説明

光学記録再生ヘツド

【発明の詳細な説明】
産業上の利用分野 本発明は、記録又は再生可能な光ディスクに高速で所定のアドレスにアクセスさせてデータや画像等を記録又は再生する装置に最適な光学記録再生ヘッドに関するものである。
従来例の構成とその問題点 第1図には本発明者等が先に提案した特開昭56−112472号に記載の光学記録再生ヘッドの光学系を示す。この光学系は、情報担体12上の情報信号13が構成する情報トラックを追従させるトラッキングサーボ方式の記録再生ヘッドにおいてダイナミックレンジを大きくすることを目的として提案されたものである。
この方法では、いわゆるファーフィールドトラッキング法(又はプッシュプルトラッキング法)と呼ばれる方法を利用し、かつこのトラッキング信号を検出するフォトデテクタ8を対物レンズ7、4分の1波長板6及びビームスプリッター5と共に二次元又は三次元的に平行移動可能な構造とした可動光学系と、光源1やカップリングレンズ2、ビーム整形光学系3、ビームスプリッター4、ミラー9、単レンズ10、フォーカス用デテクタ11から構成される固定光学系とからなることを特徴としている。
上記構成により、トラッキングサーボのダイナミックレンジを、固定光学系上に設けたデテクタによりファーフィールド信号を受けて、トラッキングサーボを行なう方式に比べ、実質的に3倍以上のトラッキング制御範囲を得ることができる。しかしこの方式の記録ヘッドは、ランダムにトラックアクセスを行なう場合などには、可動光学系及び固定光学系を含む記録再生ヘッド全体を移送させる必要があり重量の点では不利である。実際に試作されたこの方式による記録再生ヘッドの重量は100g弱であるが、将来の光ディスクメモリ等のランダムアクセスタイムの短縮を考えると少しでも軽量化を計ることが望ましい。また上記方式では光源やサーボ信号と情報信号検出の為のフォトデテクタへ供給する電源及び信号ラインの本数も多くなり、この線材によるバネ効果がアクセスする為のリニアモータ等へ及ぼす悪影響も避けがたい。
発明の目的 本発明は、上述の従来例に見られる高速アクセスさせる場合に不利となる重量や配線の方式を避け、光ディスクメモリの高速アクセスに最適でかつ広いサーボダイナミックレンジの確保できる光学記録再生ヘッドを提供するものである。
発明の構成 本発明は、情報担体である光ディスクから反射する略平行な光ビームの光量の一部又はほぼ全部を反射させ、光ビームを空間的に少なくとも二分割するビームスプリッターからなる移動可能な光学系とを備え、前記ビームスプリッターを出射する複数の光ビームを前記固定光学系に設けたレンズの焦点近傍にある前記複数の光ビームに対応させた複数の第二の光検出器に入射させる構成とすることによって、可動光学系の軽量化を計り可動部に搭載する光学部品をできる限り小型とし、部品点数を少くする方式とした。また、配線による可動部分への影響を少くする為に、サーボ信号及び情報信号を検出するデテクタは完全な固定光学系の中に組み込む方式とした。
実施例の説明 以下第2図をもちいて本発明の一実施例の構成を説明する。
固定光学系30上の半導体レーザ等の光源14から出射された光ビームは、カップリングレンズ15、光ビームの波面整形を行なうアナモルフィック光学系16を経て偏光ビームスプリッター17で反射され、可動光学系29へ向う。ここで光ビームはほゞ平行ビームとなっており、可動光学系9の光軸方向への移動に拘らずほゞ一定の光ビームが可動光学系29に入射する。可動光学系29上のミラー18で反射された光ビームは、特殊な偏光ビームスプリッター19、λ/4板20、対物レンズ21を透過してディスク27上の信号エレメント28上へ集光される。信号エレメント28は、光ビームの位相又は振幅又はその両方共に変化させるようなものである。この信号エレメントで変調を受けた光ビームは、反射されてその一部の光ビームを偏光ビームスプリッター19により反射される。この偏光ビームスプリッター19は、例えば第3図及び第4図に示すように光ビームの半分を空間的に分離可能な構造となっており、かつP偏光の光ビームはほゞ全光量が透過し、S偏光の光ビームは高反射低透過である。実際的には、P偏光の透過率が98%以上のもの、S偏光が70±5%反射、30±5%透過程度のものが利用しやすい。空間的に分離された光ビームは凸レンズ22により収束され、その焦点位置にある二分割光検出器23に入射する。
ここで、可動光学系29が光軸方向に移動したとしても光検出器23上の光ビームの位置は実質的に不動となる。ここで実質的にという意味は、偏光ビームスプリッター19の傾きが生じたり、凸レンズ22の収差により光ビームの集光位置が変化するからであるが、この変化量を光ビームの光検出器23上の分離距離の半分よりも小さくすることが可能であり、従って光検出器23により偏光ビームスプリッター19により空間的に分離されたファーフィールドの光ビームを個別に検出することが可能である。ビームスプリッター19は空間的に光ビームを分割した互に一定の角度となる方向へ分割させる。この時、光検出器23はレンズ22の略焦点位置にあるために、光検出器23上に集光された光ビームの中心位置は不動であり、可動光学系の移動にかかわらず光ビームは一定の形状となっている。このレンズ22を入れることで光検出器23を小さくできる利点があるが、用途により省略することも可能である。ビームスプリッター19は空間的に光ビームを分割してトラッキング信号を検出するためのものであるから本発明の実施例以外にも様々な形態が考えられる。以上の原理を用いてファーフィールドのトラッキング信号を検出することができる。なおファーフィールドトラッキング信号の意味は、前述の特開昭56−112472号等で明らかでありここでは言及しない。
一方、偏光ビームスプリッター19を透過する光ビームはミラー18で反射され、偏光ビームスプリッター17を透過して光ビームの半分のみをエッジミラー24で反射し、レンズ25の焦点位置に位置する二分割光検出器26へ入射する。このエッジミラーと二分割光検出器を用いてナイフエッジ法によるフォーカシング信号を得ることができる。
発明の効果 以上の説明から明らかな様に、本発明を用いることにより、高速アクセスを行なう装置に最適の光学記録再生ヘッドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明者等が先に提案した光学記録再生ヘッドの構成図、第2図は本発明の一実施例における光学系の配置を示す構成図、第3図及び4図は偏光ビームスプリッターの一例を示す斜視図である。
14……光源、17,19……偏光ビームスプリッタ、20……λ/4板、23……二分割光検出器、26……光検出器、27……ディスク、29……可動光学系、30……固定光学系。

【特許請求の範囲】
【請求項1】少なくとも1つまたは複数個の放射光源と、この放射光源を出射する光ビームを略平行光とする光学系及び情報担体上で反射されて帰還する光ビームを受ける第一の光検出部からなる固定光学系と、前記固定光学系から出射する光ビームを受け情報担体上へ光ビームを収束させる対物レンズ系及び情報担体から反射する略平行な光ビームの光量の一部又はほぼ全部を反射させ、トラッキング信号を分離する方向に空間的に少なくとも二分割するビームスプリッターからなる移動可能な光学系とを備え、前記ビームスプリッターを出射する複数の光ビームを前記固定光学系に設けたレンズの焦点近傍にある前記複数の光ビームに対応させた複数の第二の光検出器に入射させ、前記第二の光検出器によってトラッキング信号を得ることを特徴とする光学記録再生ヘッド。
【請求項2】移動可能な光学系の中にあるビームスプリッターとして偏光ビームスプリッターを用い、上記偏光ビームスプリッターがP偏波を全透過し、S偏波を60〜90%反射し10〜40%透過する特性を有し、かつ上記偏光ビームスプリッターを出射する光ビームの半分を残りの半分と空間的に分離可能とし対応する2つの光検出器に入射させた特許請求の範囲第1項記載の光学記録再生ヘッド。

【第1図】
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【第2図】
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【第3図】
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【第4図】
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【特許番号】第2523469号
【登録日】平成8年(1996)5月31日
【発行日】平成8年(1996)8月7日
【国際特許分類】
【出願番号】特願昭59−57822
【出願日】昭和59年(1984)3月26日
【公開番号】特開昭60−202552
【公開日】昭和60年(1985)10月14日
【出願人】(999999999)松下電器産業株式会社
【参考文献】
【文献】特開昭58−14330(JP,A)
【文献】特開昭58−6534(JP,A)