説明

光源付き電動歯ブラシ及び使用方法

開示されたのは、その上に配設された電動要素を有する電動歯ブラシと組み合わせて口腔ケア組成物を使用することにより、口腔ケアの利益を提供するための方法である。特に、歯の美白及び染み除去を提供するために、発光要素を備える電動歯ブラシを口腔ケア組成物と共に用いるための方法が記載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光要素を使用する光源付き電動歯ブラシに関する。より詳細には、本発明は、口腔の表面を治療するために用い得る物質と組み合わされた、電動要素を備える電動歯ブラシの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
歯垢、歯肉炎、歯周病、及び歯の変色はすべて、多くの人々に影響する望ましくない状態である。特に、白い歯は美容上望ましいと長い間考えられてきた。あいにく、内部の供給源、例えば血液、アマルガム修復材、及びテトラサイクリンのような抗生物質に加えて、食品、飲料、煙草、及び唾液中の発色物質の存在が原因で、歯はしばしば変色する。歯の染みを除去する又は破壊するために使用できる既存の戦略の多くは、発色性分子を無色に、水溶性に、又は両方にするようなやり方で、発色性分子を攻撃するために過酸化水素を包含する。更に、幾つかの美白手順は、特定の化学物質と組み合わされた光及び/又はレーザーの使用を包含する。しかしながら、美白のような口腔ケアの利益を送給するために十分な強度の光を使用することは、消費者に専門的な診療室での手順を行うことをこれまでは要求してきた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在使用できる診療所外での治療には、トレイ及び/又はストリップ上での、より低濃度の過酸化水素の使用が挙げられる。しかしながら、診療所外での治療の大部分は、光を使用せず、特に望ましい口腔ケアの利益をもたらすのに十分な強度の光を使用していない。そのため、認識される消費者の要求は、消費者が家庭で用いる時に、望ましい口腔ケアの利益を送給できる質と量の光を同様に送給できる、光を使用する低価格の市販の口腔ケアシステムである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、口腔ケアの利益を提供する方法を提供し、この方法は:口腔ケア物質の均一なコーティングを送給装置上に適用すること、口腔ケア物質が複数個の歯の表面に接触し、口腔ケア物質が活性物質を前記複数個の歯の上に提供するように、複数個の歯の表面に口腔ケア物質を備えた前記送給装置を適用すること、
送給装置を複数個の歯から除去すると共に口腔ケア物質の少なくとも一部分を送給装置から歯の上に放出し、ヘッド、ハンドル、可動毛ホルダー、及び電動要素を備える電動歯ブラシにより歯をブラッシングすることを含み、電動要素は歯ブラシのヘッドの上に配設され及びヘッドからエネルギーを放射する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
本発明は、特定の部品及び部品の配設において物理的形態を取ってもよく、その実施形態はこの明細書に詳細に記載され、及びその一部分を形成する添付図面において図解される。
【0006】
一般に、本発明は、ヘッド上に配設された、発光ダイオード、白熱灯要素を用いる発光要素、レーザー要素、ハロゲン要素、ネオン要素、蛍光要素、プラズマ要素、キセノン要素、フロッシング要素、マッサージ要素、掻き取り要素、発熱要素、音波発生要素、超音波発生要素、電流発生要素、物質放出要素、及び/又はこれらのいずれかの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない1つ以上の電動要素を有する口腔ケア用具と組み合わせて用いられる口腔ケア物質に関する。こうした口腔ケア用具には、電動歯ブラシ、電動フロッサー、歯の艶出し器、歯肉マッサージ器などを挙げることができるがこれらに限定されない。口腔ケア物質は、指導による使用の際に、それが適用される口腔表面を損ねることなく、ユーザーが所望する利益を促進する濃度で活性物質を含有する。これらの活性物質が対処できる口腔の状態の例には、歯の外観及び構造の変化、美白、染み漂白、染み除去、歯垢除去、歯石除去、虫歯の予防及び治療、炎症を起こした及び/又は出血している歯肉、粘膜創傷、損傷、潰瘍、アフター性潰瘍、ヘルペス、及び歯の膿瘍(tooth abcesses)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0007】
本明細書で使用する時、電動要素という用語は、要素が配設される場所で電気エネルギーを変換できるあらゆる電動要素を包含する。例えば、発光要素は、電動歯ブラシのヘッド上のような要素が配設される場所で、電気エネルギーを光に変換できる。簡便のため、以後本発明は、その上に発光要素が配設されるヘッドを有する電動歯ブラシに具体化されるとして論じられる。こうした電動歯ブラシは、個人衛生において、個人の歯及び歯肉を、電動要素が作動されている間に電動動作を用いて洗浄するために用いることができる。本発明はまた、交換可能な又は取り外し可能なヘッド及び/又はネックを有する電動歯ブラシにも関する。その上本発明は、美白のような口腔ケアの利益を、本発明の歯ブラシ及び物質を用いて送給するための方法に関する。光は、歯に漂白をより受けやすくさせることにより、及び/又は口腔ケア物質中の化学物質を活性化させ、それによって口腔ケア物質のみから得られる口腔ケアの利益を高めることにより、歯の美白を改善することができる。所望の口腔ケアの利益の例には、美白、染み漂白、染み除去、ミネラル補給、歯垢除去、及び歯石除去が挙げられるがこれらに限定されない。更に、本発明により製造された電動歯ブラシは、口腔ケア物質を含むキットにおいて販売できる。歯の美白、染み除去、及び/又は歯垢除去が挙げられるがこれらに限定されない異なる口腔ケア物質をキットの中に包含することができる。
【0008】
A.口腔ケア用具
本発明の口腔ケア用具は、ヘッド上に配設された、発光ダイオード、白熱灯要素を用いる発光要素、レーザー要素、ハロゲン要素、ネオン要素、蛍光要素、プラズマ要素、キセノン要素、フロッシング要素、マッサージ要素、掻き取り要素、発熱要素、音波発生要素、超音波発生要素、電流発生要素、物質放出要素、及び/又はこれらのいずれかの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない1つ以上の電動要素を有する。こうした口腔ケア用具には、電動歯ブラシ、電動フロッサー、歯の艶出し器、歯肉マッサージ器などを挙げることができるがこれらに限定されない。簡便のため、本発明は、発光要素を備える電動歯ブラシとして見なされるものとする。
【0009】
本明細書で使用する時、用語「光」は、可視及び非可視(例えば紫外線及び赤外線)光の両方のスペクトルを包含することを意図する本発明の歯ブラシの1つの実施形態では、発光要素から放射される光は、約370、390、410、430、450、470、490、510、530、550、570、590、610、630、650、670、690、710nm以上、及び/又は約770、750、730、710、690、670、650、630、610、500、400nm未満であり得る。別の実施形態では、放射される光は、約420、430、440、450、460、470、480、及び/又は490nmより大きい波長、及び/又は約490、480、470、460、450、440、430nm未満の波長を有することができる。更に別の実施形態では、放射される光は、約420、430、440、450、460、470nm以上の波長、及び/又は約470、460、450、430nm未満の波長を有することができる。選択された特定範囲の波長が光の所望の色に依存し得ることは理解される。1つの実施形態では、放射される光は青色であり得る。
【0010】
口腔ケアの用具もまた特定強度の光を放射することができる。強度は、カンデラ(又はルーメン/ステラジアン)で測定された光度、又はW/m2で測定された束密度(flux density)のいずれかであり得る。1つの実施形態では、本発明の光源付き電動歯ブラシの束密度(flux density)は、約20、30、35、40、45、50、55、60、70、100、200、250mW/cm2以上、及び/又は約300、250、200、150、100、70、60、50、40、30mW/cm2未満、又はこれらのいずれかの組み合わせである。
【0011】
1つの実施形態では、電動歯ブラシは、細長い本体部分又はハンドル、ヘッド、及びヘッド及びハンドル間に伸びるネックを包含する。1つ以上の発光要素が、ヘッド上に、その上に複数個の毛を有する1つ以上の不動の又は可動の毛ホルダーに隣接して、その上に、又はその中に提供され得る。毛は、1つ以上の群に又は房に形成されてもよい。特定の実施形態では、発光要素は、揺動する毛ホルダーの中心の又は運動の軸に位置付けることができる。更に、発光要素は、可動毛ホルダーの回転の軸及び/又は中心としての役目をするピンとして作用することができる。発光要素は不動であることもできるし、又は要素が毛ホルダーと共に動くように、それは可動毛ホルダーに固定されていることもできる。毛ホルダーは、特定の実施形態では、そこを通る光の通過を促進する領域、例えば開口を特徴とすることができる。その領域は、透明又は半透明の材料で形成されてもよいし、あるいはその領域は毛を実質的に含まない開口又はその他の開いた領域であることもでき、それによって光の通過を可能にすることができる。この領域は、可動毛ホルダーの中心を包含する、歯ブラシのヘッドのいずれの部分においても提供できる。
【0012】
ヘッドは、長手方向軸、1つ以上の可動毛ホルダー又は支持材料、及び任意に1つ以上の不動の又は固定された毛ホルダーを包含する。可動毛ホルダーは回転、旋回、螺旋回転、揺動、直線的に往復してもよいし、又は動きのいずれかの組み合わせを経験してもよい。本発明の電動歯ブラシによって提供される動きの種類は、広く異なることができる。静止毛ホルダー及びその上に配設された静止毛の配設もまた広く異なることができる。例えば、静止毛は部分的に又は全体的に、可動毛ホルダーを囲んでもよく、又は可動毛ホルダー間の隙間に配設されてもよい。幾つかの毛ホルダーの動き及び本発明に関して用いるのに適した毛の配設の例は、米国特許出願公開第20030126699、米国特許出願公開第20030084525、米国特許出願公開第20030084524、米国特許出願公開第20030084526、及びPCT国際公開特許WO03/063723、及びPCT国際公開特許WO03/063722に記載されている。毛は、ポリエチレンのような従来の非エラストマー材料から製造することもできるし、又は天然若しくは合成ゴム、ポリオレフィン、ポリエーテルアミド、ポリエステル、スチレンポリマー、ポリウレタンなどのエラストマー材料、又は材料の組み合わせから製造することもできる。
【0013】
ハンドルは、中空の部分を有し、その中にはモーターが配設されており、このモーターは可動毛ホルダーに動作可能なように接続されている。シャフトはモーターからネックを通り及びヘッドの少なくとも一部分の中に伸びる。シャフトは、モーターにより駆動される時1つ以上の動きを可動毛ホルダーに付与するために、回転、揺動、直線的に往復、螺旋回転、軌道を周回してもよいし、又は円錐形式に動いてもよい。歯車装置の配設は、モーターとシャフトとの間、又はシャフトと可動毛ホルダーとの間にそこに動きを付与するために提供され得る。代表的なシャフト及び/又は歯車装置の配設は、米国特許第6,360,395号、及び第5,617,601号、及び米国特許出願2003/0134567及び2003/0163881、並びに本明細書で参照されるその他の特許及び特許公報に示されている。ハンドルはまた、モーター及び発光要素に電力を供給するためにその中に配設される1つ以上の電池のような電源を有する。あるいは、電動歯ブラシは、モーターに電力を供給するために外部電源に接続されてもよい。スイッチが、モーター及び/又は発光要素を作動させるためにハンドル上に配設される。スイッチは作動装置ボタン及び金属接点を包含する。スイッチは、成形された作動装置ボタンを下に押すことにより手動で押下され、この作動装置ボタンは金属接点を押し、従来の瞬間スイッチのように回路を完成させる。スイッチは、ランプ設計を通じて、作動装置ボタンを押下し及び前方に摺動することにより、従来の連続スイッチのように、連続動作を可能にする。これらの2つの機能を1つのスイッチの中に組み合わせることにより、消費者は購入前に装置を試し及びその動作を見ることができ、包装から出した後も更にそれを連続的に動作させることができる。スイッチはまた1つ以上の発光要素を作動させることができる。発光要素は、モーターが作動されたらいつでも活性化されるが、しかしながら電動歯ブラシはまた発光要素を作動させるように指定されたスイッチを有することもできる。
【0014】
今度は図を参照するが、その際提示するものは本発明の実施形態を説明することだけを目的としており、これを限定することを目的としていない。図1は、本発明の1つの実施形態による光源付き電動歯ブラシ10を示す。電動歯ブラシは、個人の歯及び歯肉をブラッシングするなどの個人衛生のために用い得る。図1に示されるように、電動歯ブラシは、ハンドル12及びハンドル12に取り付けられたネック14を包含する。ヘッド16は、ネック14に取り付けられている。典型的には、ヘッドはネック14より大きく、これはまた典型的にはハンドル12より小さい。
【0015】
今度は図2を参照するが、ヘッド16は更に長手方向軸19により定義され、並びに可動毛ホルダー20及び1つ以上の任意の不動毛ホルダー22を備える。この実施形態では、不動毛ホルダー22は、可動毛ホルダー20の両側に位置する。この実施形態では、可動毛ホルダー20は、ヘッド16の中央に位置する。可動毛ホルダー20は、ホルダー20上に支持され及び維持される複数個の毛24を包含する。可動毛ホルダーは、ヘッド16の長手方向軸19におよそ垂直な動きの軸の周りで揺動する又は回転することができるが、ただし先に記載されたように他の動きが提供される場合もある。より詳細に本明細書に記載されるように、可動毛ホルダーの動きのこの軸に沿って配設されるのは、電動要素74である。特定の実施形態では(図2aに示されるように)、電動要素は、歯ブラシのヘッド上に位置付けられる発光ダイオードのような発光要素75であり、及び発光要素の表面が、可動毛ホルダーの毛を有する表面を超えて伸びない場合はほぼ下方又は真下にある(図22に示されるように)。歯ブラシのこの実施形態はまた、つかみ部分70及び72を有する。図3に示されるように、ハンドル12は更に、モーター32を収容する中空部分30を包含し、及び長手方向軸34を有する。モーター32は、回転可能なシャフト44を通じて可動毛ホルダー20に動力を供給する。歯車装置の配設は、シャフト44とモーター32との間に動作可能なように相互接続される。歯車装置の配設は、ウォームギア40及び1対のステップギア42、43を包含する。モーター32は、ウォームギア40に動作可能なように接続される。ステップギア42は、ステップギア43及びウォームギア40に動作可能なように接続される。発光要素75が提供されるが、これは可動毛ホルダー20の内部に配設されている。本明細書で使用する時、用語「発光」要素は、光ファイバー・ケーブル又は線のような単に光を伝導する又は伝達する要素とは対照的に、電気エネルギーを光に変換する要素を指すことを意図する。1つの実施形態では、本発明の発光要素は、発光ダイオード又はLEDである。発光ダイオードについては、主波長又は中心波長が次の方程式により決定できる。
【0016】
【数1】

【0017】
連続スペクトルについては次のようである、及び
【0018】
【数2】

【0019】
不連続スペクトルについては次のようである。
【0020】
式中、Iは照度であり、及びλは波長である。
【0021】
これらの方程式はCIE127(1997)題名「LEDの測定(Measurement of LEDs)」に更に記載されており、これは国際照明委員会(International Commission of Illumination)により公開されている。これらの方程式及び方法をまた、LED以外の発光要素に適用することもできるし、又は当該技術分野において既知の他の方法及び方程式を、発光要素の主波長又は中心波長を決定するために使用することもできる。発光要素のスペクトルの特徴(例えば、ピーク波長)、光度測定の特徴(例えば、光度)、放射分析の特徴(例えば、放射強度)、及び色度測定の特徴(例えば、主波長)は、当該技術分野において既知の装置、例えばフロリダ州オーランドのオプトロニック・ラボラトリーズ社(Optronic Laboratories, Inc.)により製造されたOL730CV放射計/光度計を用いて測定できる。幾つかの光は主波長又は中心波長を有しない場合がある(例えば、白色光)。
【0022】
図4は、不動の発光要素75を有する歯ブラシの実施形態を図解しており、不動の発光要素75は、不動であり及び歯ブラシの点93においてヘッド95に固定された支柱91に接続され及び/又はその中に配設されている。この実施形態では、可動毛ホルダー97は、支柱91内に配設された不動の発光要素75の周りで揺動又は回転する。支柱91内に配設されたこの発光要素75は、歯ブラシのヘッド95上の可動毛ホルダー97についての回転軸としての役目をする。正のリード線87及び負のリード線89は、発光要素75から、支柱91を通り次いで歯ブラシのヘッド95及びネック(図示されず)の長さを下って電源(図示されず)まで達することができる。
【0023】
別の実施形態では、発光要素75は、図5に最もよく見られるように、可動毛ホルダー320を通って伸びる開口又は穴88内に配設され、その結果発光要素は不動であり、及び可動毛ホルダー320は、不動の発光要素75の周りで揺動又は回転する。この実施形態では、発光要素75はヘッド316にしっかりと固定されている。発光要素75は、穴88を部分的に通り抜けて伸びてもよいし、又は可動毛ホルダー320の下面の下に配設されてもよく、その結果それはヘッド316内に完全に収容される。発光要素75の中心線又は軸はまた、可動毛ホルダー320の回転又は揺動の軸であってもよい。幾つかの上記の実施形態では、特に発光要素が可動毛ホルダー320の下に配設される場合には、可動毛ホルダーは、透明又は半透明の材料から形成され得る。発光要素がヘッド内に配設される時には、明確にするために毛が削除されている図6に一例として示されるように、発光要素が、毛ホルダーの間にあり、及び可動毛ホルダーの回転/揺動の軸と一致しないように設置されてもよい。図6は、ヘッド416、ネック414、可動毛ホルダー420、不動毛ホルダー422及び423、並びに可動毛ホルダー420及び不動毛ホルダー423の下に配設された発光要素75を図解する。この実施形態では、ヘッド及び毛ホルダーの上面は、透明又は半透明の材料から形成されてもよい。
【0024】
多様な材料が、透明又は半透明の毛ホルダー及び/又はヘッドを形成するために用いられてもよい。こうした材料の例には、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)(イーストマン(Eastoman)BR003の表記により市販される)、酢酸プロピオン酸セルロース(CAP)、及びこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。これらの材料の加工を促進するために1つ以上の熱処理を採用してもよいことが考えられる。
【0025】
発光要素は、発光の原則的方向が、毛ホルダーの上面にほぼ垂直である及び/又は毛ホルダーの毛の方向にほぼ平行であるように配設されることができる。換言すれば、発光要素は、図4に最もよく見られるように、発光要素の中心線90がヘッド及び/又は毛ホルダーの上面にほぼ垂直であるように配設されることができる。中心線90は典型的には、発光要素のレンズ92又は開口を貫通する。発光要素が、可動及び/又は不動毛ホルダーの中、上、又は下に配設される時には、光が毛に妨げられることなくブラッシング表面に伝達されるように、発光要素の中心線90の周りの円筒形領域又は体積には毛が存在しないことが可能である。1つの実施形態では、毛が存在しない円筒形体積の直径は、約2mm〜約8mmであり、別の実施形態では約3mm〜約6mmである。しかしながら可動毛ホルダーは更に、図5に一例として示されるように、発光要素を取り囲む少なくとも1つの毛の環を有することもできる。しかしながら追加の毛の房又は毛の房の内側の環が提供されてもよい。
【0026】
再度図3を参照するが、スイッチ50は、光源付き電動歯ブラシの動作を制御するために提供され、及びモーター32に動作可能なように接続される。スイッチ50はまた、歯ブラシの1つ以上の発光要素を動作させるようにも構成される。こうした動作は、瞬間的であることも、又は連続的であることもできる。スイッチ50が閉じられた時、ハンドルの中空部分30内に提供された電池60とモーター32と発光要素75との間の回路は完成される。
【0027】
図7〜10は、光源付き電動歯ブラシのその他のヘッド、毛ホルダー及び毛の配設を図解し、そのすべてが1つ以上の発光要素を含有する。図7は、ヘッド516及びネック514を図解する。ネック514が、歯ブラシのヘッド516とハンドル(図示されず)との間に伸びることは理解される。ヘッド516上に配設されるのは、その上に配設される複数個の毛の房532を有する単一の可動毛ホルダー520である。第2の毛ホルダー522上に配設されるのは、発光要素575である。図8は、本発明による別のヘッド616及びネック614を示す。ヘッド616は、毛632を備える単一の毛ホルダー620を具備し、及びその中に配設される発光要素675を有する。図9は、その上に配設される単一の毛ホルダー720を有する更に別のヘッド716及びネック714を示す。発光要素775は、ヘッド716上の毛ホルダー720に隣接して配設されている。発光要素775は、しかしながら、毛ホルダー上には配設されていない。図10は、可動の第1の毛ホルダー820、固定された又は不動の第2の毛ホルダー822を有する更に別のヘッド816、及びヘッド816に接続されたネック814を示す。両方の毛ホルダーは、その上に配設された発光要素875を有する。第1の毛ホルダー820は、その上に配設される発光要素875を取り囲む複数個の毛の房832を有し、及び第2の毛ホルダー822は、その上に配設される発光要素874を取り囲む複数個の毛の房834を有する。
【0028】
ヘッド1016、ネック1014、及びハンドル1012を有する本発明により製造された電動歯ブラシの別の実施形態が図11に示される。ヘッド1016の上に配設されるのは、発光要素1075である。ネック及びハンドルは1015において取り外し可能に接続され、並びにそれらの物理的嵌合のために、及び発光要素と電源との間の電気通信を確立するために対応する構造体を含有する。本発明のこの実施形態はまた、つかみ部1019を備える。
【0029】
本発明に関して、多種多様な発光要素を用いてもよい。1つの実施形態では、発光要素は、カリフォルニア州サンノゼのルミレッズ・ライトニング社(Lumileds Lighting, LLC)により製造された表記ルクシオン(Luxeon)(商標)として市販されるもののような、小さくて、電力消費が低い、発光ダイオード(LED)である。その他の市販の照明装置には、アメリカン・オプト・プラスLED社(American Opto Plus LED Corporation)からのものが挙げられる。LEDは、相対的に低い直流電源の電圧、例えば1つの実施形態では、約0.5ボルト〜約5ボルト、別の実施形態では、約1ボルト〜3ボルト、及び別の実施形態では約1.6〜約2.4ボルトで動作できる。
【0030】
本明細書に記載される様々な実施形態の歯ブラシは、多様な特徴を有する発光要素を使用してもよい。本明細書に記載される電動歯ブラシは、約10nm〜約106nmの中心波長を有する光を放射でき、及び1つの実施形態では約390nm〜約770nm、及び別の実施形態では約420nm〜約490nm、及び青い光については約420nm〜約470nmの中心波長を有する光を放射できる。
【0031】
図14は、本発明の電気的配設の回路図を図解する。この配設では、発光要素75とモーター32は、スイッチ50により互いに同時に電力を供給されるか又は作動させられる。発光要素75がLEDである時には、特に電池からの電圧又は電流の出力は時間の経過と共に減少する傾向があるため、入力電圧又は電流の変化にかかわらず一定電圧又は電流の出力をLEDに提供する、電圧又は電流ドライバー94を包含することが望ましい場合がある。本発明に関して用いるのに適した電圧又は電流のドライバーは、英国オールダムのゼテックス・セミコンダクターズ(Zetex Semiconductors)により製造されたZXSC310シングル又はマルチセルLEDドライバー(ZXSC310 Single or Multi Cell LED Driver)である。本発明の他の実施形態には、例えば、発光要素及びモーターを別個に作動するために別個のスイッチを提供できることが挙げられる。更に、1を超える発光要素が提供されてもよい。異なるスペクトルの特徴、光度測定の特徴、放射分析の特徴、及び色度測定の特徴(例えば、異なる主波長、ピーク波長、放射力など)を有する発光要素が、単一の電動歯ブラシで複数の用途に適応するように提供されてもよい。
【0032】
図15及び16は、本明細書に記載される電動歯ブラシに用いられる市販のLED照明装置の様々な色についてのスペクトル分布を図解する。これらのスペクトル分布のグラフは、ルクシオン(Luxeon)(商標)1Wエミッタ照明要素についてのものであるが、しかしながらこれらの分布のパターンはその他の照明装置に関しても得られる場合がある。具体的には、図15は様々な色の発光要素についての相対スペクトル出力分布のグラフである。図15は、紺青色、青色、シアンブルー、緑色、琥珀色、赤−橙色、及び赤色を図解する。図16は、白色照明要素についての相対スペクトル出力分布である。
【0033】
各歯が、歯の表面全体におよそ同一量の光を受け取るように、ほぼ又は実質的に均一な光の分布を提供する発光要素を使用することは多くの場合望ましい。そのため、ランベルト(lambertian)又はベル形状の光のパターン(light patters)、例えば図17に一例として示されるようなものを用いることができる。しかしながら上述のように、発光要素は、本発明による多種多様な光の放射のパターンを提供してもよい。
【0034】
B.口腔ケア用具と組み合わせて用いるための物質
歯は、各種の要素から成る生物学的構造体である。染み除去の目的のために、歯牙構造の重要な部分は歯冠である。歯冠の外層はエナメル質から成り、これは半透明から黄灰色に変化する石灰化構造体である。エナメル質の下は象牙質であり、次いで歯髄の中核室である。エナメル質及び象牙質の層は両方共多孔質である。染みは、唾液腺の分泌物からの口腔内の動的環境による拡散によって、これらの孔の中に移動する場合がある。
【0035】
歯について消費者が経験する歯の変色は、歯牙構造自体の着色体が主な原因であり、そして食事のタンニンからの蓄積した外因性の染みが二次的原因であり、これははしばしば歯石にも同様に捕捉される。歯の変色は、エナメル質及び象牙質の層の両方に生じる。エナメル質が被覆した歯冠の見掛けの色は、部分的には、下にある象牙質の色の結果である。変色はまた歯石から発生する場合があり、これはエナメル質表面の石灰化した細菌性歯垢である。歯の染みは通常は、食習慣及び食品構成成分に由来するポルフィリン(porpyrin)化合物(ポルフィンの誘導体)が原因である。それらは口内細菌により発生する場合があり、及びエナメル質の下に蓄積される場合がある。外因性及び内因性の染みの除去は、臨床的に測定でき及び消費者の目を引く高度の美白を達成するために重要である。
【0036】
装置により放射される光が、歯牙構造の上及び/又は内部に存在する着色体により直接吸収される時には、着色体(「発色団」)は励起状態になる。それらの励起状態にある時、これらの発色団は、色の損失及び/又はそれらの除去の容易さを結果としてもたらす化学反応を経験する。あるいは、光反応の経路は、光増感剤を有することにより開始されてもよく、これは入射光線エネルギーを吸収することができ、及びその励起状態では、エネルギーを歯牙構造の発色団及び/又は酸素に移すことができる。活性化された発色団(choromophores)は、他の化学反応物質と反応する場合もあるし、又は発生される活性酸素が、それらの基底状態にある発色団と反応してそれらをより発色性でなくする場合もある。採用される条件に依存して、活性酸素種は、一重項酸素、超酸化物、ヒドロキシルラジカル、ヒドロペルオキシルラジカル、エンドペロキシド、又は上記の混合物であることができる。特にアミン又はアミドの存在は、超酸化物の発生を高めることができる。更に、一連の光増感剤は、活性酸素の化学を促進することが知られている。
【0037】
更に、光は染みの発色団(choromophores)を活性化する(電子の移動を被る)ことができ、及び活性化エネルギーの障壁を減らし、それらに過酸化物の漂白剤、並びにその他の洗浄及び美白剤による影響をより受けやすくさせることができる。光による発色団の活性化は、そのため歯の漂白及び/又は美白のような口腔ケアの利益を高める場合がある。同様に、より速い及びより良好な美白を結果としてもたらす光線治療で、染みの発色団は、研磨による美白をより受けやすくなることができる。
【0038】
多種多様な歯の美白物質が、本明細書に記載される電動歯ブラシ、特に発光要素を備える電動歯ブラシとの組み合わせにおいて用いられてもよい。歯の美白物質は、漂白剤、研磨剤、pH調整剤、キレート剤、界面活性剤、酵素、溶媒、ポリマー、及び光増感剤、又は歯の発色団に機械的若しくは化学的作用により又はこれらの組み合わせにより作用するいずれかのその他の剤を含有してもよい。歯の美白物質は、溶液、ペースト、ゲル、粘稠な液体、洗浄剤、固体又はその他の適した形態で提供され得る。
【0039】
1.漂白剤
漂白剤には、金属イオンを含まない過酸化物、有機過酸化物、及び酸素ラジカルのような漂白活性物質を生成する金属イオン含有過酸化物が挙げられる。漂白剤の例には、過酸化物、金属の亜塩素酸塩、過ホウ酸塩、過炭酸塩、ペルオキシ酸、過硫酸塩、前述の化合物をその場で形成する化合物、及びこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。過酸化物化合物の例には、過酸化水素、過酸化カルシウム、過酸化カルバミド、及びこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。1つの実施形態では、漂白剤は過酸化カルバミドである。金属の亜塩素酸塩には、亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸バリウム、亜塩素酸マグネシウム、亜塩素酸リチウム、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カリウム、及びこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。更なる漂白剤には、次亜塩素酸塩及び二酸化塩素が挙げられる。1つの実施形態では、漂白剤は、亜塩素酸ナトリウム、過酸化物、過炭酸ナトリウム、オキソン(oxones)、及びこれらの混合物から成る群から選択される。出発漂白剤は、水性又は固体物質であり得る。例えば、過酸化物はエナメル質及び象牙質の孔に入り込み、それによって内因性及び外因性の染みの両方を分解及び除去する。
【0040】
美白又は漂白物質中の漂白剤の量は、変化してもよい。例えば、漂白剤は、歯の美白物質の総量に基づいて、約3重量%〜約60重量%の量で存在することができる。過酸化水素が漂白剤である場合、1つの特定の実施形態によると、それは歯の美白物質の総量に基づいて、約3、5、7、10、12、15、20、30、40、50、60重量%以上、及び/又は約60、50、40、30、20、15、12、10、7、5重量%未満の量で存在してもよく、並びに別の実施形態では、約7〜約15重量%の量で存在してもよい。過酸化カルバミドが漂白剤である場合、1つの特定の実施形態によると、それは歯の美白物質の総量に基づいて、約3、5、7、10、12、15、20、30、40、50、60重量%以上、及び/又は約60、50、40、30、20、15、12、10、7、5重量%未満の量で存在してもよい。発光要素からの放射エネルギーは、物質が歯に接触している間に適用されることができるが、発光要素からの発光はまた、歯の美白物質の適用前又は後に適用されてもよい。
【0041】
別の実施形態では、美白物質は、多構成成分系の形態であってもよい。例えば、美白物質は、2部分系として販売又は供給されてもよい。これは、構成成分が使用前に互いに分離されることを可能にし、及び漂白の有効性の向上及びより長い貯蔵時間を促進する場合がある。
【0042】
この特定の実施形態では、本明細書において部分1及び部分2として参照される2構成成分が適用の少し前又は直前に混合され得る。この実施形態では、2を超える構成成分を含む製剤を扱うことが意図されることを理解するべきである。美白物質は更に、混合後30分を超えて用いられてもよいが、過酸化物の分解が原因で、その美白効果の幾らか又は大部分が失われる場合がある。
【0043】
第1の構成成分、部分1はゲル又はペーストの濃度であり得る。この濃度を達成するために、増粘剤及び/又は充填剤が添加されてもよい。部分1は1つ以上の金属過酸化物、特に一価又はニ価の金属の過酸化物を含むことができる。過酸化物の例には、過酸化カルシウム、過酸化亜鉛、及び過酸化ナトリウムが挙げられ、カリウム、マグネシウム、及びストロンチウムの過酸化物が挙げられるがこれらに限定されない他の過酸化物もまた用いるのに好適である。1つの実施形態では、過酸化物が溶剤に懸濁又は分散されて混合物を形成し、これは約5重量%〜約40重量%の金属過酸化物である。別の実施形態では、過酸化物は、約15〜約30重量%の過酸化物であり、及び別の実施形態では、過酸化物は約20重量%である。別の実施形態では、混合物は約2重量%〜約16重量%の過酸化物であり、及び別の実施形態では過酸化物は、約6重量%〜約10重量%の過酸化物である。構成成分は更に、レオロジー、質感、風味、芳香、色、又はその他の特性を変更するために1つ以上の添加物を含んでもよい。部分1に用いる添加剤構成成分の例には、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレン及び/又はポリプロピレングリコール、水、及び前述のものの混合物が挙げられる。幾つかの実施形態では、アルコールが溶剤に添加される。
【0044】
別の実施形態では、第1の構成成分、部分1の金属過酸化物が液体に懸濁又は分散されて混合物を形成し、これは約8重量%〜約25重量%の過酸化物であることができ、及び別の実施形態では、約8重量%〜約15重量%の過酸化物であることができる。
【0045】
部分2は、水中の1つ以上の酸の溶液又は水溶液を含み、これはゲル又はペーストの濃度のような所望の濃度を達成するために、増粘剤及び/又は充填剤の添加により変性されてもよい。本発明に用いるのに適した酸には、酢酸、酒石酸、リン酸、及びクエン酸を含む有機酸が挙げられる。部分2の酸の総濃度は、金属過酸化物をそれらの塩と過酸化水素に変換するための化学量論的必要量の約30%〜約100%であることができ、及び別の実施形態では、この化学量論的必要量の約50%〜約80%であることができる。増粘剤の例には、キサンタンガム、ポリアクリル酸、及びセルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロース)が挙げられ、並びに充填剤の例には、シリカ、珪藻土、アルミナ、及び粉末のポリエチレン又はポリプロピレン又は他のポリマーが挙げられる。増粘剤及び/又は充填剤は、所望の濃度を達成するために十分な量で添加される。これらの同じ増粘剤及び充填剤はまた部分1の添加剤として用いられてもよい。レオロジー、質感、風味、芳香、及び色を変更するための添加剤はまた部分2に存在してもよい。加えて、アルコール又はその他の水混和性溶媒が部分2に添加されてもよい。
【0046】
部分1及び部分2は、美白製剤を形成するために均等な割合で混合され得るが、ただし割合は、過酸化物及び酸の濃度に依存して1:1から変化してもよい。
【0047】
いったん組み合わされると、部分1の過酸化物は部分2の水性の酸と反応してその場で過酸化水素を発生する。本明細書に記載される光源付き歯ブラシと共に使用される美白物質はまたその他の適切な添加剤、例えば安定剤、促進剤、アルカリ化剤、溶媒、着香剤、甘味剤、増粘剤、接着剤、及び湿潤剤を含有してもよい。一例として、用いるのに適したアルカリ化剤には、水酸化ナトリウム又はトリエタノールアミンが挙げられるが、ただしアルカリ化力は、カリウム塩、キシリトール、サッカリン又はシクラミン酸の誘導体のような甘味剤、デンプン誘導体、キサンタンガム、コロイド状シリカ及び類似の物質のような増粘剤、並びにグリセリンのような湿潤剤の量を変えることにより変更されてもよい。アルカリ化添加剤、着香剤、甘味剤、及び増粘剤のそれぞれ1つが、ゲルの物質中に物質の総量に関して約0〜約6重量%の量で存在することができ、一方湿潤剤は、物質の総量に関して約40〜約80重量%の量で存在してもよい。本発明の光活性化された物質のpHは、約4.5〜約9.5であってもよく、別の実施形態では約5〜約8であってもよく、別の実施形態では約5〜約7であってもよく、及び別の実施形態では約5〜約6であってもよい。
【0048】
本明細書の光活性化された組成物は、増粘剤を含んでもよい。1つの実施形態では、増粘剤(又は粘度調整剤)はまた、歯の上の組成物の保持を高めるために機能することができる。粘度調整剤は更に、構成成分の沈殿及び分離を抑制するか、又は再分散を促進する方式で沈殿を制御するように機能してもよく、並びに組成物の流動特性を制御してもよい。粘度調整剤は、漂白剤又は粒子状形態の他の口腔ケア活性剤を本発明の組成物中に懸濁させておくために特に有用である。粘度調整剤は、組成物の約0.01重量%〜約20重量%の濃度で存在し、1つの実施形態では、約0.1重量%〜約10重量%の濃度で存在し、及び別の実施形態では約1重量%〜約3重量%の濃度で存在し、及び更に別の実施形態では約0.4重量%〜約5重量%の濃度で存在する。本明細書で適した粘度調整剤には、天然及び合成のポリマー及びガム、例えばセルロース誘導体(例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなど)、カルボマーポリマー(例えば、ポリアクリル酸コポリマー又はホモポリマー、及びポリアルケニルポリエーテルと架橋したアクリル酸のコポリマー)、カラヤガム、グアーガム、ゼラチン、アルギン、アルギン酸ナトリウム、キトサン、ポリエチレンオキシド、アクリルアミドポリマー、ポリビニルアルコール、ポリアミン、ポリ四級(polyquarternary)化合物、エチレンオキシドポリマー、ポリビニルピロリドン、陽イオン性ポリアクリルアミドポリマー、及びこれらの混合物が挙げられる。1つの実施形態では、増粘剤は、カルボマー、例えば、ペンタエリスリトールのアルキルエーテル若しくはスクロースのアルキルエーテルと架橋したアクリル酸のホモポリマーの部類から選択される。カルボマーは、B,F.グッドリッチ(B,F. Goodrich)からカーボポールシリーズ(Carbopol series)として市販されている。1つの実施形態では、カーボポールは、カーボポール(Carbopol)934、940、941、956、及びこれらの混合物である。別の実施形態では、粘度調整剤は、疎水変性カルボマーである。疎水変性カルボマーは、本明細書の組成物及び/又は一体となったキャリアの歯の表面上での保持を高め、及び歯の表面に適用された後の組成物の侵食を遅らせることができる。適した疎水変性カルボマーには、アクリレート/C10〜C30アルキルアクリレートクロスポリマー、例えばすべてBFグッドリッチ(BF Goodrich)から入手可能であるカーボポール(Carbopol)1382、カーボポール(Carbopol)1342、カーボポール(Carbopol)1392、及びカーボポール(Carbopol)ETD2020が挙げられ、並びに両方共B.F.グッドリッチ(B.F.Goodrich)から入手可能であるアクリレート/C10〜C30アルキルアクリレートクロスポリマー、例えばペムレン(Pemulen)TR−1及びペムレン(Pemulen)TR−2が挙げられる。1つの実施形態では、疎水変性カルボマーとカルボマーの混合物を用いることができる。別の実施形態では、カルボキシ官能性シリコーン(二価酸、一価酸)が、歯の上の漂白剤の保持を高めるために用いられる。
【0049】
本発明は、ほとんどあらゆる歯の美白物質及び/又は次のものに記載される物質が挙げられるがこれらに限定されない物質と共に用いられてもよく、それらは米国特許第6,488,914号、第5,851,514号、第4,980,152号、第3,657,413号、第4,983,380号、第5,084,268号、第5,171,564号、第5,376,006号、第5,645,428号、第5,713,738号、RE34,196号、第5,122,365号、第6,558,654号、第6,555,020号、第6,536,628号、第6,533,582号、第6,521,215号、第6,514,543号、第6,479,037号、第6,447,757号、第5,891,453号、第6,555,020号、及び第6,419,905号、及びPCT国際公開特許WO03/007680、及びUSSN10/154,020である。光への暴露の際に、物質が高められた美白機能を示すことは必要ではない。利益は、美白物質の適用前の、電動歯ブラシからの光への歯の表面の暴露の結果から単に得られてもよい。その上、追加の利益は、ブラッシング領域への照射の結果として得られる、ブラッシング又は洗浄のより高い有効性に由来してもよい。
【0050】
2.非漂白剤の歯の美白及び染み除去剤
美白及び/又は染み除去のような口腔ケアの利益を歯に提供する追加の活性物質には、ポリマー、溶媒、キレート剤、界面活性剤、及び/又は酵素、及びこれらの混合物が挙げられる。これらの活性物質は、発色団を活性化することができ、及び電動歯ブラシのヘッドからの発光と組み合わせて用いられる時、美白及び/又は染み除去を結果としてもたらすことができる。更に、ポリマーのような活性物質の幾つかは、口腔ケアのキャリアとして、活性物質を口腔表面に送給する役目をすることができる。ポリマーの例には、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマー(「PVP−VA」)、カーボポール(Carbopol)、ポリオックス(Polyox)樹脂、及び/又はシリコーン、及びこれらの混合物が挙げられる。ポリマーは、歯の美白及び/又は染み除去物質に、歯の美白物質の総量に基づいて、約0、5、10、30、30、40、50、60、70、80、90重量%以上、及び/又は約90、80、70、60、50、40、30、20、10、5重量%未満の量で添加されることができる。溶媒の例には、ヘキサメチルジシラザン(hexamethyldisilozane)(「HMDS」)、酢酸エチル(「EtAC」)、アセトン、ポリジメチルシロキサン(「PDMS」)、ヘキサン、及びイソドデカン、及びこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。溶媒は、歯の美白及び/又は染み除去物質に、歯の美白物質の総量に基づいて、約0、5、10、30、30、40、50、60、70、80、90重量%以上、及び/又は約90、80、70、60、50、40、30、20、10、5重量%未満の量で添加されることができる。キレート剤の例には、ピロリン酸四ナトリウム(「TSPP」)及びピロリン酸四カリウム(「TKPP」)を包含するピロリン酸塩、グリシン(「Gl−H」)、エチレンジアミン四酢酸(「EDTA」)、エタンヒドロキシジホスホネート(「EHDP」)、及び/又はニトリロ三酢酸(「NTA」)、及びこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。キレート剤は、歯の美白及び/又は染み除去物質に、歯の美白物質の総量に基づいて、約0、2、3、5、10、30、30重量%以上、及び/又は約30、20、10、5重量%未満の量で添加されることができる。界面活性剤の例には:ラウリル硫酸ナトリウム(「SLS」)、プルロニック、ポリエチレンオキシド、四級アンモニウム、及び/又は双極性イオン、及びこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。界面活性剤は、歯の美白及び/又は染み除去物質に、歯の美白物質の総量に基づいて、約0.1、2、3、5、10、30、30、40、50重量%以上、及び/又は約50、40、30、20、10、5重量%未満の量で添加されることができる。酵素の例には:プロテアーゼ、炭水化物、ラッカーゼ、グルコックス(glucox)、及び/又はパパイン、及びこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。酵素は、歯の美白及び/又は染み除去物質に、歯の美白物質の総量に基づいて、約0、1、2、3、4、5重量%以上、及び/又は約5、4、3、2、1、0.5重量%未満の量で添加されることができる。
【0051】
3.光増感剤
漂白剤の作用を促進又は加速する促進剤には、研磨剤、金属触媒、及び光増感剤を挙げることができる。これらの促進剤は、歯の美白及び/又は染み除去物質に、歯の美白物質の総量に基づいて、約0、2、3、5、10、30、30、40、50、60重量%以上、及び/又は約60、50、40、30、20、10、5重量%未満の量で添加されることができる。適した研磨剤には、シリカ、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、及びこれらの混合物が挙げられる。金属触媒には、銅、鉄、マンガン、及びその他の遷移金属イオンが挙げられる。一連の光増感剤は、活性酸素の化学を生じさせることが知られている。これらの光増感剤は、約380〜約700nmの波長において光を吸収でき及びその光により活性化され得る。光増感剤又はそれらの前駆体は、クロロフィル、特にクロロフィルa及びb並びに細菌のクロロフィル、ローズベンガル、メチレンブルー、亜鉛フタロシアニン、ポルフィリン、特に、ヘマトポルフィリン、ウロポルフィリン、及びテトラフェニルポルフィリン、及びそれらのZn、Al、Si、Snの錯体、フタロシアニン及びそれらのZn、Al、Si、Snとの錯体及びクルクミン、クロリン、特に細菌のクロリン(bacterialchlorins)、リボフラビン、ビリルビン、クルクミン、EDTA、ジエチレントリアミン五酢酸(DEPTA)、NTA、EHDP、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、及びジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)から成る群から選択される。光増感剤は、歯の美白物質に、歯の美白物質の総量に基づいて、約0.1、0.5、1、2、3、5、7、10重量%以上、及び/又は約10、7、5、3、2、1、0.5、0.1重量%未満の量で添加されることができる。超酸化物は、上記の感作物質のいずれかを電子供与体、例えばアミン及びアミド−−EDTA、DTPA、ジエチレントリアミン五ホスホン酸、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリプトファン、チロシン、又はアセトアニリドとの組み合わせにおいて用いて生成されてもよい。別の実施形態では、ナノメートルの規模の亜鉛ダイオード及び二酸化チタンを光増感剤として用いてもよい。
【0052】
幾つかの実施形態では、光源付き歯ブラシ及び美白物質が「適合する」ことが望ましい場合がある。即ち、美白物質が、特定の波長又は波長の範囲、即ちバンドの光への暴露の際に、高められた又は加速された美白機能を示す場合には、本明細書に記載される電動歯ブラシの照明装置から放射される光の波長は、その特定の波長と同じ又は実質的に同じであることが望ましい。例えば、特定の美白物質が本明細書に記載される光源付き歯ブラシと共に用いられると確認された場合、及びその物質が430nm〜470nmのピーク波長の光への暴露の際に高められた効果を示す場合には、その物質と共に用いられる歯ブラシは、430nm〜470nmの範囲内の波長を有する光を放射することができる。
【0053】
4.追加の口腔ケア活性物質
口腔ケアの利益を提供するために本発明に関して用いることができるその他の口腔ケア活性物質には、第一スズイオン、抗菌剤、抗歯垢剤、抗炎症剤、栄養素、例えばミネラル、ビタミン、経口栄養補給剤、酸化防止剤、抗ウイルス剤、鎮痛剤及び麻酔剤、H−2拮抗物質、及び追加の活性物質、例えばインスリン、ステロイド、薬草及びその他の植物由来の治療薬、抗新生物薬、及び抗歯肉炎又は歯肉ケア剤が挙げられるがこれらに限定されない。これらの口腔ケア活性物質は、口腔ケア物質に、口腔ケア物質の総量に基づいて、約0.01、1、5、10、20、30、40重量%以上、及び/又は約40、30、20、10、5、1、0.5重量%未満の量で添加されることができる。
【0054】
5.口腔ケアキャリア及びゲル化剤
本明細書に開示される口腔ケア物質は、口で受け入れることができる口腔ケアキャリアを含むことができる。更に、本明細書に開示される活性物質の幾つかはまた口腔ケアキャリアとして作用することができる。幾つかの実施形態では、ポリマーのような口腔ケア活性物質は、活性物質の改善された直接性を送給するため、口腔ケア活性物質を所望の口腔表面に更に接着するため、及び/又は口腔ケア活性物質の口腔の所望の表面への送給を改善するために、ポリマーの口腔ケアキャリアとして用いることができる。活性物質の幾つかについては、活性物質が口腔ケア表面上に長く残留すればするほど、送給できる口腔の利益は大きくなる。1つの実施形態では、口腔ケア活性物質は光活性化され、そのため、活性物質の口腔表面上への直接性を高めるポリマーの使用は、口腔ケア活性物質の光への更なる暴露を可能にする。光への増加した暴露時間は、口腔ケアの利益の増加を結果としてもたらすことができる。口腔ケアキャリアは、1つ以上の適合性のある固体又は液体の充填希釈剤、又は局所経口投与に適したカプセル化物質を含み、及び口腔ケア活性物質の口腔表面への送給を改善することができる。口腔ケアキャリアは、物質中に用いられる活性物質と適合性があるべきであり、本明細書で使用する時、「適合性がある」とは、物質の構成成分が、物質の安定性及び/又は有効性を実質的に減らす方式での相互作用なしに、混ざり合うことができることを意味する。特に、口腔ケアキャリアは、ポリマーのキャリア、例えば米国特許第6,682,722号及び第6,589,512号、及び米国特許出願10/424,640及び10/430,617に記載されるものを挙げることができる。本発明に用いるのに適したポリマーの例には、シリコーンゴム及び樹脂、特に約1000〜約10,000の分子量を有するシリコーン樹脂、ジカルボキシ官能化ポリオルガノシロキサン、1つ又は混合物のビニルピロリドンモノマー(特に、ビニルピロリドンと酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、又は酪酸ビニルとのコポリマー)と、1つ又は混合物のC1〜C19アルキルカルボン酸C2〜C12アルケニルエステルモノマーとを共重合することにより調製される水溶性又は水分散性のコポリマー、カーボポール、ガントレッツ(Gantrez)、及び/又はポリビニルピロリドンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
本発明の1つの実施形態では、ポリマーのキャリアは、歯、セラミック、皮膚、布地、毛髪、ガラス及び紙のような極性表面への適用のために、カルボン酸基によって官能化された少なくとも1つのシロキサンポリマーを必須成分として含む。物質は、処理される表面にポリマーを有効に付着させる製剤中に、少なくとも約0.1%のカルボキシ官能化シロキサンポリマーを含む。本発明のポリマーは、疎水性シロキサン主鎖、及びカルボキシ基を含有するペンダントの陰イオン性部分を含み、並びに洗浄及び洗剤物質などの水性系の製剤から、及び本質的に非水性系の製剤から表面上に付着する能力を有する。適した表面に適用される時、カルボキシ官能化シロキサンポリマーを含む本発明の物質は、処理される表面上に実質的に疎水性のコーティングを形成し、このコーティングは処理される表面上に長時間保持される。
【0056】
本発明で有用なカルボキシ官能化シロキサンポリマーは、極性表面に付着し、静電相互作用、即ち、ポリマーのペンダントのカルボキシ基と、処理される表面上の陽イオン又は他の正電荷を有する部位との錯体形成によって、極性表面上にコーティングを形成すると考えられる。例えば、口腔用の用途の場合、カルボキシ基は歯の中に存在するカルシウムイオンと相互作用すると考えられる。布地の場合はカルシウムイオン又はセルロース基と、毛髪又は皮膚の場合はタンパク質残基と、ガラス又はセラミックの場合はカルシウム及び他の金属イオンと相互作用する場合がある。したがって、カルボキシ基は、表面にシロキサンポリマー主鎖を固定し、それによって表面を疎水性に改質するのに役立つ。
【0057】
ポリシロキサン主鎖の官能基ペンダントは、2つのカルボキシ基を含み、結果として、特に、正電荷を有するカルシウムイオンを含有する歯などの表面上でのポリマーの付着及び保持の改善をもたらす。カルボキシ基と歯の表面との相互作用は、陰イオン性のカルボキシ基が正電荷を有するカルシウムイオンと錯体を形成する静電気的な性質のものである。
【0058】
本発明で有用なジカルボン酸官能化ポリオルガノシロキサンは、次の式を有し
X(R45SiO)p(R6ASiO)qY
式中、
X末端基は、式R123SiO−のトリオルガノシロキシル末端基、又はZ末端基(ここで、Zは、−OHを表す)を表し、
Y末端基は、式−SiR321のトリオルガノシリル末端基、又はW末端基(ここで、Wは−Hを表す)を表し、
1〜R6は、同一であっても又は異なっていてもよく、それぞれ、直鎖又は分枝鎖のC1〜C8アルキル、又はフェニルラジカル、好ましくはメチルを表し、
Aは、次式のジカルボン酸ラジカルを表し
【0059】
【化1】

式中、
Bは、1〜30個の炭素原子を有する1つ以上のアルキルラジカルで任意に置換された、2〜30個の炭素原子、好ましくは3〜8個の炭素原子を有するアルキレン残基を表し、
R’は、水素原子、又は1〜30個の炭素原子を有するアルキルラジカルを表し、
Eは、存在しないか、又は1〜30個の炭素原子を有する1つ以上のアルキルラジカルで任意に置換された、1〜5個の炭素原子、好ましくは1〜3個の炭素原子を有するアルキレン残基であり、及び
Mは、H、陽イオン、又はヒドロキシ若しくはアルコキシ基で任意に置換された、1〜4個の炭素原子を有するアルキルラジカルであり、
pは0〜1000、好ましくは0〜500、より好ましくは5〜200の範囲の平均値であり、
qは、1〜100、好ましくは1〜50の範囲の平均値であり、及び
Z末端基及びW末端基の数と、末端基X及びYの総数との比は、0/100〜75/100、好ましくは0/100〜30/100の範囲である。
【0060】
1つの実施形態では、p/q比は、1/3〜99/1(シロキシル単位に対してペンダント二酸基1〜75%に相当する)であり、別の実施形態では、p/q比は、1/1〜10/1である。Zが−OH及び/又はYがHである生成物は、副生成物である。
【0061】
ジカルボキシラジカルの陽イオン塩は、アルカリ金属(ナトリウム、カリウム、リチウム)塩、アルカリ土類金属(カルシウム、バリウム)塩、非置換又は置換アンモニウム(メチル−、ジメチル−、トリメチル−、若しくはテトラメチルアンモニウム、ジメチルピペリジニウム)塩であることができるか、又はアルカノールアミン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン)から誘導することができる。
【0062】
ジカルボキシラジカル(M=アルキル)のモノ−又はジエステル誘導体に加えて、本発明は、アミド及びジアミド誘導体を包含する。
【0063】
本発明のジカルボキシ官能化シロキサンポリマーは、一般に、例えば米国特許第3,159,601号、第3,159,662号及び第3,814,730号に記載されているように、有効量のヒドロシリル化金属触媒(白金)の助けを借りた、ポリアルキルヒドロゲンシロキサン(polyalkylhydrogensiloxane)とジカルボキシA基の前駆体である無水α−オレフィンとのヒドロシリル化反応に続く無水基の加水分解によって調製される。
【0064】
特に、歯磨剤又は口内洗浄剤などの口腔ケア物質からの漂白剤の送給に関して、疎水性ポリシロキサン主鎖、及びジカルボキシ基を含有するペンダント部分を有する本発明のポリマーは、特に物質の繰り返しの使用で、漂白剤の送給、及び顕著な美白の利益を提供するのに十分な時間、漂白剤を歯に保持することを促進するのに非常に適している。したがって、漂白剤を付着させ、及び長い接触時間、保持する永続的なポリマーを使用する本発明の方法は、新規な手法である。
【0065】
別の実施形態では、ポリマーのキャリアは、バスフ社(BASF Corp.)及びISPから入手可能な、VP/VAの重量比60/40及び約1000〜約1,000,000の平均分子量を有するビニルピロリドン(VP)/ビニルアセテート(VA)コポリマーである。約30/70〜約90/10の範囲のVP/VAの比を有するコポリマーもまた好適である。
【0066】
本発明の口腔ケア物質は、ゲルを包含する、及び特には水性ゲルを包含する多くの形態であることができる。ゲルは、ゲル化剤から形成される高粘度のマトリックスである。ゲル形態が用いられる場合、ゲル化を用いることができる。本発明に用いることができるゲル化剤は経口使用に安全であり、唾液中で容易に溶解せず、及びそれらの中に組み込まれた口腔ケア化合物と反応しないか又はこれらを不活性にしない。一般にゲル化剤は、膨潤可能なポリマーである。本発明に用いるのに適したゲル化剤には、カルボキシポリメチレン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシプロピルセルロース、ポロキサマー、カラギーナン、ビーガム、カルボキシビニルポリマー、並びにカラヤガム、キサンタンガム、グアーガム、アラビアゴム、トラガカントガム、及びこれらの混合物などの天然ゴムが挙げられる。ゲル化剤は、口腔ケア物質に、特にゲルの形態の歯の美白物質に、口腔ケア物質の総量に基づいて、約0.1、1、2、3、5、7、10、12、15重量%以上、及び/又は約15、12、10、8、7、5、3、2、1、0.5重量%未満の量で添加されることができる。
【0067】
6.実施例
次の実施例は、本発明の範囲内の好ましい実施形態を更に説明するこれらの実施例は単に説明を目的として提供され、本発明の精神又は範囲を逸脱することなく本発明の多くの変更が可能であることから、本発明の限定として解釈すべきではない。指示がない限り、すべての成分は組成物の重量%として表される。
【0068】
(練り歯磨き/歯磨剤の実施例)
本発明による歯磨剤組成物が以下に示される。これらの組成物は従来の方法を用いて製造される。
【0069】
実施例 セット1
【0070】
【表1】

【0071】
実施例 セット2
【0072】
【表2】

【0073】
(口内洗浄剤の実施例)
本発明による口内洗浄剤組成物が以下に示される。これらの組成物は従来の方法を用いて製造される。
【0074】
(実施例1)
【0075】
【表3】

【0076】
(実施例2)
【0077】
【表4】

【0078】
(実施例3)
【0079】
【表5】

【0080】
(実施例4)
【0081】
【表6】

【0082】
(ゲルの実施例)
本発明によるゲル組成物が以下に示される。これらの組成物は従来の方法を用いて製造される。
【0083】
(実施例1)
【0084】
【表7】

【0085】
(実施例2)
【0086】
【表8】

【0087】
(実施例3)
【0088】
【表9】

【0089】
(実施例4)
【0090】
【表10】

【0091】
C.口腔ケア物質送給装置
口腔ケア物質を口腔表面に送給するために、材料のストリップ、トレイ、及び/又はペイントオンアプリケータが挙げられるがこれらに限定されない多様な装置が存在する。1つの実施形態では、図18に示されるように、口腔ケア物質が口腔表面に、使用前には実質的に平らである材料のストリップ1102を備える送給システム1100により送給される。材料のストリップ上に適用される又はコーティングされるのは、図19に示されるように、口腔ケア物質1104である。口腔ケア物質1104は、図20に示されるように、材料のストリップ1102上で均一であることができ、及び連続的にコーティングされることができる。あるいは、口腔ケア物質1104は、積層体又は構成成分の分離された層、構成成分の非晶質混合物、異なる構成成分の別個のストライプ若しくはスポット若しくはその他のパターン、又はこれらの構造体の組み合わせであって、材料のストリップ1102の部分の長手方向軸1114に沿った口腔ケア物質の連続コーティングを包含するものであることができる。図21及び22は、歯1110の表面及び複数個の隣接する歯1108に適用された送給システム1106を示す。隣接する軟組織1112の中に埋め込まれた歯1110が示される。隣接する軟組織は、本明細書においては歯牙構造を取り囲む軟組織面として定義され、歯乳頭、辺縁歯肉、歯肉溝、歯間歯肉、粘膜歯肉接合まで及びこれを包含する舌面及び頬面上の歯肉構造、並びにパレット(pallet)が挙げられる。図21及び22の両方において、送給システム1106は、材料のストリップ1102を具備し、及び更に、隣接する複数個の歯1108又は単一の歯1110に面する材料のストリップの側面上に口腔ケア物質1104を含む。口腔ケア物質は、歯に予備適用され、次いで材料のストリップで被覆されてもよいし、又は口腔ケア物質は材料のストリップに適用され及び歯に適用されることもできる。送給システム1100は、口腔表面上に1分〜約8時間用いられる。別の実施形態では、ストリップは、歯の上に約1分〜約120分間用いられる。別の実施形態では、ストリップは、歯の上に約30分〜約60分間用いられる。
【0092】
本発明の方法に用いるのに適したストリップの例には、米国特許第6,096,328号、第6,136,297号、第6,045,811号、第5,989,569号、第5,894,017号、第5,891,453号、第5,879,691号、第6,277,458号、第6,287,120号、及び第6,343,932号に開示されるストリップが挙げられるがこれらに限定されない。
【0093】
口腔ケア物質はまた、漂白トレイ類のような漂白トレイを用いて口腔表面に提供できる。トレイ1200(図22〜23に示されるように)は、口腔ケア物質1202により充填され、及び歯1204に対して設置されることができる。本発明の方法に用いるのに適したトレイの例には、米国特許第5,846,058号、第5,816,802号、及び第5,895,218号に記載されるもの、及び米国特許第5,310,563号に記載されるもののようなその他の予備装填された装置が挙げられるがこれらに限定されない。
【0094】
更に、アプリケータが、口腔ケア物質を口腔の所望の表面にペイントオンするために用いられることができる。送給装置は、上歯のために1つ及び下歯のために1つを備えることができる。送給装置は使い捨て可能又は再利用可能であることができる。
【0095】
D.口腔ケアの利益を送給するための方法
本発明の電動歯ブラシは、単独で又は口腔物質と組み合わせて用いられる時に、口腔の利益を送給するために用いられることができる。幾つかの実施形態では、歯は口腔ケア物質により前処理される。この前処理により、口腔ケア物質は、歯のような口腔ケア表面の中に更に吸収されることができ、そのため口腔表面が光に暴露される時に結果として得られる口腔ケアの利益を高めることができる。
【0096】
1つの実施形態では、本発明は、口腔ケア物質の均一なコーティングが送給装置に適用でき、次いで口腔ケア物質が送給装置と共に、複数個の隣接する歯、歯肉、及び/又は口腔のいずれかのその他の表面のような所望の口腔表面に適用できる方法を包含する。送給装置は次に口腔表面から除去され、幾らかの量の口腔ケア物質を口腔表面上に残す。ストリップが除去された後に歯の上に残留する口腔ケア物質の割合は、歯の美白物質の約0.1、0.5、1、2、5、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90%〜約100、90、80、70、60、50、40、30、20、15、10、5%であり得る。次に歯は、前に記載された口腔ケア用具を用いてブラッシングされ、口腔表面を口腔ケア用具のヘッドからの発光に暴露させる。更に、口腔表面を洗浄するために、歯磨剤が口腔ケア用具と共に用いられることができる。口腔表面は、所望であれば口腔ケア物質の適用の前及び/又は後に、歯磨剤により洗浄され得る。
【0097】
別の実施形態では、本発明は歯を美白するための方法を包含する。この方法は、歯の美白物質を送給装置に適用すること、及び物質を送給装置を介して複数個の歯に適用すること、あるいは、物質を直接に歯に適用すること、次いで所望であればトレイ及び/又は材料のストリップのような送給装置を物質の上に設置することを包含する。歯の美白物質は、約5%〜約50%の歯の美白活性物質を含有でき、及び物質は歯に接触して設置される。送給装置は、歯の上に約2、4、6、8、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60分以上から、約60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5分未満までの間残留できる。送給装置は次に除去され、及び歯の美白物質の少なくとも一部分が歯の上に残留する。ストリップが除去された後に歯の上に残留する歯の美白物質の割合は、歯の美白物質の約0.1、0.5、1、2、5、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90%〜約100、90、80、70、60、50、40、30、20、15、10、5%であり得る。
【0098】
別の実施形態では、送給装置は、その上に配設された歯の美白物質の均一なコーティングを有する材料のストリップである。材料のストリップは歯に適用され、及び送給装置は、歯の上に約2、4、6、8、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60分以上から、約60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5分未満までの間残留できる。材料のストリップが歯から除去される時、ストリップは約0.1〜約80%の歯の美白物質を放出し、複数個の歯に、その上に配設された歯の美白物質のコーティングを残す。次に歯は、ヘッド、ハンドル、可動毛ホルダー、及び歯ブラシのヘッド上に配設され及びヘッドから光を放射する発光要素を備える電動歯ブラシによってブラッシングされる。歯は約30秒、1分、1.5分、2分、4分、5分、8分間以上、及び/又は約8分、5分、4分、3分、2分、1.5分、1分、30秒未満の間、電動歯ブラシによってブラッシングされることができる。発光要素は、約420〜約470nmの波長を有する光を放射することができる。この方法は、約1〜約8週間、1日に約1〜約4回実施されることができる。更に、この方法は毎日の口腔ケアのレジメンに置き換えて用いることができ、及び歯の染みを減らす及び予防するために連続的に用いることができる。
【0099】
別の実施形態では、歯の美白物質の均一なコーティングが歯の上に送給装置又はアプリケータを介して配設され、及び歯の美白物質の少なくとも一部分が歯の上に一晩残留することが可能になる。歯は、本発明により製造された点灯した電動歯ブラシにより、約30秒、1分、1.5分、2分、4分、5分、8分間以上、及び/又は約8分、5分、4分、3分、2分、1.5分、1分、30秒未満の間ブラッシングされることができる。
【0100】
更に別の実施形態では、電動歯ブラシからの発光に暴露する前及び/又は後のいずれかにおいて口腔表面を処理するために、洗浄剤が用いられる。洗浄剤は、美白活性物質と、歯の美白活性物質に直接性を与え及び/又は歯の美白活性物質の歯の表面への接着を助けるポリマーとを含む。次に歯は、前に記載された口腔ケア用具を用いてブラッシングされ、口腔表面を口腔ケア用具のヘッドからの発光に暴露させる。
【0101】
前述の方法は、約1日〜約8週の間、1日に約1、2、3、4回〜約5、4、3、2、1回繰り返すことができる。更に、前述の方法は無期限に用いることができ、例えば毎日の口腔ケアのレジメンの代わりに用いることができる。染み、歯垢及び細菌を除去することに加えて、方法が毎日の口腔ケアのレジメンの代わりに用いられる場合には、追加の歯の染み、歯垢、及び/又は虫歯が形成することを予防する場合がある。
【0102】
E.キット
電動歯ブラシは、口腔ケア物質、及び/又は発光要素を含有する1つ以上の交換可能なヘッドを備えるキットとして包装され得る。したがってヘッドは交換品であることもできるし、又は仲間の別の構成部品に個々に割り当てられることもできる。したがって色合いの違いは多くの場合、キット内の違うヘッドの一部である。ハンドルは電池式であると述べたが、本発明はまたその他の周知の電源、例えばコンセント接続用コード又は充電式電池、及び付随するブラシホルダー/充電器(図示されず)を包含する。キットは更に1つ以上の包装された光活性化口腔物質、例えば包装された歯の美白組成物を包含してもよい。更に、キットはその他の非光活性化口腔ケア物質及び発光要素を具備しない歯ブラシのヘッドを包含することができる。
【0103】
本明細書で引用されるすべての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いかなる文献の引用も、それが本発明に関する先行技術であることの容認として解釈されるべきでない。
【0104】
本発明の特定の実施形態を例示し記載したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には自明であろう。そのため、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明による電動歯ブラシの斜視図。
【図2】図1の電動歯ブラシの上平面図。
【図2a】図1の電動歯ブラシの上平面図。
【図3】図1の電動歯ブラシの横断側面図。
【図4】本発明により製造された電動歯ブラシの実施形態のヘッド及びネックの横断側面図。
【図5】本発明の別の実施形態のヘッド及びネックの部分正面図。
【図6】本発明の更に別の実施形態のヘッド及びネックの部分正面図。
【図7】本発明の更に別の実施形態のヘッド及びネックの部分正面図。
【図8】本発明の更に別の実施形態のヘッド及びネックの部分正面図。
【図9】本発明の更に別の実施形態のヘッド及びネックの部分正面図。
【図10】本発明の更に別の実施形態のヘッド及びネックの部分正面図。
【図11】本発明の光源付き電動歯ブラシの別の実施形態の斜視図であり、その中で歯ブラシは、ハンドルから分離できるヘッド及びネックを包含する。
【図14】本発明に関して用いるのに適した電気的配設の回路図。
【図15】本発明に関して用いるのに適した発光要素の多様な色についてのスペクトル分布のグラフ。
【図16】本発明に関して用いるのに適した白色光を放射する発光要素のスペクトル分布のグラフ。
【図17】本発明に関して用いるのに適した光放射パターンを図解するグラフ。
【図18】丸くした角を有する実質的に平らな材料のストリップの斜視図。
【図19】口腔ケア物質をコーティングされた、図18の平らなストリップを開示する、本発明の実施形態の斜視図。
【図20】その上に配設される物質を有する平らなストリップを開示する横断面図。
【図21】歯に適合し及び付着された図20の材料のストリップを有する、隣接する歯を示す横断面図。
【図22】単一の歯に付着された図20の材料のストリップ示す横断面図。
【図23】トレイ送給装置の斜視図。
【図24】単一の歯に付着された図23のトレイを示す横断面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯の美白の利益を提供する方法であって、
(a)送給装置(1100、1200)上に口腔ケア物質(1104、1202)の均一なコーティングを施し、
(b)前記口腔ケア物質が複数個の歯(1108)の表面に接触し、前記口腔ケア物質が活性物質を前記複数個の歯の上に提供するように、前記複数個の歯の表面に前記口腔ケア物質を備えた前記送給装置を適用し、
(c)前記送給装置を前記複数個の歯から除去すると共に前記口腔ケア物質の少なくとも一部分を前記送達装置から前記複数個の歯の上に放出し、
(d)ヘッド(16、95、316、516、616、716、816、1016)、ハンドル(10、12、1012)、可動毛ホルダー(320)、及び電動要素(74)を備える電動歯ブラシ(10)であって、前記電動要素が該電動歯ブラシの前記ヘッドに配置され且つ前記ヘッドからエネルギーを放射する電動歯ブラシにより、前記複数個の歯をブラッシングすることからなる方法。
【請求項2】
前記電動要素が発光要素(75)であり、好ましくは、前記発光要素が発光ダイオードである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電動歯ブラシの前記ヘッドからの前記発光が420〜470nmの波長を有し、前記電動歯ブラシの前記ヘッドからの前記発光が20mW/cm2〜300mW/cm2の束密度を有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記口腔ケア物質が、歯の美白物質、歯の染み除去物質、リン酸塩、フッ化物イオン供給源、抗菌剤、抗炎症剤、栄養素、酵素、口腔及び咽喉用製品、酸化防止剤、H−2拮抗物質、及びこれらの混合物から成る群から選択される活性物質を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記歯の美白及び染み除去物質が、ポリマー、溶媒、キレート剤、界面活性剤、及び酵素、並びにこれらの混合物から成る群から選択される活性物質を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記歯の美白及び染み除去物質が、380〜700nmの波長を有する光により活性化される光増感剤を含み、好ましくは、前記光増感剤が亜鉛フタロシアニンである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記歯の美白物質が、過酸化水素(hydrogen eroxide)、過酸化尿素、ペルオキシ酸、ペルオキシ酸前駆体、ジアシルペルオキシド、及びこれらの混合物から成る群から選択される活性物質を含み、好ましくは、前記歯の美白物質が3%〜60%の量で存在し、より好ましくは、前記歯の美白物質が3%〜15%の量で存在する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記口腔を、口腔ケア物質を含む洗浄剤によりすすぐことを更に含み、好ましくは、前記洗浄剤がポリマーを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記歯の美白物質が2つ以上の別個の相を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記送給装置が、材料のストリップ及びトレイから成る群から選択され、その際、前記送給装置が前記複数個の歯の上に2〜60分間残留する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図2a】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公表番号】特表2007−504903(P2007−504903A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526266(P2006−526266)
【出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/029335
【国際公開番号】WO2005/023143
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】