説明

光源装置

【課題】点灯回路ユニットが熱破壊され難い光源装置を提供する。
【解決手段】発光管10および当該発光管10を気密封止する内管28を備える二重管構造体20と、前記発光管10を点灯させるための点灯回路ユニット30と、前記二重管構造体20と前記点灯回路ユニット30との間に配置され、前記発光管10から発生する熱が前記点灯回路ユニット30へ伝わるのを妨げる熱遮蔽板70と、を備える光源装置1において、前記内管28の封止部分28aは、前記発光管10を挟んで前記熱遮蔽板70と対向する位置に配置されており、前記熱遮蔽板70の前記点灯回路ユニット30側の主面72から前記二重管構造体20までの最短距離[mm]をLとし、定格電力[W]をPとした場合、L≧0.005P+0.7、且つ、10≦P≦250の関係を満たす構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置に関し、特に、水銀灯代替光源として好適なメタルハライドランプに関する。
【背景技術】
【0002】
道路、広場、競技場などの屋外照明、体育館や工場などの高天井の屋内照明には、従来、主として水銀灯が用いられているが、水銀灯は比較的効率が低いため、近年の省エネルギーの要請を背景として、当該水銀灯を効率の高いメタルハライドランプへ置き換えることが推奨されている。
しかし、既存の照明施設には水銀灯用の安定器が設けられているため、当該水銀灯用の照明器具にメタルハライドランプをそのまま装着して水銀灯と同等の明るさを得るためには、前記安定器をメタルハライドランプ用の安定器に取り替える必要があり、このことが、メタルハライドランプへの置き換えの阻害要因の一つとなっている。
【0003】
そこで、水銀灯用の安定器はそのまま残存させた状態で、当該水銀灯と同等の明るさが得られるメタルハライドランプとして、安定器を含む点灯回路ユニットをランプ筐体の内部に収納した所謂回路内蔵型のメタルハライドランプ(特許文献1,2)への要望が高まっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−158361号公報
【特許文献2】特開2005−116218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図16は、従来の回路内蔵型のメタルハライドランプの概略構成を示す縦断面図である。例えば、従来の回路内蔵型のメタルハライドランプ500は、発光管501を有する二重管構造体502と、発光管501を点灯させるための点灯回路ユニット503と、点灯回路ユニット503を内部に収容するケース504と、ケース504の他方の開口側端部に外嵌された口金505と、二重管構造体502を内包した状態でケース504に取り付けられた外管506とを備える。ケース504の発光管501側の壁部507の中央には二重管構造体502のピンチシール部508を挿入するための貫通孔509が、ピンチシール部508の形状に合わせて形成されており、その貫通孔509にピンチシール部508を挿入し、貫通孔509とピンチシール部508との間隙に無機接着剤510を充填することで、二重管構造体502をケース504に固定している。
【0006】
しかしながら、水銀灯の代替品となる高ワットタイプのメタルハライドランプ500の場合、定常点灯中の発光管501の表面は1000[℃]近い温度になり、発光管501を気密封止する内管511でさえも400[℃]を超える温度になるため、上記のようなケース504の貫通孔509にピンチシール部508を挿入する構成であると、ピンチシール部508からケース504を介して点灯回路ユニット503に伝導により熱が伝わるだけでなく、輻射および対流によってもピンチシール部508から点灯回路ユニット503に熱が伝わるため、点灯回路ユニット503が熱くなって破壊されるおそれがある。
【0007】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたもので、点灯回路ユニットが熱破壊され難い光源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る光源装置の一態様は、先端が互いに対向する一対の電極を有し発光物質としてハロゲン化金属が封入された発光管、および、当該発光管を気密封止する内管を備える二重管構造体と、前記発光管を点灯させるための点灯回路ユニットと、前記二重管構造体と前記点灯回路ユニットとの間に配置され、前記発光管から発生する熱が前記点灯回路ユニットへ伝わるのを妨げる熱遮蔽板と、を備え、前記内管の封止部分は、前記発光管を挟んで前記熱遮蔽板と対向する位置に配置されており、前記熱遮蔽板の前記点灯回路ユニット側の主面から前記二重管構造体までの最短距離[mm]をLとし、定格電力[W]をPとした場合、L≧0.005P+0.7、且つ、10≦P≦250の関係を満たすことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る光源装置の他の態様は、先端が互いに対向する一対の電極を有し発光物質としてハロゲン化金属が封入された発光管、および、当該発光管を気密封止する内管を備える二重管構造体と、前記発光管を点灯させるための点灯回路ユニットと、前記二重管構造体と前記点灯回路ユニットとの間に配置され、前記発光管から発生する熱が前記点灯回路ユニットへ伝わるのを妨げる熱遮蔽板と、を備え、前記内管の封止部分は、前記発光管と前記熱遮蔽板との間に配置されており、前記熱遮蔽板の前記点灯回路ユニット側の主面から前記二重管構造体までの最短距離[mm]をLとし、定格電力[W]をPとした場合、L≧0.004P+0.6、且つ、30≦P≦250の関係を満たすことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る光源装置のさらに他の態様は、半導体発光モジュールと、前記半導体発光モジュールを点灯させるための点灯回路ユニットと、前記点灯回路ユニットと電気的に接続された口金と、前記半導体発光モジュールと前記点灯回路ユニットとの間に配置され、前記半導体発光モジュールから発生する熱が前記点灯回路ユニットへ伝わるのを妨げる熱遮蔽板と、を備え、前記熱遮蔽板の前記点灯回路ユニット側の主面から前記半導体発光モジュールまでの最短距離[mm]をLとし、定格電力[W]をPとした場合、L≧0.004P+0.6、且つ、30≦P≦250の関係を満たすことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る光源装置は、二重管構造体や半導体発光モジュールのような光源と点灯回路ユニットとの間に熱遮蔽板が配置されているため、光源の熱が輻射や対流によって点灯回路ユニットへ伝わり難い。さらに、熱遮蔽板の点灯回路ユニット側の主面から光源までの最短距離[mm]をLとし、定格電力[W]をPとした場合、最短距離Lと定格電力Pとが所定の関係を満たすため、光源の熱が伝導によっても点灯回路ユニットへ伝わり難い。したがって、点灯回路ユニットが熱破壊され難い。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態に係る光源装置の概略構成を示す縦断面図
【図2】点灯回路ユニットにおける点灯回路の回路図
【図3】最短距離Lおよび定格電力Pが点灯回路ユニットの熱破壊に及ぼす影響についての実験結果を示す図
【図4】最短距離Lおよび定格電力Pが点灯回路ユニットの熱破壊に及ぼす影響についての実験結果を示す図
【図5】第2の実施形態に係る光源装置の概略構成を示す縦断面図
【図6】二重管構造体とケースとの隙間に遮熱部材を1つ設けた状態を示す斜視図
【図7】二重管構造体とケースとの隙間に遮熱部材を2つ設けた状態を示す斜視図
【図8】遮熱部材が点灯回路ユニットの熱破壊に及ぼす影響についての実験結果を示す図
【図9】第3の実施形態に係る光源装置の概略構成を示す縦断面図
【図10】最短距離Lおよび定格電力Pが点灯回路ユニットの熱破壊に及ぼす影響についての実験結果を示す図
【図11】最短距離Lおよび定格電力Pが点灯回路ユニットの熱破壊に及ぼす影響についての実験結果を示す図
【図12】二重管構造体の姿勢が外管の破損に及ぼす影響についての実験結果を示す図
【図13】第4の実施形態に係る光源装置の概略構成を示す縦断面図
【図14】第5の実施形態に係る光源装置の概略構成を示す縦断面図
【図15】半導体発光モジュールおよび二重管構造体が及ぼす点灯回路ユニットへの熱影響を比較した結果を示す図
【図16】従来の回路内蔵型のメタルハライドランプの概略構成を示す縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本実施の形態に係る光源装置について、図面を参照しながら説明する。
<光源装置の構成>
図1は、第1の実施形態に係る光源装置の概略構成を示す縦断面図である。図1に示すように、第1の実施形態に係る光源装置1は、回路内蔵型の高ワットタイプのメタルハライドランプであって、発光管10を有する二重管構造体20と、前記発光管10を点灯させるための点灯回路ユニット30と、当該点灯回路ユニット30を内部に収容するケース40と、当該ケース40の一端部に外嵌された口金50と、前記二重管構造体20を内包した状態で前記ケース40に取り付けられた外管60とを備える。なお、第1の実施形態に係る光源装置1では二重管構造体20が光源であり発熱する。
【0014】
発光管10は、内部に気密封止された放電空間を有する本管部11と、当該本管部11の管軸方向両側に延出するように形成された一対の細管部12,13と、からなる放電容器14を有する。なお、放電容器14は、本管部11および細管部12,13をそれぞれ別個に成形した後、それらを焼きばめによって一体化したものを用いているが、これに限らず、例えば本管部11および2つの細管部12,13を一体成形しても構わない。
【0015】
本管部11の放電空間には、発光物質としてのハロゲン化金属、始動補助ガスである希ガス、および、緩衝ガスである水銀がそれぞれ所定量封入されている。なお、ハロゲン化金属としては、例えばヨウ化ナトリウムやヨウ化ジスプロシウムなどが用いられる。
本管部11および細管部12,13は、例えば透光性セラミックで形成されている。なお、透光性セラミックとしては、例えばアルミナセラミックを用いることができるが、他のセラミック、或いは石英ガラスなどを用いても良い。
【0016】
発光管10は、光源装置1の長手方向の中心軸であるランプ軸上に位置し、且つ、先端が互いに対向する一対の電極15,16を備える。なお、実際には、そのプロセスの精度上、一対の電極15,16がランプ軸上に位置していない場合もある。
細管部12,13には、一端が電極15,16に接合された給電体17、18がそれぞれ挿入されている。給電体17、18は、細管部12,13内に流し込まれたフリットからなるシール材(不図示)によって前記細管部12,13に封着されている。
【0017】
一方の給電体17は、電極15とは反対側の端部が電力供給線21と電気的に接続されており、他方の給電体18は、電極16とは反対側の端部が電力供給線22と電気的に接続されている。各電力供給線21,22は、金属箔23,24、当該金属箔23,24に接続されたリード線25,26、当該リード線25,26に接続された後述する導線90,91を介して点灯回路ユニット30に接続されている。なお、他方の電力供給線22における一方の電力供給線21および給電体17と対向する部分は、例えば石英ガラスからなるスリーブ27で被覆されている。
【0018】
上記した発光管10、電力供給線21,22、金属箔23,24、リード線25,26およびスリーブ27は、例えば円筒状をした内管28内に収納されており、それらで二重管構造体20が構成されている。
内管28は、例えば石英ガラスからなり、金属箔23,24が位置する側の端部が例えばピンチシール法によって圧潰され気密封止されている。したがって、内管28は、片封止型の気密容器であるといえる。ここで、内管28において圧潰されている部分を封止部分28aと称するが、当該封止部分28aの横断面は略長方形である。
【0019】
内管28の内部であって発光管10の外部にあたる空間は、ランプ点灯時に給電体17、18や電力供給線21,22などが高温にさらされた際に酸化するのを防止するために、真空となっている。なお、真空ではなく前記空間に不活性ガスを充満させて酸化を防止する構成であっても良い。
ケース40は、有底筒状であって、底部を構成する円板形状の熱遮蔽板70と、一方の開口側端部に前記熱遮蔽板70が取り付けられた筒体80とで構成されている。
【0020】
熱遮蔽板70は、例えばアルミニウムからなる厚さ0.2[mm]の板材を加工したものであって、二重管構造体20と点灯回路ユニット30との間に配置され、前記二重管構造体20側である第1主面71と前記点光回路ユニット30側である第2主面72とを有する。なお、熱遮蔽板70の肉厚は0.2[mm]に限定されないが、0.2〜5.0[mm]の範囲が好ましい。
【0021】
熱遮蔽板70の材料は、アルミニウムに限定されず、例えば、SUS304のようなステンレス鋼、鉄、白金、アルミナ、ジルコニア、石英ガラス、ステアタイト、硬質ガラス、軟質ガラス、PPS、PBI、PBTなどであっても良い。熱遮蔽板70の材料の熱伝導率は、0.2〜240[W/m・K]であることが好ましい。
熱遮蔽板70には、二重管構造体20を支持するための支持部材としての一対の導線90,91が取り付けられている。
【0022】
導線90,91は、例えば、鉄からなる導電性の線状部材であって、長尺の線部分92,93と短尺の線部分94,95とで構成される倒L字形である。なお、導線90,91の材料としては、例えば、SUS304、白金、ニオブ、真鍮、タングステン、モリブデンなどが好ましく、その熱伝導率は、15〜180[W/m・K]であることが好ましい。
長尺の線部分92,93は、熱遮蔽板70の第1主面71および第2主面72と略直交しており、一端が点灯回路ユニット30に接続されている。短尺の線部分94,95は、熱遮蔽板70の第1主面71および第2主面72と略平行であって、一端は長尺の線部分92,93の他端に繋がっており、他端は互いに対向している。そして、短尺の線部分94,95の他端付近に二重管構造体20のリード線25,26が接合されている。
【0023】
導線90,91は、熱遮蔽板70に形成された一対の貫通孔73,74に長尺の線部分92,93をそれぞれ貫通させた状態で、それら貫通孔73,74と長尺の線部分92,93との隙間に接着剤75,76を充填することによって前記熱遮蔽板70に固定されている。なお、接着剤75,76には、例えばシリカおよびアルミナを主成分とし1000℃の耐熱温度を有する無機接着剤が用いられる。
【0024】
筒体80は、例えば耐熱性の合成樹脂材料からなり、外観が略円錐台形をした筒状である回路収納部分81と、前記回路収納部分81の小さい方の開口側の端部に連設された円筒状の口金取付部分82とからなる。筒体80の材料としては、金属アルミ,鉄、それらを含む合金、アルミナなどのセラミック、およびPPS,PBTのような樹脂材料などを適宜使用して良い。
【0025】
回路収納部分81の内面には、点灯回路ユニット30を載置するための円環状の回路載置面83と、熱遮蔽板70を載置するための円環状のホルダ載置面84とがそれぞれ内側の一部を切り欠くことによって形成されており、さらに、回路収納部分81の大きい方の開口側の端面85には円環状の挿入溝86が形成されている。口金取付部分82には、点灯回路ユニット30の第1リード線31をケース40の外部に導出させるための貫通孔87が形成されている。また、ケース材料としては、金属アルミ,鉄、それらを含む合金、アルミナなどのセラミック、およびPPS,PBTのような樹脂材料などを適宜使用して良い。
【0026】
ケース40の内部空間41と外管60の内部空間61とは、熱遮蔽板70によって仕切られており、外管60の内部空間61で熱された空気が内部空間41へ流れ込まないようになっている。したがって、外管60内の空気がケース40内に移動し難く、これにより二重管構造体20から点灯回路ユニット30へ対流によって熱が伝わり難く、前記点灯回路ユニット30が熱破壊され難い。そして、ケース40の内部空間41の雰囲気温度は外管60の内部空間61の雰囲気温度よりも低い。
【0027】
口金50は、筒状胴部とも称されるシェル51と、円形皿状をしたアイレット52と、シェル51およびアイレット52とを接合するガラス材料からなる絶縁部53とで構成される。点灯回路ユニット30の第1リード線31の貫通孔87から導出された部分は、ケース40の外面と口金50の内面とに挟持され、これにより第1リード線31とシェル51とが電気的に接続されている。点灯回路ユニット30の第2リード線32の口金取付部分82の開口から導出された部分は、アイレット52に半田54で接合され、これにより第2リード線32とアイレット52とが電気的に接合されている。
【0028】
点灯回路ユニット30は、ケース40の回路載置面83に載置され固定されたプリント配線板33と複数の電子部品34などからなり、ケース40の内部空間41に配置されている。
図2は、点灯回路ユニットにおける点灯回路の回路図である。図2に示すように、点灯回路ユニット30における点灯回路は、AC/DC変換部、DC調整部、および、DC/AC変換部を有し、口金50から第1リード線31および第2リード線32を介して供給される商用交流電力を、発光管10を点灯させるための電力に変換して発光管10に給電する。
【0029】
AC/DC変換部は、商用交流電源からの交流電力を所定電圧の直流電力に変換する役割を有し、整流回路DBと、整流回路DBから出力される直流電圧を昇圧する昇圧回路とを備える。昇圧回路は、チョッパー方式の昇圧回路であり、インダクタンスL1、スイッチング素子Q1、ダイオードD1、および、コンデンサC1を備える。本例において、インダクタンスL1にはチョークコイルが、スイッチング素子Q1にはトランジスタが、コンデンサC1には電解コンデンサが、それぞれ使用される。
【0030】
DC調整部は、AC/DC変換部から出力される直流電圧を所定の電圧に調整する役割を有し、チョッパー方式の降圧回路からなる。当該降圧回路は、スイッチング素子Q2、ダイオードD2、インダクタンスL2、および、コンデンサC2を備える。本例において、スイッチング素子Q2にはトランジスタが、インダクタンスL2にはチョークコイルが、コンデンサC2には電解コンデンサが、それぞれ使用される。
【0031】
DC/AC変換部は、DC調整部から出力される直流電圧を交流電力に変換して、発光管10に給電する役割を有し、直流電力を交流電力に変換する変換回路と、発光管10に流れる電流を制御し放電を安定させる安定器L3とを備える。変換回路は、フルブリッジ回路であり、4つのスイッチング素子Q3,Q4,Q5,Q6を備える。また、安定器L3には、例えばチョークコイルが使用される。
【0032】
光源装置1は、上記した構成の点灯回路ユニット30を内蔵しているため、水銀灯用の安定器(銅鉄安定器)が残存している既設の照明施設にも使用することができる。なお、言うまでも無く、水銀灯用の銅鉄安定器を除去した施設でも、あるいは、電力ラインにおいて当該銅鉄安定器を意図的に短絡させた施設においても、光源装置1を使用することは可能である。
【0033】
外管60は、例えば図1に示すような所謂ドロップ形状であって、開口端縁部62がケース40の挿入溝86に挿入され、開口端縁部62と挿入溝86との間隙に無機接着剤(不図示)が充填されて、ケース40に接合されている。外管60には、耐熱性や加工性を考慮して例えば硬質ガラスまたは軟質ガラスが用いられる。なお、無機接着剤には、例えば導線90,91を熱遮蔽板70に固定する接着剤75,76と同様のものを使用することができる。
【0034】
以上に説明した第1の実施形態に係る光源装置1は、水銀灯代替光源として既存の水銀灯用照明器具に装着して用いられるものであって、定格電力が30〜250[W]の高ワットタイプであることが好ましい。250Wよりワット数が高い光源装置の場合、熱源である発光管10からの熱の影響が非常に大きいために、後述するような図1における熱遮蔽板70の第2主面72から二重管構造体20までの最短距離[mm]Lの確保だけでは、点灯回路ユニットの寿命信頼性を確保することが非常に困難になる。具体的な高ワットタイプの定格電力としては、例えば30[W]、70[W]、100[W]、150[W]、200[W]、250[W]などが挙げられる。なお、本発明において定格電力とは、点灯回路ユニット込みの光源装置において発光管10で消費される電力をいう。
【0035】
一般に、メタルハライドランプは、水銀灯と比較して発光効率[lm/W]が良いため、水銀灯の代替品として使用する場合は水銀灯よりも低い電力で同等の明るさが得られる。例えば定格電力が10[W]のメタルハライドランプは、40[W]の水銀灯と同等の明るさが得られ、40[W]の水銀灯の代替品となり得る。同様に、30[W]のメタルハライドランプは80[W]の水銀灯と同等、70[W]のメタルハライドランプは100[W]の水銀灯と同等、100[W]のメタルハライドランプは200[W]の水銀灯と同等、150[W]のメタルハライドランプは250[W]の水銀灯と同等、200[W]のメタルハライドランプは300[W]の水銀灯と同等、250[W]のメタルハライドランプは400[W]の水銀灯と同等の明るさが得られ、それぞれの水銀灯の代替品となり得る。なお、使用する用途、環境によっては、全光束・照度などのような代替条件として注目するランプ特性が異なる場合があるため、代替となるワットレンジは適宜変更して良い。
【0036】
<点灯回路ユニットの耐熱破壊性能>
上記した光源装置1は、二重管構造体20と点灯回路ユニット30との間に配置された熱遮蔽板70を有するため、前記二重管構造体20から前記点灯回路ユニット30に輻射および対流により熱が伝わり難い。図16に示すような従来のメタルハライドランプ500では二重管構造体502の熱が輻射、対流、伝導の3つのパターンにより点灯回路ユニット503に伝わったが、その中でも輻射による影響が最も大きかった。しかしながら、本発明に係る光源装置1では輻射によって熱が伝わり難く、さらに対流によっても熱が伝わり難いため点灯回路ユニット503が高温になり難い。
【0037】
本発明に係る光源装置1は、図1に示すように、熱遮蔽板70の第2主面72から二重管構造体20までの最短距離[mm]をLとし、定格電力[W]をPとした場合に、L≧0.005P+0.7、且つ、10≦P≦250の関係を満たすため点灯回路ユニットが熱破壊され難く、前記光源装置1が長寿命である。なお、内管28における封止部分28aとは反対側の端部28b(以下、「先端部分28b」)にはチップ部28cが形成されている場合が多いが、最短距離Lを測定する場合には前記チップ部28cを無視するものとする。
【0038】
図3および図4は、最短距離Lおよび定格電力Pが点灯回路ユニットの熱破壊に及ぼす影響についての実験結果を示す図である。実験では、第1の実施形態に係る光源装置1をベースに、最短距離Lおよび定格電力Pに変更を加えた実施例1〜14および比較例1〜28の光源装置を種々作製し、それら光源装置を点灯させて、ケース40の内部空間41の雰囲気温度(回路温度)と、点灯回路ユニットが熱破壊されるまでの時間とを測定した。
【0039】
具体的には、点灯回路ユニットが熱破壊されるまでの時間として、各光源装置に対してエージングを実施し、点灯回路ユニットが熱破壊されるまでの総点灯時間(回路寿命時間)を測定した。そして、回路寿命時間が24000[h]以上の場合は、所望の定格寿命に対してバラツキを考慮した寿命信頼性を確保する「良好○」な光源装置と評価し、24000[h]未満の場合は、所望の定格寿命に対してバラツキを考慮した寿命信頼性を確保できない「不良×」な光源装置と評価した。
【0040】
なお、光源装置が不点になり、且つ、点灯回路ユニット以外の箇所に故障が見られなかった場合に、点灯回路ユニットが短命化し、破壊したとみなした。また、エージングは、光源装置の口金50が上側となる点灯姿勢を保持し、定格電力Pにおいて裸点灯させながら、5.5h点灯させた後に0.5h消灯するという点灯サイクルを採用し、評価を行った。
【0041】
回路寿命時間24000[h]を境にして「良好」、「不良」の評価した理由としては、光源装置は、水銀灯の代替品としての位置づけから当該水銀灯と同等かそれ以上の寿命を実現する必要があり、水銀灯の寿命は12000[h]であるため、その代替品として少なくとも12000[h]好ましくは15000[h]の寿命を確保する必要があり、回路設計上の電子部品の品質のバラツキや光源装置の使用環境までも考慮するとその2倍の寿命すなわち30000[h]を設計寿命とすることが好ましいからである。
【0042】
なお、図3および図4において、突出長さとは、二重管構造体20が熱遮蔽板70の第2主面72から突出する長さを意味し、実回路スペースとは、回路収納部分81の内部空間の容積を意味する。
図3および図4から明らかなように、L≧0.005P+0.7、且つ、10≦P≦250の関係を満たす実施例1〜14の光源装置は、いずれも回路寿命時間が24000[h]以上であり目標値を超えている。一方、前記関係を満たさない比較例1〜28の光源装置は24000[h]未満であり目標値を超えなかった。
【0043】
また、実施例1〜14の光源装置は、いずれもケース40の内部空間41の雰囲気温度のうち少なくとも一部の温度が70[℃]を超えることがなかった。一方、比較例1〜28の光源装置はいずれもケース40の内部空間41の全て領域において雰囲気温度が70[℃]以上であった。一般に、点灯回路ユニットの中で最も熱に弱い素子は電解コンデンサであると考えられるが、電解コンデンサが所望の定格寿命に対してバラツキを考慮した寿命信頼性を確保する温度は70[℃]であるため、この温度を超えている比較例1〜28の光源装置は寿命が短かったと考えられる。
【0044】
なお、本願において、ケース40の内部空間41の雰囲気温度とは、点灯を開始してから3h経過後、点灯回路ユニット30が収納されたケース40の内部空間41の温度が安定した状態の際に、熱電対を用いて内部空間41の雰囲気温度を、全空間を網羅する領域においてランダムに16点測定したうち、最低の測定温度を意味する。
[第2の実施形態]
図5は、第2の実施形態に係る光源装置の概略構成を示す縦断面図である。図6は、二重管構造体とケースとの隙間に遮熱部材を1つ設けた状態を示す斜視図である。図7は、二重管構造体とケースとの隙間に遮熱部材を2つ設けた状態を示す斜視図である。
【0045】
図5に示すように、第2の実施形態に係る光源装置100は、遮熱部材110を備えている点において第1の実施形態に係る光源装置1とは異なる。その他の構成については基本的に第1の実施形態に係る光源装置1と略同様である。したがって、共通の構成部分には第1の実施形態に係る光源装置1と同じ符号を付してその説明は省略するか簡略するにとどめ、異なる点についてのみ詳細に説明する。
【0046】
第2の実施形態に係る光源装置100は、二重管構造体20とケース40との隙間に、前記二重管構造体20から前記ケース40に熱が伝わるのを妨げるための遮熱部材110が配置されている。図6に示すように、遮熱部材110は、方形の底板111と、当該底板111の各辺に延設された4枚の同じ形をした矩形の側板112〜115とからなる略キャップ状の本体部116と、当該本体部116に取り付けられた棒状の支持部117とを備える。
【0047】
本体部116は、底板111が二重管構造体20と熱遮蔽板70との間に位置するようにして、二重管構造体20の先端部分28bを覆うように配置されている。当該本体部116は、例えば、SUS304からなる厚さ0.3[mm]の平板を曲げ加工して成形したものであって、側板112〜115は底板111から遠ざかるほど互いの間隔が広がるような角度で折り曲げられている。このようにすることで本体部116の開口118を広げて、二重管構造体20の先端部分28bを前記本体部116内に差し込み易くしている。なお、隣接する側板112〜115間には隙間が形成されており、それら隙間は底板111から遠ざかるほど互いの間隔が広がっている。
【0048】
支持部117は、本体部116の底板111における側板112〜115が延出する側とは反対側の面に一端部が例えば溶接により固着されており、他端部付近が一方の導線91の長尺の線部分93に例えば溶接により固着されている。
第2の実施形態に係る光源装置100は、遮熱部材110を備えているため、底板111が邪魔となって二重管構造体20から熱遮蔽板70に輻射による熱が伝わり難く、また、側板112〜115によって前記二重管構造体20で暖められた空気が前記熱遮蔽板70から遠ざかる向きに流れるよう誘導されるため、対流による熱も伝わり難い。したがって、点灯回路ユニット30がより熱破壊され難い。
【0049】
なお、遮熱部材110は1つに限らず複数設けることも可能であり、例えば図7に示すように、遮熱部材110を2つ設けることもできる。このように遮熱部材110の数を調節することによって、より点灯回路ユニット30が熱破壊され難い構成とすることができる。
実験により、遮熱部材110が点灯回路ユニット30の熱破壊に及ぼす影響について調べた。図8は、遮熱部材が点灯回路ユニットの熱破壊に及ぼす影響についての実験結果を示す図である。実験では、遮熱部材110を設けない場合と、1つ設けた場合と、2つ設けた場合とについて、回路温度と回路寿命時間とを測定した。
【0050】
図8から明らかなように、いずれの定格電力Pにおいても、遮熱部材110を設けない場合よりも1つ設けた場合の方が回路温度は低く、回路寿命時間は長かった。また、1つ設けた場合よりも2つ設けた場合の方が回路温度は低く、回路寿命時間は長かった。
なお、遮熱部材110の構成は上記の例に限定されない。例えば、本体部116は、二重管構造体20から熱遮蔽板70に熱が伝わり難くする構成であれば良い。よって、本体部116の形状は、キャップ状の形状に限らず、板状や膜状、
湾曲状などであっても良い。また、材料はSUS304に限定されず鉄、白金、ニオブ、真鍮、タングステン、モリブデンなどであっても良い。
【0051】
また、本体部116は、二重管構造体20との間に隙間を空けて配置される構成に限らず、例えば先端部分28bをコーティング材でコーティングして、そのコーティング材を本体部116とするなど、前記本体部116が前記二重管構造体20に密着し隙間がない状態で取り付けられる構成としても良い。さらに、本体部116は、熱遮蔽板70との間に隙間がない構成であっても良い。
【0052】
また、本体部116の二重管構造体20に対向する面が例えば鏡面になっているなど、前記本体部116で前記二重管構造体20からの熱を効率的に反射する構成としても良い。
支持部117は、本体部116を支持できる構成であれば良く、例えば、支持部117の他端部は、ケース40やグローブ60など導線91以外の部材に固定されていても良い。また、支持部117の本体部116への固定、及び、支持部117の導線91への固定は、溶接以外の方法で行ってもよい。
【0053】
また、支持部117の形状は棒状に限定されず、例えば、板状などであっても良い。さらに、支持部117の材料は鉄に限定されず、例えば、SUS304、白金、ニオブ、真鍮、タングステン、モリブデンであっても良い。
[第3の実施形態]
図9は、第3の実施形態に係る光源装置の概略構成を示す縦断面図である。図9に示すように、第3の実施形態に係る光源装置200は、二重管構造体20の封止部分28aが点灯回路ユニット30側に位置する点において第1の実施形態に係る光源装置1とは異なる。その他の構成については基本的に第1の実施形態に係る光源装置1と略同様である。したがって、共通の構成部分には第1の実施形態に係る光源装置1と同じ符号を付してその説明は省略するか簡略するにとどめ、異なる点についてのみ詳細に説明する。
【0054】
第3の実施形態に係る光源装置200では、内管28の先端部分28bが、発光管10を挟んでケース40と対向する位置に配置されており、前記内管28の封止部分28aが、前記発光管10を挟んで前記ケース40と対向する位置に配置されている第1の実施形態に係る光源装置1とは二重管構造体20の姿勢が逆である。
第3の実施形態に係る光源装置200では、各電力供給線21,22は、金属箔23,24、当該金属箔23,24に接続された支持部材としてのリード線201,202を介して点灯回路ユニット30に接続されている。
【0055】
リード線201,202は、例えば、モリブデンからなる導電性の直線状の部材であって、熱遮蔽板70の第1主面71および第2主面72と略直交している。各リード線201,202は、熱遮蔽板70に形成された一対の貫通孔203,204にそれぞれ貫通させた状態で、それら貫通孔203,204とリード線201,202との隙間に接着剤205,206を充填することによって前記熱遮蔽板70に固定されている。
【0056】
なお、リード線201,202は、導電性を有し、二重管構造体20を支持できる強度を有していれば、上記構成に限定されない。また、リード線201,202の材料は、モリブデンに限定されず、SUS304、白金、ニオブ、真鍮、タングステン、鉄などであっても良い。また、接着剤205,206には、例えばシリカおよびアルミナを主成分とし1000℃の耐熱温度を有する無機接着剤が用いられる。
【0057】
図10および図11は、最短距離Lおよび定格電力Pが点灯回路ユニットの熱破壊に及ぼす影響についての実験結果を示す図である。第3の実施形態に係る光源装置200をベースに、最短距離Lおよび定格電力Pに変更を加えた実施例29〜40および比較例29〜52の光源装置を種々作製し、ケース40の内部空間41の雰囲気温度(回路温度)と、点灯回路ユニットが熱破壊されるまでの時間とを、第1の実施形態の場合と同じようにして測定した。
【0058】
図10および図11から明らかなように、L≧0.004P+0.6、且つ、30≦P≦250の関係を満たす実施例29〜40の光源装置は、いずれも回路寿命時間が24000[h]以上であり目標値を超えたが、前記関係を満たさない比較例29〜52の光源装置は、24000[h]未満であり目標値を超えなかった。
以上の結果から、第3の実施形態に係る光源装置200のように、二重管構造体20の封止部分28aが点灯回路ユニット30側に位置する姿勢の場合、L≧0.004P+0.6、且つ、30≦P≦250の関係を満たしていれば、点灯回路ユニットが熱破壊され難く、前記光源装置100が長寿命であることがわかる。
【0059】
封止部分28aは、光源からの距離が遠いという点、およびガラスの肉厚が厚く、かつ熱容量が大きいという点において、チップ部28c側より温度が低い。
そのため、二重管構造体20から熱遮蔽板70に伝わる輻射による熱が弱くなり温度が低くなるから、第1の実施形態の場合(L≧0.005P+0.7)よりも、傾きが小さくなる。
【0060】
また、電力Pが30[W]以上となれば、封止部分28aからリード線201,202を直接介して伝導する熱の寄与分が大きくなるために、点灯回路ユニット30が熱破壊しやすくなるものの、L≧0.004P+0.6を満たせば、上記したように封止部分28aは、チップ部28c側より温度が低いから、課題が解決すると考えられる。
ところで、第3の実施形態に係る光源装置200ように、二重管構造体20の封止部分28aが点灯回路ユニット30側に位置する場合、万が一、発光管10が破裂して内管28の本管部11付近が割れると、前記内管28の先端部分28b側で構成される破片が外管60の頂部63に向けて弾け飛んで、前記外管60を破損させるおそれがある。このように外管60が破損すると、内管28や外管60の破片が前記外管60の外側に飛散するため危険である。このような課題は、図16に示すような従来のメタルハライドランプ500においても同じである。
【0061】
このような危険を回避するためには、第1の実施形態に係る光源装置1のように、二重管構造体20の先端部分28bが点灯回路ユニット30側に位置することが好ましい。
図12は、二重管構造体の姿勢が外管の破損に及ぼす影響についての実験結果を示す図である。実験では、第1の実施形態に係る光源装置1、および、第3の実施形態に係る光源装置200をベースに、水銀封入量、外管肉厚および定格電力Pに変更を加えた実施例41〜54の光源装置を種々作製し、それら光源装置についてUL規格No.1572に基づく発光管破損時の安全性を評価した。
【0062】
具体的には、各光源装置を15分間安定点灯させた後、点灯回路を短絡させて大電流を発光管10に流し、当該発光管10を強制的に破損させる。その後、外管60を観察し、当該外管60にひびが入っていた場合は不良と判断し、各10個ずつにおける不良発生数を数えた。
水銀封入量については、各定格電力Pにおける水銀量製造規格の上限値を封入した場合と、その上限値を超えて封入した場合とについて実験した。外管肉厚については、外管肉厚規格が0.5〜1.5[mm]であることから、平均値である1.0[mm]の場合と、耐衝撃性に最も不利である0.5[mm]の場合について実験した。
【0063】
図12から明らかなように、封止部分28aが点灯回路ユニット30側の場合、外管肉厚が0.5[mm]であれば、水銀封入量が上限値のときも上限値を超えているときも外管60にひびが入った。そのため安全性を「悪い×」と評価した。
同様に封止部分28aが点灯回路ユニット30側の場合、外管肉厚が1.0[mm]であれば、水銀封入量が上限値のとき外管60にひびは入らなかったが、上限値を超えているとき前記外管60にひびが入った。そのため安全性を「良好○」と評価した。
【0064】
一方、先端部分28bが点灯回路ユニット30側の場合、外管肉厚や水銀封入量の如何にかかわらず、外管60にひびは入らなかった。そのため安全性を「非常に良好◎」と評価した。このように、先端部分28bが点灯回路ユニット30側の場合は、封止部分28aが点灯回路ユニット30側の場合よりも安全性が高い。
[第4の実施形態]
図13は、第4の実施形態に係る光源装置の概略構成を示す縦断面図である。第4の実施形態に係る光源装置300は、二重管構造体20と熱遮蔽板301との間に隙間がない点において第3の実施形態に係る光源装置200とは異なる。その他の構成については基本的に第3の実施形態に係る光源装置200と略同様である。したがって、共通の構成部分には第3の実施形態に係る光源装置200と同じ符号を付してその説明は省略するか簡略するにとどめ、異なる点についてのみ詳細に説明する。
【0065】
図13に示すように、第4の実施形態に係る光源装置300では、内管28の先端部分28bが、発光管10を挟んでケース40と対向する位置に配置されており、前記内管28の封止部分28aは熱遮蔽板301側に配置されている。
熱遮蔽板301は、肉厚が最短距離Lよりも厚く、前記熱遮蔽板301の発光管10側の主面302には二重管構造体20の封止部分28aの先端を差し込むための凹部303が設けられており、その凹部303に前記封止部分28aの先端が差し込まれている。そして、封止部分28aの先端は接着剤(不図示)により熱遮蔽板301に固着されている。なお、接着剤には、例えばシリカおよびアルミナを主成分とし1000℃の耐熱温度を有する無機接着剤が用いられる。
【0066】
各電力供給線21,22は、金属箔23,24、当該金属箔23,24に接続されたリード線304,305を介して点灯回路ユニット30に接続されている。熱遮蔽板301には、リード線304,305を貫通させるための一対の貫通孔306,307が凹部303から点灯回路ユニット30側の主面308に至る形成されており、それら貫通孔306,307内にリード線304,305が通されている。
【0067】
以上のように、必ずしも二重管構造体と熱遮蔽板との間に隙間が設けられている必要はなく、第4の実施形態に係る光源装置300のように二重管構造体20と熱遮蔽板301とが接触しているため隙間がない構成であっても良い。さらに、二重管構造体と熱遮蔽板とが接触しない場合でも、前記二重管構造体と前記熱遮蔽板との隙間に他の部材が介在しているため隙間がない構成であっても良い。
【0068】
二重管構造体20と熱遮蔽板301との間に隙間が設けられていなくても、点灯回路ユニット30と前記二重管構造体20との間に前記熱遮蔽板301を有し、さらに、L≧0.004P+0.6、且つ、30≦P≦250の関係を満たせば、前記点灯回路ユニット30が熱破壊され難い。
第3の実施形態と基本的なメカニズムは同様で、電力Pが30[W]以上の範囲においては、封止部分28aからリード線304,305を直接介して伝わる熱伝導の寄与分が大きいため、点灯回路ユニット30が熱破壊する課題が特に発生する。ところが、熱を伝えるのは、あくまでリード線304,305であって、主面308の温度が低下するのは熱源からの距離に応じる部分が大きいために、二重管構造体20と熱遮蔽板301との隙間の有無に関わらず、L≧0.004P+0.6を満たせば、課題を解決しうる。
【0069】
[第5の実施形態]
図14は、第5の実施形態に係る光源装置の概略構成を示す縦断面図である。図14に示すように、第5の実施形態に係る光源装置400は、光源がLEDモジュール401である点において点において第1の実施形態に係る光源装置1とは異なる。その他の構成については基本的に第1の実施形態に係る光源装置1と略同様である。したがって、共通の構成部分には第1の実施形態に係る光源装置1と同じ符号を付してその説明は省略するか簡略するにとどめ、異なる点についてのみ詳細に説明する。
【0070】
半導体発光モジュールとしてのLEDモジュール401は、板状の実装基板402と、当該実装基板402に実装された複数のLEDチップ403と、それらLEDチップ403を内包するように成形された蛍光体層404とを有している。当該LEDモジュール401は、熱遮蔽板405における点灯回路ユニット30側とは反対側の第1主面406に搭載されている。熱遮蔽板405には第1主面406から、点灯回路ユニット30側の第2主面407に至る一対の貫通孔408,409が形成されており、LEDモジュール401に接続されたリード線410,411は、前記貫通孔408,409を通って点灯回路ユニット30に接続されている。
【0071】
光源をLEDモジュール401とした場合、光源が二重管構造体20である場合と比べて、点灯回路ユニット30の温度がどれほど違うのかを実験により調べた。図15は、半導体発光モジュールおよび二重管構造体が及ぼす点灯回路ユニットへの熱影響を比較した結果を示す図である。
第3の実施形態に係る光源装置200をベースとし、光源として30[W]の二重管構造体20を用いた光源装置(実施例29,30、比較例29,30)を点灯させた場合の回路温度と、第5の実施形態に係る光源装置400をベースとし、光源として30[W]のLEDモジュール401を用いた光源装置(実施例55,56、比較例53,54)を点灯させた場合の回路温度とを比較したところ、図15に示すように、光源が二重管構造体20であってもLEDモジュール401であっても、点灯回路ユニット30への熱影響に大きな差がないことがわかった。このことから、第5の実施形態に係る光源装置400のように、光源がLEDモジュール401の場合も、第3の実施形態に係る光源装置200の場合と同様に、LEDモジュール401と点灯回路ユニット30との間に熱遮蔽板405を配置し、さらに、L≧0.004P+0.6、且つ、30≦P≦250の関係を満たせば、前記点灯回路ユニット30が熱破壊され難いと推察できる。
【0072】
これは、第3、第4の実施形態と基本的なメカニズムは同じく、先ず、電力Pが30[W]以上の範囲においては、封止部分28aからリード線410,411を直接介して伝わる熱の寄与分が大きいために、点灯回路ユニット30が熱破壊するという課題が特に発生しやすい。ただし、LEDモジュール401における実装基板402からの熱伝導は、熱源からの距離に応じる部分が特に大きくなることから、L≧0.004P+0.6を満たせば、課題が解決しうると思われる。また、熱的な課題は、上記のように最短距離Lおよび定格電力Pを最適化することに加えて、熱遮蔽板405の材質の違いに応じて生じる熱伝導の違いが影響すると考えられることから、適宜調整することがより好ましい。
【0073】
[変形例]
以上、本発明に係る光源装置を実施の形態に基づいて具体的に説明してきたが、本発明の内容は、上記の実施の形態に限定されない。
本発明に係る光源装置は、銅鉄式のような安定器を含む照明器具にも適用することができる。このように本発明に係る光源装置の取替え対象となる既存の水銀灯用照明器具が安定器を含んでいる場合、内蔵している点灯回路ユニットを保護するという観点からは、前記点灯回路の入力部にパルス保護回路を付設することが好ましい。なぜならば、例えば、点灯中の光源装置が立ち消えるなどして回路への入力電流が急激に遮断された場合には、インダクタンス成分を含む安定器から高電圧のパルスが発生することがあり、このパルス電圧により回路素子が破損するおそれがあるが、上記のようにパルス保護回路を付設すると、パルス電圧による回路素子の破損を抑えることができるためである。また、光源装置が立消えたりなどした場合であっても、回路への入力電流が急激に遮断されることなく、緩やかに減少させるための保護回路を設けることによって、安定器からのパルス電圧を低下させることもできる。
また、本発明に係る光源装置においては、回路の入力部にACフィルタおよび/またはアクティブフィルタ回路を付設させてもよい。一般的に、水銀灯用に使用される安定器はインダクタであるため、本発明に係る点灯回路への入力電流が高調波成分を多く含む場合、本来の入力電流波形を歪ませることがある。その点、これらの回路を付設することにより、回路への入力電流の高調波成分を低減することが出来るため、安定器によって電流波形を歪ませられることなく、ランプに対して適正な電流を安定して供給することができるので、ちらつきなどの問題が回避できる。
ところで、本発明に係る光源装置の取替え対象となる既存の水銀灯用照明器具は、既に数十年という長期にわたって使用されている場合が多く、コイル劣化などが懸念される。
その点、本発明に係る光源装置はセラミック発光管を使用している場合、水銀灯の2倍程度の効率を得ることが出来る。そのため、既存の水銀灯に対して同等の光束(光量)を得るのであれば、およそ半分の電力/電流にすることが出来る。このため、既存の安定器が長期間にわたって使用されていても、本発明に係る光源装置に交換した後は、安定器の電流負荷を低減することができるため、コイル劣化を抑制させる効果や発煙などの不具合を抑制することが出来る。さらに、水銀灯を使用している際、コイル劣化により安定器が短絡状態になった場合は水銀灯の発光管が爆発することがあるが、本発明に係る光源装置であれば内蔵された回路により電流が制限されているため、発光管が爆発するなどの危険性もない。そのため、本発明に係る光源装置を既存の水銀灯用照明器具に適用する場合には、既存の水銀灯よりも低電力のものを選択することが好ましい。このように低電力のものを選択すると、取替え対象となる水銀灯よりも光源装置が低電流であるため、既存の安定器が長期間にわたって使用されていても、回路に対する電流負荷が低いので、コイル劣化などが生じている場合でも発煙などの不具合を抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明に係る光源装置は、既存の水銀灯用照明器具にそのまま装着して用いる水銀灯代替品として好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0075】
1,100,200,300,400 光源装置
10 発光管
15,16 電極
20 二重管構造体
28 内管
28a 封止部分
30 点灯回路ユニット
40 ケース
50 口金
70,301,405 熱遮蔽板
72,308,407 点灯回路ユニット側の主面
90,91,201,202 支持部材
110 遮熱部材
401 半導体発光モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端が互いに対向する一対の電極を有し発光物質としてハロゲン化金属が封入された発光管、および、当該発光管を気密封止する内管を備える二重管構造体と、
前記発光管を点灯させるための点灯回路ユニットと、
前記二重管構造体と前記点灯回路ユニットとの間に配置され、前記発光管から発生する熱が前記点灯回路ユニットへ伝わるのを妨げる熱遮蔽板と、を備え、
前記内管の封止部分は、前記発光管を挟んで前記熱遮蔽板と対向する位置に配置されており、
前記熱遮蔽板の前記点灯回路ユニット側の主面から前記二重管構造体までの最短距離[mm]をLとし、定格電力[W]をPとした場合、L≧0.005P+0.7、且つ、10≦P≦250の関係を満たすことを特徴とする光源装置。
【請求項2】
先端が互いに対向する一対の電極を有し発光物質としてハロゲン化金属が封入された発光管、および、当該発光管を気密封止する内管を備える二重管構造体と、
前記発光管を点灯させるための点灯回路ユニットと、
前記二重管構造体と前記点灯回路ユニットとの間に配置され、前記発光管から発生する熱が前記点灯回路ユニットへ伝わるのを妨げる熱遮蔽板と、を備え、
前記内管の封止部分は、前記発光管と前記熱遮蔽板との間に配置されており、
前記熱遮蔽板の前記点灯回路ユニット側の主面から前記二重管構造体までの最短距離[mm]をLとし、定格電力[W]をPとした場合、L≧0.004P+0.6、且つ、30≦P≦250の関係を満たすことを特徴とする光源装置。
【請求項3】
前記二重管構造体は、前記熱遮蔽板に取り付けられた支持部材により、前記熱遮蔽板との間に隙間を有する状態で支持されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記二重管構造体と前記熱遮蔽板との隙間に前記二重管構造体から前記熱遮蔽板に熱が伝わるのを妨げる遮熱部材が配置されていることを特徴とする請求項3記載の光源装置。
【請求項5】
半導体発光モジュールと、
前記半導体発光モジュールを点灯させるための点灯回路ユニットと、
前記点灯回路ユニットと電気的に接続された口金と、
前記半導体発光モジュールと前記点灯回路ユニットとの間に配置され、前記半導体発光モジュールから発生する熱が前記点灯回路ユニットへ伝わるのを妨げる熱遮蔽板と、を備え、
前記熱遮蔽板の前記点灯回路ユニット側の主面から前記半導体発光モジュールまでの最短距離[mm]をLとし、定格電力[W]をPとした場合、L≧0.004P+0.6、且つ、30≦P≦250の関係を満たすことを特徴とする光源装置。
【請求項6】
先端が互いに対向する一対の電極を有し発光物質としてハロゲン化金属が封入された発光管、および、当該発光管を気密封止する内管と有する二重管構造体と、
前記二重管構造体を点灯させるための点灯回路ユニットと、
前記二重管構造体と前記点灯回路ユニットとの間に配置され、前記発光管から発生する熱が前記点灯回路ユニットへ伝わるのを妨げる熱遮蔽板と、を備え、
前記二重管構造体は、前記内管の封止部分が前記発光管を挟んで前記熱遮蔽板と対向する姿勢で、直接又は支持部材を介して前記熱遮蔽板に取り付けられていることを特徴とする光源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−100682(P2011−100682A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−256050(P2009−256050)
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】