説明

光情報媒体

【課題】 表面硬化性に優れ、高温高湿条件下において膜厚減少が小さく、外部の温度変化及び湿度変化に対して反りの変化が小さい光情報媒体を提供する。
【解決手段】 支持基体上に情報記録層を有し、この情報記録層上に光透過層を有し、この光透過層を通して記録光および再生光の少なくとも一方が入射するように使用される光情報媒体であって、23℃、相対湿度50%環境下、光透過層を超微小硬度計で測定した0.4mN試験荷重下での押し込み深さが0.4μm以下である光情報媒体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生専用光ディスク、記録型光ディスク等の光情報媒体に関し、更に詳しくは、表面硬化性に優れ、高温高湿条件下において膜厚減少が小さな光透過層を有し、外部の温度変化及び湿度変化に対して反りの変化が小さい光情報媒体を提供する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報記録媒体の分野では高密度化に関して様々な研究がすすめられている。光ディスクの分野においても、動画が記録できる0.6mm厚の基板を貼り合わせた構造のDVDが普及期を迎えている。
【0003】
しかしながら、今後デジタルハイビジョン放送が広まるにつれ、更なる大容量の光ディ
スクが必要とされていることから、記録・再生側の基板(光透過層)を0.1mm厚とし
対物レンズの開口数(NA)を0.85程度、レーザー波長400nm程度とした高密度光ディスクシステムが実用化されている。
【0004】
この0.1mm厚の光透過層の形成方法としては、プラスチック製の透明シートを貼り
合わせる手法や、液状の紫外線硬化型樹脂をスピンコート法により塗布した後、活性エネ
ルギー線を照射して硬化させる手法が開発されている(例えば特許文献1)。高速記録用光ディスクを製造する場合には、周方向の膜厚均一性に優れることから、スピンコート法により光透過層用樹脂層を形成することが望ましい。このスピンコート法に用いる液状の紫外線硬化型樹脂としては、例えば、特許文献2に記載の組成物が挙げられる。
【0005】
しかしながら、特許文献2の光ディスクは塗膜表面の硬化性が十分でないため、高温高湿条件において光透過層の厚みが減少し、その結果ディスクの反りが大きくなるという問題があった。高密度光ディスクシステムにおいてはその光透過層の膜厚が0.1mm±3μm、即ち、100μm±3μmの範囲を越えると球面収差が大きくなり、情報の記録又は再生に重大な問題を引き起こすため、特に、光透過層の厚みが変化するといった現象は避ける必要がある。また、光ディスク表面の傷つき防止のため、光透過層上にハードコート層を設ける場合、光透過層表面の硬化性が十分でないと、ハードコートの塗工作業性に悪影響を及ぼすことがある。更に、ハードコート層を設けない場合、光透過層表面の硬化性が十分でないと傷がつきやすくなり、情報の記録、再生を不可能とするエラーを引き起こす原因となる。
【特許文献1】特開2002−92945号公報
【特許文献2】特開2008−4255号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、表面硬化性に優れ、高温高湿条件下において膜厚減少が小さな光透過層を有し、外部の温度変化及び湿度変化に対して反りの変化が小さい光情報媒体を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、支持基体上に情報記録層を有し、この情報記録層上に光透過層を有し、この光透過層を通して記録光および再生光の少なくとも一方が入射するように使用される光情報媒体であって、23℃、相対湿度50%環境下、光透過層を超微小硬度計で測定した0.4mN試験荷重下での押し込み深さが0.4μm以下である光情報媒体である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によって、表面硬化性に優れ、高温高湿条件下において膜厚減少が小さく、外部の温度変化及び湿度変化に対して反りの変化が小さい光情報媒体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明について、詳細に説明する。
【0010】
支持基体
本発明における支持基体としては、例えば、金属、ガラス、セラミックス、紙、木材、
プラスチック等の材料やこれらの複合材料が挙げられる。特に、従来の光ディスク製造プ
ロセスを利用できることから、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ポリ乳酸、ポ
リカーボネート、アモルファスポリオレフィン等の熱可塑性樹脂が好適である。
【0011】
情報記録層
本発明における情報記録層の材料としては、例えば、金、銀、銀・Pd・Cu合金、ア
ルミ、アルミチタン合金、Si・Cu合金、銀・In・Te・Sb合金、銀・In・Te
・Sb・Ge合金、Ge・Sb・Te合金、Ge・Sn・Sb・Te合金、Sb・Te合
金、Tb・Fe・Co合金、色素等が挙げられる。これらの材料は読み取り専用型媒体、
相変化型記録媒体、ピット形成タイプ記録媒体、光磁気記録媒体等の使用目的に応じて選
択すればよい。また、記録層の少なくとも一方の側に、記録層の保護や光学的効果を目的としてSiN、ZnS、SiO等の誘電体を設けることも可能である。
【0012】
超微小硬度計
測定に使用する圧子は、ダイヤモンド製の四角錐型、対面角135度のものを用いる。23℃、相対湿度50%環境下、荷重をF、経過時間をtとした時にこの圧子を硬化物に対しdF/dtが一定となるよう20秒間で1mNまで荷重させ、0.4mN試験荷重がかかった時点の圧子押し込み深さを求めた。23℃、相対湿度50%環境下、荷重をF、経過時間をtとした時にこの圧子を硬化物に対しdF/dtが一定となるよう20秒間で1mNまで荷重後、5秒間クリープさせ、その後荷重時と同じ条件で除重させる測定条件において、荷重を接触ゼロ点を超えて侵入した圧子の表面積で除してマルテンス硬さを求めた。
【0013】
光透過層
本発明の光情報媒体を構成する光透過層は0.1mm厚であることが好ましく、さらに情報記録層上への記録および再生のために400nm程度のレーザーに対する透明性が求められる。光透過層の材質はポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ポリカーボネート、アモルファスポリオレフィン等の熱可塑性樹脂や紫外線硬化性樹脂などが挙げられるが、周方向の膜厚精度と製造コストの観点から紫外線硬化性樹脂を用いることが特に好ましい。さらに紫外線硬化性樹脂は、機械特性が優れるという観点で、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種(A)(以下、「成分A」という)、成分A以外の分子内に少なくとも1個のラジカル重合性官能基を持つエチレン性不飽和化合物(B)(以下、「成分B」という)及び光重合開始剤(C)(以下「成分C」という)を含有する硬化性組成物が好ましい。
【0014】
本発明における光透過層は、23℃、相対湿度50%環境下、0.4mN試験荷重下での押し込み深さが0.4μm以下である。0.4mN試験荷重下での押し込み深さは、0.4μm以下であることが好ましく、0.35μm以下であることがより好ましい。本発明において、0.4mN試験荷重下での押し込み深さが0.4μm以下であるので、表面硬化性に優れ、高温高湿条件下において膜厚減少が小さく、外部の温度変化及び湿度変化に対して反りの変化が小さい光情報媒体を提供することができる。0.4mN試験荷重下での押し込み深さが0.4μmを超えると、表面の硬化性が十分でないため、高温高湿条件において光透過層の厚みが減少し、その結果ディスクの反りが大きくなるという問題点がある。さらに、本発明の光透過層の、マルテンス硬さは、光透過層の表面を高硬度に出来るという観点で70以上が好ましく、光情報媒体の反りを小さくできるという観点で150以下であることが好ましい。
【0015】
本発明の光透過層に使用される紫外線硬化性樹脂に特に好ましい成分A、成分B、成分Cについて、順次説明する。
【0016】
成分Aは、硬化性組成物に低収縮性を付与する成分であり、またその硬化物に強靭性や可とう性を付与するための成分である。
【0017】
成分Aの具体例としては、イソシアネート化合物、多価アルコール及び水酸基含有(メタ)アクリレートから合成されるウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0018】
成分Aの原料となるイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、ビス(4−イソシアナトフェニル)メタン、ビス(3−クロロ−4−イソシアナトフェニル)メタン、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、トリス(4−イソシアナトフェニル)メタン、1,2−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,2−水添キシリレンジイソシアネート、1,4−水添キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、水添テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等のジイソシアネート類が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
【0019】
上記化合物の中で、硬化物に優れた靭性と難黄変性を付与できることから、イソホロンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、1,2−水添キシリレンジイソシアネート、1,4−水添キシリレンジイソシアネート、水添テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等の脂環族骨格のジイソシアネート化合物が好ましい。
【0020】
成分Aの原料となる多価アルコールとしては市販されている各種の多価アルコール類が使用可能である。例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1−メチルブチレングリコール等のポリエーテルポリオール類;ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、3−メチルペンタンジオール、2,4−ジエチルペンタンジオール、トリシクロデカンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、水添ビスフェノールA、ビスフェノールA、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類;これら多価アルコール類に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加したポリエーテル変性ポリオール類;これら多価アルコール類と、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、テトラヒドロフタル酸等の多塩基酸類又はこれら多塩基酸の酸無水物類との反応によって得られるポリエステルポリオール類;これら多価アルコール類と、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類との反応によって得られるポリカプロラクトンポリオール類;これら多価アルコール類及び多塩基酸類と、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類との反応によって得られるカプロラクトン変性ポリエステルポリオール類;1,6−ヘキサンジオール、3−メチルペンタンジオール、2,4−ジエチルペンタンジオール、トリメチルヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール等のジオール類と、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート、ジフェニルカーボネート等の炭酸エステル類とのエステル交換反応により得られるポリカーボネートジオール類;ポリブタジエングリコール類;環状ヒドロキシカルボン酸エステルとアンモニア、又は1個の第一級又は第二級アミノ窒素を含む化合物との反応によって得られるアミドポリオール類等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
【0021】
これらの中でも、得られる成分Aが表面硬化性と強伸度バランスに優れ、得られる光透過層の膜厚変化が小さく、寸法安定性に優れるため、ポリテトラメチレングリコール、ポリカプロラクトンポリオール類、ポリカーボネートジオール類及び、アミドジオール類が好ましい。
【0022】
成分Aの原料となる水酸基含有(メタ)アクリレートは、具体的には、分子内に少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基、及び分子内に少なくとも1個のヒドロキシル基を有するヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートであればよい。具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類や、これらのカプロラクトンの付加物等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。これらの中で、得られる成分(A)が低粘度であることから、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0023】
成分Aの合成方法としては、公知のウレタン(メタ)アクリレート合成法を使用できる。例えば、フラスコ内に2モルのジイソシアネートを仕込み、更にジブチル錫ジラウレート等の公知の触媒を総仕込量に対して50〜300ppm混合し、フラスコ内温度を40〜60℃に保ちながら、滴下ロートを用いて1モルのジオール化合物を2〜4時間かけて滴下して、ウレタンプレポリマーを得る。その後、得られたウレタンプレポリマー末端に残存するイソシアネート基に、当量の水酸基含有(メタ)アクリレートを滴下させながらフラスコ内温60〜75℃で付加反応させればよい。
【0024】
成分Aのエポキシ(メタ)アクリレートの具体例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA等のビスフェノール類とエピクロルヒドリンの縮合反応で得られるビスフェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールAグリシジルエーテル、ビスフェノールFグリシジルエーテル、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリスグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等の分子内にエポキシ基を有するポリエポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との付加反応により得られるエポキシポリ(メタ)アクリル酸エステル、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのラクトン付加物と二塩基酸無水物から得られるハーフエステル化合物とエポキシ樹脂とを反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
【0025】
成分Aの含有量は、成分A及び成分B合計量(以下これらの合計量を「組成物単量体合計量」という)100質量%を基準として40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。また、成分Aの含有量は90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましい。
【0026】
成分Aの含有量が40質量%以上の場合には硬化性組成物の表面硬化性が良好となり、23℃、相対湿度50%環境下における0.4mN試験荷重下での押し込み深さが0.4μm以下になる傾向にある。また、含有量が90質量%以下の場合には硬化性組成物の液粘度が低くなり、情報記録層上への塗工作業性が良好となる傾向にあり、更には23℃、相対湿度50%環境下におけるマルテンス硬さが70以上になる傾向にある。
【0027】
本発明の光透過層を構成する成分Bは、分子内に少なくとも1個のラジカル重合性官能基を持つ成分A以外のエチレン性不飽和化合物である。成分Bは、硬化性組成物に低粘度化と速硬化性を付与すると共に、得られる硬化物に表面硬度、耐湿性及び支持基体との密着性を付与する成分である。
【0028】
成分Bとしては、例えば3官能以上の(メタ)アクリル酸エステル(b1)、ジ(メタ)アクリル酸エステル(b2)、モノ(メタ)アクリル酸エステル(b3)、ビニルエーテル(b4)、アリル化合物(b5)、アクリルアミド化合物(b6)等が挙げられる。
【0029】
成分(b1)3官能以上の(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリル酸エステル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリル酸エステル、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリル酸エステル、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリル酸エステル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリル酸エステル、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリル酸エステル、エトキシレーテッドペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリル酸エステル、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリル酸エステル、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリル酸エステル、トリスエトキシレーテッドトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリル酸エステル、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリル酸エステル、エトキシレーテッドペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリル酸エステル、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体に2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸エステルを反応させたウレタントリ(メタ)アクリル酸エステル、有機ジイソシアネートとペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリル酸エステルとを反応させたウレタンヘキサ(メタ)アクリル酸エステル、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート等の3官能以上の(メタ)アクリル酸エステル;
成分(b2)ジ(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、グリセリンジ(メタ)アクリル酸エステル、ビス(2−アクリロイルオキシエチル)−2−ヒドロキシエチルイソシアヌレート、3−メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2,4−ジエチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,3−ブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,7−ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリシクロデカンジメタノール、ジ(メタ)アクリル酸ポリエトキシレーテッド水添ビスフェノールA、ジ(メタ)アクリル酸ポリプロポキシレーテッド水添ビスフェノールA、ジ(メタ)アクリル酸ポリエトキシレーテッドビスフェノールA、ジ(メタ)アクリル酸ポリプロポキシレーテッドビスフェノールA、ジ(メタ)アクリル酸ポリエトキシレーテッドシクロヘキサンジメタノール、ジ(メタ)アクリル酸ポリプロポキシレーテッドシクロヘキサンジメタノール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのγ−ブチロラクトン付加物(付加数n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリル酸エステル、ネオペンチルグリコールのカプロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリル酸エステル、ブチレングリコールのカプロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリル酸エステル、シクロヘキサンジメタノールのカプロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリル酸エステル、ジシクロペンタンジオールのカプロラクトン付加物(n+m=5)のジ(メタ)アクリル酸エステル、ビスフェノールAのカプロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリル酸エステル、ビスフェノールFのカプロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリル酸エステル等のジ(メタ)アクリル酸エステル;
成分(b3)モノ(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸エステル、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリル酸エステル、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリル酸エステル、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリル酸エステル、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリル酸エステル、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリル酸エステル、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリル酸エステル、2−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリル酸エステル、4−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリル酸エステル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸エステル又は2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリル酸エステルのエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、フェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性クレゾール(メタ)アクリレート、シクロヘキシルオキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジルオキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ベンジル、イソボルニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ノルボルニルオキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ノルボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸テトラシクロドデカニル、4−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリル酸エステル、トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート、2−エチル−2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−イル−メチルアクリレート、2−イソブチル−2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−イル−メチルアクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性リン酸(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのε−カプロラクトン付加物(n+m=2〜5)のモノ(メタ)アクリル酸エステル;
成分(b4)ビニルエーテルの具体例としては、エチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル;
成分(b5)アリル化合物の具体例としては、ジアリルフタレート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、アリルグリシジルエーテル等のアリル化合物;
成分(b6)アクリルアミド化合物の具体例としては、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、ヒドロキシエチルアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミド等のアクリルアミド等が挙げられる。
【0030】
これらの他、酢酸ビニル、酪酸ビニル、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アジピン酸ジビニル等のビニルエステルモノマー類;フタル酸、アジピン酸等の多塩基酸、エチレングリコール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の多価アルコール及び(メタ)アクリル酸又はその誘導体との反応で得られるポリエステルポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0031】
これらは、一種単独で、又は二種以上を併用して用いることができる。
【0032】
これらの中でも、硬化性と硬化物の機械物性のバランスが良好であることからジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリル酸エステル、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリル酸エステル4ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリル酸エステル、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリル酸エステル、エトキシレーテッドペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリル酸エステル、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリル酸エステル、トリスエトキシレーテッドトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリル酸エステル、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリル酸エステル、エトキシレーテッドペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリル酸エステル、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、3−メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2,4−ジエチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,7−ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ビス(2−アクリロイルオキシエチル)−2−ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ジ(メタ)アクリル酸トリシクロデカンジメタノール、ジ(メタ)アクリル酸ポリエトキシレーテッド水添ビスフェノールA、ジ(メタ)アクリル酸ポリプロポキシレーテッド水添ビスフェノールA、ジ(メタ)アクリル酸ポリエトキシレーテッドシクロヘキサンジメタノール、ジ(メタ)アクリル酸ポリプロポキシレーテッドシクロヘキサンジメタノール、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、フェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性クレゾール(メタ)アクリレート、シクロヘキシルオキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ノルボルニルオキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ノルボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸テトラシクロドデカニル、トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート、2−エチル−2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−イル−メチル(メタ)アクリレート、2−イソブチル−2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−イル−メチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性リン酸(メタ)アクリレート等が好ましい。
【0033】
成分Bの含有量は、組成物単量体合計量100質量%中10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましい。また、成分Bの含有量は60質量%以下であることが好ましく、50%質量以下であることがより好ましい。
【0034】
成分Bの含有量が10質量%以上の場合には、硬化性組成物が低粘度化となると共に、光透過層の表面を高硬度にできるため、23℃、相対湿度50%環境下における0.4mN試験荷重下での押し込み深さが23℃、相対湿度50%環境下における0.4μm以下にある傾向にあり、更に23℃、相対湿度50%環境下におけるマルテンス硬さが70以上になる傾向にある。また、50質量%以下の場合には、硬化性組成物の硬化収縮率の低減効果が十分に発現される傾向にある。
【0035】
本発明の硬化性組成物を構成する光重合開始剤Cの具体例としては、特に限定されず、公知の光重合開始剤を用いることができる。
【0036】
その中でも、例えばベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、メチルオルトベンゾイルベンゾエイト、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン類;ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド類;メチルベンゾイルホルメート;1,7−ビスアクリジニルヘプタン;9−フェニルアクリジン;等が挙げられる。これらは一種を単独で、または二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0037】
これらの中でも、硬化性及び硬化物の難黄変性の観点から2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オンおよび1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトンが好ましい。
【0038】
本発明において、成分Cの含有量は特に限定されない。その中でも、成分A、及び成分Bの合計100質量部に対して、2〜8質量部が好ましく、3〜6質量部がより好ましい。
【0039】
成分Cの含有量が2質量部以上の場合には、空気雰囲気中での硬化性が良好となる傾向にあり、また、8質量部以下の場合には、得られる硬化物の難黄変性及び光透過層の膜厚安定性が良好となる傾向にある。
【0040】
本発明においては、本発明の目的を損なわない範囲であれば、硬化性組成物中に、熱重合開始剤、酸化防止剤、光安定剤、光増感剤、熱可塑性高分子、スリップ剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、シランカップリング剤、無機フィラー、有機フィラー、表面有機化処理した無機フィラー等、公知の添加剤等を適宜配合して用いてもよい。
【0041】
本発明に使用する硬化性組成物は、ダストやゲル物等の異物の存在による光情報媒体の読み取り又は書き込みエラーを防止するために、5μm以上、好ましくは1μm以上の異物を排除するろ過フィルターを用いてろ過することが好ましい。ろ過フィルターの素材としてはセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン等が使用可能である。また、光透過層に気泡が存在してもエラーの原因となるため、硬化性組成物は予め真空若しくは遠心条件下、又は真空且つ遠心条件下において脱泡を行うことが好ましい。
【0042】
上記した硬化性組成物は、活性エネルギー線を照射することにより、硬化させることができる。この活性エネルギー線としては、例えば、α線、β線、γ線、X線、紫外線、可視光線等が挙げられる。
【0043】
本発明では、上記した硬化性組成物を、支持基体上に設けられた情報記録層の上に、スピンコート、スプレーコート、ブラシコート等の公知の塗工方法で塗工し、情報記録層上に硬化性組成物の塗膜を形成する。なお、塗膜の厚みは、硬化後に5μm以上であり500μm以下になるようにすることが好ましい。次いで、活性エネルギー線で塗膜を硬化し、情報記録層上に光透過層(以下、「硬化物層」ということがある)を形成して、光記録媒体を製造する。なお、活性エネルギー線を照射する雰囲気下は、空気中でもよいし、窒素、アルゴン等の不活性ガス中でもよいが、製造コストの観点からは空気中で照射することが好ましい。
【0044】
本発明において、硬化物層の厚みが5μm以上の場合には、光情報媒体の表面を十分に保護できる傾向にあり、500μm以下であれば、得られる光情報媒体の反りを抑制しやすい傾向にある。より好ましくは、10〜300μmの範囲であり、更に好ましくは15〜150μmの範囲である。
【0045】
本発明の光情報媒体は、高温高湿条件下においても、硬化物層の膜厚変化が小さくなるために、硬化性組成物を90%以上の反応率となるよう硬化させる必要がある。反応率が90%を下回ると、硬化物層中に残存する未反応のジ(メタ)アクリレート類や光重合開始剤が経時的に揮発し、膜厚が大きく減少する傾向にある。反応率は93%以上であることが好ましく、95%以上がより好ましい。
【0046】
硬化性組成物を90%以上の反応率となるよう硬化させるためには、高圧水銀ランプにおける照射量を200mJ/cm以上、キセノンフラッシュランプでは、10ショット以上照射することが好ましい。
【0047】
反応率を測定する方法としては、赤外分光法により(メタ)アクリロイル基の残存量を測定する手法や、硬化物の弾性率、Tg等の物理特性の飽和度から測定する手法、ゲル分率により架橋度合いを測定する手法等が挙げられる。
【0048】
また、本発明における光情報媒体には、光透過層の面上に擦り傷防止や汚れ防止を目的としたハードコート層を設けてもよい。
【実施例】
【0049】
以下、本発明について実施例を用いて詳細に説明する。なお、以下における「部」は、質量部を意味する。
【0050】
〔評価項目及び評価方法〕
1.硬化条件
光源:キセノンフラッシュランプ(オリジン電気(株)製FUV−201WJO2)
電圧:2880V
ランプーディスク間距離59mm
I:キセノンフラッシュ10ショット
II:キセノンフラッシュ5ショット
2.光透過層の評価
<光線透過率(%)>
評価用光ディスクから剥離させた光透過層の波長400nmにおける光線透過率を、日立製作所(株)製分光光度計U−3400を用いて、空気をリファレンスとして測定した。
○:85%以上
×:85%未満
【0051】
<硬化性>
評価用光ディスクの塗膜表面の硬化性を、指触で評価した。
○:全く、べた付きないもの
×:べた付きのあるもの
【0052】
<反応率(%)>
評価用光ディスクの塗膜表面反応率は、減衰全反射フーリエ変換赤外分光(ATR−FTIR)分析法を用いて測定した。未硬化組成物及び対応する硬化塗膜の両方の減衰全反射(ATR)スペクトルを求めた。塗膜表面のATRスペクトルは、Nicolet Magna(R) 560 FTIRに取り付けたATRアクセサリサンダードームを用いて検査した。塗膜表面側がダイヤモンドに接触するようにして、ダイヤモンド光学素子上に配置し、塗膜の裏側から圧力を加えて確実に密着させた。64回の走査を平均してフーリエ変換を行った。未硬化液状材料のスペクトルは、1滴の液状組成物をATR用ダイヤモンド光学素子上に配置することで求めた。
○:90%以上
×:90%未満
【0053】
<0.4mN試験荷重下での押し込み深さ(μm)>
Fischerscope HM2000を用いた。測定に使用する圧子は、ダイヤモンド製の四角錐型、対面角135度のものを用いる。23℃、相対湿度50%環境下、荷重をF、経過時間をtとした時にこの圧子を硬化物に対しdF/dtが一定となるよう20秒間で1mNまで荷重させ、0.4mN試験荷重がかかった時点の圧子押し込み深さを求めた。
○:0.40μm以下
×:0.40μmを超える
【0054】
<マルテンス硬さ>
測定に使用する圧子は、ダイヤモンド製の四角錐型、対面角135度のものを用いた。23℃、相対湿度50%環境下、荷重をF、経過時間をtとした時にこの圧子を硬化物に対しdF/dtが一定となるよう20秒間で1mNまで荷重後、5秒間クリープさせ、その後荷重時と同じ条件で除重させる測定条件において、マルテンス硬さは、荷重を、接触ゼロ点を超えて侵入した圧子の表面積で除した値で求めた。
○:70N/mm2以上150N/mm2以下
×:70N/mm2未満又は150N/mm2を超える
【0055】
3.光ディスクの評価
<寸法安定性>
評価用光ディスクについて、ジャパンイーエム(株)製DLD−3000光ディスク光学機械特性測定装置を用いて、23℃、相対湿度50%環境下にて、初期反り角を測定した。次いで、得られた光ディスクを80℃、相対湿度85%環境下にて100時間放置し、更に、23℃、相対湿度50%環境下へ取り出し一晩放置した後、再び反り角を測定した。
【0056】
尚、実施例中の反り角とは、光ディスク(光情報記録媒体)最外周における光透過層側への半径方向の最大反り角を意味する。また、負(−)の反り角は光透過層側とは反対側に反った場合の最大反り角を意味する。寸法安定性は、下記基準に基づいて評価を行った。
○:初期反りが0.40度以内、且つ、加速試験後反り角−初期反り角が0.40度以内
×:初期反りが0.40度超、又は、加速試験後反り角−初期反り角が0.40度超える
【0057】
<加速試験後の膜厚変化量△(μm)>
評価用光ディスク初期膜厚を測定した後、80℃、相対湿度85%環境下にて100時間放置し、更に、23℃、相対湿度50%環境下へ取り出し一晩放置した後、再び膜厚を測定した。
○:初期膜厚−加速試験後膜厚が2.0μm以内
×:初期膜厚−加速試験後膜厚が2.0μmを超える
【0058】
[合成例1]ウレタンアクリレート(UA1:成分A)の製造
5Lの4つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート1110g及びジブチル錫ジオクテート0.5gを仕込んで水浴中でフラスコ内温が40℃になるように加熱した。ポリカプロラクトンジオール(ダイセル化学工業(株)製、商品名プラクセル205、数平均分子量530)1206gを側管付きの滴下ロートに仕込んだ。この滴下ロート内の液を、4つ口フラスコ中の内容物を攪拌しつつ、フラスコ内温を40℃に保ちながら4時間等速で滴下し、更に同温度で2時間攪拌して反応させた。次いで、フラスコ内容物の温度を75℃に上げ、別の滴下ロートに仕込んだ2−ヒドロキシエチルアクリレート633g及びハイドロキノンモノメチルエーテル1gの混合溶液を、フラスコ内温を75℃に保ちながら2時間等速で滴下した。更にフラスコ内容物の温度を75℃に保って4時間反応させて、ウレタンアクリレートUA1を製造した。
【0059】
[合成例2]ウレタンアクリレート(UA2:成分A)の製造
ポリカプロラクトンジオールの代わりに、ポリテトラメチレングリコール(保土ヶ谷化学(株)製、商品名PTG1000SN、数平均分子量970)1721g及びN−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシブタナミド82.5gを用いること以外は合成例1と同様にしてウレタンアクリレートUA2を製造した。
【0060】
(1)硬化性組成物の製造
成分Aとして合成例1で得られたUA1を60部、成分Bとしてトリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレートを10部及びテトラヒドロフルフリルアクリレートを30部、成分Cとして1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン4部、及びその他成分として酸化防止剤2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールを0.05部混合溶解し、硬化性組成物を得た。
【0061】
(2)評価用光ディスクの作製及び評価
ポリカーボネート樹脂(飽和吸水率:0.15質量%)を射出成型して得た光ディスク形状を有する透明円盤状鏡面基板(直径12cm、板厚1.1mm、反り角0度)の片面に、Ag98PdCu(原子比)合金を膜厚20nmとなるようにスパッタリング法にて製膜し、鏡面に銀合金反射膜を有する評価用光ディスク基材を得た。
【0062】
得られた評価用光ディスク基材の銀合金反射膜上に、上記(1)で得られた硬化性組成物を雰囲気温度23℃、相対湿度50%の環境下、スピンコーターを用いて塗工した。塗工面の上方より、紫外線を照射、塗膜を硬化させて、平均膜厚が100μmの光透過層を有する評価用光ディスクを得た。
【0063】
各種評価結果を表1に示す。尚、全ての評価は作製した光ディスクを23℃、相対湿度50%の環境下にて24時間放置した後に実施した。
【0064】
[実施例2〜5及び比較例1〜4]
硬化性組成物として表1、表2に記載のものを用いること以外は実施例1と同様にして評価用光ディスクを得た。評価結果を表1、表2に示す。
【表1】

【表2】

【0065】
表1、2中の略号は、以下の通りである。
UA1:合成例1で得られたウレタンアクリレート
UA2:合成例2で得られたウレタンアクリレート
M−315:トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート
NPGDA:ネオペンチルグリコールジアクリレート
TCDA:ジアクリル酸トリシクロデカンジメタノール
THFA:アクリル酸テトラヒドロフルフリル
MEDA:2−エチル−2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−イル−メチルアクリレート(大阪有機化学工業(株)製)
PHE−2D:フェノキシジエチレングリコールアクリレート
TPGDA:ジアクリル酸トリプロピレングリコール
TBCHA:4−t−ブチルシクロヘキシルアクリル酸エステル
PM−21:カプロラクトン変性メタクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート(日本化薬(株)製)
HCPK:1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン
Irg127:2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン
BHT:2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール
CNUVE151: ヒドロキシアルキルアクリレートのラクトン付加物と二塩基酸無水物から得られるハーフエステル化合物と、エポキシ樹脂とを反応させて得られるエポキシアクリレート樹脂(サートマー製)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基体上に情報記録層を有し、この情報記録層上に光透過層を有し、この光透過層を通して記録光および再生光の少なくとも一方が入射するように使用される光情報媒体であって、23℃、相対湿度50%環境下、光透過層を超微小硬度計で測定した0.4mN試験荷重下での押し込み深さが0.4μm以下である光情報媒体。
【請求項2】
23℃、相対湿度50%環境下、光透過層を超微小硬度計で測定したマルテンス硬さが70以上150以下である請求項1に記載の光情報媒体。

【公開番号】特開2010−44812(P2010−44812A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−206666(P2008−206666)
【出願日】平成20年8月11日(2008.8.11)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】