説明

光学情報読み取り装置

【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕
本発明は、楽音声信号や映像信号等の情報信号を記録した光ディスクに、半導体レーザ等のレーザ発振器から出射される光ビームを照射して上記情報信号を読み取り再生するようになす光学ディスクプレーヤ等に用いられて有用な光学情報読み取り装置に関する。
〔従来の技術〕
従来、光学ディスクプレーヤは、スピンドルモータによって回転駆動されるディスクテーブルを有し、このディスクテーブル上に光ディスクを装着し回転操作するとともに、半導体レーザを内蔵した光学ピックアップ装置を上記光ディスクの内周側から外周側に亘って該光学ディスクに形成された記録トラックの法線方向に走行させるようになし、上記半導体レーザから出射される光ビームを上記光ディスクの下面側から垂直に照射して記録トラックをトラッキングし、この記録トラックに記録された所定の情報信号を読み取り再生するように構成されている。
このような構成を有する光学ディスプレーヤに用いられる信号記録媒体である光ディスクには、音声信号等の情報信号がパルスコード化され微小な凹凸であるピット列として高密度に記録可能るため、楽音信号を記録したいわゆるコンパクトディスクにあっては、直径12cmに設定したものが標準サイズとして用いられている。このように楽音再生用の光学ディスクプレーヤに用いられる記録媒体としての光ディスクは小径サイズのものが用いられるため、これを再生する光学ディスクプレーヤ自体も小型化を図る試みがなされ、例えば外装筐体の内周形状が光ディスクの外周径を略内接円をなすような方形状の大きさにまで小型化するものが考えられている。
〔発明が解決しようとする課題〕
上述のように光ディスクの外周径を略内接円をなすような方形状の大きさにまで小型化する光学ディスクプレーヤにあっては、さらに薄型化も要求される所である。
このように小型及び薄型化を達成することにより、携帯可能な光学ディスクプレーヤの構成が可能となるものである。
ところで、従来の光学ディスクプレーヤに用いられている光学情報読み取り装置としての光学ピックアップ装置は、光源としての半導体レーザから対物レンズに至る光ビームの光路が光ディスク面に垂直になるように構成されている。すなわち、半導体レーザ、この半導体レーザから出射された光ビームを平行光となすコリメータレンズ、ビームスプリッタ、1/4波長板等から構成される光学系ブロックの光軸が光ディスクの信号記録面に垂直になるように配置されている。このように構成された光学ピックアップ装置は、光ディスクの信号記録面に垂直な方向の厚さが大きくなってしまっている。そのため、この種の光学ピックアップ装置を用いる光学ディスクプレーヤの薄型化を十分に達成することができない。
そこで、本発明は、光学ディスクプレーヤの一層の薄型化を可能となすように、光学情報読み取り装置としての光学ピックアップ装置の薄型化を図ることを目的に提案されたものである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明に係る光学情報読み取り装置は、上述の如き目的を達成するため、対物レンズをその光軸と平行な方向と上記光軸と直交する方向に駆動する対物レンズ駆動手段と、上記対物レンズの下側に配されて、光源から出射された光ビームの光路を90゜偏向して上記対物レンズに導く光路偏向手段と、上記光源から出射された光ビームと光ディスクからの上記対物レンズを介した戻り光ビームを分離するビームスプリッタと、上記ビームスプリッタによって分割された戻り光ビームを受光する光検出器と、上記光源からの出射光が上記光ディスクの面に対して平行となるように上記光源と上記ビームスプリッタと上記光路偏向手段とを配設したベースと、上記ベースの両端部を支持するとともに、光ディスクが収納される方形式をなす筐体の上記光ディスクの回転中心を中心に略対角線方向に上記ベースが移送されるように配設される第1及び第2のガイド手段と、上記第1及び第2のガイド手段のいずれか一方のガイド手段の側面に配されて上記第1及び第2のガイド手段に沿って上記ベースを上記光ディスクの径方向に送るギヤ機構で構成された送り手段とを備えて構成したものである。
〔作用〕
本発明に係る光学情報読み取り装置は、両端を第1及び第2のガイド手段によって支持されたベースに、光学からの出射光が光ディスクの面に対して平行となるように光源とビームスプリッタと光路偏向手段を配設してなるので、光源から光路偏向手段に至る光学系ブロックの光軸が光ディスクの面に平行となる。
また、両端を第1及び第2のガイド手段によって支持されたベースが、光ディスクが収納される方形状をなす筐体の上記光ディスクの回転中心に中心に略対角線方向に移送されるように配設されてなるので、筐体の大きさを収納される光ディスクの外周円を内接円となす大きさの方形状を形成することができる。
そして、ベースは、第1及び第2のガイド手段のいずれか一方のガイド手段の側面に配されたギヤ機構を備えた送り手段によって光ディスクの径方向に送り操作される。
〔実施例〕
以下、本発明の一実施例を図面を参照して具体的に説明する。
まず、本発明に係る光学情報読み取り装置としての光学ピックアップ装置が適用される光学ディスクプレーヤを説明する。
上記光学ディスクプレーヤは、第1図、第2図及び第3図3図に示すように、プレーヤ本体を構成する外装筐体1の内周形状を、このプレーヤで再生される光ディスク2の外周径を内接円となす方形状に、すなわち外相筐体1の内周縁の一辺を上記光ディスク2の直径に略等しい長さとして方形状に形成される。このように形成された外装筐体1の前面側外装壁部3には、パワースイッチ操作釦4、プレイ・ポーズ釦5、次曲選曲釦6、早送り操作釦7、指定曲選曲釦8、リバース操作釦9及びエジェクト釦10等の操作釦及びタイマーあるいは演奏曲の番地の表示部11が設けられている。
上記外装筐体1の中央位置には、この外装筐体1の中心に軸心を略一致させて光ディスク2が装着されるディスクテーブル12を先端側に一体的に取付けたスピンドル13を備えたディスク回転駆動装置が配設される。このディスク回転駆動装置のスピンドル13は、第4図に示すようにシャーシ基板14の下面側に取付けられた軸受け15に挿通され回転可能に軸支されるとともに、同じくシャーシ基板14の底面側に垂下される如く取付けられたスラスト軸受け16に先細り状の基端13aを支持されて取付けられる。このように取付けられるスピンドル13の基端側には、金属で円盤状に形成されたディスプレート17が一体的に嵌合配設されている。このディスクプレート17のディスクテーブル12と対向する上面側外周部を段状に切欠く如くして形成された嵌合部18にゴム等の弾性体からなる弾性輪19が嵌合配設されている。この弾性輪19の上面はテーパ状に形成された駆動輪転接面20となされ、シャーシ基板14の下面側に取付けられるモータ支持部材21を介して光ディスク2面と平行に取付けられる駆動モータ22の出力軸に減速ギヤ機構23を介して連結された駆動軸24に取付けられ外周面を上記駆動輪転接面20に対応するテーパ面となした駆動輪25が転接され、上記駆動モータ22の回転駆動力がスピンドル13に伝達するようになされている。
このように、スピンドル13の基端側に取付けたディスクプレート17の上面に駆動モータ22により駆動される駆動輪25の転接させて上記スピンドル13に駆動させるいわゆるディスク駆動方式を採用することにより、駆動モータ22は出力軸をディスクテーブル12に装着される光ディスク2面と平行して取付けることができるので、スピンドル駆動機構の薄型化を達成でき、ひいては光学ディスクプレーヤの薄型化に寄与できる。
なお、ディスクテーブル12の駆動方式は、上述のようなディスク駆動方式に限られるものではなく、スピンドル13を駆動モータの出力軸に直結したいわゆるダイレクトドライブ方式を採用してもよい。
上述のようにディスクテーブル12を配設した外装筐体1内には、上記ディスクテーブル13上に装着される光ディスク2の信号記録面に光ビームを照射し、光ディスク2に記録された楽音信号等の情報信号を読み取り操作する光学情報読み取り装置としての光学ピックアップ装置26が対物レンズ27を上記光ディスク2の信号記録面に対向させて取付けられる。この光学ピックアップ装置26は、外装筐体1の各種操作釦等を設けた前面側外装壁部3を含みこの前面側外装壁部3と平行な背面側外装壁部28及び相対向する両側外装壁部29,30に対し傾斜した角度で、光ディスク2の内周側から外周側に亘って走行操作されるように取付けられる。
そして、上記光学ピックアップ装置26は、光ビームが上記対物レンズ27の光軸ORに対し直交するようにして上記対物レンズ27入射されるように構成される。すななち、第5図、第6図及び第7図に示すように光源としての半導体レーザ31をここから出射される光ビームが対物レンズ27の光軸ORに直交する方向に出射されるようにハウジング32の端部に取付け、光ビームを信号読み取り用のメインビームとトラッキングサーボ用の2本のサブビームに分離する回析格子34、光ディスク2から反射された戻り光ビームを光検出器としてのフォトディテクタ35へ分離導出させるビームスプリッタ36、光ビームを平行光に偏光するコリメートレンズ37等からなる光学系ブロックを、その光軸OLが対物レンズ27の光軸OR直交するようにしてハウジング32に組込む。また、ビームスプリッタ36により90度方向に偏向して分離導出される光ディス2から反射された上記光ディスク2に記録された情報信号を読みとった戻り光ビームをフォトディテクタ35を透光するとともに上記戻り光ビームを非点収差させるカマボコ型の円筒レンズ39からなる戻り光ビーム側の光学系ブロックの光軸OPも対物レンズ27の光軸ORに直交するように上記格光学部品の取付け支持体としてのベースを構成するハウジング32内に組込まれる。そして、半導体レーザ31から出射された光ビームは、対物レンズ27の下面側に取付けられる反射鏡40で光路が90度方向に偏向された後、その偏向軸を45度軸回転する1/4波長板41を介して上記対物レンズ27に垂直に入射される。
また、半導体レーザ31から出射された光ビームを集束して光ディスク2の信号記録面に垂直に照射させ、あるいは上記信号記録面から反射された戻り光ビームを透光さる対物レンズ27は、その光軸方向であるフォーカス方向及び上記光軸方向と直交する記録トラックのトラッキング方向いの互いに直交する2軸方向に駆動する対物レンズ駆動手段としての2軸駆動ディバイス45に支持されてハウジング32内に組込まれる。上記対物レンズ27は、2軸駆動ディバイス45に支持されることにより、光ビームの焦点深度中に上記記録トラックが位置するように制御するフォーカス制御及び光ビームが正確に記録トラックをトレースするように制御するトラッキング制御が行われる。
すなわち、この光学ピックアップ装置26は、第6図に示すように、光ディスク2の面に平行に配設されるハウジング32を支持体たるベースとして半導体レーザ31、ビームスプリッタ36、反射鏡40、2軸駆動ディバイス45等の部品が配設されてなる。このとき、ハウジング32内に配設されてなる半導体レーザ31、ビームスプリッタ36及び反射鏡40により構成される面は、第6図からも明らかなように、光ディスク2の面に平行な面となされている。
そして、上記2軸駆動ディバイス45は、第8図に示すように、磁気ギャップを形成する磁気回路部を構成する固定部46と、この固定部46に植立させる支軸47に対して軸回り方向に回動自在で且つ軸方向に摺動自在に取付けられた可動部48から構成されている。この磁気回路部を構成する固定部46は、光学系を内蔵するハウジング32への取付け板となる取付け基板49、リング状のマグネット50、上記取付け基板49に一体的に植立する如く相対向して設けられる断面扇形の一体の内周側ヨーク52,53,リング状のヨーク取付け部54に一体的に植立する如く相対向して設けられた内周側ヨーク52,53と相対向して配置される第2のヨーク57,58及び上記取付け基板51へ植立される支軸47より構成されている。そして、相対向する扇形の一対の内周側ヨーク52,53を一体的に形成した取付け基板51には、上記内周側ヨーク52,52間に形成される切欠部59,60のいずれか一方の切欠部59と連通して、上述したハウジング32に内蔵される半導体レーザから光ビームが透光する光窓61が開設されている。また、上記内周側ヨーク52,53の基端部には、リング状のマグネット50が嵌合する如く配設され、このマグネット50の上側面には一対の外周側ヨーク57,58がヨーク取付部54を配設させて取付けられている。なお、外周側ヨーク57,58はヨーク取付け部54の外周面の4分の1の長さに形成され、かつ互いに対向して配置されている。したがって、一対の外周側ヨーク57,58との間には一対の切欠部が形成される。これら一対の外周側ヨーク57,58は、第9図に示すように、内周側の各ヨーク52,53とそれぞれ対向するように取付けられ、磁気ギャップ62,63を形成し磁気回路部を構成している。さらに、弾性材よりなり基端側中央部に支持孔64を穿設したダンパホルダ65が、一対の脚片65a,65bを内周側ヨーク52,53の上端面に穿設した突起部52a,53aに嵌合孔64a,64bを係合させて架設する如く、取付けられている。このダンパ65は、上記第1のヨーク52,53の切欠部59,60のうち上述した光窓61が設けられる切欠部59と反射側の切欠部60の中心部に臨むようになっている。また、取付け基板49の中心部には支軸47が垂直に植立されている。
そして、上記支軸47には可動部48の軸受66が第10図に示すように回動可能に挿入するようにされている。すなわち、可動部48は上記内周側ヨーク52,53の外周より若干大きめな円板状とされ、その中心部直径方向に亘って膨出部68が一体的に形成され、この膨出部68の軸心部には垂直に軸受固定用孔69が設けられている。この固定用孔69に上記軸受66の上端部が挿入されて固定される。また、上記可動部48の膨出部68の一端部には、レンズ孔70が垂直に穿設されている。そして、対物レンズ27が嵌め込まれたレンズ枠72をこのレンズ孔70に挿入して取付けるようになされている。ここで、対物レンズ27の真下には上記光窓61が位置され、光窓61から光ビームが内周側ヨーク52,53間の切欠部59を通って上記対物レンズ27に導かれるようにされている。
また、上記可動部48の膨出部68の他端部には、可動部48の裏面側(第8図中下側)から支持ピン73の上端部が垂直に植設され、さらに、この支持ピン73の下端部は上記ダンパホルダ65の支持孔64に挿入されて固定されている。
上述のように取付けられる可動部48には、該可動部48を支軸47に対しラジアル方向に回転駆動させ、対物レンズ27を光ディスク2の記録トラックの法線方向にトラッキング制御させるスキュー巻きされたトラッキン駆動コイル74が筒状のボビン75を介して取付けられる。このトラッキング駆動コイル74上には、上記可動部48をスラスト方向に摺動操作して対物レンズ27の光軸方向である光ビームのフォーカス方向にフォーカス制御するフォーカス駆動用のコイル76が正列巻きして取付けられている。そして、第9図及び第10図に示すように取立てられた2軸駆動ディバイス45は、対物レンズ27が臨む長孔78を有するギャップ79で覆われる。
上述のように構成された2軸駆動ディバイス45において、対物レンズ27のフォーカス方向の制御は、光ディスク2の信号記録面から反射された戻り光ビームを光学ピックアップ装置26のハウジング32内に配設される円筒レンズ39を介して非点収差させ、4分割させたフォトディテクタ35で検出し、各分割されたフォトディテクタ35の各検出部からの検出出力の差分に応じたフォーカス制御信号を得、このフォーカス制御信号に応じた駆動電流をフォーカス駆動コイル76に供給し、上記対物レンズ27を取付けた可動部48をスラスト方向に駆動して行なう。
また、対物レンズ27のトラッキング方向の制御は、ハウジング32内に配設された半導体レーザ31から出射された光ビームを回析格子34で記録トラック取み取り用の1本のメインビームと2本のサブビームとに分離し、光ディス2の信号記録面において、第11図に示すようにメインビームによって得られるメインビームスポットS1に挟んで左右にわずかすれて記録トラックTの接線方向にサブビームによって得られるサブビームスポットS2・S3が並ぶようになし、2本のサブビームによって得られるサブビームスポットS2,S3が当たる記録トラックを構成するピットP2,P3からのサブビームの反射量をフォトディテクタ35で検出し、各サブビームから得られる検出出力の差分に応じたトラッキング制御信号を得る。そして、このトラッキング制御信号に応じた駆動電流をトラッキング駆動コイル74に供給し対物レンズ47を取付けた可動部48を支持ピン73を中心にしてラジアル方向に駆動し、メインビームによるメインビームスポットS1が記録トラックを構成するピット上に位置し正確な記録トラックのトレースを行なうように制御するようになされる。
上述の如く構成された光学ピックアップ装置26は、光ディスク2の最外周側記録トラックをトレースするように移送されたとき、外形形状が大型となる対物レンズ27が2軸方向に可動可能に支持される2軸駆動ディバイス45が、外装筐体1の背面側部外装壁部28とこれに直交する一方の側方外装壁部29とで形成されるコーナ部に位置するようになし、ビームスプリッタ36と反射鏡40間の光軸が背面側外装壁部28と略平行となるように、すなわち光ビームがディスクテーブル12上に載置される光ディスク2面に平行であって背面側外装壁部28に平行に半導体レーザ31から出射されるようにして外装筐体1内に配設される。
ところで、対物レンズ27を介して光ディスク2の信号記録面に照射される光ビームによる記録トラックのトラッキングは、光ディスク2の内周側から外周側に亘る全ての記録トラックをトレースするため、該記録トラックの法線方向に行なう必要がある。そこで、上述のように配設される光学ピックアップ装置26は、対物レンズ27が記録トラックの法線方向、すなわち光ディスク2の中心を通る径方向に亘って移送されるように外装筐体1内に取付けられる。すなわち、上記光学ピックアップ装置26は、対物レンズ27が移送されるべき方向と平行にシャーシ基板14上に取付けられ一対のガイド軸81,82に、ハウジング32に嵌装配設したスライド軸受34,35を挿通して取付けられ上記ガイド軸81,82にガイドされて移送されることにより光ディスク2の記録トラックを内周側から外周側に亘って全てトラッキングする。
このように外装筐体1内に配設されて移送操作される光学ピックアップ装置26をガイドする一対のガイド軸81,82は、背面側外装壁部28に対し傾斜して取付けられ、本実施例にあっては、略45度の傾斜角θをもってシャーシ基板14上に取付けられる。また、上記一対のガイド軸81,82は、第2図からも明らかなように、ディスクテーブル12上に装着された光ディスク2の中心、すなわちスピンドル13の中心を挟んで上記光ディスク2の放射方向に平行に配されてなる。そして、光学ピックアップ装置26は、ハウジング32の2軸駆動ディバイス45が配設された一端側と半導体レーザ31が配設された他端側をそれぞれガイド軸81,82により支持され、光ディスク2の径方向に移動可能となされている。
このように光学ピックアップ装置26を外装筐体1の背面側外装壁部28に対して傾斜して移送するようになすことにより、対物レンズ27の光軸が光ディスク2の最外周記録トラックに至ったとき大型となる2軸駆動ディバイス45を上記背面側外装壁部28と一方の側方外装壁部29とで形成されるコーナ部に突出位置させることができるので、光ディスク2の外周縁を内接円とする方形状の外装筐体1を大型にすることなく光ディスク2の内周側から外周側の記録トラックをトラッキング操作することができる。
上述のように背面側外装壁部28に対し傾斜して配置された一対のガイド軸81,82にスライド軸受84,85を介してスライド自在に取付けられた光学ピックアップ装置26は、出力軸86を外装筐体1の一方の側面外装壁部29に平行となるようにしてシャーシ基板14の下面側にモータ支持部材87を介して取付けられたピックアップ駆動モータ88によって、光ディスク2の内周側から外周側に亘って走行操作される。このピックアップ駆動モータ88と光学ピックアップ装置26とは、上記駆動モータ88の出力軸86に取付けたウォームギヤ89と光学ピックアップ装置26のハウジング32の一側面側にガイド軸81,82と平行となるように取付けられたラック90間に減速機構を構成する相互に噛合された第1、第2及び第3のギヤ91,92,93からなる連結ギヤ機構94を配して連結され、ピックアップ駆動モータ88の駆動力が減速され光学ピックアップ装置26に伝達されこの光学ピックアップ装置26が走行操作されるように構成されている。
すなわち、光学ピックアップ装置26を光ディスク2の径方向に送り操作するピックアップ駆動モータ88を含む送り機構は、第1図に示すように、一対のガイド軸81,82の内の他方のガイド軸82の外側であって、このガイド軸82と外装筐体1の一方の側面外装壁部29とで囲まれた領域内に配置されている。
ところで、光学ピックアップ装置26に組込まれた対物レンズ27のトラッキング方向の制御は、当該光学ピックアップ装置26の移送に応じメインビームが記録トーラックを正確にトレースするようになすため、上記記録トラックのトラッキング方向である法線方向に行なう必要がある。そのため、対物レンズ27のトラッキング制御は、記録トラックの法線方向、すなわち光ディスク2の中心方向及びその反対方向に行なわれる必要がある。そこで、光学ピックアップ装置26に内蔵される2軸駆動ディバイス45は、対物レンズ27が光ディスク2の中心方向及びその反対方向に亘って可変操作されるように、すなわち、光学ピックアップ装置26を移送方向にトラッキング制御されるように該光学ピックアップ装置26内に組み込まれる。
従って、この光学ピックアップ装置26にあっては、背面側外装壁部28に光軸を平行にして取付けられる回析格子34、ビームスプリッタ36、コリメートレンズ37等からなる光学系ブロックの上記光軸に対し対物レンズ27のトラッキング制御の方向が略45度の鋭角となされる。
また、上述の如くトラッキング制御を3スポット方式で行なう光学ピックアップ装置26にあっては、メインビームスポットS1を挟んで記録トラックTの接線方向に位置する2つのサブビームスポットS2,S3から得られる検出出力の差分に応じて対物レンズ27をトラッキング方向に制御するものであるため、上記3つのビームスポットS1,S2,S3はメインビームによる記録トラックのトレース方向である対物レンズ27の移送方向に直交する方向に位置される必要がある。
そこで、対物レンズ27の移送方向が半導体レーザ31から出射される光ビームを制御する回析格子34、ビームスプリッタ36等からなる光学系ブロックの光軸に対し、一対のガイド軸81,82が背面側外装壁部28に対し傾斜された角度θ分だけ傾斜された光学ピックアップ装置26にあっては、上記光ビームを3本に分離する回析格子34の格子パターン54aの方向を第12図に示すように上記光学系ブロックの光軸P1に対し上記角度θ分だけ傾斜してハウジング32内に取付け、分離された3本の光ビームが反射鏡31で屈析され対物レンズ27を介して光ディスク2面に照射され3つのビームスポットS1,S2,S3を結んだとき、これらビームスポットS1,S2,S3が上記対物レンズ27の移送方向に直交する方向に並ぶようになされる。
また、光ディスク2面から反射された3本の戻り光ビームを非点収差させてフォトディテクタ35に導出する円筒レンズ及び上記光ビームによる検出出力を読み取る上記フォトディテクタ35も同じように上記角度θ分だけ光軸に対し傾斜させる。
さらに、半導体レーザ31は、発光領域面の方向により光ビームスの発振拡散方向が異なるため、上記発光領域面の方向を上述した如く回析格子34を傾斜させた角度θだけ傾斜されてハウジング32内に取付けられる。
なお、上述した光学ピックアップ装置26は、回析格子34で光ビームを3本に分離し2つのサブビームスポットS2,S3から得られる検出出力の差分に応じて対物レンズ27をトラッキング制御する3スポット方式により構成されているが、光ディスク2の記録トラックから反射された1本の戻り光ビームを2分割されたフォトディテクタで検出し、分割された左右のフォトディテクタの検出出力の差分に応じて対物レンズ27をトラッキング制御するプッシュプル方式の光学ピックアップ装置を用いた場合にも同様に上記対物レンズ47はトラッキング制御の方向が記録トラックの法線方向に行なわれるように取付けられる。このプッシュプル方式の光学ピックアップ装置は、第13図に示すように光ビームが透光する貫通孔115を設けた基台116上に互いに平行な一対の板バネ117,118を植立し、この板バネ117,118上にマグネット119を取付け、このマグネット119上に対物レンズ27を取付ける。上記マグネット119の一側面に、上記フォトディテクタの検出出力の差分に応じた駆動電流が供給され磁界を生じさせる駆動コイル120を設け、この磁界の強さに応じて上記マグネット119を移動させ、このマグネット119を支持する一対の板バネ117,118を変位させ対物レンズ27をトラッキング制御する構成を有する。プッシュプル方式の光学ピックアップ装置は、上述のように一対の板バネ117,118を変位させ対物レンズ27をトラッキング制御させるので、対物レンズ27のトラッキング制御の方向が記録トラックの法線方向となるように、上記一対の板バネ117,118を記録トラックの接線方向に位置するように取付け、その変位方向が記録トラックの法線方向におこなわれるようになす。また、光ビームによるトラッキング制御の検出出力を正しく得るため、光ディスク2面から反射された戻り光ビームを非点収差させフォトディテクタに導出する円筒レンズや上記光ビームによる検出出力を読み取るフォトディテクタの分割方向は、対物レンズ27の移送方向の半導体レーザから出射される光ビームを制御するビームスプリッタ、反射鏡等からなる光学系ブロックの光軸に対し傾斜させた角度θ分だけ傾斜して取付けられる。
上述のしたように方形状の外装筐体1の背面側外装壁部28に対し鋭角に傾斜した角度で光学ピックアップ装置26を移送するようになした光学ディスクプレーヤにおいて、上記光学ピックアップ装置26に設けられる対物レンズ27のトラッキング制御方向をビームスプリッタ36から反射鏡41間の光軸に対し上記光学ピックアップ装置26の移送方向の背面側外装壁部28に対する傾斜角度に対応させて傾斜させ、光ディスク2の中心方向及びその反対方向に行なうことにより、光ディスク2の内周側から外周側に亘るいずれの位置においても正確なトラッキング制御を行なうことができる。
なお、上述の実施例においては、光学ピックアップ装置26を外装筐体1の背面外装壁部28に対し略45度の傾斜角θをもって移送するように構成しているが、対物レンズ27の光軸が光ディスク2の最外周側記録トラックに至ったとき、該光ディスク2の外周縁から突出する2軸駆動ディバイス45の一部が上記光ディスク2の外周縁を内接円とする方形状に形成した外装筐体1の背面側外装壁部28と側方外装壁部29とで形成される光ディスク2が臨まないコーナ部に位置させられるようにすれば、上記傾斜角θは適宜選択されるものである。
なお、上述した実施例の光学ディスクプレーヤにあっては、ディスクテーブル12の上面側を覆うとともにこのディスクテーブル12と共働して光ディスク2を挟着支持するチャッキング装置を内側面に設けた蓋体が外装筐体1に開閉自在に取付けられる。
上述したように構成された光学ピックアップ装置26を外装筐体1の背面側外装壁部28に対し傾斜した角度に走行させるものであるので、対物レンズ27の光軸が光ディスク2の最外周側記録トラックに至ったとき大型となる2軸駆動ディバイス45を外装筐体1のコーナ部に位置させることができるので、外装筐体1を光ディスク2の外周縁を内接円とする方形状内に形成することができる小型化が可能となる。
〔発明の効果〕
上述したように、本発明に係る光学情報読み取り装置は、両端を第1及び第2のガイド手段によって支持されたベースに、光源からの出射光がディスクの面に対して平行となるように光源とビームスプリッタと光路偏向手段を配設してなるので、光源から光路偏向手段に至る光学系ブロックの光軸が光ディスクの面に平行となり、そして、光源から光路偏向手段に至る光ビームの光路も光ディスクの面に平行になる。したがって、光学系全体を光学系の光路の長さ如何に係わらず光学情報読み取り装置自体の薄型化を図ることができる。
さらに、両端を第1及び第2のガイド手段によって支持されたベースが、光ディスク収納される方形状をなす筐体の上記光ディスクの回転中心を中心に略対角線方向に移送されるように配設されてなるので、上記ベースを送るために必要な空間を光ディスクの半径に略等しい大きさになることができ、筐体の大きさを収納される光ディスクの外周円を内接円となる大きさの方形状に形成することができる。したがって、装置全体の薄型化とともに小型化を実現することができる。
さらにまた、ベースをギヤ機構を備えた送り手段によって光ディスクの径方向に送り操作してなるので、安定した送り操作が実現される。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係る光学情報読み取り装置としての光学ピックアップ装置が適用される光学ディスプレーヤを示す斜視図であり、第2図はその平面図であり、第3図はその底面図である。第4図は上記光学ディスクプレーヤを構成するディスクテーブルの駆動機構を示す側面図である。
第5図は本発明に係る光学情報読み取り装置としての光学ピックアップ装置の内部構造を概略的に示す平断面図であり、第6図は光ディスクとの関係を示す第3図のA−A線断面図であり、第7図は第3図のB−B線断面図である。第8図は上記光学ピックアップ装置に内蔵される2軸駆動ディバイスの一例を示す分解斜視図であり、第9図はその側断面図であり、第10図は第9図のA−A断面図であり、第11図は3スポット方式によるトラッキング誤差の検出状態を示す拡大平面図であり、第12図は回析格子の取付け状態を説明する図である。第13図はプッシュプル方式の対物レンズ駆動機構を示す概略傾斜図である。
1……外装筐体
26……光学ピックアップ装置
27……対物レンズ
28……背面側外装壁部
31……半導体レーザ
32……ハウジング
35……フォトディテクタ
36……ビームスプリッタ
40……反射鏡
45……2軸駆動ディバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】対物レンズをその光軸と平行な方向と上記光軸と直交する方向に駆動する対物レンズ駆動手段と、上記対物レンズの下側に配されて、光源から出射された光ビームの光路を90゜偏向して上記対物レンズに導く光路偏向手段と、上記光源から出射された光ビームと光ディスクからの上記対物レンズを介した戻り光ビームを分離するビームスプリッタと、上記ビームスプリッタによって分割された戻り光ビームを受光する光検出器と、上記光源からの出射光が上記光ディスクの面に対して平行となるように上記光源と上記ビームスプリッタと上記光路偏向手段とを配設したベースと、上記ベースの両端部を支持するとともに、光ディスクが収納される方形状をなす筐体の上記光ディスクの回転中心を中心に略対角線方向に上記ベースが移送されるように配設される第1及び第2のガイド手段と、上記第1及び第2のガイド手段のいずれか一方のガイド手段の側面に配されて上記第1及び第2のガイド手段に沿って上記ベースを上記光ディスクの径方向に送るギヤ機構で構成された送り手段とを備えてなる光学情報読み取り装置。

【第1図】
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【第2図】
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【第3図】
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【第5図】
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【第6図】
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【第7図】
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【第4図】
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【第8図】
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【第9図】
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【第10図】
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【第11図】
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【第12図】
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【第13図】
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【特許番号】第2580380号
【登録日】平成8年(1996)11月21日
【発行日】平成9年(1997)2月12日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平2−246431
【分割の表示】特願昭58−73389の分割
【出願日】昭和58年(1983)4月26日
【公開番号】特開平3−116454
【公開日】平成3年(1991)5月17日
【審判番号】平7−11742
【出願人】(999999999)ソニー株式会社
【合議体】
【参考文献】
【文献】特開 昭56−68936(JP,A)
【文献】特開 昭56−169270(JP,A)
【文献】特開 昭57−210457(JP,A)
【文献】実開 昭54−153206(JP,U)
【文献】実開 昭55−7177(JP,U)