説明

光学部品および通信方法

【課題】良好に通信を行うことができる光学部品および通信方法を提供する。
【解決手段】別体のカメラ10に着脱可能なレンズ鏡筒100であって、レンズ鏡筒100は、カメラ10の第1回路部C1と通信可能な第2回路部C2を有し、第2回路部C2は、カメラ10との通信の際に第1回路部C1の通信接点19と電気的に非接触である通信接点106を有し、通信接点106は、通信接点19と交流結合によって通信可能であること、を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学部品および通信方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レンズ鏡筒が着脱可能に装着され、レンズ鏡筒との通信が可能なカメラがある(例えば特許文献1参照)。このようなカメラでは、電子回路に、レンズ鏡筒側に設けられた導電片と物理的に接触可能な複数の電気接点を備える。そして、このカメラは、レンズ鏡筒が装着されると、複数の電気接点がレンズ装置側に設けられた導電片に接触して導通し、通信可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−109693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、カメラとレンズ鏡筒とを物理的に接触させることにより通信を行う場合、接点の腐食による酸化又は接点の磨耗を起因とした接触不良が発生し、通信不能になる可能性がある。
【0005】
本発明は、良好に通信を行うことができる光学部品および通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下のような解決手段により前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0007】
請求項1に記載の発明は、別体の光学機器(10)に着脱可能な光学部品(100)であって、前記光学部品(100)は、前記光学機器(10)の第1回路部(C1)と通信可能な第2回路部(C2)を有し、前記第2回路部(C2)は、前記光学機器(10)との通信の際に前記第1回路部(C1)の第1接続部(19)と電気的に非接触である第2接続部(106)を有し、前記第2接続部(106)は、前記第1接続部(19)と交流結合によって通信可能であること、を特徴とする光学部品(100)である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の光学部品(100)であって、前記第1回路部(C1)は、前記第1接続部(19)と異なる第3接続部(17,18)を有し、前記第2回路部(C2)は、前記第2接続部(106)と異なる第4接続部(104,105)を有し、前記第3接続部(17,18)と前記第4接続部(104,105)とは、互いに接触することにより、電気的に導通すること、を特徴とする光学部品(100)である。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の光学部品(100)であって、前記光学部品(100)はカメラアクセサリであり、前記光学機器(10)はカメラボディであること、を特徴とする光学部品(100)である。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の光学部品(100)であって、前記第1接続部(19)と前記第2接続部(106)とのそれぞれは、フレキシブルプリント回路基板(BP1,BP2)に付着される導箔パターン(P11,P12,P13,P21,P22,P23)により構成され、前記導箔パターン同士を所定の間隔で対向することにより交流結合すること、を特徴とする光学部品(100)である。
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の光学部品(100)であって、前記第1回路部(C1)と前記第1接続部(19)との間、及び前記第2回路部(C2)と前記第2接続部(106)との間の、接続部から回路部へと電流が流れる少なくとも一方に、微分回路を形成するプルダウン抵抗(R)と、前記微分回路の出力を整形するコンパレータ(CP)と、を備えること、を特徴とする光学部品(100)である。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の光学部品(100)であって、前記プルダウン抵抗(R)は、前記第1接続部(19)及び前記第2接続部(106)により伝達される通信信号の周波数に対応して抵抗値を変更すること、を特徴とする光学部品(100)である。
請求項7に記載の発明は、第2回路部(C2)を有する光学部品(100)と、前記光学部品(100)に着脱可能であり第1回路部(C1)を有する光学機器(10)との通信方法であって、第1回路部(C1)に接続された第1接続部(19)と、第2回路部(C2)に接続された第2接続部(106)と、を交流結合によって通信すること、を特徴とする通信方法である。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の通信方法であって、前記第1回路部(C1)は、前記第1接続部(19)と異なる第3接続部(17,18)を有し、前記第2回路部(C2)は、前記第2接続部(106)と異なる第4接続部(104,105)を有し、前記第3接続部(17,18)と前記第4接続部(104,105)とは、互いに接触することにより、電気的に導通することを特徴とする通信方法である。
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の通信方法であって、前記第1接続部(19)と前記第2接続部(106)との間では、情報伝達の通信を行い、前記第3接続部(17,18)と前記第4接続部(104,105)との間では、電力供給を行なうことを特徴とする通信方法である。
請求項10に記載の発明は、請求項7から9のいずれか1項に記載の通信方法であって、前記第1接続部(19)と前記第2接続部(106)とのそれぞれは、フレキシブルプリント回路基板(BP1,BP2)に付着される導箔パターン(P11,P12,P13,P21,P22,P23)により構成され、前記導箔パターン同士を所定の間隔で対向することにより交流結合すること、を特徴とする通信方法である。
請求項11に記載の発明は、請求項7から10のいずれか1項に記載の通信方法であって、前記第1回路部(C1)と前記第1接続部(19)との間、及び前記第2回路部(C2)と前記第2接続部(106)との間の、接続部から回路部へと電流が流れる少なくとも一方に、微分回路を形成するプルダウン抵抗(R)と、前記微分回路の出力を整形するコンパレータ(CP)と、を備えること、を特徴とする通信方法である。
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の通信方法であって、前記プルダウン抵抗(R)は、前記第1接続部(19)及び前記第2接続部(106)により伝達される通信信号の周波数に対応して抵抗値を変更すること、を特徴とする通信方法である。
なお、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【発明の効果】
【0008】
良好に通信を行うことができる光学部品および通信方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態のカメラシステムの概略図である。
【図2】本実施形態のカメラシステムのブロック図である。
【図3】本実施形態の通信接点の構成を示す模式図である。
【図4】本実施形態のカメラ筐体にレンズ鏡筒を装着した場合におけるカメラ側の通信接点とレンズ側の通信接点との関係を示す斜視図である。
【図5】本実施形態のカメラ筐体にレンズ鏡筒を装着した場合におけるカメラ側の通信接点とレンズ側の通信接点との関係を示す側面図である。
【図6】本実施形態のカメラ側の導箔パターンとレンズ側の導箔パターンとを対向させた場合の状態を説明する模式図である。
【図7】本実施形態のカメラ側のクロックライン接点と、レンズ側のクロックライン接点とが交流結合した場合の等価回路を示す図である。
【図8】本実施形態のカメラCPUからレンズCPUに送信されるクロック信号の波形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明にかかるカメラシステム1の実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態のカメラシステム1の概略図であり、図2は、本実施形態のカメラシステム1のブロック図である。
【0011】
カメラシステム1は、図1および図2に示すようにレンズ鏡筒100をカメラ10に装着可能なシステムである。
カメラ10は、カメラ筐体11を備え、そのカメラ筐体11の内部に回路部C1を備えている。回路部C1は、リジッド基板に形成されており、カメラCPU12、電源部13、電源回路14、給電回路15、給電スイッチ16、電気接点17、回路電気接点18、通信接点19および操作スイッチ20を備えている。
カメラ筐体11は、レンズ鏡筒100を着脱自在に装着する装着部11−1を有し、後述の電源部13の陰極部M1に接続されることによりグランドにされている。
装着部11−1は、レンズ鏡筒100との装着面が導電性のある金属部材で形成されており、後述の電源部13の陰極部M1とカメラ筐体11を介して導通している。
【0012】
カメラCPU12は、カメラ10に供給される電源や、レンズ鏡筒100と通信する操作関連の情報などを一括して管理し、カメラ10の各部を制御するマイクロコンピュータである。
電源部13は、陽極部P1および陰極部M1を有し、カメラ10の各部に電力を供給する交換又は充電可能な電池であり、電源部13の陽極部P1には、電源回路14、給電回路15および給電スイッチ16が接続されている。また、電源部13の陰極部M1には、カメラ筐体11、カメラCPU12、電源回路14および後述の電気接点17の陰極接点17bが接続されている。
電源回路14は、電源部13から供給される電力の電圧を安定させて、安定化した電力をカメラCPU12や、回路電気接点18に供給する電源安定化回路である。また、電源回路14は、カメラCPU12から送信される信号CTL1に基づいて、電源回路14から電力を出力したり、遮断したりする。
【0013】
給電回路15は、シリコンダイオード15aを介して供給される電源部13の電力と、シリコンダイオード15bを介して供給される電源回路14の電力とを入力し、一方の電力を選択してカメラCPU12に供給する回路である。
給電スイッチ16は、電気接点17の陽極接点17aに電源部13の電力を供給するか否かを切り替えるON/OFFスイッチである。
【0014】
電気接点17は、カメラ筐体11の装着部11−1に設けられ、電源部13の電力を、後述のレンズ鏡筒100に設けられた電気接点104に伝達させる接触式の接点である。電気接点17は、電源部13の陽極部P1に接続された陽極接点17aと、陰極部M1に接続された陰極接点17bとを有している。電気接点17は、装着部11−1にレンズ鏡筒100が装着されると、電気接点104に物理的に接触して導通する。
回路電気接点18は、カメラ筐体11の装着部11−1に設けられ、電源回路14の電力を、後述のレンズ鏡筒100に設けられた回路電気接点105に伝達させる接触式の接点である。回路電気接点18は、装着部11−1にレンズ鏡筒100が装着されると、回路電気接点105に物理的に接触して導通する。
【0015】
通信接点19は、カメラ筐体11の装着部11−1にカメラCPU12と接続された状態で設けられ、カメラCPU12と後述のレンズ鏡筒100のレンズCPU102との間で、レンズ鏡筒100を動作させるための駆動信号を通信する非接触式の接点である。通信接点19は、データライン接点19aと、ハンドシェイクライン接点19bと、クロックライン接点19cを備えている。データライン接点19a、ハンドシェイクライン接点19b、およびクロックライン接点19cは、装着部11−1にレンズ鏡筒100が装着された場合に、それぞれ、データライン接点106a、ハンドシェイクライン接点106b、およびクロックライン接点106cと交流結合する。これにより、カメラ10とレンズ鏡筒100とが通信可能となる。
【0016】
データライン接点19aは、カメラCPU12とレンズCPU102との相互間でデータの送受信を行うためのデータラインを中継する。
ハンドシェイクライン接点19bは、カメラCPU12とレンズCPU102とが所定の制御信号によって通信するためのハンドシェイクラインを中継する。
クロックライン接点19cは、カメラCPU12とレンズCPU102とのクロック同期をとるためのクロックラインを中継する。
操作スイッチ20は、カメラCPU12に接続され、被写体像の撮影を実行するレリーズスイッチ20aと、カメラ10の設定などを実施するボタン20bとで構成される。
【0017】
レンズ鏡筒100は、鏡筒筐体101を備え、その鏡筒筐体101の内部に回路部C2を備えている。回路部C2は、リジッド基板に形成されており、レンズCPU102、電源回路103、電気接点104、回路電気接点105、通信接点106、操作スイッチ107、AF制御部110、ブレ補正部120および絞り機構部130を備えている。
鏡筒筐体101は、カメラ10と着脱自在に装着される装着部101−1を有し、装着部101−1がカメラ10の装着部11−1と接触することにより、レンズ鏡筒100およびカメラ10のグランドを共通にしている。また、鏡筒筐体101は、後述のレンズCPU102および操作スイッチ107の陰極と接続されている。
【0018】
レンズCPU102は、レンズ鏡筒100の各部を統括制御するマイクロコンピュータであり、後述の通信接点106を介して、カメラCPU12から駆動信号などを受信したり、レンズ鏡筒100の駆動情報などをカメラCPU12に送信したりする。また、レンズCPU102は、カメラCPU12から受信した駆動信号に基づいて、後述のAF制御部110や、ブレ補正部120、絞り機構部130を駆動させる。
【0019】
電源回路103は、レンズCPU102から送信される信号CTL2に基づいて、電気接点104を介して電源部13から供給される電力の電圧を安定させて、電力をレンズ鏡筒100のAF制御部110およびブレ補正部120に供給する電源安定化回路である。
【0020】
電気接点104は、カメラ10の電源部13の電力をレンズ鏡筒100に供給する接触式の接点であり、鏡筒筐体101の装着部101−1上の、カメラ10の電気接点17に対応する位置に設けられている。
電気接点104は、カメラ10の陽極接点17aと接触する陽極接点104aと、カメラ10の陰極接点17bと接触する陰極接点104bとを備えている。ここで、陽極接点104aは、電源回路103や、後述のAF制御部110のAFモータ112、後述のブレ補正部120のVRモータ122および絞り機構部130に接続され、陰極接点104bは、電源回路103、AF制御部110、ブレ補正部120および絞り機構部130に接続される。
電気接点104は、カメラ10にレンズ鏡筒100が装着された場合に、カメラ10の電気接点17と接触して電気的に導通し、電気接点104に接続された電源回路103や、後述のAF制御部110のAFモータ112、後述のブレ補正部120のVRモータ122および絞り機構部130に電力を供給する。
【0021】
回路電気接点105は、カメラ10の電源回路14の電力をレンズCPU102に供給する接触式の接点であり、鏡筒筐体101の装着部101−1上の、カメラ10の回路電気接点18に対応する位置に設けられている。
【0022】
通信接点106は、カメラCPU12とレンズCPU102との間で情報を通信する非接触式の接点であり、鏡筒筐体101の装着部101−1上の、カメラ10の通信接点19に対応する位置に設けられている。通信接点106は、データライン接点106aと、ハンドシェイクライン接点106bと、クロックライン接点106cを備えている。データライン接点106a、ハンドシェイクライン接点106b、およびクロックライン接点106cは、カメラ10にレンズ鏡筒100が装着された場合に、それぞれ、データライン接点19a、ハンドシェイクライン接点19b、およびクロックライン接点19cと交流結合し、これによってカメラ10とレンズ鏡筒100とが通信可能となる。
【0023】
データライン接点106aは、カメラCPU12とレンズCPU102との相互間でデータの送受信を行うデータラインを中継する。
ハンドシェイクライン接点106bは、カメラCPU12とレンズCPU102とが所定の制御信号によって通信するためのハンドシェイクラインを中継する。
クロックライン接点106cは、カメラCPU12とレンズCPU102とのクロック同期をとるためのクロックラインを中継する。
操作スイッチ107は、鏡筒筐体101とレンズCPU102とに接続され、ブレ補正部120のON/OFFスイッチなどで構成される。
【0024】
AF制御部110は、AF制御回路111およびAFモータ112を備えたオートフォーカス(AF)機構であり、レリーズスイッチ20aの操作に基づいて、不図示のAFレンズを駆動させて、カメラシステム1による被写体の焦点を自動的に調整する。
ブレ補正部120は、レンズ鏡筒100を装着したカメラ10で被写体を撮影する撮影者の手振れ振動が、レンズ鏡筒100の不図示のブレ補正レンズに伝わるのを低減させる機構であり、ブレ補正回路121およびVR(Vibration Reduction)モータ122を備えている。
【0025】
絞り機構部130は、不図示のレンズから入射する被写体光の量を制限する機構であり、絞り駆動回路131、絞りモータ132および電圧モニタ回路133を備えている。
電圧モニタ回路133は、絞り駆動回路131に供給される電源部13の電圧を検出する回路であり、検出した電圧値をレンズCPU102に送信する回路である。
【0026】
次に、通信接点19と通信接点106との接続について詳細に説明する。図3は、通信接点19と、通信接点106との構成を示す模式図である。
【0027】
図3は、本実施形態の通信接点19および通信接点106の模式図である。
図3に示すように、カメラ10の回路部C1は、一部がフレキシブルプリント回路基板BP1により構成されている。また、レンズ鏡筒100の回路部C2は、一部がフレキシブルプリント回路基板BP2により構成されている。
【0028】
フレキシブルプリント回路基板BP1には、データライン接点19a、ハンドシェイクライン接点19bおよびクロックライン接点19cそれぞれに対応する導箔パターンP11、P12およびP13が付着されている。フレキシブルプリント回路基板BP2には、データライン接点106a、ハンドシェイクライン接点106bおよびクロックライン接点106cそれぞれに対応する導箔パターンP21、P22およびP23が付着されている。なお、本実施形態では、導箔の素材は銅である。
【0029】
さらに、フレキシブルプリント回路基板BP1、BP2の上部は、不図示のカバーレイフィルム等の絶縁体により覆われている。これにより、導箔パターンP11、P12およびP13と、導箔パターンP21、P22およびP23とは、互いに接触して電気的に導通しないようにされている。
【0030】
また、回路部C1とフレキシブルプリント回路基板BP1との間、および回路部C2とフレキシブルプリント回路基板BP2との間の、回路部からフレキシブルプリント回路基板BPへと電流が流れる少なくとも一方に、微分回路を形成するプルダウン抵抗Rと、当該微分回路の出力を整形するコンパレータCPと、が備えられている(図7参照)。このプルダウン抵抗Rの一端は、装着部11−1に接続され、グランドにされている。
なお、図7では、プルダウン抵抗RおよびコンパレータCPをレンズ鏡筒100側に設けることとしたが、プルダウン抵抗RおよびコンパレータCPをカメラ10側にも設けて、通信接点19、106において、双方向通信を可能としてもよい。
【0031】
フレキシブルプリント回路基板BP1,BP2は、それぞれ、四方が導板(図示省略)等により囲まれてシールドされている。これらの導板は、装着部11−1に接続されることによりグランドにされている。
【0032】
図4は、本実施形態のカメラ筐体11にレンズ鏡筒100を装着した場合における通信接点19と通信接点106との関係を示す図である。図5は、本実施形態のカメラ筐体11にレンズ鏡筒100を装着した場合における通信接点19と通信接点106との側面図である。
【0033】
図4および図5に示されるように、カメラ筐体11にレンズ鏡筒100を取り付けた場合において、導箔パターンP11、P12およびP13は、それぞれ、導箔パターンP21、P22およびP23と、所定の間隔dで対向する。これにより、図6に示すように、導箔パターンP11と導箔パターンP21との間、導箔パターンP12と導箔パターンP22との間、導箔パターンP13と導箔パターンP23との間には、電気力線が生じ、図6に示すようにコンデンサで結合されるのと等価となる。
【0034】
図7は、本実施形態の通信接点19のクロックライン接点19cと、通信接点106のクロックライン接点106cとが交流結合した場合の等価回路を示す図である。なお、図7では、クロックライン接点19cとクロックライン接点106cとが交流結合した場合の等価回路を示しているが、データライン接点19aとデータライン接点106aとが交流結合した場合の等価回路、およびハンドシェイクライン接点19bとハンドシェイクライン接点106bとが交流結合した場合の等価回路も、図7に示される等価回路と同様である。
【0035】
図7に示されるように、等価回路では、コンデンサCの両端にインピーダンスZが接続されている。コンデンサCの容量は、導箔パターンP13と導箔パターンP23との対向領域、所定の間隔d、この所定の間隔dに存在する絶縁物(空気およびカバーレイフィルム等)の誘電率により決定される。一方のインピーダンスZは、信号源であるカメラCPU12に接続されており、他方のインピーダンスは、プルダウン抵抗RおよびコンパレータCPに接続されている。また、コンパレータCPは、レンズCPU102に接続されている。
【0036】
カメラCPU12からレンズCPU102に、図8(a)に示されるクロック信号(方形波)を送信する場合、等価回路内の信号は以下のように変化する。すなわち、微分回路から出力される信号は、図8(b)に示されるように、クロック信号を微分して得られた波形となる。そして、この波形は、コンパレータCPにより整形されることによって、図8(a)に示されるクロック信号に復元され、レンズCPU102に供給される。
【0037】
なお、本実施形態では、プルダウン抵抗Rを1つの抵抗から構成されることとしたが、プルダウン抵抗Rを複数の抵抗により構成させるとともに、これら複数の抵抗それぞれに対して、レンズCPU102に接続されるスイッチを並列に設けるようにしてもよい。そして、レンズCPU102により、通信接点19および通信接点106に伝達される通信信号の周波数に応じて、スイッチをON/OFFさせて、プルダウン抵抗の抵抗値を変更するようにしてもよい。例えば、レンズCPU102は、通信信号の周波数が低い場合、プルダウン抵抗が小さくなるようにスイッチを調整し、通信信号の周波数が高い場合、プルダウン抵抗が大きくなるようにスイッチを調整する。これによって、複数の周波数それぞれの通信信号に対応させて、コンパレータCPにより通信信号を復元させることができる。
【0038】
以上、本実施形態によると、以下の効果を有する。
通信接点19,106を、交流結合させて駆動信号を通信可能としたことにより、接点の腐食による酸化又は接点の磨耗を起因とした接触不良の発生を防ぎ、カメラ10とレンズ鏡筒100との間で良好に通信を行うことができる。
【0039】
電源を供給するための電気接点17,104および回路電気接点18,105について、互いに接触させて電気的に導通させ、通信接点19,106のみ交流結合とした。これにより、安定した電力供給を行うことができるとともに、カメラ10とレンズ鏡筒100との接点を減少させて、信頼性を向上させることができる。
【0040】
通信接点19,106を、フレキシブルプリント回路基板に付着される導箔パターンにより構成し、導箔パターン同士を所定の間隔で対向することにより交流結合することとした。これにより、トランスを用いて非接触通信を行う場合に比べて省スペース化を図ることができ、製品のデザイン上の制約を受けにくくすることができる。
【0041】
コンデンサCとプルダウン抵抗Rとから構成される微分回路の出力をコンパレータCPにより整形することとした。これにより、微分回路から出力された歪みのある通信信号を良好に復元することができる。
【0042】
プルダウン抵抗の抵抗値を、通信接点19,106により伝達される通信信号の周波数に対応して変更することとした。これにより、複数種類の周波数(複数の通信速度)による通信が可能になる。
【0043】
フレキシブルプリント回路基板BP1,BP2の四方を、導板等によりシールドされていることとした。これにより、フレキシブルプリント回路基板BP1,BP2が対向することにより形成される交流結合が他の機器に対して影響することを防止できる。
【0044】
(変形形態)
以上、説明した実施形態に限定されることなく、以下に示すような種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の範囲内である。
本実施形態では、導箔の素材を銅とし、フレキシブルプリント回路基板の上部をカバーレイフィルム等の絶縁体により覆うこととした。しかし、これに限らず、導箔の素材を金として、カバーレイフィルム等の絶縁体により覆わないようにしてもよい。
なお、実施形態および変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0045】
1:カメラシステム、10:カメラ、11:カメラ筐体、11−1,101−1:装着部、12:カメラCPU、13:電源部、14,103:電源回路、15:給電回路、16:給電スイッチ、17,104:電気接点、18,105:回路電気接点、19,106:通信接点、20,107:操作スイッチ、100:レンズ鏡筒、101:鏡筒筐体、102:レンズCPU、110:AF制御部、120:ブレ補正部、130:絞り機構部、C1,C2:回路部、BP1,BP2:フレキシブル回路基板、P11,P12,P13,P21,P22,P23:導箔パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
別体の光学機器に着脱可能な光学部品であって、
前記光学部品は、前記光学機器の第1回路部と通信可能な第2回路部を有し、
前記第2回路部は、前記光学機器との通信の際に前記第1回路部の第1接続部と電気的に非接触である第2接続部を有し、
前記第2接続部は、前記第1接続部と交流結合によって通信可能であること、
を特徴とする光学部品。
【請求項2】
請求項1に記載の光学部品であって、
前記第1回路部は、前記第1接続部と異なる第3接続部を有し、
前記第2回路部は、前記第2接続部と異なる第4接続部を有し、
前記第3接続部と前記第4接続部とは、互いに接触することにより、電気的に導通すること、
を特徴とする光学部品。
【請求項3】
請求項2に記載の光学部品であって、
前記光学部品はカメラアクセサリであり、前記光学機器はカメラボディであること、
を特徴とする光学部品。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の光学部品であって、
前記第1接続部と前記第2接続部とのそれぞれは、フレキシブルプリント回路基板に付着される導箔パターンにより構成され、前記導箔パターン同士を所定の間隔で対向することにより交流結合すること、
を特徴とする光学部品。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の光学部品であって、
前記第1回路部と前記第1接続部との間、及び前記第2回路部と前記第2接続部との間の、接続部から回路部へと電流が流れる少なくとも一方に、微分回路を形成するプルダウン抵抗と、前記微分回路の出力を整形するコンパレータと、を備えること、
を特徴とする光学部品。
【請求項6】
請求項5に記載の光学部品であって、
前記プルダウン抵抗は、前記第1接続部及び前記第2接続部により伝達される通信信号の周波数に対応して抵抗値を変更すること、
を特徴とする光学部品。
【請求項7】
第2回路部を有する光学部品と、前記光学部品に着脱可能であり第1回路部を有する光学機器との通信方法であって、
第1回路部に接続された第1接続部と、
第2回路部に接続された第2接続部と、を交流結合によって通信すること、
を特徴とする通信方法。
【請求項8】
請求項7に記載の通信方法であって、
前記第1回路部は、前記第1接続部と異なる第3接続部を有し、
前記第2回路部は、前記第2接続部と異なる第4接続部を有し、
前記第3接続部と前記第4接続部とは、互いに接触することにより、電気的に導通すること、
を特徴とする通信方法。
【請求項9】
請求項8に記載の通信方法であって、
前記第1接続部と前記第2接続部との間では、情報伝達の通信を行い、
前記第3接続部と前記第4接続部との間では、電力供給を行なうこと、
を特徴とする通信方法。
【請求項10】
請求項7から9のいずれか1項に記載の通信方法であって、
前記第1接続部と前記第2接続部とのそれぞれは、フレキシブルプリント回路基板に付着される導箔パターンにより構成され、前記導箔パターン同士を所定の間隔で対向することにより交流結合すること、
を特徴とする通信方法。
【請求項11】
請求項7から10のいずれか1項に記載の通信方法であって、
前記第1回路部と前記第1接続部との間、及び前記第2回路部と前記第2接続部との間の、接続部から回路部へと電流が流れる少なくとも一方に、微分回路を形成するプルダウン抵抗と、前記微分回路の出力を整形するコンパレータと、を備えること、
を特徴とする通信方法。
【請求項12】
請求項11に記載の通信方法であって、
前記プルダウン抵抗は、前記第1接続部及び前記第2接続部により伝達される通信信号の周波数に対応して抵抗値を変更すること、
を特徴とする通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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