施形態に係る光通信システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照しながら本発明による光反射計測装置、光通信システム及び光反射計測方法の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0023】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る光反射計測装置1Aの構成を示す図である。この図に示される光反射計測装置1Aは、光線路(例えば光ファイバ線路)10における反射率分布を計測する装置であって、信号源2、光源3、光サーキュレータ4、遅延部5、光検出器6および制御部7を備える。
【0024】
信号源2は、自己相関関数がデルタ関数的なピークを有する第1変調信号m(t)を、光源3及び遅延部5へ出力する。第1変調信号m(t)は、M系列符号に基づいて生成された信号であり、より好ましくは、N段(符号長2N−1)のM系列疑似乱数符号から生成された疑似乱数列信号である。信号源2は、M系列疑似乱数符号の0と1とを、第1変調信号(疑似乱数列信号)m(t)の−1と1とにそれぞれ対応付ける。なお、Nは整数であり、tは時間を表す。
【0025】
光源3は、信号源2から出力された第1変調信号m(t)に従って強度変調された監視光L1を、光サーキュレータ4を介して光線路10へ出力する。好適には、光源3はレーザダイオードを含む。光サーキュレータ4は、光源3から出力されて到達した監視光L1を光線路10へ出力するとともに、その監視光L1が光線路10を伝搬する際に生じた反射光(後方伝搬光)L2を入力して該反射光L2を光検出器6へ出力する。
【0026】
遅延部5は、信号源2と電気的に接続されており、信号源2から提供された第1変調信号m(t)に対して時間τだけ遅延を与えることによって第2変調信号m(t−τ)を生成する。この遅延量τは可変であり、制御部7によって制御される。
【0027】
光検出器6は、光変調器11と、平衡検出器12と、積分器13とを有する。光変調器11は、光サーキュレータ4と光学的に結合されており、また、遅延部5と電気的に接続されている。光変調器11は、光サーキュレータ4から反射光L2を受け、また、遅延部5から第2変調信号m(t−τ)を受ける。光変調器11は、反射光L2を第2変調信号m(t−τ)に従って強度変調する。そして、光変調器11は、この強度変調された反射光を、第1信号光L3と、該第1信号光L3の強度に対して相補的な強度を有する第2信号光L4とに振り分ける。
【0028】
平衡検出器12及び積分器13は、本実施形態における演算部14を構成する。演算部14は、第1信号光L3及び第2信号光L4を電気信号に変換し、電気信号に変換された第1信号光L3と第2信号光L4との電力の差の時間積分値を演算する。演算部14は、この時間積分値を表す積分値信号Vを、制御部7へ出力する。制御部7は、遅延部5における遅延量τを制御するとともに、演算部14から出力された積分値信号Vに基づいて光線路10における反射率分布を求め、また、その求めた反射率分布を表示する。
【0029】
演算部14の平衡検出器12は、光変調器11と光学的に結合されており、第1信号光L3及び第2信号光L4を光変調器11から受ける。以下、平衡検出器12及び積分器13の機能について説明する。なお、以下の説明において、虚数単位をj=−iとする。また、以下に説明する方法を、符号相関領域反射計測法(CCDR;Code Correlation Domain Reflectometry)と称することがある。
【0030】
まず、光源3から出力される監視光L1の光電界強度E(t)は、次の数式(1)によって表される。なお、数式(1)において、Zは特性インピーダンス、Pは平均光電力、p(t)は光電力雑音、fは光周波数、θ(t)は光位相雑音である。
【数1】

【0031】
また、光線路10上にN個の反射点(光反射計測装置からの距離z〜zNr)が存在する場合、反射光L2の光電界強度E(t)は、次の数式(2)によって表される。なお、数式(2)において、rは光反射計測装置1Aの入出力端から見たn番目の反射点(距離z)の複素振幅反射率、vは光線路10の群速度である。
【数2】

【0032】
ここで、平衡検出器12に入力される第1信号光L3の光電界振幅E(t)及び第2信号光L4の光電界振幅E(t)は、次の数式(3)によって表される。なお、数式(3)において、φは光電界の位相回転である。
【数3】


したがって、第1信号光L3及び第2信号光L4を電気信号に変換すると、該電気信号の電力P(t)及びP(t)は、次の数式(4)によって表される。
【数4】

【0033】
平衡検出器12及び積分器13の特性が理想的なものであると仮定すると、積分器13から出力される積分値信号Vは、次の数式(5)によって表される。なお、数式(5)において、Sは平衡検出器の光電変換係数である。
【数5】

【0034】
なお、数式(5)右辺のP(t)−P(t)は、次の数式(6)によって求められる。
【数6】

【0035】
また、数式(6)右辺の|E(t)|は、次の数式(7)によって求められる。
【数7】

【0036】
また、数式(7)右辺のpmn(t)は、次の数式(8)によって求められる。
【数8】

【0037】
また、数式(8)右辺のMmn(t)は、次の数式(9)によって求められる。
【数9】

【0038】
また、数式(7)右辺のΘmn(t)は、次の数式(10)によって求められる。
【数10】

【0039】
第1変調信号m(t)は区分的に連続なので、平均値の定理から、上述した数式(5)の近似として、次の数式(11)を得ることができる。
【数11】

【0040】
ここで、光位相雑音θがコヒーレンス時間τに一回不連続に変化する区間[−π,π]の一様乱数であると仮定する。この仮定は、特に光源3が半導体レーザを含む場合に妥当である。二つの反射点z及びzからの反射光L2の遅延時間差τmnがコヒーレンス時間τに対して十分に短ければ、光位相差Θmnはほぼ0となる。一方、遅延時間差τmnがコヒーレンス時間τに対し十分に長ければ、光位相差Θmnは区間[−π,π]の一様乱数になる。図2(a)及び図2(b)は、光位相雑音θ及び光位相差Θmnの時間変化の一例を模式的に示す図である。なお、図2(a)及び図2(b)において、縦軸は光位相雑音θ及び光位相差Θmnを示し、横軸は規格化された時間t/τを示している。また、図2(b)において、実線で示されるグラフG11は反射点間の距離が短い場合を示し、破線で示されるグラフG12は反射点間の距離が長い場合を示している。
【0041】
以上の議論から、積分値信号Vの信号値V(t)は、数式(12)及び(13)によって近似される。なお、数式(12)及び(13)において、zmn及びζmnは、反射点zからの反射光L2とzからの反射光L2との干渉、及びM系列符号の性質による見かけの反射点であり、smn及びσmnはパルスの重なりである。
【数12】


【数13】

【0042】
なお、上述した数式(12)は、光位相雑音θを一様乱数と仮定して導出されている。しかし、監視光L1がレーザ光から生成される場合には、次の数式(14)を数式(12)に代えて適用してもよい。
【数14】

【0043】
数式(12)および数式(14)から、反射点間の距離が監視光L1のコヒーレンス長より十分に長ければ、見かけの反射が消失することがわかる。したがって、高い空間分解能を実現するためには、コヒーレンス長が短いレーザ光を高速変調すればよい。ここで、伝送速度Bと伝送可能距離Lの評価として、次の数式(15)に示される関係が成り立つ。なお、数式(15)において、Dは分散、Δλは監視光L1のスペクトル線幅である。
【数15】

【0044】
なお、監視光L1は光線路10を往復するので、最大測定可能距離zmaxは伝送可能距離Lの半分弱となる(数式(16))。
【数16】


監視光L1のスペクトル線幅Δλは、監視光L1の発振線幅Δfと伝送速度Bとの和によって評価される(数式(17))。なお、数式(17)において、λは監視光L1の中心波長であり、cは真空の光速度である。
【数17】

【0045】
上述した数式(15)、(16)及び(17)から、発振線幅Δfと伝送速度Bとの関係として、次の数式(18)が得られる。
【数18】


また、反射点間の距離が監視光L1のコヒーレンス長より十分に長いという条件を、発振線幅Δfと伝送速度Bとの関係として表すと、数式(19)が得られる。
【数19】

【0046】
以上に述べた理論を纏めると、数式(18)と数式(19)とが両立する条件下において、次の数式(20)が成り立つ。
【数20】


また、以上の理論においては変調度μを1としているが、数式(18)と数式(19)とが両立する条件下において0<μ<1としたとき、次の数式(21)が成り立つ。
【数21】


本実施形態の演算部14(平衡検出器12及び積分器13)は、上記の演算を行うことによって積分値信号Vを生成し、この積分値信号Vを制御部7へ出力する。
【0047】
ここで、図3は、発振線幅Δfと伝送速度Bとの関係の一例を示すグラフである。図3において、グラフG21〜G24は、それぞれ最大測定距離が10km、20km、30km及び40kmである場合の関係を示している。縦軸は発振線幅(単位GHz)を示し、横軸は伝送速度(単位Gbps)を示している。これらのグラフG21〜G24は、光線路10としてシングルモード光ファイバ(ゼロ分散波長1310nm、ゼロ分散スロープ0.092ps/nm/km)を用い、監視光L1の波長を1650nmとした場合を示している。なお、グラフG25は、最小発振線幅を示している。発振線幅がこの最小発振線幅より高い領域では、見かけの反射ピークは発生しない。
【0048】
また、図4〜図6は、空間分解能の判断基準としての反射点間の最小完全識別距離を説明するための図である。図4〜図6において、縦軸は積分値信号Vの大きさを示し、横軸は光線路10における光反射計測装置1Aからの距離zを示している。また、図中に示されるピーク波形A1及びA2は、それぞれ別個の反射点における反射光L2の波形を示しており、太い実線A3は実際に生成される積分値信号Vの波形を示している。なお、ピーク波形A1及びA2の幅D1は2v/Bである。図4に示されるようにピーク波形A1とピーク波形A2とが全く重ならない最短のピーク間距離D2=(2v/B)を、最小完全識別距離と称する。また、図5に示されるようにピーク波形A1とピーク波形A2とが一部重なるピーク間距離D2=(3v/4B)を、識別可能距離と称する。また、図6に示されるようにピーク波形A1及びA2の幅D1の半分のピーク間距離D2=(v/B)を、識別可能距離と称する。本実施形態では、図4に示された距離D2=(2v/B)を以て、空間分解能とする。
【0049】
図3に示されるように、発振線幅Δfが800MHz以上1.7GHz以下であり、且つ伝送速度Bが8.0Gbps以上8.5Gbps以下の範囲内であれば、最大測定距離を20kmとし、反射点間の空間分解能を5cm以下とすることが可能である。したがって、発振線幅Δfは800MHz以上1.7GHz以下であることが好ましく、伝送速度Bは8.0Gbps以上8.5Gbps以下であることが好ましい。なお、空間分解能を6.7cmまで低下させることにより、発振線幅Δfが1GHz、伝送速度Bが6.0Gbpsである場合に最大測定距離を40kmまで延長することができる。
【0050】
本実施形態に係る光反射計測方法は、上述した光反射計測装置1Aを用いて反射率分布を計測する方法である。すなわち、自己相関関数がデルタ関数的なピークを有する第1変調信号m(t)をM系列符号に基づいて生成し、第1変調信号m(t)に従って強度変調された監視光L1を光線路10に出力する。そして、遅延量τが可変である遅延部5により、信号源2から出力された第1変調信号m(t)に遅延τを与えることによって第2変調信号m(t−τ)を生成する。
【0051】
続いて、監視光L1が光線路10を伝搬する際に生じた反射光L2を第2変調信号m(t−τ)に従って強度変調するとともに、該変調された反射光L2を、互いに相補的な第1信号光L3と第2信号光L4とに振り分ける。そして、第1信号光L3及び第2信号光L4を電気信号に変換し、これらの電力の差の時間積分値を表す積分値信号Vを演算する。最後に、遅延部5における遅延量τを制御して、積分値信号Vに基づいて光線路10における反射率分布を求める。
【0052】
続いて、光反射計測装置1Aが備える光源3、光変調器11、及び積分器13の好適な構成について更に詳細に説明する。
【0053】
光源3は、上述した数式(18)及び(19)を満たす発振線幅Δfを有するレーザ光を発生し、そのレーザ光を疑似乱数列信号mに基づいて強度変調できることが好ましい。このようなレーザ光の発生手段としては、半導体レーザダイオードが適している。また、強度変調の手段としては、例えば、レーザダイオードを直接変調するための駆動回路、若しくはレーザダイオードから出力されたレーザ光を強度変調する光変調器が好適である。
【0054】
本実施形態の光変調器11は、相補的な第1信号光L3及び第2信号光L4を出力する。このような光変調器11としては、方向性結合器、マッハツェンダー干渉計、微小電気機械系(MEMS、Micro Electric Machine System)ミラー、光チョッパーなどを採用することができる。なお、表1は、本実施形態の光反射計測装置1Aにおいて採用可能な光変調器の一覧を示している。
【表1】

【0055】
図7は、方向性結合器の構成例を示す図である。図7に示される方向性結合器20は、2本の光導波路21及び22と、一対の電極23及び24とを有する。光導波路21及び22は、互いに近接して平行に延びる光結合部25を構成しており、一対の電極23及び24は、この光結合部25を間に挟む位置に配置されている。そして、電極23と電極24との間に駆動電圧VDCが印加されると、光結合部25に生じる電界によって光導波路21及び22の屈折率が変化し、光結合部25の結合長が変化する。光導波路21の一端側に入射した反射光L2は、このような作用によって振り分けられ、第1信号光L3及び第2信号光L4として光導波路21及び22の他端側から出力される。
【0056】
図8は、マッハツェンダー干渉計の構成例を示す図である。図8に示されるマッハツェンダー干渉計30は、2本の光導波路31及び32と、一対の電極33及び34とを有する。光導波路31及び32は、互いに近接して平行に延びる二箇所の光結合部35及び36を構成しており、一対の電極33及び34は、光結合部35と光結合部36との間において、一方の光導波路31を挟むように配置されている。そして、電極33と電極34との間に駆動電圧VMZが印加されると、その電界によって、光結合部35と光結合部36との間における光導波路31の屈折率が変化し、光導波路31の光路長が変化する。光導波路31の一端側に入射した反射光L2は、このような作用によって振り分けられ、第1信号光L3及び第2信号光L4として光導波路31及び32の他端側から出力される。
【0057】
なお、方向性結合器20又はマッハツェンダー干渉計30から成る光変調器としては、電気光学効果型、電界吸収型および半導体光増幅器型のものがある。電気光学効果型の光変調器は、電気光学効果による屈折率変化を利用するものである。また、電界吸収型の光変調器は、フランツ・ケルディッシュ効果や量子閉じ込めシュタルク効果による吸収端偏移に起因する屈折率変化を利用するものである。また、半導体光増幅器型の光変調器は、キャリア密度変化に起因する屈折率変化を利用するものである。電界吸収型の光変調器では、動作波長を吸収端から遠くすることにより光吸収に伴う過剰損失を低減できる。また、動作波長を吸収端から近くすることにより、屈折率変化を大きくして動作電圧を低くすることができる。半導体光増幅器型の光変調器では、多数キャリアの密度を変えるので、電気光学効果型や電界吸収型と比較して変調速度が遅い場合に適している。
【0058】
図9は、MEMSミラーを利用した光変調器40の構成を示す図である。図9に示されるように、光変調器40では、導電性のミラー41が揺動可能に支持され、且つその支持点は接地されている。そして、ミラー41の両端部のそれぞれと対向するように一対の固定電極42a及び42bが配置され、これらの電極42a及び42bには、それぞれ抵抗43a及び43bを介して電源電圧Vccが提供される。ミラー41の偏角は、電極42a及び42bに印加される電圧による静電引力や電磁力によって変化する。電極42a及び42bそれぞれと接地電位線との間には、スイッチとしてのトランジスタ44a,44bそれぞれが接続されている。これらのトランジスタ44a,44bの導通/非導通は、増幅器45a,45bを介して提供される制御電圧VMMによって制御される。この光変調器40では、ミラー41に入射した反射光L2が、ミラー41の偏角に応じて振り分けられ、第1信号光L3及び第2信号光L4として出力される。
【0059】
図10は、光チョッパーを利用した光変調器50の構成を示す図である。なお、図10(a)は光変調器50の側面図であり、図10(b)は光変調器50の平面図である。図10に示されるように、光変調器50はエンコーダディスク51を有する。このエンコーダディスク51には、M系列符号に対応する反射パターン51aが形成されている。そして、回転軸51bを中心としてエンコーダディスク51を回転させながら反射パターン51aに反射光L2を入射させることにより、反射及び透過を繰り返しながら反射光L2を振り分け、第1信号光L3及び第2信号光L4を生成することができる。なお、図9に示された光変調器40および図10に示された光変調器50はいずれも機械式であるため、変調速度が比較的遅い場合に好適である。
【0060】
本実施形態の積分器13は、例えば時定数が比較的大きい低域通過フィルタによって好適に構成される。一実施例として、最大測定距離が20kmである場合、疑似乱数列信号mの周期は0.2ms以上であることが好ましい。すなわち、フィルタの時定数を0.2msに対して十分に大きくする(換言すれば、遮断周波数を80Hzより十分に低くする)ことによって、低域通過フィルタを積分器として機能させることができる。なお、平衡検出器12が有するフォトダイオードの受光面が広いことによりフォトダイオードの寄生容量が大きい場合には、このフォトダイオードが低域通過フィルタとして機能することができる。このように、フォトダイオードの遮断周波数が低い場合には、積分器13を省略することが可能である。
【0061】
なお、上述した方式は積分器13をアナログ回路によって実現するものであるが、積分器13は、上述したものより更に遮断周波数が高い低域通過フィルタを有し、この低域通過フィルタを通過した信号をデジタル信号に変換した後に、このデジタル信号を数値積分する方式を有してもよい。積分器13がこのような方式を有することによって、低域通過フィルタの遮断周波数を、1/f雑音による影響が生じる周波数帯より高くすることが可能となる。従って、S/N比を更に改善できる。
【0062】
図11は、一実施例としての測定手順を示すために、光線路Fを示す図である。この光線路Fは、光反射計測装置1Aに一端が結合された光ファイバ線路F0と、この光ファイバ線路F0の他端から分岐された複数(本実施形態では8本)の光ファイバ線路F1〜F8とによって構成される。光ファイバ線路F0の長さは例えば7kmであり、光ファイバ線路F0の一端から各光ファイバ線路F1〜F8の各端部までの距離は、それぞれ次の通りである(単位:m)。
F1:8100.00
F2:8200.00
F3:8300.00
F4:8500.00
F5:8800.00
F6:8800.10
F7:8801.00
F8:8810.00
【0063】
まず、光線路Fの全範囲を大きな空間分解能(例えば100m)にて測定する。このとき、疑似乱数列信号mのM系列符号の段数Nを17とすると、疑似乱数列信号mの周期は66msとなり、監視光L1の往復時間は長くとも0.1msなので、1分強といった短い時間で反射率分布を取得できる。なお、このときの反射率分布の一例を図12に示す。
【0064】
次に、上記反射率分布において反射マーカーが密集している区間を選択し、空間分解能を上げてその区間の計測を行う。例えば、図12に示された反射率分布における8000mないし9000mの区間を選択し、N=17のM系列符号による疑似乱数列信号mを使用して小さな空間分解能(例えば10m)にて測定する。これにより、7秒程度といった短い時間で反射率分布を取得できる。なお、このときの反射率分布の一例を図13に示す。以後、反射マーカーが密集している区間を選択し、空間分解能に応じて、M系列符号の段数Nを疑似乱数列信号mの周期が監視光L1の往復時間を超えるように選択しつつ、同様の操作を繰り返す。これにより、例えば図14及び図15に示されるような、空間分解能がより小さい反射率分布を短い時間で取得することができる。
【0065】
なお、N段のM系列符号を使用する場合、測定可能な反射率のダイナミックレンジが3×N(dB)程度となるので、測定時間を許容できる範囲で最も長いM系列符号を使用することが望ましい。
【0066】
以上に説明したように、本発明による光反射計測装置1A及び光反射計測方法によれば、光線路10における反射率分布を高い空間分解能で容易に計測することができる。また、光反射計測装置1A及び光反射計測方法によれば、相関関数の合成のための乗算回路及び積分回路を、光変調器11、低速低雑音の平衡検出器12及び積分器13の組み合わせによって実現しているので、簡易な構成で反射率分布を計測することができる。また、本実施形態に係る光反射計測装置1A及び光反射計測方法は、本質的にレーザ光の位相雑音や偏波雑音に対して高い耐性を有する。したがって、レーザダイオードや光変調器といった光デバイスの選択の自由度が高いので、部材コストを低減し、且つ信頼性を高めることが容易にできる。また、光反射計測装置1A及び光反射計測方法によれば、相関関数の形状やダイナミックレンジの観点から、レイリー散乱の検出は十分に可能である。
【0067】
(変形例)
図16は、本実施形態に係る光反射計測装置1Aの変形例として、光反射計測装置1Bの構成を示す図である。本変形例に係る光反射計測装置1Bは、上述した光反射計測装置1Aの構成に加えて、検出部15及び計測部16を更に備える。検出部15は、光サーキュレータ4を介して光線路10と光結合しており、監視光L1が光線路10における一区間(第1区間)を伝搬する際に生じた反射光L2を検出し、この反射光L2の強度に応じた値の検出信号S1を出力する。
【0068】
計測部16は、検出部15から提供された検出信号S1に基づいて、OTDR、OCDR、ODFR等により反射率分布を測定する光反射計測装置であり、第1区間における反射率分布を計測する。計測部16は、反射率分布の計測結果を制御部60へ出力する。制御部60は、計測部16から提供された計測結果に基づいて第1区間における反射率分布を把握する。そして、制御部60は、第1区間に含まれる区間であって反射点が存在する区間(第2区間)について、光検出器6からの積分値信号Vに基づいて反射率分布を求め、当該反射点までの距離を特定する。
【0069】
本変形例に係る光反射計測装置1B及び光反射計測方法によれば、空間分解能が比較的低いOTDRによって第1区間における反射点の位置を速やかに特定し、この反射点の位置を、検出部15からの積分値信号Vに基づいて、上述した方法により高い空間分解能でもって特定することができる。したがって、短い計測時間で高い空間分解能を実現することができる。なお、本変形例では検出部15が光サーキュレータ4に結合されているが、検出部15は、光変調器11の光入力側または光出力側に結合されてもよく、或いは平衡検出器12の光入力側に結合されてもよい。また、OCDRやOFDRといった分解能の高い光反射計測方法によって、第1区間における反射点の位置を特定してもよい。
【0070】
(第2の実施の形態)
図17は、本発明の第2実施形態に係る光通信システム100の構成を示す図である。本実施形態の光通信システム100は、光ファイバ線路101を介して互いに光学的に接続された局側端末110と加入者端末120との間で光通信を行うためのシステムである。光通信システム100は、光ファイバ線路101の途中に設けられた光結合器130と、光結合器130に光学的に接続された光反射計測装置1A(または1B)とを備える。
【0071】
この光通信システム100では、光反射計測装置1Aの光源3(図1を参照)から出力される監視光L1が、光結合器130を経て光ファイバ線路101に伝搬する。そして、監視光L1が光ファイバ線路101を伝搬する際に生じる反射光L2が、光結合器130を経て光反射計測装置1A(または1B)に入力する。このような構成によって、光ファイバ線路101における反射率分布を高い空間分解能で容易に計測することができる。
【符号の説明】
【0072】
1A,1B…光反射計測装置、2…信号源、3…光源、4…光サーキュレータ、5…遅延部、6…光検出器、7…制御部、10…光線路、11,40,50…光変調器、12…平衡検出器、13…積分器、14…演算部、15…検出部、16…計測部、20…方向性結合器、21,22,31,32…光導波路、23,24,33,34…電極、25,35,36…光結合部、30…マッハツェンダー干渉計、41…ミラー、42a,42b…固定電極、50…光変調器、51…エンコーダディスク、60…制御部、100…光通信システム、101…光ファイバ線路、110…局側端末、120…加入者端末、130…光結合器、F…光線路、F0〜F8…光ファイバ線路、L1…監視光、L2…反射光、L3…第1信号光、L4…第2信号光、m(t)…第1変調信号、m(t−τ)…第2変調信号、V…積分値信号。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光線路における反射率分布を計測する光反射計測装置であって、
自己相関関数がデルタ関数的なピークを有する第1変調信号を出力する信号源と、
前記第1変調信号に従って強度変調された監視光を前記光線路に出力する光源と、
前記第1変調信号に遅延を与えることにより第2変調信号を生成するとともに当該遅延量が可変である遅延部と、
前記監視光が前記光線路を伝搬する際に生じた反射光を前記第2変調信号に従って強度変調するとともに、該変調された反射光を、第1信号光と、該第1信号光の強度に対して相補的な強度を有する第2信号光とに振り分ける光変調器と、
前記第1信号光及び前記第2信号光を電気信号に変換し、該電気信号に変換された前記第1信号光と前記第2信号光との電力の差の時間積分値を表す積分値信号を出力する演算部と、
前記遅延部における遅延量を制御するとともに、前記積分値信号に基づいて前記光線路における反射率分布を求める制御部と、
を備えることを特徴とする、光反射計測装置。
【請求項2】
前記演算部が、
前記第1信号光及び前記第2信号光を電気信号に変換する平衡検出器と、
前記積分値信号を生成する積分器と
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の光反射計測装置。
【請求項3】
前記信号源が、M系列符号に基づいて前記第1変調信号を生成する
ことを特徴とする、請求項1に記載の光反射計測装置。
【請求項4】
前記光源は、発振線幅が800MHz以上1.7GHz以下である光を強度変調することにより前記監視光を生成する
ことを特徴とする、請求項1に記載の光反射計測装置。
【請求項5】
前記監視光が前記光線路の第1区間を伝搬する際に生じた反射光を検出して当該反射光強度に応じた値の検出信号を出力する検出部と、
前記検出信号に基づいて、前記第1区間における反射率分布を計測する計測部と
を更に備え、
前記制御部は、前記積分値信号に基づいて、前記光線路の前記第1区間に含まれる第2区間における反射率分布を求める
ことを特徴とする、請求項1に記載の光反射計測装置。
【請求項6】
光ファイバ線路を介して互いに光学的に接続された局側端末と加入者端末との間で光通信を行う光通信システムであって、
前記光ファイバ線路の途中に設けられた光結合器と、
前記光結合器に光学的に接続された請求項1に記載の光反射計測装置と
を備え、
前記光源から出力される前記監視光が、前記光結合器を経て前記光ファイバ線路に伝搬し、
前記監視光が前記光ファイバ線路を伝搬する際に生じる反射光が、前記光結合器を経て前記光反射計測装置に入力する
ことを特徴とする光通信システム。
【請求項7】
光線路における反射率分布を計測する光反射計測方法であって、
自己相関関数がデルタ関数的なピークを有する第1変調信号を生成し、
前記第1変調信号に従って強度変調された監視光を前記光線路に出力し、
遅延量が可変である遅延部により、前記信号源から出力された前記第1変調信号に遅延を与えることによって第2変調信号を生成し、
前記監視光が前記光線路を伝搬する際に生じた反射光を前記第2変調信号に従って強度変調するとともに、該変調された反射光を、第1信号光と、該第1信号光の強度に対して相補的な強度を有する第2信号光とに振り分け、
前記第1信号光及び前記第2信号光を電気信号に変換し、該電気信号に変換された前記第1信号光と前記第2信号光との電力の差の時間積分値を表す積分値信号を演算し、
前記遅延部における遅延量を制御して、前記積分値信号に基づいて前記光線路における反射率分布を求めることを特徴とする、光反射計測方法。
【請求項8】
M系列符号に基づいて前記第1変調信号を生成する
ことを特徴とする、請求項7に記載の光反射計測方法。
【請求項9】
前記監視光が前記光線路の第1区間を伝搬する際に生じた反射光を検出して当該反射光強度に応じた値の検出信号を生成し、
前記検出信号に基づいて、前記第1区間における反射率分布を計測し、
前記積分値信号に基づいて、前記光線路の前記第1区間に含まれる第2区間における反射率分布を求める
ことを特徴とする、請求項7に記載の光反射計測方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−83229(P2012−83229A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−229968(P2010−229968)
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】