光学フィルムチップの切り出し装置及び光学フィルムチップの切り出し方法
【課題】各光学フィルムチップの間で光学軸のばらつきが生じることを低減することが可能な光学フィルムチップの切り出し装置及び光学フィルムチップの切り出し方法を提供する。
【解決手段】光学フィルムから複数の光学フィルムチップを切り出す光学フィルムチップの切り出し装置12であって、光学フィルムを切断する切断装置8と、光学フィルムの光学軸の面内分布のデータを取得し、光学フィルムの光学軸の面内分布のデータに基づいて、切断装置8による光学フィルムの切断方向を前記光学フィルムの面内で異ならせる制御装置10と、を含む。
【解決手段】光学フィルムから複数の光学フィルムチップを切り出す光学フィルムチップの切り出し装置12であって、光学フィルムを切断する切断装置8と、光学フィルムの光学軸の面内分布のデータを取得し、光学フィルムの光学軸の面内分布のデータに基づいて、切断装置8による光学フィルムの切断方向を前記光学フィルムの面内で異ならせる制御装置10と、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学フィルムチップの切り出し装置及び光学フィルムチップの切り出し方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
偏光フィルム、位相差フィルム等の光学フィルムは、液晶表示装置を構成する重要な光学部品である。例えば、液晶表示装置においては、偏光フィルムが矩形状の光学フィルムチップとして液晶パネルの上下面に一枚ずつ貼り合わされている。光学フィルムチップは、長尺状の光学フィルムを原材料とし、これをカッターで矩形状に切断することにより得られる(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
図13は、従来の光学フィルムチップの切り出し方法を示す模式図である。
【0004】
先ず、図13(a)に示すように、光学フィルム101が搬送装置100により送り出される。
【0005】
次に、図13(b)に示すように、搬送装置100により送り出された光学フィルム101は、不図示の切断装置により斜角カットされる。これにより光学フィルム中間体(第1の中間フィルム)102が切り出される。この斜角カットの工程においては、光学フィルムチップにおいて目的とされる光学軸の方向が目的の液晶表示装置に適合する方向となるように、光学フィルム101から第1の中間フィルム102が所定の角度で切り出される。
【0006】
次に、図13(c)に示すように、フィルム積層装置110により第1の中間フィルム102にシート状の部材を積層する。フィルム積層装置110は、一対のローラー111,112とシート状の部材を送り出すリール113とを有する。リール113から送り出されるシート状の部材、所定の角度で切り出された第1の中間フィルム102は、一対のローラー111,112の間を通って積層され、次工程に送り出される。
【0007】
次に、図13(d)に示すように、リール113から送り出されるシート状の部材と、所定の角度で切り出された第1の中間フィルム102とが積層された積層フィルムは、不図示の切断装置により半分にカットされる。これにより、第2の中間フィルム103が切り出される。
【0008】
次に、図13(e)に示すように、切り出された第2の中間フィルム103の品質を目視で検査する。
【0009】
次に、図13(f)に示すように、第2の中間フィルム103をステージ120にセットする。ステージ120には、第2の中間フィルム103を位置決めするためのマーキング121が施されている。第2の中間フィルム103をステージ120にセットする際には、図13(d)に示す工程において斜角カットされた辺を基準としてマーキング121に位置決めする。
【0010】
そして、不図示の切断装置により第2の中間フィルム103から複数の光学フィルムチップ104を切り出す。切断装置には、光学フィルムチップ104の長辺の長さに対応した間隔で並ぶ複数のカッターと、光学フィルムチップ104の短辺の長さに対応した間隔で並ぶ複数のカッターとが平面視格子状に配置されており、4つのカッターにより矩形状に切り出される領域が1つの光学フィルムチップ104の切り出し領域となっている。
【0011】
切断装置による第2の中間フィルム103の切断方向(例えば、光学フィルムチップ104の長辺の長さに対応した間隔で並ぶカッターの延在方向)は、光学フィルム101の長手方向に対して目的の角度(設計仕様によって定められた角度)をなすように配置される。例えば、光学フィルムチップ104の光学軸が光学フィルムチップ104の長辺に対して7°をなすように設計されている場合には、光学フィルム101の長手方向に対して切断装置の切断方向を7°に設定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2003−255132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
図13(f)の工程において、第2の中間フィルム103の切断方向を光学フィルム101の長手方向を基準として設定するのは、一般に、長尺状の光学フィルム101が二色性色素で染色した樹脂フィルムを一軸延伸させて製造されており、光学フィルム101の光学軸の方向が樹脂フィルムの延伸方向と概ね一致するからである。しかし、光学フィルム101の光学軸は、光学フィルム101全体で均一ではなく、光学フィルム101の幅方向において若干ばらついている。例えば、二色性色素で染色した樹脂フィルムを一軸延伸して光学フィルム101を製造する場合、樹脂フィルムの厚みのむらや二色性色素の染色むらなどに起因して、光学フィルム101の中央部分の光学軸の方向と、光学フィルム101の端部に近い部分(エッジ部分)の光学軸の方向との間にずれが生じる傾向がある。そのため、光学フィルム101から複数の光学フィルムチップ104を切り出す場合には、この光学軸のばらつきを反映して、光学フィルムチップ104間にも光学軸のばらつきが発生する。
【0014】
また、従来の光学フィルムチップの切り出し方法においては、光学フィルムチップ104において目的とされる光学軸の精度に影響を与える工程が存在する。例えば、図13(b)に示す斜角カットの工程においては、切断装置のカット精度が、位置決めの基準となる斜角カット辺の精度に影響を与える。また、図13(f)に示すチップカットの工程においては、第2の中間フィルム103の位置決め精度、セット精度、切断装置のカット精度が、光学フィルムチップにおいて目的とされる光学軸の精度に影響を与える。
【0015】
以上のように、従来の光学フィルムチップの切り出し方法においては、切り出される複数の光学フィルムチップの間で光学軸の方向にばらつきが発生するという問題がある。最近では、表示装置の高コントラスト化が進んでおり、従来よりも厳しい光学軸の精度が求められるようになっている。例えば、従来の携帯電話では、光学軸の公差は±1°であったが、スマートフォンやタブレット型の情報端末では、±0.25°の光学軸の公差が求められており、今後さらに要求精度が厳しくなると予想される。
【0016】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、複数の光学フィルムチップの間で光学軸のばらつきが生じることを抑制することが可能な光学フィルムチップの切り出し装置及び光学フィルムチップの切り出し方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の目的を達成するために、本発明の光学フィルムチップの切り出し装置は、光学フィルムから複数の光学フィルムチップを切り出す光学フィルムチップの切り出し装置であって、前記光学フィルムを切断する切断装置と、前記光学フィルムの光学軸の面内分布のデータを取得し、前記光学フィルムの光学軸の面内分布のデータに基づいて、前記切断装置による前記光学フィルムの切断方向を前記光学フィルムの面内で異ならせる制御装置と、を含む。
【0018】
本発明においては、前記切断装置は、前記光学フィルムから複数の光学フィルム中間体を切り出す第1切断装置と、前記光学フィルム中間体から複数の前記光学フィルムチップを切り出す第2切断装置と、を含み、前記制御装置は、前記光学フィルムの光学軸の面内分布のデータに基づいて前記光学フィルム中間体の面内の平均的な光学軸の方向を算出し、前記光学フィルム中間体の面内の平均的な光学軸の方向が前記第2切断装置による前記光学フィルム中間体の切断方向に対して目的の角度をなすように前記第2切断装置による前記光学フィルム中間体の切断方向を制御し、前記切断装置は、前記制御装置によって制御された切断方向で前記光学フィルム中間体を切断することにより、前記光学フィルム中間体から複数の前記光学フィルムチップを切り出す。
【0019】
本発明においては、前記光学フィルム中間体を載置する回転ステージを備え、前記制御装置は、前記光学フィルムチップの面内の平均的な光学軸の方向が前記第2切断装置による前記光学フィルム中間体の切断方向に対して目的の角度をなすように前記回転ステージを回転させる。
【0020】
本発明においては、前記制御装置は、前記光学フィルム中間体の面内で最も大きな角度で交差する2つの光学軸を検出し、前記2つの光学軸がなす角を2等分する軸を前記光学フィルム中間体の面内の平均的な光学軸として算出する。
【0021】
本発明においては、前記回転ステージと前記第2切断装置との間には、前記光学フィルム中間体の前記回転ステージ上での設置状態を撮像する撮像装置が設けられており、前記制御装置は、前記撮像装置の撮像結果に基づいて、前記光学フィルム中間体の面内の平均的な光学軸の方向が前記第2切断装置による前記光学フィルム中間体の切断方向に対して目的の角度をなすように前記回転ステージを回転させる。
【0022】
本発明においては、前記光学フィルムの光学軸の面内分布のデータを記憶する記憶装置を備える。
【0023】
本発明においては、前記光学フィルムの光学軸を前記光学フィルムの幅方向の複数の検査位置で検査する検査装置を備える。
【0024】
本発明においては、前記検査装置は、前記光学フィルムの幅方向に移動可能な検光子を備え、前記検査装置は、前記検光子を前記光学フィルムの幅方向に移動させつつ前記検光子によって前記光学フィルムの光学軸を検出することにより、前記光学フィルムの光学軸を前記光学フィルムの幅方向の複数の検査位置で検査する。
【0025】
本発明の光学フィルムチップの切り出し方法は、光学フィルムから複数の光学フィルムチップを切り出す光学フィルムチップの切り出し方法であって、前記光学フィルムの光学軸の面内分布のデータを取得する第1のステップと、前記光学フィルムの光学軸の面内分布のデータに基づいて、前記光学フィルムの切断方向を前記光学フィルムの面内で異ならせつつ、前記光学フィルムから複数の前記光学フィルムチップを切り出す第2のステップと、を含む。
【0026】
本発明においては、前記第2のステップは、光学フィルムから複数の光学フィルム中間体を切り出す第3のステップと、前記光学フィルム中間体から複数の前記光学フィルムチップを切り出す第4のステップと、を含み、前記第4のステップでは、前記光学フィルムの光学軸の面内分布のデータに基づいて、前記光学フィルム中間体の面内の平均的な光学軸の方向を算出し、前記光学フィルム中間体の面内の平均的な光学軸の方向が前記光学フィルム中間体の切断方向に対して目的の角度をなすように前記光学フィルム中間体の切断方向を調整し、調整された前記切断方向で前記光学フィルム中間体を切断することにより、前記光学フィルム中間体から複数の前記光学フィルムチップを切り出す。
【0027】
本発明においては、前記第4のステップでは、前記光学フィルム中間体を回転ステージに載置し、前記光学フィルムチップの面内の平均的な光学軸の方向が前記光学フィルム中間体の切断方向に対して目的の角度をなすように前記回転ステージを回転させる。
【0028】
本発明においては、前記光学フィルム中間体の面内で最も大きな角度で交差する2つの光学軸を検出し、前記2つの光学軸がなす角度を2等分する軸を前記光学フィルム中間体の面内の平均的な光学軸として算出する。
【0029】
本発明においては、前記第4のステップでは、前記光学フィルム中間体の前記回転ステージ上での設置状態を撮像し、撮像結果に基づいて、前記光学フィルムチップの面内の平均的な光学軸の方向が前記第2切断装置による前記光学フィルム中間体の切断方向に対して目的の角度をなすように前記回転ステージを回転させる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、複数の光学フィルムチップの間で光学軸のばらつきが生じることを抑制することが可能な光学フィルムチップの切り出し装置及び光学フィルムチップの切り出し方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1実施形態に係る光学フィルムチップの製造システムを示す模式図である。
【図2】光学フィルムの製造装置の平面図である。
【図3】光学フィルムチップの切り出し装置の要部を示す平面図である。
【図4】光学フィルムの光学軸の面内分布を示す図である。
【図5】光学フィルムから複数の光学フィルム中間体を切り出すときの説明図である。
【図6】回転ステージで光学フィルム中間体を回転させるときの説明図である。
【図7】光学フィルム中間体から複数の光学フィルムチップを切り出すときの説明図である。
【図8】光学フィルムチップの切り出し方法を示すフローチャートである。
【図9】第2実施形態の光学フィルムチップの切り出し装置の要部を示す平面図である。
【図10】光学フィルムの各検査位置において、光学軸の方向と第2切断装置による光学フィルムの切断方向との成す角度が、設計仕様で定められた角度に対してどの程度ずれているかを示すグラフである。
【図11】従来例における光学フィルム中間体から切り出された光学フィルムチップの光学軸のばらつきを示すグラフである。
【図12】実施例における光学フィルム中間体から切り出された光学フィルムチップの光学軸のばらつきを示すグラフである。
【図13】従来例の光学フィルムチップの切り出し方法を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法や比率などは適宜異ならせてある。また、以下の説明及び図面中、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0033】
以下の説明においては、必要に応じてXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。本実施形態においては、長尺の光学フィルムの幅方向をX方向としており、光学フィルムの面内においてX方向に直交する方向(長尺の光学フィルムの搬送方向)をY方向、X方向及びY方向に直交する方向をZ方向としている。
【0034】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態の光学フィルムチップの製造システムを示す模式図である。以下、光学フィルムチップとして偏光板を製造する例を説明するが、光学フィルムチップは、偏光板の他に、位相差フィルムや輝度向上フィルム等でもよく、位相差フィルムや偏光板などの複数の光学素子を積層したものでもよい。
【0035】
光学フィルムチップの製造システム1は、長尺状の光学フィルム(以下、単に光学フィルムと称する)Fを製造する光学フィルムの製造装置11と、光学フィルムの製造装置11で製造した光学フィルムFから複数の光学フィルムチップを切り出す光学フィルムチップの切り出し装置12と、を備えている。
【0036】
光学フィルムの製造装置11は、複数の光学層F1,F2,F3を積層して1枚の光学フィルムFを製造するフィルム積層装置2と、フィルム積層装置2で製造された光学フィルムFの光学軸を光学フィルムの幅方向の複数の検査位置で検査する検査装置3と、を備えている。
【0037】
フィルム積層装置2は、3つの光学層F1,F2,F3を積層して1枚の光学フィルムFを製造する装置である。本実施形態で使用される光学フィルムFは、例えば、PVA(ポリビニルアルコール)等からなる偏光子フィルムF1が、2枚のセルロース系フィルムであるTAC(トリアセチルセルロース)フィルムF2,F3によって挟まれた構造である。なお、偏光子フィルムF1は、一定方向に振動する光以外の光を遮断するため、例えばヨウ素、二色性染料などにより染色されている。
【0038】
フィルム積層装置2には、一対のローラー21,22が上下に設けられている。この両ローラー21,22の間に複数の光学層F1,F2,F3が重ね合わされて供給される。そして、両ローラー21,22によって押圧されることにより、複数の光学層F1,F2,F3が貼合され、1枚の光学フィルムFが製造される。なお、第1フィルムF2および第2フィルムF3の表面に剥離フィルムや保護フィルムなどがさらに積層されていてもよい。当該光学フィルムFは、搬送ローラー23によって、検査装置3に向けて搬送される。
【0039】
検査装置3は、光学フィルムFの上方に配置された光源31と、光学フィルムFの下方に配置された検光子32と、を備えている。検光子32は、光源31から射出され、光学フィルムFを透過した光を受光する図示略の受光素子を備えている。検査装置3では、光学フィルムFおよび検光子32を透過した光の強度を受光素子で検出することにより、光学フィルムFの光学軸を検出する。検光子32は、光学フィルムFの幅方向に移動可能に構成されている。検査装置3は、検光子32を光学フィルムFの幅方向に移動させつつ検光子32によって光学フィルムFの光学軸を検出することにより、光学フィルムFの光学軸を光学フィルムFの幅方向の複数の検査位置で検査する。
【0040】
なお、検査装置3としては、検光子32に光学フィルムFの幅方向に移動させる構成に限らず、光学フィルムFの幅方向において複数の検光子を備えた構成であってもよい。
【0041】
図2は光学フィルムの製造装置11の平面図である。
図2に示すように、光学フィルムFの幅方向(X軸方向)には複数の検査領域CPが設けられている。検光子32は、これら複数の検査領域CPの配列方向に沿って移動可能になっている。これにより、光学フィルムFの幅方向における各検査領域CPにおいて光学軸の方向が検出される。
【0042】
検査装置3で検出された光学フィルムFの光学軸のデータは、光学フィルムFの位置(光学フィルムFの長手方向の位置および幅方向の位置)と関連付けられて記憶装置9に記憶される。検査装置3で検査された光学フィルムは、搬送ローラー24によって、巻き取り部25に向けて搬送される。そして、巻き取り部25においてロール状に巻き取られ、光学フィルムFのロール原反Rが製造される。
【0043】
図1に戻り、光学フィルムチップの切り出し装置12は、ロール原反Rから光学フィルムFを引き出して搬送する搬送装置4と、搬送装置4によって搬送された光学フィルムFから複数の中間サイズの光学フィルム中間体を切り出す第1切断装置5と、第1切断装置5により切り出された光学フィルム中間体を載置する回転ステージ6と、光学フィルム中間体の回転ステージ6上での設置状態を撮像する撮像装置7と、回転ステージ6上に載置された光学フィルム中間体から複数の光学フィルムチップを切り出す第2切断装置8と、光学フィルムFの光学軸の面内分布のデータを記憶する記憶装置9と、フィルム積層装置2、検査装置3、搬送装置4、第1切断装置5、回転ステージ6、撮像装置7、第2切断装置8、及び記憶装置9を統括制御する制御装置10と、を備えている。第1切断装置5と第2切断装置8により、光学フィルムFから複数の光学フィルムチップを切り出す切断装置が構成されている。
【0044】
搬送装置4は、ロール原反Rを装填する装填部41を備えている。装填部41には、光学フィルムの製造装置11で製造され、検査装置3により光学軸が検査された光学フィルムFのロール原反Rが装填される。装填部41に装填された光学フィルムFは、搬送ローラー42,43によって下流側に搬送され、第1切断装置5および第2切断装置8により切断されて、光学フィルムチップが製造される。
【0045】
回転ステージ6は、制御装置10の制御信号により回転する。
【0046】
図3は、光学フィルムチップの切り出し装置12の要部構成を示す平面図である。図3では、光学フィルムチップの切り出し装置12の構成部品のうち、回転ステージ6、第2切断装置8、記憶装置9、及び制御装置10を図示し、その他の図示を省略している。
【0047】
回転ステージ6は、基台60と、基台60上に回転可能に設けられた円形の回転台61とを備えている。回転台61の上面には、光学フィルム中間体Faを位置決めするためのマーキング62が施されている。また、回転台61の上面には、光学フィルム中間体Faを固定するための固定部材63が設けられている。固定部材63は、例えば接着テープである。
【0048】
本実施形態では、光学フィルムFから直接複数の光学フィルムチップを切り出すのではなく、いったん光学フィルムFから複数の中間サイズの光学フィルム中間体Faを切り出し、その後、各光学フィルム中間体Faから複数の光学フィルムチップFcを切り出すこととしている(図7参照)。長尺の光学フィルムFから光学フィルムチップFcを直接切り出すこととすると、光学フィルムチップFcの大きさは長尺の光学フィルムFに比べてはるかに小さい場合が多いため、切り出し操作が困難になる可能性があるからである。
【0049】
光学フィルム中間体Faの大きさや形状は、光学フィルムチップFcの形状や光学フィルムチップFcにおける光学軸の設定方向などに応じて、任意に設定することができる。本実施形態では、光学フィルムFをその長手方向と交差する方向に切断し(斜角カット)、平行四辺形のフィルム体を切り出した後、これを半分に切断することにより、光学フィルム中間体Faを得ている。フィルム体を半分に切断するのは、一方を検査工程に回して、当該フィルム体に欠点(フィルム体の内部において固体と液体と気体の少なくとも1つからなる異物が存在する部分や、フィルム体の表面において凹凸やキズが存在する部分、フィルム体の歪や材質の偏り等によって輝点となる部分等)がないか否かを検査するためである。
【0050】
光学フィルム中間体Faの光学軸の面内分布のデータは、光学フィルムFの光学軸の面内分布のデータに基づいて制御装置10により作製され、光学フィルムFの光学軸の面内分布のデータとともに、記憶装置9に記憶されている。
【0051】
第2切断装置8は、回転ステージ6に隣り合う位置に配置されている。第2切断装置8には、光学フィルム中間体Faから複数の光学フィルムチップFcを切り出すためのカッター8a,8b(例えば、加熱彫刻刃)が設けられている。カッター8a、8bは、X方向に一定間隔で並ぶ複数本の第1カッター8aとY方向に一定間隔で並ぶ複数本の第2カッター8bとがZ方向から見て格子状に配置された構成を有する。第1カッター8aと第2カッター8bによって切り出される矩形の領域が1つの光学フィルムチップFcとなる。なお、光学フィルム中間体Faから複数の光学フィルムチップFcを切り出す構成としては、カッターに限らず、レーザーを用いてもよい。
【0052】
図4(a)〜(c)は、光学フィルムFの光学軸の面内分布を示す図である。なお、図4(a)〜(c)においては、搬送装置4から光学フィルムFが当該光学フィルムFの長手方向(+Y軸方向)に搬送される様子を示している。
【0053】
図4(a)〜(c)に示すように、光学フィルムFの光学軸の面内分布には様々な分布が存在する。光学フィルムFの光学軸は、概ね光学フィルムFの長手方向に沿って配置されている。
しかし、図4(a)に示す光学フィルムFの光学軸の面内分布を見ると、光学フィルムFの長手方向に対して光学軸の方向が若干XY方向(右肩下がり)に傾いている。図4(b)に示す光学フィルムFの光学軸の面内分布を見ると、光学フィルムFの長手方向に対して光学軸の方向が若干XY方向(右肩下がり)に傾いているものと若干−XY方向(右肩上がり)に傾いているものとが光学フィルムFの幅方向に沿って交互に配置されている。図4(c)に示す光学フィルムFの光学軸の面内分布を見ると、光学フィルムFの幅方向両端部では、光学フィルムFの中央部に比べて光学軸の方向が若干内側にずれている。
【0054】
図4(c)のような光学軸の面内分布となるのは、光学フィルムFを構成する偏光子フィルムは、例えば、二色性色素で染色したPVAフィルムを一軸延伸して形成されるが、延伸する際のPVAフィルムの厚みのむらや二色性色素の染色むらなどに起因して、光学フィルムFの中央部分の光学軸の方向と、光学フィルムFの端部に近い部分(エッジ部分)の光学軸の方向との間にはずれが生じる傾向があるためである。以下、一例として図4(c)に示す光学軸の面内分布を有する光学フィルムFを挙げて説明する。
【0055】
このような光学フィルムFから複数の小型の光学フィルムチップを切り出すと、光学フィルムFの中央部から切り出された光学フィルムチップと、光学フィルムFの端部に近い部分から切り出された光学フィルムチップの間で、光学軸の方向にばらつきが生じるため、そのばらつきが大きい場合には、端部に近い部分から切り出された光学フィルムチップを不良品として使うことができず、光学フィルムチップの取れ個数が減少する。
【0056】
そこで、本実施形態においては、記憶装置9に予め記憶された光学フィルムFの光学軸の面内分布のデータに基づいて、第2切断装置8による光学フィルムFの切断方向を光学フィルムFの面内で異ならせている。これにより、各光学フィルムチップFcの間で生じる光学軸のばらつきを低減することを可能にしている。
【0057】
図5は、光学フィルムFから複数の光学フィルム中間体Fa,Fbを切り出すときの説明図である。
本実施形態では、搬送装置4により搬送された光学フィルムFは、第1切断装置(図示略)により斜角カットされる。これにより、2枚の光学フィルム中間体Fa,Fbが切り出される。図示はしないが、各光学フィルム中間体Fa,Fbは、それぞれ光学軸の面内分布を有している。以下、一例として、2枚の光学フィルム中間体Fa,Fbのうち光学フィルム中間体Faを用い、当該光学フィルム中間体Faから複数の光学フィルムチップFcを切り出す方法について説明する。
【0058】
図6は、回転台61で光学フィルム中間体Faを回転させるときの説明図である。図6(a)は、回転台61を回転させる前の光学フィルム中間体Faの設置状態を示す図であり、図6(b)は回転台61を回転させた後の光学フィルム中間体Faの設置状態を示す図である。
【0059】
なお、図6(a)及び図6(b)において、符号L1は所定の軸(斜角カットされていない辺に沿う軸、言い換えると、光学フィルムF(例えばPVAフィルムF1)の幅方向端部に沿う軸)、L2,L3は軸L1に対して平行な軸、符号V1は軸L1からのずれ角が最も大きい光学軸(以下、第1の光学軸と称する)、符号V2は軸L2からのずれ角が最も小さい光学軸(以下、第2の光学軸と称する)、符号V3は第1の光学軸V1と第2の光学軸V2とがなす角を2等分する軸(以下、平均光学軸と称する)、θmaxは所定の軸L1と第1の光学軸V1とのなす角(以下、最大ずれ角と称する)、θminは所定の軸L2と第2の光学軸V2とのなす角(以下、最小ずれ角と称する)、θmidは所定の軸L3と平均光学軸V3とのなす角(以下、平均ずれ角と称する)、である。
ここで、図6(a)及び図6(b)における「ずれ角」は、所定の軸に対して左回りの方向を正とし、所定の軸に対して右回りの方向を負としたときの角度である。
【0060】
本実施形態において、制御装置10は、光学フィルム中間体Faの面内で互いに最も大きな角度で交差する第1の光学軸V1、第2の光学軸V2を検出し、第1の光学軸V1と第2の光学軸V2とがなす角を2等分する軸を光学フィルム中間体Faの面内の平均的な光学軸(平均光学軸V3)として算出する。
【0061】
本実施形態においては、最小ずれ角θminを0とし、最大ずれ角θmaxと最小ずれ角θminとの角度の差をΔαとする。この場合、図6(a)に示すように、最大ずれ角θmaxは角度(Δα)で表される。また、平均ずれ角θmidは角度(Δα/2)で表される。
【0062】
例えば、光学フィルムチップを製造するには、光学フィルムチップの面内の平均的な光学軸の方向が目的の液晶表示装置に適合する方向となるように、所定の角度で切り出される。例えば、偏光板の吸収軸の場合、所定の角度は7°である。
【0063】
ここで、斜角カットされていない辺に沿う軸L1を光学フィルムチップにおいて目的とされる光学軸の方向とした場合を考える。この場合、第2の光学軸V2は、軸L2からのずれ角が最も小さいため、光学フィルムチップにおいて目的とされる光学軸の方向に概ね揃う。一方、第1の光学軸V1は、軸L1からのずれ角が最も大きいため、光学フィルムチップにおいて目的とされる光学軸の方向から大きくずれる。第1の光学軸V1は、光学フィルムチップにおいて目的とされる光学軸の方向から角度Δαだけずれることとなる。
【0064】
これに対し、本実施形態において、制御装置10は、光学フィルムチップFcの面内の平均的な光学軸の方向が第2切断装置8による光学フィルム中間体Faの切断方向に対して目的の角度をなすように回転ステージ6を回転させる構成となっている。本実施形態においては、図6(b)に示すように、平均光学軸V3に対して所定の角度γをなす軸(軸L3)が光学フィルム中間体Faから複数のフィルムチップFcを切り出す際の基準となるように回転台61を回転させ、光学フィルム中間体Faの姿勢を調整している。
【0065】
例えば、回転台61を左回りに(γ−Δα/2)だけ回転させる。これにより、平均光学軸V3は、軸L3に対して角度γをなす。これにより、軸L3が光学フィルム中間体Faから複数のフィルムチップFcを切り出す際の基準となる。また、平均光学軸V3が光学フィルムチップFcにおいて目的となる光学軸の方向に対応する。この場合、第2の光学軸V2は、軸L2に対して(γ−Δα/2)だけずれる。一方、第1の光学軸V1は、軸L1に対して(γ+Δα/2)だけずれる。
つまり、第2の光学軸V2は、光学フィルムチップFcにおいて目的となる光学軸の方向に対して(−Δα/2)だけずれることとなる。一方、第1の光学軸V1は、光学フィルムチップFcにおいて目的となる光学軸の方向に対して(Δα/2)だけずれることとなる。
【0066】
このように、本実施形態によれば、平均光学軸V3を光学フィルムチップFcにおいて目的となる光学軸の方向に対応させているため、斜角カットした辺に対して所定の角度をなす軸L1を光学フィルムチップにおいて目的とされる光学軸の方向とした場合に比べて、第1の光学軸V1及び第2の光学軸V2の双方のずれ角を半分に低減させることができる(ずれ角Δα→Δα/2)。
【0067】
図7は、光学フィルム中間体Faから複数の光学フィルムチップFcを切り出すときの説明図である。
なお、図7において、符号Lc1は、光学フィルム中間体Faから複数の光学フィルムチップFcを切り出す際の切り出し線(X軸方向に沿う切り出し線、Y軸方向に沿う切り出し線)のうちX軸方向に沿う切り出し線と重なる軸である。軸Lc1は、図6(b)に示す軸L3に対応する。
【0068】
切断装置8は、制御装置10の制御信号により、軸Lc1に基づいて、光学フィルム中間体Faから複数の光学フィルムチップFcを切り出す。本実施形態においては、平均光学軸V3に対して所定の角度γをなす軸(軸L3)が光学フィルム中間体Faから複数のフィルムチップFcを切り出す際の基準となる。つまり、光学フィルム中間体Faから複数のフィルムチップFcを切り出す際に、光学フィルムチップFcにおいて目的となる光学軸を揃えるための方向を、軸L3からの角度γに設定している。これにより、複数の光学フィルムチップFcの面内の平均的な光学軸の方向が目的の方向に配置されるようにしている。
【0069】
(光学フィルムチップの切り出し方法)
本実施形態における光学フィルムチップの切り出し方法は、光学フィルムの光学軸の面内分布のデータを取得する第1のステップと、光学フィルムの光学軸の面内分布のデータに基づいて、光学フィルムの切断方向を前記光学フィルムの面内で異ならせつつ、光学フィルムから複数の前記光学フィルムチップを切り出す第2のステップと、を含む。
第2のステップは、光学フィルムから複数の光学フィルム中間体を切り出す第3のステップと、光学フィルム中間体から複数の光学フィルムチップを切り出す第4のステップと、を含む。以下、図8を用いて具体的に説明する。
【0070】
図8は、光学フィルムチップの切り出し方法を示すフローチャートである。
【0071】
まず、第1のステップとして、制御装置10が記憶装置9に記憶された光学フィルムFの光学軸の面内分布のデータを取得する。光学フィルムFの光学軸の面内分布のデータは、光学フィルム中間体Fa,Fbの光学軸の面内分布を検出するために用いられる。光学フィルム中間体Fa,Fbの光学軸の面内分布のデータは記憶装置9に記憶される。
【0072】
次に、第2のステップとして、光学フィルムFから複数の光学フィルムチップFcを切り出す。具体的には、まず、第3のステップとして、光学フィルムFから複数の光学フィルム中間体Fa,Fbを切り出し、その後、第4のステップとして、光学フィルム中間体Fa,Fbから複数の光学フィルムチップFcを切り出す。
【0073】
第4のステップでは、先ず、光学フィルム中間体Faを回転ステージ6に設置する(図8に示すステップS1)。例えば、光学フィルム中間体Faを回転台61に設置する際には、図3に示すように、光学フィルム中間体Faの斜角カットされていない辺をマーキング62に合わせて位置決めする。また、光学フィルム中間体Faを固定部材63により固定する。このように光学フィルム中間体Faの斜角カットされていない辺を基準として位置決めすることにより、斜角カット辺を基準として位置決めする場合に比べて、カット精度による光学軸のばらつきを回避することができる。
【0074】
なお、ここでいう光学フィルム中間体Faとは、搬送装置4により送り出された光学フィルムFが第1切断装置5により斜角カットされて切り出された2枚の光学フィルム中間体Fa,Fbのうちの一方の光学フィルム中間体(光学フィルム中間体Fa)とする。
【0075】
次に、記憶装置9に記憶された光学フィルム中間体Faの光学軸の面内分布のデータに基づいて、回転ステージ6を回転させる(図8に示すステップS2)。例えば、図6(b)に示すように、平均光学軸V3に対して所定の角度γをなす軸(軸L3)が光学フィルム中間体Faから複数のフィルムチップFcを切り出す際の基準となるように回転ステージ6を回転させ、光学フィルム中間体Faの姿勢を調整する。例えば、光学フィルム中間体Faの回転ステージ6上での設置状態をカメラで撮像し、撮像結果に基づいて回転ステージ6を回転させる。これにより、光学フィルム中間体Faのセットずれを補正する。
【0076】
そして、光学フィルム中間体Faから複数のフィルムチップFcを切り出す(図8に示すステップS3)。例えば、図7に示すように、軸Lc1に基づいて、光学フィルム中間体Faから複数の光学フィルムチップFcを切り出す。
以上の工程により、複数の光学フィルムチップFcが得られる。
【0077】
本実施形態の光学フィルムチップの切り出し装置12、光学フィルムチップの切り出し方法によれば、記憶装置9に予め記憶された光学フィルム中間体Faの光学軸の面内分布のデータに基づいて、第2切断装置8による光学フィルム中間体Faの切断方向が制御される。この制御では、光学フィルム中間体Faの面内の平均的な光学軸の方向が第2切断装置8による光学フィルム中間体Faの切断方向に対して目的の角度をなすように第2切断装置8による光学フィルム中間体Faの切断方向が制御される。そして、切断方向がこのように制御された第2切断装置8によって光学フィルム中間体Faから複数の光学フィルムチップFcが切り出される。よって、各光学フィルムチップFcの間で生じる光学軸のばらつきを低減することができる。
【0078】
なお、本実施形態においては、光学フィルムFから複数の光学フィルム中間体Faを切り出し、その後、光学フィルム中間体Faから複数の光学フィルムチップFcを切り出す例を説明した。しかし、本発明はこれに限定されず、例えば、光学フィルムFから直接複数の光学フィルムチップFcを切り出す場合にも適用することができる。この場合、光学フィルムFの光学軸の面内分布のデータに基づいて、光学フィルムFの切断方向を光学フィルムFの面内で異ならせつつ、光学フィルムFから複数の光学フィルムチップFcを切り出すこととなる。
【0079】
また、本実施形態では、光学フィルムFから複数の光学フィルムチップFcを切り出し、切り出した複数の光学フィルムチップFcを梱包して外部に出荷することを想定しているが、本発明はこれに限らない。例えば、光学フィルムFをロール原反から引き出し、液晶パネルなどの光学表示パネルに貼合した後、光学フィルムFを光学表示パネルの大きさに切り出す場合にも適用することができる。この場合も、光学表示パネルに貼合される位置の光学フィルムFの光学軸を記憶装置から取得し、その位置の光学軸の方向にあわせて光学表示パネルの貼合姿勢および光学フィルムFの切断方向を調整すれば、光学軸が目的とする方向(設計仕様で定められた方向)から大きくずれることなく、光学フィルムチップFcを切り出すことができる。
【0080】
また、本実施形態においては、第1切断装置5により斜角カットされて切り出された2枚の光学フィルム中間体Fa,Fbから複数の光学フィルムチップFcを切り出す方法について説明したが、これに限らない。例えば、第1切断装置5により3枚以上の光学フィルム中間体を切り出し、当該3枚以上の光学フィルム中間体の各々から複数の光学フィルムチップFcを切り出す場合においても本発明を適用することができる。すなわち、第1切断装置5により切り出される光学フィルム中間体の枚数が3枚以上の枚数である場合においても本発明を適用することができる。
【0081】
[第2実施形態]
以下、図9を用いて、本発明の第2実施形態の光学フィルムチップの切り出し装置として、光学フィルム中間体の回転ステージ6上での設置状態を撮像する撮像装置7が複数のカメラを備えた例を説明する。
【0082】
図9に示すように、撮像装置7は、搬送ステージ70と、第1のカメラ71と、第2のカメラ72と、を備えている。撮像装置7は、回転ステージ6と第2切断装置8との間に配置されている。
【0083】
光学フィルム中間体Faは、回転ステージ6に載置された状態で、搬送ステージ70により、第1のカメラ71及び第2のカメラ72の撮像領域に搬送される。
【0084】
第1のカメラ71は、搬送ステージ70に対して−X軸方向寄りに配置されている。第1のカメラ71は、光学フィルム中間体Faの−X軸方向側のエッジ部(+Y軸方向側の端部)を撮像する。第2のカメラ72は、搬送ステージ70に対して+X軸方向寄りに配置されている。第2のカメラ72は、光学フィルム中間体Faの+X軸方向側のエッジ部(+Y軸方向側の端部)を撮像する。
【0085】
−X軸方向側のエッジ部及び+X軸方向側のエッジ部の両エッジ部が撮像された光学フィルム中間体Faは、回転ステージ6に載置された状態で、第2切断装置8に向けて搬送される。
【0086】
本実施形態においては、複数のカメラ71,72を有する撮像装置7の撮像結果に基づいて、光学フィルム中間体Faの面内の平均的な光学軸の方向が第2切断装置8による光学フィルム中間体Faの切断方向に対して目的の角度をなすように回転ステージ6を回転させる。
【0087】
例えば、制御装置10は、撮像装置7の撮像結果に基づいて、光学フィルム中間体Faの−X軸方向側のエッジ部の位置と+X軸方向側のエッジ部の位置とのずれ量を算出する。制御装置10は、当該算出データに基づいて光学フィルム中間体Faから複数の光学フィルムチップFcを切り出す前に、回転ステージ6を回転させて切り出し位置の補正を行う。
【0088】
以下、上記実施形態と同様に、光学フィルム中間体Faから複数の光学フィルムチップFcが切り出される。
以上の工程により、複数のフィルムチップFcが得られる。
【0089】
本実施形態においては、複数のカメラ71,72を有する撮像装置7の撮像結果に基づいて、光学フィルム中間体Faから複数の光学フィルムチップFcを切り出す際の切り出し位置の補正が行われる。よって、光学フィルム中間体Faから複数の光学フィルムチップFcを切り出す際の光学フィルム中間体Faの位置精度を向上させることができる。
【0090】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【実施例】
【0091】
以下、実施例及び従来例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0092】
図10は、光学フィルムの各検査位置において、光学軸の方向と第2切断装置による光学フィルム(光学フィルム中間体)の切断方向との成す角度が、設計仕様で定められた角度(目的の角度)に対してどの程度ずれているかを示すグラフである。
【0093】
図10において、横軸は光学フィルムの幅方向における検査位置を示しており、縦軸は各検査位置における光学フィルムの光学軸の方向と第2切断装置による光学フィルムの切断方向とのなす角度が目的の角度に対して何度ずれているかを示している。
【0094】
図10において、「+X方向側」とは、図4(c)に示す光学フィルムの+X方向側の部分の面内分布である。「−X方向側」とは、図4(c)に示す光学フィルムの−X方向側の部分の面内分布である。「−X方向側」に示す1〜9の数字は、光学フィルムの−X方向側のエッジからの検査位置を順に表したものである。例えば、光学フィルムの−X方向側のエッジに最も近い検査位置が数字1に対応し、光学フィルムの中央部分に最も近い検査位置が数字9に対応する。「+X方向側」に示す1〜9の数字は、光学フィルムの+X方向側のエッジからの検査位置を順に表したものである。例えば、光学フィルムの+X方向側のエッジに最も近い検査位置が数字1に対応し、光学フィルムの中央部分に最も近い検査位置が数字9に対応する。すなわち、本実施例では、光学フィルムの幅方向に18箇所の検査位置を設けて光学フィルムの光学軸の面内分布を検出している。
【0095】
図10において、「従来例」とは、光学フィルムの長手方向が第2切断装置による光学フィルム中間体の切断方向に対して目的の角度をなすように光学フィルム中間体を配置してチップカットした例であり、「実施例」とは、光学フィルム中間体の面内の平均的な光学軸の方向が第2切断装置による光学フィルム中間体の切断方向に対して目的の角度をなすように光学フィルム中間体を回転させてチップカットした例である。
【0096】
図10に示すように、従来例のグラフは、光学フィルムの光学軸の面内分布をそのまま反映したものとなっている。すなわち、光学フィルムの中央部では、目的の角度からのずれが小さいが、光学フィルムの端部では、目的の角度からのずれが大きくなっている。従来例のグラフを見ると、光学フィルムの−X方向側においては4番の検査位置で大きなずれ角を有し、光学フィルムの+X方向側においては1番の検査位置で大きなずれ角を有することが分かる。
【0097】
これに対し、実施例のグラフは、光学フィルムの中央部において目的の角度からのずれが発生しているが、光学フィルムの端部における目的の角度からのずれは小さくなっている。光学フィルムの中央部と端部での目的の角度からのずれの大きさは、従来例における光学フィルムの端部での目的の角度からのずれの大きさよりも小さくなっている。実施例のグラフを見ると、光学フィルムの−X方向側においては4番の検査位置と7番目の検査位置で大きなずれ角を有し、光学フィルムの+X方向側においては8番の検査位置と3番目の検査位置で大きなずれ角を有することが分かる。
【0098】
このように、実施例では、光学フィルム中間体の切断方向を光学フィルム中間体の光学軸の面内分布に基づいて調整しているため、目的の角度からのずれの大きさが光学フィルム中間体の面内で概ね均一化される。そのため、従来例のように目的の角度からのずれが光学フィルムの中央部と端部で大きく異なるという問題は発生しない。よって、光学フィルムから複数の光学フィルムチップを切り出す場合でも、切り出される複数の光学フィルムチップの間で光学軸が大きくばらつくことが抑制される。
【0099】
図11および図12は、光学フィルム中間体から切り出された光学フィルムチップの光学軸のばらつきを示すグラフである。図11は、従来例の結果を示しており、図12は、実施例の結果を示している。図11および図12において、横軸は、光学フィルムチップの光学軸が設計仕様で定められた光学軸に対して何度ずれているか(光学軸のずれ角)を示しており、縦軸は、光学フィルムチップの枚数(頻度)を示している。
【0100】
図11に示すように、従来例では、標準偏差(σ):0.10°の値が得られた。各ずれ角における光学フィルムチップの頻度は概ね均一である。
【0101】
図12に示すように、実施例では、標準偏差(σ):0.06°の値が得られた。各ずれ角における光学フィルムチップの頻度は、ずれ角の小さい領域が大きく、ずれ角の大きい領域が小さい山形の分布を示している。今後要求精度が厳しくなった場合でも、この要求精度を満たすことのできる光学フィルムチップの割合(良品率)が大きく落ち込むことはない。
【0102】
このように、従来例では、各ずれ角における光学フィルムチップの頻度は概ね均一であるため、今後要求精度が厳しくなった場合に、要求精度を満たすことのできる光学フィルムチップの割合(良品率)が大きく落ち込むことが予想される。一方、実施例では、ずれ角の小さい光学フィルムチップの割合がずれ角の大きい光学フィルムチップの割合に比べて大きくなっているため、今後要求精度が厳しくなった場合でも、この要求精度を満たすことのできる光学フィルムチップの割合が大きく落ち込むことはない。よって、従来例に比べて、1枚の光学フィルムから多くの光学フィルムチップを切り出すことが可能となり、光学フィルムチップの生産効率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0103】
3…撮像装置、5…第1切断装置、6…回転ステージ、7…撮像装置、8…第2切断装置、9…記憶装置、10…制御装置、12…光学フィルムチップの切り出し装置、32…検光子、F…光学フィルム、Fa,Fb…光学フィルム中間体、Fc…光学フィルムチップ、V1…第1の光学軸、V2…第2の光学軸、V3…平均光学軸(光学フィルム中間体の面内の平均的な光学軸)
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学フィルムチップの切り出し装置及び光学フィルムチップの切り出し方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
偏光フィルム、位相差フィルム等の光学フィルムは、液晶表示装置を構成する重要な光学部品である。例えば、液晶表示装置においては、偏光フィルムが矩形状の光学フィルムチップとして液晶パネルの上下面に一枚ずつ貼り合わされている。光学フィルムチップは、長尺状の光学フィルムを原材料とし、これをカッターで矩形状に切断することにより得られる(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
図13は、従来の光学フィルムチップの切り出し方法を示す模式図である。
【0004】
先ず、図13(a)に示すように、光学フィルム101が搬送装置100により送り出される。
【0005】
次に、図13(b)に示すように、搬送装置100により送り出された光学フィルム101は、不図示の切断装置により斜角カットされる。これにより光学フィルム中間体(第1の中間フィルム)102が切り出される。この斜角カットの工程においては、光学フィルムチップにおいて目的とされる光学軸の方向が目的の液晶表示装置に適合する方向となるように、光学フィルム101から第1の中間フィルム102が所定の角度で切り出される。
【0006】
次に、図13(c)に示すように、フィルム積層装置110により第1の中間フィルム102にシート状の部材を積層する。フィルム積層装置110は、一対のローラー111,112とシート状の部材を送り出すリール113とを有する。リール113から送り出されるシート状の部材、所定の角度で切り出された第1の中間フィルム102は、一対のローラー111,112の間を通って積層され、次工程に送り出される。
【0007】
次に、図13(d)に示すように、リール113から送り出されるシート状の部材と、所定の角度で切り出された第1の中間フィルム102とが積層された積層フィルムは、不図示の切断装置により半分にカットされる。これにより、第2の中間フィルム103が切り出される。
【0008】
次に、図13(e)に示すように、切り出された第2の中間フィルム103の品質を目視で検査する。
【0009】
次に、図13(f)に示すように、第2の中間フィルム103をステージ120にセットする。ステージ120には、第2の中間フィルム103を位置決めするためのマーキング121が施されている。第2の中間フィルム103をステージ120にセットする際には、図13(d)に示す工程において斜角カットされた辺を基準としてマーキング121に位置決めする。
【0010】
そして、不図示の切断装置により第2の中間フィルム103から複数の光学フィルムチップ104を切り出す。切断装置には、光学フィルムチップ104の長辺の長さに対応した間隔で並ぶ複数のカッターと、光学フィルムチップ104の短辺の長さに対応した間隔で並ぶ複数のカッターとが平面視格子状に配置されており、4つのカッターにより矩形状に切り出される領域が1つの光学フィルムチップ104の切り出し領域となっている。
【0011】
切断装置による第2の中間フィルム103の切断方向(例えば、光学フィルムチップ104の長辺の長さに対応した間隔で並ぶカッターの延在方向)は、光学フィルム101の長手方向に対して目的の角度(設計仕様によって定められた角度)をなすように配置される。例えば、光学フィルムチップ104の光学軸が光学フィルムチップ104の長辺に対して7°をなすように設計されている場合には、光学フィルム101の長手方向に対して切断装置の切断方向を7°に設定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2003−255132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
図13(f)の工程において、第2の中間フィルム103の切断方向を光学フィルム101の長手方向を基準として設定するのは、一般に、長尺状の光学フィルム101が二色性色素で染色した樹脂フィルムを一軸延伸させて製造されており、光学フィルム101の光学軸の方向が樹脂フィルムの延伸方向と概ね一致するからである。しかし、光学フィルム101の光学軸は、光学フィルム101全体で均一ではなく、光学フィルム101の幅方向において若干ばらついている。例えば、二色性色素で染色した樹脂フィルムを一軸延伸して光学フィルム101を製造する場合、樹脂フィルムの厚みのむらや二色性色素の染色むらなどに起因して、光学フィルム101の中央部分の光学軸の方向と、光学フィルム101の端部に近い部分(エッジ部分)の光学軸の方向との間にずれが生じる傾向がある。そのため、光学フィルム101から複数の光学フィルムチップ104を切り出す場合には、この光学軸のばらつきを反映して、光学フィルムチップ104間にも光学軸のばらつきが発生する。
【0014】
また、従来の光学フィルムチップの切り出し方法においては、光学フィルムチップ104において目的とされる光学軸の精度に影響を与える工程が存在する。例えば、図13(b)に示す斜角カットの工程においては、切断装置のカット精度が、位置決めの基準となる斜角カット辺の精度に影響を与える。また、図13(f)に示すチップカットの工程においては、第2の中間フィルム103の位置決め精度、セット精度、切断装置のカット精度が、光学フィルムチップにおいて目的とされる光学軸の精度に影響を与える。
【0015】
以上のように、従来の光学フィルムチップの切り出し方法においては、切り出される複数の光学フィルムチップの間で光学軸の方向にばらつきが発生するという問題がある。最近では、表示装置の高コントラスト化が進んでおり、従来よりも厳しい光学軸の精度が求められるようになっている。例えば、従来の携帯電話では、光学軸の公差は±1°であったが、スマートフォンやタブレット型の情報端末では、±0.25°の光学軸の公差が求められており、今後さらに要求精度が厳しくなると予想される。
【0016】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、複数の光学フィルムチップの間で光学軸のばらつきが生じることを抑制することが可能な光学フィルムチップの切り出し装置及び光学フィルムチップの切り出し方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の目的を達成するために、本発明の光学フィルムチップの切り出し装置は、光学フィルムから複数の光学フィルムチップを切り出す光学フィルムチップの切り出し装置であって、前記光学フィルムを切断する切断装置と、前記光学フィルムの光学軸の面内分布のデータを取得し、前記光学フィルムの光学軸の面内分布のデータに基づいて、前記切断装置による前記光学フィルムの切断方向を前記光学フィルムの面内で異ならせる制御装置と、を含む。
【0018】
本発明においては、前記切断装置は、前記光学フィルムから複数の光学フィルム中間体を切り出す第1切断装置と、前記光学フィルム中間体から複数の前記光学フィルムチップを切り出す第2切断装置と、を含み、前記制御装置は、前記光学フィルムの光学軸の面内分布のデータに基づいて前記光学フィルム中間体の面内の平均的な光学軸の方向を算出し、前記光学フィルム中間体の面内の平均的な光学軸の方向が前記第2切断装置による前記光学フィルム中間体の切断方向に対して目的の角度をなすように前記第2切断装置による前記光学フィルム中間体の切断方向を制御し、前記切断装置は、前記制御装置によって制御された切断方向で前記光学フィルム中間体を切断することにより、前記光学フィルム中間体から複数の前記光学フィルムチップを切り出す。
【0019】
本発明においては、前記光学フィルム中間体を載置する回転ステージを備え、前記制御装置は、前記光学フィルムチップの面内の平均的な光学軸の方向が前記第2切断装置による前記光学フィルム中間体の切断方向に対して目的の角度をなすように前記回転ステージを回転させる。
【0020】
本発明においては、前記制御装置は、前記光学フィルム中間体の面内で最も大きな角度で交差する2つの光学軸を検出し、前記2つの光学軸がなす角を2等分する軸を前記光学フィルム中間体の面内の平均的な光学軸として算出する。
【0021】
本発明においては、前記回転ステージと前記第2切断装置との間には、前記光学フィルム中間体の前記回転ステージ上での設置状態を撮像する撮像装置が設けられており、前記制御装置は、前記撮像装置の撮像結果に基づいて、前記光学フィルム中間体の面内の平均的な光学軸の方向が前記第2切断装置による前記光学フィルム中間体の切断方向に対して目的の角度をなすように前記回転ステージを回転させる。
【0022】
本発明においては、前記光学フィルムの光学軸の面内分布のデータを記憶する記憶装置を備える。
【0023】
本発明においては、前記光学フィルムの光学軸を前記光学フィルムの幅方向の複数の検査位置で検査する検査装置を備える。
【0024】
本発明においては、前記検査装置は、前記光学フィルムの幅方向に移動可能な検光子を備え、前記検査装置は、前記検光子を前記光学フィルムの幅方向に移動させつつ前記検光子によって前記光学フィルムの光学軸を検出することにより、前記光学フィルムの光学軸を前記光学フィルムの幅方向の複数の検査位置で検査する。
【0025】
本発明の光学フィルムチップの切り出し方法は、光学フィルムから複数の光学フィルムチップを切り出す光学フィルムチップの切り出し方法であって、前記光学フィルムの光学軸の面内分布のデータを取得する第1のステップと、前記光学フィルムの光学軸の面内分布のデータに基づいて、前記光学フィルムの切断方向を前記光学フィルムの面内で異ならせつつ、前記光学フィルムから複数の前記光学フィルムチップを切り出す第2のステップと、を含む。
【0026】
本発明においては、前記第2のステップは、光学フィルムから複数の光学フィルム中間体を切り出す第3のステップと、前記光学フィルム中間体から複数の前記光学フィルムチップを切り出す第4のステップと、を含み、前記第4のステップでは、前記光学フィルムの光学軸の面内分布のデータに基づいて、前記光学フィルム中間体の面内の平均的な光学軸の方向を算出し、前記光学フィルム中間体の面内の平均的な光学軸の方向が前記光学フィルム中間体の切断方向に対して目的の角度をなすように前記光学フィルム中間体の切断方向を調整し、調整された前記切断方向で前記光学フィルム中間体を切断することにより、前記光学フィルム中間体から複数の前記光学フィルムチップを切り出す。
【0027】
本発明においては、前記第4のステップでは、前記光学フィルム中間体を回転ステージに載置し、前記光学フィルムチップの面内の平均的な光学軸の方向が前記光学フィルム中間体の切断方向に対して目的の角度をなすように前記回転ステージを回転させる。
【0028】
本発明においては、前記光学フィルム中間体の面内で最も大きな角度で交差する2つの光学軸を検出し、前記2つの光学軸がなす角度を2等分する軸を前記光学フィルム中間体の面内の平均的な光学軸として算出する。
【0029】
本発明においては、前記第4のステップでは、前記光学フィルム中間体の前記回転ステージ上での設置状態を撮像し、撮像結果に基づいて、前記光学フィルムチップの面内の平均的な光学軸の方向が前記第2切断装置による前記光学フィルム中間体の切断方向に対して目的の角度をなすように前記回転ステージを回転させる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、複数の光学フィルムチップの間で光学軸のばらつきが生じることを抑制することが可能な光学フィルムチップの切り出し装置及び光学フィルムチップの切り出し方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1実施形態に係る光学フィルムチップの製造システムを示す模式図である。
【図2】光学フィルムの製造装置の平面図である。
【図3】光学フィルムチップの切り出し装置の要部を示す平面図である。
【図4】光学フィルムの光学軸の面内分布を示す図である。
【図5】光学フィルムから複数の光学フィルム中間体を切り出すときの説明図である。
【図6】回転ステージで光学フィルム中間体を回転させるときの説明図である。
【図7】光学フィルム中間体から複数の光学フィルムチップを切り出すときの説明図である。
【図8】光学フィルムチップの切り出し方法を示すフローチャートである。
【図9】第2実施形態の光学フィルムチップの切り出し装置の要部を示す平面図である。
【図10】光学フィルムの各検査位置において、光学軸の方向と第2切断装置による光学フィルムの切断方向との成す角度が、設計仕様で定められた角度に対してどの程度ずれているかを示すグラフである。
【図11】従来例における光学フィルム中間体から切り出された光学フィルムチップの光学軸のばらつきを示すグラフである。
【図12】実施例における光学フィルム中間体から切り出された光学フィルムチップの光学軸のばらつきを示すグラフである。
【図13】従来例の光学フィルムチップの切り出し方法を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法や比率などは適宜異ならせてある。また、以下の説明及び図面中、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0033】
以下の説明においては、必要に応じてXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。本実施形態においては、長尺の光学フィルムの幅方向をX方向としており、光学フィルムの面内においてX方向に直交する方向(長尺の光学フィルムの搬送方向)をY方向、X方向及びY方向に直交する方向をZ方向としている。
【0034】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態の光学フィルムチップの製造システムを示す模式図である。以下、光学フィルムチップとして偏光板を製造する例を説明するが、光学フィルムチップは、偏光板の他に、位相差フィルムや輝度向上フィルム等でもよく、位相差フィルムや偏光板などの複数の光学素子を積層したものでもよい。
【0035】
光学フィルムチップの製造システム1は、長尺状の光学フィルム(以下、単に光学フィルムと称する)Fを製造する光学フィルムの製造装置11と、光学フィルムの製造装置11で製造した光学フィルムFから複数の光学フィルムチップを切り出す光学フィルムチップの切り出し装置12と、を備えている。
【0036】
光学フィルムの製造装置11は、複数の光学層F1,F2,F3を積層して1枚の光学フィルムFを製造するフィルム積層装置2と、フィルム積層装置2で製造された光学フィルムFの光学軸を光学フィルムの幅方向の複数の検査位置で検査する検査装置3と、を備えている。
【0037】
フィルム積層装置2は、3つの光学層F1,F2,F3を積層して1枚の光学フィルムFを製造する装置である。本実施形態で使用される光学フィルムFは、例えば、PVA(ポリビニルアルコール)等からなる偏光子フィルムF1が、2枚のセルロース系フィルムであるTAC(トリアセチルセルロース)フィルムF2,F3によって挟まれた構造である。なお、偏光子フィルムF1は、一定方向に振動する光以外の光を遮断するため、例えばヨウ素、二色性染料などにより染色されている。
【0038】
フィルム積層装置2には、一対のローラー21,22が上下に設けられている。この両ローラー21,22の間に複数の光学層F1,F2,F3が重ね合わされて供給される。そして、両ローラー21,22によって押圧されることにより、複数の光学層F1,F2,F3が貼合され、1枚の光学フィルムFが製造される。なお、第1フィルムF2および第2フィルムF3の表面に剥離フィルムや保護フィルムなどがさらに積層されていてもよい。当該光学フィルムFは、搬送ローラー23によって、検査装置3に向けて搬送される。
【0039】
検査装置3は、光学フィルムFの上方に配置された光源31と、光学フィルムFの下方に配置された検光子32と、を備えている。検光子32は、光源31から射出され、光学フィルムFを透過した光を受光する図示略の受光素子を備えている。検査装置3では、光学フィルムFおよび検光子32を透過した光の強度を受光素子で検出することにより、光学フィルムFの光学軸を検出する。検光子32は、光学フィルムFの幅方向に移動可能に構成されている。検査装置3は、検光子32を光学フィルムFの幅方向に移動させつつ検光子32によって光学フィルムFの光学軸を検出することにより、光学フィルムFの光学軸を光学フィルムFの幅方向の複数の検査位置で検査する。
【0040】
なお、検査装置3としては、検光子32に光学フィルムFの幅方向に移動させる構成に限らず、光学フィルムFの幅方向において複数の検光子を備えた構成であってもよい。
【0041】
図2は光学フィルムの製造装置11の平面図である。
図2に示すように、光学フィルムFの幅方向(X軸方向)には複数の検査領域CPが設けられている。検光子32は、これら複数の検査領域CPの配列方向に沿って移動可能になっている。これにより、光学フィルムFの幅方向における各検査領域CPにおいて光学軸の方向が検出される。
【0042】
検査装置3で検出された光学フィルムFの光学軸のデータは、光学フィルムFの位置(光学フィルムFの長手方向の位置および幅方向の位置)と関連付けられて記憶装置9に記憶される。検査装置3で検査された光学フィルムは、搬送ローラー24によって、巻き取り部25に向けて搬送される。そして、巻き取り部25においてロール状に巻き取られ、光学フィルムFのロール原反Rが製造される。
【0043】
図1に戻り、光学フィルムチップの切り出し装置12は、ロール原反Rから光学フィルムFを引き出して搬送する搬送装置4と、搬送装置4によって搬送された光学フィルムFから複数の中間サイズの光学フィルム中間体を切り出す第1切断装置5と、第1切断装置5により切り出された光学フィルム中間体を載置する回転ステージ6と、光学フィルム中間体の回転ステージ6上での設置状態を撮像する撮像装置7と、回転ステージ6上に載置された光学フィルム中間体から複数の光学フィルムチップを切り出す第2切断装置8と、光学フィルムFの光学軸の面内分布のデータを記憶する記憶装置9と、フィルム積層装置2、検査装置3、搬送装置4、第1切断装置5、回転ステージ6、撮像装置7、第2切断装置8、及び記憶装置9を統括制御する制御装置10と、を備えている。第1切断装置5と第2切断装置8により、光学フィルムFから複数の光学フィルムチップを切り出す切断装置が構成されている。
【0044】
搬送装置4は、ロール原反Rを装填する装填部41を備えている。装填部41には、光学フィルムの製造装置11で製造され、検査装置3により光学軸が検査された光学フィルムFのロール原反Rが装填される。装填部41に装填された光学フィルムFは、搬送ローラー42,43によって下流側に搬送され、第1切断装置5および第2切断装置8により切断されて、光学フィルムチップが製造される。
【0045】
回転ステージ6は、制御装置10の制御信号により回転する。
【0046】
図3は、光学フィルムチップの切り出し装置12の要部構成を示す平面図である。図3では、光学フィルムチップの切り出し装置12の構成部品のうち、回転ステージ6、第2切断装置8、記憶装置9、及び制御装置10を図示し、その他の図示を省略している。
【0047】
回転ステージ6は、基台60と、基台60上に回転可能に設けられた円形の回転台61とを備えている。回転台61の上面には、光学フィルム中間体Faを位置決めするためのマーキング62が施されている。また、回転台61の上面には、光学フィルム中間体Faを固定するための固定部材63が設けられている。固定部材63は、例えば接着テープである。
【0048】
本実施形態では、光学フィルムFから直接複数の光学フィルムチップを切り出すのではなく、いったん光学フィルムFから複数の中間サイズの光学フィルム中間体Faを切り出し、その後、各光学フィルム中間体Faから複数の光学フィルムチップFcを切り出すこととしている(図7参照)。長尺の光学フィルムFから光学フィルムチップFcを直接切り出すこととすると、光学フィルムチップFcの大きさは長尺の光学フィルムFに比べてはるかに小さい場合が多いため、切り出し操作が困難になる可能性があるからである。
【0049】
光学フィルム中間体Faの大きさや形状は、光学フィルムチップFcの形状や光学フィルムチップFcにおける光学軸の設定方向などに応じて、任意に設定することができる。本実施形態では、光学フィルムFをその長手方向と交差する方向に切断し(斜角カット)、平行四辺形のフィルム体を切り出した後、これを半分に切断することにより、光学フィルム中間体Faを得ている。フィルム体を半分に切断するのは、一方を検査工程に回して、当該フィルム体に欠点(フィルム体の内部において固体と液体と気体の少なくとも1つからなる異物が存在する部分や、フィルム体の表面において凹凸やキズが存在する部分、フィルム体の歪や材質の偏り等によって輝点となる部分等)がないか否かを検査するためである。
【0050】
光学フィルム中間体Faの光学軸の面内分布のデータは、光学フィルムFの光学軸の面内分布のデータに基づいて制御装置10により作製され、光学フィルムFの光学軸の面内分布のデータとともに、記憶装置9に記憶されている。
【0051】
第2切断装置8は、回転ステージ6に隣り合う位置に配置されている。第2切断装置8には、光学フィルム中間体Faから複数の光学フィルムチップFcを切り出すためのカッター8a,8b(例えば、加熱彫刻刃)が設けられている。カッター8a、8bは、X方向に一定間隔で並ぶ複数本の第1カッター8aとY方向に一定間隔で並ぶ複数本の第2カッター8bとがZ方向から見て格子状に配置された構成を有する。第1カッター8aと第2カッター8bによって切り出される矩形の領域が1つの光学フィルムチップFcとなる。なお、光学フィルム中間体Faから複数の光学フィルムチップFcを切り出す構成としては、カッターに限らず、レーザーを用いてもよい。
【0052】
図4(a)〜(c)は、光学フィルムFの光学軸の面内分布を示す図である。なお、図4(a)〜(c)においては、搬送装置4から光学フィルムFが当該光学フィルムFの長手方向(+Y軸方向)に搬送される様子を示している。
【0053】
図4(a)〜(c)に示すように、光学フィルムFの光学軸の面内分布には様々な分布が存在する。光学フィルムFの光学軸は、概ね光学フィルムFの長手方向に沿って配置されている。
しかし、図4(a)に示す光学フィルムFの光学軸の面内分布を見ると、光学フィルムFの長手方向に対して光学軸の方向が若干XY方向(右肩下がり)に傾いている。図4(b)に示す光学フィルムFの光学軸の面内分布を見ると、光学フィルムFの長手方向に対して光学軸の方向が若干XY方向(右肩下がり)に傾いているものと若干−XY方向(右肩上がり)に傾いているものとが光学フィルムFの幅方向に沿って交互に配置されている。図4(c)に示す光学フィルムFの光学軸の面内分布を見ると、光学フィルムFの幅方向両端部では、光学フィルムFの中央部に比べて光学軸の方向が若干内側にずれている。
【0054】
図4(c)のような光学軸の面内分布となるのは、光学フィルムFを構成する偏光子フィルムは、例えば、二色性色素で染色したPVAフィルムを一軸延伸して形成されるが、延伸する際のPVAフィルムの厚みのむらや二色性色素の染色むらなどに起因して、光学フィルムFの中央部分の光学軸の方向と、光学フィルムFの端部に近い部分(エッジ部分)の光学軸の方向との間にはずれが生じる傾向があるためである。以下、一例として図4(c)に示す光学軸の面内分布を有する光学フィルムFを挙げて説明する。
【0055】
このような光学フィルムFから複数の小型の光学フィルムチップを切り出すと、光学フィルムFの中央部から切り出された光学フィルムチップと、光学フィルムFの端部に近い部分から切り出された光学フィルムチップの間で、光学軸の方向にばらつきが生じるため、そのばらつきが大きい場合には、端部に近い部分から切り出された光学フィルムチップを不良品として使うことができず、光学フィルムチップの取れ個数が減少する。
【0056】
そこで、本実施形態においては、記憶装置9に予め記憶された光学フィルムFの光学軸の面内分布のデータに基づいて、第2切断装置8による光学フィルムFの切断方向を光学フィルムFの面内で異ならせている。これにより、各光学フィルムチップFcの間で生じる光学軸のばらつきを低減することを可能にしている。
【0057】
図5は、光学フィルムFから複数の光学フィルム中間体Fa,Fbを切り出すときの説明図である。
本実施形態では、搬送装置4により搬送された光学フィルムFは、第1切断装置(図示略)により斜角カットされる。これにより、2枚の光学フィルム中間体Fa,Fbが切り出される。図示はしないが、各光学フィルム中間体Fa,Fbは、それぞれ光学軸の面内分布を有している。以下、一例として、2枚の光学フィルム中間体Fa,Fbのうち光学フィルム中間体Faを用い、当該光学フィルム中間体Faから複数の光学フィルムチップFcを切り出す方法について説明する。
【0058】
図6は、回転台61で光学フィルム中間体Faを回転させるときの説明図である。図6(a)は、回転台61を回転させる前の光学フィルム中間体Faの設置状態を示す図であり、図6(b)は回転台61を回転させた後の光学フィルム中間体Faの設置状態を示す図である。
【0059】
なお、図6(a)及び図6(b)において、符号L1は所定の軸(斜角カットされていない辺に沿う軸、言い換えると、光学フィルムF(例えばPVAフィルムF1)の幅方向端部に沿う軸)、L2,L3は軸L1に対して平行な軸、符号V1は軸L1からのずれ角が最も大きい光学軸(以下、第1の光学軸と称する)、符号V2は軸L2からのずれ角が最も小さい光学軸(以下、第2の光学軸と称する)、符号V3は第1の光学軸V1と第2の光学軸V2とがなす角を2等分する軸(以下、平均光学軸と称する)、θmaxは所定の軸L1と第1の光学軸V1とのなす角(以下、最大ずれ角と称する)、θminは所定の軸L2と第2の光学軸V2とのなす角(以下、最小ずれ角と称する)、θmidは所定の軸L3と平均光学軸V3とのなす角(以下、平均ずれ角と称する)、である。
ここで、図6(a)及び図6(b)における「ずれ角」は、所定の軸に対して左回りの方向を正とし、所定の軸に対して右回りの方向を負としたときの角度である。
【0060】
本実施形態において、制御装置10は、光学フィルム中間体Faの面内で互いに最も大きな角度で交差する第1の光学軸V1、第2の光学軸V2を検出し、第1の光学軸V1と第2の光学軸V2とがなす角を2等分する軸を光学フィルム中間体Faの面内の平均的な光学軸(平均光学軸V3)として算出する。
【0061】
本実施形態においては、最小ずれ角θminを0とし、最大ずれ角θmaxと最小ずれ角θminとの角度の差をΔαとする。この場合、図6(a)に示すように、最大ずれ角θmaxは角度(Δα)で表される。また、平均ずれ角θmidは角度(Δα/2)で表される。
【0062】
例えば、光学フィルムチップを製造するには、光学フィルムチップの面内の平均的な光学軸の方向が目的の液晶表示装置に適合する方向となるように、所定の角度で切り出される。例えば、偏光板の吸収軸の場合、所定の角度は7°である。
【0063】
ここで、斜角カットされていない辺に沿う軸L1を光学フィルムチップにおいて目的とされる光学軸の方向とした場合を考える。この場合、第2の光学軸V2は、軸L2からのずれ角が最も小さいため、光学フィルムチップにおいて目的とされる光学軸の方向に概ね揃う。一方、第1の光学軸V1は、軸L1からのずれ角が最も大きいため、光学フィルムチップにおいて目的とされる光学軸の方向から大きくずれる。第1の光学軸V1は、光学フィルムチップにおいて目的とされる光学軸の方向から角度Δαだけずれることとなる。
【0064】
これに対し、本実施形態において、制御装置10は、光学フィルムチップFcの面内の平均的な光学軸の方向が第2切断装置8による光学フィルム中間体Faの切断方向に対して目的の角度をなすように回転ステージ6を回転させる構成となっている。本実施形態においては、図6(b)に示すように、平均光学軸V3に対して所定の角度γをなす軸(軸L3)が光学フィルム中間体Faから複数のフィルムチップFcを切り出す際の基準となるように回転台61を回転させ、光学フィルム中間体Faの姿勢を調整している。
【0065】
例えば、回転台61を左回りに(γ−Δα/2)だけ回転させる。これにより、平均光学軸V3は、軸L3に対して角度γをなす。これにより、軸L3が光学フィルム中間体Faから複数のフィルムチップFcを切り出す際の基準となる。また、平均光学軸V3が光学フィルムチップFcにおいて目的となる光学軸の方向に対応する。この場合、第2の光学軸V2は、軸L2に対して(γ−Δα/2)だけずれる。一方、第1の光学軸V1は、軸L1に対して(γ+Δα/2)だけずれる。
つまり、第2の光学軸V2は、光学フィルムチップFcにおいて目的となる光学軸の方向に対して(−Δα/2)だけずれることとなる。一方、第1の光学軸V1は、光学フィルムチップFcにおいて目的となる光学軸の方向に対して(Δα/2)だけずれることとなる。
【0066】
このように、本実施形態によれば、平均光学軸V3を光学フィルムチップFcにおいて目的となる光学軸の方向に対応させているため、斜角カットした辺に対して所定の角度をなす軸L1を光学フィルムチップにおいて目的とされる光学軸の方向とした場合に比べて、第1の光学軸V1及び第2の光学軸V2の双方のずれ角を半分に低減させることができる(ずれ角Δα→Δα/2)。
【0067】
図7は、光学フィルム中間体Faから複数の光学フィルムチップFcを切り出すときの説明図である。
なお、図7において、符号Lc1は、光学フィルム中間体Faから複数の光学フィルムチップFcを切り出す際の切り出し線(X軸方向に沿う切り出し線、Y軸方向に沿う切り出し線)のうちX軸方向に沿う切り出し線と重なる軸である。軸Lc1は、図6(b)に示す軸L3に対応する。
【0068】
切断装置8は、制御装置10の制御信号により、軸Lc1に基づいて、光学フィルム中間体Faから複数の光学フィルムチップFcを切り出す。本実施形態においては、平均光学軸V3に対して所定の角度γをなす軸(軸L3)が光学フィルム中間体Faから複数のフィルムチップFcを切り出す際の基準となる。つまり、光学フィルム中間体Faから複数のフィルムチップFcを切り出す際に、光学フィルムチップFcにおいて目的となる光学軸を揃えるための方向を、軸L3からの角度γに設定している。これにより、複数の光学フィルムチップFcの面内の平均的な光学軸の方向が目的の方向に配置されるようにしている。
【0069】
(光学フィルムチップの切り出し方法)
本実施形態における光学フィルムチップの切り出し方法は、光学フィルムの光学軸の面内分布のデータを取得する第1のステップと、光学フィルムの光学軸の面内分布のデータに基づいて、光学フィルムの切断方向を前記光学フィルムの面内で異ならせつつ、光学フィルムから複数の前記光学フィルムチップを切り出す第2のステップと、を含む。
第2のステップは、光学フィルムから複数の光学フィルム中間体を切り出す第3のステップと、光学フィルム中間体から複数の光学フィルムチップを切り出す第4のステップと、を含む。以下、図8を用いて具体的に説明する。
【0070】
図8は、光学フィルムチップの切り出し方法を示すフローチャートである。
【0071】
まず、第1のステップとして、制御装置10が記憶装置9に記憶された光学フィルムFの光学軸の面内分布のデータを取得する。光学フィルムFの光学軸の面内分布のデータは、光学フィルム中間体Fa,Fbの光学軸の面内分布を検出するために用いられる。光学フィルム中間体Fa,Fbの光学軸の面内分布のデータは記憶装置9に記憶される。
【0072】
次に、第2のステップとして、光学フィルムFから複数の光学フィルムチップFcを切り出す。具体的には、まず、第3のステップとして、光学フィルムFから複数の光学フィルム中間体Fa,Fbを切り出し、その後、第4のステップとして、光学フィルム中間体Fa,Fbから複数の光学フィルムチップFcを切り出す。
【0073】
第4のステップでは、先ず、光学フィルム中間体Faを回転ステージ6に設置する(図8に示すステップS1)。例えば、光学フィルム中間体Faを回転台61に設置する際には、図3に示すように、光学フィルム中間体Faの斜角カットされていない辺をマーキング62に合わせて位置決めする。また、光学フィルム中間体Faを固定部材63により固定する。このように光学フィルム中間体Faの斜角カットされていない辺を基準として位置決めすることにより、斜角カット辺を基準として位置決めする場合に比べて、カット精度による光学軸のばらつきを回避することができる。
【0074】
なお、ここでいう光学フィルム中間体Faとは、搬送装置4により送り出された光学フィルムFが第1切断装置5により斜角カットされて切り出された2枚の光学フィルム中間体Fa,Fbのうちの一方の光学フィルム中間体(光学フィルム中間体Fa)とする。
【0075】
次に、記憶装置9に記憶された光学フィルム中間体Faの光学軸の面内分布のデータに基づいて、回転ステージ6を回転させる(図8に示すステップS2)。例えば、図6(b)に示すように、平均光学軸V3に対して所定の角度γをなす軸(軸L3)が光学フィルム中間体Faから複数のフィルムチップFcを切り出す際の基準となるように回転ステージ6を回転させ、光学フィルム中間体Faの姿勢を調整する。例えば、光学フィルム中間体Faの回転ステージ6上での設置状態をカメラで撮像し、撮像結果に基づいて回転ステージ6を回転させる。これにより、光学フィルム中間体Faのセットずれを補正する。
【0076】
そして、光学フィルム中間体Faから複数のフィルムチップFcを切り出す(図8に示すステップS3)。例えば、図7に示すように、軸Lc1に基づいて、光学フィルム中間体Faから複数の光学フィルムチップFcを切り出す。
以上の工程により、複数の光学フィルムチップFcが得られる。
【0077】
本実施形態の光学フィルムチップの切り出し装置12、光学フィルムチップの切り出し方法によれば、記憶装置9に予め記憶された光学フィルム中間体Faの光学軸の面内分布のデータに基づいて、第2切断装置8による光学フィルム中間体Faの切断方向が制御される。この制御では、光学フィルム中間体Faの面内の平均的な光学軸の方向が第2切断装置8による光学フィルム中間体Faの切断方向に対して目的の角度をなすように第2切断装置8による光学フィルム中間体Faの切断方向が制御される。そして、切断方向がこのように制御された第2切断装置8によって光学フィルム中間体Faから複数の光学フィルムチップFcが切り出される。よって、各光学フィルムチップFcの間で生じる光学軸のばらつきを低減することができる。
【0078】
なお、本実施形態においては、光学フィルムFから複数の光学フィルム中間体Faを切り出し、その後、光学フィルム中間体Faから複数の光学フィルムチップFcを切り出す例を説明した。しかし、本発明はこれに限定されず、例えば、光学フィルムFから直接複数の光学フィルムチップFcを切り出す場合にも適用することができる。この場合、光学フィルムFの光学軸の面内分布のデータに基づいて、光学フィルムFの切断方向を光学フィルムFの面内で異ならせつつ、光学フィルムFから複数の光学フィルムチップFcを切り出すこととなる。
【0079】
また、本実施形態では、光学フィルムFから複数の光学フィルムチップFcを切り出し、切り出した複数の光学フィルムチップFcを梱包して外部に出荷することを想定しているが、本発明はこれに限らない。例えば、光学フィルムFをロール原反から引き出し、液晶パネルなどの光学表示パネルに貼合した後、光学フィルムFを光学表示パネルの大きさに切り出す場合にも適用することができる。この場合も、光学表示パネルに貼合される位置の光学フィルムFの光学軸を記憶装置から取得し、その位置の光学軸の方向にあわせて光学表示パネルの貼合姿勢および光学フィルムFの切断方向を調整すれば、光学軸が目的とする方向(設計仕様で定められた方向)から大きくずれることなく、光学フィルムチップFcを切り出すことができる。
【0080】
また、本実施形態においては、第1切断装置5により斜角カットされて切り出された2枚の光学フィルム中間体Fa,Fbから複数の光学フィルムチップFcを切り出す方法について説明したが、これに限らない。例えば、第1切断装置5により3枚以上の光学フィルム中間体を切り出し、当該3枚以上の光学フィルム中間体の各々から複数の光学フィルムチップFcを切り出す場合においても本発明を適用することができる。すなわち、第1切断装置5により切り出される光学フィルム中間体の枚数が3枚以上の枚数である場合においても本発明を適用することができる。
【0081】
[第2実施形態]
以下、図9を用いて、本発明の第2実施形態の光学フィルムチップの切り出し装置として、光学フィルム中間体の回転ステージ6上での設置状態を撮像する撮像装置7が複数のカメラを備えた例を説明する。
【0082】
図9に示すように、撮像装置7は、搬送ステージ70と、第1のカメラ71と、第2のカメラ72と、を備えている。撮像装置7は、回転ステージ6と第2切断装置8との間に配置されている。
【0083】
光学フィルム中間体Faは、回転ステージ6に載置された状態で、搬送ステージ70により、第1のカメラ71及び第2のカメラ72の撮像領域に搬送される。
【0084】
第1のカメラ71は、搬送ステージ70に対して−X軸方向寄りに配置されている。第1のカメラ71は、光学フィルム中間体Faの−X軸方向側のエッジ部(+Y軸方向側の端部)を撮像する。第2のカメラ72は、搬送ステージ70に対して+X軸方向寄りに配置されている。第2のカメラ72は、光学フィルム中間体Faの+X軸方向側のエッジ部(+Y軸方向側の端部)を撮像する。
【0085】
−X軸方向側のエッジ部及び+X軸方向側のエッジ部の両エッジ部が撮像された光学フィルム中間体Faは、回転ステージ6に載置された状態で、第2切断装置8に向けて搬送される。
【0086】
本実施形態においては、複数のカメラ71,72を有する撮像装置7の撮像結果に基づいて、光学フィルム中間体Faの面内の平均的な光学軸の方向が第2切断装置8による光学フィルム中間体Faの切断方向に対して目的の角度をなすように回転ステージ6を回転させる。
【0087】
例えば、制御装置10は、撮像装置7の撮像結果に基づいて、光学フィルム中間体Faの−X軸方向側のエッジ部の位置と+X軸方向側のエッジ部の位置とのずれ量を算出する。制御装置10は、当該算出データに基づいて光学フィルム中間体Faから複数の光学フィルムチップFcを切り出す前に、回転ステージ6を回転させて切り出し位置の補正を行う。
【0088】
以下、上記実施形態と同様に、光学フィルム中間体Faから複数の光学フィルムチップFcが切り出される。
以上の工程により、複数のフィルムチップFcが得られる。
【0089】
本実施形態においては、複数のカメラ71,72を有する撮像装置7の撮像結果に基づいて、光学フィルム中間体Faから複数の光学フィルムチップFcを切り出す際の切り出し位置の補正が行われる。よって、光学フィルム中間体Faから複数の光学フィルムチップFcを切り出す際の光学フィルム中間体Faの位置精度を向上させることができる。
【0090】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【実施例】
【0091】
以下、実施例及び従来例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0092】
図10は、光学フィルムの各検査位置において、光学軸の方向と第2切断装置による光学フィルム(光学フィルム中間体)の切断方向との成す角度が、設計仕様で定められた角度(目的の角度)に対してどの程度ずれているかを示すグラフである。
【0093】
図10において、横軸は光学フィルムの幅方向における検査位置を示しており、縦軸は各検査位置における光学フィルムの光学軸の方向と第2切断装置による光学フィルムの切断方向とのなす角度が目的の角度に対して何度ずれているかを示している。
【0094】
図10において、「+X方向側」とは、図4(c)に示す光学フィルムの+X方向側の部分の面内分布である。「−X方向側」とは、図4(c)に示す光学フィルムの−X方向側の部分の面内分布である。「−X方向側」に示す1〜9の数字は、光学フィルムの−X方向側のエッジからの検査位置を順に表したものである。例えば、光学フィルムの−X方向側のエッジに最も近い検査位置が数字1に対応し、光学フィルムの中央部分に最も近い検査位置が数字9に対応する。「+X方向側」に示す1〜9の数字は、光学フィルムの+X方向側のエッジからの検査位置を順に表したものである。例えば、光学フィルムの+X方向側のエッジに最も近い検査位置が数字1に対応し、光学フィルムの中央部分に最も近い検査位置が数字9に対応する。すなわち、本実施例では、光学フィルムの幅方向に18箇所の検査位置を設けて光学フィルムの光学軸の面内分布を検出している。
【0095】
図10において、「従来例」とは、光学フィルムの長手方向が第2切断装置による光学フィルム中間体の切断方向に対して目的の角度をなすように光学フィルム中間体を配置してチップカットした例であり、「実施例」とは、光学フィルム中間体の面内の平均的な光学軸の方向が第2切断装置による光学フィルム中間体の切断方向に対して目的の角度をなすように光学フィルム中間体を回転させてチップカットした例である。
【0096】
図10に示すように、従来例のグラフは、光学フィルムの光学軸の面内分布をそのまま反映したものとなっている。すなわち、光学フィルムの中央部では、目的の角度からのずれが小さいが、光学フィルムの端部では、目的の角度からのずれが大きくなっている。従来例のグラフを見ると、光学フィルムの−X方向側においては4番の検査位置で大きなずれ角を有し、光学フィルムの+X方向側においては1番の検査位置で大きなずれ角を有することが分かる。
【0097】
これに対し、実施例のグラフは、光学フィルムの中央部において目的の角度からのずれが発生しているが、光学フィルムの端部における目的の角度からのずれは小さくなっている。光学フィルムの中央部と端部での目的の角度からのずれの大きさは、従来例における光学フィルムの端部での目的の角度からのずれの大きさよりも小さくなっている。実施例のグラフを見ると、光学フィルムの−X方向側においては4番の検査位置と7番目の検査位置で大きなずれ角を有し、光学フィルムの+X方向側においては8番の検査位置と3番目の検査位置で大きなずれ角を有することが分かる。
【0098】
このように、実施例では、光学フィルム中間体の切断方向を光学フィルム中間体の光学軸の面内分布に基づいて調整しているため、目的の角度からのずれの大きさが光学フィルム中間体の面内で概ね均一化される。そのため、従来例のように目的の角度からのずれが光学フィルムの中央部と端部で大きく異なるという問題は発生しない。よって、光学フィルムから複数の光学フィルムチップを切り出す場合でも、切り出される複数の光学フィルムチップの間で光学軸が大きくばらつくことが抑制される。
【0099】
図11および図12は、光学フィルム中間体から切り出された光学フィルムチップの光学軸のばらつきを示すグラフである。図11は、従来例の結果を示しており、図12は、実施例の結果を示している。図11および図12において、横軸は、光学フィルムチップの光学軸が設計仕様で定められた光学軸に対して何度ずれているか(光学軸のずれ角)を示しており、縦軸は、光学フィルムチップの枚数(頻度)を示している。
【0100】
図11に示すように、従来例では、標準偏差(σ):0.10°の値が得られた。各ずれ角における光学フィルムチップの頻度は概ね均一である。
【0101】
図12に示すように、実施例では、標準偏差(σ):0.06°の値が得られた。各ずれ角における光学フィルムチップの頻度は、ずれ角の小さい領域が大きく、ずれ角の大きい領域が小さい山形の分布を示している。今後要求精度が厳しくなった場合でも、この要求精度を満たすことのできる光学フィルムチップの割合(良品率)が大きく落ち込むことはない。
【0102】
このように、従来例では、各ずれ角における光学フィルムチップの頻度は概ね均一であるため、今後要求精度が厳しくなった場合に、要求精度を満たすことのできる光学フィルムチップの割合(良品率)が大きく落ち込むことが予想される。一方、実施例では、ずれ角の小さい光学フィルムチップの割合がずれ角の大きい光学フィルムチップの割合に比べて大きくなっているため、今後要求精度が厳しくなった場合でも、この要求精度を満たすことのできる光学フィルムチップの割合が大きく落ち込むことはない。よって、従来例に比べて、1枚の光学フィルムから多くの光学フィルムチップを切り出すことが可能となり、光学フィルムチップの生産効率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0103】
3…撮像装置、5…第1切断装置、6…回転ステージ、7…撮像装置、8…第2切断装置、9…記憶装置、10…制御装置、12…光学フィルムチップの切り出し装置、32…検光子、F…光学フィルム、Fa,Fb…光学フィルム中間体、Fc…光学フィルムチップ、V1…第1の光学軸、V2…第2の光学軸、V3…平均光学軸(光学フィルム中間体の面内の平均的な光学軸)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学フィルムから複数の光学フィルムチップを切り出す光学フィルムチップの切り出し装置であって、
前記光学フィルムを切断する切断装置と、
前記光学フィルムの光学軸の面内分布のデータを取得し、前記光学フィルムの光学軸の面内分布のデータに基づいて、前記切断装置による前記光学フィルムの切断方向を前記光学フィルムの面内で異ならせる制御装置と、
を含む光学フィルムチップの切り出し装置。
【請求項2】
前記切断装置は、前記光学フィルムから複数の光学フィルム中間体を切り出す第1切断装置と、前記光学フィルム中間体から複数の前記光学フィルムチップを切り出す第2切断装置と、を含み、
前記制御装置は、前記光学フィルムの光学軸の面内分布のデータに基づいて前記光学フィルム中間体の面内の平均的な光学軸の方向を算出し、前記光学フィルム中間体の面内の平均的な光学軸の方向が前記第2切断装置による前記光学フィルム中間体の切断方向に対して目的の角度をなすように前記第2切断装置による前記光学フィルム中間体の切断方向を制御し、
前記切断装置は、前記制御装置によって制御された切断方向で前記光学フィルム中間体を切断することにより、前記光学フィルム中間体から複数の前記光学フィルムチップを切り出す請求項1に記載の光学フィルムチップの切り出し装置。
【請求項3】
前記光学フィルム中間体を載置する回転ステージを備え、
前記制御装置は、前記光学フィルムチップの面内の平均的な光学軸の方向が前記第2切断装置による前記光学フィルム中間体の切断方向に対して目的の角度をなすように前記回転ステージを回転させる請求項2に記載の光学フィルムチップの切り出し装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記光学フィルム中間体の面内で最も大きな角度で交差する2つの光学軸を検出し、前記2つの光学軸がなす角を2等分する軸を前記光学フィルム中間体の面内の平均的な光学軸として算出する請求項3に記載の光学フィルムチップの切り出し装置。
【請求項5】
前記回転ステージと前記第2切断装置との間には、前記光学フィルム中間体の前記回転ステージ上での設置状態を撮像する撮像装置が設けられており、
前記制御装置は、前記撮像装置の撮像結果に基づいて、前記光学フィルム中間体の面内の平均的な光学軸の方向が前記第2切断装置による前記光学フィルム中間体の切断方向に対して目的の角度をなすように前記回転ステージを回転させる請求項2〜4のいずれか一項に記載の光学フィルムチップの切り出し装置。
【請求項6】
前記光学フィルムの光学軸の面内分布のデータを記憶する記憶装置を備える請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学フィルムチップの切り出し装置。
【請求項7】
前記光学フィルムの光学軸を前記光学フィルムの幅方向の複数の検査位置で検査する検査装置を備える請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学フィルムチップの切り出し装置。
【請求項8】
前記検査装置は、前記光学フィルムの幅方向に移動可能な検光子を備え、
前記検査装置は、前記検光子を前記光学フィルムの幅方向に移動させつつ前記検光子によって前記光学フィルムの光学軸を検出することにより、前記光学フィルムの光学軸を前記光学フィルムの幅方向の複数の検査位置で検査する請求項7に記載の光学フィルムチップの切り出し装置。
【請求項9】
光学フィルムから複数の光学フィルムチップを切り出す光学フィルムチップの切り出し方法であって、
前記光学フィルムの光学軸の面内分布のデータを取得する第1のステップと、
前記光学フィルムの光学軸の面内分布のデータに基づいて、前記光学フィルムの切断方向を前記光学フィルムの面内で異ならせつつ、前記光学フィルムから複数の前記光学フィルムチップを切り出す第2のステップと、
を含む光学フィルムチップの切り出し方法。
【請求項10】
前記第2のステップは、光学フィルムから複数の光学フィルム中間体を切り出す第3のステップと、前記光学フィルム中間体から複数の前記光学フィルムチップを切り出す第4のステップと、を含み、
前記第4のステップでは、前記光学フィルムの光学軸の面内分布のデータに基づいて、前記光学フィルム中間体の面内の平均的な光学軸の方向を算出し、前記光学フィルム中間体の面内の平均的な光学軸の方向が前記光学フィルム中間体の切断方向に対して目的の角度をなすように前記光学フィルム中間体の切断方向を調整し、調整された前記切断方向で前記光学フィルム中間体を切断することにより、前記光学フィルム中間体から複数の前記光学フィルムチップを切り出す請求項9に記載の光学フィルムチップの切り出し方法。
【請求項11】
前記第4のステップでは、前記光学フィルム中間体を回転ステージに載置し、前記光学フィルムチップの面内の平均的な光学軸の方向が前記光学フィルム中間体の切断方向に対して目的の角度をなすように前記回転ステージを回転させる請求項10に記載の光学フィルムチップの切り出し方法。
【請求項12】
前記光学フィルム中間体の面内で最も大きな角度で交差する2つの光学軸を検出し、前記2つの光学軸がなす角度を2等分する軸を前記光学フィルム中間体の面内の平均的な光学軸として算出する請求項11に記載の光学フィルムチップの切り出し方法。
【請求項13】
前記第4のステップでは、前記光学フィルム中間体の前記回転ステージ上での設置状態を撮像し、撮像結果に基づいて、前記光学フィルムチップの面内の平均的な光学軸の方向が前記第2切断装置による前記光学フィルム中間体の切断方向に対して目的の角度をなすように前記回転ステージを回転させる請求項10〜12のいずれか一項に記載の光学フィルムチップの切り出し方法。
【請求項1】
光学フィルムから複数の光学フィルムチップを切り出す光学フィルムチップの切り出し装置であって、
前記光学フィルムを切断する切断装置と、
前記光学フィルムの光学軸の面内分布のデータを取得し、前記光学フィルムの光学軸の面内分布のデータに基づいて、前記切断装置による前記光学フィルムの切断方向を前記光学フィルムの面内で異ならせる制御装置と、
を含む光学フィルムチップの切り出し装置。
【請求項2】
前記切断装置は、前記光学フィルムから複数の光学フィルム中間体を切り出す第1切断装置と、前記光学フィルム中間体から複数の前記光学フィルムチップを切り出す第2切断装置と、を含み、
前記制御装置は、前記光学フィルムの光学軸の面内分布のデータに基づいて前記光学フィルム中間体の面内の平均的な光学軸の方向を算出し、前記光学フィルム中間体の面内の平均的な光学軸の方向が前記第2切断装置による前記光学フィルム中間体の切断方向に対して目的の角度をなすように前記第2切断装置による前記光学フィルム中間体の切断方向を制御し、
前記切断装置は、前記制御装置によって制御された切断方向で前記光学フィルム中間体を切断することにより、前記光学フィルム中間体から複数の前記光学フィルムチップを切り出す請求項1に記載の光学フィルムチップの切り出し装置。
【請求項3】
前記光学フィルム中間体を載置する回転ステージを備え、
前記制御装置は、前記光学フィルムチップの面内の平均的な光学軸の方向が前記第2切断装置による前記光学フィルム中間体の切断方向に対して目的の角度をなすように前記回転ステージを回転させる請求項2に記載の光学フィルムチップの切り出し装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記光学フィルム中間体の面内で最も大きな角度で交差する2つの光学軸を検出し、前記2つの光学軸がなす角を2等分する軸を前記光学フィルム中間体の面内の平均的な光学軸として算出する請求項3に記載の光学フィルムチップの切り出し装置。
【請求項5】
前記回転ステージと前記第2切断装置との間には、前記光学フィルム中間体の前記回転ステージ上での設置状態を撮像する撮像装置が設けられており、
前記制御装置は、前記撮像装置の撮像結果に基づいて、前記光学フィルム中間体の面内の平均的な光学軸の方向が前記第2切断装置による前記光学フィルム中間体の切断方向に対して目的の角度をなすように前記回転ステージを回転させる請求項2〜4のいずれか一項に記載の光学フィルムチップの切り出し装置。
【請求項6】
前記光学フィルムの光学軸の面内分布のデータを記憶する記憶装置を備える請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学フィルムチップの切り出し装置。
【請求項7】
前記光学フィルムの光学軸を前記光学フィルムの幅方向の複数の検査位置で検査する検査装置を備える請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学フィルムチップの切り出し装置。
【請求項8】
前記検査装置は、前記光学フィルムの幅方向に移動可能な検光子を備え、
前記検査装置は、前記検光子を前記光学フィルムの幅方向に移動させつつ前記検光子によって前記光学フィルムの光学軸を検出することにより、前記光学フィルムの光学軸を前記光学フィルムの幅方向の複数の検査位置で検査する請求項7に記載の光学フィルムチップの切り出し装置。
【請求項9】
光学フィルムから複数の光学フィルムチップを切り出す光学フィルムチップの切り出し方法であって、
前記光学フィルムの光学軸の面内分布のデータを取得する第1のステップと、
前記光学フィルムの光学軸の面内分布のデータに基づいて、前記光学フィルムの切断方向を前記光学フィルムの面内で異ならせつつ、前記光学フィルムから複数の前記光学フィルムチップを切り出す第2のステップと、
を含む光学フィルムチップの切り出し方法。
【請求項10】
前記第2のステップは、光学フィルムから複数の光学フィルム中間体を切り出す第3のステップと、前記光学フィルム中間体から複数の前記光学フィルムチップを切り出す第4のステップと、を含み、
前記第4のステップでは、前記光学フィルムの光学軸の面内分布のデータに基づいて、前記光学フィルム中間体の面内の平均的な光学軸の方向を算出し、前記光学フィルム中間体の面内の平均的な光学軸の方向が前記光学フィルム中間体の切断方向に対して目的の角度をなすように前記光学フィルム中間体の切断方向を調整し、調整された前記切断方向で前記光学フィルム中間体を切断することにより、前記光学フィルム中間体から複数の前記光学フィルムチップを切り出す請求項9に記載の光学フィルムチップの切り出し方法。
【請求項11】
前記第4のステップでは、前記光学フィルム中間体を回転ステージに載置し、前記光学フィルムチップの面内の平均的な光学軸の方向が前記光学フィルム中間体の切断方向に対して目的の角度をなすように前記回転ステージを回転させる請求項10に記載の光学フィルムチップの切り出し方法。
【請求項12】
前記光学フィルム中間体の面内で最も大きな角度で交差する2つの光学軸を検出し、前記2つの光学軸がなす角度を2等分する軸を前記光学フィルム中間体の面内の平均的な光学軸として算出する請求項11に記載の光学フィルムチップの切り出し方法。
【請求項13】
前記第4のステップでは、前記光学フィルム中間体の前記回転ステージ上での設置状態を撮像し、撮像結果に基づいて、前記光学フィルムチップの面内の平均的な光学軸の方向が前記第2切断装置による前記光学フィルム中間体の切断方向に対して目的の角度をなすように前記回転ステージを回転させる請求項10〜12のいずれか一項に記載の光学フィルムチップの切り出し方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−104981(P2013−104981A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248060(P2011−248060)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】
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