説明

光学シートの製造方法および光学シートの製造装置

【課題】光学シートの光学特性を、幅方向の全体にわたって連続的に高精度で測定することを可能とし、所望の光学特性を有する光学シートを効率よく製造することができる光学シートの製造方法および光学シートの製造装置を提供すること。
【解決手段】本発明は、連続的に送り出される、透明樹脂で構成される長尺のシート状材料に加熱処理を施す加熱工程と、加熱処理されたシート状材料の幅方向全体にわたって光を照射する照射工程と、加熱処理されたシート状材料の幅方向全体にわたって照射された光の反射光または透過光を受光する受光工程と、受光した反射光または透過光の光量に基づいて加熱処理における加熱条件を変更する必要があるかどうかを判断する判断工程と、前記判断工程で加熱条件を変更する必要があると判断されたときは、加熱条件を変更する必要があることを出力する出力工程とを備え、前記照射工程で照射される光が実質的に平行光であることを特徴とする光学シートの製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学シートの製造方法および光学シートの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光を透過または反射することによって特定の透過光または反射光を生じさせる光学的特徴を有する光学シートが、表示装置の視認性、防汚性、防眩性などを改良するために用いられる。光学シートにおける光の透過特性および反射特性(以下では「光学特性」という)は、光学シートの材質および光学シート表面の状態などによって決定される。光学シートの材質として、樹脂材料がよく使用されるため、光学シートに特定の光学特性を付与するためには、加熱処理を施すことが多い。
【0003】
光学特性を付与するための加熱処理では、予めシート状に形成された樹脂材料に対して、ヒータなどで外部から特定の温度条件で加熱する。この加熱によって樹脂材料の物性を変化させたり、シート表面の状態を変化させることにより、光学シートに特定の光学特性を付与することができる。
【0004】
光学シートの光学特性を直接測定できる場合は、加熱処理後の光学シートを対象に光学特性を測定して所望の光学特性が付与されているかどうかを判断する。付与された光学特性が所望の特性から外れるような場合は、加熱条件などを変更する。しかしながら、光学特性は、表示装置などに備え付けた状態で発揮される特性であり、光学シート単独で、所望の光学特性が得られているかどうかを直接的に判断することは難しい。
【0005】
そこで、光学シート単独で測定可能な特性値を、代替となる特性値として測定し、その測定結果から所望の光学特性が付与されているかどうかを間接的に判断する。代替となる光学特性としてよく使用される特性にヘーズがある。ヘーズは、JIS K7136:2000において、全光線透過率に対する拡散透過率の比として定義され、このJIS規格で規定された測定方法に基づいて測定する。JIS K7136:2000に規定された測定方法では、試験片をホルダーにセットした状態で光を照射し、積分球を用いて透過光を測定する必要がある。
【0006】
このように、JIS規格に準拠したヘーズの測定は、連続的に測定することが困難である。光学シートは、長尺のシート状材料を連続的に加熱して製造するものであるため、JIS規格に準拠してヘーズを測定し、その測定結果によって光学特性を判断しようとすると、製造しながら連続的に判断することは不可能である。
【0007】
特許文献1記載の光学シートの製造方法では、従来のヘーズ値で評価し得なかったコントラストの評価を簡便に行っている。ヘーズ値の測定は、市販のヘーズメーターを用いている。
【0008】
光学シートの全体を一様な光学特性とするには、シート表面を一様に加熱する必要があり、加熱によりシート表面の温度に分布が生じると光学シートの光学特性が一様なものとならずに特性の分布が生じてしまう。したがって、所望の光学特性を有する光学シートを効率よく製造するには、光学シート全体の光学特性を連続的に測定し、その測定結果を加熱処理の処理条件に連続的に反映させることが好ましい。
【0009】
特許文献1に記載されているヘーズ値の測定では、市販のヘーズメーターを用いている。現在市販されているヘーズメーターは、JIS規格の測定とは異なり連続的に測定することを可能としているが、測定可能範囲が小さく、たとえば数十mm幅の範囲しか測定できない。これは、光源ランプの光を集光してシートの裏側から照射し、集光したスポットを透過した光を表側の受光センサで測定するという測定原理によるものである。このような測定原理を用いている限りは、測定可能範囲を大きくすることはできない。
【0010】
光学シートの寸法は、様々であるが多くは幅寸法が数mにも及ぶので、上記のような測定原理のヘーズメーターを用いて、光学シート全体の光学特性を連続的に測定しようとすると、数十台から数百台のヘーズメーターを幅方向に並べて設置する必要がある。これら多数のヘーズメーターの同期をとって同時に測定することは困難であり、装置毎の個体差を考慮して測定値を補正することも困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2009−265341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、光学シートの光学特性を、幅方向の全体にわたって連続的に高精度で測定することを可能とし、所望の光学特性を有する光学シートを効率よく製造することができる光学シートの製造方法および光学シートの製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1) 本発明は、連続的に送り出される、透明樹脂で構成される長尺のシート状材料に加熱処理を施す加熱工程と、
加熱処理されたシート状材料の幅方向全体にわたって光を照射する照射工程と、
加熱処理されたシート状材料の幅方向全体にわたって照射された光の反射光または透過光を受光する受光工程と、
受光した反射光または透過光の光量に基づいて加熱処理における加熱条件を変更する必要があるかどうかを判断する判断工程と、
上記判断工程で加熱条件を変更する必要があると判断されたときは、加熱条件を変更する必要があることを出力する出力工程とを備え、
上記照射工程で照射される光が実質的に平行光であることを特徴とする光学シートの製造方法である。
【0014】
(2) 上記判断工程で、加熱処理されたシート状材料の幅方向全体にわたって受光した反射光または透過光の光量を、ヘーズを代替するヘーズ代替評価値に換算し、予め定める閾値と換算して得られたヘーズ代替評価値とを比較して、加熱処理における加熱条件を変更する必要があるかどうかを判断することが好ましい。
【0015】
(3) 上記加熱条件は、加熱温度を含み、
上記加熱条件の変更は、加熱温度を高くするか、加熱温度を低くするかのいずれかであり、
上記判断工程で、加熱条件を変更する必要があるときには、加熱条件の変更内容についても判断し、
上記出力工程で、上記判断工程で加熱条件を変更する必要があると判断されたときは、加熱温度を高くするか、加熱温度を低くするかのいずれかの変更内容も出力することが好ましい。
【0016】
(4) 上記照射工程で、シート状材料の幅方向全体だけでなく、標準となる参照領域にも同時に光を照射し、
上記受光工程で、シート状材料の幅方向全体および上記参照領域における反射光または透過光を受光し、
上記判断工程で、上記参照領域における反射光または透過光量に基づいて、上記のシート状材料の幅方向全体にわたって受光した反射光または透過光の光量を校正したのち、ヘーズ代替評価値に換算することが好ましい。
【0017】
(5) また、本発明は、長尺のシート状材料を連続的に送り出す送り出し部と、
送り出された上記シート状材料に加熱処理を施す加熱処理部と、
上記加熱処理部によって加熱処理されたシート状材料を連続的に巻き取る巻き取り部と、
上記加熱処理部によって加熱処理されてから上記巻き取り部に巻き取られるまでのシート状材料の所定の位置を照射位置とし、この照射位置でのシート状材料の幅方向全体にわたって光を照射する光照射部と、
上記光照射部によって照射され、上記シート状材料の幅方向全体にわたって反射された反射光またはシート状材料を透過した透過光を受光する受光部と、
受光した反射光または透過光の光量に基づいて加熱処理における加熱条件を変更する必要があるかどうかを判断し、加熱条件を変更する必要があると判断したときは、加熱条件を変更する必要があることを出力する出力部とを備え、
上記光照射部から照射される光が実質的に平行光であることを特徴とする光学シートの製造装置にも関する。
【0018】
(6) 上記受光部は、上記シート状材料の幅方向全体にわたって反射された反射光またはシート状材料を透過した透過光の光量を測定する一次元イメージセンサまたは2次元イメージセンサを含むことが好ましい。
【0019】
(7) 上記加熱条件は、加熱温度を含み、
上記加熱条件の変更は、加熱温度を高くするか、加熱温度を低くするかのいずれかであり、
上記出力部は、加熱条件を変更する必要があるときには、加熱条件の変更内容についても判断し、加熱温度を高くするか、加熱温度を低くするかのいずれかの変更内容も出力することが好ましい。
【0020】
(8) 上記出力部は、受光した反射光または透過光の光量を、ヘーズを代替するヘーズ代替評価値に換算し、予め定める閾値と換算して得られたヘーズ代替評価値とを比較して、加熱処理における加熱条件を変更する必要があるかどうかを判断することが好ましい。
【0021】
(9) 上記照射部は、シート状材料の幅方向全体だけでなく、標準となる参照領域にも同時に光を照射し、
上記受光部は、シート状材料の幅方向全体および上記参照領域における反射光または透過光を受光し、
上記判断部は、上記参照領域における反射光または透過光量に基づいて、上記のシート状材料の幅方向全体にわたって受光した反射光または透過光の光量を校正したのち、ヘーズ代替評価値に換算することが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
(1) 本発明に係る光学シートの製造方法によれば、照射工程で、加熱処理されたシート状材料の幅方向全体にわたって光を照射し、受光工程で、加熱処理されたシート状材料の幅方向全体にわたって照射された光の反射光または透過光を受光するので、光学シートの光学特性を、幅方向の全体にわたって測定することが可能となる。
【0023】
また、これらの工程は、連続的に送り出されたシート状材料を対象としているので、光学特性を連続的に測定することが可能となる。
【0024】
また、出力工程で、必要に応じて加熱条件を変更する必要があることを出力するので、オペレータは、この出力に応じて加熱条件を変更するように、加熱処理部の動作条件を変更すればよく、所望の光学特性を有する光学シートを効率よく製造することができる。
【0025】
また、前記照射工程で照射される光が実質的に平行光であるため、光が照射される照射領域においてシート状材料が上下方向(厚さ方向)に移動した場合でも、照射される光の光量が変動しない。したがって、シート状材料の上下方向の位置変動による測定誤差が排除され、光学シートとなるシート状材料の光学特性を高精度に測定することができる。このため、シート状材料の加熱処理における加熱条件を変動する必要があるかどうかを正確に判断することができる。
【0026】
(2) 上記判断工程で、加熱処理されたシート状材料の幅方向全体にわたって受光した反射光または透過光の光量を、ヘーズを代替するヘーズ代替評価値に換算し、予め定める閾値と換算して得られた上記ヘーズ代替評価値とを比較して加熱処理における加熱条件を変更する必要があるかどうかを判断する場合は、
加熱処理における加熱条件を変更する必要があるかどうかの判断を、換算したヘーズ代替評価値に基づいて判断することができるという効果を奏する。
【0027】
(3) 上記加熱条件は、加熱温度を含み、
上記加熱条件の変更は、加熱温度を高くするか、加熱温度を低くするかのいずれかであり、上記判断工程で、加熱条件を変更する必要があるときには、加熱条件の変更内容についても判断し、上記出力工程で、上記判断工程で加熱条件を変更する必要があると判断されたときは、加熱温度を高くするか、加熱温度を低くするかのいずれかの変更内容も出力する場合は、
加熱温度を高くするか、低くするかというオペレータにとって理解しやすい変更内容が出力されるので、加熱条件を変更するに際して、オペレータが変更の操作を誤ることなく、かつ即座に変更操作を実行することができる。
【0028】
(4) 上記照射工程で、シート状材料の幅方向全体だけでなく、標準となる参照領域にも同時に光を照射し、上記受光工程で、シート状材料の幅方向全体および上記参照領域における反射光または透過光を受光し、上記判断工程で、上記参照領域における反射光または透過光量に基づいて、上記のシート状材料の幅方向全体にわたって受光した反射光または透過光の光量を校正したのち、ヘーズ代替評価値に換算する場合は、
照射光量が周囲環境によって変動した場合でも、シート状材料の幅方向全体にわたって受光した受光量の値が、そのときの参照領域の受光量に応じて校正されるので、そののちに換算されるヘーズ代替評価値は照射光量の変動の影響を排除することができる。
【0029】
(5) 本発明に係る光学シートの製造装置によれば、照射部が、加熱処理されたシート状材料の一部を照射領域として、その照射領域の幅方向全体にわたって光を照射し、受光部が、加熱処理されたシート状材料の照射領域の幅方向全体にわたって照射された光の反射光または透過光を受光するので、光学シートの光学特性を、幅方向の全体にわたって測定することが可能となる。
【0030】
また、照射および受光は、連続的に送り出されたシート状材料を対象としているので、光学特性を連続的に測定することが可能となる。
【0031】
また、出力部は、必要に応じて加熱条件を変更する必要があることを出力するので、オペレータは、この出力に応じて加熱条件を変更するように、加熱処理部の動作条件を変更すればよく、所望の光学特性を有する光学シートを効率よく製造することができる。
【0032】
また、前記光照射部から照射される光が実質的に平行光であるため、光が照射される位置においてシート状材料が上下方向に移動した場合でも、照射される光の光量が変動しない。したがって、シート状材料の上下方向の位置変動による測定誤差が排除され、加熱処理における加熱条件を変動する必要があるかどうかを正確に判断することができる。
【0033】
(6) 上記受光部が、上記シート状材料の幅方向全体にわたって反射された反射光またはシート状材料を透過した透過光の光量を測定する一次元イメージセンサまたは2次元イメージセンサを含む場合は、
シート状材料の製造装置における所定の位置からの反射光または透過光を、シート状材料の幅方向全体にわたって容易に受光することができる。
【0034】
(7) 上記加熱条件が、加熱温度を含み、上記加熱条件の変更は、加熱温度を高くするか、加熱温度を低くするかのいずれかであり、上記出力部は、加熱条件を変更する必要があるときには、加熱条件の変更内容についても判断し、加熱温度を高くするか、加熱温度を低くするかのいずれかの変更内容も出力する場合は、
加熱温度を高くするか、低くするかというオペレータにとって理解しやすい変更内容が出力されるので、加熱条件を変更するに際して、オペレータが変更の操作を誤ることなく、かつ即座に変更操作を実行することができる。
【0035】
(8) 上記出力部が、受光した反射光または透過光の光量を、ヘーズを代替するヘーズ代替評価値に換算し、予め定める閾値と換算して得られたヘーズ代替評価値とを比較して、加熱処理における加熱条件を変更する必要があるかどうかを判断する場合は、
加熱処理における加熱条件を変更する必要があるかどうかの判断を、換算したヘーズ代替評価値に基づいて判断することができるという効果を奏する。
【0036】
(9) 上記照射部が、シート状材料の幅方向全体だけでなく、標準となる参照領域にも同時に光を照射し、上記受光部は、シート状材料の幅方向全体および上記参照領域における反射光または透過光を受光し、上記判断部は、上記参照領域における反射光または透過光量に基づいて、上記のシート状材料の幅方向全体にわたって受光した反射光または透過光の光量を校正したのち、ヘーズ代替評価値に換算する場合は、
照射光量が周囲環境によって変動した場合でも、シート状材料の幅方向全体にわたって受光した受光量の値が、そのときの参照領域の受光量に応じて校正されるので、そののちに換算されるヘーズ代替評価値は照射光量の変動の影響を排除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施形態である光学シート製造装置1の構成を示す概略図である。
【図2】本発明の他の実施形態である光学シート製造装置1Aの構成を示す概略図である。
【図3】指示部7による変更指示処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の光照射部および受光部の一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は、本発明の実施形態である光学シート製造装置1の構成を示す概略図である。光学シート製造装置(以下では単に「製造装置」という)1は、長尺のシート状材料Sを加熱領域へと送り出す送り出し部2、加熱領域においてシート状材料Sに加熱処理を施す加熱処理部3と、加熱処理されたシート状材料Sを巻き取る巻き取り部4と、加熱処理処理部3によって加熱処理されてから巻き取り部4に巻き取られるまでのシート状材料Sの所定の位置を照射位置とし、この照射位置でのシート状材料の幅方向全体にわたって光を照射する光照射部5と、光照射部5によって照射され、シート状材料Sの表面で反射した反射光を受光する受光部6と、加熱処理部3の動作を変更するための変更指示を出力する指示部7とを備える。
【0039】
加熱処理が施されることで表面状態が変化し、所望のヘーズを示す光学シートとなるシート状材料Sは、透明樹脂をシート状に形成したものが好適に用いられる。透明樹脂としては、特に限定されるものではないが、ポリスチレン(PS)、メチルメタクリレート−スチレン共重合体、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)、ポリカーボネート(PC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、環状オレフィン重合体(重合成分が環状オレフィンであるもの、単独重合体であっても良いし共重合体であっても良い)および環状オレフィン共重合体(環状オレフィンとこれ以外の他の共重合成分との共重合体)からなる群より選ばれる透明樹脂を用いる。
【0040】
光学シートに対して要求される光学特性は予め決まっているので、要求される光学特性から必然的に使用すべき透明樹脂が決定されるか、または光学特性に応じて適宜好適な透明樹脂を選択すればよい。
【0041】
シート状材料Sは、1種のシートからなる単層構成に限定されず、2種以上のシートからなる多層構成であってもよい。多層構成のシート状材料Sとしては、特に限定されるものではないが、例えば、PCを成形して得られるシートとPPを成形して得られるシートとが積層されてなるPC/PP積層シート状材料や、PCを成形して得られるシートとPEを成形して得られるシートとが積層されてなるPC/PE積層シート状材料が挙げられる。
【0042】
シート状材料が多層構成である場合、シート状材料Sに照射された光は、シート状材料Sの表面で反射されるだけでなく、シート状材料を構成する各シートの界面でも反射される。これらの反射光の光量に基づいて加熱処理における加熱条件を変更することで、シート状材料Sの表面状態に加えて、シート状材料を構成する各シートの界面の表面状態が適宜変化する。
【0043】
透明樹脂をシート状に成形する方法は特に限定されず、使用する透明樹脂の種類、シートの厚みや幅などの寸法に応じて適宜好適な成形方法を選択すればよい。
【0044】
透明樹脂を成形して得られた長尺のシート状材料Sは、一旦ロール状に巻き取られて送り出し部2にセットされる。送り出し部2は、巻き取られたシート状材料の巻き芯となる円柱状または円筒状の送り出しローラと、この送り出しローラを回転駆動させる駆動源とを含む。送り出しローラが回転駆動されると、シート状材料Sは、一定の方向に送り出され、加熱処理部3によって加熱される加熱領域へと到達する。
【0045】
加熱処理部3は、接触または非接触でシート状材料Sの表面を予め定める温度に加熱するものであればどのようなものでも使用できる。接触式の加熱処理部としては、たとえば、加熱ロールが挙げられる。加熱ロールは、それ自体が発熱するものであっても、周囲から加熱されるものであってもよく、表面に賦形用の凹凸を有していてもよい。非接触式の加熱処理部としては、たとえば、セラミックヒータ、赤外光ランプおよびブロワなどが挙げられる。加熱処理部の種類は、シート状材料Sの材質や変化させるべき表面状態に応じて適宜選択すればよい。加熱温度、加熱時間も同様に適宜選択することができる。
【0046】
加熱処理部3は、少なくともシート状材料Sの幅方向(送り出し方向に直交する方向)全体にわたる加熱領域に対して加熱処理を施せるように一体的に設けられていてもよい。また、シート状材料Sの幅方向に複数に分割された領域ごとに独立して加熱温度など加熱条件を変更できるように、独立した複数の加熱処理部がシート状材料Sの幅方向に配列されていてもよい。たとえば、加熱処理部がセラミックヒータなど通電により発熱する構造を有する場合は、領域ごとに対応するヒータを設置し、通電量を変更する。また、加熱処理部が赤外光ランプなど光照射する構造を有する場合は、領域ごとに対応するランプを設置し、領域ごとにランプのオンオフを制御する。加熱処理部がブロワなど熱風を排気する構造を有する場合は、領域ごとに対応する熱風の吹き出し口を設け、吹き出し量を領域ごとに制御すればよい。
【0047】
シート状材料Sの幅方向全体にわたって一様に加熱処理しようとすると、加熱処理部3の動作条件を、シート状材料の幅方向に複数並んで配置される領域ごとに同じ動作条件とすればよい。しかしながら、たとえばセラミックヒータでは、同じ通電量であっても発熱温度が異なっていたり、同じ赤外線ランプでも照射量が異なっていたりするために、単に同じ動作条件にすればシート状材料Sの幅方向全体にわたって一様に加熱処理できるとは限らない。
【0048】
したがって、加熱処理によって変化したシート状材料Sの表面状態を、幅方向全体にわたって連続的に評価し、評価結果に応じて、シート状材料Sの幅方向全体にわたって一様に加熱処理するためには、加熱処理部3の動作条件を、シート状材料Sの幅方向に分割した領域ごとに変更できることが望ましい。
【0049】
シート状材料Sの幅方向全体にわたる評価は、光照射部5によってシート状材料Sの幅方向全体に光を照射し、シート状材料Sの表面で反射した反射光を受光部6で受光することによって行うことができる。光照射部(光源)から光が照射される照射領域は、加熱領域よりも下流側であって、巻き取り部4に巻き取られるまでの間の領域であればよい。
【0050】
ここで、光照射部5から照射される光は実質的に平行光である。平行光を照射するための光源としては、例えば、レーザ光源が挙げられる。
【0051】
光照射部は、少なくともシート状材料Sの幅方向(送り出し方向に直交する方向)全体にわたる照射領域に対して光を照射できるように一体的に設けられていてもよい。この場合、たとえば、シート状材料Sの表面全体にわたって、1〜1×105lxの光が無影状態で照射されるように光源とシート状材料との距離および位置関係が設定される。
【0052】
また、シート状材料Sの幅方向に複数に分割された照射領域51に対応した複数の独立した光照射部が、シート状材料Sの幅方向に配列されていてもよい。例えば、図4に示すように、光照射部5および受光部6を備えた複数の測定部9が、シート状材料Sの幅方向に複数に分割された照射領域S1に対応して、シート状材料Sの幅方向に配列されていてもよい。この場合、各照射領域毎に光学特性を測定することができるため、これらの測定値に応じて各照射領域毎に加熱処理の加熱条件を調整することができる。
【0053】
受光部6としては、所定の領域の光量を測定することが可能なラインセンサ(一次元イメージセンサ)またはエリアセンサ(二次元イメージセンサ)を使用することができ、具体的にはCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ,CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)イメージセンサを用いることができる。
【0054】
受光部6は、シート状材料Sの表面で反射した反射光の光量を二次元イメージとして検出する。予め定める期間において、マトリクス状または千鳥状など二次元的に配置された受光素子それぞれが反射光を受光し、受光量を出力する。
【0055】
このような一次元イメージセンサまたは二次元イメージセンサは、シート状材料Sとの距離および位置を変化させることで、シート状材料の特定の領域からの反射光を受光することもできるし、シート状材料S全体からの反射光を受光することもできる。
【0056】
したがって、光照射部5、シート状材料Sおよび受光部6の位置関係を適切に設定すれば、受光部6によってシート状材料Sの幅方向全体にわたって表面状態を評価することができる。
【0057】
シート状材料Sの表面状態は、ヘーズによって評価することが好ましい。ヘーズをJIS規定に準拠して測定すると、連続的な評価が困難であるため、受光部6によって受光した反射光量をヘーズの代替評価値とする。加熱処理部3によって加熱され表面状態が変化したシート状材料Sが、所望の表面状態となっているかどうかを、シート状材料Sの反射光によって評価し、評価結果に基づいて指示部7が加熱処理部3の動作を変更するための変更指示を出力する。
【0058】
変更指示について詳細は後述するが、変更指示に従って加熱処理部3の動作変更を行うのは、製造装置1のオペレータである。したがって、変更指示は、たとえば、オペレータが即座に認識できるように、表示装置などに文字または図形などで表示される。
【0059】
上記のように加熱処理部3は、シート状材料Sの幅方向に分割された領域ごとに加熱条件を制御することが可能に構成されている。受光部6で受光したシート状材料Sの表面反射光を幅方向に分割した領域ごとに連続的に評価し、評価結果に基づいて領域ごとに対応して加熱条件を連続的に制御すれば、シート状材料Sの表面状態を所望の状態に維持することが可能となる。
【0060】
このように加熱処理部3の動作が、受光部6で受光した反射光量で制御され、所望の光学特性を有するように加熱処理されたシート状材料Sは、巻き取り部4によって巻き取られる。巻き取り部4は、送り出し部2と同様に、巻き取られたシート状材料Sの巻き芯となる円柱状または円筒状の巻き取りローラと、この巻き取りローラを回転駆動させる駆動源とを含む。巻き取りローラの駆動は、送り出しローラの駆動と同期され、加熱処理されたシート状材料Sが、一定の速度で巻き取りローラに巻き取られる。
【0061】
巻き取り部4によって巻き取られたシート状材料Sは、たとえば所定の寸法に裁断されて光学シートとなる。
【0062】
次に指示部7による加熱処理部3の動作条件の変更指示について説明する。指示部7は、受光部6から出力される反射光量を示す光量データに基づいてシート状材料Sのヘーズを評価し、予め定める閾値と比較して加熱処理部3の動作条件変更の要否および変更を要する場合は、変更の度合いを決定する。
【0063】
受光部6から出力される反射光量を示す光量データは、たとえば、一次元イメージセンサの場合、x方向をシート状材料の幅方向とする一次元データである。また、二次元イメージセンサの場合、x方向をシート状材料の幅方向とし、送り出し方向をy方向とする2次元xyデータである。また、光量データは、所定期間(1スキャンまたは1フレーム)における光量を示している。
【0064】
二次元イメージセンサを使用する場合、1フレーム分または複数フレーム分の光量データを、受光部6から受け取ると、指示部7は、まずy方向に反射光量を示す画素値を積算して積算画素値を算出する。積算画素値は、x方向の画素数分だけ算出される。シート状材料の流れ方向に生じる光量のばらつき(ノイズ)を積算によって相対的に低減することができる。このノイズ低減が必要でない場合には一次元イメージセンサを用いてもよい。
【0065】
x方向は、予め複数の領域に分割しておき、分割されたそれぞれの領域において、積算画素値の平均値を算出する。平均値は、分割された領域数分だけ算出される。
【0066】
算出された平均値をそれぞれヘーズを代替するヘーズ代替評価値に変換して、領域ごとのヘーズ代替評価値Hを得る。「ヘーズ代替評価値」とは、ヘーズを代替する値であり、シート状材料のヘーズ値に相当する値である。また、ヘーズ代替評価値への変換は、まず、表面状態が異なる複数の基準シートを用いて、受光部6から出力される反射光量を示す光量データと、ヘーズメーターを用いて測定されるヘーズ値との一次相関式を求め、次いで、求めた一次相関式に、光量データとして上記積算画素値などの反射光または透過光の光量に関する値を当てはめることにより行なわれ、ここで算出される値がヘーズ代替評価値となる。
【0067】
領域ごとのヘーズ代替評価値と閾値とを比較する。光学シートに要求されるヘーズは、一般的に所定の範囲内に収まっている必要があるため、閾値として第1閾値TH1および第1閾値よりも大きな第2閾値TH2(>TH1)を用意し、これらと得られたヘーズ代替評価値とを順次比較する。第1閾値TH1は、光学シートに要求されるヘーズ代替評価値の最小値よりも大きい値に設定され、第2閾値TH2は、光学シートに要求されるヘーズ代替評価値の最大値よりも小さい値に設定される。したがって、第1閾値TH1よりもヘーズ代替評価値Hが小さい場合は、光学シートに要求されるヘーズの最小値よりもヘーズ代替評価値Hが小さくなるおそれがあると判断でき、第2閾値TH2よりもヘーズ代替評価値Hが大きい場合は、光学シートに要求されるヘーズの最大値よりもヘーズ代替評価値Hが大きくなるおそれがあると判断できる。
【0068】
閾値処理の具体的な手順としては、まず、HとTH1とを比較し、HがTH1よりも小さければ条件変更が必要で、その条件変更は、ヘーズが大きくなるような変更であると判断する。
【0069】
HがTH1以上であれば、TH2と比較する。HがTH2以下であれば、光学シートの実際のヘーズ値も所望の範囲内に収まっていると考えられるので、条件変更の必要なしと判断する。HがTH2よりも大きければ条件変更が必要で、その条件変更は、ヘーズが小さくなるような変更であると判断する。
【0070】
指示部7による判断結果は、これら3種類のいずれかに属することになる。判断結果は、シート状材料の幅方向の領域ごとに出力される。
【0071】
製造装置1のオペレータは、出力される判断結果に基づいて加熱処理部3の動作条件を変更するように操作する。加熱処理部3は、上記のように幅方向に分割された領域ごとに加熱条件を変更することが可能であるので、指示部7によって、ある領域の加熱条件の変更が必要で、ヘーズが小さくなるように変更するように指示が出力された場合は、加熱処理部3を操作して、ヘーズが小さくなるように加熱温度を変更する。指示部7によって、ある領域の加熱条件の変更が必要で、ヘーズが大きくなるように変更するように指示が出力された場合は、加熱処理部3を操作して、ヘーズが大きくなるように加熱温度を変更する。
【0072】
ヘーズと温度との関係性が予めわかっている場合には、指示部7は、加熱処理部3の操作を直接指示するようにしてもよい。指示部7によって、ヘーズが大きくなるまたは小さくなるような変更指示が出力された場合、ヘーズを大きくするには、加熱温度を高くすればよいか低くすればよいかをオペレータが判断して、適切に操作する必要がある。シート状材料の材質などによっては、ヘーズを大きくするために加熱温度を高くする場合も、低くする場合もいずれの場合もあり得るので、指示部7がヘーズに対する指示を出力する場合には、オペレータが加熱処理部3の操作内容を判断したうえで操作する。
【0073】
ヘーズと温度との関係性が予めわかっている場合、たとえば、ヘーズを小さくするためには加熱温度を低くし、ヘーズを大きくするためには加熱温度を高くするという関係性がわかっている場合には、指示部7が、この関係性に基づいて、加熱温度を高くするか低くするかを直接指示することができる。ある領域のヘーズを小さくする必要があると判断した場合には、指示部7は、該当する領域の加熱温度について低くするように指示を出力し、ある領域のヘーズを大きくする必要があると判断した場合には、指示部7は、該当する領域の加熱温度について高くするように指示を出力する。
【0074】
例えば、光学シートの材質が熱可塑性の透明樹脂である場合は、ヘーズを小さくするためには加熱温度を低くする必要があり、ヘーズを大きくするためには加熱温度を高くする必要がある。熱可塑性樹脂としては、上述したシート状材料Sを構成する透明樹脂で例示したのと同じ透明樹脂が挙げられる。
【0075】
また、指示部7による指示の出力は表示部に表示して直接的に示すのがオペレータの操作ミスを少なくするためには有効である。表示部には、加熱処理部3の制御可能な領域を表示し、領域ごとに加熱条件の変更が必要になれば、変更指示が領域内に文字または図形などで表示される。たとえば、加熱温度を高くすることが必要な領域に対しては、「温度を高く」、「温度up」、「高温に」などなるべく短い文章で簡潔に指示内容を表示する。また図形としては、上向き矢印「↑」などをオペレータが直感的に理解しやすい図形を領域ごとに表示する。
【0076】
温度条件の変更が必要な場合に、変更せずに放置しておくとヘーズは要求範囲から外れる方へと変化し続けてしまうため、変更指示が出力されてから実際にオペレータが操作するまでの時間は短ければ短い方が好ましい。したがって、上記のように表示部に変更指示を表示する際には、操作すべき内容を正確かつ短時間でオペレータに伝達できる出力態様が好ましい。
【0077】
本発明の他の実施形態として、受光量の校正機能を有するものが挙げられる。図2は、本発明の他の実施形態である光学シート製造装置1Aの構成を示す概略図である。光照射部5が照射する光量は気温などの周囲環境によって変動することがある。そこで、光照射部5は、シート状材料の幅方向全体だけでなく標準となる参照領域にも同時に光を照射し、受光部6は、シート状材料の幅方向全体および参照領域における反射光または透過光を受光する。参照領域は、光照射部5とシート状材料との間に配置される参照板8の表面とする。参照板8は、たとえば、発泡ポリプロピレンシートなどからなり、参照領域となる板表面は、好ましくは標準拡散面または標準拡散面に準ずる面である。
【0078】
指示部7は、参照領域における反射光または透過光量に基づいて、シート状材料の幅方向全体にわたって受光した反射光または透過光の光量を校正したのちヘーズ代替評価値に換算する。これにより、照射光量が変動した場合でも、シート状材料の幅方向全体にわたって受光した受光量の値が、そのときの参照領域の受光量に応じて校正されるので、そののち換算されるヘーズ代替評価値は照射光量の変動の影響を排除することができる。
【0079】
具体的には、シート状材料の幅方向全体の受光量と参照領域の受光量との比を用いて校正する方法、参照領域の受光量に予め標準値を設定しておき、受光の都度、そのときの参照領域の受光量と標準値との比を求め、この比をシート状材料の幅方向全体にわたって受光した受光量に乗じる校正方法などがある。
【0080】
図3は、指示部7による変更指示処理を示すフローチャートである。
指示部7は、受光部6から光量データが入力されると変更指示処理を実行する。
【0081】
ステップS1では、入力された光量データに基づいて、シート状材料Sの幅方向に分割された領域ごとに、反射光量平均値を算出する。算出の一例としては、上記のように、y方向に積算して積算値の平均値を算出する。領域ごとの平均値の算出は、これに限らず、予め定める領域全体の画素値の総和を算出し、画素数で除して単純な算術平均値を算出してもよい。
【0082】
ステップS2では、算出された反射光量の平均値と閾値とを比較する。閾値について上記では、2つの閾値TH1とTH2とを用いる例について説明したが、閾値は2つに限らず4つまたは6つの閾値など多数の閾値を用いてもよい。複数の閾値は、範囲の中央を挟んで上側と下側にそれぞれ同数に閾値を設定する。
【0083】
ステップS3では、閾値との比較結果に基づいて、領域ごとに加熱条件の変更の要否、変更が必要な場合はその変更内容を判断する。
【0084】
閾値を複数設定すれば、中央値からどの程度離れているか、規格値の上限値または下限値にどの程度近づいているかを複数段階で判断することもできる。
【0085】
ステップS4では、判断結果に基づいて条件変更が必要な場合には、必要な変更の内容を変更指示として表示部などに出力する。
【0086】
なお、上記では、受光部としてイメージセンサを用いる構成について説明したが、複数の光センサをシート状材料の幅方向全体にわたって配置するように構成してもよい。ここで用いる光センサとは、光照射部と受光部とが被検査体を介して1対1に対向して固定されたセンサを指す。光照射部は、たとえばレーザ光源等が用いられ、比較的小さい領域(たとえば直径数cm以下の円状領域)を照射し、受光部は、イメージセンサのような1次元または二次元出力ではなく、上記照射領域の中心付近の1箇所の受光量を出力する。
【0087】
シート状材料を透過または反射した光を受光してその受光量に基づいてヘーズ代替評価値を求める原理は同一であるため、上記の実施形態と同等の計測が可能である一方、センサの故障時にはそのセンサのみを交換すればよく、メンテナンスが容易であるという利点を有する。
【符号の説明】
【0088】
1,1A 光学シート製造装置
2 送り出し部
3 加熱処理部
4 巻き取り部
5 光照射部
51 照射領域
6 受光部
7 指示部(出力部)
8 参照板(参照領域)
9 測定部
S シート状材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的に送り出される、透明樹脂で構成される長尺のシート状材料に加熱処理を施す加熱工程と、
加熱処理されたシート状材料の幅方向全体にわたって光を照射する照射工程と、
加熱処理されたシート状材料の幅方向全体にわたって照射された光の反射光または透過光を受光する受光工程と、
受光した反射光または透過光の光量に基づいて加熱処理における加熱条件を変更する必要があるかどうかを判断する判断工程と、
前記判断工程で加熱条件を変更する必要があると判断されたときは、加熱条件を変更する必要があることを出力する出力工程とを備え、
前記照射工程で照射される光が実質的に平行光であることを特徴とする光学シートの製造方法。
【請求項2】
前記判断工程で、加熱処理されたシート状材料の幅方向全体にわたって受光した反射光または透過光の光量を、ヘーズを代替するヘーズ代替評価値に換算し、予め定める閾値と換算して得られたヘーズ代替評価値とを比較して、加熱処理における加熱条件を変更する必要があるかどうかを判断する、請求項1に記載の光学シートの製造方法。
【請求項3】
前記加熱条件は、加熱温度を含み、
前記加熱条件の変更は、加熱温度を高くするか、加熱温度を低くするかのいずれかであり、
前記判断工程で、加熱条件を変更する必要があるときには、加熱条件の変更内容についても判断し、
前記出力工程で、前記判断工程で加熱条件を変更する必要があると判断されたときは、加熱温度を高くするか、加熱温度を低くするかのいずれかの変更内容も出力する、請求項1または2に記載の光学シートの製造方法。
【請求項4】
前記照射工程で、シート状材料の幅方向全体だけでなく、標準となる参照領域にも同時に光を照射し、
前記受光工程で、シート状材料の幅方向全体および前記参照領域における反射光または透過光を受光し、
前記判断工程で、前記参照領域における反射光または透過光量に基づいて、前記のシート状材料の幅方向全体にわたって受光した反射光または透過光の光量を校正したのち、ヘーズ代替評価値に換算する、請求項2に記載の光学シートの製造方法。
【請求項5】
長尺のシート状材料を連続的に送り出す送り出し部と、
送り出された前記シート状材料に加熱処理を施す加熱処理部と、
前記加熱処理部によって加熱処理されたシート状材料を連続的に巻き取る巻き取り部と、
前記加熱処理部によって加熱処理されてから前記巻き取り部に巻き取られるまでのシート状材料の所定の位置を照射位置とし、この照射位置でのシート状材料の幅方向全体にわたって光を照射する光照射部と、
前記光照射部によって照射され、前記シート状材料の幅方向全体にわたって反射された反射光またはシート状材料を透過した透過光を受光する受光部と、
受光した反射光または透過光の光量に基づいて加熱処理における加熱条件を変更する必要があるかどうかを判断し、加熱条件を変更する必要があると判断したときは、加熱条件を変更する必要があることを出力する出力部とを備え、
前記光照射部から照射される光が実質的に平行光であることを特徴とする光学シートの製造装置。
【請求項6】
前記受光部は、前記シート状材料の幅方向全体にわたって反射された反射光またはシート状材料を透過した透過光の光量を測定する一次元イメージセンサまたは2次元イメージセンサを含む、請求項5に記載の光学シートの製造装置。
【請求項7】
前記加熱条件は、加熱温度を含み、
前記加熱条件の変更は、加熱温度を高くするか、加熱温度を低くするかのいずれかであり、
前記出力部は、加熱条件を変更する必要があるときには、加熱条件の変更内容についても判断し、加熱温度を高くするか、加熱温度を低くするかのいずれかの変更内容も出力する、請求項5または6に記載の光学シートの製造装置。
【請求項8】
前記出力部は、受光した反射光または透過光の光量を、ヘーズを代替するヘーズ代替評価値に換算し、予め定める閾値と換算して得られたヘーズ代替評価値とを比較して、加熱処理における加熱条件を変更する必要があるかどうかを判断する、請求項5〜7のいずれかに記載の光学シートの製造装置。
【請求項9】
前記照射部は、シート状材料の幅方向全体だけでなく、標準となる参照領域にも同時に光を照射し、
前記受光部は、シート状材料の幅方向全体および前記参照領域における反射光または透過光を受光し、
前記判断部は、前記参照領域における反射光または透過光量に基づいて、前記のシート状材料の幅方向全体にわたって受光した反射光または透過光の光量を校正したのち、ヘーズ代替評価値に換算する、請求項8に記載の光学シートの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−113899(P2013−113899A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257606(P2011−257606)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】