説明

光成端箱

【課題】 内部における配線を整理して切替作業等の作業性を改善して、誤作業を防止することができる光成端箱を提供する。
【解決手段】 トレイ30に1次側光ファイバ心線13と接続するための1次側接続光コード14と、2次側光ファイバ心線23と接続するための2次側接続光コード24を収納して、コネクタ接続部31により1次側接続光コード14と2次側接続光コード24とを接続しておくので、配線を整理しておくことができる。従って、現地では、1次側光ケーブル11を1次側接続光コード14と接続するとともに、2次側光ケーブル21を2次側接続光コード24と接続することにより、1次側の光ケーブル11と2次側の光ケーブル21を接続することができる。また、2次側接続光コード24は、他の全てのトレイ30のコネクタ接続部31と接続することができる長さの切替用余長25をトレイ30内の余長収納部32に有するので、容易に切替を行うことができ、誤作業を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光成端箱に係り、例えば、外部から建物内に光ファイバを引き込む際に、外部の光ケーブルと建物内の光ケーブルとを容易に接続し、あるいは接続しなおすことができる光成端箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、光ケーブルをビルやマンション等に引き込み、機器につなぐFTTHサービスが盛んになってきている。光ケーブルを屋外から住宅内に引き入れる場合には、光成端箱がおかれる(例えば特許文献1参照)。
図6(A)〜(C)に示すように、特許文献1に記載の光成端箱100は、光ケーブルの心線接続部を着脱自在に支持する支持部101と、心線接続部から延びる心線余長を収納する心線余長収納部102とからなる接続モジュールAと成端モジュールBとを備えたケース本体103と、このケース本体103に摺動自在に設けた蓋ケース104とから構成されている。また、ケース本体103内に導入されて心線接続部に至る光ケーブルの光ケーブルおよびテンションメンバを保持する引き込みケーブル把持具105と、引き落としケーブル把持具105aと、フロアケーブル把持具106とを具備したものである。更に、ケーブル把持具105aに一対の係止切欠き孔108、108のある固定板115にケーブル把持片116と、テンションメンバ固定片117とを突設し、固定板115をケースに複数並列した締付突杆107に係脱自在に設けて引き込みケーブル把持具105と引き落としケーブル把持具105aとにし、両ケーブル把持具105、105aの各締付突杆107にそれぞれにフロアケーブル把持具106を着脱自在に配備してある。
【特許文献1】特開平10−300942号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、ビルやマンションに光成端箱を設置する場合、設置スペースに制限があるため、小型であることが要求される。また、光成端箱は、屋外からの光ケーブルと屋内用の光ケーブルを接続する機能があるが、各テナントや各宅へのサービスは通信事業者が異なったり、解約や切り替え等のために、光成端箱内で接続の切替が頻繁に発生する。すなわち、切替や解約等の切断は、コネクタ接続部で行われるため、住宅等に引き込まれる光コードが狭い光成端箱の内部で輻輳するという問題があった。また、解約した場合、再契約する可能性があるため、光コードを撤去せずにそのまま放置するのが一般的であり、空きコードが発生してさらに輻輳を招くことになる。さらに、これら輻輳や空きコードが原因で識別性を悪くし、活線を誤って切り替えたり、局所曲げにより伝送損失増加を招く等、伝送品質に悪影響があるという不都合があった。
【0004】
本発明の目的は、内部における配線を整理して切替作業等の作業性を改善して、誤作業を防止することができる光成端箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述した目的を達成するために、本発明にかかる光成端箱は、屋外の1次側光ケーブルを屋内に引き込むための1次側光ケーブル導入部と、屋内における所望の位置に2次側光ケーブルを引き出すための2次側光ケーブル導出部と、前記1次側光ケーブルに収容されている1次側光ファイバ心線と前記2次側光ケーブルに収容されている2次側光ファイバ心線とを接続するための複数のトレイを備えた光成端箱であって、前記トレイは、前記1次側光ファイバ心線と接続する1次側接続光コードと、前記2次側光ファイバ心線と接続する2次側接続光コードと、前記1次側接続光コードと前記2次側接続光コードとを接続するコネクタ接続部を収納し、前記2次側接続光コードは前記トレイ内に他のトレイに収納されたコネクタ接続部と切り替え可能な長さの切替用余長を有するとともに、前記切替用余長を収納する余長収納部が前記トレイに設けられているものである。
【0006】
このように構成された光成端箱においては、トレイに1次側光ファイバ心線と接続するための1次側接続光コードと、2次側光ファイバ心線と接続するための2次側接続光コードを収納して、コネクタ接続部により1次側接続光コードと2次側接続光コードとを接続しておくので、配線を整理しておくことができる。従って、現地では、1次側光ケーブルを1次側接続光コードと接続するとともに、2次側光ケーブルを2次側接続光コードと接続することにより、1次側の光ケーブルと2次側の光ケーブルを接続することができる。また、2次側接続光コードは、他の全てのトレイのコネクタ接続部と接続することができる長さの切替用余長をトレイ内の余長収納部に有するので、容易に切替を行うことができ、誤作業を防止することができる。
【0007】
また、本発明にかかる光成端箱は、前記トレイは第1の段および第2の段からなる2段構成となっており、第1の段は前記コネクタ接続部と前記余長収納部を有し、第2の段は前記1次側接続光コードと前記1次側光ファイバ心線とを接続する1次側接続部と、前記2次側接続光コードと前記2次側光ファイバ心線とを接続する2次側接続部とを収納しているものである。
【0008】
このように構成された光成端箱においては、トレイを第1の段と第2の段の2段構成とし、第2の段には1次側接続光コードと1次側光ファイバ心線とを接続する1次側接続部と、前記2次側接続光コードと前記2次側光ファイバ心線とを接続する2次側接続部とを収納するので、両接続部を接続した後の切替においては、第1の段のみにより行うことができる。
【0009】
また、本発明にかかる光成端箱は、前記第2の段は、前記1次側接続部およびその余長と、前記2次側接続部およびその余長とを、それぞれ個別に収納しているものである。
【0010】
このように構成された光成端箱においては、1次側接続部およびその余長と、2次側接続部およびその余長を、第2の段において別個に収納しているので、配線が輻輳することなく、作業性がよい。例えば、NTT用キャビネットでは、1次側はプレ配線された4心分岐モジュールがあり、その心線と1次側光ケーブルと接続することにより、コネクタ化がされる。このモジュールを上段に取付け、モジュールから出ている心線を下段トレイに配線しておく構造としている。
【0011】
また、本発明にかかる光成端箱は、前記余長収納部は、前記第1の段の外周壁の内面に沿って設けられているものである。
【0012】
このように構成された光成端箱においては、2次側接続光コードに設けられている切替用余長を、第1の段の外周壁に沿って設けているので、切替用余長を取り出す際に他の配線と輻輳することなく容易に取り出すことができ、作業性が良い。
【0013】
また、本発明にかかる光成端箱は、前記複数のトレイは前記光成端箱内で前方に向かって斜め下方に向いた状態で積層され、前記各トレイは上方に持ち上げた状態で固定可能となっている。
【0014】
このように構成された光成端箱においては、複数枚積層されているトレイを、手前側が下がるように傾けて設けてあるので、トレイの上方からの作業性が良い。また、作業を行うトレイよりも上方にあるトレイを上方に持ち上げた状態で固定できるので、途中位置にあるトレイにおける作業性も良い。
【0015】
また、本発明にかかる光成端箱は、前記1次側光ケーブル導入部および前記2次側光ケーブル導出部はともに前記トレイの左右両外側へ導線する形状であり、複数本の溝を備え、それぞれの溝に収納される光ファイバ心線がいずれのトレイと対応しているか識別可能であるものである。
【0016】
このように構成された光成端箱においては、1次側と2次側が反対方向へ導線されるので、輻輳することが防止される。また、どのトレイに接続されているか識別性が向上するので、作業性が改善される。
【0017】
また、本発明にかかる光成端箱の配線方法は、本発明に係る光成端箱の前記トレイに、光コネクタ付きの前記1次側接続光コードを配線するとともに前記1次側光ファイバ心線と接続するための余長を収納し、光コネクタ付きの前記2次側接続光コードを配線するとともに切替用余長を確保して前記2次側光ファイバ心線と接続するための余長を収納しておき、現地にて前記1次側接続光コードと前記1次側光ケーブルを接続するとともに前記2次側接続光コードに前記2次側光ケーブルを接続するものである。
【0018】
このように構成された光成端箱の配線方法においては、予めトレイ内において光コネクタ付きの1次側接続光コードを余長とともに収納し、光コネクタ付きの2次側接続光コードを切替用余長を確保して配線するとともに余長を収納してあるので、現地においては、1次側接続光コードと1次側光ケーブルを接続するとともに2次側接続光コードに2次側光ケーブルを接続するだけで1次側光ケーブルと2次側光ケーブルとを接続することができる。また、コネクタ接続しているので、容易に接続の切替を行うことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、トレイに1次側光ファイバ心線と接続するための1次側接続光コードと、2次側光ファイバ心線と接続するための2次側接続光コードを収納して、コネクタ接続部により1次側接続光コードと2次側接続光コードとを接続しておくので、配線を整理しておくことができる。従って、現地では、1次側光ケーブルを1次側接続光コードと接続するとともに、2次側光ケーブルを2次側接続光コードと接続することにより、1次側の光ケーブルと2次側の光ケーブルを接続することができる。また、2次側接続光コードは、他の全てのトレイのコネクタ接続部と接続することができる長さの切替用余長をトレイ内の余長収納部に有するので、容易に切替を行うことができ、誤作業を防止することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1(A)は本発明の実施形態にかかる光成端箱の内部を示す正面図、図1(B)は図1(A)中B方向から見た側面図、図1(C)は平面図、図2(A)は上段トレイと下段トレイとを重ねた状態を示す平面図、図2(B)は図2(A)中B−B位置の断面図、図2(C)は図2(A)中C−C位置の断面図、図3(A)は上段トレイの平面図、図3(B)は下段トレイの平面図、図4は下段トレイにおける1次側を保護している状態を示す平面図、図5(A)はスプリッタモジュール用トレイにおける上段トレイを示す斜視図、図5(B)は下段トレイを示す斜視図である。
【0021】
図1〜図3に示すように、本発明の実施形態にかかる光成端箱10は、屋外の1次側光ケーブル11を屋内に引き込むための1次側光ケーブル導入部12と、屋内における所望の位置に2次側光ケーブル21を引き出すための2次側光ケーブル導出部22と、1次側光ケーブル11に収容されている1次側光ファイバ心線13と2次側光ケーブル21に収容されている2次側光ファイバ心線23とを接続するための複数のトレイ30を備えている。そして、トレイ30は、1次側光ファイバ心線13と接続する1次側接続光コード14と、2次側光ファイバ心線23と接続する2次側接続光コード24と、1次側接続光コード14と2次側接続光コード24とを接続するコネクタ接続部31を収納し、2次側接続光コード24はトレイ30内に他のトレイ30に収納されたコネクタ接続部31と切り替え可能な長さの切替用余長25を有するとともに、切替用余長25を収納する余長収納部32がトレイ30に設けられている。
【0022】
図1(A)に示すように、光成端箱10は本体であるベース板10aにモジュール一体型のトレイ30が複数段積層されており、上方へ開閉可能なカバー10bにより矩形箱状に覆われている。ベース板10aには1対の取付レール16が上下方向に取り付けられており、この取付レール16に複数のトレイ30が取り付けられている。図1(B)に示すように、各トレイ30は、前方に向かって斜め下方に向いた状態で積層するのが望ましい。これにより、トレイ30の上方に作業空間を確保しやすいので、作業性が改善される。さらに、各トレイ30は上方に持ち上げた状態で固定可能に取り付けるのが望ましい。これにより、さらに作業性を向上させることができる。
【0023】
ベース板10aにおける図1(A)中左側端部には、1次側光ケーブル11と、1次側光ケーブル導入部12としての光ケーブル把持具12aおよび1次側配線ガイド12bと、トレイ30への配線を保護する配線ダクト15等が設けられている。また、図1(A)におけるベース板10a右側端部には、2次側光ケーブル21と、2次側光ケーブル導出部22としての光ケーブル把持具22aおよび2次側配線ガイド22bと、心線専用配線ダクト26等が設けられている。1次側配線ガイド12bおよび2次側配線ガイド22bは、各々複数の溝12c、22cを有するとともに、互いに離反する外向きに配線する形状とするのが望ましい。溝12c、22cは、光ファイバ心線13、23に識別するための識別チューブ(図示省略)が取り付けられていても、曲げ半径が30mm以上で固定できるようになっている。また、ベース板10aの下部中央には、ターミネーションケーブル用の把持具27が設けられている。
【0024】
図2および図3に示すように、トレイ30は第1の段としての上段トレイ30Aおよび第2の段としての下段トレイ30Bからなる2段構成とするのが望ましい。また、上段トレイ30Aと下段トレイ30Bとを重ねた状態では、上段トレイ30Aは下段トレイ30Bの内部に収納されるようにするのが望ましい。
【0025】
図3(A)に示すように、上段トレイ30Aにはコネクタ接続部31と余長収納部32が設けられている。コネクタ接続部31には、例えば4心分岐モジュール35が設けられており、この4心分岐モジュール35にはSCアダプタ36が取り付けられている。4心分岐モジュール35は左右に移動可能となっており、移動量Lによって必要切替用余長差を確保している。また、余長収納部32では、2次側接続光コード24が上段トレイ30Aの外周壁37の内面に沿って収納されており、他のどのトレイ30のSCアダプタ36にも接続可能に届くように、外周壁37に沿って例えば2周程度の余長を収納している。
【0026】
2次側接続光コード24の先端にはコネクタ24aが取り付けられており、SCアダプタ36と接続することにより、容易に1次側接続光コード14と2次側接続光コード24とを接続することができるようになっている。コネクタ24aはSCアダプタ36から容易に取り外すことができ、他のトレイ30のコネクタ接続部31のSCアダプタ36に接続することにより、容易に接続の切替を行うことができるようになっている。切替の際に余長収納部32から取り出す2次側接続光コード24は、上段トレイ30Aの外周壁37に沿って収納されているので、取り出す際に輻輳することなく容易に取り出すことができる。
【0027】
また、図3(B)に示すように、下段トレイ30Bには、1次側接続光コード14と1次側光ファイバ心線13とを接続する1次側接続部33と、2次側接続光コード24と2次側光ファイバ心線23とを接続する2次側接続部34とを収納している。従って、1次側接続光コード14は、一端が下段トレイ30Bの1次側接続部33において1次側光ファイバ心線13に接続され、他端は上段トレイ30Aへ引き込まれて4心分岐モジュール35のSCアダプタ36に接続されることになる。また、2次側接続光コード24は、一端が下段トレイ30Bの2次側接続部34において2次側光ファイバ心線23に接続され、他端は上段トレイ30Aの余長収納部32を経てコネクタ24aに接続されることになる。1次側接続部33および2次側接続部34においては、融着接続またはメカニカルスプライスによって接続することができる。なお、例えば1次側接続部33とその余長33aを下段トレイ30B内の左部分に設け、2次側接続部34とその余長34aを右部分に設けるようにして、別個に設けるのが望ましい。また、図4に示すように、下段トレイ30Bの1次側接続部33および余長33aの上に保護カバー38を開閉自在に設けて保護することが望ましい。
【0028】
これにより、1次側接続光コード14と1次側光ファイバ心線13との接続、および2次側接続光コード24と2次側光ファイバ心線23との接続が完了した後は、下段トレイ30Bにおける作業はなくなるので、コネクタ接続の切替は、上段トレイ30Aのみで行うことができる。すなわち、2次側接続光コード24のコネクタ24aを取り外して所望の別のトレイ30のアダプタ36に接続することにより、容易に切替を行うことができる。この際、余分な配線がないので、作業性が良く、誤作業を防止することができる。また、2次側接続光コード24に要求される最大長さは、最上部のトレイ30と最下部のトレイ30とが接続可能である長さであり一定であるので、過大な余長を設ける必要がなく、配線の輻輳を防止することができる。
【0029】
図5(A)および(B)に示すように、前述したトレイ30をスプリッタモジュール用トレイ40として使用することができる。図5(B)に示すように、下段トレイ40Bには、スプリッタの出力側8心を融着接続かメカニカルスプライス接続できる接続部41と、余長収納部42が設けられている。図5(A)に示すように、上段トレイ40Aには、スプリッタモジュール44および余長収納部45が設けられている。スプリッタモジュール44は左右に移動可能となっており、この移動量Lによって必要切替用余長差を確保している。余長収納部45では、上述したトレイ30と同様に、外周壁46に沿って2周回して収納されている。なお、スプリッタ入力側光コード43は予めコード化されており、他のトレイ30のSCアダプタ36と接続可能となっている。スプリッタモジュール44のSCアダプタ47は、他のトレイ30からきた2次側接続光コード24のコネクタ24aと接続されるようになっている。
【0030】
以上、説明した光成端箱10によれば、トレイ30に1次側光ファイバ心線13と接続するための1次側接続光コード14と、2次側光ファイバ心線23と接続するための2次側接続光コード24を収納して、コネクタ接続部31により1次側接続光コード14と2次側接続光コード24とを接続しておくので、配線を整理しておくことができる。従って、現地では、1次側光ケーブル11を1次側接続光コード14と接続するとともに、2次側光ケーブル21を2次側接続光コード24と接続することにより、1次側の光ケーブル11と2次側の光ケーブル21を接続することができる。また、2次側接続光コード24は、他の全てのトレイ30のコネクタ接続部31と接続することができる長さの切替用余長25をトレイ30内の余長収納部33に有するので、容易に切替を行うことができ、誤作業を防止することができる。
【0031】
次に、光成端箱の配線方法について説明する。
上述したトレイ30に、光コネクタとしてのSCアダプタ36付きの1次側接続光コード14を配線するとともに1次側光ファイバ心線13と接続するための余長を収納し、光コネクタ24a付きの2次側接続光コード24を配線するとともに切替用余長25を確保して2次側光ファイバ心線23と接続するための余長を収納しておき、現地にて1次側接続光コード14と1次側光ケーブル11を接続するとともに2次側接続光コード24に2次側光ケーブル21を接続する。
【0032】
配線方法について、さらに詳述する。まず、ベース板10aをネジにより所定位置に取り付け、先端が処理済の1次側ケーブル11を1次側光ケーブル導入部12に取り付ける。識別チューブを付けて1次側配線ガイド12bの溝12cに配線し、配線ダクト15に通す。予め、4心分岐モジュール35が取り付けられ、1次側接続光コード14およびコネクタ24aが付いた2次側接続光コード24が配線されたトレイ30をベース板10aに取り付ける。各トレイ30において、1次側光ファイバ心線13を下段トレイ30Bに配線して、1次側接続光コード14と1次側光ケーブル11を接続して余長を収納する。次に、先端が処理済の2次側ケーブル21を2次側光ケーブル導出部22に取り付ける。識別チューブを付けて2次側配線ガイド22bの溝22cに配線し、各トレイ30の下段トレイ30Bに4心ずつ配線し、2次側接続光コード24と2次側光ケーブル21を接続して余長を収納する。最後に、最下段にスプリッタモジュール用トレイ40を取り付ける。
【0033】
このように構成された光成端箱の配線方法においては、予めトレイ30内においてSCアダプタ36付きの1次側接続光コード14を余長とともに収納し、光コネクタ24a付きの2次側接続光コード24を切替用余長25を確保して配線するとともに余長を収納してあるので、現地においては、1次側接続光コード14と1次側光ケーブル11を接続するとともに2次側接続光コード24に2次側光ケーブル21を接続するだけで1次側光ケーブル11と2次側光ケーブル21とを接続することができる。また、コネクタ接続しているので、容易に接続の切替を行うことができる。
【0034】
なお、本発明の光成端箱は、前述した実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形,改良等が可能である。例えば、光成端箱10内に設けるトレイ30の段数等は、任意である。
【産業上の利用可能性】
【0035】
以上のように、本発明に係る光成端箱は、トレイに1次側光ファイバ心線と接続するための1次側接続光コードと、2次側光ファイバ心線と接続するための2次側接続光コードを収納して、コネクタ接続部により1次側接続光コードと2次側接続光コードとを接続しておくので、配線を整理しておくことができる。従って、現地では、1次側光ケーブルを1次側接続光コードと接続するとともに、2次側光ケーブルを2次側接続光コードと接続することにより、1次側の光ケーブルと2次側の光ケーブルを接続することができる。また、2次側接続光コードは、他の全てのトレイのコネクタ接続部と接続することができる長さの切替用余長をトレイ内の余長収納部に有するので、容易に切替を行うことができ、誤作業を防止することができるという効果を有し、外部から建物内に光ファイバを引き込む際に、外部の光ケーブルと建物内の光ケーブルとを容易に接続し、あるいは接続しなおすことができる光成端箱等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】(A)は本発明の実施形態にかかる光成端箱の内部を示す正面図である。 (B)は図1(A)中B方向から見た側面図である。 (C)は平面図である。
【図2】(A)は上段トレイと下段トレイとを重ねた状態を示す平面図である。 (B)は図2(A)中B−B位置の断面図である。 (C)は図2(A)中C−C位置の断面図である。
【図3】(A)は上段トレイの平面図である。 (B)は下段トレイの平面図である。
【図4】下段トレイにおける1次側を保護している状態を示す平面図である。
【図5】(A)はスプリッタモジュール用トレイにおける上段トレイを示す斜視図である。 (B)は下段トレイを示す斜視図である。
【図6】(A)は従来の光成端箱を示す正面図である。 (B)は従来の光成端箱を示す平面図である。 (C)は従来の光成端箱を示す側面図である。
【符号の説明】
【0037】
10 光成端箱
11 1次側光ケーブル
12 1次側光ケーブル導入部
13 1次側光ファイバ心線
14 1次側接続光コード
21 2次側光ケーブル
22 2次側光ケーブル導出部
23 2次側光ファイバ心線
24 2次側接続光コード
25 切替用余長
30 トレイ
30A 上段トレイ(第1の段)
30B 下段トレイ(第2の段)
31 コネクタ接続部
32 余長収納部
33 1次側接続部
33a 余長
34 2次側接続部
34a 余長
37 外周壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外の1次側光ケーブルを屋内に引き込むための1次側光ケーブル導入部と、屋内における所望の位置に2次側光ケーブルを引き出すための2次側光ケーブル導出部と、前記1次側光ケーブルに収容されている1次側光ファイバ心線と前記2次側光ケーブルに収容されている2次側光ファイバ心線とを接続するための複数のトレイを備えた光成端箱であって、
前記トレイは、前記1次側光ファイバ心線と接続する1次側接続光コードと、前記2次側光ファイバ心線と接続する2次側接続光コードと、前記1次側接続光コードと前記2次側接続光コードとを接続するコネクタ接続部を収納し、
前記2次側接続光コードは前記トレイ内に他のトレイに収納されたコネクタ接続部と切り替え可能な長さの切替用余長を有するとともに、前記切替用余長を収納する余長収納部が前記トレイに設けられていることを特徴とする光成端箱。
【請求項2】
前記トレイは第1の段および第2の段からなる2段構成となっており、
前記第1の段は前記コネクタ接続部と前記余長収納部を有し、
前記第2の段は前記1次側接続光コードと前記1次側光ファイバ心線とを接続する1次側接続部と、前記2次側接続光コードと前記2次側光ファイバ心線とを接続する2次側接続部とを収納していることを特徴とする請求項1に記載の光成端箱。
【請求項3】
前記第2の段は、前記1次側接続部およびその余長と、前記2次側接続部およびその余長とを、それぞれ個別に収納していることを特徴とする請求項2に記載の光成端箱。
【請求項4】
前記余長収納部は、前記第1の段の外周壁の内面に沿って設けられていることを特徴とする請求項2または3に記載の光成端箱。
【請求項5】
前記複数のトレイは前記光成端箱内で前方に向かって斜め下方に向いた状態で積層され、前記各トレイは上方に持ち上げた状態で固定可能であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の光成端箱。
【請求項6】
前記1次側光ケーブル導入部および前記2次側光ケーブル導出部はともに前記トレイの左右両外側へ導線する形状であり、複数本の溝を備え、それぞれの溝に収納される光ファイバ心線がいずれのトレイと対応しているか識別可能であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の光成端箱。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の光成端箱の前記トレイに、光コネクタ付きの前記1次側接続光コードを配線するとともに前記1次側光ファイバ心線と接続するための余長を収納し、光コネクタ付きの前記2次側接続光コードを配線するとともに切替用余長を確保して前記2次側光ファイバ心線と接続するための余長を収納しておき、現地にて前記1次側接続光コードと前記1次側光ケーブルを接続するとともに前記2次側接続光コードに前記2次側光ケーブルを接続することを特徴とする光成端箱の配線方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−293136(P2007−293136A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−122718(P2006−122718)
【出願日】平成18年4月26日(2006.4.26)
【出願人】(000231936)日本通信電材株式会社 (98)
【出願人】(000163394)株式会社コミューチュア (12)
【Fターム(参考)】