説明

光漏れ制御用粘着剤組成物及びその組成物の塗布されたディスプレイ装置用光学フィルム

【課題】粘着剤の収縮応力を緩和させて、光漏れ現象を補完することができ、光学フィルムの基材と粘着剤の寸法変化差によって発生する残留応力を最小化させることができる光漏れ制御用粘着剤組成物及びその組成物の塗布されたディスプレイ装置用光学フィルムを提供する。
【解決手段】光漏れ制御用粘着剤組成物は、重量平均分子量の異なる三種類のアクリル系共重合体及び、架橋剤を含み、前記アクリル系共重合体は、(a)炭素数4〜12のアルキル基を有するアルキルアクリレート90〜99.9重量部と前記架橋剤と架橋可能な官能基を有する(b)ビニル系単量体0.1〜10重量部で重合された反応型共重合体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光漏れ制御用粘着剤組成物及びその組成物の塗布されたディスプレイ装置用光学フィルムに関し、さらに詳細には、粘着剤の収縮応力を緩和させて、光漏れ現象を補完することができ、光学フィルムの基材と粘着剤の寸法変化差によって発生する残留応力を最小化させることができる光漏れ制御用粘着剤組成物及びその組成物の塗布されたディスプレイ装置用光学フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、様々な高機能性及び耐久信頼性の求められる光学フィルム用粘着剤が用いられるが、特に、液晶素子などに用いられる偏光フィルムを基板に接着させるための粘着剤は、使用環境がより厳しくなっている。このような条件下では、偏光フィルムに寸法変化が生じ、この寸法変化によって発泡、剥離、光漏れ現象が発生しやすくなり、このような現象は、大型化になるほど顕著に多く現れるようになる。偏光フィルムを基板に接着させるための粘着剤は、分子量を大きくするか、又は架橋度を高めることにより、粘着剤層が厳しい条件下での使用に耐えることができるように改良されているが、粘着剤の分子量を大きくするか、又は架橋度を高めて粘着剤層が厳しい条件で耐えることができるようにすることは、粘着剤を利用して偏光フィルムの寸法変化を強制的に抑制するようにすることであるから、一定の寸法変化又は一定期間の寸法変化は抑制することが可能であるが、長期間の使用によって寸法変化により発生する内部応力が偏光フィルムの中央部に比べて周辺部に集中して、液晶素子の周辺部が中央部より明るくなる光漏れ現象が現れるという問題点が発生する。
【0003】
下記の特許文献1には、概して(A)反応性官能基を有するアルキル(メタ)アクリル系共重合体、(B)官能基を有しないアルキル(メタ)アクリレート(共)重合体、及び(C)前記反応性官能基と反応させて得られた官能基を少なくとも2個有する多官能性化合物からなり、前記(A)と(B)とを1:4〜4:1の重量比で含有する減圧粘着剤層が偏光フィルムの少なくとも1面に積層されている偏光板の発明が開示されている。しかしながら、特許文献1に記載の発明は、偏光板の寸法安定性に対応する粘着剤層の追従性は表すことができない。
【0004】
また、下記の特許文献2には、重量平均分子量10万以下のポリマー成分を15重量%以下に含有し、重量平均分子量100万以上のポリマー成分を10重量%以上に含有する炭素数が1〜12であるアルキル基を有するアクリレート又はメタアクリレートを主成分とするアクリル系ポリマー粘着層の取り付けられた偏光板を開示している。低分子量ポリマーの含有率が低いと、偏光板の寸法変化に対する減圧性接着剤層の追従性が低く、一定範囲内から発生する内部応力には抵抗できるが、長期間にかけて繰り返し的に発生する内部応力が偏光板の周辺部に集中して、液晶素子の周辺部が中心部より明るくなるか、又は暗くなるなど、液晶素子の表面に色むらが発生する。これに対し、低分子量ポリマーの含有率が高いと、偏光板の寸法変化に対する減圧性接着剤層の追従性が高く、長期的に発生する内部応力を緩和することができるが、偏光板をカットする時に粘着剤の流れが発生して、偏光板の端部を汚染させて、多くの欠点を引き起こす。そのため、偏光板の寸法変化に対する追従性を有する接着剤層を形成することはむずかしい。
【0005】
また、下記の特許文献3には、高分子量のアクリル系粘着剤を使用して架橋密度を特定範囲で調節して、高温接着力を向上させて耐久性を向上させる技術を開示しているが、高分子量の樹脂を使用するので、架橋剤の使用量に応じて架橋密度の変化が激しいから、分子間架橋密度の調節が極めて難しくなり、基材間の応力集中現象を均一に調節し難いという短所がある。
【0006】
また、下記の特許文献4には、耐熱耐湿条件で粘着フィルムとガラス板との間の応力集中化により発生する液晶表示板の画面不均一の問題を解決するために、粘着剤の変形凝集力を調節する技術を開示しているが、使用する粘着剤に応じて架橋反応の持続的な進行による経時変化が発生する等、一定の変形凝集力を維持し続け難いという問題点がある。特に、非反応性であるアクリル系主モノマーに反応性機能基を一定量導入して製造した共重合体を使用して粘着剤層を製造する場合に使用された架橋剤の含有量が極めて少ないため、凝集力と粘着力とを表す架橋構造を効果的に調節し難いという問題がある。
【0007】
また、下記の特許文献5には、粘着剤の凝集力と接着力の経時変化に応じるフィルムとガラス板との間の接着特性変化が耐久性に及ぼす影響を減らすために、エポキシ機能基を含有したアルコールを使用する技術を開示したが、粘着剤の凝集力と接着力とを調節することができる手段として均一な凝集力と接着力とを付与するには、実現性が不足し、調節が極めて難しいから、その実效性が不十分である。すなわち、粘着剤に使用される架橋剤が主に3以上の反応性機能基数を含むため、結果的な粘着層架橋構造の複雑性によって粘着剤の分子構造の正確な制御が難しいのである。
【0008】
一方、従来の方法のうち、高分子共重合体に硬化官能性器を有しないオリゴマー及び低分子量(共)重合体を添加して、粘着剤の収縮応力を最小化する方法がある。しかしながら、このような方法は、収縮応力を減らすことはできるが、偏光板をカットする時に端部に粘着剤流れや汚染が発生するようになって、作業性及び製品適用時に大きな問題点を引き起こす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】日本特許公開公報第1980−207101号
【特許文献2】日本特許公開公報第1998−066283号
【特許文献3】日本特許公開公報第1991−12471号
【特許文献4】日本特許公開公報第1995−301792号
【特許文献5】日本特許公開公報第1996−120238号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、反応性高分子量共重合体と反応性中分子量共重合体、反応性低分子量共重合体を含む粘着剤組成物、さらに好ましくは、低いガラス転移温度及び低い架橋度を有する粘着剤を使用して収縮応力を緩和させて、光漏れ現象を補完しようとし、特に既存方法は、未反応性オリゴマーを使用したが、本発明では、反応型中分子量共重合体と反応型低分子量共重合体とを二重使用することで、端部の流れ性や押圧性なしで収縮を緩和させることによって、光漏れ現象などを補完することができ、光学フィルムの基材と粘着剤の寸法変化差によって発生する残留応力を最小化させることができる光漏れ制御用粘着剤組成物を提供することにある。
【0011】
本発明のさらに他の目的は、前記光漏れ制御用粘着剤組成物で製造された粘着剤層がディスプレイ装置用光学フィルムの一面又は両面に備えられたディスプレイ装置用光学フィルムを提供することにある。
【0012】
本発明のさらに他の目的は、前記光漏れ制御用粘着剤組成物で製造された粘着剤層がディスプレイ装置用光学フィルムの一面又は両面に備えられたディスプレイ装置用光学フィルムを含むディスプレイ装置を提供することにある。
【0013】
本発明の前記及び他の目的と利点は、好ましい実施例を説明した下記の説明からより明確になるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的は、(A)2,000,000〜2,500,000の重量平均分子量を有する反応型高分子量アクリル系共重合体、(B)1,500,000〜2,000,000の重量平均分子量を有する反応型中分子量アクリル系共重合体、(C)100,000〜500,000の重量平均分子量を有する反応型低分子量アクリル系共重合体及び(D)架橋剤を含むものの、前記高分子量アクリル系共重合体、前記中分子量アクリル系共重合体及び前記低分子量アクリル系共重合体は、(a)炭素数4〜12のアルキル基を有するアルキルアクリレート90〜99.9重量部と前記架橋剤と架橋可能な官能基を有する(b)ビニル系単量体0.1〜10重量部で重合された反応型共重合体であることを特徴とする光漏れ制御用粘着剤組成物により達成される。
【0015】
ここで、前記高分子量アクリル系共重合体100重量部当りの前記中分子量アクリル系共重合体20〜100重量部、前記低分子量アクリル系共重合体1〜50重量部及び前記架橋剤0.001〜5重量部であることを特徴とする。
【0016】
好ましくは、前記高分子量アクリル系共重合体、前記中分子量アクリル系共重合体及び前記低分子量アクリル系共重合体のガラス転移温度は、−60〜−40℃の範囲であることを特徴とする。
【0017】
好ましくは、前記粘着剤組成物のゲル分率は、40〜60%の範囲であることを特徴とする。
【0018】
好ましくは、前記ビニル系単量体は、カルボキシ基を有するビニル系単量体及びヒドロキシ基を有するビニル系単量体からなる群から選択された1種以上のビニル系単量体であることを特徴とする。
【0019】
好ましくは、前記粘着剤組成物は、ビニルシラン、エポキシシラン及びメタクリルシランからなる群から選択される(E)シランカップリング剤をさらに含むことを特徴とする。
【0020】
好ましくは、前記アルキルアクリレートは、n−ブチルアクリレート、メチルアクリレート2−エチルヘキシルアクリレート、t−ブチルアクリレート、n−オクチルアクリレート及びイソノニルアクリレートからなる群から選択された何れか一つ以上のアルキルアクリレートであることを特徴とする。
【0021】
好ましくは、前記カルボキシル基を有するビニル系単量体は、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、及びマレイン酸からなる群から選択された何れか一つ以上のビニル系単量体であることを特徴とする。
【0022】
好ましくは、前記ヒドロキシ基を有するビニル系単量体は、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチレングリコール(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシプロピレングリコール(メタ)アクリレートからなる群から選択された何れか一つ以上のビニル系単量体であることを特徴とする。
【0023】
好ましくは、前記架橋剤は、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート及びトリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物からなる群から選択された何れか一つ以上の架橋剤であることを特徴とする。
【0024】
また、本発明の目的は、前記光漏れ制御用粘着剤組成物からなる粘着剤層が、ディスプレイ装置用光学フィルムの基材の一面又は両面に備えられたことを特徴とするディスプレイ装置用光学フィルムにより達成される。
【0025】
ここで、前記粘着剤層は、乾燥厚が5〜100μmであることを特徴とする。
【0026】
好ましくは、前記ディスプレイ装置用光学フィルムは、偏光フィルム、反射型偏光フィルム又は位相差フィルムであることを特徴とする。
【0027】
好ましくは、前記光学フィルムは、前記アクリル系粘着剤組成物を利用して偏光フィルムと位相差フィルムとが積層された楕円偏光フィルムであることを特徴とする。
【0028】
また、本発明の目的は、前記光漏れ制御用粘着剤組成物からなる粘着剤層が、ディスプレイ装置用光学フィルムの基材の一面又は両面に備えられたディスプレイ装置用光学フィルムを含むことを特徴とするディスプレイ装置により達成される。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、粘着剤の収縮応力を緩和させて光漏れ現象を補完することができ、かつ光学フィルムの基材と粘着剤の寸法変化差によって発生する残留応力を最小化させることができる等の効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】一般的な液晶表示装置を概略的に示した図である。
【図2】前記図1のA領域を拡大した拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施例と図面を参照して、本発明を詳細に説明する。これらの実施例は、単に本発明をさらに具体的に説明するために例示的に提示したものに過ぎず、本発明の範囲がこれらの実施例により制限されないことは、当業界における通常の知識を有するものにとって自明である。
【0032】
本発明による光漏れ制御用粘着剤組成物は、(A)2,000,000〜2,500,000の重量平均分子量を有する反応型高分子量アクリル系共重合体、(B)1,500,000〜2,000,000の重量平均分子量を有する反応型中分子量アクリル系共重合体、(C)100,000〜500,000の重量平均分子量を有する反応型低分子量アクリル系共重合体及び(D)架橋剤を含むものの、前記高分子量アクリル系共重合体、前記中分子量アクリル系共重合体及び前記低分子量アクリル系共重合体は、(a)炭素数4〜12のアルキル基を有するアルキルアクリレート90〜99.9重量部と前記架橋剤と架橋可能な官能基を有する(b)ビニル系単量体0.1〜10重量部で重合された反応型共重合体であることを特徴とする。
【0033】
好ましくは、前記高分子量アクリル系共重合体100重量部当りの前記中分子量アクリル系共重合体20〜100重量部、前記低分子量アクリル系共重合体1〜50重量部及び前記架橋剤0.001〜5重量部であることを特徴とする。
【0034】
上述した構成を有した本発明による光漏れ制御用粘着剤組成物は、基材と粘着剤の寸法変化差によって発生する残留応力を最小化させることができる。本発明は、非反応性であるアクリル系主単量体に反応性官能基を有する単量体を一定量導入して製造した高分子量共重合体と中分子量共重合体、低分子量共重合体を使用し、前記共重合体に含まれた反応性官能基を有する単量体の含有量を調節することによって、凝集力と粘着力とを表す架橋構造を効果的に調節できる。
【0035】
したがって、本発明による光漏れ制御用粘着剤組成物は、ディスプレイ装置に装着された偏光板の収縮応力によってそれぞれの構成層から発生する複合的な複屈折現象を減少させて、ディスプレイ装置の光漏れ現象を改善することができ、また、初期接着力、永久接着力、維持力、切断特性などの諸般物性に優れているという特徴がある。
【0036】
一方、従来では、高分子共重合体にオリゴマーを添加して、粘着剤の収縮応力を最小化した。しかしながら、このような方法は、収縮応力を減らす良い方法ではあるが、偏光板をカットする時に端部に粘着剤流れが発生するという問題点が発生する。
【0037】
したがって、本発明では、高分子量及び中高分子量(共)重合体をブレンドして分子量分布を広くし、このような問題点を解決するために、可塑剤として機能するオリゴマーの代わりに中分子量共重合体を使用した。そして、最小限の硬化剤を使用して高分子チェーンの流動を良くして収縮応力を緩和することによって、光漏れ現象を改善する。
【0038】
また、本発明によるアクリル系共重合体のガラス転移温度(Tg)を−40℃以下にして、アクリル系共重合体と最適の硬化システムを利用して収縮応力を調節する。前記高分子量及び中分子量、低分子量アクリル系共重合体のガラス転移温度(Tg)は、−40℃以下であり、好ましくは、−60〜−40℃である。ガラス転移温度が−40℃を超過する場合、偏光フィルムの収縮応力を長期的に緩和させることができないためである。
【0039】
また、本発明による光漏れ制御用粘着剤組成物は、光学フィルムを構成する基材と粘着剤の寸法変化差によって発生する内部応力の緩和効果が優秀であるから、光漏れ現象を最小化させるために、本発明による光漏れ制御用粘着剤組成物のゲル分率は、40〜60%であることが好ましい。
【0040】
本発明による光漏れ制御用粘着剤組成物を構成する前記高分子量アクリル系共重合体の重量平均分子量は、2,000,000〜2,500,000で、好ましくは、2,200,000〜2,500,000の範囲にあるものである。このように高分子量のアクリル系共重合体を使用することによって、基板と偏光板又は位相差板と偏光板との間に良好な接着性を確保し、発泡又は剥離を防止することができる。また、前記中分子量アクリル系共重合体の重量平均分子量は、1,500,000〜2,000,000で、好ましくは、1,500,000〜1、800,000である。また、前記低分子量アクリル系共重合体の重量平均分子量は、100,000〜500,000で、好ましくは、200,000〜350,000である。前記アクリル系共重合体の適合した分子量の調節は、重合反応時間、重合反応開始剤、重合反応温度、重合反応溶媒などの条件を適切に調節することによって達成できる。本発明による一実施例として、高分子量アクリル系共重合体の製造は、温度60〜63℃、重合反応開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)は、0.1〜0.18重量部の条件で、中分子量アクリル系共重合体の製造は、温度64〜68℃、重合反応開始剤アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.19〜0.25重量部などの条件で重合できる。
【0041】
また、前記高分子量と中分子量、低分子量アクリル系共重合体は、アルキルアクリレートを主成分とし、このアクリル酸エステルと多官能性化合物に対して反応性を有する官能基含有単量体との共重合体である。前記高分子量と中分子量、低分子量アクリル系共重合体を形成する炭素数4〜12のアルキル基を有するアルキルアクリレートは、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、iso−オクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、t−ブチルアクリレート、イソノニルアクリレートなどを挙げることができるが、これに限定されるものではない。前記アルキルアクリレートは、単独又は2種以上組み合わせて使用可能である。
【0042】
また、架橋剤に対して反応性を有する官能基含有単量体の例としては、カルボキシル基を含有するビニル系単量体、ヒドロキシ基を含有するビニル系単量体、アミノ基を含有するビニル系単量体、エポキシ基を含有するビニル系単量体、及びアセトアセチル基を含有するビニル系単量体などを挙げることができる。本発明では、カルボキシル基を含有する単量体及びヒドロキシ基を含有する単量体が好ましい。
【0043】
前記カルボキシル基を有するビニル系単量体の例として、アクリル酸、メタクリル酸、ベータ−カルボキシエチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸びマレイン酸ブチルなどがあるが、これに限定されるものではない。また、前記ヒドロキシ基を有するビニル系単量体の例には、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチレングリコール(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどがある。前記アミノ基を含有する単量体の例には、アミノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート及びビニルピリジンなどがある。また、グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基を含有する単量体及びアセトアセトキシエチル(メタ)アクリレートなどのアセトアセチル基を含有する単量体などを挙げることができる。前記物質は、単独又は2種以上組み合わせて使用可能である。
【0044】
前記多官能性化合物の官能基は、前記アクリル系共重合体の反応性を有する官能基と反応するもので、1分子内に官能基を少なくとも2個、好ましくは、2〜4個を有しうる。このような多官能性化合物の例としては、イソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、アミン系化合物、金属キレート系化合物及びアジリジン系化合物などを挙げることができる。
【0045】
前記イソシアネート系化合物の例には、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、アイソフォームジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、水添加キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添加ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート及びこれらのトリメチロールプロパンなどポリオールとの収容体などを挙げることができる。
【0046】
前記エポキシ系化合物の例としては、ビスフェノールA、エピクロルヒドリン型のエポキシ系樹脂、エチレングリコールグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミン、N,N、N´,N´−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン及び1,3−ビス(N,N´−ジグリシジルアミンメチル)シクロヘキサンなどを挙げることができる。
【0047】
前記アミン系化合物の例としては、ヘキサメチレンジアミン、トリエチルジアミン、ポリエチレンイミン、ヘキサメチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、トリエチルテトラミン、イソフォームジアミン、アミノ樹脂及びメチレン樹脂などを挙げることができる。
【0048】
前記金属キレート化合物の例としては、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、錫、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、バナジウム、クロム及びジルコニウムなどの多価金属がアセチルアセトンか、又はアセト酢酸エチルに配位した化合物などを挙げることができる。
【0049】
また、前記アジリジン系化合物の例としては、N,N´−ジフェニルメタン−4,4´−ビス(1−アジリジンカルボキシド)、N,N´−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキシド)、トリエチレンメラミン、ビスイソフタロイル−1−(2−メチルアジリジン)、トリ−1−アジリジニルホスフィンオキシド、N,N´−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキシド)、トリメチロールプロパン−トリ−ベータ−アジリジニルプロピオネート及びテトラメチロールメタン−トリ−ベータ−アジリジニルプロピオネートなどを挙げることができる。
【0050】
前記多官能性化合物(架橋剤)は、前記高分子量アクリル系共重合体100重量部に対して、通常は0.001〜5重量部、好ましくは、0.01〜3重量部の量で使用されうる。このような含有量で多官能性化合物を使用することにより、前記高分子量(メタ)アクリル系共重合体との間に好ましい3次元架橋構造が形成される。また、これらの多官能性化合物は、単独又は組み合わせて使用することができる。
【0051】
本発明による光漏れ制御用粘着剤組成物を構成する高分子量アクリル系共重合体及び中分子量アクリル系共重合体、低分子量アクリル共重合体の製造には、公知の任意の方法を採用することができる。
【0052】
例えば、高分子量アクリル系共重合体は、原料単量体100重量部に対して0.01〜0.5重量部の重合開始剤(アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリルなどのアゾ系重合開始剤、過酸化ベンゾイル、過酸化アセチルなどの過酸化物、ジフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンなどの光重合開始剤等)を使用し、塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合などの方法により合成され、好ましくは、溶液重合で合成される。溶液重合法の場合、重合溶液として酢酸エチル、トルエン、ヘキサン、アセトンなどが使用され、反応温度は、50〜150℃、好ましくは、50〜110℃、反応時間は、2〜15時間、好ましくは、7〜10時間である。
【0053】
また、中高分子量及び低分子量アクリル系共重合体は、高分子量アクリル系共重合体と同様に、塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合などの方法により合成され、好ましくは、溶液重合で合成される。原料単量体100重量部に対して0.01〜0.1重量部の重合開始剤(アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリルなどのアゾ系重合開始剤、過酸化ベンゾイル、過酸化アセチルなどの過酸化物、ジフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンなどの光重合開始剤等)を使用し、塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合などの方法により合成され、好ましくは、溶液重合で合成される。
【0054】
溶液重合法の場合、重合溶液として酢酸エチル、トルエン、ヘキサン、アセトンなどが使用され、反応温度は、50〜150℃、好ましくは、50〜110℃、反応時間は、2〜15時間、好ましくは、5〜10時間である。
【0055】
本発明による光漏れ制御用粘着剤組成物は、上記のように高分子量アクリル系共重合体、中高分子量アクリル系共重合体及び架橋剤を含み、また通常粘着剤に配合される耐候安定剤、タキファイア(Tackifire)、可塑剤、軟化剤、染料、顔料、シランカップリング剤及び無機充填剤などをさらに配合できる。
【0056】
また、本発明による光漏れ制御用粘着剤組成物に使用される(E)シランカップリング剤は、ガラス基板と粘着剤との間の接着を効果的に増進させることができ、特に高温高湿な条件下で長時間放置された場合、接着信頼性を向上させるのに役に立ち、このような機能を考慮する時にその使用量は、アクリル系共重合体100重量部に対して0.01〜0.1重量部が好ましい。前記シランカップリング剤の例としてビニルシラン、エポキシシラン及びメタクリルシランなどを使用することができるが、これに限定されるものではない。
【0057】
本発明は、また、前記記載された光学フィルム用アクリル系粘着剤組成物からなる粘着剤層が、ディスプレイ装置用光学フィルムの基材の一面又は両面に備えられたディスプレイ装置用光学フィルム、及び前記光学フィルムの備えられたディスプレイ装置に関するものである。前記ディスプレイ装置の例としては、陰極線管(CRT)、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイ装置(PDP)等を備える。
【0058】
図1は、一般的な液晶表示装置を概略的に示した図である。
【0059】
図1に示すように、液晶表示装置は、1対の透明パネル520、540間に液晶セル560が備えられた液晶表示パネル500、入射光を偏光して出射するための第1及び第2光学フィルム640、620、及び前記入射光を発生して前記液晶表示パネル500に提供するためのバックライトアセンブリー700を備える。前記液晶表示パネル500の上部に前記第1光学フィルム640が位置し、前記液晶表示パネル500と前記バックライトアセンブリー700との間に前記第2光学フィルム620が介在される。
【0060】
前記第1及び第2光学フィルム640、620は、入射光を互いに直交する2種類の成分に分け、前記2種類の光成分の中で一つの光成分のみを透過して光の透過方向を一定にする機能を果たす。すなわち、前記第1及び第2光学フィルム640、620は、入射光の中で前記第1及び第2光学フィルム640、620が有している偏光軸と同じ方向に振動する光は吸収し、その以外の方向に振動する光は透過する。このとき、前記第1光学フィルム640の偏光軸と前記第2光学フィルム620の偏光軸とは、互いに垂直をなす。
【0061】
図2は、前記図1のA領域を拡大した拡大断面図であって、通常のSTN又はCSTN液晶表示装置に使用される光学フィルムを示す断面図であり、離型フィルム12と保護フィルム28との間に第1透明保護フィルム20、偏光子22及び第2透明保護フィルム24からなる偏光フィルム26、前記偏光フィルム26の下部に位相差フィルム16が積層され、この時前記位相差フィルム16は、偏光フィルム26、離型フィルム12、第1及び第2粘着層14、18により付着される。
【0062】
前記形成された粘着剤層の厚さは、乾燥厚で通常5〜100μm、好ましくは、20〜50μmの範囲でありうる。
【0063】
また、前記ディスプレイ装置用光学フィルムは、偏光フィルム、反射型偏光フィルム、又は位相差フィルムなどでありえ、好ましくは、前記アクリル系粘着剤組成物を利用して、偏光フィルムと位相差フィルムとが積層された楕円偏光フィルムであるディスプレイ装置用光学フィルムでありうる。
【0064】
本発明にて使用される偏光フィルムとしては、従来の公知の偏光フィルムを使用することができる。例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール及びエチレン酢酸ビニル共重合体のけん化物などのポリビニルアルコール系樹脂からなるフィルムにヨード染料又は二色性染料などの偏光成分を含有させて延伸することにより得られた偏光子に、3酢酸セルロースなどのセルロース系フィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエーテルスルホン系フィルムなどの透明保護フィルムの積層された多層フィルムなどを使用することができる。このような偏光フィルムに粘着剤層を形成する方法には、特別な制限はなく、この偏光フィルムの表面に直接バーコーターなどを使用して、前記粘着剤を塗布して乾燥させる方法を採用できるが、前記粘着剤を一旦剥離性基材の表面に塗布し乾燥させた後、この剥離性基材の表面に形成された粘着剤層を偏光フィルムの表面に転写し、続いて熟成させる方法を採用することができる。
【0065】
本発明による光学フィルムは、コントラストを向上させるために、前記偏光フィルムに加えて、円偏光を起こす/4位相差層をさらに含むことができる。前記/4位相差層は、複屈折を有する高分子フィルム又は一方向に配列された液晶コーティング層でありえ、高分子フィルムと液晶コーティング層とをすべて含むこともできる。前記/4位相差層は、可視領域の各波長に対して略1/4波長の位相差を付与する機能を果たし、複屈折の制御性、透明性及び耐熱性に優れたものが好ましい。前記/4位相差層の材質は、特別に限定されないが、前記/4位相差層が複屈折を有する高分子フィルムである場合には、ポリカーボネート(poly carbonate)、ポリカーボネート共重合体、ポリエチレン(polyethylene)、ポリプロピレン(polypropylene)、ポリノルボルネン(polynorbornene)、ポリ塩化ビニル(polyvinylchloride)、ポリスチレン(polystyrene)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、ポリエスター(polyester)、ポリエステル(polyester)、ポリスルホン(polysulfone)、ポリアリレート(polyarylate)、ポリビニルアルコール(polyvinylalcohol)、ポリメタクリル酸エステル(polymethacrylic ester)、ポリアクリル酸エステル(polyacrylic ester)及びセルロースエステル(cellulose ester)からなる群から選択された1種以上を含むフィルムであることが好ましい。
【0066】
また、前記/4位相差層をなす高分子フィルムは、1.1〜3倍率で延伸した透明フィルムであることが好ましく、一軸又は二軸延伸したものでありうる。
【0067】
本発明による偏光フィルム又は位相差フィルムの付着されたフィルムなどの場合には、例えば、保護層、反射層、防眩層等、他の機能性層が積層されても良い。
【実施例】
【0068】
下記の実施例及び比較例を例に挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、下記の実施例は、例示に過ぎず、本発明の保護の範囲を実施例に限定する意図ではない。
【0069】
実施例1〜6:アクリル系共重合体の製造
【0070】
実施例1〜6では、重合単量体としてn−ブチルアクリレート、メチルアクリレート、アクリル酸及び4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートと、溶媒として酢酸エチル100g及び重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を、下記の表1(単位は、「重量部」である)に表した含有量で反応容器に入れた。前記反応容器内の空気を窒素気体に置換した後、攪拌しつつ、この反応溶液を63℃に昇温させて、表1に表した反応時間の間に重合させた。反応後、酢酸エチル100gで希薄して固形アクリル系共重合体溶液を得た。前記ポリマーに溶液に対して固形分含有量は、固形分測定機を使用して粘着剤の初期重さを測定した後、100℃で30分間溶媒を飛ばした後重さを測定した。ポリマーの分子量をゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を使用して測定した。ガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)で窒素気流下で昇温速度を10℃/minにして−70℃から20℃まで測定して分かった。前記物性分を下記の表2に表した。
【0071】
比較例1〜6:アクリル系共重合体の製造
【0072】
比較例1〜6では、重合単量体としてn−ブチルアクリレート、メチルアクリレート、アクリル酸及び4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートを表1(単位は、「重量部」である)に表した配合量で使用し、重合反応開始剤の含有量及び反応時間を表1に表した条件に応じて重合するのを除いては、実質的に前記実施例と同様に行った。
【表1】

【0073】
ここで、「n−BA」とは、「n−ブチルアクリレート」、「MA」とは、「メチルアクリレート」、「AA」とは、「アクリル酸」、「4−HBA」とは、「4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート」及び「AIBN」とは、「アゾビスイソブチロニトリル」をそれぞれ示す。
【表2】

【0074】
実施例7〜14:粘着剤組成物を適用した偏光板
【0075】
前記実施例1〜6から得られた重合体を下記の表3(単位は、「g」である)に表した配合比で混合し、ここに架橋剤としてトリメチルヘキサメチレンジアミンの固形分0.2gを添加してよく撹はんして、偏光板用粘着剤組成物を得た。このように得られた偏光板用粘着剤組成物をポリエステル離型フィルムに塗布した後乾燥させた。この時、乾燥後の塗布厚さが25μmになるように調整した。次に、この剥離フィルム上に塗布させた粘着剤組成物を200μmの偏光フィルム上に転写し、温度23℃、湿度45%の条件で7日間熟成させて、本発明の偏光板を得た。
【0076】
粘着剤層の設置された偏光板を吸収軸が偏光板長辺に対して45゜になるように210mm×297mmに裁断し、この偏光板をガラス板の片面に30℃、圧力5kg/cmの条件で60分間維持して接着させた。
【0077】
このようにして得られたサンプルを70℃、97%の条件下で500時間放置して発泡、脱落の発生状態を肉眼にて観察して評価し、色むらの発生状態を肉眼にて観察して評価し、偏光板の長辺で接着位置のずれた距離をノギス(Nonius)で測定した。
【0078】
また、ゲル分率は、支持体上で温度23℃、湿度65%RHの条件で熟成させている粘着剤組成物の約0.1gをサンプル瓶に採取し、酢酸エチルを50g加えて24時間攪拌した後、該当サンプル瓶の内容物を200メッシュのステンレス製の金網で濾して分け、金網上の残留物を100℃で2時間乾燥させて乾燥重量を測定し、次の式1を使用して求めた。
[数1]
ゲル分率(%)=(乾燥重量/粘着剤組成物採取重量)×100
【0079】
これによる物性測定結果を下記の表4に表した。
【0080】
比較例7〜14:粘着剤組成物を適用した偏光板
【0081】
前記比較例1〜6から得られた重合体を下記の表3(単位は、「g」である)に表した配合比で混合するのを除いては、前記実施例7〜14と実質的に同じ方法で偏光板を製造し、偏光板の物性を測定し、得られた物性値を表4に表した。
【表3】


【表4】

【0082】
前記表4において、「○」とは良い(剥がれ:無し、発泡:無し、光漏れ:無し)を、「△」は、良好(剥がれ:若干、発泡:若干、光漏れ:若干)を、「×」とは、激しさ(剥がれ:多、発泡:多、光漏れ:多)をそれぞれ表す。
【0083】
前記実験結果によって発明の目的である反応性高分子量共重合体と反応性中分子量共重合体、反応性低分子量共重合体を含む粘着剤組成物、さらに好ましくは、低いガラス転移温度及び低い架橋度を有する粘着剤を使用して収縮応力を緩和させて、光漏れ現象を補完しようとし、特に既存方法は、未反応性オリゴマーを使用したが、本発明では、反応型中分子量共重合体と反応型低分子量共重合体を二重使用することによって、端部の流れ性や押圧性なしに収縮を緩和させることによって、光漏れ現象などを補完しようとする。本実験では、官能基の数の少ない中分子量及び低分子量共重合体を使用することによって、端部の流れ性や押圧性なしに収縮を緩和させることによって、光漏れ現象及び他のすべての問題点を補完できることが分かった。
【0084】
したがって、本発明は、反応性を有した高分子量アクリル系共重合体、中分子量アクリル系共重合体、低分子量アクリル系共重合体及び架橋剤を含む光学フィルム用アクリル系粘着剤を提供して、ディスプレイ用光学フィルムの基材と粘着剤の寸法変化差により発生する残留応力を最小化させることができるから、光学フィルム及びディスプレイ装置に広く利用されることができる。
【符号の説明】
【0085】
12…離型フィルム、14…第1粘着層、16…位相差フィルム、18…第2粘着層、20…第1透明保護フィルム、22…偏光子、24…第2透明保護フィルム、26…偏光フィルム、28…保護フィルム、500…液晶表示パネル、520,540…1対の透明パネル、560…液晶セル、620…第2光学フィルム、640…第1光学フィルム、700…バックライトアセンブリー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光漏れ制御用粘着剤組成物であって、
(A)2,000,000〜2,500,000の重量平均分子量を有する反応型高分子量アクリル系共重合体、(B)1,500,000〜2,000,000の重量平均分子量を有する反応型中分子量アクリル系共重合体、(C)100,000〜500,000の重量平均分子量を有する反応型低分子量アクリル系共重合体及び(D)架橋剤を含むものの、
前記高分子量アクリル系共重合体、前記中分子量アクリル系共重合体及び前記低分子量アクリル系共重合体は、(a)炭素数4〜12のアルキル基を有するアルキルアクリレート90〜99.9重量部と前記架橋剤と架橋可能な官能基を有する(b)ビニル系単量体0.1〜10重量部で重合された反応型共重合体であることを特徴とする、光漏れ制御用粘着剤組成物。
【請求項2】
前記高分子量アクリル系共重合体100重量部当りの前記中分子量アクリル系共重合体20〜100重量部、前記低分子量アクリル系共重合体1〜50重量部及び前記架橋剤0.001〜5重量部であることを特徴とする、請求項1に記載の光漏れ制御用粘着剤組成物。
【請求項3】
前記高分子量アクリル系共重合体、前記中分子量アクリル系共重合体及び前記低分子量アクリル系共重合体のガラス転移温度は、−60〜−40℃の範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の光漏れ制御用粘着剤組成物。
【請求項4】
前記粘着剤組成物のゲル分率は、40〜60%の範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の光漏れ制御用粘着剤組成物。
【請求項5】
前記ビニル系単量体は、カルボキシ基を有するビニル系単量体及びヒドロキシ基を有するビニル系単量体からなる群から選択された1種以上のビニル系単量体であることを特徴とする、請求項1に記載の光漏れ制御用粘着剤組成物。
【請求項6】
前記粘着剤組成物は、ビニルシラン、エポキシシラン及びメタクリルシランからなる群から選択される(E)シランカップリング剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の光漏れ制御用粘着剤組成物。
【請求項7】
前記アルキルアクリレートは、n−ブチルアクリレート、メチルアクリレート2−エチルヘキシルアクリレート、t−ブチルアクリレート、n−オクチルアクリレート及びイソノニルアクリレートからなる群から選択された何れか一つ以上のアルキルアクリレートであることを特徴とする、請求項1に記載の光漏れ制御用粘着剤組成物。
【請求項8】
前記カルボキシル基を有するビニル系単量体は、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、及びマレイン酸からなる群から選択された何れか一つ以上のビニル系単量体であることを特徴とする、請求項5に記載の光漏れ制御用粘着剤組成物。
【請求項9】
前記ヒドロキシ基を有するビニル系単量体は、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチレングリコール(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシプロピレングリコール(メタ)アクリレートからなる群から選択された何れか一つ以上のビニル系単量体であることを特徴とする、請求項5に記載の光漏れ制御用粘着剤組成物。
【請求項10】
前記架橋剤は、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート及びトリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物からなる群から選択された何れか一つ以上の架橋剤であることを特徴とする、請求項1に記載の光漏れ制御用粘着剤組成物。
【請求項11】
請求項1〜10のうちの何れか1項に記載の光漏れ制御用粘着剤組成物からなる粘着剤層が、ディスプレイ装置用光学フィルムの基材の一面又は両面に備えられたことを特徴とする、ディスプレイ装置用光学フィルム。
【請求項12】
前記粘着剤層は、乾燥厚が5〜100μmであることを特徴とする請求項11に記載のディスプレイ装置用光学フィルム。
【請求項13】
前記ディスプレイ装置用光学フィルムは、偏光フィルム、反射型偏光フィルム又は位相差フィルムであることを特徴とする、請求項12に記載のディスプレイ装置用光学フィルム。
【請求項14】
前記光学フィルムは、前記アクリル系粘着剤組成物を利用して偏光フィルムと位相差フィルムとが積層された楕円偏光フィルムであることを特徴とする、請求項12に記載のディスプレイ装置用光学フィルム。
【請求項15】
請求項1〜10のうちの何れか1項に記載の光漏れ制御用粘着剤組成物からなる粘着剤層が、ディスプレイ装置用光学フィルムの基材の一面又は両面に備えられたディスプレイ装置用光学フィルムを含むことを特徴とする、ディスプレイ装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2010−126722(P2010−126722A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−7320(P2009−7320)
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【出願人】(501380081)トウレ セハン インコーポレイテッド (22)
【Fターム(参考)】