説明

光照射美容器

【課題】高い安全性を維持しつつ2種類の光照射施術を切り換えることができ、使い勝手のよい光照射美容器を提供する。
【解決手段】片手で握り持つことができる形状のケース21と、そのケース21から特定方向に温熱効果を有する光を出射する主発光部22と、ケース22の外表部に設けられた第1のコネクタ32と、第1のコネクタ32に接続可能な第2のコネクタ41、ケーブル42および主発光部22の光出射領域より広い範囲に光を出射するサブ発光部43からなる拡張発光ユニット40と、ケース21の外表部に設けられた操作部50と、ケース21の内部に設けられ、操作部50の操作にしたがって、発光に必要な駆動電源を主発光部22とサブ発光部43のいずれかに選択的に供給して点灯駆動するコントローラとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美容のために光を身体に照射する光照射美容器に関し、小型で高い拡張性と安全性を実現するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
美容のための光照射美容器のうち、手で持って光照射位置を移動させることができるハンディ型のものが種々考案されている(例えば特許文献1)。
【0003】
現在、美容効果や医療効果を発揮している光と、その照射方法は、以下の2種類の方法が広く使用されている。
【0004】
(1)ハロゲンランプのように、可視光から近赤外までの広帯域波長で発熱の大きい光を、皮膚上のツボ等の特定部位の狭い面積を手動で移動させながら照射する方法。
(2)発光ダイオードのように、赤、緑、青等の特定波長帯域で発熱の小さい光を発する発光素子を、複数個内蔵した器具で、広い面積に一定時間(固定して)照射する方法。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−28267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した従来のハンディ型の光照射器は、その大きさの制限などによって、基本的にハロゲンランプのような広帯域波長で発熱の大きい光照射を行う器具と、発光ダイオードのような特定波長帯域で発熱の小さい光照射を行う器具とを、それぞれ専用の器具として使用目的に応じて使い分け、光照射施術に用いていた。
【0007】
即ち、シミ、ニキビ、イボの施術では、広帯域波長で発熱の大きい光を、皮膚上のツボ等の特定部位の狭い面積へ移動させながら照射して行う施術と、特定波長帯域で発熱の小さい光を皮膚上の広い面積に固定した状態で照射する施術とを同一人物に行う場合、それぞれ別の光照射美容器を必要とし、施術者にとって経済的負担が大きい。
【0008】
また、上記のように2種類の機器を使用する場合、電源や、その他のケーブルが複雑に絡み合って、施術行為の妨げとなる場合が多く、施術以外の無駄な時間が多かった。このように施術以外の無駄な時間が多いと、施術者だけでなく被施術者にもストレスを感じさせる結果となり、施術効果が半減してしまう。
【0009】
本発明者は、30年以上の長年にわたる光照射美容・医療臨床施術経験から、上記2種類の光照射美容器を、それぞれ別々に使い分けて施術するのではなく、両方を瞬時に切り換え、交互に光照射すると、広い可視光帯域や特定波長帯域の光効果、連続またはパルス光照射効果、心地よい温熱効果、色彩心理効果などの相乗効果により、眼精疲労、イライラ、不眠、集中力、リラクゼーション等、心と身体に対する顕著な施術効果が得られることを発見した。
【0010】
そこで、前記した従来の光源の種別によって異なる形態の専用の光照射器のもつ問題を解決するために、本発明者は、一台の光照射美容器のケースにハロゲンランプのような広帯域波長で温熱効果を有する広帯域光源と、発光ダイオードのような特定波長帯域の発熱の小さい挟帯域光源とを内蔵する方法を考えたが、広帯域光源による光照射施術は、狭い照射範囲を手動で移動しつつ行うのに対し、挟帯域光源による光照射施術は広い範囲を固定照射するというように、相対立、矛盾する施術が必要であるから、同一ケースに内蔵したのでは、移動と固定という異なる使用状態を同一器具で満足することが構造上実現できなかった。
【0011】
また、同一ケースのランプハウスに広帯域光源と狭帯域光源の両方を組み込んだ場合、狭帯域光源による固定光照射の施術した直後の固定された状態で、高熱の広帯域光源を点灯させた場合、被施術者の皮膚に高熱の光が局部的に照射され、思わぬ火傷を引き起こす等の事故を発生する恐れがある。
【0012】
さらに、上記2種類の光源の切換と点灯駆動とを一つのスイッチ操作で行えるようにすることも考えられるが、広帯域光源は発熱性が高く同一位置を照射していると火傷等しやすく、狭帯域光源の光は直接見ると目に障害を与える恐れがあり、予期しないタイミングにスイッチ操作されてしまうと火傷や目に障害を与え、安全性という面から好ましくない。
【0013】
本発明は、これらの問題を解決し、高い安全性を維持しつつ2種類の光照射施術を切り換えることができ、ケーブルの絡みなどの問題がなく、経済的で省エネルギー、電池仕様で屋外でも使用でき、高い皮膚美容効果が得られ、さらに、医療効果も期待できるコンパクトなハンディタイプで使い勝手のよい光照射美容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成するために、本発明の請求項1の光照射美容器は、
片手で握り持つことができる形状のケース(21)と、
前記ケースから特定方向に温熱効果を有する光を出射する主発光部(22)と、
前記ケースの外表部に設けられた第1のコネクタ(32)と、
前記第1のコネクタに接続可能な第2のコネクタ(41)、該第2のコネクタに一端側に接続されたケーブル(42)および該ケーブルの他端側に接続され、前記主発光部の光出射領域より広い範囲に光を出射するサブ発光部(43)からなる拡張発光ユニット(40)と、
前記ケースの外表部に設けられた操作部(50)と、
前記ケースの内部に設けられ、前記操作部の操作にしたがって、発光に必要な駆動電源を前記主発光部と前記第1のコネクタに接続された前記サブ発光部のいずれかに選択的に供給して点灯駆動するコントローラ(63)とを備えている。
【0015】
また、本発明の請求項2の光照射美容器は、請求項1記載の光照射美容器において、
前記操作部には、
点灯と消灯とを切り換えるために操作する点灯/消灯スイッチ(51)と、
前記主発光部と前記サブ発光部のいずれかを指定するために操作する発光部選択スイッチ(54)とが設けられており、
前記コントローラは、
電源投入時には、前記点灯/消灯スイッチの状態を消灯状態に初期設定し、前記発光部選択スイッチを主発光部指定状態に初期設定し、該消灯状態においてのみ前記発光部選択スイッチによる発光部変更操作を受け付け、点灯状態に切り換わるとその直前に前記発光部選択スイッチで指定されている発光部を点灯駆動するとともに、該点灯状態における発光部変更操作を禁止し、該点灯状態から消灯状態への変更後に前記発光部選択スイッチによる発光部変更操作を受け付けることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の請求項3の光照射美容器は、請求項2記載の光照射美容器において、
前記コントローラは、前記点灯/消灯スイッチが点灯状態に切り換わってから一定時間経過後に消灯状態に戻すタイマ機能を有していることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の請求項4の光照射美容器は、請求項2または請求項3記載の光照射美容器において、
前記操作部には、前記主発光部またはサブ発光部が出射する光の強度および発光間隔を設定するための設定スイッチ(52、53)が設けられ、
前記コントローラは、前記設定スイッチで設定された強度と発光間隔の光を出射させることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の請求項5の光照射美容器は、請求項2〜4のいずれかに記載の光照射美容器において、
前記コントローラは、前記第1のコネクタに対する前記拡張発光ユニットの接続の有無を検知し、前記拡張発光ユニットが接続されているときのみ、前記発光部選択スイッチによる前記拡張発光ユニットへの発光部変更操作を受け付けることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の請求項6の光照射美容器は、請求項1〜5のいずれかに記載の光照射美容器において、
前記拡張発光ユニットは、前記サブ発光部の発光色が異なるものが複数組設けられていることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の請求項7の光照射美容器は、請求項1〜6のいずれかに記載の光照射美容器において、
前記サブ発光部は、光源(45)と、該光源を保持するとともにその光源の光を一面側から出射させるサブケース(44)と、該サブケースの一面側に突出する複数の突起(45a)とを有し、該突起で肌を押圧できるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
このように、本発明の請求項1の光照射美容器は、主発光部が取り付けられているケースの外表部に設けられた第1のコネクタに、ケーブルによって接続される拡張発光ユニットの第2のコネクタを接続した状態で、操作部の操作により、主発光部による光の照射位置を移動させて行う施術と、サブ発光部による光照射を固定状態でおこなう施術とを、切り換えて行うことができ、被施術者を長く待たせることなく、心理的なストレスを与えないで済む。したがって、より高い美容効果を期待でき、また、2台の光照射美容器を揃えるよりも経済的である。
【0022】
また、主発光部により、狭い照射範囲を移動させながら強い温熱効果を発揮させることができるので、美容効果が増大する。また、特定波長のサブ発光部による広い皮膚範囲に固定して、強い光と弱い温熱効果施術によりさらに美容効果が高まる。
【0023】
また、ケースには拡張発光ユニットを使用するときだけそのケーブルを接続すればよく、主発光部による施術を行う際には、拡張発光ユニットのケーブル接続か不要となるので、主発光部による施術の際にケーブルの絡みなどが発生せず、施術に専念でき、その結果被施術者に与えるストレスをより少なくすることができ、さらに高い施術効果を得ることができる。
【0024】
また、本発明の請求項2の光照射美容器では、操作部として点灯/消灯スイッチと発光部選択スイッチを有し、コントローラは、電源投入時には、点灯/消灯スイッチの状態を消灯状態に初期設定し、発光部選択スイッチを主発光部指定状態に初期設定し、その該消灯状態においてのみ発光部選択スイッチによる発光部変更操作を受け付け、点灯状態に切り換わるとその直前に発光部選択スイッチで指定されている発光部を点灯駆動するとともに、その点灯状態における発光部変更操作を禁止し、点灯状態から消灯状態への変更後に発光部選択スイッチによる発光部変更操作を受け付けるようにしている。
【0025】
つまり、一方の発光部が点灯状態のときに予期しないタイミングに発光部選択スイッチが操作されても、その操作は無効となり、例えば主発光部のハロゲンランプが予期しないときに点灯されて火傷したり、サブ発光部の発光ダイオードの光が直接目に入って障害を起こすなどの事故を未然に防ぐことができ、二つの発光部を操作者の意志の基に確実に切換えることができ、極めて高い安全性を有している。
【0026】
また、請求項3のように、コントローラに、点灯/消灯スイッチが点灯状態に切り換わってから一定時間経過後に消灯状態に戻すタイマ機能を設けたものでは、消し忘れなどによって生じる事故を未然に防ぐことができ、さらに安全性が高くなる。
【0027】
また、請求項4のように、主発光部またはサブ発光部が出射する光の強度および発光間隔を設定するための設定スイッチを設け、コントローラが、その設定スイッチで設定された強度と発光間隔の光を出射させるものでは、施術者の肌の状態や体調等に応じたきめ細かい設定で最も効果の高い施術を選ぶことができる。
【0028】
また、請求項5のように、コントローラが、第1のコネクタに対する拡張発光ユニットの接続の有無を検知し、拡張発光ユニットが接続されているときのみ、発光部選択スイッチによる拡張発光ユニットへの発光部変更操作を受け付けるようにしたものでは、拡張発光ユニットを接続したとたんにそのサブ発光部が点灯駆動されることがないので、その光による目の障害を未然に防ぐことができ、さらに安全性が高くなる。
【0029】
また、請求項6のように、拡張発光ユニットとして、サブ発光部の発光色が異なるものが複数組設けられている場合、例えば赤色、緑色、青色、オレンジ色、白色等の発光ダイオードを複数使用したサブ発光部を用いれば、カラーセラピー効果も期待でき、被施術者に心理的な心地よさと、リラクゼーション効果、美容効果などの相乗的効果を提供することができる。
【0030】
また、請求項7のように、サブ発光部は、光源と、その光源を保持するとともにその光源の光を一面側から出射させるサブケースと、そのサブケースの一面側に突出する複数の突起とを有し、その突起で肌を押圧できるようにしたものでは、肌に当てたときに指圧効果が生じてさらに美容効果が増す。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の光照射美容器の実施形態の外観図
【図2】実施形態の電気的な構成を示す図
【図3】実施形態のケースの背面図
【図4】実施形態の操作部の詳細図
【図5】実施形態の動作を説明するためのフローチャート図
【図6】実施形態の使用状態を示す図
【図7】実施形態の使用状態を示す図
【図8】コネクタ接続を検知する場合の構成例を示す図
【図9】実施形態の動作を説明するためのフローチャート図
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明を適用した光照射美容器20の全体構成を示し、図2は光照射美容器20の電気的な構成を示し、図3はケースの背面図、図4は操作部の詳細図である。
【0033】
図1に示しているように、光照射美容器20は、片手で握り持つことができるように外径40mm程度のほぼ円筒形状のケース21を有している。
【0034】
ケース21の先端には、ハロゲンランプを光源とし、温熱効果を有し、広帯域波長光を特定方向に且つ比較的狭い範囲に照射する主発光部22が取り付けられている。
【0035】
主発光部22は、ケース21と同軸に延びた断熱性を有するホルダ23と、ホルダ23に支持されたランプ管24と、ランプ管24の先端側内部に収容されたハロゲンランプ25と、ランプ管24を覆う断熱チューブ26とを有している。ハロゲンランプ25の先端は光を収束するレンズの作用を有している。
【0036】
ここでランプ管24は、ケース21を握って照射位置を肌の曲面にそって移動させるときにその照射位置が分かりやすいように中間部で曲がって形成されており、その先端に固定収容されたハロゲンランブ25は、ランプ管24を通ってケース21の内部の回路部に接続されている。
【0037】
なお、ホルダ23が、ランプ管24の基部を摺動自在に保持し且つ突出方向へバネなどによって付勢しておけば、誤ってランプ管24の先端で肌を強く押した場合も、ランプ管24がホルダ23側に移動するのでその痛みを和らげることができる。
【0038】
図1には示していないが、ホルダ23あるいはランプ管24の内部でハロゲンランプ25に近い位置にはサーミスタやバイメタルのような温度スイッチ素子28(図2参照)が設けられている。この温度スイッチ素子28はハロゲンランプ25の電源ラインに直列接続されており、サーミスタ型の場合、周囲温度が例えば50°C以上になるとその抵抗値をハロゲンランプ25の抵抗に比べて高い値に変化させハロゲンランプ25への供給電流を減らし、40°C以下になると抵抗値をハロゲンランプ25の抵抗に比べて格段に低い値に変化させてハロゲンランプ25への供給電流を増加させ、ハロゲンランプ25の周囲の温度を40〜50°Cの間に維持する。
【0039】
なお、この温度スイッチ素子28としてバイメタルを用いることができる。また、温度スイッチ素子の代わりに温度センサを配置し、その検出温度が40〜50°Cの間となるようにハロゲンランプ25の供給電源を後述のコントローラ63で制御してもよい(ただし、安全性を重視すれば、暴走することを否定できないコントローラ63で制御するよりも上記サーミスタやバイメタルのような自立制御型の素子を用いる方が好ましい)。
【0040】
ケース21の他端側には、図3に示しているように、主電源スイッチ31、第1のコネクタ32および電源コネクタ33が取り付けられている。第1のコネクタ32には、拡張発光ユニット40の第2のコネクタ41が接続される。また、電源コネクタ33には、ACアダプタ35の電源ケーブル35aの先に設けられたDCプラグ35bが接続される。
【0041】
拡張発光ユニット40の第2のコネクタ41の各端子には、一対のケーブル42、42の一端側が接続され、その他端には、美容効果が高いと言われる特定波長(赤、緑、青等)の光を主発光部22の光出射領域より広い範囲に照射するための一対のサブ発光部43、43が接続されている。
【0042】
サブ発光部43は、高さが低い円柱状のサブケース44を有しており、その内部に収容固定された基板(図示せず)に同一波長光を出射する複数(この場合6個ずつ)の発光ダイオード(LED)45が半田付けされ、その頭部45aが、サブケース44の円形で平坦な一面44aから突出している。図7に示しているようにサブケース44の反対面44bには、サブ発光部43の発光面(44a)側を肌に押しつけた状態でバンドやベルト、テープなどの固定具80により固定する際の滑りを防止するために、例えばマジックテープ(登録商標)等のような摩擦が大きい滑り止め材46が接着されている。
【0043】
ここでは、発光ダイオード45の頭部45aをケース44の一面から突出させ、これを指圧用の突起としているが、指圧用の突起は発光ダイオード45とは別にケース44の一面側に成形等によって突設させてもよい。
【0044】
なお、発光ダイオード45はハロゲンランプ25等に比べれば発熱は少ないが、5W程度のものになると無視できない場合がある。それを防ぐために、図2に示しているように、前記主発光部22と同様に、サブケース44内にサーミスタやバイメタルのような温度スイッチ素子48を設け、電源ラインに直列に接続しておき、設定温度(例えば50°C)以上になったときに発光ダイオード45への電源供給を強制的に減じるあるいは停止させて消灯させ、温度が下がった(例えば40°C)ときに復帰させるように制御する。
【0045】
この制御は、前記同様にサーミスタやバイメタルのような自立制御型の素子でサブ発光部43の内部の電源ラインを開閉するのが安全であるが、温度センサの出力をコントローラ63に与えて、発光停止、復帰等の制御を行うことも可能である。
【0046】
ケース21の一端側上面には、フラットパネル型の操作部50が設けられている。この操作部50には、図1および図4に示すように、主光源部とサブ光源部のいずれかの点灯と消灯の切換操作を行うための点灯/消灯スイッチ51、発光強度を例えばL(低)、M(中)、H(高)の3段階のいずれかに設定するための強度設定スイッチ52、発光間隔(点灯周波数)を、0Hz(連続)、1〜16Hzのいずれかに設定するための間隔設定スイッチ53、発光部を指定するための発光部選択スイッチ54が設けられている。
【0047】
点灯/消灯スイッチ51の近傍には、光源部のいずれかが点灯状態(実際には後述の切換スイッチ62へ駆動電源が供給されている状態)のときに点灯する状態ランプ51aが設けられ、強度設定スイッチ52の近傍には、現在の強度の状態がL、M、Hのいずれかであるかを点灯して示す状態ランプ52a〜52cが設けられている。
【0048】
また、間隔設定スイッチ53の近傍には、現在の発光間隔(点灯周波数)が0〜16Hzのいずれであるかを点灯して示す状態ランプ53a〜53fが設けられ、さらに、発光部選択スイッチ54の近傍には、現在選択されている発光部が主発光部(INT)か、サブ発光部(EXT)かを点灯して示す状態ランプ54a、54bが設けられている。これらの各状態ランプの制御は後述するコントローラ63によって行われる。
【0049】
一方、ケース21の内部には図2に示す回路部60が設けられている。回路部60は、各発光部の発光駆動に必要な電源を供給する駆動電源61と、その駆動電源61の出力を、主発光部22と、コネクタ接続された拡張発光ユニット40のサブ発光部43のいずれかに選択的に供給するための切換スイッチ62と、操作部50に対する操作に応じて、発光強度(駆動電源61の出力レベル)、発光間隔(周波数)および切換スイッチ62等をコントロールするコントローラ63とを有している。なお、駆動電源61やコントローラ63への電源供給は、ACアダプタ35から図示しない電源回路を介してなされる。
【0050】
コントローラ63には、上記制御機能の他に安全回路としてタイマ機能が設けられている。このタイマ機能は、主発光部22あるいはサブ発光部43のいずれが点灯状態になってから所定時間(例えば10分)が経過すると、自動的に消灯状態に戻して、消し忘れなどによる発熱や火傷等の事故を未然に防ぐ。
【0051】
図5は、このコントローラ63の制御を含む本実施形態の動作を示すフローチャートである。以下、このフローチャートに基づいて実施形態の動作を説明する。
【0052】
主電源スイッチ31をオンすると、切換スイッチ62が主発光部22(この場合ハロゲンランプ)側に接続され、点灯/消灯スイッチ51が消灯状態、強度設定スイッチ52がL、間隔設定スイッチ53が0Hz(連続光)に初期設定される(S1、S2)。
【0053】
ここで、発光部選択スイッチ54が押されない状態(S3)で、強度設定スイッチ52、間隔設定スイッチ53による強度(レベル)と発光間隔(周波数)の変更操作が受け付けられ(S4)、任意の強度、発光間隔に設定できる。
【0054】
そして、点灯/消灯スイッチ51が押されると(S5)、タイマがスタートし(S6)、切換スイッチ62へ点灯用の電源が供給されて、主発光部22のハロゲンランプが、設定された強度と間隔で点灯する(S7)。
【0055】
この点灯状態で、前記したように主発光部22による施術を行うが、その間にも強度設定スイッチ52や間隔設定スイッチ53による設定変更操作を受け付ける(S8)。ただし、この主発光部22が点灯駆動している間は、発光部選択スイッチ54の操作は無効であって認識されない。
【0056】
この主発光部22によって照射施術する場合には、その先端側が、図6のように施術対象の肌1(例えば、顔、腕、足等の肌)に軽く触れた状態で照射位置を往復移動させるように操作する。またその肌1の状態に応じて、操作部50のスイッチ操作により光の強度の切換、発光間隔の切換などを行う。
【0057】
この点灯状態は、点灯/消灯スイッチ51が押されるか(S9)、タイムアップするか(S10)、あるいは主電源スイッチ31がオフ操作される(S13)まで継続し、主電源スイッチ31がオフ操作されると、処理が終了する。
【0058】
また、点灯/消灯スイッチ51が押されるか、タイムアップすると、タイマがリセットされ、そのタイマ動作が停止され、切換スイッチ62への電源供給が停止して、消灯状態となって処理S5に戻る(S11、S12)。この消灯状態から、再度点灯/消灯スイッチ51が押されれば、S6以降の処理が繰り返されて、タイマが初期状態からスタートし主発光部22が点灯駆動されることになる。
【0059】
上記の主発光部22による施術を終えた後に、サブ発光部43による施術を行う場合には、図7に示したように、頬、頭頂部、腹部、胸部、背中等の比較的広い面の肌1に発光ダイオード45の頭部45aが当たる状態とし、その反対面側の滑り止め材46にバンドやテープ等の固定具80の一面を接触させて、身体に固定する(図7は頬、頭頂部、胸部、腹部、腰部、腕、足等に巻き付け固定できるベルト式の固定具80を用いた例を示している)。
【0060】
これにより、被施術者が多少姿勢を変えても、サブ発光部43が身体から離れることなく、発光ダイオードの頭部が肌1を押した状態で一定時間その特定波長光を安定に照射させることができる。このとき、発光ダイオード45の頭部45aが肌1を押して刺激するので、指圧効果も生じ、より美容効果が高くなる。
【0061】
なお、このサブ発光部43を用いた施術の場合、ACアダプタ35のケーブル35aのもケース21の電源コネクタ33に接続されるだけなので、ケーブル絡みの面倒がなく、しかも、ケース21の主発光部22と離間したサブ発光部43を肌に当てるので、火傷事故などを起こす心配もなくなる。
【0062】
そして、発光部選択スイッチ54の操作が有効な状態、即ち、処理S3の状態で、発光部選択スイッチ54を押す。
【0063】
この操作により、切換スイッチ62がサブ発光部43側(つまり第1のコネクタ32側)に切換えられ、消灯状態、レベル、周波数が初期値に設定される(S14)。
【0064】
そして、この消灯状態で発光部選択スイッチ54が押されない状態(S15)で、強度設定スイッチ52、間隔設定スイッチ53による強度と発光間隔の変更操作が受け付けられ(S16)、サブ発光部43に関して任意の強度、発光間隔を設定できる。
【0065】
以下、サブ発光部43側についても、主発光部22側の処理S5〜S13と全く同じ処理S17〜S25が行われる。
【0066】
即ち、点灯/消灯スイッチ51が押されると(S17)、タイマがスタートし(S18)、切換スイッチ62へ点灯用の電源が供給されて、サブ発光部43の発光ダイオード45が、設定された強度と間隔で点灯する(S19)。
【0067】
この点灯状態で、前記したようにサブ発光部43による施術を行うが、その間にも強度設定スイッチ52や間隔設定スイッチ53による設定変更操作を受け付ける(S20)。
【0068】
ただし、このサブ発光部43が点灯駆動している間は、発光部選択スイッチ54の操作は無効であって認識されない。
【0069】
この点灯状態は、点灯/消灯スイッチ51が押されるか(S21)、タイムアップするか(S22)、あるいは主電源スイッチ31がオフ操作される(S25)まで継続し、主電源スイッチ31がオフ操作されると、処理が終了する。
【0070】
また、点灯/消灯スイッチ51が押されるか、タイムアップすると、タイマがリセットされ、そのタイマ動作が停止され、切換スイッチ62への電源供給が停止して、消灯状態となって処理S17に戻る(S23、S24)。この消灯状態から、再度点灯/消灯スイッチ51が押されれば、S18以降の処理が繰り返されて、タイマが初期状態からスタートしサブ発光部43が点灯駆動されることになる。
【0071】
このように、実施形態の光照射美容器20は、主発光部22による照射施術をする場合には、消灯状態で発光部選択スイッチ54を押して主発光部を選択し、さらに点灯/消灯スイッチ51を押して主発光部22を発光駆動する。
【0072】
また、サブ発光部43による照射施術をする場合には、消灯状態で発光部選択スイッチ54を押してサブ発光部を選択し、さらに点灯/消灯スイッチ51を押してサブ発光部43を発光駆動する。
【0073】
つまり、いずれの発光部も点灯していない消灯状態で発光部選択操作が可能であり、且つ、その選択操作の後に点灯/消灯スイッチ51を操作するという2段階の操作を要するので、操作者が予期しないタイミングに発光部選択スイッチが押されて予期しない発光部が点灯して、火傷や目に障害を与えるという事故は発生しない。
【0074】
なお、実施形態では、拡張発光ユニット40の接続の有無に関係なく、操作部50による点灯/消灯の切換操作、発光部選択操作、レベルや発光間隔の設定操作を受け付けていたが、拡張発光ユニット40が接続の有無を検知し、接続されているときにのみ、サブ発光部43に関する点灯/消灯の切換操作、発光部選択操作、強度や発光間隔の設定操作を受け付けるようにしてもよい。
【0075】
この拡張発光ユニット40の接続の有無の検知は、例えば図8のように、第1のコネクタ32、第2のコネクタ41の空き端子を利用し、拡張発光ユニット40が接続されたときにその空き端子間が導通するようにして、その導通によって供給される電圧(ここでは、主電源スイッチ31の出力電圧)をコントローラ63に与えて検知することができる。
【0076】
そして、この場合、コントローラ63は、例えば、図9に示すように、主電源スイッチ31がオン操作される(S1)と、サブ発光部43の接続の有無を確認し(S31)、接続されている場合には、S2以降の処理を前記同様に行う。
【0077】
また、サブ発光部43が接続されていない場合には、処理S2と同じ初期設定を行い(S32)、レベル、周波数の変更操作および点灯/消灯スイッチ51の操作を受け付ける(S33、S34)。
【0078】
そして点灯/消灯スイッチ51が押されると、前記したS6〜S13と同様の処理を行う(S35〜S42)。この間サブ発光部43の接続確認はなされないので、たとえサブ発光部43を接続してもそのサブ発光部43がいきなり点灯駆動されることはなく、その光が直接目に入って障害が起きることはない。
【0079】
なお、主発光部22が点灯駆動されている間にコネクタ接続されたサブ発光部43を点灯させるためには、主電源スイッチ31を一旦オフにして(S42)から再度オン操作する。これにより処理S31から処理S2を経て、処理S3まで移行するので、発光部の切換操作を行い、処理S17の点灯/消灯スイッチ51の操作を行えばよい。
【0080】
なお、拡張発光ユニット40の接続検知方法としては、上記のようなコネクタの空き端子を利用する方法の他にも、光学的な方法(例えば第1コネクタ31に発光部と受光部を設け、第2のコネクタ41に光反射素子を設け、発光部から反射素子を経て受光部に光が戻れば接続状態、戻らなければ非接続状態とする)や、電気的な方法(例えば切換スイッチ62を短時間だけコネクタ側に接続し、高内部抵抗をもつ電源の出力電圧を印加し、コネクタ以降の負荷接続による電圧降下の有無を確認したり、コネクタ側へ電流の有無を確認する)も採用できる。
【0081】
上記実施形態では、拡張発光ユニット40が一組の場合で説明したが、赤、緑、青、白等、発光波長の異なる複数組の拡張発光ユニットを用意してそれを取り替えて使用することもできる。このように、発光波長の異なる複数組の拡張発光ユニットを複数使用したサブ発光部を用いれば、カラーセラピー効果も期待でき、被施術者に心理的な心地よさと、リラクゼーション効果、美容効果などの相乗的効果を提供することができる。
【0082】
また、上記実施形態では、主発光部22とサブ発光部43がほぼ同等の負荷(例えば5〜6W程度)となるようにして、駆動電源の出力(電圧や電流)を変えないでどちらにも対応できるようにしていたが、駆動する発光部に応じてコントローラ63が駆動電源の出力を可変制御してもよい。
【0083】
また、上記実施形態では、装置の電源をACアダプタ35から供給するようにしていたが、ケース21の内部に装置電源として乾電池や充電電池を収容させれば、商用電源が無い場所で施術が行える。また、ケース21に電源のケーブルが接続されない状態(コードレス)で稼働できるので、特に主発光部22による施術がさらにやりやすくなる。また充電電池を用いる場合、充電回路もケース21に内蔵させ、前記したACアダプタ35から充電を行うようにしてもよい。
【0084】
また、前記実施形態では、主発光部22の光源としてハロゲンランプ25を用い、サブ発光部43の光源として発光ダイオードを用いていたが、両発光部の光源としては上記実施形態に限らず、周知のランプ(例えばキセノンランプ等)や半導体発光素子(例えば半導体レーザ等)を用いることができる。
【符号の説明】
【0085】
20……光照射美容器、21……ケース、22……主発光部、25……ハロゲンランプ、28……温度スイッチ素子、31……主電源スイッチ、32……第1のコネクタ、35……ACアダプタ、40……拡張発光ユニット、41……第2のコネクタ、42……ケーブル、43……サブ発光部、44……サブケース、45……発光ダイオード、46……滑り止め材、48……温度スイッチ素子、50……操作部、51……点灯/消灯スイッチ、52……強度設定スイッチ、53……間隔設定スイッチ、54……発光部選択スイッチ、60……回路部、61……駆動電源、62……切換スイッチ、63……コントローラ、80……固定具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
片手で握り持つことができる形状のケース(21)と、
前記ケースから特定方向に温熱効果を有する光を出射する主発光部(22)と、
前記ケースの外表部に設けられた第1のコネクタ(32)と、
前記第1のコネクタに接続可能な第2のコネクタ(41)、該第2のコネクタに一端側に接続されたケーブル(42)および該ケーブルの他端側に接続され、前記主発光部の光出射領域より広い範囲に光を出射するサブ発光部(43)からなる拡張発光ユニット(40)と、
前記ケースの外表部に設けられた操作部(50)と、
前記ケースの内部に設けられ、前記操作部の操作にしたがって、発光に必要な駆動電源を前記主発光部と前記第1のコネクタに接続された前記サブ発光部のいずれかに選択的に供給して点灯駆動するコントローラ(63)とを備えた光照射美容器。
【請求項2】
前記操作部には、
点灯と消灯とを切り換えるために操作する点灯/消灯スイッチ(51)と、
前記主発光部と前記サブ発光部のいずれかを指定するために操作する発光部選択スイッチ(54)とが設けられており、
前記コントローラは、
電源投入時には、前記点灯/消灯スイッチの状態を消灯状態に初期設定し、前記発光部選択スイッチを主発光部指定状態に初期設定し、該消灯状態においてのみ前記発光部選択スイッチによる発光部変更操作を受け付け、点灯状態に切り換わるとその直前に前記発光部選択スイッチで指定されている発光部を点灯駆動するとともに、該点灯状態における発光部変更操作を禁止し、該点灯状態から消灯状態への変更後に前記発光部選択スイッチによる発光部変更操作を受け付けることを特徴とする請求項1記載の光照射美容器。
【請求項3】
前記コントローラは、前記点灯/消灯スイッチが点灯状態に切り換わってから一定時間経過後に消灯状態に戻すタイマ機能を有していることを特徴とする請求項2記載の光照射美容器。
【請求項4】
前記操作部には、前記主発光部またはサブ発光部が出射する光の強度および発光間隔を設定するための設定スイッチ(52、53)が設けられ、
前記コントローラは、前記設定スイッチで設定された強度と発光間隔の光を出射させることを特徴とする請求項2または請求項3記載の光照射美容器。
【請求項5】
前記コントローラは、前記第1のコネクタに対する前記拡張発光ユニットの接続の有無を検知し、前記拡張発光ユニットが接続されているときのみ、前記発光部選択スイッチによる前記拡張発光ユニットへの発光部変更操作を受け付けることを請求項2〜4のいずれかに記載の光照射美容器。
【請求項6】
前記拡張発光ユニットは、前記サブ発光部の発光色が異なるものが複数組設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光照射美容器。
【請求項7】
前記サブ発光部は、光源(45)と、該光源を保持するとともにその光源の光を一面側から出射させるサブケース(44)と、該サブケースの一面側に突出する複数の突起(45a)とを有し、該突起で肌を押圧できるようにしたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光照射美容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−72528(P2011−72528A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−226680(P2009−226680)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(592161844)
【Fターム(参考)】