説明

光受信機

【課題】 光受信機の筐体の設置作業と、光信号供給のための接続作業を容易にする。
【解決手段】 筐体10に設けた光端子12で受けた光信号を、変換高周波情報信号に筐体10内のPD回路20が変換する。筐体10に設けた出力用接栓14に変換高周波情報信号が出力される。壁面端子2における光信号が供給される光アダプタ8が設けられた面7に、面接触する面10aを筐体10は有している。面7、10aが面接触している状態において、光アダプタ8に光端子12が接続されるように、面10aから光端子12を面7側に突出させてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光信号を受信して、電気信号に変換する光受信機に関し、特に屋内に配置するものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋内に配置する光受信機としては、例えば特許文献1に開示されているようなものがある。この光受信機は、筐体内に光ケーブルを引き込み、光ケーブルによって伝送された光信号を光受信部によって高周波信号に変換し、筐体内に設けた出力端子を介してセットトップボックスやテレビ受信機に供給する。筐体は、家屋内の壁面に取り付けられている。このような光受信機の他に、卓上等に据え置きされる光受信機もある。
【0003】
【特許文献1】特開2005−25094号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術によれば、光受信機の筐体を家屋の壁面に取り付けなければならず、その設置作業が必要である。その上、光ケーブルを筐体内に引き込んで、光受信部に接続しなければならず、その接続作業も面倒であった。また、据え置きタイプの光受信機においても、光ケーブルを筐体内に引き込んで、光受信部に接続しなければならず、特許文献1の壁面取付の筐体と同様に接続作業が面倒であった。
【0005】
本発明は、筐体の設置作業と、光信号供給のための接続作業が容易である光受信機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の光受信機は、高周波情報信号で変調された光信号を受ける光端子と、 この光端子で受けた前記光信号を、変換高周波情報信号に変換する光−電気変換手段と、 この光−電気変換手段からの前記変換高周波情報信号を出力する電気信号端子とを、筐体に備えている。この筐体は、壁面端子における前記光信号が供給する光アダプタを備える第1の面に、面接触する第2の面を有している。第2の面は、第1の面とほぼ同じ大きさとすることが、小型化の観点から望ましい。第1及び第2の面が面接触している状態において、前記光アダプタに前記光端子が接続するように、第2の面から前記光端子を第1の面側に突出させている。
【0007】
このように構成された光受信機では、筐体の第2の面を第1の面に面接触させることによって光端子が、壁面端子にある光アダプタに接続される。従って、壁面端子の光アダプタに接続した光ケーブルを光端子に接続する接続作業が不要になる上に、光受信機の設置も同時に行える。
【0008】
本発明の他の態様の光受信機は、上記の態様と同様に、筐体に光端子と、光−電気変換手段と、電気信号端子とを備え、更に前記光−電気変換手段に対する電源部も、備えている。前記筐体は、壁面端子における前記光信号が供給する光アダプタと、電源コンセントとを備える第1の面に、面接触する第2の面を有している。第2の面は、第1の面とほぼ同じ大きさである。第1及び第2の面が面接触している状態において、前記光アダプタに前記光端子が接続し、前記電源部に接続されている電源プラグが前記電源コンセントに接続されるように、第2の面から前記光端子及び前記電源プラグを第1の面側に突出させている。
【0009】
この態様の光受信機でも、上記の態様の光受信機と同様に筐体の設置作業と光信号供給のための接続作業が同時に行える。しかも、壁面端子の電源コンセントに電源プラグを接続して、電源部を作動させているので、電源部へ商用交流電力を供給するためのプラグ付きの電源コードを筐体から引き出す必要がなく、設置スペースを小さくすることができる上に、電源コードを壁面の電源コンセントに接続する作業も不要になる。
【0010】
上記の両態様のいずれかにおいて、前記高周波情報信号は、テレビジョン放送信号と緊急告知信号とを含むものとすることができる。この場合、前記光−電気変換手段から出力された変換高周波信号は変換緊急告知信号と変換テレビジョン放送信号とを含み、変換テレビジョン放送信号は前記電気信号端子に供給され、前記変換緊急告知信号は、緊急告知信号出力端子に供給される。
【0011】
このように構成すると、テレビジョン放送信号を受信することができる他に、緊急告知信号も受信することができる。
【0012】
上記各態様のいずれかにおいて、前記筐体には、双方向通信用の送信信号及び受信信号用端子と、この端子から供給された送信信号を光送信信号に変換して前記光端子に供給する電気−光変換手段と、前記光端子から供給された光受信信号を前記双方向通信用の受信信号に変換して前記送信信号及び受信信号用端子に供給する光−電気変換手段とを、備えて光送受信機とすることもできる。
【0013】
このように構成することによって、光信号を用いた双方向通信も、この光送受信機によって行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によれば、光受信機の筐体の設置作業と光信号供給用の接続作業とを同時に行うことができ、光受信機の設置作業を非常に簡易化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の第1の実施形態の光受信機は、図1に示すように、家屋の壁面に設けられている壁面端子2と共に使用される。壁面端子2は、壁面4から僅かに突出している矩形状のプレート6を有している。第1の面、例えばこのプレート6の主面7に、光アダプタ8が図2(a)に示すように設けられている。この光アダプタ8には、光ファイバー(図示せず)が接続されており、高周波情報信号、例えばテレビジョン放送信号とFM放送信号とで変調された光信号が上記光ファイバーを介して伝送されている。なお、緊急告知する必要のある事態が生じた場合には、高周波情報信号として緊急告知信号も使用され、その場合には、テレビジョン放送信号とFM放送信号と緊急告知信号とで変調された光信号が光アダプタ8に供給される。インターネット等のデータ通信用の光信号も、光ファイバーを介して光アダプタ8を介して送受されている。
【0016】
第1の実施形態の光受信機は、筐体10を有している。この筐体10は、概略直方体状に構成され、第2の面、例えば筐体10の1つの面10aは、プレート6の主面7とほぼ同じ大きさ、例えば、僅かにその長さ及び幅寸法が短く形成されている以外、同じ大きさに形成されている。この筐体10の面10aは、プレート6の主面7と面接触可能に構成されている。
【0017】
筐体10の面10aをプレート6の主面7に面接触させた状態において、光アダプタ8と接続可能に、面10aには光端子12が面10aから外方に突出している。この光端子12は、光アダプタ8に接続された状態で、筐体10の重量を支えられるように、例えば金属製の剛性の大きいものとすることが望ましい。
【0018】
筐体10における面10aと反対側の面10bには、図2(b)に示すように、電気端子、例えばテレビジョン放送及びFM放送用の出力接栓14と、FM放送及び緊急放送用の出力接栓16とが並んで配置されている。これら出力接栓14、16の上方に、データ通信用の端子、例えばLANポート18が設けられている。
【0019】
この光受信機では、図3に示すような回路が筐体10内に設けられている。即ち、光受信機は、光−電気変換手段、例えばフォトダイオード回路20を有している。フォトダイオード回路20は、光端子12から供給された光信号を変換高周波情報信号に変換する。変換高周波情報信号中のテレビジョン放送信号及びFM放送信号は、縦続接続された増幅器22、24によって増幅された後、テレビジョン放送及びFM放送用の出力接栓14に供給されている。
【0020】
増幅器22、24の間には、分岐手段、例えば1分岐器26が設けられており、それの分岐端子から分岐されたテレビジョン放送及びFM放送信号は、切換スイッチ28の一方の接点28aに供給されている。切換スイッチ28は、接点28aの他に、接点28bと、接点28a、28bの一方に接続される接触子28cとを有し、接触子28cがFM放送及び緊急放送用の出力接栓16に接続されている。緊急告知信号もFM信号であるので、出力接栓16にFM受信機を接続しておくことで、緊急告知やFM放送聴取できる。フォトダイオード回路20は無給電の状態でも、緊急告知信号とFM放送信号とを出力可能に構成され、その出力が接点28bに出力される。切換スイッチ28の接触子28cは、通常には接点28a側に切り換えられており、緊急告知信号及びFM放送信号は出力接栓16に生じている。電源部34からの電源供給が絶たれた場合、例えば地震等の緊急事態によって停電したような場合、切換スイッチ28の接触子28cが自動的に接点28b側に切り換えられ、緊急告知信号やFM放送信号が出力接栓16に生じる。従って、緊急告知やFM放送を停電時にも聴取できる。
【0021】
この他に、LANポート18に接続された通信部30が筐体10内に設けられている。通信部30は、LANポート18に接続された通信端末機、例えばパーソナルコンピュータから送信されてくる送信信号を受けて、光−電気変換手段兼電気−光変換手段、例えばPD/LD回路32に伝送し、ここで光信号を送信信号で変調して、送信光信号を発生し、これを光端子12に供給し、例えばプロバイダーへ伝送する。また、プロバイダーからの受信光信号は、光端子からPD/LD回路32に供給され、ここで受信信号に変換され、通信部30、LANポート18を介してパーソナルコンピュータに供給される。
【0022】
また、筐体10内の外部には、PD回路20、増幅器22、24、通信部30、PD/LD回路32への動作電力を供給する電源部34が設けられている。電源部34は、図1に示すように、プラグ34aを室内の電源コンセントに接続することによって、電源部34は商用交流電源に接続され、これを直流化する。直流化された動作電力は、ケーブル36を介して上述した各回路に供給される。
【0023】
このように構成された光受信機では、筐体10の面10aがプレート6の主面7に面接触し、かつ光端子12が光アダプタ8に接続されるようにする。これによって、筐体10の設置と、光端子12の光アダプタ8への接続とが、同時に行われる。その後、出力接栓14をテレビジョン受信機に接続し、出力接栓16をFM受信機に接続し、LANポート18をパーソナルコンピュータに接続する。また電源部34のプラグ34aを室内の電源コンセントに接続することによって、光受信機が動作する。
【0024】
本発明の第2の実施形態の光受信機は、図5に示すように壁面端子2aのプレート6aの主面7aに、光アダプタ8の下方に、電源コンセント36が設けられている場合に、対応するものである。筐体10の主面10aの光端子12の下方に電源プラグ38が設けられている。そして、主面10aをプレート面7aに面接触させたとき、光アダプタ8に光端子12が接続されると共に、電源コンセント36に電源プラグ38が接続されるように、電源プラグ38が配置されている。
【0025】
筐体10内には、図3に示した電源部34に相当する電源部が設けられており、これによって、図3の各回路に動作電力が供給される。他の構成は、第1の実施形態の光受信機と同一であるので、詳細な説明は省略する。
【0026】
本発明の第3の実施形態の光受信機は、図6に示すように、テレビジョン受信機40から動作電力の供給を受けるものである。即ち、テレビジョン受信機40はBS/CSデジタルチューナ内蔵のもので、UHF帯及びVHF帯のテレビジョン放送信号の入力端子40aの他にBS/CSデジタル放送信号の入力端子40bも有し、これら端子40a、40bのいずれかから+15Vの直流電圧が出力され、通電型の分配手段、例えば2分配器42を介して出力接栓14に接続されている。この+15Vの直流電圧は、高周波阻止コイル44を介して増幅器22、24、通信部30、PD/LD回路32に供給され、これらを動作させている。増幅器22、24は、UHF帯及びVHF帯のテレビジョン放送信号及びBS/CSデジタル放送信号を増幅可能であり、増幅器24の出力は、直流阻止コイル46を介して出力接栓14に供給され、2分配器42を介してテレビジョン受信機40のUHF帯及びVHF帯のテレビジョン放送信号の入力端子40a、BS/CSデジタル放送信号の入力端子40bに供給されている。他の構成は、第1の実施形態の光受信機と同様であるので、詳細な説明は省略する。このように構成すると、筐体10の内外に第1の実施形態の光受信機の電源部34に相当するものを設ける必要が無く、光受信機の省スペースでの設置が可能となる。
【0027】
上記の各実施形態では、LANポート18、通信部30及びPD/LD回路32を設けたが、場合によっては、これらは不要である。また、上記の各実施形態では、緊急告知信号を受信するように出力接栓16、切換スイッチ28を設けたが、これらも場合によっては不要である。第1の実施形態では、電源部34は、電源コード36を直接に筐体10内に引き込んだが、電源コードの先端にコネクタを設け、このコネクタに接続可能なコネクタを筐体10に設け、筐体10のコネクタから筐体10内の各回路に動作電力を供給するように構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の実施形態の光受信機の壁面端子への接続を示す側面図である。
【図2】図1の壁面端子の正面図と、図1の光受信機の背面図である。
【図3】図1の光受信機のブロック図である。
【図4】本発明の第2の実施形態の光受信機の壁面端子への接続を示す側面図である。
【図5】図4の壁面端子の正面図である。
【図6】本発明の第3の実施形態の光受信機のブロック図である。
【符号の説明】
【0029】
2 壁面端子
8 光アダプタ
7 プレートの主面(第1の面)
10 筐体
10a 筐体の面(第2の面)
12 光端子
14 出力接栓(電気信号端子)
20 PD回路(光−電気変換手段)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波情報信号で変調された光信号を受ける光端子と、
この光端子で受けた前記光信号を、変換高周波情報信号に変換する光−電気変換手段と、
この光−電気変換手段からの前記変換高周波情報信号を出力する電気信号端子とが、
筐体に設けられ、
前記光信号が供給される光アダプタを備える壁面端子の第1の面に、面接触する第2の面を、前記筐体が有し、第1及び第2の面が面接触している状態において、前記光アダプタに前記光端子が接続するように、第2の面から前記光端子を第1の面側に突出させた光受信機。
【請求項2】
高周波情報信号で変調された光信号を受ける光端子と、
この光端子で受けた前記光信号を、変換高周波情報信号に変換する光−電気変換手段と、
この光−電気変換手段からの前記変換高周波情報信号を出力する電気信号端子と、
前記光−電気変換手段に対する電源部とが、
筐体に設けられ、
前記光信号が供給される光アダプタと、電源コンセントとを備える壁面端子の第1の面に、面接触する第2の面を、前記筐体が有し、第1及び第2の面が面接触している状態において、前記光アダプタに前記光端子が接続し、前記電源部に接続されている電源プラグが前記電源コンセントに接続されるように、第2の面から前記光端子及び前記電源プラグを第1の面側に突出させた光受信機。
【請求項3】
請求項1または2記載の光受信機において、前記高周波情報信号は、テレビジョン放送信号と緊急告知信号とを含み、前記光−電気変換手段から出力された変換高周波信号は変換緊急告知信号と変換テレビジョン放送信号とを含み、変換テレビジョン放送信号は前記電気信号端子に供給され、前記変換緊急告知信号は、緊急告知信号出力端子に供給される光受信機。
【請求項4】
請求項1、2または3記載の光受信機において、前記筐体には、双方向通信用の送信信号及び受信信号用端子と、この端子から供給された送信信号を光送信信号に変換して前記光端子に供給する電気−光変換手段と、前記光端子から供給された光受信信号を前記双方向通信用の受信信号に変換して前記送信信号及び受信信号用端子に供給する光−電気変換手段とを、備える光送受信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−251580(P2009−251580A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−103437(P2008−103437)
【出願日】平成20年4月11日(2008.4.11)
【出願人】(000109668)DXアンテナ株式会社 (394)
【Fターム(参考)】