説明

光学コントラスト因子を使用して生体内の内部の現場を検出し、位置測定し、及び目標定めする方法及び装置

【課題】生体内の組織について、迅速なイメージ化、位置測定、位置決め、及び目標定めをできるようにする。
【解決手段】本発明は、体内の目標組織へ向けた医療器具を検出し、位置測定し、目標定めをする装置であって、光学コントラスト因子を用いて光源(102)を診断すべき組織(135)に光学的に結合し、光検出器(174)を光学的に組織に結合して組織を通過した光の部分を検出するもので、光源と光検出器との一方又は双方が医療処置に用いられる医療器具(130)に結合される。コントラスト位置測定エンジン(184)が検出器からの信号を受けて目標組織の出力信号(195)を提供し、これはコントラスト因子の位置測定と分布とに基づくもので、目標組織を検出し、位置測定し、又はイメージ化することが、および、目標組織に対して医療器具を分布し又は目標定めすることが、および、分布の精度や手順の進行をリアルタイムで評価することが、可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体内の外来性の光学コントラスト因子の位置と分布とを決定するために医療の器具を使用するための装置及び方法に関し、特に、侵襲性の医療の器具の使用と光学コントラスト因子の使用とを結合して器具の目標を体内の特定の現場とすることに関する。
【背景技術】
【0002】
医療ツールを使用して隠れた目標組織を確認し、体内に埋れた現場を目標として医療器具を案内することは、重要な医学の技能である。例えば、医療プローブで前立腺癌の存在又は不存在を検知することは、不必要な生検の数を減少させる。同様に、外科的な切開を行なう前に医療器具を使用して、おそらく癌に影響されているリンパ節の位置を検出することで、外科的な切開をはるかに小さくできると共に、大規模な外科的診察を少なくすることができる。他の例としては、肝臓の腫瘍に生検針を通すことで、医師が正確な生検標本を得られる機会が改善される。最後に、病変した器官の病変の限界を正確に知ることで、病変を完全に取除くことができると共に、正常な組織を最大限に残すことができる。
【0003】
埋まっている組織を良好に検出して目標とすることを達成するために、そして目標現場への盲目なアプローチを避けるために、医療イメージないしイメージ誘導を用いて監視ないし追跡される医療器具を使用した多くの侵襲性の手順が試みられた。在来のイメージに基づくアプローチの限界は、それらが目標組織からの固有の識別可能な信号を必要としていたことにある。識別可能な信号は、超音波やCTスキャン上での異なる外観と同じくらい単純である。しかしながら、多くの病気の過程における重要な分子は、それらが容易にイメージ化されるような強くて顕著な特徴をもっていない。そのような組織では、周囲の組織から容易に検出できるような差異が存在せず、従って在来のイメージには目標とする組織や病変の位置の指示がほとんど現れなかったり全く現れなかったりした。この例には、体内のある種の遺伝子や細胞表面の受容体の活性化に関連するような場合も含まれ、これはある種の癌の位置測定ないし検出のために重要である。例えば、前立腺癌は、CT、MRI、又は超音波では良く見えない。その結果、生検の時点で前立腺癌が存在するときでも、前立腺のすべての生検のうちの20%は間違っていて癌は陰性であるとされる。他の例には感染に関連する事例が含まれ、これは適切な抗生物質療法を選択する際に重要である。従って、在来のイメージングは、理論的にはイメージ誘導によって利益が得られるはずの多くのタイプの診断や治療の手順で失敗するという点で制約される。
【0004】
コントラスト因子は、生体内の固有のないし本来の信号が無かったり弱かったりするとき、医療の監視やイメージングのために従来から使用されてきた。コントラスト因子は、それを用いなければ十分に検出ができない組織現場に、強くて識別可能な信号を提供するのに役立つ。この観点から、コントラストを使用することは当業者に知られていて、CT、MRI、及び時には超音波などの在来のイメージングのアプローチの慣例の一部である。
【0005】
超音波のコントラストについての不都合は、コントラストが気泡などの物理的な作用因子からなる傾向にあって、これらは組織を目標とすることができず、また短命であるという制約があった。このために、そのような作用因子はリアルタイムでの位置測定や対象化には不十分であった。多くのタイプの現場特異性の結合成分が知られており、それらには抗体(例えば米国特許第5,851,527号)や、核受容体(例えば米国特許第5,840,507号)、及びコントラスト因子を目標に届けるために使用できるものが含まれる。目標を定めることができるコントラストは、MRI及び核医学のために生体外及び生体内で使用するものが報告されている(例えば米国特許第5,861,248号)。しかしながら、目標MRIや、核医学、及びCTコントラスト因子は、それらのコントラストが低いために制約される。例えば、目標を定めたMRIコントラスト因子は、MRIのバックグラウンドに対して、本来の信号をわずか20〜50%しか増加させない。これは小さい病変を検出する能力を減少させると共に、リアルタイムで目標を定めることをより困難にする。
【0006】
CT及びMRIでコントラスト因子を使用することの他の不都合は、ほとんどのCT及びMRIの装置がリアルタイムでは動作しないことである(リアルタイムのMRIは存在するものの、取扱いが難しくて高価である。)。しかしながら、患者は静的な対象物ではない。組織は動くし器官は変位するので、処置を行なうわずか数分前に得られたCT又はMRIのイメージでさえも、イメージ誘導の基準として必要とされる時にはもはや正確ではない。例えば、肝臓は呼吸と共に動くし、前立腺や胸は姿勢の変化で移動する。従って、患者に付けたマーカーに対して、CT又はMRIスキャン上での腫瘍の位置は変化する。同様に、多くのCT及びMRIのイメージ誘導装置では、介入の前に集めたイメージを使用していて、体とツールとの相互作用をまったく反映しない。従って、脳神経外科中に脳が動くとき、頭蓋骨を開く前には正確であったイメージは、いまや不正確で危険である。よって、リアルタイムのフィードバックがないとき、静的なイメージに頼っているイメージ誘導式の多くの外科手術技術が不正確であることがわかる。
【0007】
光学に基づいたコントラストを使用することは、リアルタイムで携帯式の誘導及び監視の可能性を大きくする。これに関連して、生体内で検出可能な光学特性を有するコントラスト因子が知られている。例えば、心臓の出力、肝臓機能、肺の血液流動、脳の血液流動、及び網膜の血液流動/透明構造は、光学色素を用いて生体内で又はエクスビボで測定される(例えば米国特許第5,494,031号、PatelらのPed Res誌の1998;43(1):34-39)。これらの例では、コントラスト因子は、血流から血液の流動や酵素的クリアランスなどの身体機能を測定するために使用される。薬剤や色素の濃度もまた、血流で測定される(例えば米国特許第4,805,623号)。しかしながら、上述のコントラストの方法又は装置のいずれも、不透明な組織を通してのコントラストの分布の検出ないし位置測定を教示しないし、組織のタイプの検出ないし位置測定を教示しない。さらに、これらの装置は医療処置を実行するのに使用する医療の装置や器具に結合されることがないし、侵襲性の医療器具を特定の組織現場の目標に定めることはできない。
【0008】
もっと最近では、リアルタイムでの光学的な位置測定や目標合わせの用途を有するような新しい光学色素が報告された(例えば米国特許第5,672,333号、米国特許第5,698,397号、WO97/36619号、WO98/48838号、HuberらのBioconjugate Chem誌の1998;9:242-249)。これらの色素は顕微鏡や生体外や生体内で役立ち、いくつかはMRIと光学イメージングとの双方のための多様な機能性を持っている。列挙した特許は体内で使用するための入手可能な光学因子のリストを増やすけれども、目標組織の検出や位置測定をするための医療の装置又は器具でそれらを使用する装置について立証も示唆もしていないし、侵襲性の医療の器具を特定の組織現場の目標に定めるための方法について示唆も教示もしていない。
【0009】
光学的な方法は、外部イメージングと医療装置への組込みとの双方について開発されている。イメージングのための又は生物組織の分光特性を測定するための装置には、米国特許第5,137,355号、米国特許第5,203,339号、米国特許第5,697,373号、米国特許第5,722,407号、米国特許第5,782,770号、米国特許第5,865,754号、WO98/10698号、HintzらのPhotochem Photobiol誌の1998;68(3):361-369、及びSvanbergらのActa Radiologica誌の1998;39:2-9が含まれる。これらの装置のひとつの不都合は、それらが代表的に大型で巨大なイメージング装置であって、いくつかはかなり高価なことである。他の不都合は、これらの装置の多くは医療のツールや器具に組込むように構成されていないことである。実際に、多くの教示は医療の装置や器具と結合することとは離れていて、非接触や非侵襲性のイメージング装置に頼っている。これらのいくつかは、内視鏡などの非穿孔式の装置や非接触の装置である。そのような装置は表面のイメージング装置であって、ただ組織の表面だけをイメージングするもので、不透明な組織を通過したイメージによって深部組織を検出したり目標に定めたりすることはできず、どのようにすればそのような内視鏡又は外部イメージ装置を医療又は外科のツールに容易に結合し組織を貫通して深部の組織現場に到達できるのか明白ではない。他の不都合は、これらの装置の多くがコントラストの使用から離れた教示をしていて、本来の分光器の信号に頼っていることである。インドシアニングリーンなどの光学コントラスト因子の同時使用を示唆しているこれらのアプローチについて、これらの装置を医療器具に結合させて外来性のコントラストを用いて、不透明な組織を通して隠れた特定の組織現場に分布させ又は目標を定めることは、教示も示唆もされていないし、コントラスト因子を使用して目標組織に侵襲性の装置の目標を定めて届けることも示唆又は教示されていない。実際に、これらの装置は侵襲性のツールの使用から離れて教示され、非侵襲性の又は内視鏡での使用での長所を特徴としていて、これらの装置はいずれも侵襲性の装置として使用するのには適していない。
【0010】
侵襲性の又は接触マークの医療器具であって、カテーテル、針、套管針など光学系を備えたものには、米国特許第5,280,788号、米国特許第5,303,026号、米国特許第5,349,954号、米国特許第5,413,108号、米国特許第5,596,992号、米国特許第5,601,087号、米国特許第5,647,368号、米国特許第5,800,350号、及び他の特許が含まれる。これらの装置のいくつかは内視鏡的であって、不透明な組織を通したイメージングはしない。他のものは侵襲性の医療の器具及び装置であるが、それらは外来性のコントラストを使用して目標組織を検出ないし位置決めしないし、外来性のコントラスト因子からの生体内のコントラスト信号を使用して、器具を特定の組織現場に目標を定めることもできない。これらの特許のいくつかは明らかにコントラストの使用から離れた教示をしている。
【0011】
コントラスト因子の使用に対する代替手段は放射レポーターを用いることである。これに関して、放射レポーターを使用することは当業者に知られている。例えば、核医学とPETのスキャンでは、粒子又は光子を自然に放射する因子が、放射因子の位置測定を確認するための信号を提供する。非光学的な放射体に基づいて目標を定める器具が作られた(例えば米国特許第5,857,463号)。放射体に基づいたほとんどの装置の不都合は、それらが信号の低さに苦しむことであって、それは(粒子崩壊などの)間欠的に弱い強度の信号しか発生しない放射性又は電離性の放射体を使用しているためであり、長い積分時間を強制して、これがリアルタイムのイメージングと正確な位置測定とを遅くしたり困難にしたりする。この低い信号は、動く医療器具を使用するときに、又は動くプローブを使用して組織を目標とするときに、特に困難を提示するが、これらのいずれでも信頼できる迅速に更新されるリアルタイムの分析のためには強い信号が必要とされる。
【0012】
放射レポーターの外部イメージングと光学的に同等なものは、ルシフェラーゼ蛋白質類などの自然に光を発生する光放射標識を使用することである。そのようなアプローチは本発明の意味ではコントラスト因子ではないのだが、それは光学コントラスト因子は入力放射を変更するものであって、放射光レポーターを用いて行なわれるように自然に光を発生するものではないからである。光放射レポーターの追加的な不都合は、すべての放射レポーターが共有する不都合以上に、それらがほとんど無光の環境を必要とすることであって、人体の生体内でリアルタイムに使用することを困難にする。なお、そのような光放出レポーターは、侵襲性の目標を定めた治療装置などの医療の装置に結合されることがなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述した装置、因子、又は方法のいずれも、光学コントラスト因子と医療のツール又は器具を組織の位置測定をし目標とするための一貫した装置として組合わせるやり方を示唆していないし、光学的なコントラストで案内された外科手術を実行するやり方を示唆していないし、光学コントラスト因子の追跡信号を使用して侵襲性の器具を組織に向けた目標に定めるやり方を示唆していないし、光学コントラスト因子の位置測定と分布とに基づいて医療ツールを使用して目標組織を確認するやり方を示唆していない。リアルタイムの光学装置及び方法であって、装置を目標組織の現場に案内し、又は検出し、位置測定をし、組織目標をイメージ化するもので、不透明な組織から医療ツールに通るコントラストに影響された信号を用いるものは、これまでに教示されていないし、そのようなツールは商業化に成功していない。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、内部に導入された外来性のコントラスト因子の存在下における組織の光学特性に頼ることで、生体内の組織について、迅速なイメージ化、位置測定、位置決め、及び目標定めをできるようにする。
【0015】
本発明の顕著な特徴は、外来性の光学コントラスト因子が、活性化した形態又は活性化前のプロドラッグとして、対象に施されるということであり、また、器具を使用して目標とされた介入が実行されている間のリアルタイムのフィードバックのために内部で使用される医療器具に光学要素を統合するということである。これに代えて、光学センサを外部で使用される医療器具に統合して、コントラスト因子又は特定の組織のタイプのうちの少なくともひとつの形態を分布又は位置測定を検出してもよい。
【0016】
従って、本発明のひとつの目的は、組織を検出、位置測定、イメージ化、及び目標定めするために外来性の光学コントラスト因子を対象に施して使用してから光学検出を行なう装置及び方法を提供することにある。
【0017】
第2の目的は、案内され、位置決めされ、又は目標定めされている医療器具の中に少なくとも一部分が埋め込まれてなる1又は複数の光学要素を使用して、かかる検出、位置測定、イメージ化、及び目標定めを行なうことである。これは、望ましいならば、医療器具の外観と感触を最小に変更するようなやり方で達成できる。
【0018】
第3の目的は、医療器具の分布の精度の決定を、対象に施した後の組織中の光学コントラスト因子の特性を測定することによって行ない、数値の精度値か、正しいか正しくないかの区別か、又は、他の精度の決定かをもたらし、そして、そのような分布の決定をプローブの位置の決定に使用することにある。
【0019】
第4の目的は、目標組織に対する侵襲性の医療器具の位置測定を行なうことである。この位置測定は、装置の目標組織への距離又は方向の決定の形態であるか、装置は1又は複数の空間に分布される。そのような情報は、医療器具を目標位置に案内する目的の誘導信号のために使用される。これに代えて、位置測定は装置が現在分布されている組織の区画を決定するという形態であって、例えば腫瘍、前立腺被膜、皮膚、筋肉、血管などである。
【0020】
他の目的は、リアルタイムの分布中に侵襲性の医療器具を監視することである。これは、在来のイメージ案内の外科手術などの他のアプローチと結合しつつ、小さな軌道修正を行なえる。これは、事前に収集したイメージをイメージ案内の外科手術に用いて、姿勢の変化など経時的に発生した又は侵襲性の器具を分布した結果として発生したような組織の変化を反映させないときに生じる誤りを減少させる。
【0021】
他の目的は、侵襲性の手順中に侵襲性の医療器具がフィードバックを提供することである。例えば、ツールを用いて内部から腫瘍を取除き、コントラストが残らなくなるまで処置を継続すれば、腫瘍が有効に取除かれて外科的な限界がクリーンになったことを示す。同様に、連動を提供して、特定の領域のコントラストがクリーンになるまでツールで除去して、その後で他の領域を除去すれば、腫瘍の現場から腫瘍だけが取除かれる。最後に、フィードバックを使用して、細胞破壊のあらゆる処理をコントロールし、切除処理などで、目標組織からのコントラストのフィードバックを使用する。
【0022】
他の目的は、あらゆる医療のプローブ又は器具を変更してこの誘導ないし目標定めの機能を実行させ、既存の医療機器を使用して測定を行なうようにして、放射要素若しくは検出器要素又はこれら双方を保持するように変更することである。そのような変更された器具には、変更された針、プローブ、鋏、カテーテル、メス、套管針、外科のツールの先端部、又は他の装置を含む。コントラストを使用して案内し、分布し、目標を定める能力は、新しい又は予期されない医療のプローブ又は装置にデザインされる。この可能は、取替え可能な装置の先端部に組入れられる。
【0023】
他の目的は、位置測定の能力を高めるために同時的な又は先験的な知識によることであり、それには例えば目標組織の既知の光学スペクトル特性や、分布中に遭遇すると期待される組織(装置やプローブに参照のために格納記憶する)、医師が扱っている体の領域(分析に考慮する必要の無い遠くの組織など)、または、他の医療スキャンからの情報(CT又はMRIスキャンなど)がある。このコントラストのアプローチは他のリアルタイムのアプローチと組合わせられ、例えば超音波プローブと光学器具とを組合わせて、標準的な超音波のイメージに光学コントラストのイメージを重ね合せる。そのような組合わせは、構造的(超音波)なイメージと生化学(光学)のイメージとを同時に提供する。
【0024】
他の目的は、経時的な収集によってこのデータを高めることである。多くの医療の用途では、一時的な特性を決定することで測定値は高められる。例えば、経時的なコントラストの蓄積の速度、又は介入による変化はひとつの組織を他の組織から区別する助けになる。ある時刻でのデータから第2の時刻でのデータを減算することで改善されたデータがもたらされる。
【0025】
他の目的は、この誘導、位置測定、又は位置精度が人間の応答が開始される決定ポイントを表すことであり、例えば視覚的誘導表示装置やアラームベルで正しい分布を示したり、または、医療装置に取付けられた出力信号などによって連動の決定を開始する。
【0026】
最後の目的は、検出し、位置測定し、又はイメージ化した情報を数多くのやり方でユーザに提示することであり、それには例えば、視覚的な左/右の誘導信号や、解釈が容易な処理のされた視覚的イメージ、分布を記述する言葉の表示、音色のピッチや速度や強さを変化して分布の正確さの増加を示すような変化するアラーム、または、他のやり方のプレゼンテーションであって、ユーザにプローブの分布や分布の精度の理解を増加させるものがある。
【0027】
開示される装置及び方法はいくつかの利点を有する。光学コントラストのひとつの利点は、光学コントラスト因子が数多くのやり方でそれ自体のコントラストを達成することである。照明光の相互作用には、吸光度、偏光、旋光度、散乱、蛍光、ラマン効果、燐光、又は蛍光崩壊を含み、そしてコントラスト効果の測定値はこれらの効果の1又は複数を合理的に含む。例示としての光学コントラスト因子には、イソスルファンブルー又は他の吸収コントラスト因子、インドシアニングリーン、ポルフィリン、又は他の発蛍光剤、メチルレッド(pH感応色素)又は他の生物学的応答色素、着色又は蛍光性の蛋白質及び他の遺伝子産物、量子ドット及び他の分光器的に識別される物理構成物、コントラスト充填ミセルが含まれる。コントラストを検出する方法には、拡散光の測定、ゲート時間分解又は周波数分解法、ハイパースペクトル検出及びイメージングなどがある。
【0028】
他の利点は、光学コントラスト因子を数多くのやり方で施すことができることである。コントラスト因子は、注射し、摂取させ、又は遺伝子メカニズムや封入された生物学的工場を使用して対象の内部で合成することさえできる。遺伝子の例では、コントラストを遺伝子として届けて、対象の内部で合成される遺伝子産物が照明された明視野と相互作用する蛋白質ないし産物であるようにする。さらに、生きている哺乳類の細胞にウイルス性の粒子の内容を届ける方法が知られており、コントラスト因子又はコントラスト因子をエンコードするための遺伝子は、組織をコントラスト因子で“感染”させるウイルスによって対象に届けても良い。このウイルスで届けられるコントラスト因子は活性化を必要とするプロドラッグであって、ある種の蛋白やリボ核酸配列を含んだ細胞内に分布されたときに活性化される。細胞内でコントラストを生成できることは、ある種の内部遺伝形質を発現させるが、それは例えば、前立腺特異性抗原(PSA)や、前立腺の癌細胞で過発現する前立腺特異性細胞膜抗原(PSMA)などであり、たとえ確認する細胞表面受容体が目標組織に存在しなくてもよい。ルシフェラーゼ放射レポーター系で用いられる蛋白質さえ、照明されたときにはコントラスト因子として反応して光を放射する。第2の例として、コントラストを侵襲性の器具の先端部からスプレーして又は届けて、器具の先端部の近くの組織に浸すか注入するのに使用できる。このコントラストからの信号は、次に局所的に監視されて、組織の限界を定めたり、腫瘍などある種の組織のタイプの存在を検出したりする。そのようなアプローチは特に強力な方法としてツールを案内して組織を取除き、コントラスト因子の局所的な注入がもはや組織の光学信号を生み出さないときに組織は除去されたとみなされる。
【0029】
光学コントラストの他の利点は、コントラスト因子自体が極めて小さくて、ほとんどどんな組織や細胞領域を含むような、特定の組織現場へ届けて目標にできることである。コントラスト因子は、化学的又は物理的な手段によってその位置測定を達成するが、そのような目標を定める方法は当業者によく知られている。例えば、コントラストは、溶解度や、拡散性、輸送蛋白質親和性に基づいて分布され、また、コントラストはイオン的に又は共有結合的に局所的な成分に結合するが、それには例えば抗体や、抗体フラグメント、受容体、又は転座結合現場や物質がある。これに代えて、コントラスト因子を結合させ又は包んで、微少気泡やリボゾーム構造などにして、周囲の構造が表面構造を用いて目標に定められるようにする。目標として定めることができる現場は、前立腺癌や、乳癌、及び他の病変現場について知られている。胸については、目標にできる結合の現場は2つのグループになる。第1に、正常な組織と比較して、癌の中で発現又は過発現した抗原及び受容体がある。このクラスの例示的な現場には、CEA、MUC1及び他の粘液、乳房グロブリン、HER−2/neu、EGF−R、ER、PR、その他がある。これらのいくつかは内部受容体であって、因子を細胞内部に届ける。このグループの現場を目標に定めることは、1又は複数のサブクラスの癌に特異性を有するコントラスト因子を生み出す。ラベリングのための第2のグループの潜在的な目標は、クラスのすべての細胞(胸の上皮細胞など)上に存在している抗原である。正常な組織上に存在している受容体を使用することで、原発性の現場の外側でその組織を検出できる(原発性の現場は同様に強くラベリングされて、患者の組織中の癌の検出を妨害する。)。前立腺では、例示的な目標現場はPSMAである。結腸直腸の癌では、例示的な目標現場は放射性ラベリングのされた抗−CEAの抗体フラグメントである。さらに、内部の目標にできる結合配列が体内のある種の癌について、また他の病巣について存在することが知られている。
【0030】
コントラスト因子を使用する他の利点は、MRIやCTのコントラスト因子と比較して、また、PETや核医学の放射体と比較して、信号が非常に明るいことである。目標を定められた蛍光コントラスト因子からの局所的な蛍光コントラストは、類似した目標を定められた放射性放射体で得られるコントラスト信号よりも100万倍大きい。このため比較的わずかな投与量のコントラスト因子を使用しても、より大きい信号が生み出される。
【0031】
光学コントラストの他の利点は、複数のコントラスト因子であって、それぞれ生体内にて区別可能な光特性を有するものを加えて、異なる親和性と受容体との複数のラベリングを同時に行なう力を提供することである。目標の癌は、2以上の受容体部位を発現する細胞であり、2つ、3つ、又は多数のコントラスト因子のラベリングを可能にするために、独特の区別できる光学特性を有する光学コントラスト因子を使用する。
【0032】
光学コントラスト因子の他の利点は、コントラスト因子が活性化前の形態で施されて、その後に生物作用の段階で活性化してコントラストが生み出され、ここでのコントラスト因子はその本来の信号を発生したり減少させたりする前に、生物学的な相互作用を介して活性化されることが必要なことである。そのような相互作用には、酵素処理、構造変化、受容体結合、遺伝子発現などを含む。例えば、構造変化はpHの変化によって生じ、また、蛍光消光基を所定の位置に入れたり外したりする結合事象によって生じて、結合に対応して信号を減少又は増加させる。同様に、酵素処理は不可逆的な分割であって、コントラスト因子から蛍光消光成分を取除いて、強い信号を発生させる。最後に、生物的活性化の段階は、生物学的事象に対応してコントラストを止めるために使用される。
【0033】
光学コントラストの他の利点は、コントラスト因子がMRIやCTその他の別のイメージング様式のためにもコントラスト機能を有することである。これは、一度に複数の様式で監視することを許容する。
【0034】
不透明な放射を散乱する媒体中において光学コントラスト因子の位置又は分布の測定を決定するための装置が提供され、外部で又は侵襲的に使用される医療器具をコントラスト因子の使用と結合する。ひとつの例では、この装置は光と侵襲性の医療器具を通して組織に光学的に結合された光検出器を有し、組織を通過してきて生体内のコントラスト因子と相互作用した光の部分を検出する。コントラストの位置決めは、検出器から信号を受けて、コントラストの位置測定の信号を提供し、これを使用して医療器具を体内の特定の現場に目標定めして、該器具の分布の正確さを決定し、または、装置位置及び分布の精度に関するフィードバック信号をユーザに提供する。プローブを組織中にて目標を定める方法も開示される。
【0035】
本発明の用途の広さと利点とについては、例によって、及び構成された装置の動作の詳細な説明によって、良く理解され、これは現在モデル装置や動物及び人間で運用され試験されている。本発明のこれらの及び他の利点は、添付図面と実施例と詳細な説明とから明らかになる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
(定義)
本発明の目的のために、以下の定義が提供される。
光学コントラスト因子: 相互作用して光学照明放射を変更する成分である。理想的には、コントラスト因子は目標組織現場に他の組織とは異なった特異なコントラストを提供する。この特異なコントラストを達成するために、因子は生体活性化又は生体不活性化を必要とする。
光学放射レポーター: 外部エネルギー源がなくても自然に光を放射する因子であって、例えば適当な基質と結合したときのルシフェラーゼなどの生体蛍光蛋白質である。光学放射レポーターでないものの例は、核医学の放射性の放射体である。
目標組織: 診断又は処置のための組織の現場である。前立腺に関しては、目標組織は前立腺癌である。
組織で案内された介入: 組織で案内された介入の語は、イメージで案内された外科手術と対比的に使用される。イメージで案内された外科手術では、医療器具の位置は空間中で決定されて、CTスキャンやMRIスキャンなどの標準的な医学イメージに対して表示される。こうして、外科医はCT又はMRIのイメージを道路地図として用いて手術を案内し、イメージ上に表示された医療器具を見る。これとは対照的に、組織で案内された介入中には、プローブの先端部の組織が監視され、医療器具の先端部に接触している又は近接している組織の分析によって外科医を案内する。本発明では、コントラスト因子の存在によって組織誘導信号が提供される。組織誘導とイメージ誘導とを同時に同じ患者に提供できる。
目標定め: 目標定めは、目標現場又は目標組織が存在していて、これらに対して針や、プローブ、又は他の医療器具が分布されていることを示す。例えば、乳癌においては歩哨節が目標に定められて、病理学的な試験のために節を収集する。この手順の測定には、分布の精度を反映する信号を発生することを含む(“例えば、この針はすでに歩哨節にあるのか?”)。
【0037】
位置測定: 位置測定は、器具が現在どこにあるのかの測定を入手する意味に使用される。これには、検出された信号に含まれる生の情報を器具の位置の測定値に処理することを含意しており、その範囲は単純な数値距離(“私の針から目標組織はどのくらい遠いか?”)から非常に複雑なもの(例えば“私はどの組織の中に又は近くに居るのか?”)にまでわたる。
誘導: 誘導は、プローブが所望の目標に達するまでに動かなければならない方向や深さ、又は距離の指示である信号が発生するという意味に使用される。例えば、前立腺癌の生検針は、左、右、より深く、真っ直ぐ前方、又は引き戻るなどを指示する信号が発生することで案内される。そのような信号は誘導信号である。
分布の精度: 分布の精度は、目標位置と比較した、装置の分布についての測定を反映する。医療の装置又は器具: 医療手順の実行中に使用されるツールである。侵襲性の器具を体内に分布するには、例えば体皮を穿孔して下側にある組織に貫通する。侵襲性の器具の例は生検針であって、腹壁を貫通して生検のために膵臓の一部分を収集する。
光: 紫外線から赤外線までの電磁放射であって、すなわち10nmから100μmまでの波長のものをいうが、特に200nmから2μmまでのものである。
不透明な組織: 組織は、生体の組織か又は組織に類似した放射散乱媒体かであって、体皮や、脳、骨、さらには濁った水などである。不透明な組織は、それを通った光が散乱すると共に吸収される組織である。不透明な組織は透明や半透明ではないが、体から取除いて非常に薄くスライスして見た場合は除外される。
【0038】
体: 生きている動物の体であって、他の哺乳類を含むが、特に人間の体である。
光放射体又は光源: 光源である。光源は、簡単な電球や、レーザ、フラッシュランプ、又は他の光源や光源の組合わせで構成することができ、また、光源と、光ファイバーなどの伝送要素と、反射プリズムなどの誘導要素と、放射体から診断中の皮膚や組織への光学的な結合を高めるための他の要素と、を含むような複雑な形態でもよい。光源は、連続的か、パルス的か、または、時間的に、周波数的に、又は空間的に分解分析される。放射体は、光を放射する単一の又は複数の要素から構成される。
光検出器又は光収集器: 収集した光に対応した信号を発生する光の収集器である。上述の如く、これは単一でも複数でもよいし、簡単でも複雑でもよい。検出は、反射率又は透過率で実行される。収集された光は影響を受けた光であって、その影響とは透過や、吸収、散乱、蛍光、燐光、又は他の照明放射とコントラスト成分との光学的な相互作用である。検出には、時間的な、周波数的な、空間的な分解測定を含む。
光学要素: 光源又は光収集器、また、それらに使用されるハードウェアの一部である。
光学的結合: 放射体からの(又は検出器にて)光が組織に伝達される(又は組織から検出される)ための光放射体(又は光検出器)の配列であり、光は組織を通り抜けた後のコントラスト因子と相互作用した後の光である。これには光学要素の使用が含まれ、例えばレンズ、コリメータ、コンセントレーター、コレクタ、光ファイバ、プリズム、フィルタ、鏡、反射面などを含む。光ファイバは2つの端部を有し、これらは一般に交換可能であるが、ここではファイバーに一般に光が侵入する側を入口端部と称し、ファイバーから光が出る側を出口端部と称する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は、医療器具を目標を定めたコントラスト因子の使用に結び付ける本発明による装置を示す模式図である。
【図2】図2は、光が基準プラスチックを通って散乱し、測定される媒体を通して光が拡散することを示している図である。
【図3A】図3Aは、図1の装置で使用される医療器具の例を示す図である。
【図3B】図3Bは、図1の装置で使用される医療器具の例を示す図である。
【図3C】図3Cは、図1の装置で使用される医療器具の例を示す図である。
【図3D】図3Dは、図1の装置で使用される医療器具の例を示す図である。
【図3E】図3Eは、図1の装置で使用される医療器具の例を示す図である。
【図3F】図3Fは、図1の装置で使用される医療器具の例を示す図である。
【図4】図4は、本発明に従って構成された器具を使用して、コントラストを含む人間の前立腺に針を挿入して収集した4つの光学スペクトルを示している。
【図5】図5は、人間の前立腺から収集したデータを分析して作成されたグラフである。
【図6】図6は、しきい値を用いてコントラストの存在又は不存在を処理した光学スペクトルを示しており、前立腺の内部のコントラストの位置を明瞭に示している。
【図7】図7は、FDAに承認されたコントラストイソスルファンブルーを用いた場合と用いない場合との、2つの第1の異なる光学スペクトルであって、生きている人間の組織から収集したものを示している。
【図8】図8は、生体組織中のコントラストの量が増加したときのコントラスト信号の線形応答を示すグラフである。
【図9A】図9Aは、イソスルファンブルーコントラストがある領域を含む人間の組織における生体内での分布の位置測定を二次元に示している。
【図9B】図9Bは、イソスルファンブルーコントラストがある領域を含む人間の組織における生体内での分布の位置測定を二次元に示している。
【図10】図10は、2つのコントラストの研究であって、2つのコントラストが組織のモデル中で追跡されている。
【0040】
(実施形態の説明)
次に、装置及び方法のひとつの実施形態を説明する。装置は生体内及び生体外で試験がなされており、装置のひとつの実施形態の冒頭の説明に続いて、3つの実施例を含んでいる。
図1に示す装置において、光は光源102(Miniature Halogen L6412, Gilway Technical Lamp, Woburn, MA)から放射されて、光ファイバ114(200μmのコアガラスファイバでクラッディングとバッファとを有する。Spectran Specialty Optics Company, Avon, CT)を通り抜けて、放射ポート125へ至る。ポート125にはプラグ127が取付けられており、このプラグが光を照明ファイバ129(上述の200μmのコアのもの)へ導いて、器具130に結合する。この例では、源102は広帯域の白色光の放射体である。これに代えて、源102をモノクロにしても良く、表面実装LEDとしたり、放射体/フィルタの組合わせとしたり、また、ファイバ光学系を介して結合するのではなくて、プローブに直接分布して電気的にスイッチすることもできる。照明ファイバ129は、131Aから131Nまでの複数のファイバ要素から構成され、複数の照明現場を照明できるが、たぶん異なる現場が異なる時に又は異なる波長で照明される。オプションとしての基準ファイバ132は、組織ないしサンプルを迂回して、源102の光学的特性を監視するために使用される。
【0041】
照明ファイバ129は、器具130に結合して、針133Aを通り抜けるが、この針の先端部は組織135の内部に分布されている。ファイバ129からの光は、針の出口ポート137Aを通り抜け、組織135へ入り、この光の一部がコントラストで着色された組織141に潜在的に遭遇する。組織135を通過した光は、針の収集ポート147Aに戻るところで収集されて、収集ファイバ149は針133Bからプラグ127へ通る。そして、プラグ127は検出ポート165に結合する。これに代えて、複数の放射ファイバを用いるならば、137Aから137NまでのN個の放射ポートが存在する。同様に、複数の検出ファイバを用いるならば、147Aから147MまでのM個の検出ポートが存在し、複数のファイバ要素151Aから151Mまでを介して収集ファイバ149に結合する。また、針又はプローブは複数あってもよく、例えば光学鉗子のようにして、放射ファイバと収集ファイバとが異なった針又はプローブに分布される(図示せず)。なお、針133Aと針133Bとは別々の針でもよい。しかしながら、本実施形態では、それらは同じ針133A/133Bの一部分であると仮定して、単一のユニットとして取扱われる。
【0042】
収集ファイバ149からの光、又は基準ループファイバ132からの光が、検出ポート165で監視するために選択されて、出力ファイバ167を介して光学分析装置174(Ocean Optics Spectrophotometer, Model SD2000, Dunedin, FL、又は同等品)へと送られて、これが光を記録すると共に、ケーブル183を介して多チャンネルメモリー(A/D-converter board Model PCM-DAS 16/330-1, Computer Boards Inc., Mansfield, MA)181に電気信号を伝達して格納させる。複数のスペクトルがメモリー181に格納されて、器具の応答のスペクトルの修正のための標準化スペクトルを収集することができると共に、組織の複数の領域をサンプリングして後で比較することができる。メモリー181に格納されたスペクトルはその後、コントラスト位置測定エンジン184によって針の位置を決定するために使用される。
【0043】
次に、コントラストエンジン184について説明する。コントラストエンジン184はコントラスト因子141の光の特徴の識別を実行するために構成されたコンピュータである。本実施形態では、コンピュータ187がケーブル182を介してスペクトラムアナライザー174を運転させると共に、ケーブル186を介してコントラストエンジン184を運転させるが、この機能はラップトップコンピュータ(AMS Laptop Pentium(TM) 120 MHz computer, Model AMS SY19-T40177 Travel Pro 1900、入手先は、Ocean Optics, Dunedin, FL)によって適当に実行される。コントラストエンジン184は、選択されたセットの波長について、ケーブル185で伝達された後に、結果的なスペクトルへのコントラスト因子の有効な寄与を確認するために、基準スペクトルの一次微分の単一の値の分解を行なう。任意的には、エンジン184は、針の近くの組織成分からの分光器信号の特性を使用して、これらの組織のタイプを確認するが、このための方法は当業者に知られている。このコントラスト分析の結果はケーブル189を介してコンピュータ187に渡されて、このコンピュータは確認された組織のタイプと同様にコントラスト因子の寄与の決定を収集及び処理する。コンピュータ187による決定したコントラスト因子の位置測定と分布の処理や、器具130のあらゆる目標定めは、グラフやイメージの計算処理、又は距離などの数値の計算から構成される。この計算の結果は、検出された信号に基づいたコントラスト因子141の分布及び位置測定の測定値であって、出力195である。さらに、放射ポート125と検出ポート165とはそれぞれケーブル205と207とを介してコンピュータ187の制御下にあって、データ収集の制御と、複数ファイバケーブルのファイバ要素間での切替え、例えば131Aから131Nまで又は151Aから151Mまでの切替えとを行なう。コンピュータ187は位置測定184に使用するのとは異なったコンピュータでも良いし、双方の機能のために使用する同一のコンピュータでも良い。オプションとしての基準ファイバー132により光源102の較正をすることができ、そのような較正情報はメモリー181に格納されることに留意したい。
【0044】
次に、出力195についてより詳しく説明する。出力は前処理された信号であって、コントラスト因子141の分布及び位置測定に関する情報や、目標組織に対するプローブの位置の情報をユーザが得られるようにするが、それは絶対項(例えば、正確に分布されているか否か)又は相対項(生検すべき組織からの距離及び角度)のいずれかによる。
【0045】
これに代えて又はこれに加えて、リファレンスデータベースをメモリー181内の内部データベースとして格納して、または、プログラマブルなプローブメモリー211内に収容してプローブケーブル213を介して位置測定184に伝達し、プローブの位置測定や分布の決定及び/又は精度のために使用する。リファレンスデータベースは、位置の決定を行なうために必要な様々な情報を含み、コントラスト141を他の信号から区別するのに使用される鍵となる特徴や、オプションとして、予め識別された組織からの区別の特徴の特性のライブラリを含む。このデータベースの情報はその後で位置測定184によって使用されて、標準的な方法(最小二乗法、部分成分回帰、ニューラルネットワーク等)を使用して目標定めの決定を行なう。
【0046】
最後に、二重又は三重のラベリングの研究などで、複数のコントラスト因子を使用することができる。そのような事例では、目標の組織はひとつ以上の目標とされた特徴を表す組織である。コントラストエンジン184は、与えられた時間でひとつ以上の使用中のコントラスト因子を検出できるように構成される。
【0047】
次に、装置の動作について説明する。最初に、器具の応答の基線を作るために、器具の応答を決定する。最初の使用に際して、図2に示すような散乱プラスチック基準体203の孔201内に器具130の針133A/133Bの先端部を分布する。基準体203は光を散乱するが、あまり吸収はしない。再び図1を参照すると、源102からの光はファイバ129を照明し、一方、検出ポート165は収集ファイバ149からの光を収集する。2つの針のポートの間で収集され、特定の放射−検出ファイバの対を使用して不透明の散乱サンプルを通った、そのようなスペクトルをサンプル照明スペクトルと称する。検出ポート165は基準ファイバ132からの光を収集する。光源から組織に介入しないで収集されたそのようなスペクトルを光源照明スペクトルと称する。最後に、放射ポート125を切換えて、有効的には光源をオフにして、源からの光を伝達しないようにして、対をなすファイバ129及び149からの測定と、ファイバ132を横断する測定とを繰返す。これらの照明されていないスペクトルは、照明光が存在しない時のバックグラウンドの検出器の信号を表していて、それぞれサンプル及び光源のバックグラウンドスペクトルと称される。
【0048】
基準体203は、既知の光学特性のプラスチックか、または、樹脂、シラスチック、又は他の重合体であって既知の吸収剤と散乱剤を加えたものである。これに代えて、基準体203は液体でも良くて、較正手順中には針133A/133Bを較正流体の無菌バイアル瓶中に分布するようにする。
【0049】
周知の方法を使用して、サンプル及び源のバックグラウンドスペクトルを、それぞれサンプル及び源の照明スペクトルから減算して、バックグラウンドの光の計数を取除き、バックグラウンドの修正されたスペクトルを生成する。次に、バックグラウンドの修正された源スペクトルのそれぞれの輝度点を、バックグラウンドの修正されたサンプルスペクトルの対応する輝度点で割って、一連の生のサンプルスペクトルを生成する。この事例のように、サンプルが基準体203であったり、光を著しく吸収することの無い散乱流体の白色に見える材料では、生のサンプルスペクトルは器具の応答を表していて、現実の吸収特徴が全く存在しない下での、プローブのそれぞれの放射−検出器の対から見えるスペクトルに一致する。これに代えて、内部脂質などの散乱流体を使用しても良い。これらの器具応答スペクトルはメモリー181に保存される。この実験ですべての今後のスペクトルは自動的に対応する器具の応答スペクトルで割られるようになって、器具の応答について修正された最終的なサンプルスペクトルのセットを生成する。光源が安定しているならば、基準スペクトルは収集する必要がなくて、これらの計算に際して基準スペクトルに代ってアレイのひとつのユニットを使用できる。CCDか複数の検出ファイバを使用するならば、複数の検出要素151A〜151Mが存在することになる。同様に、複数の放射要素131A〜131Nが使用される。この場合には、放射ファイバ131Aからのすべての基準測定が完了した後で、この処理を繰返して、それぞれの対をなす選択された放射要素131A〜131Nと検出要素151A〜151Mについて行なう。
【0050】
また、速度の必要な増加をもたらすのであれば、サンプル及び源のバックグラウンドスペクトルなどの様々な基準スペクトルをメモリーから読み出すことができる。
【0051】
上述のように実行された器具の応答の較正をテストするために、基準体203をここで上記列挙したのと同じ段階を用いて再測定して、生のサンプルスペクトルの第2のセットを生成する。次に、これらの第2の生のサンプルスペクトルのそれぞれの輝度点を、保存した器具応答スペクトルにおける対応する輝度点で割って、最終的なサンプルスペクトルのセットを生成する。この場合、生のサンプルスペクトルのセットと器具の応答スペクトルのセットとは同じであるべきで、従って、一方を他方で割った値は測定されたすべてのチャンネルのひとつの又はおよそひとつの輝度を生じるべきである。従って、それぞれの最終的なスペクトルは平坦であるべきであって、その吸光度Aの定義、A=log10=(器具応答輝度)/(サンプル残余輝度)がゼロに等しいかほとんどゼロにすべての箇所でなっている。差スペクトル法や正規化などを含む、他のタイプのスペクトル分析と他の修正が本発明の精神に含まれる。
【0052】
いったん装置を器具の応答について補正したならば、サンプル組織の測定ができる。本実施形態では、貫通針133A/133Bを使用して、医療装置を目標組織の目標に定める。他の実施形態では、放射ファイバ129と検出ファイバ149とをプローブに埋め込んで、これを皮膚の表面に沿ってスキャンさせ、又は外科の傷内に分布する。皮膚の上で使用する事例では、貫通することなしに目標組織のイメージが得られる。
【0053】
この例は、吸収性のコントラスト因子の使用を示している。しかしながら、他の特徴はコントラストでラベルされた組織141の位置を導くために使用することができる。例えば、放射体137Aはひとつの波長を放射して、一方、分析器174を蛍光光に感応するように構成する。そのような検出のための技術は知られていて、時間分解、周波数領域、蛍光寿命、及び他の測定が含まれる。そのような測定が不透明ないし散乱性の組織を通した使用と結合され、しかも医療器具の使用と結合されるならば、そのような代替的な測定は本発明の精神の範囲内である。
【0054】
サンプルをテストするために、貫通針133A/133Bを上述の如く組織135中に分布して、一対のファイバ、本実施形態ではファイバ129及び149をスキャンしたが、他の用途では他のスキャン装置が望ましいこともある。スキャンした各ファイバの対について、基準ファイバ132を通して源のスペクトルを収集して源の強度とスペクトルとの変化を修正して、その後、それぞれのサンプルのスペクトルを上述の如く器具の応答について補正して、一連の最終的な組織のスペクトルを発生した。ひとつ以上のスキャンを収集したり、複数の対についてスキャンしたならば、結果はスペクトル又は組織の異なる深さ又は位置におけるスペクトルのセットであって、これらはメモリー181に格納される。
【0055】
次に、それぞれの収集したスペクトルをコントラストエンジン184に渡して分析をして、コントラスト因子141の分布と位置測定との測定を得る。この分析の結果はコンピュータ187に渡されて、結果として出力195を生成する。この結果は、診断の分類(実施例1に示すような特定の組織タイプの存在又は不存在など)であるか、一覧表(実施例3に示すようなひとつ以上のラベルタイプの濃度など)であるか、グラフ(実施例1に示すような時間又は距離による組織タイプの存在又は不存在など)であるか、数値(実施例2に示すような目標組織までの距離やコントラスト信号の強さなど)であるか、または、イメージ(実施例に示すような歩哨節の位置など)である。
【0056】
以下に、コントラスト位置測定エンジンについて説明する。この好ましい実施形態では、位置測定184でコントラスト因子の位置測定と分布とを決定するのはコンピュータであって、分析ルーチンを備えて構成され、コントラスト因子141の位置測定と分布との測定を提供するように構成されている。しかしながら、位置測定184の組織分類装置は計算機又は他の装置であって、組織又はコントラストの位置の出力を提供するように構成されている。上述の如く、コンピュータ187は位置測定184に使用されるのとは異なるコンピュータでも良いし、療法の機能に使用される同じコンピュータでも良い。
【0057】
コントラスト位置測定で使用される分析方法はスペクトルの特徴を伴ない、それには例えばピーク波長や、スペクトル領域の傾斜、または第1、第2、又はより高いオーダーのスペクトルの差が含まれる。そのようなスペクトル分析は公知であり、バックグラウンド信号や散乱効果を除去したり、低い濃度のコントラストの濃度を強調したりする方法が存在する。分析方法には主たる成分を含むと共に、部分最小二乗法(例えばPirouette, Infometrix, Seattle, WA)、最小二乗多変量適合(SigmaPlot, Jandel Scientific, San Rafael, CA)、ニューラルネットワーク(例えばBrainMaker, California Scientific Software, Nevada City, CA)、その他を含むが、これらはすべて当業者によく知られている。例えば、そのような位置測定の方法のひとつはニューラルネットワークを使用することである。この方法では、既知の組織からの生体内の一連のコントラストスペクトルを使用してネットワークが“訓練され”、次に、ネットワークに未知のスペクトルを与えて、ネットワークに“問い合せ”をして、プローブの位置や、コントラストの位置、又は組織中での目標定めの精度と矛盾しない信号をネットワークが生み出すように求める。そのような数学的分析の方法は知られていて、当業者は本発明の範囲内において、多くの異なる位置測定と目標定めの方法を開発することができる。平均光子飛行距離などの光学経路効果を、時間分解又は周波数分解法を教示して、測定することもできる。コントラストの位置測定を改善するには、決定に至るために、簡単な比率よりもむしろ、参照基準のセット(スペクトル又はスペクトルの一次差などのスペクトルの特徴、及び分類の決定をするしきい値)との計算比較を使用する。そのような基準値を時間につれて更新して、スペクトルの意味をより良く理解するようにし、さらにはセンサ自体に組込んで、各センサが一定の組織のセットや一定の診断手順について較正されるようにする。同様に、識別を改善するには、当業者によく知られているように、バックグラウンドの補正や器具応答関数の補正による。スペクトル分析のための公知のアプローチは本発明の範囲内に含まれ、それらがたとえいつコントラスト因子の位置と分布との測定を決定するのに使用されるにしても、また、人間の組織などの散乱媒体中において目標組織に対する医療器具の位置を決定するのに使用されるときには特に本発明に含まれる。また、そのような目標定めと位置測定の方法には、化学、物理、又は受容体ベースの組織分析であって、光学データをヘモグロビンや水、脂肪などの濃度に分解できるものを含む。そのような識別は、癌、神経、動脈、静脈、リンパ節、及び筋肉などの体内の組織を確認するのに使用される。
【0058】
プローブの形態とプローブの構造は重要である。例えば、測定を補助するためには、ファイバを組織に対して安定させることが不可欠である。いくつかの例を図3A乃至図3Fに示している。ファイバ131A〜131Nと151A〜151Mとをそれぞれ含む放射束129と検出束149とを所定の位置に保持するために、医療プローブ303の本体に組込んだり(図3A)、ナイフ307などの外科ツールに組込んだり(図3B)、掴み具314又は鋏に組込んだり(図3C)、または、他の構造に組込んで、測定する組織と光学的に望ましく接触するようにファイバを保持する。プローブ303は表面プローブとして外部で役に立つ。例えば、リンパ節の切除の前に、コントラスト位置測定のスキャンは最初の切開を行なうべき場所を確認する助けとなって、傷を小さくし罹患率を低くする。
【0059】
また光学プローブは所定の道に沿って組織に作用するようにデザインされており、例えば生検プローブ325(図3D)は、生検やニブラ341(図3E)のための正しい位置に到達するまで組織を監視する。生検プローブ325は、前向きの細い光学アンテナ331を有していて、生検器具の前方で光学的に組織を調べるのに使用される。収集すべき組織であると決定されると、生検標本が採取される。生検の収集のための器具は知られている。この例では、ぎざぎざの付いた套管針333を進めて、光学アンテナ331で確認された組織が窪み334の上に載る。その後で、切断シース336を進めて、窪み334に盛上がっている組織を切断して捕える。次に、生検ツールを組織から取除くが、サンプル組織は窪み334に捕えられたままである。アンテナ331は、組織を安定させると共に套管針334を正しい現場に案内するのを物理的に助ける。これは、窪み334に収集された組織が、アンテナ331で光学的にサンプルされたのと同一の領域からのものであることを確実にするのを助ける。同様に、ニブルプローブ341(図3E)は組織細断具355を使用して組織を除去し、細断具355を取囲むように洗浄及び吸引チャンネル356を備える。もしも組織がコントラストを含むことが確認されたならば、組織を小さく細断された断片にして取除く。このようにして、切除の限界の病巣をきれいに除きつつ、正常な組織を安全なだけ残す。これにより、光学コントラストの誘導に基づいた最小の侵襲性の外科手術手順をすることができる。例えば、胸用のプローブを使用して、小さな孔を通して胸の腫瘍を少しずつ取出して、侵襲性の処置を最小の侵襲性の乳腺腫瘍摘出術とすることができる。これに代えて、細断具355を他の組織除去機構、例えば切除ファイバや、組織ホモジナイザ、又は他のアプローチと取替えても良い。また表面スキャンは、外的に使用されるバンドやディスク、又はパッチなどを含み、例えばバンド352のように頭部362に取付けられる(図3F)。
【0060】
上述したように、プローブは非侵襲性でも侵襲性でもよい。まず、プローブを、組織の表面を貫通させるよりむしろ、組織の表面からのイメージに組立てる。例えば、放射ファイバ131A〜131Nと検出ファイバ151A〜151Mを表面プローブ303に織込むか、または、頭部バンド352に組入れて頭部362などの組織のまわりに巻付ける(図2F)。そのような表面プローブから、既知のイメージングアルゴリズムを使用して、イメージを再構築する。次に、本発明の方法を使用してイメージをさらに処理してコントラスト因子141の位置測定をする。これに代えて、プローブを自動化して、組織に押込むときに異なった深さにて侵襲的にサンプリングをさせる。この簡略化されたプローブはひとつの放射体とひとつの検出器とだけを必要として、深さの見積りは開始から完全な挿入まで通過する時間を分割することで行なって、挿入中及びサンプリング中のプローブの速度は一定であると仮定する。これに代えて、プローブを監視して所定の量だけ組織中へ動かして、各サンプルについてのプローブの深さを精密に知ると共に装置の制御下に置いてもよい。
【0061】
なお、針133A/133Bが組織135中に貫通するとき、針133A/133Bの放射部分と収集部分との間を移動する光子は、広範囲の経路を取って、図2における経路283A乃至283Fのようになる。この散乱は、他の表面イメージング方法であって組織の表面に光を照らして表面から散乱して戻ってきた光の反射率を検出するものとは対照的である。図2には、この散乱の過程を示しているが、針は基準体203の内部に分布されている。いくつかの光子は経路283Aや283Bのように比較的直接的な経路をとるが、一方、他のものは放射の現場291と収集の現場293との間の直接的な視線から離れて迷走したより長い経路をとって、経路283Cや283Dのようになる。経路283Aから283Dまでの光子の方向の変化は、散乱か、または蛍光や波長シフトなどの非弾性的な事象を表している。さらに他の光子は、経路283Eのように吸収されるラインに沿って迷走するか、又は、経路283Fのように組織から逸脱して収集されることがない。この経路の範囲は組織による光の散乱のためであって、放射された光子の光線は拡散された輝きに変化して本来の光子ビームの方向性を失うが、これが標準的なイメージングの明瞭さを破壊することは、霧の中において光子がランダムになって遠くの物体のイメージがもうろうとするのと同じことである。本発明の装置はこの効果を利用していて、散乱によって平均化と体積サンプリングの機能を提供する。光子が放射されてから検出されるまでの時間に実質的に平行ではない多数のコースにわたって組織を通って伝播した後に、検出した照明を測定するとき、放射と検出との間の狭いライン上の組織のみならず、多くの領域の組織をサンプルすることができる。これはささやかではあるが重要な特徴であって、小さな腫瘍などの検出すべきものが、たとえ放射体と検出器との間の直線的なラインの外にあったとしても検出することができる。
【0062】
(実施例)
本発明の用法の幅は例示によって最も良く理解され、3つの例を以下に提供する。これらの例示は、装置のすべての用法や用途を包括的に示す意図ではなくて、ただ単に事例研究として役立てて、当業者がそのような装置の利用方法や範囲をよりよく認識できるようにするものである。
【0063】
(実施例1)
[人体組織のコントラストが陽性の現場に針の目標を定める]
生検を収集すべき組織の位置測定は、目標現場に集まったコントラストを使用することで助けられる。そのような装置は前立腺癌のために有用である。5人に1人の男性は発病し、これは女性における乳癌の発病率を越える。診断の標準的な方法、前立腺の生検は、存在している癌を見逃す可能性が20%ある。従って、生検テストの繰返しがしばしば求められる。現在、検査中に探ることができるのはすべての前立腺腫瘍の20%未満であり、前立腺癌は現在のイメージング方法では良く見えないので、前立腺の生検が事実上、盲目的に実行されている。
【0064】
コントラスト因子を前立腺癌の目標に定める多くの方法を利用することができる。例えば、前述の如く、一定の細胞タイプには表面マーカーがあることが知られていて、癌細胞は付近の細胞が有していない表面受容体を有する。このため、コントラスト因子を特定の現場の目標に定めることができる。目標定めはさほど特殊ではなくて、例えば感光性因子(例えばALA)を使用すれば、これは蛍光ポルフィリン中間体への変換を介して癌組織中に優先的に蓄積される。
【0065】
実際の実験からのデータを提示する。人間の前立腺を摘出してサンプル組織として使用する。この例では、コントラストを組織モデルに注射して、そのような技術を使用した位置測定をシミュレートしたが、公知の目標定め方法を使用して達成可能である。少量(100μL)の青い色素、FD&C Red#40とBlue#1(Shilling, Hunt Valley, MD)との混合物をコントラスト因子として使用した。摘出された前立腺は生きている人間のものとは光学的に異なっているけれども、摘出した組織中のコントラスト因子の存在は、生体内でコントラスト因子を使用したときに予想されるのと同じレベルのコントラストを追加して提供した。同様に、この色素は生体内のコントラスト因子として働くことは期待されていないけれども、そのような環境の下で使用された目標の定められたコントラスト色素と同様なやり方で、この色素からの信号を処理することができた。従って、このモデルでの成功は、生きている組織中での可能性と実現性を示している。
【0066】
針を進めながらスペクトルデータを収集したところ、この装置では1秒あたり5〜20のスペクトルが集められた。従って、上述した装置を用いて針を進める間に、全体の処理中には50〜1000のスペクトルが代表的に収集される。針をゆっくりと進めて、それぞれのスペクトルが異なった場所で収集された。それぞれの隣接するスペクトルの間の空間的な分離は代表的に1mmより小さい。すなわち、スペクトルを収集してから次のスペクトルを収集するまでの時間における針の動きは1mm未満である。図4には、人間の前立腺の研究中に収集したおよそ500のスペクトルから4つのスペクトルを選んで示している。スペクトル522は、針が前立腺に侵入しようとするときに収集されたもので、針が前立腺の被覆に接触している。次に、被覆の内部に通った後ではスペクトル525が見られる。スペクトル522と525とは明瞭に異なっており、当業者に公知のそのようなスペクトルに基づく分別アルゴリズムで前立腺の異なる組織の層を確認することができる。次に、コントラストを含む現場に針を分布したときには、スペクトル529が見られる。コントラストのスペクトル的な特徴が明らかに、目視でも観察されて、それはピーク532に示すように631nmで最大になる。さらに後で、針が引込められると、針の後に蓄積した血液が引出されて、血液の特徴538のスペクトル535として見られる。
【0067】
図4は、時間内の4箇所における個別のスペクトルの部分を示しているけれども、データは実際にはリアルタイムに処理されて、何百ものスペクトルが収集された。図5には、これらの数百のスペクトルを分析した結果を示しており、針を進めるにつれての時間にわたる分析結果をプロットしている。ここには生のスペクトルは示していない。むしろ、各スペクトルは分析をされてから、この分析の結果を3つの曲線のポイントとして示していて、それらは、光の散乱540と、ヘモグロビン濃度541と、コントラストの信号強度542とである。散乱540とヘモグロビン541とは時間と共に変化する特徴を有しているものの、腫瘍の位置の識別はこれらの結果の観察からは明らかではないことに留意したい。これとは対照的に、コントラスト信号542はサンプル番号48〜51にてピークを示し、ピーク543に示すようにコントラスト因子の位置測定された収集を明瞭に示している。ピーク543は十分に強くて、目でも見えるほど明らかに観察され、腫瘍の生検を収集すべき箇所を表している。コントラスト信号542を表示装置上のグラフにプロットしてリアルタイムに医師に使用させることで、特定の場所で生検をすべきことを医師に視覚的に指示する働きをする。これに代えて、この分析をさらに処理してもよい。例えば図6では、所定のコントラスト信号のしきい値を使用してコントラストの存在曲線545を計算し、時間に対するグラフとして示している。ピーク547のように信号が強いときに、医師が生検を収集することが奨励される。関連する実験では、ピーク547と同じようなピークが見られたときにそのような研究中の組織を切開いて、コントラストの現場に針が正確に位置していることが見いだされており、この技術の実行可能性と精度を確認した。従って、本発明の装置及び方法によれば、器具を着色された領域に目標を定めて届けることができる。さらに、侵襲性の器具が介入するツールだとすれば、生検や治療などの目標とする介入が目標現場で実行されたことだろう。
【0068】
この検出と位置測定による情報は数多くのやり方で提示することができ、それには、特定の組織タイプの存在又は不存在を指示する言葉や、表(例えば、1又は複数のコントラスト因子が発生する信号のパーセンテージ)、コントラストで着色された組織の深さによる確認、グラフ(上述したような時間にわたる組織タイプの存在又は不存在などや、目標現場までの距離)、数値(対象までの距離など)、イメージ(目標組織の位置など)、位置測定(目標組織の角度と距離との測定値など)、または、コントラスト因子の位置及び濃度に応じて変更される言葉の表示などを含む。異なった曲線を表示することができ、図4、図5、及び図6に示した曲線の選択によって不当に制限されることは意図していない。
【0069】
この例で使用したコントラスト因子は蛍光プローブであって、バックグラウンド信号を抑制して、低い濃度のマーカーでの検出の特異性を大いに高めた。同様に、前立腺癌に結合して又は内在化して“オンになる”コントラスト因子は、さらに大きく高められたコントラストを与えるだろう。信号を検出するために光学的な光源と光検出器とが構成されるならば、ここではあらゆる光学コントラスト因子ないしレポーターを用いることができる。源と検出器との構成には、蛍光や時間的に又は周波数的に分解されたデータを検出する能力などが含まれる。
【0070】
そのような測定は誘導のために使用できて、コントラストの濃度の増加が最大値に達するように針を動かすだけでよいという簡単さである。光学プローブは2以上のファイバを使用して構成されて、異なるファイバの組の異なる信号を提供するようにして、例えば、針の左、中央、右、上側、及び下側の側部に分けて分布する。方向の出力信号は以下の如く簡単である。
【0071】
・もしも左側がより高いコントラスト信号を示すならば、腫瘍は左方に離れている。
・もしも右側がより高いコントラスト信号を示すならば、腫瘍は右方に離れている。
・もしも上側がより高いコントラスト信号を示すならば、腫瘍はプローブの上側にある。
・もしも下側がより高いコントラスト信号を示すならば、腫瘍はプローブの下側にある。
・もしも中央が左、右、上側、及び下側よりも強いならば、針は腫瘍に達しようとしている。
このアルゴリズムを改良し、左右上下の信号の相対的な差を考慮に入れて、距離の見積りと角度を生成してもよい。
【0072】
同様に、そのような測定は、前立腺癌の存在又は不存在などの単なる検出のためだけに使用してもよい。図4及び図7において、コントラストの存在がどれぐらい明瞭であったかに留意されたい。これは、前立腺などの器官全体を検出プローブを使用してスキャンできるであろうことを示唆している。例えば、直腸プローブが直腸内の前立腺付近に分布されたとすれば、コントラスト因子を施して位置測定させた後には、前立腺の透視中にコントラスト因子のスペクトルが見られたならば癌を検出でき、スペクトルが見られなければ癌は存在しない。そのような検出の研究の後に続いて、診断のためにコントラストで案内された生検針を使用し、癌の除去のためにコントラストで案内されたニブルツールを使用し、または、コントラスト感応性のイメージング装置を使用して前立腺内の分布と腫瘍負荷をイメージ化する。現在の前立腺生検では、超音波プローブを挿入して生検針を案内する。超音波プローブや生検針に光ファイバを加えて、目標に定めたコントラストの位置と分布とから決定された、目標組織のイメージを超音波のイメージと重ね合せてもよい。これにより、癌の疑いのある領域をイメージ上で強調させたような超音波のイメージが得られる。
【0073】
他のタイプの出力も考えられるけれども、その信号が、組織の存在、位置、又は分布に関連した情報の機能に相当するようなコントラストベースの誘導信号であるか、または、内在性のコントラストからの信号に基づいてプローブないし装置を体内の位置へと案内するために使用されるのであるならば、本発明の範囲に含まれる。様々な態様のプローブを考えることができ、それには、針、套管針、カテーテル、高周波アンテナ、凍結手術プローブ、レーザ外科手術ビーム、内視鏡、ビデオカメラ及びファイバ、および同類のものを含む。
【0074】
この例の分析では、コントラスト因子又は目標組織の位置測定と分布との測定を抽出するために、すべての収集されたスペクトルを使用している。測定されたスペクトルからかかる抽出を実行するためのツールは周知であって、限定はしないがそれらには、部分最小二乗法(PLS)、主要成分分析(PCA)、SIMCA、遺伝アルゴリズム、及びファジィ集合理論などを含む。他方において、コントラスト誘導アルゴリズムはあてにならない程に簡単でよい。例えば、ひとつの波長たとえば631nmのコントラストピークにおいて検出器に戻った光の量が、針が血管に接近するにつれて減少するのならば、針は信号の表面実装LEDと半導体フォトダイオード検出器とを使用して、アルゴリズムは以下のように簡単になる。
a)針が腫瘍へ接近度は、戻ってくる光の強度に反比例する。
b)測定された光の強度が一定のしきい値より低いならば、針は腫瘍の中にある。
【0075】
もっと複雑な、それでも簡単なアルゴリズムは、2つの波長の吸光度の差を使用することであり、例えば631nmと660nmとすれば、A631とA660との差は基線の吸光度を補正して、コントラスト濃度をもっと確実に抽出できるようになる。この後者の方法で必要になるのは2つの波長だけであって、広いスペクトルの源よりもむしろ2つの波長の表面実装LEDなどの簡単な光源が使用できると共に、より複雑な分光光度計よりもむしろ簡単な光検出器を使用することができる。再言するが、目標を定める信号を発生する手段によって、誘導の作用は実行される。
【0076】
装置は、器具の先端部から収集された組織に関する情報を使用しながら、リアルタイムで運転されることに留意したい。これは、従来技術の冒頭で列挙した在来の誘導のアプローチの4つのすべての制約を解消する。すなわち、盲目的なアプローチと、本来的なコントラストの不足と、針の先端部に実在するのは何であるかの情報のリアルタイムでの登録と、携帯性及び入手容易性と、である。
【0077】
(実施例2)
[イソスルファン陽性領域の表面検出とイメージング]
目標を定めた手順の他の例は、乳癌のリンパ節の生検である。乳癌は、子宮頚癌に次いで、世界的に女性に最も一般的な癌であって、女性の主な死因である。
【0078】
乳癌の処置には腫瘍の等級と広がりとを決定する必要があって、この処置はステージングと称される。リンパ節への広がりを決定することが、適切な処置の選択と生存率改善の鍵となる。乳癌を診断するとき、歩哨リンパ節を確認して生検を行なう。歩哨節は腫瘍を排出する主なリンパ節である。現在、それらを確認するには放射性物質を注射し、これをガイガーカウンタ(例えば、従来技術において説明した米国特許第5,846,513号)を使用して追跡するが、これに青色のコントラストの注射を伴うこともある。歩哨胸節は、青色のコントラストを腫瘍に注射することでマークできて、コントラストは歩哨リンパ節を移動して、それらを青色に着色する。この青い色素は人体への使用が承認されており、いったん節を見つけた後には見分けるのが容易ではあるが、切開をせずに見つけることは難しい。
【0079】
本実施例で使用する青色のコントラストはイソスルファンブルー(Lymphazurin(TM), US Surgical Corporation, Norwalk CT)である。Lymphazrinは、無菌の水溶液であって、FDAはリンパ管をたどるのに使用するために皮下に投与することを承認しており、これには癌に関連したリンパ節の追跡も含まれる。
【0080】
実験的なテストにおいて、我々は、イソスルファンブルーを含む組織の領域を光学的な手段によって外部から位置測定し目標に定められることを立証した。実験室で、我々は最初に、イソスルファンブルーのコントラストを、ヘモグロビンとコントラスト因子との混合物中から検出できることを立証した。体内において550〜900nmの間の主要な吸収体はヘモグロビンであるので、我々は、ヘモグロビンとイソスルファンとの混合物について測定し、ヘモグロビンからイソスルファンブルーを区別できる独特な特徴を見い出した。これらの独特な特徴を使用して、697nm付近の信号の傾斜ないし一次微分値を用いて(図7)、ヘモグロビンとの混合物からイソスルファンブルーのサインを抽出できる。イソスルファンの目標を埋めていない生きている人間の組織のスペクトル602は、イソスルファンの目標を有する生きている組織のスペクトル604と比較する。スペクトルの波間607は体内のイソスルファンの存在に独特のものである。この特徴の大きな利点は、650nmよりも長い波長の光は体の深部まで通るので、10cmの深さまで波間607を検出できることにある。赤外線にわたる特徴をもった他のコントラスト因子も知られている。800nmから2μmまでの間に生じるスペクトルの特徴をもったコントラスト因子は特に有用であって、水によるいくつかの吸収ピークと波間を除けば、それらには事実上、かかる波長において人間の組織中では著しい一次微分的なスペクトル特徴がない。
【0081】
次に、生きている人間の組織において、我々は、サンプル組織中のコントラストの量が増加すると、生体内のコントラスト信号612は図8のように直線的に増加することを立証した。図7及び図8の感度が高いことは、これらの研究でのイソスルファンブルーの体積が12〜60μL(250ナノモルから1マイクロモルのすぐ上までのイソスルファンブルー)の間の範囲であって、皮膚の表面下の数センチに位置していることに留意すれば明らかである。イソスルファンブルーは優先的にリンパ系を通り抜けるので、この因子は生体内で特異な源として役立つ。すなわち、コントラスト因子を取込んだ組織は、同じ量のコントラストを取込んでいない組織とは、明らかに区別される。そのような特異なコントラストはまた、目標現場で生体活性化するコントラスト因子や、所望の組織でのみ“オン”になったり“オフ”になったりするもので達成できる。
【0082】
最後に、我々は、この一次微分の信号のアプローチを用いて、図9Aに示す如く、組織モデル中のコントラスト陽性のリンパ節の外部イメージを発生させた。この研究を行なったスキャンプローブには、放射と検出とのために複数のファイバを使用して、傷の中で又は皮膚上でスキャンできる器具のモデルとして働かせた。イソスルファンブルーの目標は、濾紙の上にイソスルファンを分布して作った。2mm×3mmの寸法の濾紙の紙片に、0.20μLのコントラスト(4ナノモルのイソスルファンブルー)を含ませて、生体内のスキャン表面の下方2cmに分布した。データの収集は、監視すべき領域を横切るように検出ファイバをスキャンして行なった。30×30mmの領域をスキャンして、各スキャン画素毎に10のスペクトルを収集した。この事例では、ファイバは単一のものであったけれども、一次元の直線配列又は二次元の配列も同様にあるいはより良好に働くだろう。上述の実験のデータを二次元的に収集するために、表面プローブを組織上でスキャンして、格子のデータを収集した。イメージ633は、コントラストのピーク635として、イソスルファンブルーの目標の位置を明瞭に示している。図9Bには図9Aを平面図にて示しており、イメージ637中において明確に境界線を描かれた領域639がイソスルファンブルーの位置と分布とを示していて、同じく目標組織を示すことがわかる。従って、組織中の陽性の歩哨節の地図を作成することが達成できる。
【0083】
この実験は、光学コントラストを使用して、位置測定と分布に従って変化する信号を生成できることを立証している。実施例1において前述したように、これを用いて目標定めを行なって、信号が増加するにつれて、センサをより近くへと動かしてコントラストの源にまで至る。
【0084】
また、この実験は、そのような装置と方法がうまく働いて、不透明な組織を通過してきた光を測定するための、外部で又は内部で使用される医療器具を使用して、生体内のイメージを形成することができることを確証した。ここではスキャンされたファイバは、CCD検出器と表面実装LEDとを含んだプローブに取替えることができて、多数の画素のイメージングを迅速かつ同時に行なうことができる。そのような装置によれば、コントラストの地図を再構成することができると共に、光学手段を備えた侵襲性の器具を使用して、コントラスト陽性な人間の節に向けての誘導ができるだろう。
【0085】
これに代えて、蛍光コントラストに置換えて、蛍光イメージを同様の方法で作成できる。
【0086】
(実施例3)
[多色コントラストラベリング]
二重ないし複数のコントラストラベリングは、細胞学や他の生体外の実験室訓練でしばしば使用される技術である。この技術では、異なるコントラスト因子を同じサンプルに加えて、追加的な情報を抽出する。このアプローチは、本発明の方法を用いて生体内で適用することもできる。
【0087】
例えば、多くの組織は第1のコントラスト因子を取込むが、それはこれらの組織が第1のコントラスト因子のための受容体を有するからである。さらに、異なった組織の組合わせは第2のコントラスト因子を取込むが、それはこれらの異なった組織が第2のマーカーのための受容体を有するからである。双方の受容体を有することで、又は一方が存在して他方が存在しないことで、癌が確認される。いずれかの場合に、2以上のコントラスト因子を同時に使用しての、検出、位置測定、イメージ化、及び目標定めの能力は重要である。
【0088】
これをテストすべく、プローブを使用して、外来性のコントラスト因子を含まない領域を、赤色のコントラスト(FD&C Reds 40 and 3, Schilling, Hunt Valley, MD)や実施例2で用いたイソスルファンブルーを含む領域から、また、赤色と青色との双方のコントラスト因子を含む領域から区別した。組織のモデルは、均質化した牛肉を厚くして作った。コントラストの体積(均質な組織の1ccあたり3μLのイソスルファンブルーと14μLの赤色コントラスト)をこのモデルの選択した領域に混合して、コントラストの存在しない領域と、第1のコントラストだけの領域と、第2のコントラストだけの領域と、双方のコントラストの領域とを作った。生のデータ(図示せず)を実施例1及び2で示したのと同じやり方で処理した。図10には、各コントラスト因子についての計算されたコントラストの強さをプロットしている。赤色のコントラストの強度曲線651は556nmでの吸光度の特徴の微分を使用して計算し、一方、青色のコントラストの強度曲線653は実施例2に示したように計算した。一致曲線656は、しきい値を使用して、いつ双方のコントラスト因子が存在するのかを示している。図10において、赤い色素を含む領域はサンプル番号62〜133のピーク671で観察され、青いコントラストだけを含む領域はサンプル番号159〜218のピーク673で観察され、一方、赤と青との双方のコントラストを含む領域はサンプル番号251〜335のピーク676の一致で認められる。第1及び第2のコントラスト因子を共に含む領域は明確に検出可能である。3以上のコントラスト因子を同様の方法を使用して分析できる。
【0089】
このデータは、図10に示すようなグラフとして提示され、または、生のデータを表の形態で以下の如く列挙することができる。
【0090】
(表1)
図10のグラフに示したいくつかのデータの数値表
サンプル番号 : 0 96 168 268 348
コントラストA:0.0 1.2 0.1 0.8 0.3
コントラストB:0.0 0.0 1.3 1.1 0.1
A,B双方か?: No No No Yes No
我々は、体から放射及び検出される光を用い、外部的若しくは侵襲的又は双方の医療器具に結合された光学要素を使用して、組織を測定して人間の体内のコントラストの高められた組織を検出し、位置測定し、イメージ化し、及び目標定めをする、改良された方法及び装置を発見した。本発明によって構成された装置は組立てられており、方法はいくつかの形態のモデルや、動物、及び人間でテストしたが、これらは医療的にも産業的にもいくつかの重要な問題について即座の応用を有していて、業界における重要な進歩を構成する。
【0091】
次に、本発明の好ましい実施態様を述べる。
1. 生物対象の中の目標現場を外部的に又は内部的に測定する方法であって、この方法が、(a)生体内の前記目標現場に測定可能なコントラストを提供するように選択された光学コントラスト因子を対象に施す段階と、(b)前記コントラスト因子が体内にて十分な分布と位置測定を達成するまで待つ段階と、(c)光源若しくは光検出器又はこれらの双方に光学的に結合された医療の装置ないし器具を提供し、対象の医学的又は外科的な手順中に前記装置ないし器具を使用する段階と、(d)光源からの光で対象を照明し、生体内のコントラスト因子が照明光と相互作用して、照明光を変更するように、前記光源が選択されている段階と、(e)体の不透明な部分を通して通過した後の変更された照明光を光検出器を使用して検出する段階と、(f)前記コントラスト因子の分布と位置測定の機能に基づいて検出された光を使用して、目標現場の測定可能なパラメータを決定する段階と、(g)前記決定に対応して出力信号を発生させる段階と、を備えていることを特徴とする方法。
2.光学コントラスト因子は、イソスルファンブルー又は他の吸収コントラスト因子、インドシアニングリーン、ポルフィリン、又は他の発蛍光剤、メチルレッド又は他の生物学的応答色素、着色又は蛍光性の蛋白質及び他の遺伝子産物、量子ドット及び他の分光器的に識別される物理構成物、コントラスト充填ミセル、または他の光学コントラスト因子からなるグループから選択されていることを特徴とする上記1記載の方法。
3. コントラスト因子を施す段階は、注射、摂取、ウイルスの受渡し、又は遺伝子メカニズム又は封入された生物学的工場を使用した対象中での合成の段階を含むことを特徴とする上記1記載の方法。
4. コントラスト因子を施す段階は、複数の光学コントラスト因子を施す段階を含み、それぞれが異なる受容体を目標とし、決定の段階は、前記複数のコントラスト因子の分布と位置測定の機能に基づくことを特徴とする上記1記載の方法。
5. 前記コントラスト因子はさらに、生体内にて活性化、不活性化、又は合成の段階を必要とすることを特徴とする上記1記載の方法。
6. 前記コントラスト因子は、付着性インドシアニン色素、酸付着性トランスフェリン結合色素、及び他の活性化可能なコントラスト因子からなる活性化可能な因子のリストから選択されることを特徴とする上記5記載の方法。
7. 光学コントラストは目標成分と結合することを特徴とする上記1記載の方法。
8. 目標成分は、抗体、抗体フラグメント、受容体結合部位又は物質、及び転位結合部位又は物質からなる目標成分のリストから選択されることを特徴とする上記7記載の方法。
9. 前記医療器具はスキャン光学プローブであり、前記コントラスト因子はイソスルファンブルーであり、前記施すことは腫瘍の周辺に注射することからなり、前記出力信号はコントラストを吸収する歩哨リンパ腺の存在及び位置を検出するものであることを特徴とする上記1記載の方法。
10. 前記医療器具は改変された直腸超音波プローブであり、前記コントラスト因子は前立腺特異性受容体を目標とし、前記施すことは口からの摂取からなり、前記出力信号は前立腺癌の存在及び位置と重ね合せた超音波イメージであることを特徴とする上記1記載の方法。
11. 段階(a)から段階(g)までの1又は複数が1又は複数の箇所にて時間内に繰返されて、前記繰返しは時間が経つにつれての前記因子の前記分布及び位置測定を追跡するのに有効であることを特徴とする上記1記載の方法。
12. 基準信号と比較する段階をさらに含むことを特徴とする上記1記載の方法。
13. コントラストが存在しないときに基線信号と比較する段階をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
14. 前記測定可能なパラメータは前記コントラスト因子の局所的な環境の関数であることを特徴とする上記1記載の方法。
15. 生物対象の体の不透明な部分の中の目標組織を外部的に又は内部的に測定する装置であって、この装置が、(a)コントラストの源を提供する光学コントラスト因子であって、前記因子は前記目標組織と他の組織との間で異なるコントラストを提供するように選択され、体内にて分布と位置測定を達成するように対象に施される前記因子と、(b)前記対象の部分を照明放射で照明するための光源であって、前記分布されたコントラスト因子が少なくとも潜在的に分布されて前記照明放射と相互作用して、照明放射を変更するような上記光源と、(c)前記放射の部分を収集する光収集器であって、前記収集された部分は対象の体の不透明な領域を通過したものであり、前記収集された部分に対応して検出信号を提供するための上記光収集器と、(d)医療手順中に前記対象の上で又は対象の中で使用するための医療器具であって、前記光放射源若しくは前記光収集器又はこれらの双方に結合される前記医療器具と、(e)前記検出信号に基づいて前記目標組織の測定可能なパラメータを決定する手段であって、前記測定は前記コントラスト因子の前記分布及び位置測定の測定機能に基づいており、前記決定に対応して出力信号を発生するための上記手段と、 を備えていることを特徴とする装置。
16. 前記光源はさらに複数の光源から構成されていることを特徴とする上記15記載の装置。
17. 前記照明放射が200nmと2μmとの間の少なくともひとつの波長を有することを特徴とする上記15記載の装置。
18. 前記光収集器がさらに、複数の光検出要素を備えていることを特徴とする上記15記載の装置。
19. 前記複数の検出要素はCCDアレイから構成されることを特徴とする上記18記載の装置。
20. 前記測定可能なパラメータは体内の前記目標組織の存在又は不存在の検出であることを特徴とする上記15記載の装置。
21. 前記測定可能なパラメータは、体内の前記目標組織の少なくとも一次元での位置測定であることを特徴とする上記15記載の装置。
22. 前記測定可能なパラメータは前記目標組織の方向であることを特徴とする上記15記載の装置。
23. 前記測定可能なパラメータは前記目標組織までの距離であることを特徴とする上記15記載の装置。
24. 前記出力信号は、前記目標組織の体内における分布のイメージであることを特徴とする上記15記載の装置。
25. 前記測定機能は、吸光度、蛍光、ラマンシフト、励起−放射地図、旋光度、蛍光性崩壊、位相ずれ、時間遅れ、又は前記コントラスト因子の前記照明放射との相互作用に関係する他の光学的な特徴からなる特徴のグループから選択された光学的特徴に基づくことを特徴とする上記15記載の装置。
26. 侵襲性の医療の装置又は器具を生物対象の目標位置に向けるための方法であって、この方法が、(a)光学コントラスト因子を対象に施す段階と、(b)コントラスト因子が体内にて適切な分布と位置測定を達成するまで待つ段階と、(c)光源若しくは光検出器又はこれらの双方に光学的に結合された医療の器具を提供し、対象の医学的又は外科的な手順中に前記器具を使用する段階と、(d)前記光源からの光で対象を照明する段階と、(e)源の光が体の不透明な部分を通して通過した後の、及び、コントラスト因子による源の光の起こり得る相互作用と変更との後の、変更された光を前記光検出器を使用して検出する段階と、(f)変更され検出された光に基づいて前記目標位置に対する医療の装置又は器具の現在位置を決定する段階と、(g)前記決定に対応して出力信号を発生する段階と、 を備えていることを特徴とする方法。
27. 侵襲性の医療の装置又は器具を生物対象の目標位置に向けるための装置であって、この装置が、(a)コントラスト因子であって、対象内にて分布と位置測定を達成するように対象に施される前記因子と、(b)前記対象の部分を照明放射で照明するための光放射源であって、前記放射源は対象に光学的に結合されて、前記施されたコントラスト因子が潜在的に分布されて前記照明放射と相互作用して、照明放射を変更するような上記光放射源と、(c)照明放射の部分を収集する光収集器であって、前記収集された部分は体の不透明な領域を通過したものであり、前記収集器は光学的に体に結合されて、前記収集された部分に対応して検出信号を提供するための上記光収集器と、(d)侵襲性の手順中に前記対象の中で使用するための医療器具であって、前記光放射器若しくは前記光収集器又はこれらの双方に結合される前記医療器具と、(e)前記検出信号に基づいて目標位置に対する前記医療装置又は器具の現在位置の位置的な見積りを決定する手段であって、前記測定は前記医療装置の位置に関連する前記コントラスト因子の前記分布及び位置測定の測定機能に基づいており、前記決定に対応して出力信号を発生するための上記手段と、 を備えていることを特徴とする装置。
28. 放射器、収集器、又は放射器及び収集器の双方の対象への光学的な結合は組織を貫通することによって達成されることを特徴とする上記27記載の装置。
29. 前記位置の見積りは、前記目標位置のプローブの分布精度の関数であることを特徴とする上記27記載の装置。
30. 分布精度の前記関数は、プローブが正確に分布されているか否かの真又は偽の指示であることを特徴とする上記29記載の装置。
31. 前記位置の見積りは目標組織の方向であることを特徴とする上記27記載の装置。
32. 前記位置の見積りは目標組織までの距離であることを特徴とする上記27記載の装置。
33. 前記位置の見積りは組織のタイプに関する装置の位置測定であることを特徴とする上記27記載の装置。
34. 前立腺生検針を患者の潜在的な前立腺癌の現場に向かって対象とするための方法であって、この方法が、(a)癌特異性の前立腺細胞表面抗原を目標とする光学コントラスト因子を患者に施す段階と、(b)コントラスト因子が体内にて適切な分布と位置測定を達成するまで待つ段階と、(c)光源若しくは光検出器又はこれらの双方に光学的に結合された生検針を提供し、患者の前立腺に針を挿入する段階と、(d)前記光源からの光で対象を照明する段階と、(e)源の光が体の不透明な部分を通して通過した後の、及び、コントラスト因子による源の光の起こり得る相互作用と変更との後の、変更された光を前記光検出器を使用して検出する段階と、(f)変更され検出された光に基づいて前立腺癌に対する生検針の現在位置を決定する段階と、(g)確認された潜在的な癌の現場に生検針を分布して、その現場にて生検サンプルを収集する段階と、(h)十分な数の前立腺の生検サンプルが収集されるまで段階(d)から段階(g)を繰返す段階と、 を備えていることを特徴とする方法。
35. 最小の侵襲性の医療プローブを使用して胸の腫瘍を取除くための方法であって、この方法が、(a)光学コントラスト因子を対象の静脈に施す段階と、(b)コントラスト因子が体内にて適切な分布と位置測定を達成するまで待つ段階と、(c)光源若しくは光検出器又はこれらの双方に光学的に結合された最小の侵襲性の組織除去装置を提供し、対象に対する最小の侵襲性の腫瘍摘出手順中に装置又は器具を使用する段階と、(d)光源からの光で対象を照明して、生体内のコントラスト因子が照明光と相互作用して照明光を変更する段階と、(e)源の光が体の不透明な部分を通して通過した後の、及び、コントラスト因子による源の光の起こり得る相互作用と変更との後の、変更された光を光検出器を使用して検出する段階と、(f)前記変更され検出された光に基づいてすべての残っている乳癌に対する医療の装置又は器具の現在位置の位置の見積りを決定する段階と、(g)前記測定に対応して出力信号を発生する段階と、(h)乳癌として確認された組織を取除く段階と、(i)診断又は治療の終了点に達するまで段階(d)から段階(h)を繰返す段階と、を備えていることを特徴とする方法。
36. リンパ腺の生検中に乳癌中の1又は複数の歩哨節の位置を決定するための医療装置であって、この装置が、(a)前記歩哨節組織と正常なリンパ組織との間にコントラストの源を提供するためのイソスルファンブルーのコントラスト溶液であって、リンパ腺内にて分布と位置測定を達成するように前記乳癌の周辺に注射される前記因子と、(b)照明放射で前記対象の部分を照明するための白色光源と、(c)前記照明放射の部分を収集する光収集器であって、前記収集された部分は前記コントラスト因子を潜在的に含んでいる対象の体の不透明な領域を通過したものであり、前記収集された部分に対応してコントラストに影響された検出信号を提供するための上記光収集器と、(d)前記節の生検中に前記対象の上で又は対象の中で使用するための医療プローブであって、前記光放射器若しくは前記光収集器又はこれらの双方に結合される前記医療プローブと、(e)前記歩哨節の位置を決定する手段であって、前記決定は前記検出信号に基づいており、前記決定に対応して前記歩哨節の分布及び位置測定に関係した出力信号を発生するための上記手段と、を備えていることを特徴とする医療装置。
37. 直腸診断手順中に前立腺癌の存在又は不存在を決定するための医療装置であって、この装置が、(a)前立腺癌細胞と正常な前立腺組織との間にコントラストの源を提供するための癌特異性表面抗原を目標とする蛍光コントラスト因子であって、前記因子は口から摂取され、前立腺内で分布と位置測定を達成するように全身に吸収される上記因子と、(b)照明放射で前立腺を照明するためのモノクロ強度変調光源であって、前記分布されたコントラスト因子が少なくとも潜在的に分布されて前記照明放射に対応して蛍光を発するような上記光源と、(c)前記蛍光放射の部分を収集するための多要素の光収集器であって、前記収集された部分は前立腺の不透明な部分を通過したものであり、前記収集された部分に対応して検出位相及び強度信号を提供するための上記光収集器と、(d)前記前立腺の試験中に直腸に使用するための医療の超音波プローブであって、記光放射源若しくは光収集器又はこれらの双方に結合される前記医療の超音波プローブと、(e)前記検出信号に基づいて前立腺癌の存在及び位置を決定する手段であって、前記決定に対応して前記コントラスト因子の分布及び位置測定に関する出力イメージを発生するための上記手段と、を備えていることを特徴とする装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目標を定める光学コントラスト因子であって、
(a) イソスルファンブルー、メチルレッド、又は他の光吸収コントラスト因子、又はインドシアニングリーン、ポルフィリン、又は他の発蛍光剤、又は他の生物学的応答色素、着色又は蛍光性の蛋白質及び他の遺伝子産物、量子ドット及び他の分光器的に識別される物理構成物、コントラスト充填ミセルからなるコントラスト因子のリストから選択された光学コントラスト成分と、
(b) 周囲の構造が表面構造を用いて目標に定められる抗体、抗体フラグメント、受容体、又は転座結合現場、物質、微少気泡、リボゾーム構造からなるリストから選択された目標定め作用を達成する局在化成分と、
を有することを特徴とする光学コントラスト因子。
【請求項2】
前記因子が、CEA、MUC1及び他の粘液、乳房グロブリン、HER−2/neu、EGF−R、ER、PR、PSMA、PSA、及びCEAからなる目標現場のリストから選択された現場を目標に定める請求項1記載の光学コントラスト因子。
【請求項3】
(a) 対象に施した後、生体内の目標現場に測定可能なコントラストを提供するように選択された手術中の生物対象内の目標現場を測定し、
(b) 対象に施し、体内で分布及び局在化が達成されるのに十分な時間を許容した後、生物対象の体の不透明な部分内の目標組織を外部的又は内部的に測定するためのコントラストの源を提供し、又は、
(c) 対象に施した後、生体内の目標現場に測定可能なコントラストを提供するように選択された手術中の生物対象内の目標現場を測定する用途、
に適する請求項1又は2記載の光学コントラスト因子。
【請求項4】
前記光学コントラスト因子が蛍光性である請求項1乃至3の何れか1項に記載の光学コントラスト因子。
【請求項5】
コントラスト因子が、800nmから2μmまでの間に生じるスペクトルの特徴をもつように選択された請求項1乃至4の何れか1項に記載の光学コントラスト因子。
【請求項6】
前記因子が、癌、神経、動脈、静脈、リンパ節、及び筋肉からなる組織タイプのリストから選択された体内の組織タイプを特定するために使用される請求項1乃至5の何れか1項に記載の光学コントラスト因子。
【請求項7】
前記因子が、前立腺のPSMA受容体に対する抗体又は分子、及び蛍光色素を有する請求項1乃至6の何れか1項に記載の光学コントラスト因子。
【請求項8】
前記因子が、少なくとも前立腺癌のラベリングのための前立腺のPSMA受容体に対する抗体、蛋白質、又は他の分子と、蛍光色素とを有する請求項1乃至7の何れか1項に記載の光学コントラスト因子。
【請求項9】
前記因子が、組織のクラスの全ての細胞に存在する抗原に結合することによって目標定め作用を達成する局在化成分を有する請求項1乃至8の何れか1項に記載の光学コントラスト因子。
【請求項10】
前記因子が、正常な組織と比較して、癌の中で発現又は過発現した抗原及び受容体と結合することによって目標定め作用を達成する局在化成分を有する請求項1乃至8の何れか1項に記載の光学コントラスト因子。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−133876(P2009−133876A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−72158(P2009−72158)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【分割の表示】特願2000−616400(P2000−616400)の分割
【原出願日】平成12年3月28日(2000.3.28)
【出願人】(501430537)
【Fターム(参考)】