説明

光学活性アシル化アミン

【課題】 薬物製剤および作物保護剤を製造するための中間体として用いることができる光学活性アシル化(R)−アミンを提供する。
【解決手段】 N−[(R)−1−メチル−ω−(置換フェニル)メチル、エチル又はプロピル]を有するクロルアセトアミド又はシアノアセトアミド誘導体に関する。本化合物は例えばラセミ体のアミン類とクロロ酢酸エステルとをカンジダ・アンタルクチカからのリパーゼの存在下、反応させて得られる。高い収率と優れた光学純度における多数の光学活性アミンの製造を可能にすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬物製剤および作物保護剤を製造するための中間体として用いることができる既知の光学活性アミンの新規な製造方法に関する。さらに、本発明は、新規な光学活性アシル化アミンに関する。
【背景技術】
【0002】
光学活性の第1級および第2級アミンは、ラセミ体アミンを、最初に、カルボニル炭素原子に近接する酸部分に電子に富むヘテロ原子をもつエステルを用いて、加水分解酵素の存在下、エナンチオ選択的にアシル化し、次いで、得られる光学活性(S)−アミンと光学活性アシル化(R)−アミン(=アミド)の混合物を分離して、(S)−アミンを生成し、そして所望であれば、アミド開裂によってアシル化(R)−アミンから他の鏡像異性体を得ることによって、製造できることが、既に、ドイツ特許出願公開第4 332 738号から知られている。適切な加水分解酵素は、シュードモナス(Pseudomonas)からのリパーゼ、例えばAmano P、またはシュードモナス・種DSM8246からのリパーゼである。得られる鏡像異性体の光学純度は、非常に高い。しかしながら、この方法は、酵素的アシル化のために比較的長い反応時間が必要であり、そして反応が非常に希薄な溶液中で実施されるという欠点をもつ。比較的長い反応時間の後でのみ、残存する(S)−鏡像異性体は、十分高い光学収率で得られる。したがって、実用目的では、達成できる空時収量は不十分である。基質に比べて比較的高い酵素量が要求されるという、さらなる欠点もある。その上、酵素は非常に高い活性をもっているので、精製、濃縮および回収(work−up)には、かなりの努力を要する。さらに、比較的高価なアシル化成分が必要である。
【0003】
さらにまた、Chimica 48, 570 (1994)は、ラセミ体アミンが、カンジダ・アンタルクチカ(Candida antarctica)からのリパーゼの存在下で、エナンチオ選択的に酢酸エチルと反応して、(S)−アミンとアシル化(R)−アミン(=アミド)の混合物を生成し、それらから(S)−アミンとアシル化(R)−アミンが単離でき、そして続いてのアミド開裂によって、アシル化(R)−アミンを遊離できることを開示している。この方法の欠点は、これまた、比較的長い反応時間が必要であり、そしてさらに、収量も必ずしも満足できないことである。加えて、酵素対基質の比は、また、この方法の経済的利用がほとんどできないほどの短所になっている。
【発明の開示】
【0004】

【0005】
【化1】

【0006】
[式中、
Rは、炭素原子1〜10個をもつアルキル、炭素原子1〜10個とハロゲン原子1〜5個をもつハロゲノアルキル、アルキル部分に炭素原子1〜10個とアルコキシ部分に炭素原子1〜3個をもつアルコキシアルキル、または炭素原子2〜10個をもつアルケニルを表すか、あるいは、式
−(CH−R
(式中、Rは、同じか異なる置換基によって、場合によっては一置換ないし三置換されてもよいアリールもしくはアリールオキシを表すが、但し、アリール基の結合点に隣接する位置は、いかなる置換基も担持しないか、または
は、同じか異なる置換基によって場合によっては一置換ないし三置換されてもよい、場合によってはベンゾ縮合されてもよいヘテロアリールを表すが、但し、ヘテロアリール基の結合点に隣接する位置は、いかなる置換基も担持しない、そして
mは、数字0,1,2もしくは3を表す)の基を表し、
そして
は、水素もしくはアルキルを表す]
の光学活性アミンは、
a)第1段階において、式
【0007】
【化2】

【0008】
[式中、RおよびRは、各々先に定義されたとおりである]
のラセミ体アミンと、

【0009】
【化3】

【0010】
[式中、
は、水素、炭素原子1〜12個をもつアルキル、炭素原子2〜12個をもつアルケニル、炭素原子2〜12個をもつアルキニル、炭素原子1〜10個とフッ素および/または塩素原子1〜5個をもつハロゲノアルキルを表すか、または、式
−CH−C≡Nまたは−(CH−R
(式中、Rは、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、炭素原子1〜4個をもつアルキル、炭素原子1〜4個をもつアルコキシ、フェニルおよびフェノキシからなる群からの同じか異なる置換基によって、場合によっては一置換ないし三置換されてもよいフェニルを表し、そして
nは、数字0,1,2もしくは3を表す)の基を表すか、
あるいは
は、式
−CH−COOR
(式中、Rは、炭素原子1〜4個をもつアルキルを表す)の基を表し、
そして
は、炭素原子1〜10個をもつアルキルを表すか、または炭素原子1〜6個とハロゲン原子1〜5個をもつハロゲノアルキルを表すが、この場合、Rがエチルを表す時は、Rはメチルを表さない]
のエステルとを、
加水分解酵素の存在下、適当であれば希釈剤の存在下で反応させ、
b)第2段階において、生じる、式
【0011】
【化4】

【0012】
[式中、RおよびRは、各々先に定義されたとおりである]
の(S)−アミンと、式
【0013】
【化5】

【0014】
[式中、R、RおよびRは、各々先の定義のとおりである]
のアシル化(R)−アミンとの混合物を分離し、
そして
c)適当であれば、第3段階において、式
【0015】
【化6】

【0016】
[式中、RおよびRは、各々先に定義されたとおりである]
の(R)−アミンを、適当であれば希釈剤の存在下、酸または塩基による処理によって、式(III)のアシル化(R)−アミンから遊離させること
によって得られることが、今回、見い出された。
【0017】
(R)−アミンは、不斉置換(asymmetrically substituted)炭素原子において(R)配置を示す式(I)の光学活性化合物を意味すると理解される。これに対して、(S)−アミンは、キラル中心において(S)配置を示す式(I)の光学活性化合物を意味すると理解される。式中、不斉置換炭素原子は、各場合、(*)によって指示される。
【0018】
式(I*)の光学活性アミンが、本発明による方法によって高い収率で、非常に良好な光学純度において製造することができるのは、極めて驚くべきことである。既知の先行技術からは、エナンチオ選択性アミン合成が、カルボニル炭素原子に近接する酸部分に電子に富むヘテロ原子をもたないエステルを用いても、なお可能であることは、予測できなかった。さらにまた、アシル化成分として酢酸エチルを用いる対応する反応によるよりも、本発明による方法によって、より良好な結果が得られることは、予期できなかった。
【0019】
本発明による方法は、数々の利点を享受できる。かくして、それは、高い収率と優れた光学純度における多数の光学活性アミンの製造を可能にする。また、反応が、比較的高い基質濃度において実施でき、そして反応時間が短いことも有利である。したがって、実用目的にさえ満足できる空時収量を達成することが可能である。さらにまた、アシル化成分は納得できる価格の、そして容易に入手できる材料である。要求される生物触媒が、比較的多量に得られ、しかも、それが高温でも安定であることは、さらなる利点である。基質に対する酵素の量に関しては、生物触媒は、比較的少量で、低い酵素活性において使用される。最後に、反応の実施および所望の物質、すなわち(S)−アミンでも(R)−アミンでも、その単離には何ら困難を伴わない。
【0020】
ラセミ体1−(4−クロロフェニル)−エチルアミンが、カンジダ・アンタルクチカからのリパーゼの存在下、酢酸n−ブチルと反応され、得られる成分が分離され、そしてN−[1−(4−クロロフェニル)−エチルアセトアミドの(R)−鏡像体が、塩酸により処理される場合には、本発明による方法の工程は、次の式によって具体的に説明できる。
【0021】
【化7】

【0022】
式(I)は、本発明による方法を実施するための出発材料として要求されるラセミ体アミンの一般的定義を提供する。
【0023】
Rは、好ましくは、直鎖または分枝の、炭素原子1〜7個をもつアルキル、炭素原子1〜5個とフッ素および/または塩素原子1〜5個をもつハロゲノアルキル、アルキル部分に炭素原子1〜5個とアルコキシ部分に炭素原子1〜3個をもつアルコキシアルキル、炭素原子2〜8個をもつアルケニルを表すか、あるいは、式
−(CH−R
[式中、Rは、好ましくは、式
【0024】
【化8】

【0025】
(式中、R,RおよびRは、互いに独立して、各々、水素、ハロゲン、炭素原子1〜4個をもつアルキル、炭素原子1〜4個をもつアルコキシ、炭素原子1〜4個をもつアルキルチオ、炭素原子1〜4個と同じか異なるハロゲン原子1〜5個をもつハロゲノアルキル、炭素原子1〜4個と同じか異なるハロゲン原子1〜5個をもつハロゲノアルコキシ、シアノ、各アルキル基に炭素原子1〜4個をもつジアルキルアミノ、ニトロ、フェニル、フェノキシもしくはベンジルを表す)の場合によっては置換されてもよいフェニルを表すか、
あるいは
は、ハロゲン、炭素原子1〜4個をもつアルキル、炭素原子1〜4個と同じか異なるハロゲン原子1〜5個をもつハロゲノアルキル、炭素原子1〜4個をもつアルコキシ、炭素原子1〜4個をもつアルキルチオおよび炭素原子1〜4個と同じか異なるハロゲン原子1〜5個をもつハロゲノアルコキシからなる群からの同じか異なる置換基によって、場合によっては一置換ないし三置換されてもよいナフチルを表すが、但し、ナフチル基が結合している炭素原子に対してオルト位が置換されていないか、
あるいは
は、式
【0026】
【化9】

【0027】
(式中、R10は、水素、ハロゲン、炭素原子1〜4個をもつアルキル、炭素原子1〜4個をもつアルコキシ、炭素原子1〜4個をもつアルキルチオ、炭素原子1〜4個と同じか異なるハロゲン原子1〜5個をもつハロゲノアルキル、シアノ、各アルキル基に炭素原子1〜4個をもつジアルキルアミノ、ニトロ、フェニル、フェノキシもしくはベンジルを表す)の場合によっては置換されてもよいフェノキシを表すか、
あるいは
は、複素環に環員5または6個とヘテロ原子、例えば窒素、酸素および/または硫黄1〜3個をもつ、場合によってはベンゾ縮合されてもよいヘテロアリールを表し、この場合、これらの基は、ハロゲン、炭素原子1〜4個をもつアルキル、炭素原子1〜4個をもつアルコキシおよび炭素原子1〜4個をもつハロゲノアルキルからなる群からの同じか異なる置換基によって、一置換ないし三置換されてもよいが、ヘテロアリール基の結合点に隣接する位置は、いかなる置換基も担持しない、
そして
mは、また好ましくは、数字0,1,2もしくは3を表す]
の基を表す。
【0028】
は、好ましくは、水素または炭素原子1〜6個をもつ直鎖または分枝アルキルを表す。
【0029】
式(I)のアミンにおいて、Rおよび−CH−Rは、各場合、異なる基を表す。
【0030】
次の場合の式(I)のアミンが特に好適である:
Rは、直鎖または分枝の、炭素原子1〜7個をもつアルキル、炭素原子1〜5個とフッ素および/または塩素原子1〜3個をもつハロゲノアルキルを表すか、アルキル部分に炭素原子1〜3個とアルコキシ部分に炭素原子1〜3個をもつアルコキシアルキル、炭素原子2〜6個をもつアルケニルを表すか、あるいは、式
−(CH−R
[式中、Rは、特に好ましくは、式
【0031】
【化10】

【0032】
(式中、R,RおよびRは、互いに独立して、各々、水素、フッ素、塩素、臭素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、メトキシ、エトキシ、メチルチオ、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ジフルオロクロロメトキシ、ジフルオロメトキシ、シアノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ニトロ、フェニル、フェノキシもしくはベンジルを表す)の場合によっては置換されるフェニルを表すか、
あるいは
は、フッ素、塩素、臭素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、メトキシ、エトキシ、メチルチオ、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ジフルオロクロロメトキシおよびジフルオロメトキシからなる群からの同じか異なる置換基によって、場合によっては一置換ないし三置換されてもよいナフチルを表すが、この場合、ナフチル基が結合している炭素原子に対してオルト位が置換されてない、
あるいは
は、式
【0033】
【化11】

【0034】
(式中、R10は、水素、フッ素、塩素、臭素、メチル、エチル、n−プロピル、イソブチル、sec−ブチル、メトキシ、エトキシ、メチルチオ、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ジフルオロクロロメトキシ、ジフルオロメトキシ、シアノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ニトロ、フェニル、フェノキシもしくはベンジルを表す)の場合によっては置換されるフェノキシを表すか、
は、場合によってはベンゾ縮合されるフリル、チエニル、ピリジルもしくはピリミジンを表し、この場合、これらの基は、フッ素、塩素、臭素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロエチルからなる群からの同じか異なる置換基によって、一置換ないし三置換されてもよいが、ヘテロアリール基の結合点に隣接する位置は、いかなる置換基も担持しない、
そして
mは、数字0,1もしくは2を表す]
の基を表し、
そして
は、水素、メチル、エチル、n−プロピルもしくはイソプロピルを表す。
【0035】
式(I)のラセミ体アミンの例は、次に挙げる式の化合物を包含する:
【0036】
【化12】

【0037】
【化13】

【0038】
式(I)のラセミ体アミンは、既知であるか、または既知の方法によって製造できる。
【0039】
式(II)は、本発明による方法の第1段階を実施するための反応成分として要求されるエステルの一般的定義を提供する。
【0040】
は、好ましくは、水素、炭素原子1〜8個をもつ直鎖アルキル、炭素原子2〜8個をもつ直鎖アルケニル、炭素原子2〜8個をもつ直鎖アルキニル、炭素原子1〜4個とフッ素および/または塩素原子1〜3個をもつ直鎖ハロゲノアルキルを表すか、または、式
−CH−C≡Nまたは−(CH−R
[式中、Rは、フッ素、塩素、臭素、アミノ、ヒドロキシル、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、フェニルおよびフェノキシからなる群からの同じか異なる置換基によって、場合によっては一置換ないし三置換されてもよいフェニルを表し、そして
nは、数字0,1もしくは2を表す]
の基を表すか、あるいは
は、好ましくは、式
−CH−COOR
[式中、Rは、好ましくは、メチル、エチル、n−プロピルもしくはn−ブチルを表す]
の基を表す。
【0041】
は、好ましくは、炭素原子1〜8個をもつ直鎖アルキルを表すか、または炭素原子1〜4個とフッ素および/または塩素原子1〜3個をもつ直鎖ハロゲノアルキルを表す。
【0042】
次の場合の式(II)のエステルが、特に好適である。
【0043】
は、水素、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、ビニル、アリル、プロパルギル、クロロメチル、フルオロメチル、トリフルオロメチル、2−クロロエチルを表すか、または、式
−CH−C≡Nまたは−(CH−R
[式中、Rは、フッ素、塩素、臭素、アミノ、ヒドロキシル、メチル、エチル、メトキシ、フェニルおよび/またはフェノキシによって、場合によっては一置換または二置換されてもよいフェニルを表し、そして
nは、数字0,1もしくは2を表す]
の基を表すか、
あるいは
は、式
−CH−COOR
[式中、Rは、メチル、エチル、n−プロピルもしくはn−ブチルを表す]
の基を表し、
そして
は、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、クロロメチル、2−クロロエチル、2−フルオロエチルもしくは2,2,2−トリフルオロエチルを表す。
【0044】
しかしながら、式(II)において、Rがエチルを表す場合は、Rはメチルを表さない。
【0045】
式(II)のエステルの例は、次に挙げる式の化合物を包含する。
【0046】
【化17】

【0047】
式(II)のエステルは、既知であるか、または既知の方法によって製造できる。
【0048】
本発明による方法の第1段階を実施するための適切な加水分解酵素は、リパーゼおよびプロテアーゼである。カンジダ・アンタルクチカからのリパーゼ、シュードモナスからのリパーゼ、例えばAmano P、そしてまたSubtilisinを用いるのが好適である。カンジダ・アンタルクチカからのリパーゼ(=Novozym435(R))を用いるのが特に好適である。
【0049】
上記物質は既知である。かくして、カンジダ・アンタルクチカからのリパーゼの調製は、文献に記載されている(Ind. J. Chem. 32B, 76-80 (1993)および欧州特許出願公開第0 287 634号、参照)。カンジダ・アンタルクチカからのリパーゼは、名称Novozym435(R)として市販されている。
【0050】
例えば名称Amano P(=リパーゼP)またはAmano PS(=リパーゼPS)をもつ製品のようなシュードモナスからのリパーゼは、シュードモナス・セパシア(Pseudomonas cepacia)から単離できる。それは、IUB−No.3.1.1.3として登録されており、そして市販されている。
【0051】
Subtilisin、それはまたSubtilisinAとして既知であり、バチルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)から単離できる。それは、IUB−No.3.4.21.62として登録されており、そしてまた市販されている。
【0052】
加水分解酵素は、天然型でも、または、例えば、マイクロカプセル化されるか、無機または有機支持材に結合された改変型でも、いずれでも使用できる。本文脈上、適切である支持材の例は、Celite、Lewatit、ゼオライト、多糖、ポリアミドおよびポリスチレン樹脂である。
【0053】
本発明による方法の第1段階を実施するために適切な希釈剤は、そのような反応に常用されるすべての有機溶媒である。好ましくは、エーテル類、例えばメチルtert−ブチルエーテル、ジメトキシエタンもしくはt−アミルメチルエーテル、さらにまた脂肪族または芳香族炭化水素類、例えばヘキサン、シクロヘキサンもしくはトルエン、付加的にニトリル類、例えばアセトニトリルもしくはブチロニトリル、さらに、アルコール類、例えばtert−ブタノールもしくは3−メチル−3−ペンタノール、そして最後にまた、アシル化に使用されるエステル類が使用される。
【0054】
本発明による方法の第1段階を実施する場合、温度は、ある範囲内で変えることができる。一般に、反応は、温度0℃〜80℃、好ましくは10℃〜60℃で実施される。
【0055】
本発明による方法の第1段階は、一般に、大気圧下で、適当であれば窒素もしくはアルゴンのような不活性ガス下で実施される。
【0056】
本発明による方法の第1段階を実施する場合、一般に、式(I)のラセミ体アミン1モル当たり、式(II)のエステル0.6〜10mol、好ましくは1〜3molが使用される。また、加水分解酵素の量は、ある範囲内で変えることができる。一般に、ラセミ体アミンに基づいて、固定化加水分解酵素1〜10重量%が使用されるが、これはラセミ体アミン1モル当たり加水分解酵素活性10,000〜112,000単位に対応する。具体的には、本発明による方法の第1段階は、成分がいかなる順序において添加されてもよく、そして得られる混合液が、所望の転化が達成されるまで特定の反応温度で撹拌されるような方式で実施される。反応を終了するには、一般に、生物触媒が濾過によって除去される。
【0057】
第2段階では、本発明による方法の第1段階において得られた混合液が慣用法によって精製される。一般に、所望の成分は、蒸留、分別晶出、酸−塩基溶媒抽出によるか、または他の方法によって単離される。かくして、例えば、反応混合液を分溜にかけることが可能である。また、反応混合液を濃縮し、残存する残渣を、水と容易に混和しない有機溶媒中に取り上げ、得られる溶液を水と鉱酸で処理し、そして相を分離することも可能である。有機相の濃縮によって、アシル化(R)−アミンが得られる。(S)−アミンは、水相から、先ず塩基で処理し、続いて水と容易に混和しない有機溶媒により抽出し、そして合体された有機相を乾燥し、濃縮することによって得ることができる。−適当であれば、単離された生成物は、例えば、クロマトグラフィーまたは蒸留によって、さらに精製することもできる。
【0058】
次の場合の式
【0059】
【化18】

【0060】
のアシル化(R)−アミンは新規である。
【0061】
式中、
13およびR12は、各々メチルを表し、
11は、水素を表し、
pは、数字2を表し、そして
Xは、塩素もしくはシアノを表すか、
あるいは
13、R11およびR12は、各々水素を表し、
pは、数字1もしくは2を表し、そして
Xは、塩素もしくはシアノを表すか、
あるいは
11は、フッ素、塩素、臭素、メチル、メトキシもしくはメチルチオを表し、
13およびR12は、各々水素を表し、
pは、数字0,1もしくは2を表し、そして
Xは、塩素もしくはシアノを表す。
【0062】
式(IIIa)のアシル化(R)−アミンの例は、次の式の化合物を包含する:
【0063】
【化19】

【0064】
【化20】

【0065】
【化21】

【0066】
本発明による方法の第3段階を実施するための適切な酸は、すべての慣用の強酸である。好ましく利用できるものは、硫酸もしくは塩酸のような鉱酸である。
【0067】
本発明による方法の第3段階を実施するための適切な塩基は、すべての慣用の強塩基である。好ましく利用できるものは、水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムのような無機塩基である。
【0068】
本発明による方法の第3段階を実施するための適切な希釈剤は、そのような反応に常用されるすべての有機溶媒および水である。好ましく利用できるものは、水または、例えば水とトルエンの混合液を含む、水と有機溶媒の混合液である。
【0069】
本発明による方法の第3段階を実施する場合、温度は、比較的広い範囲内で変えることができる。一般に、反応は、温度20〜180℃、好ましくは30〜150℃で実施される。
【0070】
本発明による方法の第3段階は、一般に、大気圧下で実施される。しかしながら、また、昇圧下または減圧下で実施することもできる。
【0071】
本発明による方法の第3段階を実施する場合、一般に、式(III)のアシル化(R)−アミン1モル当たり、酸もしくは塩基1〜5当量か、または過剰量が使用される。精製は、慣用法によって実施される。一般に、開裂が終了し、そして中和された後、反応混合液は、水と容易に混和しない有機溶媒によって抽出され、そして合体された有機相が乾燥され、濃縮される。適当であれば、得られる生成物は、慣用法を用いて、なお存在するであろう不純物を除去できる。
【0072】
本発明による方法によって製造できる式(I*)のアミンは、殺虫性、殺菌・殺かび性または除草性をもつ製剤または活性化合物を製造するための有用な中間体である(欧州特許出願公開第0 519 211号、同第0 453 137号、同第0 283 879号、同第0 264 217号および同第0 341 475号、参照)。かくして、例えば、式
【0073】
【化22】

【0074】
の殺菌・殺かび性をもつ活性化合物は、式
【0075】
【化23】

【0076】
の(R)−1−(4−クロロ−フェニル)エチルアミンと、式
【0077】
【化24】

【0078】
の2,2−ジクロロ−1−エチル−3−メチル−1−シクロプロパンカルボニルクロリドとを、酸結合剤の存在下および不活性有機希釈剤の存在下で反応させることによって得られる。
【実施例】
【0079】
次に示す実施例は、本発明による方法の実際を具体的に説明する。
【0080】
製造実施例
例1
【0081】
【化25】

【0082】
第1段階
室温において、メチルtert−ブチルエーテル40ml中ラセミ体1−(4−クロロ−フェニル)−エチルアミン4.67g(0.03mol)溶液を、撹拌しながら連続して、クロロ酢酸エチル5.5g(0.045mol)およびNovozym435(R)(=カンジダ・アンタルクチカからの固定化リパーゼ;7300U/g)0.4gと混合する。撹拌を室温で継続し、そして反応の進行を、ガスクロマトグラフィーでのサンプル分析によってモニターする。1時間後、51%の転化に達する。この段階で、酵素を濾別することによって反応を終了する。残りの濾液では、1−(4−クロロ−フェニル)エチルアミンの(S)−鏡像体は、ee値89.1%をもち、一方、N−[1−(4−クロロ−フェニル)−エチル]クロロアセトアミドの(R)−鏡像体が、ee値95.5%をもって得られる。
【0083】
第2段階
酵素を濾別した後、残っている濾液を減圧濃縮する。得られる残渣を、5%濃度塩酸水溶液40mlと混合し、室温で2時間撹拌する。その混合液を、塩化メチレンで3回抽出する。合体した有機相を、硫酸ナトリウム上で乾燥し、次いで、減圧濃縮する。この方式で、ガスクロマトグラフィー分析によれば、N−[1−(4−クロロ−フェニル)−エチル]クロロアセトアミドの(R)−鏡像体95.7%からなる生成物3.08gが得られる。ee値は97.5%である。
【0084】
例2
【0085】
【化26】

【0086】
第1段階
35℃において、メチルtert−ブチルエーテル45ml中ラセミ体1−(4−クロロ−フェニル)−エチルアミン6.3g(0.04mol)溶液を、撹拌しながら連続して、クロロ酢酸エチル4.9g(0.04mol)およびNovozym435(R)(=カンジダ・アンタルクチカからの固定化リパーゼ;7300U/g)0.5gと混合する。撹拌を35℃で継続し、そして反応の進行を、ガスクロマトグラフィーでのサンプル分析によってモニターする。4時間後、54%の転化に達する。この段階で、酵素を濾別することによって反応を終了する。残りの濾液では、1−(4−クロロ−フェニル)エチルアミンの(S)−鏡像体は、ee値96.2%をもち、一方、N−[1−(4−クロロ−フェニル)−エチル]クロロアセトアミドの(R)−鏡像体は、ee値95.1%をもって得られる。
【0087】
第2段階
酵素を濾別した後、残っている濾液を減圧濃縮する。得られる残渣を、5%濃度塩酸水溶液40mlと混合し、室温で0.5時間撹拌する。その混合液を、塩化メチレンで3回抽出する。合体した有機相を、硫酸ナトリウム上で乾燥し、次いで、減圧濃縮する。残渣を、15%濃度塩酸水溶液40mlと混合し、還流下で3時間加熱する。次に、反応混合液を室温まで冷却し、水酸化ナトリウム水溶液で塩基性にして、塩化メチレンで繰り返し抽出する。合体した有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧濃縮する。この方式で、ガスクロマトグラフィー分析によれば、1−(4−クロロ−フェニル)−エチルアミンの(R)−鏡像体97%からなる生成物4.23gが得られる。ee値は95.1%である。
【0088】
第3段階
上記の5%濃度塩酸水溶液で処理した後得られる水相を、水酸化ナトリウム水溶液の添加によって塩基性にし、塩化メチレンで繰り返し抽出する。合体した有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥し、次いで、減圧濃縮する。この方式で、ガスクロマトグラフィー分析によれば、1−(4−クロロ−フェニル)−エチルアミンの(S)−鏡像体93%からなる生成物2.38gが得られる。ee値は96.2%である。
【0089】
例3
【0090】
【化27】

【0091】
第1段階
45℃において、メチルtert−ブチルエーテル40ml中ラセミ体1−(4−クロロ−フェニル)−エチルアミン4.67g(0.03mol)溶液を、撹拌しながら連続して、フェニル酢酸エチル7.38g(0.045mol)およびNovozym435(R)(=カンジダ・アンタルクチカからの固定化リパーゼ;7300U/g)0.4gと混合する。混合液を45℃でさらに8.5時間撹拌し、そして反応の進行を、ガスクロマトグラフィーでのサンプル分析によってモニターする。8.5時間後、40.5%の転化に達する。この段階で、酵素を濾別することによって反応を終了する。
【0092】
第2段階
酵素を濾別した後、残っている濾液を減圧濃縮する。得られる残渣を、5%濃度塩酸水溶液40mlと混合し、室温で2時間撹拌する。その混合液を、塩化メチレンで3回抽出する。合体した有機相を、硫酸ナトリウム上で乾燥し、次いで、減圧濃縮する。残渣を、移動相として石油エーテル/酢酸エチル=2:1を用いるシリカゲルクロマトグラフィーにかける。溶出液を減圧濃縮して、ガスクロマトグラフィー分析によれば、N−[1−(4−クロロ−フェニル)−エチル]フェニルアセトアミドの(R)−鏡像体99%からなる生成物2.85gを得る。ee値は98.7%である。
【0093】
H NMRスペクトル(CDCl/TMS):
δ=1.35(d,3H,CH);3.55(s,2H,CH);5.06(m,1H,CH);7.09−7.38(m,9H,芳香族プロトン)ppm.
[α]20=+112.2°;c=1.06(CHOH中)
【0094】
例4
【0095】
【化28】

【0096】
第1段階
45℃において、tert−アミルメチルエーテル30ml中ラセミ体1−(4−クロロ−フェニル)−エチルアミン3.11g(0.02mol)溶液を、撹拌しながら連続して、酪酸エチル11.6g(0.1mol)およびNovozym435(R)(=カンジダ・アンタルクチカからの固定化リパーゼ;7300U/g)0.3gと混合する。混合液を45℃でさらに6時間撹拌し、そして反応の進行を、ガスクロマトグラフィーでのサンプル分析によってモニターする。6時間後、43%の転化に達する。この段階で、酵素を濾別することによって反応を終了する。
【0097】
第2段階
酵素を濾別した後、残っている濾液を減圧濃縮する。得られる残渣を、5%濃度塩酸水溶液40mlと混合し、室温で2時間撹拌する。その混合液を、塩化メチレンで3回抽出する。合体した有機相を、硫酸ナトリウム上で乾燥し、次いで、減圧濃縮する。残渣を、移動相として石油エーテル/酢酸エチル=2:1を用いるシリカゲルクロマトグラフィーにかける。溶出液を減圧濃縮して、ガスクロマトグラフィー分析によれば、N−[1−(4−クロロ−フェニル)−エチル]ブチルアミドの(R)−鏡像体99%からなる生成物を得る。ee値は99%である。
【0098】
H NMRスペクトル(CDCl/TMS):
δ=0.921(t,3H,CH);1.44(d,3H,CH);1.64(m,2H,CH);2.14(t,2H,CH);5.08(5重線,H,CH);5.92(d,H,NH);7.21−7.30(m,4H,芳香族プロトン)ppm.
【0099】
例5
【0100】
【化29】

【0101】
45℃において、tert−アミルメチルエーテル30ml中ラセミ体1−(4−クロロ−フェニル)−エチルアミン3.11g(0.02mol)溶液を、撹拌しながら連続して、酢酸ブチル11.6g(0.1mol)およびNovozym435(R)(=カンジダ・アンタルクチカからの固定化リパーゼ;7300U/g)0.3gと混合する。撹拌液を45℃で継続し、そして反応の進行を、ガスクロマトグラフィーでのサンプル分析によってモニターする。4.5時間後、40.9%の転化に達する。この段階で、酵素を濾別することによって反応を終了する。残りの濾液では、N−[1−(4−クロロ−フェニル)−エチル]アセトアミドの(R)−鏡像体は、ee値99%をもっている。
【0102】
例6
【0103】
【化30】

【0104】
第1段階
室温において、ジメトキシエタン400ml中ラセミ体1−(4−クロロ−フェニル)−エチルアミン126.2g(0.8mol)溶液を、撹拌しながら連続して、クロロ酢酸エチル98g(0.8mol)およびNovozym435(R)(=カンジダ・アンタルクチカからの固定化リパーゼ;7300U/g)6.2gと混合する。混合液を室温で3時間15分撹拌し、次いで、反応を、酵素を濾別することによって止め、ジメトキシエタン25mlで洗浄する。
【0105】
第2段階
酵素を濾別した後、残っている濾液を、氷水250mlおよび濃塩酸溶液68.5ml(0.8mol)と混合し、次いで、減圧濃縮(40−100mbar)する。混合液を5℃まで冷却し、沈殿した固形物を濾別し、そして氷水150mlで洗浄する。続いて無色固形物をクレーにおいて乾燥する。この方式で、ガスクロマトグラフィー分析によれば、N−[1−(4−クロロ−フェニル)−エチル]クロロアセトアミドの(R)−鏡像体99.85%からなる生成物85.5gが得られる。
ee値は99.1%である。計算収量は、理論量の92.1%である。
【0106】
H NMRスペクトル(CDCl/TMS):
δ=1.52(d,3H,CH);4.05(d,2H,CH);5.10(m,1H,CH);7.24−7.37(m,4H,芳香族プロトン)ppm.
【0107】
残っている水相を、各回、塩化メチレン100mlで2回抽出し、次いで、濃水酸化ナトリウム水溶液100mlと冷却しつつ混合し、そして塩化メチレンで再抽出する。合体した有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥し、次いで、減圧濃縮する。この方式で、ガスクロマトグラフィー分析によれば、1−(4−クロロ−フェニル)−エチルアミンの(S)−鏡像体93.2%からなる生成物58.7gが得られる。ee値は97.2%である。計算収量は、理論量の88.1%である。
【0108】
第3段階
水300ml中N−[1−(4−クロロ−フェニル)−エチル]クロロアセトアミドの(R)−鏡像体85.3gの懸濁液を、濃塩酸水溶液94.5mlと混合し、還流下で18時間加熱する。次に、その混合液を、水酸化ナトリウム水溶液の添加によってアルカリ性にし、塩化メチレンで繰り返し抽出する。合体した有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥し、次いで、減圧濃縮する。この方式で、ガスクロマトグラフィー分析によれば、1−(4−クロロ−フェニル)−エチルアミンの(R)−鏡像体99.7%からなる生成物54.35gが得られる。ee値は97.7%である。計算収量は、理論量の87.4%である。
【0109】
生物触媒は、6種の他の同じ実験で使用された。10〜15%の活性損失が観察された。
【0110】
例7
【0111】
【化31】

【0112】
室温において、2−シアノ酢酸エチル30ml中ラセミ体1−(4−クロロ−フェニル)−エチルアミン6.5g(0.04mol)溶液を、Novozym435(R)(=カンジダ・アンタルクチカからの固定化リパーゼ;7300U/g)0.31gと混合する。混合液を40℃で3時間撹拌し、次いで、反応を、酵素を吸引濾別することによって止め、そして塩化メチレン150mlで洗浄する。
【0113】
酵素を濾別した後の残濾液を、希塩酸水溶液50mlと混合する。有機相を分別し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧濃縮する。この方式で、ガスクロマトグラフィー分析によれば、N−[1−(4−クロロ−フェニル)−エチル]−2−シアノアセトアミドの(R)−鏡像体98.5%からなる生成物3.76gが得られる。ee値は95.7%である。計算収量は、理論量の83.4%である。
【0114】
H NMRスペクトル(CDCl/TMS):
δ=1.52(d,3H,CH);3.37(s,2H,CH);5.07(m,1H,CH);6.3(s,1H,NH);7.23−7.35(m,4H,芳香族プロトン)ppm
【0115】
例8
【0116】
【化32】

【0117】
ラセミ体1−(4−クロロ−フェニル)−エチルアミン6.2g(0.04mol)、Novozym435(R)(=カンジダ・アンタルクチカからの固定化リパーゼ;7300U/g)0.3gおよびジメトキシエタン65mlの混合液を、30℃で5時間撹拌する。次いで、反応を、酵素を吸引濾別することによって止める。
【0118】
酵素を吸引濾別した後、残っている濾液を、10%濃度塩酸水溶液50mlと混合し、次いで、減圧濃縮する。得られる混合液を、各回塩化メチレン50mlで3回抽出し、次いで、濃水酸化ナトリウム水溶液でアルカリ性にする。水相を塩化メチレンで繰り返し再抽出し、そして合体した有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧濃縮する。これにより、ガスクロマトグラフィー分析によれば、1−(4−クロロ−フェニル)−エチルアミンの(S)−鏡像体95%からなる生成物2.9gを得る。ee値は72%である。収量:理論量の44.8%。
【0119】
水酸化ナトリウム溶液による処理前に得られた塩化メチレン溶液(第1の抽出)を減圧濃縮する。これにより、実質的にN−[1−(4−クロロ−フェニル)−エチル]メチルマロンアミドの(R)−鏡像体からなる生成物を得る。
【0120】
H NMRスペクトル(CDCl/TMS):
δ=1.48(d,3H,CH);3.35(s,2H,CH);3.75(s,3H,CH);5.1(m,1H,CH);7.26−7.29(m,4H,芳香族プロトン)ppm.
【0121】
N−[1−(4−クロロ−フェニル)−エチル]メチルマロンアミドの(R)−鏡像体から最初に得られた生成物を、半濃塩酸水溶液20mlと混合し、還流下で9時間加熱する。次に、その混合液を、水酸化ナトリウム水溶液の添加によってアルカリ性にし、塩化メチレンで繰り返し抽出する。合体した有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥し、次いで、減圧濃縮する。この方式で、ガスクロマトグラフィー分析によれば、1−(4−クロロ−フェニル)−エチルアミンの(R)−鏡像体95%からなる生成物2.8gが得られる。ee値は93%である。計算値は、理論量の42.8%である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】

[式中、R13およびR12は、各々メチルを表し、
11は、水素を表し、
pは、数字2を表し、そして
Xは、塩素もしくはシアノを表すか、
あるいは
13、R11およびR12は、各々水素を表し、
pは、数字1もしくは2を表し、そして
Xは、塩素もしくはシアノを表すか、
あるいは
11は、フッ素、塩素、臭素、メチル、メトキシもしくはメチルチオを表し、
13およびR12は、各々水素を表し、
pは、数字0、1もしくは2を表し、そして
Xは、塩素もしくはシアノを表す]
のアシル化(R)−アミン。

【公開番号】特開2007−186517(P2007−186517A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−29553(P2007−29553)
【出願日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【分割の表示】特願平10−500143の分割
【原出願日】平成9年5月20日(1997.5.20)
【出願人】(591063187)バイエル アクチェンゲゼルシャフト (67)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−51368 Leverkusen,Germany
【Fターム(参考)】