説明

光学式プリペイドカード

【目的】 記録密度が高い光学式プリペイドカードを提供する。
【構成】 記録面に所定の着色領域が形成され、この領域に照射された光の反射光により前記記録面に記録された記録情報の内容が判別される光学式プリペイドカード1において、上記領域は、一の波長の光に対する反射特性がそれぞれ異なる少なくとも三つの反射特性のうちの一の反射特性を有するようにした。これにより、単位情報記録領域に記録できる情報量を増大させる。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、カルラコードなどマーク状に情報が記録された光学式プリペイドカードに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
カルラコードは、図2に例示するように、携帯用光学式プリペイドカードAなどの表面の所定領域を白地あるいはこれに近い色に形成した情報記録領域1を、縦方向に等間隔で複数の単位情報記録領域11,12,13,・・・,nに区分けするとともに、これら単位情報記録領域11,12,13,・・・,nをそれぞれ2×2の四つの単位領域a、b、c、dに区分けし、単位領域a、b、c、dのうちの任意の領域に光の反射率の低い黒色のマークBを付けあるいは黒色マークBを付けない白色部を設ける、これらの組み合わせでデータの記録または識別を行うものである。
【0003】
このようにカルラコードが記録された光学式プリペイドカードの読取装置では、光学式プリペイドカードを読取装置内に取り込んだ後、光学式プリペイドカードの情報記録面をイメージセンサからなる読取部に密着させ、光学式プリペイドカードをモータで長手方向に間欠送りをする。なお、このときのカード搬送量の単位長は、イメージセンサの検出長で規定される。
【0004】
ここで、搬送されたカードの情報記録領域1を、カード送り方向と直交する方向に走査し、イメージセンサの検出幅ずつの読取結果である「白」および「黒」を二値化処理してメモリに展開する。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のカルラコードは、各単位情報記録領域11〜nの一の単位領域に対しては、黒色の一種類のマークしか記録せず、読取装置もこれに応じて一種類の光によりマークがあるか否かを検出するように構成しているため、記録密度に制約があり、多くの情報を記録する場合などは、情報記録領域2を拡大しなければならない。
【0006】
これでは、携帯用のプリペイドカードのように大きさに制約があるものに対してカルラコードで情報を記録する場合、記録情報にも制約を受け、光学式カードの汎用性にも問題を生じてしまう。
【0007】
以上の問題点を解決するため、マークを多色にして同一光源で照射して情報記録領域2からの反射光量の中間値で識別することも考えられるが、信頼性、再現性に乏しく現実的でない。また、実用化しようとすると、マークの均一性、読取装値に厳しい条件を課することとなり、現実的ではない。
【0008】
本考案は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、限られた広さの中で実質的に記録密度を高めた光学式プリペイドカードを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本考案では、記録面に所定の着色領域が形成され、この領域に照射された光の反射光により記録情報の内容が判別される光学式プリペイドカードにおいて、上記領域を、一の波長の光に対する反射特性がそれぞれ異なる少なくとも三つの反射特性のうちの一の反射特性を有するようにした。
【0010】
【作用】
本考案の光学式プリペイドカードによれば、単位情報記録領域に記録される情報の種類が多くなり、実質的に一単位記録領域当たりの記録密度が向上する。
【0011】
【実施例】
図1は、本考案に係わる光学式カードを示す図であって、従来例を示す図2と同一構成部分は同一符号をもって表す。
【0012】
第1のマークB1は、たとえば赤色の塗料インクを所定の単位領域a〜dに対して印刷することにより形成されている。この赤色のマークB1は、たとえば波長6500オングストローム近傍の波長帯の光に対する反射率が高く、他の波長帯の光に対する反射率が低い、すなわち吸収率が高い。
【0013】
第2のマークB2は、たとえば緑色の塗料インクを所定の単位領域a〜dに対して印刷することにより形成されている。この緑色のマークB2は、たとえば波長5200オングストローム近傍の波長帯の光に対する反射率が高く、他の波長帯の光に対する反射率が低い、すなわち吸収率が高い。
【0014】
第3のマークB3は、たとえば赤色と緑色との混合である黄色の塗料インクを所定の単位領域a〜dに対して印刷することにより形成されている。この黄色のマークB3は、たとえば波長6500オングストローム近傍の波長帯の光および波長5200オングストローム近傍の波長帯の光に対して、ともに反射率が低い、すなわち両光に対して吸収率が高い。
【0015】
このように、本実施例の光学式カードAは、従来のカードのようにマークBとして黒色の一色ではなく、赤色と緑色と黄色の三色を用いて、いわゆる多色刷りのパターンを有するカードとして構成している。この構成により、一の単位領域に対して2値の情報ではなく、3値の情報が与えることができる。
【0016】
なお、本実施例では、光学式カードAに記録(印刷)するマークの色として赤と緑と黄の場合を例にとり説明した、これに限定されるものでないことはいうまでもない。2色あるいは他の色、たとえば光の3原色の1つである「青色」を用いる場合には、読取装置における光源の波長もそれに応じて変えることが望ましい。
【0017】
また、無彩色である「白色」、「黒色」と光の3原色である「赤色」、「緑色」、「青色」を組み合わせるなど種々の態様が可能である。
【0018】
【考案の効果】
以上説明したように、本考案の光学式カードによれば、従来の光学式プリペイドカードに比べて、単位情報記録領域当たりの記録密度の向上を図れる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案に係わる光学式プリペイドカードの一実施例を示す図である。
【図2】従来の光学式プリペイドカードの説明図である。
【符号の説明】
A 光学式プリペイドカード
1 情報記録領域
11〜n 単位情報記録領域
a、b、c、d 単位領域
B1 第1のマーク
B2 第2のマーク
B3 第3のマーク

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 所定の着色領域が形成された記録面を有し、この領域に照射された光の反射光により前記記録面に記録された記録情報の内容が判別される光学式プリペイドカードにおいて、上記領域は、一の波長の光に対する反射特性がそれぞれ異なる少なくとも三つの反射特性のうち一の反射特性を有するようにしたことを特徴とする光学式プリペイドカード。

【図1】
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【図2】
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