説明

光源付ミラー

【課題】鏡に映るお客が希望のカラーリングイメージを明確に持て、カラーの仕上がりを様々なシチュエーションにおいても確認できる光源付ミラーを提供する。
【解決手段】光源付ミラー10において、それぞれに鏡11を備えた折りたたみ可能な枠体12と、枠体12に設けられ異なる色に発光する少なくとも二つのチップを備えてなる複数のLED22と、枠体12に設けられる色温度感知センサー37と、枠体12に設けられ少なくとも昼間、夜間、室内の複数のシーン別切替接点25を有するシーン切替スイッチ24と、枠体12に収容され色温度感知センサー37の検出値に基づきシーン切替スイッチ24による切替シーンに応じてLED22を調色する制御部32と、を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調光調色機能を有する光源付ミラーに関し、例えば美容室等におけるカラーリング時に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、鏡に映し出される顔等の写し映えを良好にするため、照明付き鏡装置が知られている(特許文献1等参照)。例えば化粧品陳列ケースは、単に商品を展示するだけでなく、お客が求めたい商品を実際に取出して試用できるようにするため、お客の顔を映し出す鏡を備えている。お客は手に取った当該商品を顔につけて鏡をのぞき込むことにより、当該商品による美容効果等を確認できる。一方、化粧品陳列ケースの上部には商品を照らす照明が備わっている。このような照明下で商品を試用した顔を鏡に映したのでは、その照明により、お客の顔に無用な陰または影が生じて顔が隈取され、当該商品による美容効果が十分に確認できない。
【0003】
そこで、特許文献1に開示の照明付き鏡装置は、鏡本体の全周囲から、光透過体を通じて光が散乱状態で出射し、顔全体が照し出されるようになされている。これにより、外光による顔の陰や、影を相殺するため顔に無用な隈取が生ずることを防止し、写し映えを向上でき、化粧品の色彩をそのままの状態で再現できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−330685号公報(請求項1、図7、段落0014)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、外光による顔の陰や、影を相殺する効果は有するが、外光による色味の影響を排除できない問題がある。例えば美容室においては従来の照明付き鏡装置と同様にあかり取りとして白熱灯の仕込まれた光源付ミラーが使用されている。美容室において、このような光源付ミラーを使用してカラーリングが行われると、カラーリング終了後に鏡に映し出される色彩が白熱灯の照明光に影響され、実際の陽の光に当たった場合と異なる透明感のない色味で映し出されることがある。この場合、美容師からその旨の説明を受けても、お客は色味をイメージすることが困難となる。近い色味のカラーをサンプルや雑誌で探してお客と仕上がりイメージを共有する場合もあるが、実際の色味とは隔たりがあった。また、カラーリング終了後に、仕上がりの色を、陽の光、室内空間、パーティー空間等のシチュエーション別で確認したい要望もあった。
【0006】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、鏡に映るお客が希望のカラーリングイメージを明確に持て、カラーの仕上がりを様々なシチュエーションにおいても確認できる光源付ミラーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の光源付ミラーは、それぞれに鏡を備えた折りたたみ可能な枠体と、前記枠体に設けられ異なる色に発光する少なくとも二つのチップを備えてなる複数のLEDと、前記枠体に設けられる色温度感知センサーと、前記枠体に設けられ少なくとも昼間、夜間、室内の複数のシーン別切替接点を有するシーン切替スイッチと、前記枠体に収容され前記色温度感知センサーの検出値に基づき前記シーン切替スイッチによる切替シーンに応じて前記LEDを調色する制御部と、を具備するものである。
【0008】
そして、本発明の光源付ミラーは、前記枠体の折りたたみ動作により作動して前記LEDを消灯するリミットスイッチが前記枠体に設けられたものである。
【0009】
また、本発明の光源付ミラーは、前記枠体を開くことにより作動する前記リミットスイッチの枠体開信号が前記制御部に検出され、前記枠体開信号を検出した前記制御部が、前記色温度感知センサーから周囲環境の色温度を検出し、前記周囲環境の色温度に応じて、前記切替シーンの色温度が再現されるよう前記LEDを調色制御するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る光源付ミラーによれば、鏡に映るお客が希望のカラーリングイメージを明確に持て、カラーの仕上がりを様々なシチュエーションにおいても確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る光源付ミラーの枠体が開かれた場合の外観斜視図
【図2】図1に示した光源付ミラーの平面図
【図3】図1に示した光源付ミラーの把手の形成された変形例の斜視図
【図4】図1に示した光源付ミラーの各機能部分を表すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
図1は本発明に係る光源付ミラーの枠体が開かれた場合の外観斜視図、図2は図1に示した光源付ミラーの平面図、図3は図1に示した光源付ミラーの把手の形成された変形例の斜視図である。
光源付ミラー10は、それぞれに鏡11を備えた折りたたみ可能な枠体12である第一枠体13と、第二枠体14と、を有する。第一枠体13と第二枠体14は、略同一の四角形に形成され、一辺部分同士が回転軸15によって回転自在に連結されることで折りたたみ自在となる。第一枠体13と第二枠体14とは、内部空間を有するひらたい箱状に形成され、内部空間は後述する制御部等の収容部16となっている。
【0013】
本実施形態では、回転軸15を例示するが、折りたたみ構造は、この他、蝶番や可撓性を有する樹脂薄板等を用いたヒンジとしてもよい。鏡11は、第一枠体13と第二枠体14との合わせ面側に設けられている。合わせ面側に鏡11の設けられた枠体12は、人一人によって容易に持ち運びできる大きさおよび重量で形成される。
【0014】
また、図1に示すように、第一枠体13と第二枠体14とが略同一の厚みで形成されるが、この他、枠体12は、図3に示す変形例に係る枠体17のように、第一枠体18を薄厚に形成し、第二枠体19のみに収容部16が形成されるようにしてもよい。さらに、枠体12には図3に示すような持ち運びを容易にする把手部20を形成してもよい。
【0015】
第一枠体13と第二枠体14とには、鏡11と平行な枠表面21に、複数のLED22が設けられている。LED22は、第一枠体13と第二枠体14の各辺に沿って所定間隔で配置される。つまり、鏡11を包囲するように設けられている。これにより、陰影が明確になるように照らすことができ、良好な照明効果を得ることができる。LED22は、枠体12が折りたたまれた際に対向するLED22や対面する枠表面21と干渉しないよう、図2に示すように、枠表面21に埋入されて設けられている。
なお、回転軸15によって連結される枠体12の一辺部分同士は、それぞれにLED22を設けると照射光が強くなりすぎるため、図例のように、例えば第二枠体側のLED22が省略されてもよい。
【0016】
第一枠体13の枠上面23にはシーン切替スイッチ24が設けられ、シーン切替スイッチ24は複数のシーン別切替接点25を有している。シーン別切替接点25は、例えば太陽光下のシーンを再現する第一ボタン26と、室内空間のシーンを再現する第二ボタン27と、パーティー空間のシーンを再現する第三ボタン28と、電源オフの第四ボタン29と、からなる。シーン切替スイッチ24は、図例のように複数のボタンを設ける他、回転位置によってシーン別切替接点25が開閉される不図示のロータリー式スイッチとしてもよい。
【0017】
図2に示すように、第一枠体13の内部空間には調光回路30、調色回路31を有した制御部32と、電源回路33と、が収容される。第二枠体14には充電口34と、電池35と、照度感知センサー36と、色温度感知センサー37と、リミットスイッチ38と、が設けられる。
なお、これら制御部32、充電口34、電池35、照度感知センサー36、色温度感知センサー37、リミットスイッチ38の配設位置は一例であり、任意の枠体側に収容できるものである。
【0018】
図4は図1に示した光源付ミラー10の各機能部分を表すブロック図である。
充電口34は、電源回路33に接続される。電源回路33には、リミットスイッチ38と、電池35と、制御部32と、が接続される。電源回路33は、充電口34に商用電源が接続されると、低周波交流を全波整流器および平滑コンデンサにより平滑化された直流に変換し、さらに不図示の高周波インバータによって直流を高周波に変換することで、LED22を高周波で駆動可能とする。また、電源回路33は、充電口34に商用電源が接続されると、電池35への充電も行う。電源回路33は、充電口34に商用電源が接続されない状態では電池35から制御部32へ電源供給を行う。
【0019】
リミットスイッチ38は、枠体12の折りたたみ動作により作動してLED22を消灯する。枠体12が折りたたまれると、リミットスイッチ38が作動され、制御部32、LED22への電源供給が遮断されて、LED22が自動で消灯される。
【0020】
LED22は、枠体12に設けられ異なる色に発光する少なくとも二つのチップ39を備えてなる。本実施形態ではR色LEDチップ40と、G色LEDチップ41と、B色LEDチップ42の3色のLEDチップを備える。それぞれのLED22は、これらR色LEDチップ40、G色LEDチップ41、B色LEDチップ42が制御部32の調色回路31によって個別に駆動制御され、色温の調整、すなわち、調色が可能となっている。
なお、ここで調色とは、互いに発光色が異なる複数種類の光の混色で1種類の発光色を得るに際し、複数種類の色の光を切り換えて出射することを言う。
【0021】
また、図示は省略するが、LED22による調色は、蛍光体等の色変換手段を用いることで単色のチップ39を用いても実現する。この場合、例えば第1の色変換領域に対応するチップ39のみから青色光を放射させることで第1の色変換領域から白色光を出射させる。第2の色変換領域に対応する他のチップ39のみから青色光を放射させることで第2の色変換領域から外部に向けて電球色の光を出射させる。さらに2つのチップ39から青色光を放射させることで第1の色変換領域および第2の色変換領域から外部に向けて白色と電球色の中間の色の光を出射させることができる。これにより、複数種類の色の光を切り換えて出射する調色が可能となる。
【0022】
制御部32は、色温度感知センサー37の検出値に基づきシーン切替スイッチ24による切替シーンに応じてLED22を調色する。また、この際、制御部32は、照度感知センサー36の検出値も同時に参照させるようにすることが好ましい。光源付ミラー10は、照度感知センサー36を設けることで、検出した周囲環境の明るさに応じて、制御部32がLED22の調光制御を自動的で行うように構成できる。
【0023】
制御部32は、枠体12を開くことにより作動するリミットスイッチ38の枠体開信号を検出すると、色温度感知センサー37から周囲環境の色温度を検出し、周囲環境の色温度に応じて、切替シーンの色温度が再現されるようLED22を調色制御する。
【0024】
次に、このように構成される光源付ミラー10の作用を説明する。
光源付ミラー10では、制御部32が駆動されると、調光回路30により外光の照度が検出され、色温度感知センサー37により外光の色温度が検出される。制御部32は、シーン切替スイッチ24の閉じられているシーン別切替接点25から要望の切替シーンを判定し、当切替シーンに応じた照度および色温度を設定する。
【0025】
制御部32は、検出した外光の照度と色温度を参照しながら、要望の切替シーンに応じた照度および色温度となるように、調光回路30、調色回路31にてLED22の各チップ39の駆動制御を行う。これにより、外光による色味の影響がキャンセルされた実際の色味が鏡11に映し出されることになる。また、シーン切替スイッチ24が切り替えられるだけで、各切替シーン(陽の光、室内空間、パーティー空間等)における実際の色味が鏡11に映し出されることになる。
【0026】
リミットスイッチ38は、枠体12の折りたたみ動作により作動してLED22を消灯する。枠体12が折りたたまれると、リミットスイッチ38が作動され、制御部32、LED22への電源供給が遮断されて、LED22が自動で消灯される。これにより、シーン切替スイッチ24におけるシーン別切替接点25の開閉状態を保持することが可能になることから、次回使用時には、前回使用終了時の切替シーンで駆動を開始させることが可能となる。
【0027】
また、消灯状態から枠体12が開かれると、リミットスイッチ38が作動し、制御部32およびLED22に電源が供給されて駆動が開始される。この際、制御部32が駆動の開始と同時に、色温度感知センサー37によって周囲環境の色温度を検出し、検出した色温度を参照しながら、設定の切替シーンに応じた色温度となるように、LED22の各チップ39の駆動制御を行う。つまり、枠体12が開かれると同時に、周囲環境の色温度とLED22の色温度とによって、各切替シーンの色温度が自動で再現されることになる。
【0028】
このような作用を奏することで、光源付ミラー10は、美容師の提案サポートツールとなり得る。お客の手、美容師の手を煩わすことなく、今までの業務フローの中で容易に、かつ、的確なカラーリングが行えるようになる。また、光源にLED22が使用されることで、軽量・薄型化を実現でき、持ち運びを容易に行うことが可能となる。
【0029】
従って、本実施形態に係る光源付ミラー10によれば、鏡11に映るお客が希望のカラーリングイメージを明確に持て、カラーの仕上がりを様々なシチュエーションにおいても確認できる。
【符号の説明】
【0030】
10 光源付ミラー
11 鏡
12 枠体
22 LED
24 シーン切替スイッチ
25 シーン別切替接点
32 制御部
37 色温度感知センサー
38 リミットスイッチ
39 チップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれに鏡を備えた折りたたみ可能な枠体と、
前記枠体に設けられ異なる色に発光する少なくとも二つのチップを備えてなる複数のLEDと、
前記枠体に設けられる色温度感知センサーと、
前記枠体に設けられ少なくとも昼間、夜間、室内の複数のシーン別切替接点を有するシーン切替スイッチと、
前記枠体に収容され前記色温度感知センサーの検出値に基づき前記シーン切替スイッチによる切替シーンに応じて前記LEDを調色する制御部と、を具備する光源付ミラー。
【請求項2】
請求項1に記載の光源付ミラーにおいて、
前記枠体の折りたたみ動作により作動して前記LEDを消灯するリミットスイッチが前記枠体に設けられた光源付ミラー。
【請求項3】
請求項2に記載の光源付ミラーにおいて、
前記枠体を開くことにより作動する前記リミットスイッチの枠体開信号が前記制御部に検出され、
前記枠体開信号を検出した前記制御部が、前記色温度感知センサーから周囲環境の色温度を検出し、前記周囲環境の色温度に応じて、前記切替シーンの色温度が再現されるよう前記LEDを調色制御する光源付ミラー。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−148029(P2012−148029A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−10881(P2011−10881)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】