説明

光学デバイス

【課題】導光部材と光学素子とが高精度に位置決めされ、所望の光学特性を得られる光学デバイスを提供すること。
【解決手段】光学デバイス10は、光を導光する例えば光ファイバ21などの導光部材と、光ファイバ21によって導光された光を照射されることで機能する光学素子41と、保持部材61とを有している。保持部材61は、光ファイバ21の一端部23を収容する第1の収容部63と、光学素子41を収容する第2の収容部65とを、保持部材61の内部に有している。保持部材61は、第1の収容部63と第2の収容部65とによって光ファイバ21と光学素子41とを保持部材61の内部で直接保持している。第1の収容部63と第2の収容部65とは、保持部材61の内部にて連通している。第1の収容部63に収容される光ファイバ21と、第2の収容部65に収容される光学素子41とは、保持部材61の内部にて互いに直接当接している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導光部材と光学素子とを有する光学デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、キャップと光変換部材とを有する光部品が開示されている。
キャップは、フェルールが嵌合する第1の孔を有する嵌合部と、第1の孔に通じる第2の孔を有する配置部とを有している。フェルールは、導光部材である光ファイバがフェルールを挿通するように、光ファイバを保持している。
光変換部材は、第2の孔に配設されている。光変換部材は、光変換部材と嵌合部との間に配設された低融点ガラスまたは樹脂によって固定されている。
【0003】
なおフェルールが第1の孔と嵌合し、フェルールの側面の少なくとも一部が第1の孔の内周面にYAG溶接されることにより、キャップはフェルールに固定されている。またキャップの端部がフェルールと固定することもできる。
【0004】
また、接着剤と抵抗溶接と圧入とかしめとのいずれかによって、キャップはフェルールに固定することも可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−188059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1において、光ファイバがフェルールに接着固定した後に、光ファイバの端面とフェルールの端面とが同一平面上に配設されるように、光ファイバの端面とフェルールの端面とが研磨される。そしてフェルールはキャップに固定されている光変換部材に突き当たることで、光ファイバと光変換部材とが位置あわせされている。
【0007】
しかしながら、この位置あわせにおいて、フェルールの端面と光変換部材の端面とが平行に配設されることは困難である。よってほとんどの場合、フェルールの端面は光変換部材の端面に対して傾いてしまい、フェルールの端面と光学部材の端面とが完全に突き当たることは困難である。従って、フェルールの一部分のみが光変換部材に突き当たり、光ファイバと光変換部材との間には隙間が生じる。
【0008】
例えば空気がこの隙間に介在すると、光ファイバを導光した光は隙間において反射し、光は光変換部材に入射しない。このように光ファイバと光変換部材とが高精度に位置決めされないと、光の損失が生じる。
【0009】
この点を解消するために、例えば屈折率整合材が隙間に充填される。しかしこの場合、光ファイバの端面が光変換部材の端面に対して傾いるため、光ファイバの端面から出射される光は光変換部材の所望の位置から入射せず、所望の光学特性を得られない。
【0010】
このため、導光部材と光学素子とが高精度に位置決めされ、所望の光学特性が得られない。
【0011】
本発明は、これらの事情に鑑みてなされたものであり、導光部材と光学素子とが高精度に位置決めされ、所望の光学特性を得られる光学デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は目的を達成するために、光を導光する導光部材と、前記導光部材によって導光された前記光を照射されることで機能する光学素子と、前記導光部材を収容する第1の収容部と、前記光学素子を収容する第2の収容部とを内部に有し、前記導光部材と前記光学素子とが内部で光結合するように、前記第1の収容部と前記第2の収容部とによって前記導光部材と前記光学素子とを内部で保持している保持部材と、を具備し、前記第1の収容部と前記第2の収容部とは、前記保持部材の内部にて連通し、前記第1の収容部に収容される前記導光部材と、前記第2の収容部に収容される前記光学素子とは、前記保持部材の内部にて当接していることを特徴とする光学デバイスを提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、導光部材と光学素子とが高精度に位置決めされ、所望の光学特性を得られる光学デバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係る光学デバイスを示す図である。
【図2A】図2Aは、光学デバイスを示す図である。
【図2B】図2Bは、光学デバイスを示す図である。
【図3A】図3Aは、本発明の第1の実施形態の第1の変形例に係る光学デバイスを示す図である。
【図3B】図3Bは、本発明の第1の実施形態の第2の変形例に係る光学デバイスを示す図である。
【図4】図4は、本発明の第2の実施形態に係る光学デバイスを示す図である。
【図5】図5は、本発明の第3の実施形態に係る光学デバイスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1と図2Aと図2Bとを参照して第1の実施形態について説明する。
図1に示すように、光学デバイス10は、光を導光する例えば光ファイバ21などの導光部材と、光ファイバ21によって導光された光を照射されることで機能する光学素子41と、光ファイバ21と光学素子41とを直接保持する保持部材61とを有している。
【0016】
図1に示すように、光ファイバ21は、光を出射する平面状の出射端面23aを光ファイバ21の一端部23に有している。この光は、例えばレーザ光である。光ファイバ21の他端部25側は、光ファイバ21を保護する例えば樹脂製の図示しない被覆層によって覆われている。光ファイバ21は、例えばガラスとプラスチックとの少なくとも一方によって形成されている。光ファイバ21の直径は、例えば0.125mmである。
【0017】
図1に示すような光学素子41は、例えば蛍光体を有している。光学素子41は、例えば円錐台形状を有している。なお光学素子41は、円錐台形状を有することに限定することはなく、円柱形状や半球形状や放物形状を有していてもよい。光学素子41の剛性は、光ファイバ21の剛性よりも大きい。光学素子41は、例えば平面状の一端面43aを有している。一端面43aは、出射端面23aから出射された光が入射する入射端面である。この一端面43aは、光ファイバ21と光学素子41とが光結合するために、出射端面23aと当接する。一端面43aは、出射端面23aよりも大きい。
【0018】
図1に示すような保持部材61は、例えばジルコニアとガラスと金属との少なくとも1つによって形成されているフェルールである。この金属は、例えばニッケルとSUSと真鍮との少なくとも1つによって構成されている。保持部材61は、例えば円筒形状を有している。保持部材61の外径は、例えば1.0mmである。
【0019】
また図1に示すように、保持部材61は、光ファイバ21の一端部23を収容する第1の収容部63と、光学素子41を収容する第2の収容部65とを、保持部材61の内部に有している。そして保持部材61は、光ファイバ21と光学素子41とが保持部材61の内部で光結合するように、第1の収容部63と第2の収容部65とによって光ファイバ21と光学素子41とを保持部材61の内部で直接保持している。このように保持部材61は、第1の収容部63において部材を介さずに光ファイバ21を直接保持し、第2の収容部65において部材を介さずに光学素子41を直接保持している。第1の収容部63に収容される光ファイバ21と、第2の収容部65に収容される光学素子41とは、保持部材61の内部にて互いに直接当接している。より詳細には、光ファイバ21の出射端面23aと、光学素子41の一端面43aとのみが、互いに当接している。
【0020】
図1に示すように、第1の収容部63と第2の収容部65とは、光ファイバ21(出射端面23a)から出射した光が光学素子41(一端面43a)に入射するように、保持部材61の軸方向において保持部材61の内部にて連通している。詳細には、第1の収容部63と第2の収容部65とは、保持部材61の軸方向において、例えば保持部材61の重心にて、連通している。また第1の収容部63の中心軸と第2の収容部65の中心軸とは、光ファイバ21(出射端面23a)から出射した光が光学素子41(一端面43a)に入射するように、同軸上に配設されている。このため第1の収容部63と第2の収容部65とは、例えば保持部材61の中心軸上に配設されている。第1の収容部63は保持部材61の一端面61a側に配設され、第2の収容部65は保持部材61の他端面61b側に配設されている。
【0021】
第1の収容部63は、保持部材61が光ファイバ21を保持するために配設されており、光ファイバ21を保持する保持孔として機能する。また第1の収容部63は、光ファイバ21が保持部材61に挿入される挿入孔として機能する。図1と図2Aと図2Bとに示すように、第1の収容部63は、第1の収容部63が光ファイバ21の変形及び移動を許容する大きさを有するように、光ファイバ21よりも大きい。つまり、第1の収容部63に収容された光ファイバ21が第1の収容部63の内部にて撓み、変形及び移動でき、出射端面23aが一端面43aに追従して出射端面23a全面が一端面43aと面当接するように、第1の収容部63は光ファイバ21よりも微小に大きくなるように形成されている。
【0022】
第1の収容部63は、例えば円柱形状を有している。第1の収容部63の直径は、例えば0.13mmである。このため、第1の収容部63の径方向において、保持部材61は、例えば0.87mmの肉厚を有することとなる。
【0023】
なお図1に示すように、保持部材61は、光ファイバ21が第1の収容部63に収容されるように、光ファイバ21の一端部23を第1の収容部63にガイドするガイド口67を保持部材61の一端面61aに有している。ガイド口67は、第1の収容部63と連通している。ガイド口67は、保持部材61の一端面61aから保持部材61の他端面61b側に向かって縮径している円錐台形状を有しており、傾斜しているテーパとなっている。なお前述した図示しない被覆層は、保持部材61の一端面61a側、詳細にはガイド口67付近にまで配設されているのみであり、第1の収容部63には挿入されない。このため光ファイバ21の一端部23は、被覆層から露出している。
【0024】
第2の収容部65は、保持部材61が光学素子41を保持するために配設されており、保持孔として機能する。また第2の収容部65は、光学素子41が保持部材61に挿入される挿入孔として機能する。第2の収容部65は、光学素子41と同形状、例えば円錐台形状を有している。よって、第2の収容部65は、他端面61bから一端面61aに向かって縮径している。第2の収容部65は、光学素子41と略同一の大きさ、且つ光学素子41が第2の収容部65と接着する大きさを有している。なお第2の収容部65は、光学素子41が第2の収容部65と嵌合する大きさを有していてもよい。第2の収容部65は、保持部材61の軸方向において、保持部材61の他端面61bを貫通している。
【0025】
また図1に示すように、光学デバイス10は、光ファイバ21と光学素子41とが光結合するために形成される光結合部11に少なくとも配設される屈折率調整材81をさらに有している。この場合、光結合部11は、例えば、出射端面23aと、一端面43aと、保持部材61の軸方向において出射端面23aと一端面43aとの間とを示す。そして屈折率調整材81は、例えば出射端面23aと一端面43aとに塗布され、保持部材61の軸方向において出射端面23aと一端面43aとの間に介在する。なお屈折率調整材81は、これに限定されることは無く、第1の収容部63と第2の収容部65とが連通する連通部分69にて充填されていても良い。
【0026】
また屈折率調整材81は、光ファイバ21と光学素子41と保持部材61の内周面とに接着し、光ファイバ21と光学素子41とを保持部材61に接着する接着剤としても機能する。この場合、屈折率調整材81は、被覆層を含む光ファイバ21を保持部材61に接着するために、第1の収容部63の少なくとも一部とガイド口67の少なくとも一部に充填される。また屈折率調整材81は、光学素子41を保持部材61に接着するために、第2の収容部65の少なくとも一部に充填される。
屈折率調整材81は、脱泡された状態で充填される。
【0027】
このような屈折率調整材81は、例えば、光学用の接着剤と、シリコーンオイルと、シリコーン接着剤と、シリコーン樹脂と、エポキシ等の接着剤とのいずれか1つである。
【0028】
なお屈折率調整材81は、例えば高温槽で加熱されることで硬化する接着剤である。屈折率調整材81は、硬化によって光ファイバ21と光学素子41と保持部材61の内周面とに接着し、光ファイバ21と光学素子41とを保持部材61に接着する。硬化した屈折率調整材81は、光ファイバ21と光学素子41と保持部材61の内周面とに接着することで、光ファイバ21と光学素子41と保持部材61と一体となる。また硬化した屈折率調整材81は、光学デバイス10の剛性を向上させる剛性向上部材として形成される。
【0029】
また屈折率調整材81は、光結合部11における屈折率を所望に調整する。このため屈折率調整材81は、空気の屈折率よりも高い屈折率を有している。また、屈折率調整材81は、耐光性をさらに有している。このような屈折率調整材81は、光ファイバ21と光学素子41との光結合効率を向上させ、所望の光学特性を得るために配設されている。
【0030】
次に図1と図2Aと図2Bとを参照して本実施形態における光学デバイス10の組立方法について説明する。
屈折率調整材81は、脱泡された状態で、例えば第1の収容部63と第2の収容部65とに充填される。ことのき屈折率調整材81は、例えば、第1の収容部63(保持部材61の一端面61a側)から溢れてから漏れないように、ディスペンサで圧力をかけながら第2の収容部65(保持部材61の他端面61b)から保持部材61の内部に注入される。
【0031】
光学素子41は、第2の収容部65における保持部材61の内周面と当接するように、保持部材61の他端面61b側から第2の収容部65に挿入されて、第2の収容部65に収容される。光学素子41は、第2の収容部65と略同一の大きさを有しているため、第2の収容部65に高精度に位置決めされる。
【0032】
光ファイバ21は、ガイド口67によって第1の収容部63にガイドされる。そして光ファイバ21は、出射端面23aのみが一端面43aと当接するように、ガイド口67から第1の収容部63に挿入されて、第1の収容部63に収容される。
【0033】
なお第1の収容部63と第2の収容部65とは例えば保持部材61の中心軸上に配設されているため、光ファイバ21と光学素子41とは保持部材61の中心軸上に配設される。
【0034】
なお図2Aに示すように、本実施形態では、光ファイバ21が第1の収容部63の中心軸に対して斜行して第1の収容部63に挿入されたとしても、保持部材61は第1の収容部63において部材を介さずに光ファイバ21を直接保持している。よって出射端面23aの一部は一端面43aと必ず直接当接する。このとき出射端面23aと一端面43aとの間に開き角度をθ1が形成される。
ここで本実施形態とは異なり、例えば前述した特許文献1のように図示しない部材が光ファイバ21を覆うように保持し、光ファイバ21が図示しない部材と共に第1の収容部63の中心軸に対して斜行して第1の収容部63に挿入されたとする。つまり保持部材61は、第1の収容部63において、この図示しない部材を介して光ファイバ21を間接的に保持したとする。この場合、第1の収容部63は、図示しない部材よりも極微小に大きいとする。またこの場合、図示しない部材の端面は、一端面43aに対して傾斜した状態で、一端面43aと当接する。よって、出射端面23aと一端面43aとは離れ、出射端面23aと一端面43aとの間に開き角度をθ2(不図示)が形成される。
そして開き角度θ1は、開き角度θ2よりも図示しない部材の厚み分だけ小さくなる。よって、出射端面23aと一端面43aとの距離は、図示しない部材が配設されている場合の距離に比べて短くなる。これにより、光ファイバ21と光学素子41との光結合効率は向上し、所望の光学特性が得られる。
【0035】
また開き角度θ2が0または開き角度θ1よりも小さくなるように、図示しない部材を含む光ファイバ21の傾きを調整することは、図示しない部材と第1の収容部63との間の極微小な隙間との関係によって容易ではない。
しかしながら本実施形態では、第1の収容部63は、第2の収容部65と保持部材61の内部にて連通し、光ファイバ21よりも微小に大きく、部材として光ファイバ21のみを収容している。このため図2Aに示すように、光ファイバ21が第1の収容部63の中心軸に対して斜行して第1の収容部63に挿入されたとしても、出射端面23a全面が一端面43aと面当接するように(図1参照)、光ファイバ21の傾きの調整は可能である。このように光ファイバ21は、高精度に位置決めされる。
【0036】
また前述した図示しない部材が光ファイバ21を保持している場合、開き角度をθ2が0または開き角度θ1よりも小さくなるように、光ファイバ21を含む図示しない部材が撓むことは、図示しない部材の剛性と、図示しない部材と第1の収容部63との間の極微小な隙間との関係によって容易ではない。
しかしながら本実施形態では、第1の収容部63は、光ファイバ21よりも微小に大きく、部材として光ファイバ21のみを収容している。また第1の収容部63は、光ファイバ21の変形及び移動を許容する大きさを有している。よって図2Aに示すように、光学素子41が保持部材61の中心軸に対して微小に傾いて収容され、一端面43aが保持部材61の中心軸に対して傾いたとしても、光ファイバ21が第1の収容部63に挿入された際、出射端面23aのみが一端面43aと当接することで、図2Bに示すように光学素子41よりも剛性が低い光ファイバ21は撓む。このとき、出射端面23aが一端面43aに追従するように、光ファイバ21は撓む。これにより、図2Bに示すように、出射端面23a全面は、一端面43aと面当接する。結果として、光ファイバ21は高精度に位置決めされ、光ファイバ21と光学素子41との光結合効率は向上し、所望の光学特性が得られる。
【0037】
このような状態で、保持部材61は、高温槽に挿入され加熱される。これにより屈折率調整材81は、硬化する。よって、光ファイバ21と光学素子41とは、出射端面23aが一端面43aと当接した状態で、保持部材61の内周面に接着し、保持部材61によって保持される。
これにより、光学デバイス10が組み立てられる。
【0038】
このように本実施形態では、第1の収容部63と第2の収容部65とが保持部材61の内部にて連通し、第1の収容部63に収容される光ファイバ21と第2の収容部65に収容される光学素子41とのみが保持部材61の内部にて直接互いに当接している。これにより本実施形態では、光ファイバ21と光学素子41との間の距離を低減でき、光ファイバ21と光学素子41とを高精度に位置決めでき、光ファイバ21と光学素子41との光結合効率を向上でき、所望の光学特性を得ることができる。
【0039】
また本実施形態は、保持部材61は第1の収容部63において部材を介さずに光ファイバ21を直接保持している。よって本実施形態では、図2Aに示すように、光ファイバ21が第1の収容部63の中心軸に対して斜行して第1の収容部63に挿入されたとしても、出射端面23aと一端面43aとを当接させることができる。またこのとき、本実施形態では、出射端面23aと一端面43aとの距離を、図示しない部材が配設されている場合の距離に比べて短くできる。よって本実施形態では、光ファイバ21と光学素子41との光結合効率を向上でき、所望の光学特性を得ることができる。
【0040】
また本実施形態では、第1の収容部63は、第2の収容部65と保持部材61の内部にて連通し、光ファイバ21よりも微小に大きく、部材として光ファイバ21のみを収容している。
よって本実施形態では、図2Aに示すように、光ファイバ21が第1の収容部63の中心軸に対して斜行して第1の収容部63に挿入されたとしても、出射端面23a全面が一端面43aと面当接するように(図1参照)、光ファイバ21の傾きを調整できる。このように本実施形態では、光ファイバ21を高精度に位置決めできる。
【0041】
また本実施形態では、第1の収容部63は、光ファイバ21よりも微小に大きく、部材として光ファイバ21のみを収容している。また第1の収容部63は、光ファイバ21の変形及び移動を許容する大きさを有している。
よって本実施形態では、図2Bとに示すように、光学素子41が保持部材61の中心軸に対して微小に傾いて収容され、一端面43aが保持部材61の中心軸に対して傾いたとしても、光ファイバ21が第1の収容部63に挿入された際、出射端面23aが一端面43aと当接することで、光学素子41よりも剛性が低い光ファイバ21は撓むことができる。このとき、出射端面23aが一端面43aに追従するように、光ファイバ21は撓む。これにより本実施形態では、出射端面23a全面は一端面43aと面当接することができる。よって本実施形態では、光ファイバ21を高精度に位置決めでき、光ファイバ21と光学素子41との光結合効率を向上でき、所望の光学特性を得ることができる。
【0042】
例えば、保持部材61が図示しない部材を介して光ファイバ21を間接的に保持し、光ファイバ21と図示しない部材とが第1の収容部63に収容され、図示しない部材が傾くことができる場合、第1の収容部63は大きくなる必要がある。これにより第1の収容部63の周辺における保持部材61の肉厚が、本実施形態に比べて薄くなる。しかしながら本実施形態では、保持部材61が光ファイバ21を直接保持し、光ファイバ21のみが第1の収容部63に収容される。よって本実施形態では、図示しない部材が配設されている場合に比べて、第1の収容部63の周辺における保持部材61の肉厚を厚くすることができ、保持部材61が欠けることや割れることを防止できる。そして本実施形態では、光学デバイス10の強度を向上でき、部品加工の歩留まりを向上できる。
【0043】
また本実施形態では、保持部材61が光ファイバ21を直接保持するために、光ファイバ21から生じた熱を保持部材61に直接伝達でき、放熱性を向上できる。
【0044】
また本実施形態では、第1の収容部63の中心軸と第2の収容部65の中心軸とを同軸上に配設することで、光ファイバ21と光学素子41とを容易且つ高精度に位置決めでき、光ファイバ21と光学素子41とを確実に光結合できる。
【0045】
また本実施形態では、屈折率調整材81によって、光ファイバ21と光学素子41との光結合効率を向上でき、所望の光学特性を得ることができる。また本実施形態では、屈折率調整材81によって、光ファイバ21と光学素子41とを保持部材61に接着でき、光ファイバ21と光学素子41とを容易に位置決めできる。
【0046】
また本実施形態では、光ファイバ21のみの傾きを調整し、光ファイバ21のみを撓ませている。これにより本実施形態では、光学素子41の傾きを調整させる場合に比べて、光結合時の位置ずれ及び光学損失を抑えることができる。
【0047】
次に図3Aと図3Bとを参照して本実施形態の第1の変形例と第2の変形例とについて説明する。
光学デバイス10は、光ファイバ21と光学素子41とが光結合するために形成される光結合部11と、保持部材61の外部とを連通し、保持部材61の内部に配設されている連通部71をさらに有している。連通部71は、光結合部11における屈折率調整材81から抜けた気泡を保持部材61の外部に排出する排出部として機能する。
【0048】
図3Aに示す第1の変形例において、連通部71は、保持部材61の径方向に沿って配設されている。図3Aに示すように、例えば連通部71は例えば2つ配設されており、一方の連通部71と他方の連通部71とは保持部材61の周方向において180度離れて配設されている。
【0049】
また図3Bに示す第2の変形例において、連通部71は、保持部材61の軸方向に沿って一端面43a側まで配設されており、第1の収容部63に対して保持部材61の径方向においてずれて配設されている。この場合、第1の収容部63は、光結合部11において連通部71と連通するように、例えば一端面43aに向かって拡径している。
【0050】
このように本変形例では、連通部71によって、屈折率調整材81から抜けた気泡を保持部材61の外部に確実に排出できる。よって本変形例では、気泡が光結合部11に混入することを確実に防止でき、気泡によって光結合効率が低下することを防止でき、所望の光学特性が確実に得ることができる。
なお連通部71の数と形状と大きさとは、特に限定されない。
【0051】
次に図4を参照して第2の実施形態について説明する。
第1の収容部63は、保持部材61の軸方向において、第2の収容部65に向かって細くなるように先細に形成されている。第1の収容部63は、例えば第2の収容部65に向かって縮径している円錐台形状を有している。このように第1の収容部63は、テーパ形状を有している。第1の収容部63において一端面61a側の径の大きさは、光ファイバ21の直径よりも大きい。第1の収容部63は、ガイド口67を兼ねる。
【0052】
これにより本実施形態では、先細に形成された第1の収容部63によって、光ファイバ21を第1の収容部63に容易に挿入でき、光ファイバ21をより高精度に位置決めできる。
【0053】
また本実施形態では、第1の実施形態と比べて、一端面61a側において、光ファイバ21と、第1の収容部63における保持部材61の内周面との間の隙間が大きく形成される。よって屈折率調整材81が第1の収容部63に充填された後に、光ファイバ21が第1の収容部63に収容される場合、本実施形態では、光ファイバ21を第1の収容部63に容易に収容でき、光ファイバ21を自在に位置決めできる。
【0054】
次に図5を参照して第3の実施形態について説明する。
光学デバイス10は、光ファイバ21と光学素子41とが光結合するために形成される光結合部11に配設され、光ファイバ21の剛性よりも低い剛性を有する弾性部材91をさらに有する。弾性部材91は、保持部材61の軸方向において、光ファイバ21の出射端面23aと光学素子41の一端面43aとの間に介在している。弾性部材91は、光ファイバ21の出射端面23aと光学素子41の一端面43aとが当接する際、出射端面23aと一端面43aとが損傷することを防止し、当接時の衝撃を緩衝する緩衝材として機能する。弾性部材91は、例えばシリコン樹脂によって形成されているゴムなどである。
【0055】
弾性部材91は、出射端面23aと一端面43aとのどちらか一方に予め配設されている。弾性部材91が出射端面23aに配設されている場合、図5に示すように弾性部材91は光ファイバ21と共に、第1の収容部63に収容される。弾性部材91が一端面43aに配設されている場合、弾性部材91は光学素子41と共に第2の収容部65に収容される。なお弾性部材91は、第1の収容部63と第2の収容部65との少なくとも一方に配設されていればよい。
【0056】
これにより本実施形態では、弾性部材91によって、光ファイバ21の出射端面23aと光学素子41の一端面43aとが当接する際、出射端面23aと一端面43aとが損傷することを防止でき、当接時の衝撃を緩衝できる。
【0057】
また本実施形態では、弾性部材91は、空気の透過率よりも高い透過率を有している。よって本実施形態では、弾性部材91が出射端面23aと一端面43aとの間に介在していても、弾性部材91によって光結合効率が低下することを防止でき、所望の光学特性を得ることができる。
【0058】
本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。
【符号の説明】
【0059】
10…光学デバイス、11…光結合部、21…光ファイバ、23a…出射端面、41…光学素子、43a…一端面、61…保持部材、63…第1の収容部、65…第2の収容部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を導光する導光部材と、
前記導光部材によって導光された前記光を照射されることで機能する光学素子と、
前記導光部材を収容する第1の収容部と、前記光学素子を収容する第2の収容部とを内部に有し、前記導光部材と前記光学素子とが内部で光結合するように、前記第1の収容部と前記第2の収容部とによって前記導光部材と前記光学素子とを内部で保持している保持部材と、
を具備し、
前記第1の収容部と前記第2の収容部とは、前記保持部材の内部にて連通し、
前記第1の収容部に収容される前記導光部材と、前記第2の収容部に収容される前記光学素子とは、前記保持部材の内部にて当接していることを特徴とする光学デバイス。
【請求項2】
前記第1の収容部は、前記第1の収容部が前記導光部材の変形及び移動を許容する大きさを有するように、前記導光部材よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項3】
前記第1の収容部の中心軸と前記第2の収容部の中心軸とは、同軸上に配設されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光学デバイス。
【請求項4】
前記導光部材と前記光学素子とが光結合するために形成される光結合部に少なくとも配設され、前記光結合部における屈折率を所望に調整し、空気の屈折率よりも高い屈折率を有する屈折率調整材をさらに具備することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の光学デバイス。
【請求項5】
前記保持部材は、前記光結合部と、前記保持部材の外部とを連通し、前記保持部材の内部に配設されている連通部をさらに有していることを特徴とする請求項4に記載の光学デバイス。
【請求項6】
前記第1の収容部は、前記保持部材の軸方向において、前記第2の収容部に向かって細くなるように先細に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の光学デバイス。
【請求項7】
前記導光部材と前記光学素子とが光結合するために形成される光結合部に配設され、前記導光部材の剛性よりも低い剛性を有する弾性部材をさらに具備することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の光学デバイス。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−97097(P2013−97097A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238548(P2011−238548)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】