説明

光測定装置及び光ファイバ線路試験方法

【課題】本発明は、OTDR測定及び光強度測定を行うことの可能な光測定装置及び光ファイバ線路試験方法の提供を目的とする。
【解決手段】本願発明の光測定装置は、被測定光ファイバ100のOTDR測定を行う接続部14と、レーザモジュール12と、第1の受光器15と、光カプラ13と、OTDR測定部18−1と、を備えた光測定装置において、第2の受光器21と、第2の受光器21で受光した光の光強度を測定する光強度測定部18−2と、を備え、光カプラ13は、接続部14に入射された信号光Sをレーザモジュール12に出射し、当該信号光Sがレーザモジュール12で反射した反射光Sを第2の受光器21に出射し、光強度測定部18−2は、信号光Sの光強度を測定することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、OTDR測定及び光強度測定を行う光測定装置及び光ファイバ線路試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバの敷設、保守に用いられる測定装置として、OTDR(Optical Time Domain Reflectometer)が知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1の光測定装置は、被測定光ファイバに接続可能な接続部と、光パルスを発生するレーザモジュールと、被測定光ファイバに入射された光パルスの戻り光を受光する受光器と、を備え、OTDR測定を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−167417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光ファイバの敷設、保守の現場では、実際に被測定光ファイバの一端に信号光を入射し、被測定光ファイバの他端でこの信号光を受光して、光強度測定装置(OPM:Optical Power Meter)を用いて光強度の測定も行われる。このように、敷設、保守の担当者は、OTDR測定のほかに、信号光の光源装置(LS:Light Source)や光強度測定装置など、多数の測定装置を準備し、現場に携帯していかなければならなかった。
【0005】
そこで、本発明は、OTDR測定及び光強度測定を1台の装置で行うことの可能な光測定装置及び光ファイバ線路試験方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明の光測定装置は、被測定光ファイバが接続可能な接続部(14)と、所定波長の光パルスである測定光を発生し前記接続部を介して前記被測定光ファイバに向けて出射するレーザモジュール(12)と、前記被測定光ファイバから前記接続部を介して入射される前記光パルスの戻り光を受光して当該戻り光を電気信号に変換する第1の受光器(15)と、前記レーザモジュールから出射される前記測定光を受けて前記接続部に出射するとともに、前記接続部からの前記戻り光を受けて、当該戻り光を前記第1の受光器に出射する光カプラ(13)と、前記第1の受光器の電気信号に基づいて、前記被測定光ファイバの特性を測定するOTDR測定部(18−1)と、を備えた光測定装置において、受光した光を電気信号に変換する第2の受光器(21)と、当該電気信号に基づいて前記第2の受光器で受光した光の光強度を測定する光強度測定部(18−2)と、を備え、前記光カプラは、外部の光源からの信号光が前記被測定光ファイバを介して前記接続部に入射されたとき、当該信号光を前記接続部から受けて前記レーザモジュールに出射するとともに、当該信号光が前記レーザモジュールで反射した反射光を受けて前記第2の受光器に出射し、前記光強度測定部は、前記第2の受光器で受光した前記反射光の光強度を用いて、前記信号光の光強度を測定することを特徴とする。
【0007】
接続部と、レーザモジュールと、第1の受光器と、光カプラと、OTDR測定部と、を備えるため、OTDR測定を行うことができる。接続部と、光カプラと、第2の受光器と、光強度測定部と、を備えるため、光強度測定を行うことができる。ここで、第2の受光器は、信号光がレーザモジュールで反射した反射光を受光するため、共通の接続部に被測定光ファイバを接続した状態でOTDR測定及び光強度測定を行うことができる。したがって、本願発明の光測定装置は、OTDR測定及び光強度測定を1台の装置で行うことができる。
【0008】
本願発明の光測定装置では、前記レーザモジュールは、所定波長の連続波光と前記所定波長の光パルスとのいずれかの測定光を選択的に発生し、前記光カプラは、前記レーザモジュールから出射される前記測定光を受けて2つに分岐し、一方を前記接続部に出射し、他方を前記第2の受光器に向けて出射し、前記第2の受光器の電気信号に基づいて、前記レーザモジュールが発生する前記連続波の光強度を安定化させる光強度制御部(33)をさらに備えてもよい。
レーザモジュールが連続波光を発生し、光強度制御部を備えるため、光接続部から光強度の安定した連続波光を出力することができる。これにより、本願発明の光測定装置は、連続波光源としての機能も備えることができる。
【0009】
本願発明の光測定装置では、前記光カプラは、前記接続部から受けた前記信号光を2つに分岐し、分岐した当該信号光の一方を前記レーザモジュールに出射するとともに、分岐した当該信号光の他方を前記第1の受光器に出射し、前記光強度測定部は、前記信号光の光強度が所定の閾値以上の場合は、前記第2の受光器で受光した前記反射光の光強度を用いて前記信号光の光強度を測定し、前記信号光の光強度が所定の閾値未満の場合は、前記第1の受光器で受光した前記他方の信号光の光強度を用いて前記信号光の光強度を測定してもよい。
これにより、信号光の強度を広い範囲にわたって測定することができる。
【0010】
本願発明の光測定装置では、前記光強度測定部は、前記反射光の光強度を予め記憶した補正値で補正して、前記信号光の光強度を算出してもよい。
【0011】
本願発明の光ファイバ線路試験方法は、所定波長の光パルスをレーザモジュールで発生して被測定光ファイバに出射し、前記被測定光ファイバから入射される前記光パルスの戻り光を受光して前記被測定光ファイバの特性を測定する光測定装置を用いた光ファイバ線路試験方法において、前記被測定光ファイバを前記光測定装置に接続する接続手順(S101)と、前記被測定光ファイバの特性を測定するための第1の測定(S210)と前記被測定光ファイバを介して入射された外部の光源からの信号光の光強度を測定するための第2の測定(S220)とを含む測定を行う測定手順(S102)と、前記被測定光ファイバを前記光測定装置から外す脱離手順(S103)と、を順に有し、前記第1の測定は、前記光パルスを前記レーザモジュールで発生し前記被測定光ファイバに出射する出射手順(S211)と、前記被測定光ファイバからの前記光パルスの戻り光を受光して当該戻り光を電気信号に変換する戻り光受光手順(S212)と、当該電気信号に基づいて、前記被測定光ファイバの特性を測定する特性測定手順(S213)と、を順に有し、前記第2の測定は、前記被測定光ファイバを介して入射された外部の光源からの信号光を前記レーザモジュールで反射させる反射手順(S221)と、前記反射手順で反射させた反射光を受光して電気信号に変換する反射光受光手順(S222)と、当該電気信号に基づいて、前記信号光の光強度を測定する光強度測定手順(S223)と、を順に有することを特徴とする。
【0012】
接続手順と、第1の測定と、脱離手順と、を有するため、OTDR測定を行うことができる。接続手順と、第2の測定と、脱離手順と、を有するため、光強度測定を行うことができる。ここで、第2の測定が反射手順、反射光受光手順及び光強度測定手順を有するため、光ファイバを接続し直すことなく、OTDR測定及び光強度測定を行うことができる。したがって、本願発明の光ファイバ線路試験方法は、OTDR測定及び光強度測定を1台の装置で行うことができる。
【0013】
なお、上記各発明は、可能な限り組み合わせることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、OTDR測定及び光強度測定を1台の装置で行うことの可能な光測定装置及び光ファイバ線路試験方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態1に係る光測定装置の一例を示す。
【図2】実施形態1に係る光ファイバ線路試験方法の一例を示す。
【図3】実施形態3に係る光測定装置の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施の例であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0017】
(実施形態1)
図1に、本実施形態に係る光測定装置の一例を示す。本実施形態に係る光測定装置は、タイミング発生部11と、レーザモジュール12と、光カプラ13と、接続部14と、第1の受光器15と、TIA(Trans−Impedance Amplifier)16と、ADC(Analog−to−Digital Converter)17と、OTDR測定部18−1と、第2の受光器21と、TIA22と、ADC23と、光強度測定部18−2と、表示部19と、を備え、被測定光ファイバ100のOTDR測定を行う。
【0018】
第2の受光器21は、外部の光源からの信号光Sの光強度を測定するための受光器である。第1の受光器15は、戻り光Pの光強度を測定するための受光器である。信号光Sの光強度と戻り光Pの光強度とは異なり、例えば、第1の受光器15にはAPD(Avalanche Photo Diode)を用い、第2の受光器21には例えばPIN型フォトダイオードを用いる。
【0019】
また、本実施形態に係る光測定装置は、接続部14と、光カプラ13と、第2の受光器21と、TIA22と、ADC23と、光強度測定部18−2と、表示部19と、を備え、被測定光ファイバ100によって伝送された信号光Sの光強度測定を行う。
【0020】
接続部14は、被測定光ファイバ100が接続可能である。本実施形態では、接続部14と被測定光ファイバ100を接続した状態で、OTDR測定及び光強度測定の両方を行うことができる。測定部18は、OTDR測定部18−1及び光強度測定部18−2を備える。測定部18には、演算処理回路を用いることができる。表示部19は、測定部18の測定結果を表示する。
【0021】
本実施形態に係る光ファイバ線路試験方法は、所定波長の光パルスである測定光Pをレーザモジュール12で発生して被測定光ファイバ100に出射し、被測定光ファイバ100から入射される光パルスの戻り光Pを受光して被測定光ファイバ100の特性を測定する光測定装置を用いた光ファイバ線路試験方法である。
【0022】
図2に、本実施形態に係る光ファイバ線路試験方法の一例を示す。本実施形態に係る光ファイバ線路試験方法は、接続手順S101と、測定手順S102と、脱離手順S103と、を有する。以下、光ファイバ線路試験方法の詳細について、図1を参照しながら説明する。
【0023】
接続手順S101では、被測定光ファイバ100を光測定装置の接続部14に接続する。測定手順S102では、被測定光ファイバ100の特性を測定するための第1の測定S210と被測定光ファイバ100を介して入射された外部の光源からの信号光Sの光強度を測定するための第2の測定S220とを含む測定を行う。第1の測定S210は、第2の測定S220の前に行ってもよいし、第2の測定S220の後に行ってもよい。脱離手順S103では、被測定光ファイバ100を光測定装置の接続部14から外す。このように、本実施形態に係る光ファイバ線路試験方法では、被測定光ファイバ100を接続しなおさずに、第1の測定S210及び第2の測定S220を行う。
【0024】
第1の測定S210ではOTDR測定を行う。第1の測定S210は、出射手順S211と、戻り光受光手順S212と、特性測定手順S213とを順に有する。
【0025】
出射手順S211では、所定波長の光パルスである測定光Pをレーザモジュール12で発生して出力する。例えば、タイミング発生部11がレーザモジュール12を駆動する。これにより、レーザモジュール12は、タイミング発生部11からのタイミング信号に基づいたパルス幅とパルス発生間隔とを有する光パルスである測定光Pを発生する。次に、光カプラ13は、レーザモジュール12から出射される測定光Pを受けて接続部14に出射する。これにより、光測定装置は、光パルスである測定光Pを、接続部14を介して被測定光ファイバ100に向けて出射する。
【0026】
戻り光受光手順S212では、被測定光ファイバ100からの光パルスの戻り光Pを受光して当該戻り光Pを電気信号に変換する。このとき、光カプラ13は、接続部14からの戻り光Pを受けて、当該戻り光Pを第1の受光器15に出射する。第1の受光器15は、被測定光ファイバ100から接続部14を介して入射される光パルスの戻り光Pを受光して当該戻り光Pを電気信号に変換する。TIA16は、第1の受光器15からの電気信号の電流値を電圧値に変換する。ADC17は、TIA16からのアナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0027】
特性測定手順S213では、OTDR測定部18−1は、ADC17からの電気信号に基づいて、被測定光ファイバ100の特性を測定し、測定結果としてのOTDR測定波形を表示部19に表示する。これにより、本実施形態に係る光測定装置は、被測定光ファイバ100の特性を測定することができる。
【0028】
第2の測定S220では光強度測定を行う。第2の測定S220は、反射手順S221と、反射光受光手順S222と、光強度測定手順S223と、を順に有する。
【0029】
反射手順S221では、外部の光源からの信号光Sが被測定光ファイバ100を介して接続部14に入射される。光カプラ13は、信号光Sを接続部14から受けてレーザモジュール12に出射する。このとき、信号光Sは、レーザモジュール12で反射される。例えば、レーザモジュール12にはフェルールが組み込まれており、光カプラ13とレーザモジュール12を結ぶ光ファイバの端面がフェルール内で固定されている。このフェルール内の光ファイバの端面で信号光Sが反射する。これにより、被測定光ファイバ100を介して入射された外部の光源からの信号光Sをレーザモジュール12で反射させる。光カプラ13は、信号光Sがレーザモジュール12で反射した反射光Sを受けて第2の受光器21に出射する。このとき、光カプラ13と第1の受光器15の間に設けてある光シャッタ(不図示)を閉じ、信号光Sが光カプラ13から第1の受光器15に入射しないようにしてもよい。
【0030】
反射光受光手順S222では、反射手順S221で反射させた反射光Sを受光して電気信号に変換する。このとき、光カプラ13は、信号光Sがレーザモジュール12で反射した反射光Sを受けて第2の受光器21に出射する。第2の受光器21は、受光した光を電気信号に変換する。TIA22は、第1の受光器21からの電気信号の電流値を電圧値に変換する。ADC23は、TIA22からのアナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0031】
光強度測定手順S223では、ADC23からの電気信号に基づいて、信号光Sの光強度を測定する。例えば、光強度測定部18−2は、第2の受光器21で受光した反射光Sの光強度を測定する。そして、光強度測定部18−2は、予め記憶した補正値で、反射光Sを変換した電気信号を補正して、信号光Sの光強度を算出する。補正値は、例えば、接続部14に入射時の光強度と第2の受光器21で受光した光強度との差分を予め波長ごとに測定しておき、反射光Sの光強度と信号光Sの光強度との対応表を光強度測定部18−2に格納する。これにより、本実施形態に係る光測定装置は、光強度測定を行うことができる。
【0032】
(実施形態2)
光強度測定を行う際、信号光Sの光強度が弱い場合もある。そこで、本実施形態に係る光測定装置は、信号光Sの光強度が強いときは第2の受光器21が反射光Sを受光し、信号光Sの光強度が弱いときは第1の受光器15が信号光Sを受光する。
【0033】
例えば、第2の受光器21が所定の閾値以上の光強度の光を受光し、第1の受光器15が所定の閾値未満の光強度の光を受光する。第2の受光器21の所定の閾値と、第1の受光器15の所定の閾値とは、同一であってもよいし、異なってもよい。本構成を採用することで、信号光Sの光強度を2つの受光器を用いて測定することができる。
【0034】
より詳細には、光カプラ13は、信号光Sを接続部14から受けて2つに分岐するようになっている。分岐した信号光Sの一方は、レーザモジュール12に出射されて反射し、第2の受光器21で受光され、光強度測定部18−2で光強度が測定される。分岐した信号光Sの他方は、第1の受光器15で受光される。そして、図1に破線で示すように、光強度測定部18−2は、第1の受光器15からの電気信号をADC17を介して受ける。なお、図1では、光カプラ13で分岐した信号光Sの一方及び他方の両方とも、符号Sで示している。正確には、信号光Sの一方及び他方は光カプラ13で分岐されているため、それぞれの光強度が接続部14に入力されたときの信号光Sよりも低下している。
【0035】
また、光強度測定部18−2は、前述の第2の受光器21に対応する補正値と同様に、接続部14に入射時の光強度と第1の受光器15で受光した光強度との差分を予め波長ごとに測定しておき、第1の受光器15に対応する補正値として格納している。そして、光強度測定部18−2は、第1の受光器15からの電気信号をこの補正値で補正して、信号光Sの光強度を算出する。
【0036】
ここで、前述のように、第1の受光器15には例えばAPD、第2の受光器21には例えばPIN型フォトダイオードが用いられている。一般にAPDはPIN型フォトダイオードより低レベルの光強度が測定可能であり、PIN型フォトダイオードはAPDより高レベルの光強度が測定可能であるという特性を有する。
【0037】
そして、光強度測定部18−2は、測定する光強度について、内部に予め前述の閾値を設けておき、第1の受光器15で受光し補正して算出した信号光Sの光強度、又は、第2の受光器21で受光し補正して算出した信号光Sの光強度のいずれかをこの閾値と比較する。そして、信号光Sの光強度が閾値以上の場合は、第2の受光器21で受光し補正して算出した信号光Sの光強度を測定値として用いる。一方、信号光Sの光強度が閾値未満の場合は、第1の受光器15で受光し補正して算出した信号光Sの光強度を測定値として用いる。このように、2つの受光器の特性の違いを利用することで、信号光Sの光強度を広い範囲にわたって測定することができる。
【0038】
(実施形態3)
図3に、本実施形態に係る光測定装置の一例を示す。本実施形態に係る光測定装置は、
実施形態1の光測定装置に加えてスイッチ32及び光強度制御部33をさらに備え、実施形態1で説明したレーザモジュール12に代えてレーザモジュール31を備える。本構成を採用することで、本実施形態に係る光測定装置は、連続光源としての機能も備える。以下、実施形態1では備わっていなかった特徴について説明する。
【0039】
スイッチ32は、TIA22からの電気信号をADC23又は光強度制御部33に選択的に出力する。TIA22とADC23を接続すると、本実施形態に係る光測定装置は、実施形態1で説明したOTDR測定及び光強度測定用の装置として機能する。TIA22と光強度制御部33を接続すると、本実施形態に係る光測定装置は、連続光源として機能する。光測定装置を連続光源として機能させるため、スイッチ32は、TIA22と光強度制御部33を接続する。
【0040】
レーザモジュール31は、所定波長の連続波光と所定波長の光パルスとのいずれかの測定光を測定光Pとして選択的に発生する。例えば、タイミング発生部11の動作を停止させる。これにより、レーザモジュール31は、所定波長の連続波光を光カプラ13に向けて出力することができる。連続波光の波長は、光パルスの波長と同一であってもよい。レーザモジュール31の波長が可変である場合には、連続波光の波長は光パルスの波長と異なってもよい。
【0041】
光カプラ13は、レーザモジュール31から出射される測定光Pを受けて2つに分岐し、一方を接続部14に出射し、他方を第2の受光器21に向けて出射する。第2の受光器21は、測定光Pを電気信号に変換する。TIA22は、第2の受光器21からの電気信号の電流値を電圧値に変換する。スイッチ32は、TIA22からの電気信号を光強度制御部33に出力する。光強度制御部33は、TIA22からの電気信号に基づいて、レーザモジュール12が発生する連続波の光強度を安定化させる。これにより、本実施形態に係る光測定装置は、連続光源として機能し、例えば、光強度測定のための光源として用いることもできる。
【0042】
本実施形態に係る光測定装置は、OTDR及び光強度測定の試験を行うことができるのに加え、さらに連続光源としても用いることができるため、光ファイバの敷設や保守に携帯する装置の数を減らすことができる。また、被測定光ファイバ100を接続しなおすことなくOTDR及び光強度測定の試験並びに連続光を用いた種々の試験も行うことができるため、光ファイバの敷設や保守に要する時間を短縮することができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、情報通信産業に適用することができる。
【符号の説明】
【0044】
11:タイミング発生部
12:レーザモジュール
13:光カプラ
14:接続部
15:第1の受光器
16、22:TIA
17、23:ADC
18−1:OTDR測定部
18−2:光強度測定部
19:表示部
21:第2の受光器
31:レーザモジュール
32:スイッチ
33:光強度制御部
100:被測定光ファイバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定光ファイバが接続可能な接続部(14)と、
所定波長の光パルスである測定光を発生し前記接続部を介して前記被測定光ファイバに向けて出射するレーザモジュール(12)と、
前記被測定光ファイバから前記接続部を介して入射される前記光パルスの戻り光を受光して当該戻り光を電気信号に変換する第1の受光器(15)と、
前記レーザモジュールから出射される前記測定光を受けて前記接続部に出射するとともに、前記接続部からの前記戻り光を受けて、当該戻り光を前記第1の受光器に出射する光カプラ(13)と、
前記第1の受光器の電気信号に基づいて、前記被測定光ファイバの特性を測定するOTDR(Optical Time Domain Reflectometer)測定部(18−1)と、
を備えた光測定装置において、
受光した光を電気信号に変換する第2の受光器(21)と、
当該電気信号に基づいて前記第2の受光器で受光した光の光強度を測定する光強度測定部(18−2)と、を備え、
前記光カプラは、外部の光源からの信号光が前記被測定光ファイバを介して前記接続部に入射されたとき、当該信号光を前記接続部から受けて前記レーザモジュールに出射するとともに、当該信号光が前記レーザモジュールで反射した反射光を受けて前記第2の受光器に出射し、
前記光強度測定部は、前記第2の受光器で受光した前記反射光の光強度を用いて、前記信号光の光強度を測定することを特徴とする光測定装置。
【請求項2】
前記レーザモジュールは、所定波長の連続波光と前記所定波長の光パルスとのいずれかの測定光を選択的に発生し、
前記光カプラは、前記レーザモジュールから出射される前記測定光を受けて2つに分岐し、一方を前記接続部に出射し、他方を前記第2の受光器に向けて出射し、
前記第2の受光器の電気信号に基づいて、前記レーザモジュールが発生する前記連続波の光強度を安定化させる光強度制御部(33)をさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の光測定装置。
【請求項3】
前記光カプラは、前記接続部から受けた前記信号光を2つに分岐し、分岐した当該信号光の一方を前記レーザモジュールに出射するとともに、分岐した当該信号光の他方を前記第1の受光器に出射し、
前記光強度測定部は、
前記信号光の光強度が所定の閾値以上の場合は、前記第2の受光器で受光した前記反射光の光強度を用いて前記信号光の光強度を測定し、
前記信号光の光強度が所定の閾値未満の場合は、前記第1の受光器で受光した前記他方の信号光の光強度を用いて前記信号光の光強度を測定する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の光測定装置。
【請求項4】
前記光強度測定部は、前記反射光の光強度を予め記憶した補正値で補正して、前記信号光の光強度を算出する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の光測定装置。
【請求項5】
所定波長の光パルスをレーザモジュールで発生して被測定光ファイバに出射し、前記被測定光ファイバから入射される前記光パルスの戻り光を受光して前記被測定光ファイバの特性を測定する光測定装置を用いた光ファイバ線路試験方法において、
前記被測定光ファイバを前記光測定装置に接続する接続手順(S101)と、
前記被測定光ファイバの特性を測定するための第1の測定(S210)と前記被測定光ファイバを介して入射された外部の光源からの信号光の光強度を測定するための第2の測定(S220)とを含む測定を行う測定手順(S102)と、
前記被測定光ファイバを前記光測定装置から外す脱離手順(S103)と、
を順に有し、
前記第1の測定は、
前記光パルスを前記レーザモジュールで発生し前記被測定光ファイバに出射する出射手順(S211)と、
前記被測定光ファイバからの前記光パルスの戻り光を受光して当該戻り光を電気信号に変換する戻り光受光手順(S212)と、
当該電気信号に基づいて、前記被測定光ファイバの特性を測定する特性測定手順(S213)と、を順に有し、
前記第2の測定は、
前記被測定光ファイバを介して入射された外部の光源からの信号光を前記レーザモジュールで反射させる反射手順(S221)と、
前記反射手順で反射させた反射光を受光して電気信号に変換する反射光受光手順(S222)と、
当該電気信号に基づいて、前記信号光の光強度を測定する光強度測定手順(S223)と、を順に有する
ことを特徴とする光ファイバ線路試験方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−8104(P2012−8104A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−146727(P2010−146727)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(000000572)アンリツ株式会社 (838)
【Fターム(参考)】