説明

光学デバイス

【課題】導光部から表示部に入射する光の利用効率を向上させることができる光学デバイスを得る。
【解決手段】光源光21に含まれるP偏光を透過させると共に、光源光21に含まれるS偏光を反射させる反射型偏光板12と、反射型偏光板12で反射されたS偏光をP偏光に変換して反射型偏光板12に入射させる変換部60と、反射型偏光板12側の面に複数のプリズム11cが設けられたプリズムシート11とを備え、プリズム11cは、プリズムシート11から反射型偏光板12に向かう方向に凸となるプリズム頂部11dと、この頂部の両側に形成され反射型偏光板12から出射されたP偏光を取り込むプリズム斜面11aと、この斜面からプリズム11c内に取り込まれたP偏光をプリズムシート11の延設方向と垂直の方向に出射するプリズム底面11bとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
モニターや携帯電話などの機器において、液晶パネルなどの表示部から出射される光の輝度を向上させることは、明るさやコントラストなどの見栄えに大きく影響すると共に省エネの観点からも利点がある。そのため、近年ではバックライト光源部(導光部)から表示部に入射する光の利用効率を向上させるために種々の試みがなされている。
【0003】
例えば、下記特許文献1に示される従来技術は、光源から出射される光のうちP偏光(偏光方向が入射面に平行な偏光)は透過させると共にS偏光(偏光方向が入射面に垂直な偏光)は選択反射させるプリズムアレイと、このプリズムアレイで反射されたS偏光をP偏光に変換してプリズムアレイに入射させる変換手段とを有して構成されている。すなわち下記特許文献1に示される従来技術は、プリズムアレイで反射されたS偏光をP偏光に変換してプリズムアレイに再び入射させることにより、光の利用効率を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−190006号公報(図3、図6など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に示される従来技術では、プリズムアレイにおいて屈折を利用して光の方向を変更しているため、光の屈折で部分反射が発生して一部の光が迷光となってしまい、光の利用効率が下がるという課題があった。より具体的に説明すると、上記特許文献1の図6に示されるプリズムの底面においては、このプリズムの内部に屈折して入射する光(透過光)と、空気界面(プリズムと空気との境界面)で反射される光(プリズムの内部に入射しない光)とに分かれる。また、同図に示されるプリズムのプリズム斜面から空気層に出射される箇所においても、屈折して空気層に出射される光(透過光)と、空気界面で反射される光(プリズムの内部に折り返される光)とに分かれる。このように、空気界面を透過する度に、光の一部が反射して迷光となる。このように、上記特許文献1に示される従来技術では、プリズムにおいて2回の屈折を利用して光の方向を変えていることから、光の方向を変えるために2箇所の界面で迷光が発生している。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、導光部から表示部に入射する光の利用効率を向上させることができる光学デバイスを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、光源から出射された光源光に含まれるP偏光を透過させると共に、前記光源光に含まれるS偏光を反射させる反射型偏光部と、前記反射型偏光部で反射されたS偏光をP偏光に変換して前記反射型偏光部に入射させる変換部と、前記反射型偏光部からP偏光が出射する側にて前記反射型偏光部と平行に設けられ、前記反射型偏光部側の面に断面三角形状の複数のプリズムが設けられたプリズムシートと、を備え、前記プリズムシートに設けられた各プリズムは、前記プリズムシートから反射型偏光部に向かう方向に凸となる頂部と、この頂部の両側に形成され前記反射型偏光部から出射されたP偏光を取り込む斜面と、この斜面からプリズム内に取り込まれたP偏光を前記プリズムシートの延設方向と垂直の方向に出射する底面とを有すること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、プリズムシートと反射型偏光部とが対向する面に設けられたプリズムの斜面に、反射型偏光部から出射されたP偏光を入射させるようにしたので、導光部から表示部に入射する光の利用効率を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1にかかる光学デバイスの構成図である。
【図2】図2は、図1に示される出射角とプリズム頂角との相関関係を説明するための図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態2にかかる光学デバイスの構成図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態3にかかる光学デバイスの構成図である。
【図5】図5は、図4に示される出射角とプリズム頂角との相関関係を説明するための図である。
【図6】図6は、本発明の実施の形態4にかかる光学デバイスの構成図である。
【図7】図7は、実施の形態3、4にかかる光学デバイスを、液晶表示装置のバックライトユニットに適用した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明にかかる光学デバイスの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる光学デバイス100の構成図である。図1に示される光学デバイス100は、反射型偏光板(反射型偏光部)12と、プリズムシート11と、変換部60とを有して構成されている。
【0012】
図1に示される光源光21は、図示しない光源から出射された光である。反射型偏光板12の法線に対する光源光21の出射角θ1(以下単に「出射角θ1」と称する)は、例えば60°に設定されている。光源光21には、偏光方向が異なる2種類の偏光(P偏光とS偏光)が含まれており、反射型偏光板12は、光源光21に含まれるP偏光を透過させると共に、光源光21に含まれるS偏光を反射させる。
【0013】
変換部60は、反射型偏光板12で反射されたS偏光をP偏光に変換して反射型偏光板12に入射させる。より具体的に説明すると、変換部60は、λ/4(1/4波長)板(位相差部)40および反射板(反射部)50を有しており、λ/4板40は、反射型偏光板12で反射されたS偏光に1/4波長の位相差を与えると共に、この位相差の与えられた光が反射板50で折り返されて再びλ/4板40を入射した際に、再度1/4波長の位相差を与えてP偏光に変換する。反射板50は、λ/4板40を透過した光を反射してλ/4板40に再度入射させる。その結果、反射型偏光板12で反射された光にλ/2の位相差が与えられるので、反射型偏光板12で反射した光が変換部60によってP偏光に変換される。
【0014】
なお、図1に示される、反射板50は、板状を成し、反射型偏光板12で反射されたS偏光の進路上に設けられ、かつ、反射型偏光板12の法線に直交する線に対して所定の角度(例えば出射角θ1と同じ角度)で設けられている。またλ/4板40は、板状を成し、反射型偏光板12と反射板50との間に介在し、反射板50と平行に設けられている。λ/4板40が延在する方向の長さと、反射板50が延在する方向の長さとは、実質的にほぼ同じである。
【0015】
プリズムシート11は、反射型偏光板12からP偏光が出射される側にて反射型偏光板12と平行に設けられ、反射型偏光板12側の面に断面三角形状の微細構造のプリズム11cが複数設けられている。
【0016】
各プリズム11cは、プリズムシート11から反射型偏光板12に向かう方向に凸となるプリズム頂部11dと、このプリズム頂部11dの両側に形成され反射型偏光板12から出射されたP偏光を取り込むプリズム斜面11aと、このプリズム斜面11aからプリズム11c内に取り込まれたP偏光をプリズムシート11の延設方向と垂直の方向に出射するプリズム底面11bと、を有する。なお、図1では、説明の便宜上、プリズム頂部11dが反射型偏光板12と離反した状態で示されているが、実際にはプリズム頂部11dが反射型偏光板12の表面に接触した状態で設けられているものとする。
【0017】
図1に示される各部材(プリズムシート11および反射型偏光板12など)は、例えばPMMA(ポリメタクリル酸メチル樹脂)相当の材質で構成されており、その屈折率は、例えば約1.49である。また、図1に示される光学デバイス100では、プリズム頂部11dの頂角(プリズム頂角φ)と、出射角θ1とが60°に設定されている。その結果、プリズム斜面11aの法線に対するP偏光の入射角θ2(以下単に「入射角θ2」と称する)は、0°となる。このように、反射型偏光板12を透過したP偏光は、プリズム斜面11aへ垂直に入射することとなる。
【0018】
次に光学デバイス100におけるP偏光およびS偏光の光路を図1に示される記号A〜Fを用いて説明する。(A)光源光21は、出射角θ1=60°で入射し、光源光21に含まれるP偏光は、反射型偏光板12を透過する。(B)光源光21に含まれるS偏光は、反射型偏光板12で反射される。(C)反射型偏光板12で反射されたS偏光は、λ/4板40に入射した後に反射板50で反射されて再びλ/4板40を透過する。このS偏光は、λ/4板40を2度透過したことによりP偏光に変換される。(D)変換されたP偏光は、反射型偏光板12に入射する。そして、光源光21に含まれるP偏光と、λ/4板40で変換されたP偏光とは、各々反射型偏光板12を透過し、反射型偏光板12とプリズム11cとが対向する面から出射される。(E)反射型偏光板12から出射された各P偏光は、プリズム斜面11aへ垂直に入射する。(F)プリズム斜面11aからプリズム11c内に入射したP偏光は、プリズム斜面11aで全反射され、プリズムシート11の延設方向と垂直の方向に出射される。
【0019】
上記特許文献1に示される従来技術では、プリズムの底面においては、このプリズムの内部に屈折して入射する光と、空気界面で反射される光とに分かれる。また、このプリズムのプリズム斜面から空気層に出射される箇所においても、屈折して空気層に出射される光と、空気界面で反射される光とに分かれる。すなわち、空気界面を透過する度に、光の一部が反射して迷光となる。このように従来技術では、プリズムにおいて2回の屈折を利用して光の方向を変えていることから、光の方向を変えるために2箇所の界面で迷光が発生している。
【0020】
実施の形態1にかかる光学デバイス100は、光源光21が全てP偏光に変換されることによってP偏光とS偏光の両方を利用することができると共に、プリズムシート11の入射面側に、反射型偏光板12に向かって凸となるプリズム11cを設けることによって、プリズム11c内に入射したP偏光をプリズム斜面11aで全反射させてプリズム底面11bから出射することが可能である。すなわち、光学デバイス100は、プリズム11cにおいて2回の屈折を利用して光の方向を変えているわけではないため、光の方向を変えるときにおける迷光を低減することが可能である。
【0021】
図2は、図1に示される出射角θ1とプリズム頂角φとの相関関係を説明するための図である。上記説明では、一例として出射角θ1を60°とした構成例を説明したが、実施の形態1にかかる光学デバイス100は、出射角θ1を60°以外の値にした場合でも、出射角θ1の値に応じてプリズム頂角φを変更させることで、プリズム斜面11aからプリズム11c内に入射したP偏光をプリズム底面11bから垂直に出射することが可能である。
【0022】
出射角θ1とプリズム頂角φとの相関関係は、出射角θ1が小さくなるほどプリズム頂角φは小さくなり、出射角θ1が大きくなるほどプリズム頂角φは大きくなる。各部材の屈折率が約1.49であり、かつ、出射角θ1が30.7°の場合、プリズム頂角φは44°にすればよい。また、各部材の屈折率が約1.49であり、かつ、出射角θ1が70.5°の場合、プリズム頂角φは66°にすればよい。
【0023】
以上に説明したように、実施の形態1にかかる光学デバイス100は、光源光21に含まれるP偏光を透過させると共に、光源光21に含まれるS偏光を反射させる反射型偏光板12と、反射型偏光板12で反射されたS偏光をP偏光に変換して反射型偏光板12に入射させる変換部60と、反射型偏光板12側の面に複数のプリズム11cが設けられたプリズムシート11と、を備え、プリズム11cは、プリズムシート11から反射型偏光板12に向かう方向に凸となる頂部(プリズム頂部11d)と、この頂部の両側に形成され反射型偏光板12から出射されたP偏光を取り込む斜面(プリズム斜面11a)と、この斜面からプリズム11c内に取り込まれたP偏光をプリズムシート11の延設方向と垂直の方向に出射する底面(プリズム底面11b)とを有するようにしたので、光源光21が全てP偏光に変換されると共に、プリズム11cの内に入射したP偏光をプリズム斜面11aで全反射させてプリズム底面11bから出射することが可能である。その結果、実施の形態1の光学デバイス100によれば、上述した従来技術に比べて、光を垂直出射するよう屈曲させることにおいて光の利用効率を向上させることが可能である。
【0024】
実施の形態2.
図3は、本発明の実施の形態2にかかる光学デバイス200の構成図である。実施の形態1にかかる光学デバイス100と異なる点は、出射角θ1およびプリズム頂角φの値と、変換部60の設置角の大きさである。実施の形態1にかかる光学デバイス100では、反射型偏光板12を透過したP偏光がプリズム斜面11aに垂直に入射するように構成されていた。実施の形態2にかかる光学デバイス200では、反射型偏光板12を透過したP偏光がプリズム斜面11aにブリュースター角(Brewster's angle)である56°で入射するように構成されている。以下、実施の形態1と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0025】
図3に示される光学デバイス200は、反射型偏光板12と、プリズムシート11と、変換部60とを有して構成されている。実施の形態2にかかる光学デバイス200では、各部材(プリズムシート11および反射型偏光板12など)の屈折率が約1.49であり、出射角θ1が例えば15.27°に設定され、プリズム頂角φが37.46°に設定されている。
【0026】
このように構成された光学デバイス200では、入射角θ2が56°になる。これにより、プリズム斜面11aにおけるP偏光の反射がほぼ0になり、実施の形態1にかかる光学デバイス100に比べて、プリズム斜面11aでの部分反射による光のロスを減らすことが可能である。
【0027】
次に光学デバイス200におけるP偏光およびS偏光の光路を図3に示される記号A〜Fを用いて説明する。(A)光源光21は、出射角θ1=15.27°で入射し、光源光21に含まれるP偏光は、反射型偏光板12を透過する。(B)光源光21に含まれるS偏光は、反射型偏光板12で反射される。(C)反射型偏光板12で反射されたS偏光は、λ/4板40に入射した後に反射板50で反射されて再びλ/4板40を透過する。このS偏光は、λ/4板40を2度透過したことによりP偏光に変換される。(D)変換されたP偏光は、反射型偏光板12に入射する。そして、光源光21に含まれるP偏光と、λ/4板40で変換されたP偏光とは、各々反射型偏光板12を透過し、反射型偏光板12とプリズム11cとが対向する面から出射される。(E)反射型偏光板12から出射された各P偏光は、入射角θ2=56°でプリズム斜面11aへ入射する。(F)そして、プリズム斜面11aからプリズム11c内に入射したP偏光は、プリズム斜面11aで全反射され、プリズムシート11の延設方向と垂直の方向に出射される。
【0028】
以上に説明したように、実施の形態2にかかる光学デバイス200は、反射型偏光板12と、変換部60と、プリズムシート11と、を備え、各部材の屈折率が約1.49の部材で構成され、プリズム頂角φが37.46°に設定され、出射角θ1が15.27°に設定されているので、実施の形態1にかかる光学デバイス100に比べて、プリズム斜面11aでの部分反射による光のロスを減らすことが可能である。
【0029】
実施の形態3.
図4は、本発明の実施の形態3にかかる光学デバイス300の構成図である。実施の形態1にかかる光学デバイス100と異なる点は、反射板50の代わりにシート化された反射シート(反射部)52を用いている点と、λ/4板40の代わりにλ/4板(位相差部)42を用いている点である。以下、実施の形態1と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0030】
図4に示される光学デバイス300は、プリズムシート11と、反射型偏光板12と、変換部61とを有して構成されている。変換部61は、λ/4板42および反射シート52を有している。
【0031】
λ/4板42は、反射型偏光板12に光源光21が入射する側にて反射型偏光板12と平行に設けられ、反射型偏光板12で反射されたS偏光に1/4波長の位相差を与えると共に、この位相差の与えられた光が反射シート52で折り返されて再びλ/4板42を入射した際に、再度1/4波長の位相差を与えてP偏光に変換する。λ/4板42は、反射型偏光板12に近接して配置されている。
【0032】
反射シート52は、λ/4板42に光源光21が入射する側にてλ/4板42と平行に設けられ、λ/4板42側の面とは反対の面(光源光21が反射シート52へ入射する側の面)に断面三角形状の複数のプリズム52cが設けられ、λ/4板42を透過した光を反射してλ/4板42に再度入射させる。反射シート52は、λ/4板42に近接して配置されている。
【0033】
各プリズム52cは、λ/4板42から反射シート52に向かう方向に凸となるプリズム頂部52dと、このプリズム頂部52dの一方の斜面であって光源光21を取り込むプリズム斜面52a(第1の斜面)と、プリズム頂部52dの他方の斜面であってλ/4板42を透過した光を反射してλ/4板42に再度入射させる反射面51(第2の斜面)と、プリズム斜面52aから取り込まれた光源光21をλ/4板42側に出射すると共に、反射型偏光板12で反射されてλ/4板42を透過した光を取り込み、反射面51で反射された光をλ/4板42側に出射するプリズム底面52bと、を有する。なお、プリズム底面52bは、λ/4板42と平行に設けられている。
【0034】
ここで、実施の形態3にかかる光学デバイス300では、出射角θ1が30°に設定され、プリズム底面52bとプリズム斜面52aとの成す角であるプリズム底角θ3が出射角θ1と同じ30°に設定され、プリズム底面52bと反射面51との成す角であるプリズム底角θ4が60°に設定され、プリズム底面52bと反射面51との成す角であるプリズム頂角φ2が90°に設定されている。そのためプリズム斜面52aの法線に対す光源光21の入射角θ5は、略0°となる。
【0035】
また、実施の形態1では、プリズム頂角φが出射角θ1と同じ角度に設定されていたが、実施の形態3では、プリズム11cの頂角であるプリズム頂角φ1が例えば53.2°に設定されている。このように、実施の形態3にかかる光学デバイス300は、出射角θ1が30°の場合、プリズム底角θ3が30°、プリズム底角θ4が60°、プリズム頂角φ2が90°に設定され、さらにプリズム頂角φ1が53.2°に設定されている。そのため、反射型偏光板12を透過したP偏光は、プリズム11c内に入射した後に、プリズム斜面11aで全反射されて、プリズム底面11bから垂直に出射される。なお、図4では、入射角θ2が0°ではないが、プリズム11c内に入射したP偏光は、プリズム底面11bから垂直に出射される。また、図4では、説明の便宜上、プリズム頂部11dが反射型偏光板12と離反した状態で示されているが、実際にはプリズム頂部11dが反射型偏光板12の表面に接触した状態で設けられているものとする。
【0036】
次に光学デバイス300におけるP偏光およびS偏光の光路を図4に示される記号A〜Hを用いて説明する。(A)出射角θ1=30°の光源光21を反射シート52に入射させたとき、(B)光源光21は、プリズム斜面52aへ垂直に入射して、(C)プリズム底面52bから出射される。プリズム底面52bから出射された光源光21は、λ/4板42を透過し、光源光21に含まれるP偏光は、反射型偏光板12を透過する。(D)光源光21に含まれるS偏光は、反射型偏光板12で反射される。(E)反射型偏光板12で反射されたS偏光は、λ/4板42に入射した後に反射面51で反射されて再びλ/4板42を透過する。このS偏光は、λ/4板42を2度透過したことによりP偏光に変換される。(F)変換されたP偏光は、反射型偏光板12に入射する。(G)そして、光源光21に含まれるP偏光と、λ/4板42で変換されたP偏光とは、各々反射型偏光板12を透過し、反射型偏光板12とプリズム11cとが対向する面から出射される。反射型偏光板12から出射された各P偏光は、プリズム斜面11aへ入射する。(H)そして、プリズム斜面11aからプリズム11c内に入射したP偏光は、プリズム斜面11aで全反射されて、プリズムシート11の延設方向と垂直の方向に出射される。
【0037】
実施の形態3にかかる光学デバイス300では、λ/4板42が反射型偏光板12に近接して配置されると共に、反射シート52がλ/4板42に近接して配置されている。この構成によって、デバイス全体の小型化および薄型化を図ることが可能である。特に、反射型偏光板12からプリズム頂部52dまでの厚みを減らすことができるため、実施の形態1にかかる光学デバイス100よりも小型化および薄型化を図ることが可能である。
【0038】
図5は、図4に示される出射角θ1とプリズム頂角φ1との相関関係を説明するための図である。上記説明では、一例として出射角θ1を30°とした構成例を説明したが、実施の形態3にかかる光学デバイス300は、出射角θ1を30°以外の値にした場合でも、出射角θ1の値に応じて、プリズム底角θ3と、プリズム頂角φ1とを変更させることで、プリズム11c内に入射したP偏光をプリズム底面11bから垂直に出射することが可能である。
【0039】
プリズム底角θ3については、出射角θ1に合わせる。また、出射角θ1とプリズム頂角φ1との相関関係は、出射角θ1が小さくなるほどプリズム頂角φ1は小さくなり、出射角θ1が大きくなるほどプリズム頂角φ1は大きくなる。より具体的には、各部材(プリズムシート11、反射型偏光板12、λ/4板42、および反射シート52など)の屈折率が約1.49であり、かつ、出射角θ1が26.9°の場合、プリズム頂角φ2は90°、プリズム底角θ3は26.9°、プリズム底角θ4は63.1°、プリズム頂角φ1は50°にすればよい。また、各部材の屈折率が約1.49であり、かつ、出射角θ1が35.5°の場合、プリズム頂角φ2は90°、プリズム底角θ3は35.5°、プリズム底角θ4は54.5°、プリズム頂角φ1は60°にすればよい。
【0040】
以上に説明したように、実施の形態3にかかる光学デバイス300は、反射型偏光板12に光源光21が入射する側にて反射型偏光板12と平行に設けられ、反射型偏光板12で反射されたS偏光に1/4波長の位相差を与えるλ/4板42と、λ/4板42に光源光21が入射する側にてλ/4板42と平行に設けられ、λ/4板42側の面とは反対の面に断面三角形状の複数のプリズム52cが設けられ、λ/4板42を透過した光を反射してλ/4板42に再度入射させる反射シート52と、を備え、λ/4板42は、反射シート52からの反射光に再度1/4波長の位相差を与えてP偏光に変換し、反射シート52に設けられた各プリズム52cは、λ/4板42から反射シート52に向かう方向に凸となるプリズム頂部52dと、このプリズム頂部52dの一方の斜面であって光源光21を取り込むプリズム斜面52aと、このプリズム頂部52dの他方の斜面であってλ/4板42を透過した光を反射してλ/4板42に再度入射させる反射面51と、プリズム斜面52aから取り込まれた光源光21をλ/4板42側に出射すると共に、反射型偏光板12で反射されてλ/4板42を透過した光を取り込み、反射面51で反射された光をλ/4板42側に出射するプリズム底面52bと、を有するようにしたので、プリズム11c内に入射したP偏光をプリズム斜面11aで全反射させてプリズム底面11bから垂直に出射することができると共に、実施の形態1にかかる光学デバイス100よりも小型化および薄型化を図ることが可能である。
【0041】
実施の形態4.
図6は、本発明の実施の形態4にかかる光学デバイス400の構成図である。実施の形態3にかかる光学デバイス300と異なる点は、実施の形態3の反射型偏光板12の代わりに反射型偏光層(反射型偏光部)13を用いている点と、λ/4板42の代わりにλ/4層(位相差部)41を用いている点と、反射シート52の代わりに反射シート層(反射部)53を用いている点と、さらに、反射型偏光層13、λ/4層41、および反射シート層53が一体化されている点である。以下、実施の形態3と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0042】
図6に示される光学デバイス400は、プリズムシート11と、反射型偏光層13と、変換部62とを有して構成されている。変換部62は、λ/4層41および反射シート層53を有している。
【0043】
λ/4層41は、反射型偏光層13に光源光21が入射する側にて反射型偏光層13と平行に設けられ、反射型偏光層13で反射されたS偏光に1/4波長の位相差を与える。また、λ/4層41は、この位相差の与えられた光が反射シート層53で折り返されて再びλ/4層41を入射した際に、再度1/4波長の位相差を与えてP偏光に変換する。λ/4層41は、反射型偏光層13に面接触した状態で配置されている。
【0044】
反射シート層53は、λ/4層41に光源光21が入射する側にてλ/4層41と平行に設けられ、λ/4層41側の面とは反対の面に断面三角形状の複数のプリズム52cが設けられ、λ/4層41を透過した光を反射してλ/4層41に再度入射させる。反射シート層53は、λ/4層41に面接触した状態で配置されている。
【0045】
各プリズム52cは、λ/4層41から反射シート層53に向かう方向に凸となるプリズム頂部52dと、このプリズム頂部52dの一方の斜面であって光源光21を取り込むプリズム斜面52a(第1の斜面)と、プリズム頂部52dの他方の斜面であってλ/4層41を透過した光を反射してλ/4層41に再度入射させる反射面51(第2の斜面)と、プリズム斜面52aから取り込まれた光源光21をλ/4層41側に出射すると共に、反射型偏光層13で反射されてλ/4層41を透過した光を取り込み、反射面51で反射された光をλ/4層41側に出射するプリズム底面52bと、を有する。なお、図6では、入射角θ2が0°ではないが、プリズム11c内に入射したP偏光は、プリズム底面11bから垂直に出射される。また、図6では、説明の便宜上、プリズム頂部11dが反射型偏光層13と離反した状態で示されているが、実際にはプリズム頂部11dが反射型偏光層13の表面に接触した状態で設けられているものとする。
【0046】
次に光学デバイス400におけるP偏光およびS偏光の光路を図6に示される記号A〜Gを用いて説明する。(A)例えば、出射角θ1=30°の角度で光源光21を反射シート層53に入射させたとき、(B)光源光21は、プリズム斜面52aへ垂直に入射する。(C)プリズム斜面52aからプリズム52c内に入射した光源光21に含まれるP偏光は、反射型偏光層13を透過する。(D)一方、光源光21に含まれるS偏光は、反射型偏光層13で反射される。(E)反射型偏光層13で反射されたS偏光は、λ/4層41に入射した後に反射面51で反射されて再びλ/4層41を透過する。このS偏光は、λ/4層41を2度透過したことによりP偏光に変換され、変換されたP偏光は、反射型偏光層13に入射する。(F)そして、光源光21に含まれるP偏光と、λ/4層41で変換されたP偏光とは、各々反射型偏光層13を透過し、反射型偏光層13とプリズム11cとが対向する面から出射される。反射型偏光層13から出射された各P偏光は、プリズム斜面11aへ入射する。(G)そして、プリズム斜面11aからプリズム11c内に入射したP偏光は、プリズム斜面11aで全反射されて、プリズムシート11の延設方向と垂直の方向に出射される。
【0047】
実施の形態3では、反射型偏光板12とλ/4板42とが面接触しておらず、λ/4板42と反射シート52とが面接触していない。そのため、各部材間に空気層が存在し、空気界面での部分反射によるロスが発生する。実施の形態4では、反射型偏光層13とλ/4層41とが面接触しており、λ/4層41と反射シート層53とが面接触している。そのため、各部材間の空気層が排除され、空気界面での部分反射によるロスが低減される。
【0048】
なお、光学デバイス400における出射角θ1とプリズム頂角φ1との相関関係は、実施の形態3にかかる光学デバイス300と同じである。すなわち、プリズム底角θ3については、出射角θ1に合わせることで対応が可能である。またプリズム頂角φ1については、出射角θ1が小さくなるほどプリズム頂角φ1は小さくなり、出射角θ1が大きくなるほどプリズム頂角φ1は大きくなる。
【0049】
以上に説明したように、実施の形態4にかかる光学デバイス400は、反射型偏光層13に光源光21が入射する側にて反射型偏光層13と平行に設けられ、反射型偏光層13で反射されたS偏光に1/4波長の位相差を与えるλ/4層41と、λ/4層41に光源光21が入射する側にてλ/4層41と平行に設けられ、λ/4層41側の面とは反対の面に断面三角形状の複数のプリズム52cが設けられ、λ/4層41を透過した光を反射してλ/4層41に再度入射させる反射シート層53と、を備え、λ/4層41は、反射シート層53からの反射光に再度1/4波長の位相差を与えてP偏光に変換し、反射シート層53に設けられた各プリズム52cは、λ/4層41から反射シート層53に向かう方向に凸となるプリズム頂部52dと、このプリズム頂部52dの一方の斜面であって光源光21を取り込むプリズム斜面52aと、このプリズム頂部52dの他方の斜面であってλ/4層41を透過した光を反射してλ/4層41に再度入射させる反射面51と、プリズム斜面52aから取り込まれた光源光21をλ/4層41側に出射すると共に、反射型偏光層13で反射されてλ/4層41を透過した光を取り込み、反射面51で反射された光をλ/4層41側に出射するプリズム底面52bと、を有し、さらに、λ/4層41は、反射型偏光層13に面接触した状態で配置され、反射シート層53は、λ/4層41に面接触した状態で配置されているので、実施の形態3の構成に比べて、空気界面での部分反射によるロスを軽減することができると共に、反射型偏光層13からプリズム頂部52dまでにおける厚みをより一層減らすことができるため、更なる小型化および薄型化を図ることが可能である。
【0050】
図7は、実施の形態3、4にかかる光学デバイス300、400を、液晶表示装置のバックライトユニットに適用した例を示す図である。図7には、バックライトユニットの構成部である、光学デバイス300、400と、端部に設けられた光源から出射された光源光を導光し、その光源光を光学デバイス300、400へ出射する導光部20と、光学デバイス300、400の出射面側に配置される液晶パネル30とが示されている。
【0051】
図4、6に示される反射シート52および反射シート層53は、導光部20と対向する面に設けられ、図4、6に示されるプリズムシート11は、液晶パネル30と対向する面に設けられている。このように、液晶表示装置のバックライトユニットに光学デバイス300、400を適用することによって、液晶パネル30と導光部20との間における厚みを減らすことができるため、バックライトユニットの更なる小型化および薄型化を図ることが可能である。
【0052】
なお、実施の形態1〜4では、一例としてプリズムシート11などの各部材の屈折率を約1.49とした場合の構成例を説明したが、同図に示した相関関係が成り立つように構成すれば、各部材の屈折率は、他の値であってもよい。
【0053】
また、実施の形態1〜4にかかる光学デバイス100〜400は、例えば偏光顕微鏡にも適用可能である。
【0054】
また、実施の形態1〜4に示した光学デバイス100〜400は、本発明の内容の一例を示すものであり、更なる別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、一部を省略する等、変更して構成することも可能であることは無論である。
【産業上の利用可能性】
【0055】
以上のように、本発明は、光学デバイスに適用可能であり、特に、バックライト光源部から表示部に入射する光の利用効率を向上させることができる発明として有用である。
【符号の説明】
【0056】
11 プリズムシート
11a プリズム斜面
11b、52b プリズム底面
11c、52c プリズム
11d、52d プリズム頂部
12 反射型偏光板(反射型偏光部)
13 反射型偏光層(反射型偏光部)
20 導光部
21 光源光
30 液晶パネル
40、42 λ/4板(位相差部)
41 λ/4層(位相差部)
50 反射板(反射部)
51 反射面(第2の斜面)
52 反射シート(反射部)
52a プリズム斜面(第1の斜面)
53 反射シート層(反射部)
60、61、62 変換部
100、200、300、400 光学デバイス
θ1 反射型偏光板の法線に対する光源光の出射角
θ2 プリズム斜面の法線に対するP偏光の入射角
θ3、θ4 プリズム底角
θ5 プリズム斜面の法線に対す光源光の入射角
φ、φ1、φ2 プリズム頂角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から出射された光源光に含まれるP偏光を透過させると共に、前記光源光に含まれるS偏光を反射させる反射型偏光部と、
前記反射型偏光部で反射されたS偏光をP偏光に変換して前記反射型偏光部に入射させる変換部と、
前記反射型偏光部からP偏光が出射する側にて前記反射型偏光部と平行に設けられ、前記反射型偏光部側の面に断面三角形状の複数のプリズムが設けられたプリズムシートと、
を備え、
前記プリズムシートに設けられた各プリズムは、前記プリズムシートから反射型偏光部に向かう方向に凸となる頂部と、この頂部の両側に形成され前記反射型偏光部から出射されたP偏光を取り込む斜面と、この斜面からプリズム内に取り込まれたP偏光を前記プリズムシートの延設方向と垂直の方向に出射する底面とを有すること、
を特徴とする光学デバイス。
【請求項2】
前記変換部は、
前記反射型偏光部に前記光源光が入射する側にて前記反射型偏光部と平行に設けられ、前記反射型偏光部で反射されたS偏光に1/4波長の位相差を与える位相差部と、
前記位相差部に前記光源光が入射する側にて前記位相差部と平行に設けられ、前記位相差部側の面とは反対の面に断面三角形状の複数のプリズムが設けられ、前記位相差部を透過した光を反射して前記位相差部に再度入射させる反射部と、
を備え、
前記位相差部は、前記反射部からの反射光に再度1/4波長の位相差を与えてP偏光に変換し、
前記反射部に設けられた各プリズムは、前記位相差部から前記反射部に向かう方向に凸となる頂部と、この頂部の一方の斜面であって前記光源光を取り込む第1の斜面と、この頂部の他方の斜面であって前記位相差部を透過した光を反射して前記位相差部に再度入射させる第2の斜面と、前記第1の斜面から取り込まれた前記光源光を前記位相差部側に出射すると共に、前記反射型偏光部で反射されて前記位相差部を透過した光を取り込み、前記第2の斜面で反射された光を前記位相差部側に出射する底面とを有すること、
を特徴とする請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項3】
前記位相差部は、前記反射型偏光部に面接触した状態で配置され、
前記反射部は、前記位相差部に面接触した状態で配置されていることを特徴とする請求項2に記載の光学デバイス。
【請求項4】
前記プリズムシートに設けられた各プリズムの頂部の角度は、前記反射型偏光部の法線に対する前記光源光の出射角が、大きいほど大きく、小さいほど小さくなることを特徴とする請求項1〜3の何れか1つに記載の光学デバイス。
【請求項5】
前記プリズムシートに設けられた各プリズムの頂部の角度、および前記反射型偏光部の法線に対する前記光源光の出射角は、60°に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の光学デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−181958(P2012−181958A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−42731(P2011−42731)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(503354044)財団法人21あおもり産業総合支援センター (27)