光学機器
【課題】 固体撮像素子のカバーガラス表面や光学フィルタ表面へ付着した異物を除去、或は異物の付着を抑制する従来の構成は、光学的な悪影響が発生したり、異物の付着を抑制する効果が不十分であった。
【解決手段】 被写体の光学像を形成するための光学系と、被写体の光学像を電気信号に変換する撮像手段と、撮像手段の前面に配設された光学素子とを具備した光学機器であって、光学素子の光学系との対向面に異物の付着力を低下させるための撥水層11aを設ける。
【解決手段】 被写体の光学像を形成するための光学系と、被写体の光学像を電気信号に変換する撮像手段と、撮像手段の前面に配設された光学素子とを具備した光学機器であって、光学素子の光学系との対向面に異物の付着力を低下させるための撥水層11aを設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばデジタルカメラ等の光学機器に関し、詳しくは、光学機器に組み込まれている固体撮像素子や光学フィルタやレンズ等、焦点面もしくは焦点面近傍に配設された光学部材の表面に塵埃が付着するのを抑制する構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、レンズ交換式のデジタル一眼レフカメラの撮影レンズの焦点面近傍に塵埃等の異物が付着すると、その異物の影が固体撮像素子に写り込んでしまうという問題がある。このような異物は、レンズ交換時に塵埃が外部から侵入したり、カメラ内部でのシャッタやミラーの動作に伴い、その構造部材である樹脂等の微細な磨耗紛が発生したりすることが原因と考えられている。このような原因で発生した異物が、特に固体撮像素子の保護用のカバーガラスと、そのカバーガラスの全面に配設されている赤外カットフィルタや光学ローパスフィルタ(以下、LPFと略す)等の光学フィルタとの間に入り込んでしまった場合には、その異物を除去するためにカメラを分解しなければならなかった。このため、固体撮像素子のカバーガラスと光学フィルタとの間に異物が入り込まないように密閉構造にすることは極めて有効なものであった。
【0003】
しかしながら、光学フィルタの固体撮像素子に対向する側と反対側の表面に異物が付着した場合、それが焦点面の近傍である場合、その異物が影となって固体撮像素子に写り込んでしまうという問題が依然として残っている。
【特許文献1】特開2003-005254号公報(第8頁、図1及び図9)
【特許文献2】特開2000-029132号公報(第8頁、図2)
【非特許文献1】粉体工学会発行 2004年度秋期研究発表会発表論文集(第34頁、Fig.1及びFig.2、並びに第35頁、Fig.4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、上記問題点を解決するために、固体撮像素子のカバーガラス表面をワイパーで清掃するものがある(特許文献1)。このようにカメラを構成すると、レンズを外さず、またカメラを分解することなく固体撮像素子のカバーガラス表面、或は防塵構造の最外面(例えば光学フィルタ表面)に付着した異物を除去できる。しかしながら、この特許文献1の構成では、固体撮像素子のカバーガラス表面や防塵構造の最外面をワイパーで擦るため、例えば金属紛のような硬い異物が付着している場合には、その異物により固体撮像素子のカバーガラス表面上や防塵構造の最外面上にキズが付く可能性がある。また、ワイパーで除去された異物がカメラ内を浮遊するので、一度、除去された異物が固体撮像素子のカバーガラス表面や防塵構造の最外面に再付着してしまうという問題がある。
【0005】
そこで上記前者の問題の解決案として、固体撮像素子のカバーガラス表面上に異物が付着するのを抑制するために、固体撮像素子のカバーガラス表面と光学フィルタの表面それぞれに透明電極を形成したものがある(特許文献2)。この特許文献2に記載の技術によれば、固体撮像素子のカバーガラス表面と光学フィルタの表面に設けられた透明電極に電位を与えることにより、固体撮像素子のカバーガラス表面と光学フィルタの表面に発生した静電気を中和することによって、固体撮像素子のカバーガラス表面と光学フィルタの表面への塵埃の付着を抑制することが可能となった。しかしながら、カバーガラス表面と光学フィルタの表面に透明電極を設けているため撮像素子への光の透過率が低下する。このため光学的な悪影響が発生する。また固体撮像素子のカバーガラス表面と光学フィルタの表面に発生する静電気は、その周囲の環境(温度や湿度)や使用条件によって一定ではないので、静電気を中和させるための制御が難しくなったり、また静電気が中和されないことによって抑制効果が不十分となるといった不具合があった。
【0006】
またこれとは別に、大気中の微粒子が平板に付着する付着力を低下させるために、シリコン平板の表面にフェムト秒レーザで微細周期構造を形成したものがある(非特許文献1)。この微細周期構造により、ガラスビーズとシリコン平板との間に作用するファンデルワールス力と液架橋力とが低下することが報告されている。しかしながら、この文献には、光学素子のカバーガラスや光学フィルタの表面にフェムト秒レーザで微細周期構造が形成できるかの言及はなく、またその微細周期構造の周期が約620nmで、これは可視光領域に入っている。よって、光学的な悪影響が考えられるため、この報告内容の技術をそのまま固体撮像素子のカバーガラス表面や光学フィルタの表面に付着する異物の対策には応用できない。
【0007】
本発明は、上記従来技術の欠点を解決することにある。
【0008】
また本願発明の特徴は、光学的な悪影響を与えることなく、光学素子への異物の付着を抑制した光学機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記特徴は、独立クレームに記載の特徴の組み合わせにより達成され、従属項は発明の単なる有利な具体例を規定するものである。
【0010】
本発明の一態様に係る光学機器は以下のような構成を備える。即ち、
被写体の光学像を電気信号に変換する撮像手段と、前記撮像手段の前面に配設された光学素子とを具備する光学機器であって、
前記光学素子の被写体側の面に、当該面上の液架橋力を低下させるための構造を設けることを特徴とする。
【0011】
本発明の一態様に係る光学機器は以下のような構成を備える。即ち、
被写体の光学像を電気信号に変換する撮像手段と、前記撮像手段の前面に配設された光学素子とを具備する光学機器であって、
前記光学素子の被写体側の面に、当該面上のファンデルワールス力を低下させるための構造を設けることを特徴とする。
【0012】
尚、この発明の概要は、必要な特徴を全て列挙しているものでなく、よって、これら特徴群のサブコンビネーションも発明になり得る。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、光学的な悪影響を与えることなく、例えば光学フィルタや撮像素子のカバーガラス等の表面への異物の付着を抑制した光学機器を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態を詳しく説明する。尚、以下の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施の形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0015】
[実施の形態1]
以下、本発明の実施の形態1に係るレンズ交換式デジタル一眼レフカメラ(以下、D−SLRと略す)について、図1から図5を参照して説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態1に係るD−SLR100の撮像部10及びフォーカルプレンシャッタ50の概略構成を説明するための側方断面図である。
【0017】
図1において、撮像部10は、ガラスやフィルタなどの光学素子11と光学素子11を保持する保持部材12及び光学素子11の表面と当接した状態で光学素子11と保持部材12とを一体化させている支持板13、固体撮像素子15bを保護するためのカバー部材15aとで構成された固体撮像装置15、固体撮像装置15のカバー部材15aと光学素子11との間を密封するためのシール部材16、固体撮像装置15の接続端子15cが接続しているとともに、D−SLR100の動作を制御する制御回路を構成する電気素子が搭載されている基板17と、固体撮像装置15と一体化して固体撮像装置15を不図示のD−SLR100のシャーシに不図示のビスによって固定するための保持板18と、から主に構成されている。
【0018】
尚、光学素子11のフォーカルプレンシャッタ50側の対向面表面には、撥水層11aが設けられている。この撥水層11aは、例えば住友スリーエム製ノベックEGC−1720のフッ素系の薄膜で、厚みが5〜10nmのものであって、透過性を有するものである。またこの撥水層11aは、その表面にフッ素基が出ている。更にこの撥水層11aは、ディッピング等のウェットプロセスもしくは蒸着等のドライプロセスにより光学素子11の表面に成膜されている。
【0019】
次にフォーカルプレンシャッタ50について説明する。複数のシャッタ羽根21a〜21dとで構成されている先幕21、同じく複数のシャッタ羽根から構成されている後幕22、フォーカルプレンシャッタ50において先幕21及び後幕22の駆動スペースを分割している中間板23、後幕22の押え板であると同時に、撮像のためにその略中央部に開口24aが設けてある押え板24、先幕21の押え板であると同時に、撮像のためにその略中央部に開口25aが設けられているカバー板25を備えている。29は先幕21の各シャッタ羽根21a〜21dが開いた時に、その位置決めとなるストッパー部を有するストッパーゴムである。
【0020】
図2は、本実施の形態1に係るD−SLR100のカメラシステムの構成を示す概略図で、図1と共通する部分は同じ記号で示し、その説明を省略する。尚、このカメラシステムは、カメラ本体(撮像装置)と、このカメラ本体に着脱可能に装着されるレンズ装置とを有している。
【0021】
本実施の形態1に係るD−SLR100は、CCD或はCMOSセンサなどの撮像素子を用いた単板式のデジタルカラーカメラであり、固体撮像素子15bを連続的又は単発的に駆動して、動画像或は静止画像を表わす画像信号を得る。ここで固体撮像素子15bは、露光した光を画素毎に電気信号に変換して受光量に応じた電荷を蓄積し、その蓄積された電荷を読み出すタイプのエリアセンサである。
【0022】
図2において、101はD−SLR100に対して取り外し可能なレンズ装置102を接続するマウント機構であり、このマウント機構101を介してレンズ装置102がD−SLR100に電気的かつ機械的に接続される。そして、焦点距離の異なるレンズ装置102をD−SLR100に装着することによって様々な画角の撮影画面を得ることが可能となる。このレンズ装置102が備える撮影光学系103から固体撮像装置15に至る光路L1中には、固体撮像装置15上に物体像(光学像)の必要以上に高い空間周波数成分が伝達されないように撮影光学系103のカットオフ周波数を制限する光学素子11が設けられている。
【0023】
固体撮像装置15から読み出された信号は、後述するように所定の処理が施された後、画像データとして表示部107に表示される。この表示部107はD−SLR100の背面に取り付けられており、使用者は表示部107での表示を直接観察できるようになっている。尚、この表示部107を、有機EL空間変調素子や液晶空間変調素子、微粒子の電気泳動を利用した空間変調素子などで構成すれば、消費電力を小さくでき、かつ表示部107の薄型化を図ることができる。これにより、D−SLR100の省電力化および小型化を図ることができる。
【0024】
固体撮像装置15は、具体的には、増幅型固体撮像素子の1つであるCMOSプロセスコンパチブルのセンサ(以下、CMOSセンサと略す)である。このCMOSセンサを採用することにより、エリアセンサ部のMOSトランジスタと撮像装置駆動回路、AD変換回路、画像処理回路といった周辺回路を同一工程で形成できるため、マスク枚数、プロセス工程がCCDと比較して大幅に削減できる。また、任意の画素へのランダムアクセスが可能であるため画像の表示用に間引いた読み出しが容易となる。これにより表示部107に高い表示レートでリアルタイムでの表示が行える。固体撮像装置15は、上述した特長を利用し、表示用の画像出力動作(固体撮像装置15の受光領域のうち一部を間引いた領域での読み出し)、及び高精彩画像の出力動作(全受光領域での読み出し)を行う。
【0025】
可動型のハーフミラー111は、撮影光学系103からの光束のうち一部を反射させるとともに残りを透過させる。このハーフミラー111の屈折率は約1.5であり、その厚さは0.5mmである。105は撮影光学系によって形成される物体像の予定結像面に配置されたフォーカシングスクリーン、112はペンタプリズムである。ファインダレンズ109は、フォーカシングスクリーン105上に結像された物体像を観察するためのレンズであり、単数もしくは複数のファインダレンズ(不図示)で構成されている。これらフォーカシングスクリーン105、ペンタプリズム112及びファインダレンズ109は、ファインダ光学系を構成する。
【0026】
ハーフミラー111の背後(像面側)には可動型のサブミラー122が設けられており、ハーフミラー111を透過した光束のうち光軸L1に近い光束を反射させて焦点検出ユニット121に導いている。このサブミラー122は不図示のハーフミラー111の保持部材に設けられた回転軸を中央に回転し、ハーフミラー111の動きに連動して移動する。尚、焦点検出ユニット121は、サブミラー122からの光束を受光して位相差検出方式による焦点検出を行う。
【0027】
またハーフミラー111とサブミラー122から成る光路分割系は、ファインダ光学系に光を導くための第1の光路分割状態、不図示の結像レンズからの光束をダイレクトに固体撮像装置15に導くために撮影光路から退避した第2の光路分割状態(図2中破線で示した位置:111'及び122')をとることが出来る。可動式の閃光発光ユニット114は、D−SLR100に収納される収納位置とD−SLR100から突出した発光位置との間で移動可能である。フォーカルプレンシャッタ50は、像面に入射する光量を調節している。119はD−SLR100を起動させるためのメインスイッチである。2段階で押圧操作されるレリーズボタン120は、半押し操作(SW1がON)で撮影準備動作(測光動作や焦点調節動作等)を開始し、全押し操作(SW2がON)で撮影動作(固体撮像装置15から読み出された画像データの記録媒体への記録)を開始する。光学ファインダ内情報表示ユニット180は、フォーカシングスクリーン105上に特定の情報を表示させる表示ユニットである。104は絞りである.
図3は、本実施の形態1に係るD−SLR100のカメラシステムの電気的構成を説明するブロック図で、前述の図1及び図2と共通する部分は同じ記号で示している。
【0028】
このカメラシステムは、撮像系、画像処理系、記録再生系及び制御系を有する。撮像系は、撮影光学系103及び固体撮像装置15を含む撮像部10を有している。画像処理系は、A/D変換器130、RGB画像処理回路131及びYC処理回路132を有している。また記録再生系は、記録処理回路133及び再生処理回路134を有し、制御系は、カメラシステム制御回路(制御手段)135、操作検出回路136、撮像装置駆動回路137を有している。接続端子138は、外部のコンピュータ等に接続され、データの送受信を行うために規格化された端子である。尚、上述した回路は、不図示の小型燃料電池からの電力供給を受けて駆動する。
【0029】
撮像系は、物体からの光を、撮影光学系103を介して固体撮像装置15の撮像面に結像させる光学処理部である。撮影光学系103内に設けられた絞り104の駆動を制御するとともに、必要に応じてフォーカルプレンシャッタ50の駆動をシャッタ制御回路145を介して行うことによって、適切な光量の光を固体撮像装置15で受光させることができる。本実施の形態1に係る固体撮像装置15には、正方画素が長辺方向に3700個、短辺方向に2800個並べられ、合計約1000万個の画素数を有する撮像素子15bが用いられている。そして、各画素にR(赤色)G(緑色)B(青色)のカラーフィルタが交互に配置され、4画素が一組となるいわゆるベイヤー配列を構成している。このベイヤー配列では、観察者が画像を見たときに強く感じやすいGの画素をRやBの画素よりも多く配置することにより総合的な画像性能を上げている。一般に、この方式の撮像素子を用いる画像処理では、輝度信号は主にGから生成し、色信号はR,G,Bから生成する。
【0030】
固体撮像装置15から読み出された信号は、A/D変換器130を介して上述の画像処理系に供給され、この画像処理系での画像処理によって画像データが生成される。A/D変換器130は、撮像素子15bの各画素から読み出された信号の振幅に応じて、例えば撮像素子15bの出力信号を10ビットのデジタル信号に変換して出力する信号変換回路であり、このA/D変換処理以降の画像処理はデジタル処理にて実行される。画像処理系は、R,G,Bのデジタル信号から所望の形式の画像信号を得る信号処理回路であり、R,G,Bの色信号を輝度信号Yおよび色差信号(R−Y),(B−Y)にて表わされるYC信号などに変換する。RGB画像処理回路131は、A/D変換器130の出力信号を処理する信号処理回路であり、ホワイトバランス回路、ガンマ補正回路、補間演算による高解像度化を行う補間演算回路を有する。YC処理回路132は、輝度信号Y及び色差信号R−Y,B−Yを生成する信号処理回路である。このYC処理回路132は、高域輝度信号YHを生成する高域輝度信号発生回路、低域輝度信号YLを生成する低域輝度信号発生回路及び、色差信号R−Y,B−Yを生成する色差信号発生回路を有している。輝度信号Yは、高域輝度信号YHと低域輝度信号YLを合成することによって形成される。
【0031】
記録再生系は、不図示のメモリ(メモリカード等)への画像信号の出力と、表示部107への画像信号の出力とを行う処理系である。記録処理回路133はメモリへの画像信号の書き込み処理及び読み出し処理を行い、再生処理回路134はメモリから読み出した画像信号を再生して表示部107に出力する。また記録処理回路133は、静止画データ及び動画データを表わすYC信号を所定の圧縮形式にて圧縮するとともに、その圧縮されたデータを伸張させる圧縮伸張回路を内部に有している。この圧縮伸張回路は、信号処理のためのフレームメモリなどを有しており、このフレームメモリに画像処理系からのYC信号をフレーム毎に蓄積し、複数のブロックのうち各ブロックから蓄積された信号を読み出して圧縮符号化する。この圧縮符号化は、例えば、ブロック毎の画像信号を2次元直交変換、正規化およびハフマン符号化することにより行われる。再生処理回路134は、輝度信号Y及び色差信号R−Y,B−Yをマトリクス変換して、例えばRGB信号に変換する回路である。この再生処理回路134によって変換された信号は表示部107に出力され可視画像として表示(再生)される。再生処理回路134及び表示部107は、Bluetoothなどの無線通信を介して接続されていてもよい。このように無線で接続することにより、このカメラで撮像された画像を離れたところからモニタすることができる。
【0032】
一方、制御系における操作検出回路136は、図2に示すメインスイッチ119、レリーズボタン120等(他のスイッチは不図示)の操作を検出して、この検出結果をカメラシステム制御回路135に出力する。このカメラシステム制御回路135は、操作検出回路136からの検出信号を受けることで、その検出結果に応じた動作を行う。また、カメラシステム制御回路135は、撮像動作を行う際のタイミング信号を生成して、撮像装置駆動回路137に出力する。撮像装置駆動回路137は、このカメラシステム制御回路135からの制御信号を受けることにより、固体撮像装置15を駆動させるための駆動信号を生成する。情報表示回路142は、カメラシステム制御回路135からの制御信号を受けて光学ファインダ内の情報表示ユニット180(図2)の駆動を制御する。
【0033】
制御系は、D−SLR100に設けられた各種スイッチの操作に応じて撮像系、画像処理系及び記録再生系での駆動を制御する。例えば、レリーズボタン120の操作によってSW2がONとなった場合、制御系(カメラシステム制御回路135)は、固体撮像装置15の駆動、RGB画像処理回路131の動作、記録処理回路133の圧縮処理などを制御する。更に制御系は、情報表示回路142を介して光学ファインダ内情報表示ユニット180の駆動を制御することによって、光学ファインダ内での表示(表示セグメントの状態)を変更する。
【0034】
次に、撮影光学系103の焦点調節動作に関して説明する。
【0035】
カメラシステム制御回路135はAF制御回路140と接続している。またマウント機構101によりレンズ装置102をD−SLR100に装着することで、カメラシステム制御回路135は、マウント接点101a,102aを介してレンズ装置102内のレンズシステム制御回路141と接続される。そしてAF制御回路140及びレンズシステム制御回路141と、カメラシステム制御回路135とは、特定の処理の際に必要となるデータを相互に通信する。
【0036】
焦点検出ユニット121(焦点検出センサ167)は、撮影画面内の所定位置に設けられた焦点検出領域での検出信号をAF制御回路140に出力する。AF制御回路140は、この焦点検出ユニット121(図2)からの出力信号に基づいて焦点検出信号を生成し、撮影光学系103の焦点調節状態(デフォーカス量)を検出する。そして、AF制御回路140は、その検出したデフォーカス量を撮影光学系103の一部の要素であるフォーカスレンズの駆動量に変換する。そして、その変換したフォーカスレンズの駆動量に関する情報を、カメラシステム制御回路135を介してレンズシステム制御回路141に送信する。ここで、移動する物体に対して焦点調節を行う場合、AF制御回路140は、レリーズボタン120が全押し操作されてから実際の撮像制御が開始されるまでのタイムラグを勘案して、フォーカスレンズの適切な停止位置を予測する。そして、予測した停止位置へのフォーカスレンズの駆動量に関する情報をレンズシステム制御回路141に送信する。
【0037】
一方、カメラシステム制御回路135が、固体撮像素子15bからの信号に基づいて被写体の輝度が低く、十分な焦点検出精度が得られないと判定したときには、閃光発光ユニット114又は、D−SLR100に設けられた不図示の白色LEDや蛍光管を駆動することによって物体を照明する。レンズシステム制御回路141は、カメラシステム制御回路135からフォーカスレンズの駆動量に関する情報を受信すると、レンズ装置101内に配置されたAFモータ147の駆動を制御することによって、不図示の駆動機構を介してフォーカスレンズを上記駆動量の分だけ光軸L1方向に移動させる。これにより、撮影光学系103が合焦状態となる。尚、上述したようにフォーカスレンズが液体レンズ等で構成されている場合には、界面形状を変化させることになる。また、レンズシステム制御回路141は、カメラシステム制御回路135から露出値(絞り値)に関する情報を受信すると、レンズ装置101内の絞り駆動源(アクチュエータ)143の駆動を制御することによって、その絞り値に応じた絞り開口径となるように絞り104を動作させる。
【0038】
また、シャッタ制御回路145は、公知のコイルやヨーク等で構成された電磁アクチュエータと駆動レバー等で構成されている先幕駆動源35、開き動作を行った先幕21を再び図1に示した閉状態にするために閉じ動作を行うための、駆動レバーやスプリング等で構成されているチャージ源36、後幕22の開閉動作を行うための、公知のコイルやヨーク等で構成された電磁アクチュエータと駆動レバー等で構成されている後幕駆動源37の制御を行う。そして、カメラシステム制御回路135からのシャッタ速度に関する情報を受信すると、フォーカルプレンシャッタ50の先幕22、後幕21の駆動源である先幕駆動源35、後幕駆動源37及びチャージ駆動源36の駆動を制御することによって、上記シャッタ速度になるように先幕22及び後幕21を動作させる。このフォーカルプレンシャッタ50と絞り104の動作により、適切な光量の物体光を像面側に向かわせることができる。またAF制御回路140において被写体にピントが合ったことが検出されると、この情報はカメラシステム制御回路135に送信される。このとき、レリーズボタン120の全押し操作によってSW2がON状態になれば、上述したように撮像系、画像処理系及び記録再生系によって撮影動作が行われる。
【0039】
続いて、図4を参照して本実施の形態1に係る光学素子11の表面に設けられた撥水層11aの効果について説明する。
【0040】
図4は、図1のAで示す部分の拡大図であり、光学素子11の表面に塵埃30が付着した様子を示した図である。
【0041】
後述するように、塵埃30と光学素子11の表面との間に液架橋が形成されるが、本実施の形態1のように、光学素子11の表面に撥水層11aがある場合に形成される液架橋は、図4中実線70で示されている。また光学素子11の表面に撥水層11aがない場合に形成される液架橋は、図4中破線70'で示している。
【0042】
塵埃30が光学素子11の表面に付着した場合、空気中に含まれる水分子(不図示)が塵埃30と光学素子11の表面との間で凝集して液架橋70を形成する。この液架橋70によって、塵埃30と光学素子11の表面との間には液架橋力という、式(1)で示される付着力FLが作用することとなる。
【0043】
FL=2πσDcosθ(N) ...式(1)
この式(1)において、σは水の表面張力(N/m)、Dは塵埃30の直径(m)、θは水の光学素子11の表面に対する接触角(DEG)である。
【0044】
ここで、同一の塵埃30に対する液架橋力を考えた場合、水の表面張力(表面エネルギー)は一定であるから、光学素子11の表面に撥水層11aがない場合とある場合とでは接触角θが異なり、それぞれθ1(撥水層11aがない場合),θ2(撥水層11aがある場合)となる(θ1<θ2、図4参照)。
【0045】
この接触角とは、水と撥水層11a(もしくは光学素子11の表面)の各々の表面エネルギーの比である。撥水層11aの表面エネルギーと、撥水層11aが無い場合の光学素子11の表面エネルギーとを比べると、撥水層11aが存在している場合は、撥水層11aの表面に出ているフッ素基によって撥水層11aの表面エネルギーの方が小さくなる。これにより撥水層11aの有無によって接触角が変化することになる。なお、表面エネルギーが小さい方が接触角は大きくなるのでθ1<θ2となる。これにより、塵埃30と撥水層11aの表面との間に形成される液架橋70と、塵埃30と光学素子11の表面との間に形成される(撥水層11aが無い場合)液架橋70'の大きさを比べると、撥水層11aが無い場合(図4中、S2)の液架橋70'に比べて、撥水層11aが存在する場合の液架橋70の方が小さくなることがわかる(図4中、S1)(S1<S2)。
【0046】
また、上記式(1)において、撥水層11aの有無によって異なるのは接触角θだけとなるから、接触角θが大きくなると付着力FLが小さくなる(0≦θ≦90°)。つまり、撥水層11aが有る場合の付着力FL1と、撥水層11aが無い場合の付着力FL2とを比較すると、FL1<FL2となる。
【0047】
つまり、撥水層11aにより、塵埃30の撥水層11a(光学素子11)への付着力が小さくなる。従って、撥水層11aが有る場合には、塵埃30が光学素子11に付着しようとしても、その付着力が小さいため、塵埃30に加わる重力の影響により光学素子11の表面から落下してしまう。こうして、塵埃30が光学素子11の表面に付着しにくくなる。
【0048】
ここで、実際に撥水層11aが有る場合と無い場合の、光学素子11への塵埃30の付着力を測定した結果を図5を参照して説明する。
【0049】
図5は、本発明の実施の形態1に係る撥水層11aの有無による塵埃の付着力の測定結果例を示す図である。尚、この測定において、付着力は、岡田精工株式会社製の微小粒子間付着力測定装置「コンタクトーレPAF-300N」を用いて測定した(この測定法の詳細は、特開2001-183289号報を参照の事)。
【0050】
尚、この実施の形態1では、塵埃30として平均径50μmのポリスチレン粒子を用いている。また撥水層11aとしては、その表面にフッ素基がある2種類のもの(A及びB)を用いて測定した。
【0051】
図5に示すように、撥水層11aの種類によらず、撥水層11aによって塵埃30の付着力が約3割低下することが確認できた。
【0052】
以上説明したように本実施の形態1によれば、光学機器の光学系に悪影響を与えること無く、かつ光学素子の表面への塵埃の付着を抑制できる光学機器を実現できた。
【0053】
尚、本実施の形態1では、撥水層11aの一例として、その表面にフッ素基を有しているものを取り上げているが、本願発明はこれに限定されるものでなく、光学素子の表面エネルギーを低下させる作用のある薄膜であればよい。
【0054】
[実施の形態2]
次に図6及び図9を参照して、本発明の実施の形態2に係るカメラシステムについて説明する。尚、前述の実施の形態1と同様な構成は同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0055】
図6は、本発明の実施の形態2に係るD−SLR100の撮像部10及びフォーカルプレンシャッタ50の概略構成を説明するための側方断面図、図7は、図6のB部の拡大図であって、光学素子11の表面に塵埃30が付着した様子を示している。尚、この実施の形態2に係るカメラシステム100の基本的な構成は、前述の実施の形態1に係るカメラシステム100(図2及び図3)と同じであるため、その説明を省略する。
【0056】
図6は、前述の実施の形態1に係る図1で示す構成と基本的に同じであり、Bで示す光学素子11の表面が異なっているだけである。
【0057】
図7において、40は光学素子11の表面に設けられた凸部40aと凹部40bとが所定の深さ(凸部40aと凹部40bとの高低差)と、所定のピッチで設けられた凹凸構造を示している。尚、この凹凸構造40が光学的に悪影響を与えないために、凸部40aと凹部40bの深さ及びピッチは、少なくとも可視光の波長域(380〜770nm)よりも小さい(短い)ことが望ましい。
【0058】
図8は、この凹凸構造40を示す概観斜視図である。
【0059】
図8に示したように、凸部40aが光学素子11の表面にライン状に形成されている。尚、この凹凸構造40は、例えば光学素子11の表面に設けたアクリルやポリカーボネート等の樹脂やフッ素系樹脂等の層を、ナノオーダーの微細な形状を有した金型(スタンパー)に押し付けることにより、樹脂層に金型の微細形状を転写したナノインプリント等の製法により形成される。よって、光学素子11の材質を選ぶことなく形成できる。
【0060】
ところで、塵埃30が光学素子11の表面に付着した場合、相互作用力であるファンデルワールス力が塵埃30と光学素子11の表面との間で作用する。このファンデルワールス力は、式(2)で示される付着力Fvとなる。
【0061】
Fv=(HD/12Z2)(N) ...式(2)
この式(2)において、Hは塵埃30のハマーカー定数(J)、Dは塵埃30の直径(m)、Zは塵埃30と凹凸構造40(もしくは光学素子11)の表面との分離距離で0.4nmである。
【0062】
ここで、同一の塵埃30に対するファンデルワールス力を考えた場合、塵埃30の直径D及びハマーカー定数Hは一定であるから、光学素子11の表面に凹凸構造40がある場合とない場合とでは、分離距離Zが異なることになる。
【0063】
次に図9を参照してファンデルワールス力について説明する。
【0064】
図9は、ファンデルワールス力を説明する図である。
【0065】
そもそもファンデルワールス力とは、2つの物体間に作用する相互作用力であって、一つの物体中の全ての原子と他の物体中の全ての原子間のエネルギーの和(積分)を取ることによって求められる(文献「分子間力と表面力」J・N・イスラエルアチヴィリ著、朝倉書店、P.172参照)。従って、図9に示したように、塵埃30と光学素子11との間に作用するファンデルワールス力も同様にして求めることが出来る。
【0066】
ここで、光学素子11の表面に凹凸構造40を設けると、凹部40bは凸部40aに比べて塵埃30との分離距離が大きくなる。つまり、式(2)において凹凸構造40と塵埃30との間に作用するファンデルワールス力Fv'は、凸部40aとの分離距離をZ1、凹部40bとの分離距離をZ2とすると、式(3)のように表すことが出来る。
【0067】
Fv'=(HD/12Z12+HD/12Z22)(N) ...式(3)
ここで、上記式(3)の第2項(凹部40bに作用するファンデルワールス力)は、分離距離Z2がZ1より大きいので、第1項よりも小さくなる。また、凹凸構造40がない場合の塵埃30と光学素子11表面との分離距離をZとし、
Z=Z1 ...式(4)
であっても、凸部40aの表面積と凹凸構造40が無い場合の光学素子11の表面積とを比べると、凸部40aの表面積の方が小さいので、式(3)の第1項は、式(2)で求められる、凹凸構造40が無い場合の光学素子11に作用するファンデルワールス力に比べて小さくなる。つまり、式(3)で表される凹凸構造40が有る場合の付着力Fv1と、凹凸構造40が無い場合の付着力Fv2とを比較すると、
Fv1<Fv2となる。
【0068】
このように本実施の形態2に係る構成によれば、凹凸構造40により、塵埃30の凹凸構造40(光学素子11)への付着力が低くなる。従って、このような凹凸構造40を有する光学素子11に塵埃30が付着しようとしても、その付着力が減少されるため塵埃30に加わる重力の影響により光学素子11の表面から落下してしまう。こうして塵埃30が光学素子11の表面に付着しにくくなる。
【0069】
以上説明したように本実施の形態2によれば、光学的な悪影響を与えること無く、光学素子表面への塵埃の付着を抑制した光学機器を実現することができる。
【0070】
尚、本実施の形態2では、凹凸構造40は、図8に示すようにその凸部40aがライン状に形成されているが、本願発明はこれに限定されるものでなく、例えばドット状に形成されていても良い。ドット形状にすることで、より凸部40aの表面積が減少してファンデルワールス力が低下し、本実施の形態2で説明した内容と同等の効果が得られる。
【0071】
また本実施の形態2では、凹凸構造40によってファンデルワールス力が低下すると説明してきたが、参考文献1で報告されているように、表面の微細周期構造によって液架橋力も低下する。従って、この凹凸構造40によって、ファンデルワールス力と共に液架橋力も低下し、光学素子11の表面への塵埃の付着を更に抑制可能となる。
【0072】
図11は、本発明の実施の形態2に係る凹凸構造40の有無による塵埃の付着力の測定結果例を示す図である。ここでの付着力は、前述の実施の形態1と同様に、岡田精工株式会社製の微小粒子間付着力測定装置「コンタクトーレPAF-300N」を用いて測定した。
【0073】
また、塵埃30として平均径50μmのポリスチレン粒子を用いている。また凹凸構造40としては、表面からの深さが80nmと250nmの2種類を用いて測定した。
【0074】
図11に示したように、凹凸構造40の深さが深い程付着力が低下し、凹凸構造40の深さが2500nmの場合は、平均付着力が約8割減少する事が分かった。
【0075】
尚、以上説明した本実施の形態1,2では、光学素子11の表面に撥水層11aや凹凸構造40を設けているが、光学素子11がフォーカルプレンシャッタ50と固体撮像装置15との間に設けられていない場合、つまり、フォーカルプレンシャッタ50と固体撮像装置15が対向している場合(図10参照)には、固体撮像装置15の表面に付着する塵埃が問題となる。
【0076】
図10は、本発明の実施の形態の変形例に係るD−SLR100の撮像部10及びフォーカルプレンシャッタ50の概略構成を説明するための側方断面図で、前述の図1、図6と共通する部分は同じ記号で示し、それらの説明を省略する。
【0077】
図10と前述の図1、図6とを比較すると明らかなように、図10では、光学素子11と光学素子11を保持する保持部材12及び光学素子11の表面と当接した状態で光学素子11と保持部材12とを一体化させている支持板13が省略され、フォーカルプレンシャッタ50と固体撮像装置15とが直接対向している。
【0078】
このような構成においても、固体撮像装置15のカバー部材15aの表面に、前述した撥水層11aや凹凸構造40を設けることにより、前述した実施の形態と同等の効果が得られる。従って、固体撮像装置15の表面が直接フォーカルプレンシャッタ50の後方に位置している場合でも、固体撮像装置15のガラスやフィルタなどの表面に塵埃が付着するのを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の実施の形態1に係るD−SLRの撮像部及びフォーカルプレンシャッタの概略構成を説明するための側方断面図である。
【図2】本実施の形態1に係るD−SLRのカメラシステムの構成を示す概略図である。
【図3】本実施の形態1に係るD−SLRのカメラシステムの電気的構成を説明するブロック図である。
【図4】図1のAで示す部分の拡大図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る撥水層の有無による塵埃の付着力の測定結果例を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係るD−SLRの撮像部及びフォーカルプレンシャッタの概略構成を説明するための側方断面図である。
【図7】図6のB部の拡大図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係る凹凸構造を示す概観斜視図である。
【図9】ファンデルワールス力を説明する図である。
【図10】本発明の実施の形態の変形例に係るD−SLRの撮像部及びフォーカルプレンシャッタの概略構成を説明するための側方断面図である。
【図11】本発明の実施の形態2に係る凹凸構造40の有無による塵埃の付着力の測定結果例を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばデジタルカメラ等の光学機器に関し、詳しくは、光学機器に組み込まれている固体撮像素子や光学フィルタやレンズ等、焦点面もしくは焦点面近傍に配設された光学部材の表面に塵埃が付着するのを抑制する構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、レンズ交換式のデジタル一眼レフカメラの撮影レンズの焦点面近傍に塵埃等の異物が付着すると、その異物の影が固体撮像素子に写り込んでしまうという問題がある。このような異物は、レンズ交換時に塵埃が外部から侵入したり、カメラ内部でのシャッタやミラーの動作に伴い、その構造部材である樹脂等の微細な磨耗紛が発生したりすることが原因と考えられている。このような原因で発生した異物が、特に固体撮像素子の保護用のカバーガラスと、そのカバーガラスの全面に配設されている赤外カットフィルタや光学ローパスフィルタ(以下、LPFと略す)等の光学フィルタとの間に入り込んでしまった場合には、その異物を除去するためにカメラを分解しなければならなかった。このため、固体撮像素子のカバーガラスと光学フィルタとの間に異物が入り込まないように密閉構造にすることは極めて有効なものであった。
【0003】
しかしながら、光学フィルタの固体撮像素子に対向する側と反対側の表面に異物が付着した場合、それが焦点面の近傍である場合、その異物が影となって固体撮像素子に写り込んでしまうという問題が依然として残っている。
【特許文献1】特開2003-005254号公報(第8頁、図1及び図9)
【特許文献2】特開2000-029132号公報(第8頁、図2)
【非特許文献1】粉体工学会発行 2004年度秋期研究発表会発表論文集(第34頁、Fig.1及びFig.2、並びに第35頁、Fig.4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、上記問題点を解決するために、固体撮像素子のカバーガラス表面をワイパーで清掃するものがある(特許文献1)。このようにカメラを構成すると、レンズを外さず、またカメラを分解することなく固体撮像素子のカバーガラス表面、或は防塵構造の最外面(例えば光学フィルタ表面)に付着した異物を除去できる。しかしながら、この特許文献1の構成では、固体撮像素子のカバーガラス表面や防塵構造の最外面をワイパーで擦るため、例えば金属紛のような硬い異物が付着している場合には、その異物により固体撮像素子のカバーガラス表面上や防塵構造の最外面上にキズが付く可能性がある。また、ワイパーで除去された異物がカメラ内を浮遊するので、一度、除去された異物が固体撮像素子のカバーガラス表面や防塵構造の最外面に再付着してしまうという問題がある。
【0005】
そこで上記前者の問題の解決案として、固体撮像素子のカバーガラス表面上に異物が付着するのを抑制するために、固体撮像素子のカバーガラス表面と光学フィルタの表面それぞれに透明電極を形成したものがある(特許文献2)。この特許文献2に記載の技術によれば、固体撮像素子のカバーガラス表面と光学フィルタの表面に設けられた透明電極に電位を与えることにより、固体撮像素子のカバーガラス表面と光学フィルタの表面に発生した静電気を中和することによって、固体撮像素子のカバーガラス表面と光学フィルタの表面への塵埃の付着を抑制することが可能となった。しかしながら、カバーガラス表面と光学フィルタの表面に透明電極を設けているため撮像素子への光の透過率が低下する。このため光学的な悪影響が発生する。また固体撮像素子のカバーガラス表面と光学フィルタの表面に発生する静電気は、その周囲の環境(温度や湿度)や使用条件によって一定ではないので、静電気を中和させるための制御が難しくなったり、また静電気が中和されないことによって抑制効果が不十分となるといった不具合があった。
【0006】
またこれとは別に、大気中の微粒子が平板に付着する付着力を低下させるために、シリコン平板の表面にフェムト秒レーザで微細周期構造を形成したものがある(非特許文献1)。この微細周期構造により、ガラスビーズとシリコン平板との間に作用するファンデルワールス力と液架橋力とが低下することが報告されている。しかしながら、この文献には、光学素子のカバーガラスや光学フィルタの表面にフェムト秒レーザで微細周期構造が形成できるかの言及はなく、またその微細周期構造の周期が約620nmで、これは可視光領域に入っている。よって、光学的な悪影響が考えられるため、この報告内容の技術をそのまま固体撮像素子のカバーガラス表面や光学フィルタの表面に付着する異物の対策には応用できない。
【0007】
本発明は、上記従来技術の欠点を解決することにある。
【0008】
また本願発明の特徴は、光学的な悪影響を与えることなく、光学素子への異物の付着を抑制した光学機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記特徴は、独立クレームに記載の特徴の組み合わせにより達成され、従属項は発明の単なる有利な具体例を規定するものである。
【0010】
本発明の一態様に係る光学機器は以下のような構成を備える。即ち、
被写体の光学像を電気信号に変換する撮像手段と、前記撮像手段の前面に配設された光学素子とを具備する光学機器であって、
前記光学素子の被写体側の面に、当該面上の液架橋力を低下させるための構造を設けることを特徴とする。
【0011】
本発明の一態様に係る光学機器は以下のような構成を備える。即ち、
被写体の光学像を電気信号に変換する撮像手段と、前記撮像手段の前面に配設された光学素子とを具備する光学機器であって、
前記光学素子の被写体側の面に、当該面上のファンデルワールス力を低下させるための構造を設けることを特徴とする。
【0012】
尚、この発明の概要は、必要な特徴を全て列挙しているものでなく、よって、これら特徴群のサブコンビネーションも発明になり得る。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、光学的な悪影響を与えることなく、例えば光学フィルタや撮像素子のカバーガラス等の表面への異物の付着を抑制した光学機器を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態を詳しく説明する。尚、以下の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施の形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0015】
[実施の形態1]
以下、本発明の実施の形態1に係るレンズ交換式デジタル一眼レフカメラ(以下、D−SLRと略す)について、図1から図5を参照して説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態1に係るD−SLR100の撮像部10及びフォーカルプレンシャッタ50の概略構成を説明するための側方断面図である。
【0017】
図1において、撮像部10は、ガラスやフィルタなどの光学素子11と光学素子11を保持する保持部材12及び光学素子11の表面と当接した状態で光学素子11と保持部材12とを一体化させている支持板13、固体撮像素子15bを保護するためのカバー部材15aとで構成された固体撮像装置15、固体撮像装置15のカバー部材15aと光学素子11との間を密封するためのシール部材16、固体撮像装置15の接続端子15cが接続しているとともに、D−SLR100の動作を制御する制御回路を構成する電気素子が搭載されている基板17と、固体撮像装置15と一体化して固体撮像装置15を不図示のD−SLR100のシャーシに不図示のビスによって固定するための保持板18と、から主に構成されている。
【0018】
尚、光学素子11のフォーカルプレンシャッタ50側の対向面表面には、撥水層11aが設けられている。この撥水層11aは、例えば住友スリーエム製ノベックEGC−1720のフッ素系の薄膜で、厚みが5〜10nmのものであって、透過性を有するものである。またこの撥水層11aは、その表面にフッ素基が出ている。更にこの撥水層11aは、ディッピング等のウェットプロセスもしくは蒸着等のドライプロセスにより光学素子11の表面に成膜されている。
【0019】
次にフォーカルプレンシャッタ50について説明する。複数のシャッタ羽根21a〜21dとで構成されている先幕21、同じく複数のシャッタ羽根から構成されている後幕22、フォーカルプレンシャッタ50において先幕21及び後幕22の駆動スペースを分割している中間板23、後幕22の押え板であると同時に、撮像のためにその略中央部に開口24aが設けてある押え板24、先幕21の押え板であると同時に、撮像のためにその略中央部に開口25aが設けられているカバー板25を備えている。29は先幕21の各シャッタ羽根21a〜21dが開いた時に、その位置決めとなるストッパー部を有するストッパーゴムである。
【0020】
図2は、本実施の形態1に係るD−SLR100のカメラシステムの構成を示す概略図で、図1と共通する部分は同じ記号で示し、その説明を省略する。尚、このカメラシステムは、カメラ本体(撮像装置)と、このカメラ本体に着脱可能に装着されるレンズ装置とを有している。
【0021】
本実施の形態1に係るD−SLR100は、CCD或はCMOSセンサなどの撮像素子を用いた単板式のデジタルカラーカメラであり、固体撮像素子15bを連続的又は単発的に駆動して、動画像或は静止画像を表わす画像信号を得る。ここで固体撮像素子15bは、露光した光を画素毎に電気信号に変換して受光量に応じた電荷を蓄積し、その蓄積された電荷を読み出すタイプのエリアセンサである。
【0022】
図2において、101はD−SLR100に対して取り外し可能なレンズ装置102を接続するマウント機構であり、このマウント機構101を介してレンズ装置102がD−SLR100に電気的かつ機械的に接続される。そして、焦点距離の異なるレンズ装置102をD−SLR100に装着することによって様々な画角の撮影画面を得ることが可能となる。このレンズ装置102が備える撮影光学系103から固体撮像装置15に至る光路L1中には、固体撮像装置15上に物体像(光学像)の必要以上に高い空間周波数成分が伝達されないように撮影光学系103のカットオフ周波数を制限する光学素子11が設けられている。
【0023】
固体撮像装置15から読み出された信号は、後述するように所定の処理が施された後、画像データとして表示部107に表示される。この表示部107はD−SLR100の背面に取り付けられており、使用者は表示部107での表示を直接観察できるようになっている。尚、この表示部107を、有機EL空間変調素子や液晶空間変調素子、微粒子の電気泳動を利用した空間変調素子などで構成すれば、消費電力を小さくでき、かつ表示部107の薄型化を図ることができる。これにより、D−SLR100の省電力化および小型化を図ることができる。
【0024】
固体撮像装置15は、具体的には、増幅型固体撮像素子の1つであるCMOSプロセスコンパチブルのセンサ(以下、CMOSセンサと略す)である。このCMOSセンサを採用することにより、エリアセンサ部のMOSトランジスタと撮像装置駆動回路、AD変換回路、画像処理回路といった周辺回路を同一工程で形成できるため、マスク枚数、プロセス工程がCCDと比較して大幅に削減できる。また、任意の画素へのランダムアクセスが可能であるため画像の表示用に間引いた読み出しが容易となる。これにより表示部107に高い表示レートでリアルタイムでの表示が行える。固体撮像装置15は、上述した特長を利用し、表示用の画像出力動作(固体撮像装置15の受光領域のうち一部を間引いた領域での読み出し)、及び高精彩画像の出力動作(全受光領域での読み出し)を行う。
【0025】
可動型のハーフミラー111は、撮影光学系103からの光束のうち一部を反射させるとともに残りを透過させる。このハーフミラー111の屈折率は約1.5であり、その厚さは0.5mmである。105は撮影光学系によって形成される物体像の予定結像面に配置されたフォーカシングスクリーン、112はペンタプリズムである。ファインダレンズ109は、フォーカシングスクリーン105上に結像された物体像を観察するためのレンズであり、単数もしくは複数のファインダレンズ(不図示)で構成されている。これらフォーカシングスクリーン105、ペンタプリズム112及びファインダレンズ109は、ファインダ光学系を構成する。
【0026】
ハーフミラー111の背後(像面側)には可動型のサブミラー122が設けられており、ハーフミラー111を透過した光束のうち光軸L1に近い光束を反射させて焦点検出ユニット121に導いている。このサブミラー122は不図示のハーフミラー111の保持部材に設けられた回転軸を中央に回転し、ハーフミラー111の動きに連動して移動する。尚、焦点検出ユニット121は、サブミラー122からの光束を受光して位相差検出方式による焦点検出を行う。
【0027】
またハーフミラー111とサブミラー122から成る光路分割系は、ファインダ光学系に光を導くための第1の光路分割状態、不図示の結像レンズからの光束をダイレクトに固体撮像装置15に導くために撮影光路から退避した第2の光路分割状態(図2中破線で示した位置:111'及び122')をとることが出来る。可動式の閃光発光ユニット114は、D−SLR100に収納される収納位置とD−SLR100から突出した発光位置との間で移動可能である。フォーカルプレンシャッタ50は、像面に入射する光量を調節している。119はD−SLR100を起動させるためのメインスイッチである。2段階で押圧操作されるレリーズボタン120は、半押し操作(SW1がON)で撮影準備動作(測光動作や焦点調節動作等)を開始し、全押し操作(SW2がON)で撮影動作(固体撮像装置15から読み出された画像データの記録媒体への記録)を開始する。光学ファインダ内情報表示ユニット180は、フォーカシングスクリーン105上に特定の情報を表示させる表示ユニットである。104は絞りである.
図3は、本実施の形態1に係るD−SLR100のカメラシステムの電気的構成を説明するブロック図で、前述の図1及び図2と共通する部分は同じ記号で示している。
【0028】
このカメラシステムは、撮像系、画像処理系、記録再生系及び制御系を有する。撮像系は、撮影光学系103及び固体撮像装置15を含む撮像部10を有している。画像処理系は、A/D変換器130、RGB画像処理回路131及びYC処理回路132を有している。また記録再生系は、記録処理回路133及び再生処理回路134を有し、制御系は、カメラシステム制御回路(制御手段)135、操作検出回路136、撮像装置駆動回路137を有している。接続端子138は、外部のコンピュータ等に接続され、データの送受信を行うために規格化された端子である。尚、上述した回路は、不図示の小型燃料電池からの電力供給を受けて駆動する。
【0029】
撮像系は、物体からの光を、撮影光学系103を介して固体撮像装置15の撮像面に結像させる光学処理部である。撮影光学系103内に設けられた絞り104の駆動を制御するとともに、必要に応じてフォーカルプレンシャッタ50の駆動をシャッタ制御回路145を介して行うことによって、適切な光量の光を固体撮像装置15で受光させることができる。本実施の形態1に係る固体撮像装置15には、正方画素が長辺方向に3700個、短辺方向に2800個並べられ、合計約1000万個の画素数を有する撮像素子15bが用いられている。そして、各画素にR(赤色)G(緑色)B(青色)のカラーフィルタが交互に配置され、4画素が一組となるいわゆるベイヤー配列を構成している。このベイヤー配列では、観察者が画像を見たときに強く感じやすいGの画素をRやBの画素よりも多く配置することにより総合的な画像性能を上げている。一般に、この方式の撮像素子を用いる画像処理では、輝度信号は主にGから生成し、色信号はR,G,Bから生成する。
【0030】
固体撮像装置15から読み出された信号は、A/D変換器130を介して上述の画像処理系に供給され、この画像処理系での画像処理によって画像データが生成される。A/D変換器130は、撮像素子15bの各画素から読み出された信号の振幅に応じて、例えば撮像素子15bの出力信号を10ビットのデジタル信号に変換して出力する信号変換回路であり、このA/D変換処理以降の画像処理はデジタル処理にて実行される。画像処理系は、R,G,Bのデジタル信号から所望の形式の画像信号を得る信号処理回路であり、R,G,Bの色信号を輝度信号Yおよび色差信号(R−Y),(B−Y)にて表わされるYC信号などに変換する。RGB画像処理回路131は、A/D変換器130の出力信号を処理する信号処理回路であり、ホワイトバランス回路、ガンマ補正回路、補間演算による高解像度化を行う補間演算回路を有する。YC処理回路132は、輝度信号Y及び色差信号R−Y,B−Yを生成する信号処理回路である。このYC処理回路132は、高域輝度信号YHを生成する高域輝度信号発生回路、低域輝度信号YLを生成する低域輝度信号発生回路及び、色差信号R−Y,B−Yを生成する色差信号発生回路を有している。輝度信号Yは、高域輝度信号YHと低域輝度信号YLを合成することによって形成される。
【0031】
記録再生系は、不図示のメモリ(メモリカード等)への画像信号の出力と、表示部107への画像信号の出力とを行う処理系である。記録処理回路133はメモリへの画像信号の書き込み処理及び読み出し処理を行い、再生処理回路134はメモリから読み出した画像信号を再生して表示部107に出力する。また記録処理回路133は、静止画データ及び動画データを表わすYC信号を所定の圧縮形式にて圧縮するとともに、その圧縮されたデータを伸張させる圧縮伸張回路を内部に有している。この圧縮伸張回路は、信号処理のためのフレームメモリなどを有しており、このフレームメモリに画像処理系からのYC信号をフレーム毎に蓄積し、複数のブロックのうち各ブロックから蓄積された信号を読み出して圧縮符号化する。この圧縮符号化は、例えば、ブロック毎の画像信号を2次元直交変換、正規化およびハフマン符号化することにより行われる。再生処理回路134は、輝度信号Y及び色差信号R−Y,B−Yをマトリクス変換して、例えばRGB信号に変換する回路である。この再生処理回路134によって変換された信号は表示部107に出力され可視画像として表示(再生)される。再生処理回路134及び表示部107は、Bluetoothなどの無線通信を介して接続されていてもよい。このように無線で接続することにより、このカメラで撮像された画像を離れたところからモニタすることができる。
【0032】
一方、制御系における操作検出回路136は、図2に示すメインスイッチ119、レリーズボタン120等(他のスイッチは不図示)の操作を検出して、この検出結果をカメラシステム制御回路135に出力する。このカメラシステム制御回路135は、操作検出回路136からの検出信号を受けることで、その検出結果に応じた動作を行う。また、カメラシステム制御回路135は、撮像動作を行う際のタイミング信号を生成して、撮像装置駆動回路137に出力する。撮像装置駆動回路137は、このカメラシステム制御回路135からの制御信号を受けることにより、固体撮像装置15を駆動させるための駆動信号を生成する。情報表示回路142は、カメラシステム制御回路135からの制御信号を受けて光学ファインダ内の情報表示ユニット180(図2)の駆動を制御する。
【0033】
制御系は、D−SLR100に設けられた各種スイッチの操作に応じて撮像系、画像処理系及び記録再生系での駆動を制御する。例えば、レリーズボタン120の操作によってSW2がONとなった場合、制御系(カメラシステム制御回路135)は、固体撮像装置15の駆動、RGB画像処理回路131の動作、記録処理回路133の圧縮処理などを制御する。更に制御系は、情報表示回路142を介して光学ファインダ内情報表示ユニット180の駆動を制御することによって、光学ファインダ内での表示(表示セグメントの状態)を変更する。
【0034】
次に、撮影光学系103の焦点調節動作に関して説明する。
【0035】
カメラシステム制御回路135はAF制御回路140と接続している。またマウント機構101によりレンズ装置102をD−SLR100に装着することで、カメラシステム制御回路135は、マウント接点101a,102aを介してレンズ装置102内のレンズシステム制御回路141と接続される。そしてAF制御回路140及びレンズシステム制御回路141と、カメラシステム制御回路135とは、特定の処理の際に必要となるデータを相互に通信する。
【0036】
焦点検出ユニット121(焦点検出センサ167)は、撮影画面内の所定位置に設けられた焦点検出領域での検出信号をAF制御回路140に出力する。AF制御回路140は、この焦点検出ユニット121(図2)からの出力信号に基づいて焦点検出信号を生成し、撮影光学系103の焦点調節状態(デフォーカス量)を検出する。そして、AF制御回路140は、その検出したデフォーカス量を撮影光学系103の一部の要素であるフォーカスレンズの駆動量に変換する。そして、その変換したフォーカスレンズの駆動量に関する情報を、カメラシステム制御回路135を介してレンズシステム制御回路141に送信する。ここで、移動する物体に対して焦点調節を行う場合、AF制御回路140は、レリーズボタン120が全押し操作されてから実際の撮像制御が開始されるまでのタイムラグを勘案して、フォーカスレンズの適切な停止位置を予測する。そして、予測した停止位置へのフォーカスレンズの駆動量に関する情報をレンズシステム制御回路141に送信する。
【0037】
一方、カメラシステム制御回路135が、固体撮像素子15bからの信号に基づいて被写体の輝度が低く、十分な焦点検出精度が得られないと判定したときには、閃光発光ユニット114又は、D−SLR100に設けられた不図示の白色LEDや蛍光管を駆動することによって物体を照明する。レンズシステム制御回路141は、カメラシステム制御回路135からフォーカスレンズの駆動量に関する情報を受信すると、レンズ装置101内に配置されたAFモータ147の駆動を制御することによって、不図示の駆動機構を介してフォーカスレンズを上記駆動量の分だけ光軸L1方向に移動させる。これにより、撮影光学系103が合焦状態となる。尚、上述したようにフォーカスレンズが液体レンズ等で構成されている場合には、界面形状を変化させることになる。また、レンズシステム制御回路141は、カメラシステム制御回路135から露出値(絞り値)に関する情報を受信すると、レンズ装置101内の絞り駆動源(アクチュエータ)143の駆動を制御することによって、その絞り値に応じた絞り開口径となるように絞り104を動作させる。
【0038】
また、シャッタ制御回路145は、公知のコイルやヨーク等で構成された電磁アクチュエータと駆動レバー等で構成されている先幕駆動源35、開き動作を行った先幕21を再び図1に示した閉状態にするために閉じ動作を行うための、駆動レバーやスプリング等で構成されているチャージ源36、後幕22の開閉動作を行うための、公知のコイルやヨーク等で構成された電磁アクチュエータと駆動レバー等で構成されている後幕駆動源37の制御を行う。そして、カメラシステム制御回路135からのシャッタ速度に関する情報を受信すると、フォーカルプレンシャッタ50の先幕22、後幕21の駆動源である先幕駆動源35、後幕駆動源37及びチャージ駆動源36の駆動を制御することによって、上記シャッタ速度になるように先幕22及び後幕21を動作させる。このフォーカルプレンシャッタ50と絞り104の動作により、適切な光量の物体光を像面側に向かわせることができる。またAF制御回路140において被写体にピントが合ったことが検出されると、この情報はカメラシステム制御回路135に送信される。このとき、レリーズボタン120の全押し操作によってSW2がON状態になれば、上述したように撮像系、画像処理系及び記録再生系によって撮影動作が行われる。
【0039】
続いて、図4を参照して本実施の形態1に係る光学素子11の表面に設けられた撥水層11aの効果について説明する。
【0040】
図4は、図1のAで示す部分の拡大図であり、光学素子11の表面に塵埃30が付着した様子を示した図である。
【0041】
後述するように、塵埃30と光学素子11の表面との間に液架橋が形成されるが、本実施の形態1のように、光学素子11の表面に撥水層11aがある場合に形成される液架橋は、図4中実線70で示されている。また光学素子11の表面に撥水層11aがない場合に形成される液架橋は、図4中破線70'で示している。
【0042】
塵埃30が光学素子11の表面に付着した場合、空気中に含まれる水分子(不図示)が塵埃30と光学素子11の表面との間で凝集して液架橋70を形成する。この液架橋70によって、塵埃30と光学素子11の表面との間には液架橋力という、式(1)で示される付着力FLが作用することとなる。
【0043】
FL=2πσDcosθ(N) ...式(1)
この式(1)において、σは水の表面張力(N/m)、Dは塵埃30の直径(m)、θは水の光学素子11の表面に対する接触角(DEG)である。
【0044】
ここで、同一の塵埃30に対する液架橋力を考えた場合、水の表面張力(表面エネルギー)は一定であるから、光学素子11の表面に撥水層11aがない場合とある場合とでは接触角θが異なり、それぞれθ1(撥水層11aがない場合),θ2(撥水層11aがある場合)となる(θ1<θ2、図4参照)。
【0045】
この接触角とは、水と撥水層11a(もしくは光学素子11の表面)の各々の表面エネルギーの比である。撥水層11aの表面エネルギーと、撥水層11aが無い場合の光学素子11の表面エネルギーとを比べると、撥水層11aが存在している場合は、撥水層11aの表面に出ているフッ素基によって撥水層11aの表面エネルギーの方が小さくなる。これにより撥水層11aの有無によって接触角が変化することになる。なお、表面エネルギーが小さい方が接触角は大きくなるのでθ1<θ2となる。これにより、塵埃30と撥水層11aの表面との間に形成される液架橋70と、塵埃30と光学素子11の表面との間に形成される(撥水層11aが無い場合)液架橋70'の大きさを比べると、撥水層11aが無い場合(図4中、S2)の液架橋70'に比べて、撥水層11aが存在する場合の液架橋70の方が小さくなることがわかる(図4中、S1)(S1<S2)。
【0046】
また、上記式(1)において、撥水層11aの有無によって異なるのは接触角θだけとなるから、接触角θが大きくなると付着力FLが小さくなる(0≦θ≦90°)。つまり、撥水層11aが有る場合の付着力FL1と、撥水層11aが無い場合の付着力FL2とを比較すると、FL1<FL2となる。
【0047】
つまり、撥水層11aにより、塵埃30の撥水層11a(光学素子11)への付着力が小さくなる。従って、撥水層11aが有る場合には、塵埃30が光学素子11に付着しようとしても、その付着力が小さいため、塵埃30に加わる重力の影響により光学素子11の表面から落下してしまう。こうして、塵埃30が光学素子11の表面に付着しにくくなる。
【0048】
ここで、実際に撥水層11aが有る場合と無い場合の、光学素子11への塵埃30の付着力を測定した結果を図5を参照して説明する。
【0049】
図5は、本発明の実施の形態1に係る撥水層11aの有無による塵埃の付着力の測定結果例を示す図である。尚、この測定において、付着力は、岡田精工株式会社製の微小粒子間付着力測定装置「コンタクトーレPAF-300N」を用いて測定した(この測定法の詳細は、特開2001-183289号報を参照の事)。
【0050】
尚、この実施の形態1では、塵埃30として平均径50μmのポリスチレン粒子を用いている。また撥水層11aとしては、その表面にフッ素基がある2種類のもの(A及びB)を用いて測定した。
【0051】
図5に示すように、撥水層11aの種類によらず、撥水層11aによって塵埃30の付着力が約3割低下することが確認できた。
【0052】
以上説明したように本実施の形態1によれば、光学機器の光学系に悪影響を与えること無く、かつ光学素子の表面への塵埃の付着を抑制できる光学機器を実現できた。
【0053】
尚、本実施の形態1では、撥水層11aの一例として、その表面にフッ素基を有しているものを取り上げているが、本願発明はこれに限定されるものでなく、光学素子の表面エネルギーを低下させる作用のある薄膜であればよい。
【0054】
[実施の形態2]
次に図6及び図9を参照して、本発明の実施の形態2に係るカメラシステムについて説明する。尚、前述の実施の形態1と同様な構成は同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0055】
図6は、本発明の実施の形態2に係るD−SLR100の撮像部10及びフォーカルプレンシャッタ50の概略構成を説明するための側方断面図、図7は、図6のB部の拡大図であって、光学素子11の表面に塵埃30が付着した様子を示している。尚、この実施の形態2に係るカメラシステム100の基本的な構成は、前述の実施の形態1に係るカメラシステム100(図2及び図3)と同じであるため、その説明を省略する。
【0056】
図6は、前述の実施の形態1に係る図1で示す構成と基本的に同じであり、Bで示す光学素子11の表面が異なっているだけである。
【0057】
図7において、40は光学素子11の表面に設けられた凸部40aと凹部40bとが所定の深さ(凸部40aと凹部40bとの高低差)と、所定のピッチで設けられた凹凸構造を示している。尚、この凹凸構造40が光学的に悪影響を与えないために、凸部40aと凹部40bの深さ及びピッチは、少なくとも可視光の波長域(380〜770nm)よりも小さい(短い)ことが望ましい。
【0058】
図8は、この凹凸構造40を示す概観斜視図である。
【0059】
図8に示したように、凸部40aが光学素子11の表面にライン状に形成されている。尚、この凹凸構造40は、例えば光学素子11の表面に設けたアクリルやポリカーボネート等の樹脂やフッ素系樹脂等の層を、ナノオーダーの微細な形状を有した金型(スタンパー)に押し付けることにより、樹脂層に金型の微細形状を転写したナノインプリント等の製法により形成される。よって、光学素子11の材質を選ぶことなく形成できる。
【0060】
ところで、塵埃30が光学素子11の表面に付着した場合、相互作用力であるファンデルワールス力が塵埃30と光学素子11の表面との間で作用する。このファンデルワールス力は、式(2)で示される付着力Fvとなる。
【0061】
Fv=(HD/12Z2)(N) ...式(2)
この式(2)において、Hは塵埃30のハマーカー定数(J)、Dは塵埃30の直径(m)、Zは塵埃30と凹凸構造40(もしくは光学素子11)の表面との分離距離で0.4nmである。
【0062】
ここで、同一の塵埃30に対するファンデルワールス力を考えた場合、塵埃30の直径D及びハマーカー定数Hは一定であるから、光学素子11の表面に凹凸構造40がある場合とない場合とでは、分離距離Zが異なることになる。
【0063】
次に図9を参照してファンデルワールス力について説明する。
【0064】
図9は、ファンデルワールス力を説明する図である。
【0065】
そもそもファンデルワールス力とは、2つの物体間に作用する相互作用力であって、一つの物体中の全ての原子と他の物体中の全ての原子間のエネルギーの和(積分)を取ることによって求められる(文献「分子間力と表面力」J・N・イスラエルアチヴィリ著、朝倉書店、P.172参照)。従って、図9に示したように、塵埃30と光学素子11との間に作用するファンデルワールス力も同様にして求めることが出来る。
【0066】
ここで、光学素子11の表面に凹凸構造40を設けると、凹部40bは凸部40aに比べて塵埃30との分離距離が大きくなる。つまり、式(2)において凹凸構造40と塵埃30との間に作用するファンデルワールス力Fv'は、凸部40aとの分離距離をZ1、凹部40bとの分離距離をZ2とすると、式(3)のように表すことが出来る。
【0067】
Fv'=(HD/12Z12+HD/12Z22)(N) ...式(3)
ここで、上記式(3)の第2項(凹部40bに作用するファンデルワールス力)は、分離距離Z2がZ1より大きいので、第1項よりも小さくなる。また、凹凸構造40がない場合の塵埃30と光学素子11表面との分離距離をZとし、
Z=Z1 ...式(4)
であっても、凸部40aの表面積と凹凸構造40が無い場合の光学素子11の表面積とを比べると、凸部40aの表面積の方が小さいので、式(3)の第1項は、式(2)で求められる、凹凸構造40が無い場合の光学素子11に作用するファンデルワールス力に比べて小さくなる。つまり、式(3)で表される凹凸構造40が有る場合の付着力Fv1と、凹凸構造40が無い場合の付着力Fv2とを比較すると、
Fv1<Fv2となる。
【0068】
このように本実施の形態2に係る構成によれば、凹凸構造40により、塵埃30の凹凸構造40(光学素子11)への付着力が低くなる。従って、このような凹凸構造40を有する光学素子11に塵埃30が付着しようとしても、その付着力が減少されるため塵埃30に加わる重力の影響により光学素子11の表面から落下してしまう。こうして塵埃30が光学素子11の表面に付着しにくくなる。
【0069】
以上説明したように本実施の形態2によれば、光学的な悪影響を与えること無く、光学素子表面への塵埃の付着を抑制した光学機器を実現することができる。
【0070】
尚、本実施の形態2では、凹凸構造40は、図8に示すようにその凸部40aがライン状に形成されているが、本願発明はこれに限定されるものでなく、例えばドット状に形成されていても良い。ドット形状にすることで、より凸部40aの表面積が減少してファンデルワールス力が低下し、本実施の形態2で説明した内容と同等の効果が得られる。
【0071】
また本実施の形態2では、凹凸構造40によってファンデルワールス力が低下すると説明してきたが、参考文献1で報告されているように、表面の微細周期構造によって液架橋力も低下する。従って、この凹凸構造40によって、ファンデルワールス力と共に液架橋力も低下し、光学素子11の表面への塵埃の付着を更に抑制可能となる。
【0072】
図11は、本発明の実施の形態2に係る凹凸構造40の有無による塵埃の付着力の測定結果例を示す図である。ここでの付着力は、前述の実施の形態1と同様に、岡田精工株式会社製の微小粒子間付着力測定装置「コンタクトーレPAF-300N」を用いて測定した。
【0073】
また、塵埃30として平均径50μmのポリスチレン粒子を用いている。また凹凸構造40としては、表面からの深さが80nmと250nmの2種類を用いて測定した。
【0074】
図11に示したように、凹凸構造40の深さが深い程付着力が低下し、凹凸構造40の深さが2500nmの場合は、平均付着力が約8割減少する事が分かった。
【0075】
尚、以上説明した本実施の形態1,2では、光学素子11の表面に撥水層11aや凹凸構造40を設けているが、光学素子11がフォーカルプレンシャッタ50と固体撮像装置15との間に設けられていない場合、つまり、フォーカルプレンシャッタ50と固体撮像装置15が対向している場合(図10参照)には、固体撮像装置15の表面に付着する塵埃が問題となる。
【0076】
図10は、本発明の実施の形態の変形例に係るD−SLR100の撮像部10及びフォーカルプレンシャッタ50の概略構成を説明するための側方断面図で、前述の図1、図6と共通する部分は同じ記号で示し、それらの説明を省略する。
【0077】
図10と前述の図1、図6とを比較すると明らかなように、図10では、光学素子11と光学素子11を保持する保持部材12及び光学素子11の表面と当接した状態で光学素子11と保持部材12とを一体化させている支持板13が省略され、フォーカルプレンシャッタ50と固体撮像装置15とが直接対向している。
【0078】
このような構成においても、固体撮像装置15のカバー部材15aの表面に、前述した撥水層11aや凹凸構造40を設けることにより、前述した実施の形態と同等の効果が得られる。従って、固体撮像装置15の表面が直接フォーカルプレンシャッタ50の後方に位置している場合でも、固体撮像装置15のガラスやフィルタなどの表面に塵埃が付着するのを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の実施の形態1に係るD−SLRの撮像部及びフォーカルプレンシャッタの概略構成を説明するための側方断面図である。
【図2】本実施の形態1に係るD−SLRのカメラシステムの構成を示す概略図である。
【図3】本実施の形態1に係るD−SLRのカメラシステムの電気的構成を説明するブロック図である。
【図4】図1のAで示す部分の拡大図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る撥水層の有無による塵埃の付着力の測定結果例を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係るD−SLRの撮像部及びフォーカルプレンシャッタの概略構成を説明するための側方断面図である。
【図7】図6のB部の拡大図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係る凹凸構造を示す概観斜視図である。
【図9】ファンデルワールス力を説明する図である。
【図10】本発明の実施の形態の変形例に係るD−SLRの撮像部及びフォーカルプレンシャッタの概略構成を説明するための側方断面図である。
【図11】本発明の実施の形態2に係る凹凸構造40の有無による塵埃の付着力の測定結果例を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体の光学像を電気信号に変換する撮像手段と、前記撮像手段の前面に配設された光学素子とを具備する光学機器であって、
前記光学素子の被写体側の面に、当該面上の液架橋力を低下させるための構造を設けることを特徴とする光学機器。
【請求項2】
被写体の光学像を電気信号に変換する撮像手段と、前記撮像手段の前面に配設された光学素子とを具備する光学機器であって、
前記光学素子の被写体側の面に、当該面上のファンデルワールス力を低下させるための構造を設けることを特徴とする光学機器。
【請求項3】
被写体の光学像を電気信号に変換する撮像手段を具備する光学機器であって、
前記撮像手段の被写体側の面に、当該面上の液架橋力を低下させるための構造を設けることを特徴とする光学機器。
【請求項4】
被写体の光学像を電気信号に変換する撮像手段を具備した光学機器であって、
前記撮像手段の被写体側の面に、当該面上のファンデルワールス力を低下させるための構造を設けることを特徴とする光学機器。
【請求項5】
前記液架橋力を低下させるための構造は、前記面に撥水層を設けた構造であることを特徴とする請求項1又は3に記載の光学機器。
【請求項6】
前記撥水層は透過性を有するフッ素系の薄膜であることを特徴とする請求項5に記載の光学機器。
【請求項7】
前記液架橋力を低下させるための構造は、前記面に微細な凹凸形状を設けた構造であることを特徴とする請求項1又は3に記載の光学機器。
【請求項8】
前記ファンデルワールス力を低下させるための構造は、前記面に微細な凹凸形状を設けた構造であることを特徴とする請求項2又は4に記載の光学機器。
【請求項9】
前記凹凸形状は、380nm以下のピッチであることを特徴とする請求項7又は8に記載の光学機器。
【請求項1】
被写体の光学像を電気信号に変換する撮像手段と、前記撮像手段の前面に配設された光学素子とを具備する光学機器であって、
前記光学素子の被写体側の面に、当該面上の液架橋力を低下させるための構造を設けることを特徴とする光学機器。
【請求項2】
被写体の光学像を電気信号に変換する撮像手段と、前記撮像手段の前面に配設された光学素子とを具備する光学機器であって、
前記光学素子の被写体側の面に、当該面上のファンデルワールス力を低下させるための構造を設けることを特徴とする光学機器。
【請求項3】
被写体の光学像を電気信号に変換する撮像手段を具備する光学機器であって、
前記撮像手段の被写体側の面に、当該面上の液架橋力を低下させるための構造を設けることを特徴とする光学機器。
【請求項4】
被写体の光学像を電気信号に変換する撮像手段を具備した光学機器であって、
前記撮像手段の被写体側の面に、当該面上のファンデルワールス力を低下させるための構造を設けることを特徴とする光学機器。
【請求項5】
前記液架橋力を低下させるための構造は、前記面に撥水層を設けた構造であることを特徴とする請求項1又は3に記載の光学機器。
【請求項6】
前記撥水層は透過性を有するフッ素系の薄膜であることを特徴とする請求項5に記載の光学機器。
【請求項7】
前記液架橋力を低下させるための構造は、前記面に微細な凹凸形状を設けた構造であることを特徴とする請求項1又は3に記載の光学機器。
【請求項8】
前記ファンデルワールス力を低下させるための構造は、前記面に微細な凹凸形状を設けた構造であることを特徴とする請求項2又は4に記載の光学機器。
【請求項9】
前記凹凸形状は、380nm以下のピッチであることを特徴とする請求項7又は8に記載の光学機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−187846(P2007−187846A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−5398(P2006−5398)
【出願日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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