光学ピックアップ
【課題】 従来の光ピックアップは、ヨークとフォーカスコイルとの隙間が狭くて当たり易い構造となっていたため、ヨークとフォーカスコイルとが当たり易い部分の隙間を大きくする。
【解決手段】 ヨ−ク40の、レンズホルダ38の回動中心に近い側の面に、フォーカスコイル48との接触を避けるための傾斜面39等の逃げ部を設ける。
【解決手段】 ヨ−ク40の、レンズホルダ38の回動中心に近い側の面に、フォーカスコイル48との接触を避けるための傾斜面39等の逃げ部を設ける。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ディスクや光磁気ディスク等の情報記録媒体を用いて情報の記録(書き込み)及び/又は再生(読み取り)を行う光記録再生装置の光学ピックアップに関し、特に、光源から発射されたレーザ光を集光して情報記録媒体の情報記録面に焦点合わせする対物レンズをサーボ制御するアクチュエータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、一般に、再生専用の光ディスクや記録・再生可能な光磁気ディスク(MO)等と言った、いわゆる光学ディスクを情報記録媒体として情報を記録及び/又は再生する光ディスク装置では、スピンドルモータのディスクテーブル上に光学ディスクを水平に装着して回転駆動する一方、光学ピックアップの対物レンズによってレーザ光を光学ディスクの情報記録面に垂直に照射し、その対物レンズを光学ディスクの中心から半径方向外側に水平に移動させながら情報記録面に情報を記録したり当該情報記録面に記録されている情報を再生するようにしている。
【0003】このような光ディスク装置における光学ピックアップの光学系は、例えば、半導体レーザ、ビームスプリッタ、コリメータレンズ、対物レンズ及びフォトダイオード等によって構成されている。半導体レーザから発射されたレーザ光はビームスプリッタ及びコリメータレンズを介して対物レンズに入力され、この対物レンズで集光されて光学ディスクの情報記録面に焦点合わせされる。そして、情報記録面で反射されたレーザ光はコリメータレンズを通過してビームスプリッタに戻り、このビームスプリッタにより方向が変えられてフォトダイオードに入力され、このフォトダイオードから所定の情報信号として出力される構成となっている。
【0004】このような光学ピックアップの、従来のアクチュエータとしては、例えば、図11に示すようなものがある。図中、1は対物レンズ、2はレンズホルダ、3はヒンジアームであり、アームベース4に基端が固定されたヒンジアーム3の先端にレンズホルダ2が回動及び平行移動可能に支持されている。このレンズホルダ2には、レンズ固定部2aの上面に固定された対物レンズ1と反対側に延びる一対のコイル保持部2bが設けられており、両コイル保持部2b間にヒンジアーム3の先部が挿入されている。ヒンジアーム3は、このヒンジアーム3を左右方向へ回動させるための前後のヒンジ部3a,3bと、このヒンジアーム3を上下方向へ平行移動させるための上下のヒンジ部3c,3dとを有し、これらのヒンジ部3a〜3dを有するヒンジアーム3の動作を介して対物レンズ1が上下方向(フォーカス方向)及び左右方向(トラッキング方向)の二方向へ移動可能に構成されている。
【0005】また、レンズホルダ2の各コイル保持部2bの外側には、四角形に巻回されたフォーカスコイル5が取り付けられていると共に、各フォーカスコイル5の外側にはトラッキングコイル6が固定されている。そして、フォーカスコイル5の内部には、下方に配設されたベースプレート7から上方へ折り出すことによって形成され且つフォーカスコイル5の長手方向に延在されたヨーク8が挿入されている。更に、同じくベースプレート7から上方へ折り出すことによって形成された支持片7aには、トラッキングコイル6に対して外側から対向するようにマグネット9が取り付けられている。
【0006】かくして、前後のヒンジ部3a,3bでヒンジアーム3を左右方向へ回動させることにより、レンズホルダ2に回動運動を与えて対物レンズ1を左右方向へトラッキングさせることができる。また、上下のヒンジ部3c,3dでヒンジアーム3を上下動させることにより、レンズホルダ2に上下方向の運動を与えて対物レンズ1をフォーカスすることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述したような従来の光学ピックアップにおいては、ベースプレート7のプレス成形によってヨーク8が一体成形されており、そのヨーク8をそのままフォーカスコイル5内に挿入する構造となっていた。そのため、レンズホルダ2の回動可能な範囲が狭くなっていて、フォーカスコイル5とヨーク8とが比較的容易に接触するおそれがあるという課題があった。
【0008】即ち、図11に示すアクチュエータは、情報記録媒体としてミニディスク(MD)を使用した光ディスク装置に用いられている光学ピックアップのアクチュエータを示すものである。このアクチュエータによれば、トラッキング方向に可動した時の対物レンズ1のストロークSは0.4mm必要であるが、この従来のアクチュエータでは、ヨーク8がフォーカスコイル5の長手方向に延在されていて、そのヒンジアーム3側の面がフォーカスコイル5の一部と平行になっていたため、対物レンズ1が角度θ回動するとフォーカスコイル5も同じ角度φ1(θ=φ1)回動することから、対物レンズ1の調整範囲を0.1mm以下にしなければならなかった。その結果、対物レンズ1の調整範囲が0.1mmを越えた場合には、光ディスクの偏心等に対してアクチュエータが追従できなくなり、音飛び等の問題が発生する。
【0009】また、トラッキングのストローク量が小さいために、対物レンズ1の調整方法が機械的な調整になってしまい、光学的に望ましいレーザパワーを中心とした調整方法をとることができないという問題がある。その他、ストローク量を増加させる方法として、例えば、ヨーク8を細くすることも考えられるが、そうするとアクチュエータを動かす力が減少するという問題があった。
【0010】本発明は、かかる従来の課題に鑑みてなされたものであり、ヨークとフォーカスコイルとが当たり易い部分の隙間を大きくすることにより、上記課題を解決することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の光学ピックアップは、上述したような課題等を解決し、上記目的を達成するために、ヨ−クの、レンズホルダの回動中心に近い側の面に、フォーカスコイルとの接触を避けるための逃げ部を設けたことを特徴としている。
【0012】本発明は、上述のように構成したことにより、コイルが回動すると、ヨークと接触するまでの距離が逃げ部によって大きく確保されているため、ディスクの偏心等に対して追従できると共に、対物レンズの調整範囲を広くすることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を図面を参照して説明する。図1〜図7は、本発明の第1実施例を示すもので、情報記録媒体として光磁気ディスクを用いて情報の記録(書き込み)及び/又は再生(読み取り)を行う光ディスク装置の一具体例を示す光磁気記録装置に適用したものである。また、図8〜図10は、本発明の光ピックアップに係るアクチュエータのヨークの形状の他の実施例を示すものである。
【0014】図2は光磁気記録装置の全体構成を示す斜視図であって、図3は図2における光磁気ヘッド機構部分の縦断面図である。この光磁気記録装置は、図2等に示すように、メインフレームに複数個の防振ゴム9を介してフロート状に取り付けられるシャーシ10と、このシャーシ10に接離可能に支持されるディスクカートリッジホルダ(以下「ホルダ」という。)11と、シャーシ10に前後方向に摺動可能に支持されると共にその摺動動作に伴いホルダ11をシャーシ10の基板面10aに対して接離動作させるスライダ12と、光磁気ヘッド機構13及びディスク回転機構(図示せず)とから構成されている。
【0015】シャーシ10には、基板面10aの両側に側面部10bが対向して立ち上げ形成されていると共に、基板面10aの略中央部にはディスク回転機構のターンテーブルが配設されている。そして、シャーシ10の基板面10aの中央部から一方の側面部10b側には、光磁気ヘッド機構13の光学ピックアップ14の移動用開口部10cが形成されている。更に、シャーシ10の両側面部10bの上縁の前後部には、メインフレームの取付片に対面するよう外方に水平に延びる嵌合片10dが設けられており、各嵌合片10dには防振ゴム9が嵌合固定されている。そして、シャーシ10の両側面部10bの前端には、フロントドア15が回動可能に軸支される軸支片10eが突出形成されている。
【0016】ホルダ11は、シャーシ10の基板面10aよりも幅狭の天板面11aを有し、この天板面11aの両側には側面部11bが対向して立ち下げ形成され、この両側面部11bの前端部の下縁には内方に水平に延びるホルダ片11cが突出形成されている。これら天板面11a、両側面部11b及びホルダ片11cによって、後述するディスクカートリッジ80を挿抜自在に保持するカートリッジ収納部111が形成されている。このホルダ11の天板面11aの中央部から一方の側面部11b側には、光磁気ヘッド機構13のオーバーライトヘッド(以下「磁気ヘッド」という。)16の移動用窓穴17が形成されている。
【0017】更に、ホルダ11の一方の側面部11bの内面の略中央部には、ディスクカートリッジ80の挿入によってシャッタ部材84を全開位置に移動操作するシャッタ開放機構部としてのシャッタ開放用の操作片18が水平に折曲形成され、他方の側面部11bの内面の後部には、ディスクカートリッジ80の誤挿入防止用の突出片が水平に折曲形成されている。そして、このように形成されるホルダ11には、ディスクカートリッジ80のシャッタ部材84を係止するシャッタ係止ばね部材19とカートリッジ装着用アーム部材20とが配置されている。
【0018】このシャッタ係止ばね部材19は、カートリッジ収納部111にディスクカートリッジ80を挿入する時に弾性変形してシャッタ部材84を押えると共に、シャッタ開口部に係合してシャッタ部材84を係止する。そして、ディスクカートリッジ80の引抜き後に挿入方向に移動しながら弾性復帰する。また、カートリッジ装着用アーム部材20は、ホルダ11の天板面11aの他方の後部に配置されており、ディスクカートリッジ80の挿抜によって回動する。このアーム部材20は略扇形状をなしていて、その基端部に挿通された支点軸21によって回動可能に軸支されていると共に、先端の一側にはアーム片20aが形成されている。
【0019】また、スライダ12は、ホルダ11の天板面11aよりも若干幅狭の天板面12aを有し、この天板面12aの両側には、シャーシ10の側面部10bとホルダ11の側面部11bとの間に位置される側面部12bを立ち下げ形成している。そして、スライダ12の天板面12aには、略中央部から一方の側面部12b側に延びる移動用開口部22が形成されており、この移動用開口部22には磁気ヘッド16が臨むように配置されている。
【0020】光磁気ヘッド機構13は、図4に拡大して示すように、光磁気ディスクの情報記録面に対してレーザ光を照射する対物レンズ23を有する光学ピックアップ14と、光磁気ディスクDの情報記録面に対して所定の外部磁界を印加する磁界印加ヘッドをスライダに組み込んでなるオーバーライトヘッドとしての磁気ヘッド16等を備えている。そして、光学ピックアップ14と磁気ヘッド16とは、図3に示すように、光磁気ディスクDを上下から挟むように上下方向に対向し、保持装置24に取り付けられて一体的に移動されるように構成されている。
【0021】即ち、光学ピックアップ14は、図3及び図4に示すように、平行に設けられた2本のガイド軸25a,25bにガイドされて光磁気ディスクDの半径方向に摺動するスライドベース26と、このスライドベース26に取り付けられて対物レンズ23を二軸方向へ揺動可能に駆動する二軸デバイスと呼ばれるアクチュエータ27と、光源としての半導体レーザ28と、この半導体レーザ28から発射されたレーザ光を集光して情報記録媒体としての光磁気ディスクDの情報記録面に照射すると共に反射してきたレーザ光を光検出器76にて受光する光学系要素29等を備えている。
【0022】スライドベース26は、図5に示すように、長手方向の一側に設けられ且つアクチュエータ27が収容される凹陥部30と、長手方向の他側に設けられ且つ半導体レーザ28から発射されたレーザ光を光学系要素29に通過させる光通路31とを設けた枠体からなり、このスライドベース26の凹陥部30側にはベアリング付きガイド孔32を有する軸受片26aが設けられ、その反対の光通路31側にはガイド溝33を有する軸受片26bが設けられている。そして、スライドベース26のガイド孔32には一方のガイド軸25aが摺動可能に嵌合されていると共に、ガイド溝33にはガイド軸25aと平行に設けられた他方のガイド軸25bが摺動可能に係合されており、両ガイド軸25a,25bにガイドされて、スライドベース26が後述するスライド送り機構の作動によりガイド軸25a,25bの軸方向に摺動される。
【0023】アクチュエータ27は、スライドベース26の凹陥部30内に取付ねじで固定されるベースプレート34と、このベースプレート34に対して取付ねじ35で高さ調整可能に取り付けられるアームベース36と、このアームベース36に基端が固定されるヒンジアーム37と、このヒンジアーム37の先端に連結固定されるレンズホルダ38とを有し、レンズホルダ38には対物レンズ23が取り付けられている。ベースプレート34は、ヒンジアーム37の幅方向両側に所定の隙間をあけてそれぞれ立ち上げるように設けた左右一対のヨーク40及び取付片41を有し、各取付片41の内側にはマグネット42が取り付けられている。
【0024】ベースプレート34の各ヨーク40は、ヒンジアーム37が延びる方向に延在されていると共に、そのヒンジアーム37側の面、即ちレンズホルダ38の回動中心に近い側の面には、後述するフォーカスコイル48との接触を避けるための逃げ部39が設けられている。この逃げ部39は、図7に拡大して示すように、ヨーク40の長手方向の中央部から両端に向けて傾斜させた傾斜面から形成されている。このようにヨーク40の形状を、その長手方向の中央部を高くして両端を低くした山形形状とすることにより、ヨーク40全体の質量を大きく確保して駆動力の減少を防止しつつ、ストローク量の増加を図っている。
【0025】また、ヒンジアーム37は、上下及び前後に配置された4個のアーム片43a,43b,43c,43dを有する平行リンク機構からなり、各アーム片間の連結部の肉厚を薄くして上下方向へ回動可能とすることにより4箇所にヒンジ部44a,44b,44c,44dを設けている。そして、前アーム片43aの前部及び後アーム片43bの後部には、同じく肉厚を薄くして左右方向へ回動可能とすることによって前ヒンジ部45a及び後ヒンジ部45bをそれぞれ形成し、前ヒンジ部45aによって前固定片46aと連結すると共に、後ヒンジ部45bによって後固定片46bと連結している。そして、後固定片46bをアームベース36のアーム支持部36aに係合することにより、ヒンジアーム37の基端をスライドベース26側に固定している。
【0026】更に、ヒンジアーム37の前固定片46aは、レンズホルダ38のレンズ固定部38aの後部に係合固定されている。従って、レンズホルダ38は、ヒンジアーム37の平行運動を介して上下方向に平行移動することができる。そして、レンズ固定部38aの落下を阻止するストッパをスライドベース26に設け、このストッパ部26cによってレンズ固定部38aの位置を所定の高さに保持している。このレンズホルダ38は、対物レンズ23が上面に取り付けられるレンズ固定部38aと、このレンズ固定部38aの両側から後方に延在された左右一対のコイル保持部38bとを有し、両コイル保持部38b間には、ヒンジアーム37の先端側が所定の隙間を保持して入り込むことができる揺動空間部47が形成されている。そして、レンズホルダ38の両コイル保持部38bのヒンジアーム37他端側である固定片46b側の内側には、当該ヒンジアーム37との接触を避けるために外向きに開くように設けられた逃げ部としての傾斜面38cが形成されている。
【0027】また、レンズホルダ38の両コイル保持部38bには、四角形に巻き取られたフォーカスコイル48が、そのコイル中心を上下方向へ向けた状態で接着剤等の固着手段によってそれぞれ固着されている。そして、各フォーカスコイル48の外側にはトラッキングコイル49が、環状に巻かれた状態で同じく接着剤等の固着手段によってそれぞれ固着されている。このフォーカスコイル48の内側略中央部には、ベースプレート34のヨーク40が下方からそれぞれ挿入され、また、各フォーカスコイル48の外側に固定されたトラッキングコイル49には、ベースプレート34に固定されたマグネット42が対向設置されている。
【0028】これらフォーカスコイル48及びトラッキングコイル49は、レンズホルダ38の両コイル保持部38bの上面に接合されたフレキシブル配線50の一端にそれぞれ接続されており、それらの各他端はレンズ固定部38aの後部から下面側に導出されている。更に、両コイル保持部38bの後端間にはバランス用おもり51が掛け渡されており、このバランス用おもり51によってレンズ固定部38aと両コイル保持部38bとの重量バランスをとるようにしている。
【0029】このような構成を有するレンズホルダ38のレンズ固定部38aには、図1に示すような取付手段によって対物レンズ23が一体的に取り付けられている。即ち、レンズ固定部38aには、対物レンズ23を通るレーザ光を透過させるための貫通穴54が設けられていると共に、この貫通穴54を囲うようにレンズ固定部38aの上面には、対物レンズ23を取り付けるための複数個の固定爪55が一体に設けられている。
【0030】この固定爪55は、対物レンズ23の側面との間に接着剤を保持して当該対物レンズ23を接着剤の接着力によって固定する接着用爪55aと、対物レンズ23の外周面を保持して当該対物レンズ23の倒れを防止して位置決めする位置決め用爪55bとからなり、両爪55a,55bが円周方向に交互に複数個配置されている。この固定爪55のうち、位置決め用爪55bは対物レンズ23の高さよりも若干低く設定されていると共に、接着用爪55aは、更に位置決め用爪55bの高さよりも低く設定されている。そして、接着用爪55aの上面と対物レンズ23の側面との間に接着剤57を塗布し、この接着剤57の接着力によって対物レンズ23がレンズ固定部38aに固定されている。
【0031】このような構成を有する固定爪55によって保持される対物レンズ23は、プラスチックを一体成形した非球面レンズによって形成されている。この対物レンズ23を有するアクチュエータ27は、対物レンズ23が略中央部に位置するようにスライドベース26に取り付けられている。そして、このようなアクチュエータ27に対して半導体レーザ28及び光学系要素29が、図6に示すような位置関係となるよう光通路31によって光透過可能な状態でスライドベース26に取り付けられている。即ち、半導体レーザ28は、スライドベース26の凹陥部30側と反対側の端部に取り付けられており、その光軸L1は対物レンズ23の真下に延びて、対物レンズ23の光軸L2と垂直に交わるように配置されている。
【0032】また、光学系要素29は、回折格子70とビームスプリッタ71とコリメータレンズ72とプリズムミラー73と凹レンズ74と円筒レンズ75と光検出器76等を有し、回折格子70は半導体レーザ28の光発射口前方の光軸L1上に設けられている。更に、半導体レーザ28の光軸L1上には、回折格子70から近い順にビームスプリッタ71、コリメータレンズ72及びプリズムミラー73が配置されていて、プリズムミラー73は半導体レーザ28の光軸L1と対物レンズ23の光軸L2とが交わる位置に設けられ、半導体レーザ28から発射されたレーザ光を90°屈折させて対物レンズ23に導いている。
【0033】この対物レンズ23は、そのレーザ光の焦点を光磁気ディスクDの情報記録面上に結ぶように設定されていると共に、その情報記録面で反射されて対物レンズ23に戻された光を、往路と逆行するようプリズムミラー73側に導く。そして、プリズムミラー73で90°屈折されたレーザ光は、コリメータレンズ72を通ってビームスプリッタ71に入力される。このビームスプリッタ71の一側には、その光軸L3を半導体レーザ28の光軸L1と垂直に交わるように配置された凹レンズ74及び円筒レンズ75が設けられており、このビームスプリッタ71で90°屈折されたレーザ光が凹レンズ74及び円筒レンズ75を通過して、その焦点上に配置されたフォトダイオード等の光検出器76によって検出されるようになっている。
【0034】また、保持装置24は、図2〜図4に示すように、側面から見た形状が略コ字状をなすブラケット60を有し、このブラケット60の上面部60aに支持プレート61が片持状に略水平に固定されている。この支持プレート61には、例えばジンバルばねからなるサスペンション63の基端が固定されていて、その先端には磁気ヘッド16が取り付けられている。更に、支持プレート61の下方には支持レバー62が配置されており、この支持レバー62の基端両側に突出して設けた軸突起62aが、ブラケット60の垂直面部60bの両側に形成された軸受部60cによって上下方向へ回動可能に軸支されている。
【0035】この支持レバー62は、ブラケット60との間に介装されているトーションスプリング64によって常時下方へ回動付勢され、その水平面部62bの先端部62cがサスペンション63から離隔されるように偏倚されている。更に、支持レバー62の水平面部62bの略中央部には、ホルダ11の天板面11aに当接される突当ねじピン65が螺合固定されていて、その頭部が水平面部62b側に突出されている。この突当ねじピン65は、その突出量を調節できるようになっている。
【0036】また、ブラケット60には、光磁気ヘッド機構13を移動操作するステッピングモータ66の回転ねじ軸67に螺合されるねじ受体68が取り付けられている。そして、ブラケット60の下面部60dには、上述したスライドベース26の凹陥部30側の先端部に設けられた固定片26dが固定されている。一方、ステッピングモータ66は、スライダ12に固定されるモータブラケット69に取り付けられており、ステッピングモータ66を駆動して回転ねじ軸67を回転させることにより、ねじ受体68の作動を介して、その回転方向に応じてブラケット60がスライダ12に対して相対的に往復移動することができる。その結果、ブラケット60を介して一体的に構成された光学ピックアップ14及び磁気ヘッド16が、光磁気ディスクDの半径方向に往復移動する。
【0037】以上のように構成される光磁気ヘッド機構13を、図2に示すように、シャーシ10にホルダ11とスライダ12を連結して組み立てたディスクローディング機構に装着する。この光磁気ヘッド機構13の装着は、光学ピックアップ14のガイド孔32に一方のガイド軸25aを挿通した状態で、保持装置24のブラケット60の下面部60d側をシャーシ10の下側に対応させ且つ光学ピックアップ14の対物レンズ23側をシャーシ10の基板面10aに形成された移動用開口部10cに下側から臨ませる。更に、ブラケット60の上面部60a側の支持プレート61及び支持レバー62の水平面部62bをスライダ12の上側に対応させて磁気ヘッド16をスライダ12の天板面12aに形成された移動用開口部22を通してホルダ11の天板面11aに形成された移動用窓穴17に上側から臨ませる。
【0038】この状態でシャーシ10の後面側に予め取り付けられているステッピングモータ66の回転ねじ軸67に、ブラケット60に取り付けたねじ受体68を嵌合すると共に、光学ピックアップ14側のガイド溝33をシャーシ10の下面側に予め横架されているガイド軸25bに係合する。その後、ガイド穴32に挿通したガイド軸25aを、その両端においてシャーシ10の下面側に支持する。このようにして、光磁気ヘッド機構13は、シャーシ10とホルダ11とスライダ12とからなるディスクローディング機構に対してステッピングモータ66により移動可能に装着される。
【0039】次に、シャーシ10の両側面部10bに形成された嵌合片10dに防振ゴム9をそれぞれ嵌合する。更に、シャーシ10の前端部にフロントドア15を軸支し、後端部にはイジェクト駆動機構としての直流ギアドモータを取り付ける。また、シャーシ10の基板面10aの下面側には、所要の電気回路が形成された回路基板(図示せず)を取り付ける。そして、シャーシ10をメインフレームに取り付けることにより、光磁気ヘッド機構13の装着が完了する。
【0040】このように構成される光磁気ディスク装置には、図3に示すようなディスクカートリッジ80が用いられる。このディスクカートリッジ80は、円盤状に形成してなる光磁気ディスクDと、この光磁気ディスクDを回転可能に収納してなるカートリッジ81とを有して構成されている。光磁気ディスクDには、情報記録面に磁気記録層が形成されており、この磁気記録層に光磁気的な記録手段を施すことによって情報信号の書き込み及び読み出し、或いはこれらのうちの一方が行われる。この光磁気ディスクDは、一方の主面部が情報信号の記録面となり、ディスク中央部には円盤状に形成された金属製のチャッキングハブが設けられている。
【0041】また、カートリッジ81は、光磁気ディスクDを内部に収容し得るに十分な空間を有する略箱状をした上下一対の上ハーフ81aと下ハーフ81bとからなり、両ハーフ81a,81bを互いに重ね合わせて一体化することによってカートリッジ81が構成されている。このカートリッジ81の下ハーフ81bの下面部には、光磁気ディスクDの情報記録面の一部をカートリッジ81外に露出させるための第1開口部82と、チャッキングハブをカートリッジ81外に露出させるための中央開口部とが設けられている。
【0042】第1開口部82は、中央開口部の近傍から一方の側面部に向かってカートリッジ挿抜方向へ延在する長孔によって形成されており、ディスクカートリッジ80が光磁気記録装置の本体内に装着された時に、この第1開口部82によって光磁気ディスクDの情報記録面に光学ピックアップ14の対物レンズ23を臨ませるように構成されている。また、中央開口部は、下ハーフ81bの略中央部において円形孔によって形成されており、チャッキングハブをディスク回転駆動機構のディスクテーブルに臨ませるように構成されている。
【0043】更に、カートリッジ81の上ハーフ81aには、第1開口部82に対応する位置において同様の第2開口部83が設けられている。この第2開口部83は、光磁気ディスクDの情報記録面の他面側の一部をカートリッジ81外に露出させるためのものである。ディスクカートリッジ80が光磁気記録装置の本体内に装着された時には、この第2開口部83によって光磁気ディスクDの情報記録面と反対側の面に磁気ヘッド16を臨ませるように構成されている。そして、この第1、第2開口部82,83及び中央開口部を開閉するシャッタ部材84が、カートリッジ81の一方の側面部においてカートリッジ挿抜方向へ摺動可能に取り付けられている。
【0044】以上のように構成される光磁気記録装置の光学ピックアップ14は、例えば、次のようにして動作される。まず、フォーカスコイル48とヨーク40との間に働く磁力の作用により、上下アーム片43c,43dが上下及び前後4つのヒンジ部44a〜44dで上下に回動され、これによる前アーム片43a及び前固定片46aの上下動によってレンズホルダ38が上下方向に平行移動してフォーカスが行われる。
【0045】また、トラッキングコイル49とマグネット42との間に働く磁力の作用により、レンズホルダ38及びヒンジアーム37が前後ヒンジ部45a,45bで左右に回動され、これによるレンズホルダ38の水平方向への移動によってトラッキングが行われる。
【0046】この場合、トラッキング方向に可動した時の対物レンズ23のストロークSを従来と同様に0.4mmとすると、ヨーク40のヒンジアーム37側の面には山形の傾斜面39が設けられているため、対物レンズ23が角度θ回動するとフォーカスコイル48は、その角度θよりも大きな角度φ2(θ<φ2)回動することになる。そのため、対物レンズ1の調整範囲を0.1mm以上に増加することができるようになった。従って、本実施例によれば、光ディスクの偏心等に対してアクチュエータを十分に追従させることができ、音飛び等の不具合が発生するのを確実に防止することができる。
【0047】上述したヨーク40の逃げ部39は、例えば、図8〜図10に示すような形状とすることもできる。図8に示すヨーク40aの逃げ部39aは、長手方向の両端に45度の面取りを設け、このC面取りを逃げ部として構成したものである。また、図9に示すヨーク40bの逃げ部39bは、長手方向の両端に円弧状の面取りを設け、このR面取りを逃げ部として構成したものである。更に、図10に示すヨーク40cの逃げ部39cは、長手方向の両端に凹側の段部を設け、この凹段部を逃げ部として構成したものである。このような構成とすることによっても、上記実施例と同様の効果を得ることができる。
【0048】以上説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、例えば、上記実施例においては、情報記録媒体として光磁気ディスクDを使用した光磁気記録装置に用いられる光学ピックアップについて説明したが、光ディスクを情報記録媒体として用いる光ディスク装置に適用できることは勿論のこと、その他の光学特殊機械に使用することもできる。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更できるものである。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の光学ピックアップによれば、ヨークの、レンズホルダ回動中心に近い側の面に逃げ部を設ける構成としたため、アクチュエータのトラッキング方向のストローク量を増加させることができ、従って、光磁気ディスク等の情報記録媒体の偏心等に対してアクチュエータを十分に追従させることができ、音飛び等の不具合の発生を確実に防止することができる。しかも、光学ピックアップの小型化を図ることができると共に、トラッキングのストローク量が大きいために、構成部品の公差をラフなものにすることができ、製造コストの低減を図ることができる。更に、対物レンズの調整範囲を広げることができると共に、その調整方法を光学的に望ましいレーザパワー中心調整とすることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す光学ピックアップのアクチュエータの平面図である。
【図2】本発明の一実施例を示す光学ピックアップを用いた光磁気記録装置の斜視図である。
【図3】本発明の一実施例を示す光学ピックアップを用いた光磁気記録装置の断面図である。
【図4】本発明の一実施例を示す光学ピックアップを用いた光磁気記録装置の光磁気ヘッド機構の斜視図である。
【図5】本発明の一実施例を示す光学ピックアップの平面図である。
【図6】本発明の一実施例を示す光学ピックアップの光学系の説明図である。
【図7】本発明の一実施例を示す光学ピックアップに係るアクチュエータのヨークの第1実施例を示す斜視図である。
【図8】本発明の光学ピックアップに係るアクチュエータのヨークの第2実施例を示す斜視図である。
【図9】本発明の光学ピックアップに係るアクチュエータのヨークの第3実施例を示す斜視図である。
【図10】本発明の光学ピックアップに係るアクチュエータのヨークの第4実施例を示す斜視図である。
【図11】従来の光学ピックアップのアクチュエータを示す平面図である。
【符号の説明】
10 シャーシ、 11 ホルダ(ディスクカートリッジホルダ)、 12スライダ、 13 光磁気ヘッド機構、 14 光学ピックアップ、 16 磁気ヘッド(オーバライトヘッド)、 23 対物レンズ、 24 保持装置、26 スライドベース、 27 アクチュエータ、 34 ベースプレート、37 ヒンジアーム、 38 レンズホルダ、 38a レンズ固定部、 38b コイル保持部、 39,39a,39b,39c 逃げ部、 40,40a,40b,40c ヨーク、 42 マグネット、 48 フォーカスコイル、49 トラッキングコイル、 55 固定爪、 60 ブラケット、 61支持プレート、 62 支持レバー、 D 光磁気ディスク(情報記録媒体)、L1,L2,L3 光軸
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ディスクや光磁気ディスク等の情報記録媒体を用いて情報の記録(書き込み)及び/又は再生(読み取り)を行う光記録再生装置の光学ピックアップに関し、特に、光源から発射されたレーザ光を集光して情報記録媒体の情報記録面に焦点合わせする対物レンズをサーボ制御するアクチュエータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、一般に、再生専用の光ディスクや記録・再生可能な光磁気ディスク(MO)等と言った、いわゆる光学ディスクを情報記録媒体として情報を記録及び/又は再生する光ディスク装置では、スピンドルモータのディスクテーブル上に光学ディスクを水平に装着して回転駆動する一方、光学ピックアップの対物レンズによってレーザ光を光学ディスクの情報記録面に垂直に照射し、その対物レンズを光学ディスクの中心から半径方向外側に水平に移動させながら情報記録面に情報を記録したり当該情報記録面に記録されている情報を再生するようにしている。
【0003】このような光ディスク装置における光学ピックアップの光学系は、例えば、半導体レーザ、ビームスプリッタ、コリメータレンズ、対物レンズ及びフォトダイオード等によって構成されている。半導体レーザから発射されたレーザ光はビームスプリッタ及びコリメータレンズを介して対物レンズに入力され、この対物レンズで集光されて光学ディスクの情報記録面に焦点合わせされる。そして、情報記録面で反射されたレーザ光はコリメータレンズを通過してビームスプリッタに戻り、このビームスプリッタにより方向が変えられてフォトダイオードに入力され、このフォトダイオードから所定の情報信号として出力される構成となっている。
【0004】このような光学ピックアップの、従来のアクチュエータとしては、例えば、図11に示すようなものがある。図中、1は対物レンズ、2はレンズホルダ、3はヒンジアームであり、アームベース4に基端が固定されたヒンジアーム3の先端にレンズホルダ2が回動及び平行移動可能に支持されている。このレンズホルダ2には、レンズ固定部2aの上面に固定された対物レンズ1と反対側に延びる一対のコイル保持部2bが設けられており、両コイル保持部2b間にヒンジアーム3の先部が挿入されている。ヒンジアーム3は、このヒンジアーム3を左右方向へ回動させるための前後のヒンジ部3a,3bと、このヒンジアーム3を上下方向へ平行移動させるための上下のヒンジ部3c,3dとを有し、これらのヒンジ部3a〜3dを有するヒンジアーム3の動作を介して対物レンズ1が上下方向(フォーカス方向)及び左右方向(トラッキング方向)の二方向へ移動可能に構成されている。
【0005】また、レンズホルダ2の各コイル保持部2bの外側には、四角形に巻回されたフォーカスコイル5が取り付けられていると共に、各フォーカスコイル5の外側にはトラッキングコイル6が固定されている。そして、フォーカスコイル5の内部には、下方に配設されたベースプレート7から上方へ折り出すことによって形成され且つフォーカスコイル5の長手方向に延在されたヨーク8が挿入されている。更に、同じくベースプレート7から上方へ折り出すことによって形成された支持片7aには、トラッキングコイル6に対して外側から対向するようにマグネット9が取り付けられている。
【0006】かくして、前後のヒンジ部3a,3bでヒンジアーム3を左右方向へ回動させることにより、レンズホルダ2に回動運動を与えて対物レンズ1を左右方向へトラッキングさせることができる。また、上下のヒンジ部3c,3dでヒンジアーム3を上下動させることにより、レンズホルダ2に上下方向の運動を与えて対物レンズ1をフォーカスすることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述したような従来の光学ピックアップにおいては、ベースプレート7のプレス成形によってヨーク8が一体成形されており、そのヨーク8をそのままフォーカスコイル5内に挿入する構造となっていた。そのため、レンズホルダ2の回動可能な範囲が狭くなっていて、フォーカスコイル5とヨーク8とが比較的容易に接触するおそれがあるという課題があった。
【0008】即ち、図11に示すアクチュエータは、情報記録媒体としてミニディスク(MD)を使用した光ディスク装置に用いられている光学ピックアップのアクチュエータを示すものである。このアクチュエータによれば、トラッキング方向に可動した時の対物レンズ1のストロークSは0.4mm必要であるが、この従来のアクチュエータでは、ヨーク8がフォーカスコイル5の長手方向に延在されていて、そのヒンジアーム3側の面がフォーカスコイル5の一部と平行になっていたため、対物レンズ1が角度θ回動するとフォーカスコイル5も同じ角度φ1(θ=φ1)回動することから、対物レンズ1の調整範囲を0.1mm以下にしなければならなかった。その結果、対物レンズ1の調整範囲が0.1mmを越えた場合には、光ディスクの偏心等に対してアクチュエータが追従できなくなり、音飛び等の問題が発生する。
【0009】また、トラッキングのストローク量が小さいために、対物レンズ1の調整方法が機械的な調整になってしまい、光学的に望ましいレーザパワーを中心とした調整方法をとることができないという問題がある。その他、ストローク量を増加させる方法として、例えば、ヨーク8を細くすることも考えられるが、そうするとアクチュエータを動かす力が減少するという問題があった。
【0010】本発明は、かかる従来の課題に鑑みてなされたものであり、ヨークとフォーカスコイルとが当たり易い部分の隙間を大きくすることにより、上記課題を解決することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の光学ピックアップは、上述したような課題等を解決し、上記目的を達成するために、ヨ−クの、レンズホルダの回動中心に近い側の面に、フォーカスコイルとの接触を避けるための逃げ部を設けたことを特徴としている。
【0012】本発明は、上述のように構成したことにより、コイルが回動すると、ヨークと接触するまでの距離が逃げ部によって大きく確保されているため、ディスクの偏心等に対して追従できると共に、対物レンズの調整範囲を広くすることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を図面を参照して説明する。図1〜図7は、本発明の第1実施例を示すもので、情報記録媒体として光磁気ディスクを用いて情報の記録(書き込み)及び/又は再生(読み取り)を行う光ディスク装置の一具体例を示す光磁気記録装置に適用したものである。また、図8〜図10は、本発明の光ピックアップに係るアクチュエータのヨークの形状の他の実施例を示すものである。
【0014】図2は光磁気記録装置の全体構成を示す斜視図であって、図3は図2における光磁気ヘッド機構部分の縦断面図である。この光磁気記録装置は、図2等に示すように、メインフレームに複数個の防振ゴム9を介してフロート状に取り付けられるシャーシ10と、このシャーシ10に接離可能に支持されるディスクカートリッジホルダ(以下「ホルダ」という。)11と、シャーシ10に前後方向に摺動可能に支持されると共にその摺動動作に伴いホルダ11をシャーシ10の基板面10aに対して接離動作させるスライダ12と、光磁気ヘッド機構13及びディスク回転機構(図示せず)とから構成されている。
【0015】シャーシ10には、基板面10aの両側に側面部10bが対向して立ち上げ形成されていると共に、基板面10aの略中央部にはディスク回転機構のターンテーブルが配設されている。そして、シャーシ10の基板面10aの中央部から一方の側面部10b側には、光磁気ヘッド機構13の光学ピックアップ14の移動用開口部10cが形成されている。更に、シャーシ10の両側面部10bの上縁の前後部には、メインフレームの取付片に対面するよう外方に水平に延びる嵌合片10dが設けられており、各嵌合片10dには防振ゴム9が嵌合固定されている。そして、シャーシ10の両側面部10bの前端には、フロントドア15が回動可能に軸支される軸支片10eが突出形成されている。
【0016】ホルダ11は、シャーシ10の基板面10aよりも幅狭の天板面11aを有し、この天板面11aの両側には側面部11bが対向して立ち下げ形成され、この両側面部11bの前端部の下縁には内方に水平に延びるホルダ片11cが突出形成されている。これら天板面11a、両側面部11b及びホルダ片11cによって、後述するディスクカートリッジ80を挿抜自在に保持するカートリッジ収納部111が形成されている。このホルダ11の天板面11aの中央部から一方の側面部11b側には、光磁気ヘッド機構13のオーバーライトヘッド(以下「磁気ヘッド」という。)16の移動用窓穴17が形成されている。
【0017】更に、ホルダ11の一方の側面部11bの内面の略中央部には、ディスクカートリッジ80の挿入によってシャッタ部材84を全開位置に移動操作するシャッタ開放機構部としてのシャッタ開放用の操作片18が水平に折曲形成され、他方の側面部11bの内面の後部には、ディスクカートリッジ80の誤挿入防止用の突出片が水平に折曲形成されている。そして、このように形成されるホルダ11には、ディスクカートリッジ80のシャッタ部材84を係止するシャッタ係止ばね部材19とカートリッジ装着用アーム部材20とが配置されている。
【0018】このシャッタ係止ばね部材19は、カートリッジ収納部111にディスクカートリッジ80を挿入する時に弾性変形してシャッタ部材84を押えると共に、シャッタ開口部に係合してシャッタ部材84を係止する。そして、ディスクカートリッジ80の引抜き後に挿入方向に移動しながら弾性復帰する。また、カートリッジ装着用アーム部材20は、ホルダ11の天板面11aの他方の後部に配置されており、ディスクカートリッジ80の挿抜によって回動する。このアーム部材20は略扇形状をなしていて、その基端部に挿通された支点軸21によって回動可能に軸支されていると共に、先端の一側にはアーム片20aが形成されている。
【0019】また、スライダ12は、ホルダ11の天板面11aよりも若干幅狭の天板面12aを有し、この天板面12aの両側には、シャーシ10の側面部10bとホルダ11の側面部11bとの間に位置される側面部12bを立ち下げ形成している。そして、スライダ12の天板面12aには、略中央部から一方の側面部12b側に延びる移動用開口部22が形成されており、この移動用開口部22には磁気ヘッド16が臨むように配置されている。
【0020】光磁気ヘッド機構13は、図4に拡大して示すように、光磁気ディスクの情報記録面に対してレーザ光を照射する対物レンズ23を有する光学ピックアップ14と、光磁気ディスクDの情報記録面に対して所定の外部磁界を印加する磁界印加ヘッドをスライダに組み込んでなるオーバーライトヘッドとしての磁気ヘッド16等を備えている。そして、光学ピックアップ14と磁気ヘッド16とは、図3に示すように、光磁気ディスクDを上下から挟むように上下方向に対向し、保持装置24に取り付けられて一体的に移動されるように構成されている。
【0021】即ち、光学ピックアップ14は、図3及び図4に示すように、平行に設けられた2本のガイド軸25a,25bにガイドされて光磁気ディスクDの半径方向に摺動するスライドベース26と、このスライドベース26に取り付けられて対物レンズ23を二軸方向へ揺動可能に駆動する二軸デバイスと呼ばれるアクチュエータ27と、光源としての半導体レーザ28と、この半導体レーザ28から発射されたレーザ光を集光して情報記録媒体としての光磁気ディスクDの情報記録面に照射すると共に反射してきたレーザ光を光検出器76にて受光する光学系要素29等を備えている。
【0022】スライドベース26は、図5に示すように、長手方向の一側に設けられ且つアクチュエータ27が収容される凹陥部30と、長手方向の他側に設けられ且つ半導体レーザ28から発射されたレーザ光を光学系要素29に通過させる光通路31とを設けた枠体からなり、このスライドベース26の凹陥部30側にはベアリング付きガイド孔32を有する軸受片26aが設けられ、その反対の光通路31側にはガイド溝33を有する軸受片26bが設けられている。そして、スライドベース26のガイド孔32には一方のガイド軸25aが摺動可能に嵌合されていると共に、ガイド溝33にはガイド軸25aと平行に設けられた他方のガイド軸25bが摺動可能に係合されており、両ガイド軸25a,25bにガイドされて、スライドベース26が後述するスライド送り機構の作動によりガイド軸25a,25bの軸方向に摺動される。
【0023】アクチュエータ27は、スライドベース26の凹陥部30内に取付ねじで固定されるベースプレート34と、このベースプレート34に対して取付ねじ35で高さ調整可能に取り付けられるアームベース36と、このアームベース36に基端が固定されるヒンジアーム37と、このヒンジアーム37の先端に連結固定されるレンズホルダ38とを有し、レンズホルダ38には対物レンズ23が取り付けられている。ベースプレート34は、ヒンジアーム37の幅方向両側に所定の隙間をあけてそれぞれ立ち上げるように設けた左右一対のヨーク40及び取付片41を有し、各取付片41の内側にはマグネット42が取り付けられている。
【0024】ベースプレート34の各ヨーク40は、ヒンジアーム37が延びる方向に延在されていると共に、そのヒンジアーム37側の面、即ちレンズホルダ38の回動中心に近い側の面には、後述するフォーカスコイル48との接触を避けるための逃げ部39が設けられている。この逃げ部39は、図7に拡大して示すように、ヨーク40の長手方向の中央部から両端に向けて傾斜させた傾斜面から形成されている。このようにヨーク40の形状を、その長手方向の中央部を高くして両端を低くした山形形状とすることにより、ヨーク40全体の質量を大きく確保して駆動力の減少を防止しつつ、ストローク量の増加を図っている。
【0025】また、ヒンジアーム37は、上下及び前後に配置された4個のアーム片43a,43b,43c,43dを有する平行リンク機構からなり、各アーム片間の連結部の肉厚を薄くして上下方向へ回動可能とすることにより4箇所にヒンジ部44a,44b,44c,44dを設けている。そして、前アーム片43aの前部及び後アーム片43bの後部には、同じく肉厚を薄くして左右方向へ回動可能とすることによって前ヒンジ部45a及び後ヒンジ部45bをそれぞれ形成し、前ヒンジ部45aによって前固定片46aと連結すると共に、後ヒンジ部45bによって後固定片46bと連結している。そして、後固定片46bをアームベース36のアーム支持部36aに係合することにより、ヒンジアーム37の基端をスライドベース26側に固定している。
【0026】更に、ヒンジアーム37の前固定片46aは、レンズホルダ38のレンズ固定部38aの後部に係合固定されている。従って、レンズホルダ38は、ヒンジアーム37の平行運動を介して上下方向に平行移動することができる。そして、レンズ固定部38aの落下を阻止するストッパをスライドベース26に設け、このストッパ部26cによってレンズ固定部38aの位置を所定の高さに保持している。このレンズホルダ38は、対物レンズ23が上面に取り付けられるレンズ固定部38aと、このレンズ固定部38aの両側から後方に延在された左右一対のコイル保持部38bとを有し、両コイル保持部38b間には、ヒンジアーム37の先端側が所定の隙間を保持して入り込むことができる揺動空間部47が形成されている。そして、レンズホルダ38の両コイル保持部38bのヒンジアーム37他端側である固定片46b側の内側には、当該ヒンジアーム37との接触を避けるために外向きに開くように設けられた逃げ部としての傾斜面38cが形成されている。
【0027】また、レンズホルダ38の両コイル保持部38bには、四角形に巻き取られたフォーカスコイル48が、そのコイル中心を上下方向へ向けた状態で接着剤等の固着手段によってそれぞれ固着されている。そして、各フォーカスコイル48の外側にはトラッキングコイル49が、環状に巻かれた状態で同じく接着剤等の固着手段によってそれぞれ固着されている。このフォーカスコイル48の内側略中央部には、ベースプレート34のヨーク40が下方からそれぞれ挿入され、また、各フォーカスコイル48の外側に固定されたトラッキングコイル49には、ベースプレート34に固定されたマグネット42が対向設置されている。
【0028】これらフォーカスコイル48及びトラッキングコイル49は、レンズホルダ38の両コイル保持部38bの上面に接合されたフレキシブル配線50の一端にそれぞれ接続されており、それらの各他端はレンズ固定部38aの後部から下面側に導出されている。更に、両コイル保持部38bの後端間にはバランス用おもり51が掛け渡されており、このバランス用おもり51によってレンズ固定部38aと両コイル保持部38bとの重量バランスをとるようにしている。
【0029】このような構成を有するレンズホルダ38のレンズ固定部38aには、図1に示すような取付手段によって対物レンズ23が一体的に取り付けられている。即ち、レンズ固定部38aには、対物レンズ23を通るレーザ光を透過させるための貫通穴54が設けられていると共に、この貫通穴54を囲うようにレンズ固定部38aの上面には、対物レンズ23を取り付けるための複数個の固定爪55が一体に設けられている。
【0030】この固定爪55は、対物レンズ23の側面との間に接着剤を保持して当該対物レンズ23を接着剤の接着力によって固定する接着用爪55aと、対物レンズ23の外周面を保持して当該対物レンズ23の倒れを防止して位置決めする位置決め用爪55bとからなり、両爪55a,55bが円周方向に交互に複数個配置されている。この固定爪55のうち、位置決め用爪55bは対物レンズ23の高さよりも若干低く設定されていると共に、接着用爪55aは、更に位置決め用爪55bの高さよりも低く設定されている。そして、接着用爪55aの上面と対物レンズ23の側面との間に接着剤57を塗布し、この接着剤57の接着力によって対物レンズ23がレンズ固定部38aに固定されている。
【0031】このような構成を有する固定爪55によって保持される対物レンズ23は、プラスチックを一体成形した非球面レンズによって形成されている。この対物レンズ23を有するアクチュエータ27は、対物レンズ23が略中央部に位置するようにスライドベース26に取り付けられている。そして、このようなアクチュエータ27に対して半導体レーザ28及び光学系要素29が、図6に示すような位置関係となるよう光通路31によって光透過可能な状態でスライドベース26に取り付けられている。即ち、半導体レーザ28は、スライドベース26の凹陥部30側と反対側の端部に取り付けられており、その光軸L1は対物レンズ23の真下に延びて、対物レンズ23の光軸L2と垂直に交わるように配置されている。
【0032】また、光学系要素29は、回折格子70とビームスプリッタ71とコリメータレンズ72とプリズムミラー73と凹レンズ74と円筒レンズ75と光検出器76等を有し、回折格子70は半導体レーザ28の光発射口前方の光軸L1上に設けられている。更に、半導体レーザ28の光軸L1上には、回折格子70から近い順にビームスプリッタ71、コリメータレンズ72及びプリズムミラー73が配置されていて、プリズムミラー73は半導体レーザ28の光軸L1と対物レンズ23の光軸L2とが交わる位置に設けられ、半導体レーザ28から発射されたレーザ光を90°屈折させて対物レンズ23に導いている。
【0033】この対物レンズ23は、そのレーザ光の焦点を光磁気ディスクDの情報記録面上に結ぶように設定されていると共に、その情報記録面で反射されて対物レンズ23に戻された光を、往路と逆行するようプリズムミラー73側に導く。そして、プリズムミラー73で90°屈折されたレーザ光は、コリメータレンズ72を通ってビームスプリッタ71に入力される。このビームスプリッタ71の一側には、その光軸L3を半導体レーザ28の光軸L1と垂直に交わるように配置された凹レンズ74及び円筒レンズ75が設けられており、このビームスプリッタ71で90°屈折されたレーザ光が凹レンズ74及び円筒レンズ75を通過して、その焦点上に配置されたフォトダイオード等の光検出器76によって検出されるようになっている。
【0034】また、保持装置24は、図2〜図4に示すように、側面から見た形状が略コ字状をなすブラケット60を有し、このブラケット60の上面部60aに支持プレート61が片持状に略水平に固定されている。この支持プレート61には、例えばジンバルばねからなるサスペンション63の基端が固定されていて、その先端には磁気ヘッド16が取り付けられている。更に、支持プレート61の下方には支持レバー62が配置されており、この支持レバー62の基端両側に突出して設けた軸突起62aが、ブラケット60の垂直面部60bの両側に形成された軸受部60cによって上下方向へ回動可能に軸支されている。
【0035】この支持レバー62は、ブラケット60との間に介装されているトーションスプリング64によって常時下方へ回動付勢され、その水平面部62bの先端部62cがサスペンション63から離隔されるように偏倚されている。更に、支持レバー62の水平面部62bの略中央部には、ホルダ11の天板面11aに当接される突当ねじピン65が螺合固定されていて、その頭部が水平面部62b側に突出されている。この突当ねじピン65は、その突出量を調節できるようになっている。
【0036】また、ブラケット60には、光磁気ヘッド機構13を移動操作するステッピングモータ66の回転ねじ軸67に螺合されるねじ受体68が取り付けられている。そして、ブラケット60の下面部60dには、上述したスライドベース26の凹陥部30側の先端部に設けられた固定片26dが固定されている。一方、ステッピングモータ66は、スライダ12に固定されるモータブラケット69に取り付けられており、ステッピングモータ66を駆動して回転ねじ軸67を回転させることにより、ねじ受体68の作動を介して、その回転方向に応じてブラケット60がスライダ12に対して相対的に往復移動することができる。その結果、ブラケット60を介して一体的に構成された光学ピックアップ14及び磁気ヘッド16が、光磁気ディスクDの半径方向に往復移動する。
【0037】以上のように構成される光磁気ヘッド機構13を、図2に示すように、シャーシ10にホルダ11とスライダ12を連結して組み立てたディスクローディング機構に装着する。この光磁気ヘッド機構13の装着は、光学ピックアップ14のガイド孔32に一方のガイド軸25aを挿通した状態で、保持装置24のブラケット60の下面部60d側をシャーシ10の下側に対応させ且つ光学ピックアップ14の対物レンズ23側をシャーシ10の基板面10aに形成された移動用開口部10cに下側から臨ませる。更に、ブラケット60の上面部60a側の支持プレート61及び支持レバー62の水平面部62bをスライダ12の上側に対応させて磁気ヘッド16をスライダ12の天板面12aに形成された移動用開口部22を通してホルダ11の天板面11aに形成された移動用窓穴17に上側から臨ませる。
【0038】この状態でシャーシ10の後面側に予め取り付けられているステッピングモータ66の回転ねじ軸67に、ブラケット60に取り付けたねじ受体68を嵌合すると共に、光学ピックアップ14側のガイド溝33をシャーシ10の下面側に予め横架されているガイド軸25bに係合する。その後、ガイド穴32に挿通したガイド軸25aを、その両端においてシャーシ10の下面側に支持する。このようにして、光磁気ヘッド機構13は、シャーシ10とホルダ11とスライダ12とからなるディスクローディング機構に対してステッピングモータ66により移動可能に装着される。
【0039】次に、シャーシ10の両側面部10bに形成された嵌合片10dに防振ゴム9をそれぞれ嵌合する。更に、シャーシ10の前端部にフロントドア15を軸支し、後端部にはイジェクト駆動機構としての直流ギアドモータを取り付ける。また、シャーシ10の基板面10aの下面側には、所要の電気回路が形成された回路基板(図示せず)を取り付ける。そして、シャーシ10をメインフレームに取り付けることにより、光磁気ヘッド機構13の装着が完了する。
【0040】このように構成される光磁気ディスク装置には、図3に示すようなディスクカートリッジ80が用いられる。このディスクカートリッジ80は、円盤状に形成してなる光磁気ディスクDと、この光磁気ディスクDを回転可能に収納してなるカートリッジ81とを有して構成されている。光磁気ディスクDには、情報記録面に磁気記録層が形成されており、この磁気記録層に光磁気的な記録手段を施すことによって情報信号の書き込み及び読み出し、或いはこれらのうちの一方が行われる。この光磁気ディスクDは、一方の主面部が情報信号の記録面となり、ディスク中央部には円盤状に形成された金属製のチャッキングハブが設けられている。
【0041】また、カートリッジ81は、光磁気ディスクDを内部に収容し得るに十分な空間を有する略箱状をした上下一対の上ハーフ81aと下ハーフ81bとからなり、両ハーフ81a,81bを互いに重ね合わせて一体化することによってカートリッジ81が構成されている。このカートリッジ81の下ハーフ81bの下面部には、光磁気ディスクDの情報記録面の一部をカートリッジ81外に露出させるための第1開口部82と、チャッキングハブをカートリッジ81外に露出させるための中央開口部とが設けられている。
【0042】第1開口部82は、中央開口部の近傍から一方の側面部に向かってカートリッジ挿抜方向へ延在する長孔によって形成されており、ディスクカートリッジ80が光磁気記録装置の本体内に装着された時に、この第1開口部82によって光磁気ディスクDの情報記録面に光学ピックアップ14の対物レンズ23を臨ませるように構成されている。また、中央開口部は、下ハーフ81bの略中央部において円形孔によって形成されており、チャッキングハブをディスク回転駆動機構のディスクテーブルに臨ませるように構成されている。
【0043】更に、カートリッジ81の上ハーフ81aには、第1開口部82に対応する位置において同様の第2開口部83が設けられている。この第2開口部83は、光磁気ディスクDの情報記録面の他面側の一部をカートリッジ81外に露出させるためのものである。ディスクカートリッジ80が光磁気記録装置の本体内に装着された時には、この第2開口部83によって光磁気ディスクDの情報記録面と反対側の面に磁気ヘッド16を臨ませるように構成されている。そして、この第1、第2開口部82,83及び中央開口部を開閉するシャッタ部材84が、カートリッジ81の一方の側面部においてカートリッジ挿抜方向へ摺動可能に取り付けられている。
【0044】以上のように構成される光磁気記録装置の光学ピックアップ14は、例えば、次のようにして動作される。まず、フォーカスコイル48とヨーク40との間に働く磁力の作用により、上下アーム片43c,43dが上下及び前後4つのヒンジ部44a〜44dで上下に回動され、これによる前アーム片43a及び前固定片46aの上下動によってレンズホルダ38が上下方向に平行移動してフォーカスが行われる。
【0045】また、トラッキングコイル49とマグネット42との間に働く磁力の作用により、レンズホルダ38及びヒンジアーム37が前後ヒンジ部45a,45bで左右に回動され、これによるレンズホルダ38の水平方向への移動によってトラッキングが行われる。
【0046】この場合、トラッキング方向に可動した時の対物レンズ23のストロークSを従来と同様に0.4mmとすると、ヨーク40のヒンジアーム37側の面には山形の傾斜面39が設けられているため、対物レンズ23が角度θ回動するとフォーカスコイル48は、その角度θよりも大きな角度φ2(θ<φ2)回動することになる。そのため、対物レンズ1の調整範囲を0.1mm以上に増加することができるようになった。従って、本実施例によれば、光ディスクの偏心等に対してアクチュエータを十分に追従させることができ、音飛び等の不具合が発生するのを確実に防止することができる。
【0047】上述したヨーク40の逃げ部39は、例えば、図8〜図10に示すような形状とすることもできる。図8に示すヨーク40aの逃げ部39aは、長手方向の両端に45度の面取りを設け、このC面取りを逃げ部として構成したものである。また、図9に示すヨーク40bの逃げ部39bは、長手方向の両端に円弧状の面取りを設け、このR面取りを逃げ部として構成したものである。更に、図10に示すヨーク40cの逃げ部39cは、長手方向の両端に凹側の段部を設け、この凹段部を逃げ部として構成したものである。このような構成とすることによっても、上記実施例と同様の効果を得ることができる。
【0048】以上説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、例えば、上記実施例においては、情報記録媒体として光磁気ディスクDを使用した光磁気記録装置に用いられる光学ピックアップについて説明したが、光ディスクを情報記録媒体として用いる光ディスク装置に適用できることは勿論のこと、その他の光学特殊機械に使用することもできる。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更できるものである。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の光学ピックアップによれば、ヨークの、レンズホルダ回動中心に近い側の面に逃げ部を設ける構成としたため、アクチュエータのトラッキング方向のストローク量を増加させることができ、従って、光磁気ディスク等の情報記録媒体の偏心等に対してアクチュエータを十分に追従させることができ、音飛び等の不具合の発生を確実に防止することができる。しかも、光学ピックアップの小型化を図ることができると共に、トラッキングのストローク量が大きいために、構成部品の公差をラフなものにすることができ、製造コストの低減を図ることができる。更に、対物レンズの調整範囲を広げることができると共に、その調整方法を光学的に望ましいレーザパワー中心調整とすることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す光学ピックアップのアクチュエータの平面図である。
【図2】本発明の一実施例を示す光学ピックアップを用いた光磁気記録装置の斜視図である。
【図3】本発明の一実施例を示す光学ピックアップを用いた光磁気記録装置の断面図である。
【図4】本発明の一実施例を示す光学ピックアップを用いた光磁気記録装置の光磁気ヘッド機構の斜視図である。
【図5】本発明の一実施例を示す光学ピックアップの平面図である。
【図6】本発明の一実施例を示す光学ピックアップの光学系の説明図である。
【図7】本発明の一実施例を示す光学ピックアップに係るアクチュエータのヨークの第1実施例を示す斜視図である。
【図8】本発明の光学ピックアップに係るアクチュエータのヨークの第2実施例を示す斜視図である。
【図9】本発明の光学ピックアップに係るアクチュエータのヨークの第3実施例を示す斜視図である。
【図10】本発明の光学ピックアップに係るアクチュエータのヨークの第4実施例を示す斜視図である。
【図11】従来の光学ピックアップのアクチュエータを示す平面図である。
【符号の説明】
10 シャーシ、 11 ホルダ(ディスクカートリッジホルダ)、 12スライダ、 13 光磁気ヘッド機構、 14 光学ピックアップ、 16 磁気ヘッド(オーバライトヘッド)、 23 対物レンズ、 24 保持装置、26 スライドベース、 27 アクチュエータ、 34 ベースプレート、37 ヒンジアーム、 38 レンズホルダ、 38a レンズ固定部、 38b コイル保持部、 39,39a,39b,39c 逃げ部、 40,40a,40b,40c ヨーク、 42 マグネット、 48 フォーカスコイル、49 トラッキングコイル、 55 固定爪、 60 ブラケット、 61支持プレート、 62 支持レバー、 D 光磁気ディスク(情報記録媒体)、L1,L2,L3 光軸
【特許請求の範囲】
【請求項1】 対物レンズとフォーカスコイル及びトラッキングコイルが取り付けられたレンズホルダと、上記レンズホルダを回動及び平行移動可能に支持するヒンジアームと、上記フォーカスコイル内に挿入されるヨーク及び上記トラッキングコイルに対向されるマグネットとを有し、上記フォーカスコイルと上記ヨーク及び上記トラッキングコイルと上記マグネットにより形成される磁気回路の磁力を制御して上記レンズホルダを介して上記対物レンズを可動させる光学ピックアップにおいて、上記ヨ−クの、上記レンズホルダの回動中心に近い側の面に、上記フォーカスコイルとの接触を避けるための逃げ部を設けたことを特徴とする光学ピックアップ。
【請求項2】 請求項1記載の光学ピックアップにおいて、上記レンズホルダは、上記ヒンジアームの一端に回動及び平行移動可能に支持されていると共に当該ヒンジアームを挟むように同方向に延在された一対のコイル保持部を有し、上記コイル保持部に四角形に巻回された上記フォーカスコイルをそれぞれ取り付け、各フォーカスコイル内に挿入される上記ヨークを当該フォーカスコイルの長手方向に延在させると共に当該ヨークのヒンジアーム側の角部に上記逃げ部としての傾斜面、面取り又は段差を設けたことを特徴とする光学ピックアップ。
【請求項3】 請求項1記載の光学ピックアップにおいて、上記レンズホルダは、上記ヒンジアームの一端に回動及び平行移動可能に支持されていると共に当該ヒンジアームを挟むように同方向に延在された一対のコイル保持部を有し、上記コイル保持部のヒンジアーム他端側の内側に、当該ヒンジアームとの接触を避けるための逃げ部を設けたことを特徴とする光学ピックアップ。
【請求項1】 対物レンズとフォーカスコイル及びトラッキングコイルが取り付けられたレンズホルダと、上記レンズホルダを回動及び平行移動可能に支持するヒンジアームと、上記フォーカスコイル内に挿入されるヨーク及び上記トラッキングコイルに対向されるマグネットとを有し、上記フォーカスコイルと上記ヨーク及び上記トラッキングコイルと上記マグネットにより形成される磁気回路の磁力を制御して上記レンズホルダを介して上記対物レンズを可動させる光学ピックアップにおいて、上記ヨ−クの、上記レンズホルダの回動中心に近い側の面に、上記フォーカスコイルとの接触を避けるための逃げ部を設けたことを特徴とする光学ピックアップ。
【請求項2】 請求項1記載の光学ピックアップにおいて、上記レンズホルダは、上記ヒンジアームの一端に回動及び平行移動可能に支持されていると共に当該ヒンジアームを挟むように同方向に延在された一対のコイル保持部を有し、上記コイル保持部に四角形に巻回された上記フォーカスコイルをそれぞれ取り付け、各フォーカスコイル内に挿入される上記ヨークを当該フォーカスコイルの長手方向に延在させると共に当該ヨークのヒンジアーム側の角部に上記逃げ部としての傾斜面、面取り又は段差を設けたことを特徴とする光学ピックアップ。
【請求項3】 請求項1記載の光学ピックアップにおいて、上記レンズホルダは、上記ヒンジアームの一端に回動及び平行移動可能に支持されていると共に当該ヒンジアームを挟むように同方向に延在された一対のコイル保持部を有し、上記コイル保持部のヒンジアーム他端側の内側に、当該ヒンジアームとの接触を避けるための逃げ部を設けたことを特徴とする光学ピックアップ。
【図1】
【図2】
【図7】
【図8】
【図9】
【図3】
【図4】
【図6】
【図10】
【図5】
【図11】
【図2】
【図7】
【図8】
【図9】
【図3】
【図4】
【図6】
【図10】
【図5】
【図11】
【公開番号】特開平9−320081
【公開日】平成9年(1997)12月12日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−132441
【出願日】平成8年(1996)5月27日
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【公開日】平成9年(1997)12月12日
【国際特許分類】
【出願日】平成8年(1996)5月27日
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
[ Back to top ]