説明

光源色測定装置

【課題】小型且つ容易な設計で正確な色測定を行う光源色測定装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の光源色測定装置1は、LED3からの光の色を分光して測定する分光計8と、LED3からの光を拡散する透過拡散板4と、分光計8に導光される光の強度分布を均一化する多角形ライトパイプ6と、透過拡散板4と多角形ライトパイプ6との間に、複数のファイバ5Fを集結して多角形ライトパイプ6に一端を対向させ、他端を多角形ライトパイプ6の端面よりも広くなるように分散して透過拡散板4に対向させたバンドルファイバ5と、を備えている。これにより、角度依存性がなく強度分布が均一な光を分光計に入力できることから、正確な色測定を実現できる。また、積分球を用いることがないため、小型且つ容易な設計で色測定を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源の光を分光して色の測定を行う光源色測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光源から発光した光を分光して、分光した光の測定を行う分光計を用いて光源の色の測定を行う光源色測定装置が用いられる。光源としてLEDを用いた場合、LEDから発光した光を入射光学系で受光して、光ファイバを用いて受光した光を分光計に導く。そして、分光計において光を分光して、スペクトル測定を行う。これにより、LEDの色測定を行う。
【0003】
入射光学系としては主に積分球が用いられる。積分球の一例としては特許文献1に開示されている技術がある。LEDから発光した光は角度依存性が高く、強度分布も不均一になっている。積分球は入射ポートと出射ポートとを有しており、LEDからの光を入射ポートから積分球の内部に導く。
【0004】
球面形状となっている積分球の内部は高反射率でコーティングがされており、入射ポートからの光が多重反射して、出射ポートから出射する。これにより、積分球の内部で光が空間的に積分されて、出射ポートから光が出射するときには、角度依存性が解消され、且つ強度分布が均一になっている。この光を分光計に導光して測定を行うことで、LEDの正確な色測定を行うことができる。
【0005】
入射光学系として積分球ではなく、拡散板を用いる場合もある。例えば、特許文献2の分光計は拡散板を用いている。図6は、透過型の拡散板を用いた従来の入射光学系を示している。LED101が発光した光は透過拡散板102に入射する。透過拡散板102でLED101からの光は拡散して透過する。そして、透過した光が導光ファイバ103に入射する。導光ファイバ103に入射した光は分光計に入力され、分光して色測定が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−321129号公報
【特許文献2】特開2005−003389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
積分球は角度依存性を解消し、強度分布を均一化することから、正確な色測定を行うことができる。ただし、積分球のサイズは非常に大型になる。このため、LEDのような小型の光源に対して積分球のサイズが過剰に大きくなり、小型の光源の測定に積分球は不適なものになる。また、積分球は内面を半球面に加工した2つの部材を接合して、内部を完全に球面にしなければならないことから、設計が容易ではない。
【0008】
一方、拡散板は光源が小型なサイズに適しており、設計も容易である。ただし、透過拡散板102の所定の範囲で受光された光は、細径な導光ファイバ103の端面で受光される。つまり、透過拡散板102の広範な領域で拡散した光が受光ポイントの狭い導光ファイバ103の端面で受光される。このときに、透過拡散板102を透過して分散した光線のうち中心以外の光線には角度依存性を生じる。特に、中心から離間するほど角度依存性が大きくなる。
【0009】
また、LED101と透過拡散板102との距離或いは位置関係によって、強度分布も不均一になる。分光計の入射部にはスリットが設けられており、このスリットを通過した光が測定対象となる。このとき、スリットを通過する光に角度依存性を生じ、強度分布が不均一になっていると、分光計において正確な色測定を行うことができなくなる。
【0010】
そこで、本発明は、小型且つ容易な設計で正確な色測定を行う光源色測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以上の課題を解決するため、本発明の光源色測定装置は、光源からの光の色を分光して測定する分光計と、前記光源からの光を拡散する光拡散手段と、前記分光計に導光される光の強度分布を均一化する強度均一化手段と、前記光拡散手段と前記強度均一化手段との間に、複数のファイバを集結して前記強度均一化手段に一端を対向させ、他端を前記強度均一化手段の端面よりも広くなるように分散して前記光拡散手段に対向させたファイバ群と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
この光源色測定装置によれば、光拡散手段と強度均一化手段とを分けて設けており、積分球を使用する必要がないため、装置の小型化を実現できる。光拡散手段で拡散した光はファイバを分散したファイバ群で受光されて、集結して強度均一化手段に導かれることから、角度依存性をなくし、強度分布を均一化することができる。これにより、正確な色測定を実現することができる。
【0013】
また、前記光拡散手段は透過型または反射型の拡散板であり、前記強度均一化手段は多角形ライトパイプであることを特徴とする。
【0014】
光拡散手段としては透過型または反射型の拡散板を用いることができ、強度均一化手段としては多角形ライトパイプを用いることができる。分散したファイバを集結していることから、多角形ライトパイプを細径且つ短尺にすることができる。
【0015】
また、前記ファイバ群の各ファイバを分散させるときに、各ファイバが相互に均等な間隔となるように分散させていることを特徴とする。
【0016】
ファイバ群の各ファイバの分散を均等化することで、偏在のない均一化された光の色測定を行うことができる。
【0017】
また、前記多角形ライトパイプを前記分光計に接続したことを特徴とする。
【0018】
多角形ライトパイプを分光計に接続することで、導光ファイバ等の手段を省略することができる。多角形ライトパイプは細径なものを使用できるため、分光計に直接的に接続することは可能になる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、光源からの光を光拡散手段で拡散して、分散したファイバで受光することで、角度依存性をなくしている。そして、ファイバを集結して強度均一化手段にまで導いて強度分布を均一化することで、正確な色測定を行うことができる。積分球を用いることなく実現できるため、小型の光源の色測定に適用でき、容易な設計で色測定を行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】光源色測定装置の全体構成図である。
【図2】透過拡散板から導光ファイバまでの構成を示す斜視図である。
【図3】図3の側面図である。
【図4】バンドルファイバの先端側および基端側の断面図である。
【図5】反射拡散板から導光ファイバまでの構成を示す斜視図である。
【図6】透過拡散板の受光の状態を示す従来の例である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。本実施形態の光源色測定装置1は駆動電源2とLED3と透過拡散板4とバンドルファイバ5と多角形ライトパイプ6と導光ファイバ7と分光計8と計算機9とを備えて構成している。光源色測定装置1はLED3の色特性の測定を行う装置である。
【0022】
駆動電源2は所定の電流を発生させる電源である。駆動電源2が発生した電流はLED3に供給される。LED3は光源であり、駆動電源2から供給される電流により発光する。なお、光源としてはLED3を適用しているが、ランプ等の任意の光源を適用してもよい。
【0023】
LED3で発光した光は透過拡散板4に入射する。透過拡散板4は光拡散手段であり、LED3が発光した光を拡散して透過する。透過拡散板4は入射した光を一様に拡散させる。LED3からの光は面で透過拡散板4に入射するが、面内の全ての光線を一様に分散させる。この分散した光をバンドルファイバ5に導くことで、光の角度依存性をなくしている。
【0024】
バンドルファイバ5は複数のファイバ5Fを束ねたファイバ群である。バンドルファイバ5の一端(先端側5A)は多点で受光するために各ファイバ5Fを分散して配置している。一方、他端(基端側5B)は各ファイバ5Fを結束して集結させた構成としている。従って、バンドルファイバ5はその延在方向と直交する方向の領域が先端側5Aと基端側5Bとで変化している。
【0025】
多角形ライトパイプ6は強度均一化手段であり、四角柱や六角柱等の多角柱のガラスロッドを使用することができる。多角形ライトパイプ6はバンドルファイバ5の基端側5Bに対向しており、バンドルファイバ5と接触或いは非接触で配置される。バンドルファイバ5の各ファイバ5Fを進行した光は多角形ライトパイプ6に入射する。多角形ライトパイプ6は面内で多重反射することで、光の強度分布を均一化する。
【0026】
導光ファイバ7は多角形ライトパイプ6に接続されており、強度分布が均一化された光を入力する。導光ファイバ7は分光計8に接続されており、導光ファイバ7からの光が分光計8に入射する。分光計8の入射側にはスリットが設けられており、このスリットを通過した光が回折手段により回折されて分光される。分光された光は検出器で検出されてスペクトル測定がされる。測定されたスペクトル情報が計算機9に出力される。計算機9はスペクトル情報に基づいて、所定の演算を行い、LED3の色測定を行う。
【0027】
LED3から導光ファイバ7までの構成の詳細を図2および図3に示す。LED3が発光した光は所定範囲に広がって透過拡散板4に入射する。従って、透過拡散板4には光が面で入射される。面の中心の光線は透過拡散板4の法線方向から入射しているが、中心以外の光線は所定の角度をもって透過拡散板4に入射する。特に、面の端部の領域における光線の角度は大きくなる。
【0028】
透過拡散板4は面で入射した光の各光線を一様に分散させる。これにより、面の中心の光線も中心以外の光線も一様に分散をする。つまり、透過拡散板4を透過した光は何れの箇所でも一様に分散をする。このときに、一様に分散した光をバンドルファイバ5の先端側5Aで受光するようにファイバ5Fを分散配置する。
【0029】
バンドルファイバ5の先端側5Aの断面は、図4a)に示すように、複数のファイバ5Fを分散して配置している。つまり、隣接するファイバ5Fの間には所定の間隙が形成されるようにしている。これにより、ファイバ5Fの延在方向と直交する方向にバンドルファイバ5の先端側5Aは所定の領域5Cを形成する。
【0030】
従って、透過拡散板4の所定範囲を透過した光は所定の領域5Cに分散配置された各ファイバ5Fに入射される。つまり、透過拡散板4の所定範囲の領域を透過した光は所定の領域5Cの各ファイバ5Fに入射される。各ファイバ5Fには透過拡散板4の各所から一様に分散して透過した光が入射される。図2では1つのファイバ5Fに着目したときの光線を破線で示している。同図破線で示すように、1つのファイバ5Fは色々な角度で一様に分散した光を入射している。他のファイバ5Fも同様であり、一様に分散した光線が同じように入射する。
【0031】
このため、バンドルファイバ5の先端側5Aにおいて、一様に分散した光を多点(各ファイバ5Fで同じように入力する。つまり、各ファイバ5Fに入射する光線には角度依存性が生じていないことになる。そして、角度依存性がない光が各ファイバ5Fを導光される。
【0032】
ファイバ5Fの先端側5Aでは各ファイバ5Fが分散するように配置しているが、基端側5Bでは各ファイバ5Fが結束するように集結配置としている。図4b)はバンドルファイバ5の基端側5Bでの断面を示しており、この図に示すように各ファイバ5Fは密集している。従って、ファイバ5Fの延在方向と直交する方向にバンドルファイバ5の基端側5Bは所定の領域5Dを形成する。
【0033】
領域5Dは領域5Cよりも狭小な領域となっている。これにより、バンドルファイバ5の先端側5Aでは分散して配置していた各ファイバ5Fを狭小な領域5Dに集結できる。領域5Dは多角形ライトパイプ6の端面とほぼ同じサイズにしている。
【0034】
バンドルファイバ5の基端側5Bは多角形ライトパイプ6に対向させており、バンドルファイバ5の各ファイバ5Fを導光された光を多角形ライトパイプ6に入射させるようにしている。このとき、バンドルファイバ5の基端側5Bは領域5Dのサイズにまで狭小化しているため、多角形ライトパイプ6もほぼ同じサイズにまで細径化することができる。
【0035】
多角形ライトパイプ6は多角柱の形状をしており、入射した光が内部で多重反射することで、出射する光の強度分布を均一化している。特に、多角形ライトパイプ6に入射するときの光は、LED3と透過拡散板4とバンドルファイバ5との位置関係に基づく強度分布が存在している。この強度分布を多角形ライトパイプ6で多重反射を起こすことで均一化している。
【0036】
従って、内部で多重反射を起こすために、多角形ライトパイプ6は細径化することが望ましい。多角形ライトパイプ6が太径になると、多重反射を起こすために、その分に応じて多角形ライトパイプ6を長尺化しなければならないためである。よって、多角形ライトパイプ6を細径にすることで、短尺化することができ、多角形ライトパイプ6を大幅に小型化できる。
【0037】
多角形ライトパイプ6から出射した光は導光ファイバ7に入射する。多角形ライトパイプ6から出射する光は強度分布が均一化されており、且つ透過拡散板4を透過した光を分散配置としたバンドルファイバ5で受光していることから角度依存性がなくなっている。従って、導光ファイバ7には角度依存性がなく強度分布が均一になっている光が入射され、この光が導光ファイバ7により分光計8に入力される。
【0038】
従って、分光計8には角度依存性がなく強度分布が均一な光が受光される。分光計8では回折手段により受光した光を回折させて、スペクトル測定が行われる。このときに、角度依存性がなく強度分布が均一な光のスペクトル測定を行うことで、正確な色測定を行うことができる。
【0039】
以上に説明したように、本実施形態では、LED3からの光を透過拡散板4に一様に拡散させて、ファイバ5Fを分散して配置したバンドルファイバ5に入射させている。先端側5Aの各ファイバ5Fには一様に分散した光が均等に入射されるため、角度依存性がなくなる。そして、バンドルファイバ5を介して多角形ライトパイプ6に光を入射させて、多角形ライトパイプ6で多重反射させることで、強度分布を均一化している。これにより、分光計8には角度依存性のない強度分布が均一な光が検出されるため、正確な色測定を行うことができる。
【0040】
バンドルファイバ5は透過拡散板4に対向している先端側5Aでは分散させており、多角形ライトパイプ6に対向している基端側5Bでは結束して集結させている。これにより、透過拡散板4から一様に分散する広範囲な光を捕捉して、多角形ライトパイプ6に導くことができる。
【0041】
且つ、バンドルファイバ5の先端側5Aの領域5Cと基端側5Bの領域5Dとで大きさを変化させているため、先端側5Aで広範囲に捕捉した光を基端側5Bで集結させることができる。これにより、多角形ライトパイプ6を細径にすることができ、多角形ライトパイプ6のサイズを大幅に小型化することができる。その結果、光源色測定装置1の全体のサイズもコンパクトになる。
【0042】
以上において、光拡散手段として透過拡散板4を用いているが、図5に示すように反射拡散板10を用いてもよい。LED3が発光した光を反射拡散板10で反射させるときに、光が拡散するようにして反射する。これにより、透過拡散板4を用いたときと同じ効果を得ることができる。
【0043】
また、多角形ライトパイプ6を用いて、強度分布の均一化の効果を得ているが、導光ファイバ7に強度分布の均一化効果を持たせることができる場合には、多角形ライトパイプ6を省略してもよい。この場合には、強度均一化手段は導光ファイバ7が果たすことになる。また、多角形ライトパイプ6を直接的に分光計8に接続することができれば、導光ファイバ7を省略してもよい。これにより、導光ファイバ7を省略して、装置構成を単純化することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 光源色測定装置
3 LED
4 透過拡散板
5 バンドルファイバ
5A 先端側
5B 基端側
5F ファイバ
6 多角形ライトパイプ
7 導光ファイバ
8 分光計
9 計算機
10 反射拡散板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光の色を分光して測定する分光計と、
前記光源からの光を拡散する光拡散手段と、
前記分光計に導光される光の強度分布を均一化する強度均一化手段と、
前記光拡散手段と前記強度均一化手段との間に、複数のファイバを集結して前記強度均一化手段に一端を対向させ、他端を前記強度均一化手段の端面よりも広くなるように分散して前記光拡散手段に対向させたファイバ群と、
を備えたことを特徴とする光源色測定装置。
【請求項2】
前記光拡散手段は透過型または反射型の拡散板であり、前記強度均一化手段は多角形ライトパイプであること
を特徴とする請求項1記載の光源色測定装置。
【請求項3】
前記ファイバ群の各ファイバを分散させるときに、各ファイバが相互に均等な間隔となるように分散させていること
を特徴とする請求項2記載の光源色測定装置。
【請求項4】
前記多角形ライトパイプを前記分光計に接続したこと
を特徴とする請求項3記載の光源色測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−242175(P2012−242175A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110628(P2011−110628)
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】