説明

光照射装置

【課題】携帯性に優れ、且つペンや消しゴムやスタンプ等の小物文房具と同等の使用感覚で所望の部分を正確・確実に消色又は変色することが可能な光照射装置を提供することにある。
【解決手段】両端開口を有する筒状ペン型の本体40内に、光源からの光の光路を形成する光照射部10と、光源の点灯制御を行う制御回路部20と、制御回路部20を介して光源に給電する電源部30を備え、そのうちの光照射部10を、本体40の先端部内に該本体40の長手方向に沿って配置された放電管11と、放電管11の位置を焦点として該放電管11を囲むように配置された放物柱状のリフレクタ12と、及びリフレクタ12の開口前方に位置し、リフレクタ12の長手方向と同一方向を長手方向として本体40に嵌め込まれた透光窓13とで構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光照射装置に関するものであり、詳しくは、消色性又は変色性を有するインクで記された文字や図柄等に近赤外及び可視光波長領域の光エネルギーを照射することにより消色又は変色する、光照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の光照射装置としては、例えば、以下のような構成からなる消色に係わる装置(消色装置)が開示されている。
【0003】
それは、図10に示すように、下側を開口としたケース80内に反射板81を設け、反射板81の下方にソケット82を設けてハロゲンランプ83を取り付け、ハロゲンランプ83の下方に凸レンズ84を設け、ケース80の開口端部の対向する位置に一対のローラ85を配置した構成としている。
【0004】
そして、ハロゲンランプ83を点灯状態にして消色装置86を消色(消去)したい文字や図柄等に沿って紙面上をローラ85を介して移動させることにより、ハロゲンランプ83からの出射光が凸レンズ84を介して照射されて、消去性着色剤が用いられた文字や図柄等が消色(消去)されるというものである(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
また、図11に示すように、両端開口の円筒状のケーシング90の一半分部に、液状触媒を保持する保持タンク91と、該保持タンク91から延びてケーシング90の一半分部側の開口端部から突出した硬質フェルト要素92を設け、円筒状のケーシング90の他半分部に、凹面反射鏡要素93と該凹面反射鏡要素93の焦点に、ケーシング90内に収容された乾電池94に接続したハロゲンランプ95を設け、ケーシング90の他半分部側の開口端部に透明ガラス96を設けた構成としたものもある。
【0006】
これにより、近赤外線消色型色素からなる触媒非含有記録剤による書き損じ等に、ケーシング90の一半分部側の開口端部から突出した硬質フェルト要素92を介して液状触媒を塗布し、次いで、ケーシング90の他半分部側に設けられたハロゲンランプ95を点灯して近赤外線の出射光を透明ガラス96を介して、開口端部から突出した硬質フェルト要素92を介して液状触媒が塗布された書き損じ等の部分に照射する。すると、近赤外線による照射部に熱が発生して書き損じ部等に塗布された液状触媒を簡単に消色することができるというものである(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平5−7498号公報
【特許文献2】特許第2996581号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記特許文献1に開示された消色装置は、ハロゲンランプ点灯時の発熱が使用時から使用後までケース内にこもってケース温度を上昇させ、使用者がやけどを負う危険性がある。また、ハロゲンランプの点灯用電源をケース外に別体に設けざるを得ず、携帯性に乏しいという問題がある。
【0009】
また、特許文献2に開示された消色装置は、特許文献1と同様の理由で使用者がやけどを負う危険性があると共に、近赤外線の照射部の大きさ(外径)がハロゲンランプの大きさに制約を受ける。そのため、携帯性は確保できたとしてもペンや消しゴム等の小物文房具のような使い勝手に優れた形状・寸法とすることは極めて難しい。
【0010】
そこで、本発明は上記問題に鑑みて創案なされたもので、その目的とするところは、携帯性に優れ、且つペンや消しゴムやスタンプ等の小物文房具と同等の使用感覚で所望の部分を正確・確実に消色又は変色することが可能な光照射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載された発明は、一端部側が先端に向かって徐々に縮小する傾斜面を有する筒状の本体内に、光源からの光の光路を形成する光照射部と、前記光源の点灯制御を行う制御回路部と、前記制御回路部を介して前記光源に給電する電源部を備えた光照射装置であって、前記光照射部は、前記本体の前記傾斜面の傾斜方向に長手方向がほぼ沿うように配置された筒状の放電管と、前記放電管の長手方向と同一方向を長手方向とし該放電管を囲むように配置された開口を有するリフレクタと、
前記リフレクタの前記開口前方に位置し、該リフレクタの長手方向と同一方向を長手方向として前記本体に嵌め込まれた、透明材料からなる透光窓を備え、前記透光窓は外面が本体から突出していることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の請求項2に記載された発明は、互いに交差する平面で形成される稜線を少なくとも1つ有する形状、又は2つの平面に交差する交差平面を少なくとも1つ有する形状の本体内に、光源からの光の光路を形成する光照射部と、前記光源の点灯制御を行う制御回路部と、前記制御回路部を介して前記光源に給電する電源部を備えた光照射装置であって、前記光照射部は、前記本体の稜線方向又は交差平面の長手方向に沿うように配置された筒状の放電管と、前記放電管の長手方向と同一方向を長手方向とし該放電管を囲むように配置された開口を有するリフレクタと、前記リフレクタの開口前方に位置し、該リフレクタの長手方向と同一方向を長手方向として前記本体の稜線部又は交差平面部に嵌め込まれた、透明材料からなる透光窓を備えたことを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の請求項3に記載された発明は、請求項2において、前記透光窓は外面が前記稜線又は前記交差平面から突出していることを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明の請求項4に記載された発明は、下端開口を設けた枠状の支持部ハウジングを有する固定支持部と、前記固定支持部の内壁に沿って移動可能に配設された、本体部ハウジングを有する可動本体部を備え、前記本体部ハウジング内に、光源からの光の光路を形成する光照射部と、前記光源の点灯制御を行う制御回路部と、前記制御回路部を介して前記光源に給電する電源部を備えた光照射装置であって、前記光照射部は、前記支持部ハウジングの前記下端開口を輪郭とした面に長手方向が平行に配置された筒状の放電管と、前記放電管の長手方向と同一方向を長手方向とし該放電管を囲むように且つ開口を前記支持部ハウジングの前記下端開口の方向に向けた状態で配置されたリフレクタと、前記リフレクタの前記開口を塞ぐように該開口の端部に設置された透明材料からなる透光窓と、を備えていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の光照射装置は、本体内に光源からの光の光路を形成する光照射部と、光源の点灯制御を行う制御回路部と、制御回路部を介して光源に給電する電源部を備え、そのうちの光照射部を、放電管と該放電管を囲むリフレクタと該リフレクタの開口前方に位置し本体に嵌め込まれた透光窓を備え、透光窓の外面を本体から突出させた構成とした。
【0016】
そして、放電管から発せられて直接透光窓に向かう光線、放電管から発せられてリフレクタで反射されて透光窓に向かう光線がいずれも透光窓内を導光されて外部に照射され、その照射光によって消色性インク又は変色性インクで記された文字や図柄等を消色又は変色する。
【0017】
その結果、構造的には、本体の小スペース内に、電源部、制御回路部及び光照射部の領域を設け、夫々の領域に、下述するように電池、放電コンデンサを含む回路部品実装基板及び光学部品を収納するようにした。そのため、文房具と同等の使用感覚で消色又は変色操作をすることが可能となると共に、優れた携帯性をも有するものとなった。
【0018】
また、光学的には、放電管から発せられた光のうち消色又は変色に寄与する光の割合が大きく、高い光利用効率により確実に消色又は変色を行うことが可能となった。
【0019】
更に、実用的には、透光窓の突出部の外面を文字や図柄等の不要な部分に位置させることにより簡単に且つ正確に照射領域の位置決めを行うことができる。そのため、所望の消色又は変色領域の文字や図柄等を正確・確実に消色又は変色することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係わる実施例1の光照射装置の構成を模式的に示した説明図である。
【図2】光照射装置の光照射部の構成を模式的に示した説明図である。
【図3】光照射部の光学系による光路形成の説明図である。
【図4】光照射装置の使用状態を示す説明図である。
【図5】本発明に係わる実施例2の光照射装置の構成を模式的に示した説明図である。
【図6】図5の部分断面を模式的に示した説明図である。
【図7】光照射装置の使用状態を示す説明図である。
【図8】本発明に係わる実施例3の光照射装置の構成を模式的に示した説明図である。
【図9−1】光照射装置の使用状態を示す説明図である。
【図9−2】光照射装置の使用状態を示す説明図である。
【図10】従来例の説明図である。
【図11】他の従来例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明の好適な実施形態を図1〜図9を参照しながら、詳細に説明する(同一部分については同じ符号を付す)。尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの実施形態に限られるものではない。
【実施例1】
【0022】
図1は本発明の実施例1に係わる小型光照射装置の構成を模式的に示した説明図、図2は小型光照射装置の光照射部の構成を模式的に示した説明図、図3は光照射部の光学系による光路形成の説明図、図4は小型光照射装置の使用状態を示す説明図である。
【0023】
なお、下述の実施例はいずれも消色に係わる光照射装置について説明したものである。
【0024】
図1より、本実施例の小型光照射装置1は、消色のための近赤外及び可視光波長領域の光の照射に係わる光照射部10と、光照射部10を電気的に制御するための制御回路部20と、制御回路部20に電力を供給するための電源部30で構成されている。
【0025】
光照射部10は、近赤外及び可視光波長領域の光を発する放電管11と、放電管11から発せられた光を照射方向(前方)に向けるリフレクタ12と、放電管11からの直射光及び放電管11から発せられてリフレクタ12で反射された反射光を透過して外部に照射する透光窓13で構成されている。
【0026】
制御回路部20は、充電時に、電源部30から供給された電気エネルギーを蓄えると共に放電時に、蓄えられた電気エネルギーを放電して大電流で放電管11を閃光させる放電コンデンサ21と、電源部30から供給された電圧を放電管11の発光電圧まで昇圧して放電コンデンサ21を充電する昇圧充電回路を構成する回路部品22及び放電コンデンサ21の放電(放電管11の閃光)開始を制御する閃光用スイッチ23が実装された回路部品実装基板24で構成されている。
【0027】
電源部30は、一次電池又は二次電池のいずれかの電池31で構成されている。
【0028】
そして、上記光照射部10、制御回路部20及び電源部30が円筒状の本体40内に収容されている。本体40は、前部側の内径及び外径が夫々その先端に向って徐々に縮小し、後部側の内径及び外径は夫々同径でその後端まで延びており、本体40の前部側から後部側に向って光照射部10、制御回路部20及び電源部30の順に配置されている。
【0029】
また、本体40は後端開口41を有しており、この後端開口41は電源部30の電池31を交換するための電池交換口となる。電池交換口には電池31の電極との電気的な接続を兼ねた開閉自在の開閉蓋42が螺着されている。
【0030】
更に、上記光照射部10、制御回路部20及び電源部30は本体40内で電気的に接続されており、具体的には、電源部30の電池31が制御回路部20の、放電コンデンサ21が接続された回路部品実装基板24に接続され、回路部品実装基板24の出力端子(図示せず)が光照射部10の放電管11に接続されている。
【0031】
光照射部10(図2参照)は、上述したように、放電管11とリフレクタ12と透光窓13で構成されており、夫々の適宜な形状・寸法とそれ等の適宜な位置関係により本体40の先端部の小スペース内にほぼ理想的な光学系を形成している。
【0032】
そのうち、放電管11は、筒状のガラス管内に例えば、キセノン、クリプトン、ネオン、アルゴン等の不活性ガスの希ガスを封入すると共に両端部内に対向電極を配置したものであり、対向電極間に高電圧を印加することによりアーク放電が生じて発光が開始されるものである。
【0033】
そして、この放電管11は、本体40の先端部内に該本体40の長手方向に沿って配置されている。
【0034】
リフレクタ12は、1枚の平板状の金属部材に、切断加工・折曲加工等の板金加工を施すことによりU字柱状(本実施例においては放物柱状)に形成されており、少なくともその内周面の放物柱面は光反射面12aとされている。
【0035】
この場合、金属部材として反射性を有する部材を用いた場合には反射処理を施す必要はないが、金属部材が十分な反射性を有しないときは、少なくとも内周面にアルミ蒸着やクロムメッキ等による金属反射膜を形成して光反射面とする。
【0036】
この放物柱状のリフレクタ12は、その放物柱面からなる光反射面12aの焦点を結ぶ線分上に放電管11の中心軸Xが位置するように配置されている。つまり、リフレクタ12はその長手方向を本体40の傾斜面40dの傾斜方向と同一方向とするものであり、放電管11がリフレクタ12で囲まれた状態にある。
【0037】
リフレクタ12の開口12bの前方には、リフレクタ12の長手方向と同一の方向を長手方向とする透光窓13が配置されている。透光窓13は透明材料で形成され、本体40の傾斜面40dの傾斜方向に沿って設けられた貫通窓40aに、該透光窓13の外面(外側に向いた面)13aが本体40から突出した状態で嵌め込まれている。
【0038】
したがって、放電管11とリフレクタ12と透光窓13の位置関係は、夫々の長手方向を同一方向とし、放電管11をリフレクタ12とリフレクタ12の開口12b前方に位置する透光窓13によって覆った状態にある。
【0039】
次に、光照射部10を構成する放電管11、リフレクタ12及び透光窓13で構成された光学系において、放電管11から発せられた光の光路形成について図3を参照して説明する。
【0040】
まず、電源部30の電池31から回路部品実装基板24上の昇圧充電回路に電力が供給されると、昇圧充電回路で放電管11の発光電圧まで昇圧されて放電コンデンサ21を満充電状態にする。その後、閃光用スイッチ23を入れると、放電コンデンサ21の放電による大電流で放電管11が発光して閃光を発する。
【0041】
放電管11から発せられた閃光は、図3のように、その一部の光線L1は直接透光窓13に向い、一部の光線L2はリフレクタ12の内周面である光反射面12aに向い、光反射面12aで反射された反射光線が略平行光となって透光窓13に向かう。
【0042】
そして、透光窓13の内面(光入射面)13bに到達した、放電管11からの直射光線L1及び放電管11から発せられて光反射面12aで反射された反射光線L2は共に、透光窓13内を導光されてその略平行光が外面(光出射面)13aを介して外部に照射される。
【0043】
その結果、本体40に嵌め込まれた透光窓13からは、放電管11からの閃光発光の多くが略平行光とされた状態で外部に照射されるため、高出力で高密度の光エネルギーが瞬時に照射されることになる。
【0044】
図4は、本実施例のペン型の小型光照射装置1の実際の使用方法を示すものである。まず、図4(a)のように、例えば熱変色性インク(本実施例では熱により消色する熱変色性インク)で文字や図柄等46が記された原稿45と小型光照射装置1を準備し、原稿45上に小型光照射装置1を持って行く。
【0045】
次に、図4(b)のように、原稿45上の文字や図柄等46の不要で消色したい部分に、小型光照射装置1の透光窓13の本体40から突出した外面13aを当てて閃光用スイッチ23を操作する。すると、透光窓13の外面(光出射面)13aから閃光が照射され、その近赤外線及び可視光線による光エネルギーを受けた部分の文字や図柄等が熱により消色される。
【0046】
次に、図4(c)のように、小型光照射装置1を原稿45から離すことにより、文字や図柄等46の不要な部分が消色(消色領域47)された原稿45を得ることができる。
【0047】
なお、不要で消色したい部分が広範囲に亘るため1回の閃光照射では全部が消色しきれない場合は、本体40の透光窓13を少しずつ移動させながら閃光照射を繰り返すことにより全ての不要部分を消色することができる。
【0048】
このとき、小型光照射装置1からは上述のように高出力で高密度の光エネルギーが照射されるが、光エネルギーの照射は連続的に行われるものではなく閃光照射により断続的に行われるものである。そのため、発光時の発熱量が大きい放電管11にあっても、1回の閃光照射に係わる発光時間が極めて短時間であるためそれに伴う発熱時間も極めて短時間であり、発熱量自体も極めて少ない。
【0049】
そのため、閃光照射を繰り返すことにより広範囲の消色を行う場合であっても、全消色時間に対する放電管11の平均発熱量を少なく抑えることができ、使用者をやけどなどの危険な状態に晒すことがない。
【0050】
以上にように、本実施例のペン型の小型光照射装置1は、放電管11とリフレクタ12で生成された照射光を外部に照射する透光窓13が本体40から突出して設けられており、突出部の外面(光出射面)13aを文字や図柄等の不要な部分に位置させることにより簡単に且つ正確に照射領域の位置決めを行うことができる。それと同時に、照射領域は透光窓13の外面(光出射面)13a全面がその範囲となる。そのため、原稿に透光窓13の外面を当てた状態で照射することにより、所望の消色領域の文字や図柄等を正確・確実に消色することができる。
【0051】
また、ペン型本体40の小スペース内に、電源部30、制御回路部20及び光照射部10の領域を設け、夫々の領域に電池31、放電コンデンサ21を含む回路部品実装基板24及び光学部品を収納するようにした。その結果、筆記具と同等の使用感覚で消色操作をすることが可能となると共に、ペンケースに収容できることにより優れた携帯性を有するものとなった。
【0052】
電源部30においては、一次電池又は二次電池のいずれかの電池31を用いるようにしたため電源容量を小さくすることができ、省エネルギーに寄与するものとなった。
【0053】
光照射部10においては、本体40の先端部の小スペース内に、光源の放電管11と、放電管11を囲むように位置する放物柱状のリフレクタ12を配置し、放電管11をリフレクタ12とリフレクタ12の開口12b前方に位置して本体40の貫通窓40aに嵌め込まれた透光窓13によって覆うようにした。
【0054】
そのため、放電管11から発せられた光のほとんどが、放電管11からの直射光、又は放電管11から発せられてリフレクタ12の光反射面12aで反射された反射光の何れかとなって透光窓13に到達し、透光窓13内を導光された光が略平行光として外部に照射される。
【0055】
その結果、放電管11から発せられた光のうち消色に寄与する光の割合が大きく、高い光利用効率により確実に消色を行うことが可能となった。
【0056】
その上、光源の放電管11は、小型、長寿命で、低消費電力で発光光量が大きい。そのため、光照射部10は放電管11の大きい発光光量と上述の高い光利用効率とを併せ持つことになるため、消色に寄与する光量が格段に大きくなり、消色の確実性を更に向上させることが可能となる。
【0057】
また、リフレクタ12は、1枚の平板状の金属部材から簡単な板金加工により所望の形状・寸法に形成するものであり、材料費及び加工費の低減により製造コストの低減化を実現することができる。
【0058】
なお、本実施例のペン型の小型光照射装置1は、ペン型本体40の小スペース内に光照射部10、制御回路部20及び電源部30からなる全ての構成要素が高密度で実装されている。そこで、この高密度実装技術を活用して、消色機能と共に消色性インキによる筆記機能を備えた筆記・消色機能一体型装置を実現することも可能である。これにより、携帯性に優れた1本のペン型筆記・消色装置によって、筆記「書く」及び消色「消す」の両方の操作が可能になる。
【実施例2】
【0059】
図5は本発明の実施例2に係わる小型光照射装置の構成を模式的に示した説明図、図6は図5の部分断面を模式的に示した説明図、図7は小型光照射装置の使用状態を示す説明図である。
【0060】
図5及び図6より、本実施例の小型光照射装置1は、立方体又は直方体形状をなす消しゴム型の本体40内に、光照射部10、制御回路部20及び電源部30が収容されており、本体40の稜線部40bの一部に該稜線40cに沿って設けられ貫通窓40aに、透明材料で形成された透光窓13が外面(外側に向いた面)13aを稜線40cから突出した状態で嵌め込まれている。
【0061】
光照射部10、制御回路部20及び電源部30の夫々の構成は上記実施例1と同様である。また、光照射部10、制御回路部20及び光源部30が本体40内に収容されると共に透光窓13が本体40に設けられた貫通窓40aに、該透光窓13の外面(外側に向いた面)13aが本体40から突出した状態で嵌め込まれている構成も実施例1と同様である。
【0062】
特に、光照射部10が、放電管11とリフレクタ12と透光窓13で構成されており、夫々の適宜な形状・寸法とそれ等の適宜な位置関係により本体40の小スペース内にほぼ理想的な光学系を形成している点、具体的には、放電管11とリフレクタ12と透光窓13が夫々の長手方向を同一方向とし、放電管11をリフレクタ12とリフレクタ12の開口12b前方に位置する透光窓13によって覆うような位置関係にある点、及びこれら光学部品で構成された光学系による光路形成も実施例1と同様である。
【0063】
つまり、実施例1と実施例2の構造的な違いは、本体の形状(実施例1は本体の形状が筒状のペン型であるのに対し、実施例2の本体の形状は立方体又は直方体形状の消しゴム型)の違いと、その違いに基づく本体の形状に対する光源、透光窓、リフレクタの配置の違いである。光源、透光窓、リフレクタ、制御回路部、電源部等の部品自体についての構成は実施例1とほぼ共通するため、それぞれの部品についての本実施例に係わる詳細な説明は省略する。
【0064】
図7は、本実施例の消しゴム型の小型光照射装置1の実際の使用方法を示すものである。まず、図7(a)のように、消色性インクで文字や図柄等46が記された原稿45と小型光照射装置1を準備し、原稿45上に小型光照射装置1を持って行く。
【0065】
次に、図7(b)のように、原稿45上の文字や図柄等46の不要で消色したい部分に、小型光照射装置1の透光窓13の本体40から突出した外面13aを当てて閃光用スイッチ23を操作する。すると、透光窓13の外面(光出射面)13aから閃光が照射され、その近赤外線及び可視光線による光エネルギーを受けた部分の文字や図柄等が熱により消色される。
【0066】
次に、図7(c)のように、小型光照射装置1を原稿45から離すことにより、文字や図柄等46の不要な部分が消色(消色領域47)された原稿45を得ることができる。
【0067】
なお、不要で消色したい部分が広範囲に亘るため1回の閃光照射では全部が消色しきれない場合は、本体40の透光窓13を少しずつ移動させながら閃光照射を繰り返すことにより全ての不要部分を消色することができる。
【0068】
但し、構造的に、実施例1の透光窓13に対して実施例2の透光窓13の幅及び長さを大きくすることができるため、1回の閃光によって広範囲の領域を消色することが可能となる。
【0069】
そのため、実施例1のペン型の小型光照射装置を用いるのか、或いは実施例2の消しゴム型の小型光照射装置を用いるのか、の選択は、携帯の際の利便性や使用の際の簡便性と共に、照射領域の大きさ等の実用性を考慮して決められる。
【0070】
以上のように、実施例2は実施例1に対して本体の形状は異なるが、その他、部品構成や光学系等の主要な部分については同様である。したがって、実施例2の作用効果についても上述の実施例1に係わる作用効果と同様なものとなる。
【0071】
なお、本体40の形状は、上述の立方体又は直方体形状に限られるものではなく、互いに交差する平面で形成される稜線を少なくとも1つ有する形状、又は2つの平面に交差する平面(交差平面)を少なくとも1つ有する形状であればよく、後者の、交差平面を有する形状の場合は、交差平面に沿って貫通窓が設けられ、その貫通窓に透光窓が嵌め込まれる。その場合、透光窓の外面(外側に向いた面)は必ずしも交差平面から突出する必要はない。
【実施例3】
【0072】
図8は本発明の実施例3に係わる光照射装置の構成を模式的に示した説明図、図9は光照射装置の使用状態を示す説明図である。
【0073】
図8より、本実施例の光照射装置1は、スタンプ型の光照射装置であり、光照射部10、制御回路部20及び電源部30を備えた可動本体部50と可動部本体50の移動をガイドする固定支持部60からなり、可動本体部50が固定支持部60に沿って移動可能に一体的に嵌合されている。
【0074】
可動本体部50は、下端開口を有する本体部ハウジング51内に光照射部10、制御回路部20及び電源部30が収容されている。そのうち、制御回路部20が放電コンデンサ21と回路部品実装基板24で構成され、電源部30が一次電池又は二次電池のいずれかの電池31で構成されている点は上記実施例1及び実施例2と同様である。
【0075】
但し、光照射部10の構成は、実施例1及び実施例2が放電管11とリフレクタ12と透光窓13で構成されていたのに対し、本実施例においては、光源の放電管11と放電管11からの出射光の反射に係わるリフレクタ12の2つの光学部品で構成されている。そしてこれら2つの光学部品で構成された光学系により光路形成がなされるものである。
【0076】
この場合、放電管11及びリフレクタ12は実施例1及び実施例2と同様のものが用いられ、互いの位置関係も同様である。そして、本体部ハウジング51内の上部に制御回路部20と電源部30が収容され、下部の中央部に、固定支持部60の支持部ハウジング61の下端開口61aと平行に配置された放電管11とリフレクタ12で構成された光照射部10が収容されている。
【0077】
リフレクタ12は、その開口12bが固定支持部60の支持部ハウジング61の下端開口61a側に向くように配置されており、放電管11からの直射光及び放電管11から発せられてリフレクタ12で反射された反射光が支持部ハウジング61の下端開口61aから外部に照射されるようになっている。
【0078】
図9は、本実施例のスタンプ型の光照射装置1の実際の使用方法を示すものである。まず、図9(a)のように、例えば熱変色性インク(本実施例では熱により消色する熱変色性インク)で文字や図柄等46が記された原稿45と光照射装置1を準備し、原稿45上に光照射装置1を持って行く。
【0079】
次に、図9(b)のように、原稿45上の文字や図柄等46の不要で消色したい部分が中央に位置するように支持部ハウジング61の下端開口端部61bを原稿45上に当接させて光照射装置1をセットする。
【0080】
次に、図9(c)のように、可動本体部50を固定支持部60に沿って下方(原稿の方向)にリフレクタ12の開口端部に設置された透光窓13が原稿45に当接するまで移動(下降)させる。すると、図示しないが光照射装置1に内蔵した閃光用スイッチが可動本体部50の移動に連動して作動し、放電管11が発光する。
【0081】
すると、原稿45の、リフレクタ12の開口端部に設置された透光窓13で覆われた領域に放電管11からの閃光が照射され、その近赤外線及び可視光線による光エネルギーを受けた部分の文字や図柄等が熱により消色される。
【0082】
次に、図9(d)のように、光照射装置1を原稿45から離すことにより、文字や図柄等46の不要な部分が消色(消色領域47)された原稿45を得ることができる。
【0083】
以上のように、本実施例は、構造的に上記実施例1及び実施例2のような小型化は難しいが、リフレクタ12の開口端部に設置された透光窓13が直接原稿45に接した状態で放電管11の閃光を原稿45に照射することができる。
【0084】
つまり、放電管11は原稿45とリクレクタ12で包囲された状態の中で発光し、放電管11からの出射光が原稿45に照射されるまでの光路はリフレクタ12内で形成されて外部に漏れる光はほとんどない。
【0085】
そのため、放電管11からの出射光のほとんどが消色作用に寄与し、光の利用効率が極めて高いものとなる。その結果、高出力で高密度の光エネルギーを瞬時に照射することが可能となり、確実な消色処理を実現することができる。
【0086】
また、リフレクタ12の開口12bの形状寸法を適宜設定することにより、1回の閃光で消色する消色範囲を簡単に変更することができる。そのため、所望の消色範囲の設計自由度が高い光照射装置が実現できる。
【0087】
更に、支持部ハウジング61で文字や図柄等の不要な部分を包囲することにより、簡単に且つ正確に照射領域の位置決めを行うことができる。そのため、所望の消色領域の文字や図柄等を正確・確実に消色することができる。
【0088】
なお、本体部ハウジング51と支持部ハウジング61のいずれか、又は両方を透明材料で形成することで、透明部材を通して見えるリフレクタ12の開口端部に設置された透光窓13を文字や図柄等46の不要な部分に位置させることにより簡単に且つ更に正確に照射領域の位置決めを行うことができる。そのため、所望の消色領域の文字や図柄等を一層正確・確実に消色することができる。
【0089】
なお、上記いずれの実施例においても、インクは熱により消色するインク(消色性インク)を用いているが、インクの種類はこれに限らず、熱により変色するインク(変色性インク:玩具等に使用される)等も含まれる。
【0090】
また、リフレクタ12の形状を放物柱状としたが、リフレクタ12の形状はこれに限られるものではなく、放電管11を囲むような断面U字状のU字柱状であればよい。放物柱状はU字柱状の具体例の一例である。
【符号の説明】
【0091】
1… 光照射装置
10… 光照射部
11… 放電管
12… リフレクタ
12a… 光反射面(内周面)
12b… 開口
13… 透光窓
13a… 外面(光出射面)
13b… 内面(光入射面)
20… 制御回路部
21… 放電コンデンサ
22… 回路部品
23… 閃光用スイッチ
24… 回路部品実装基板
30… 電源部
31… 電池
40… 本体
40a… 貫通窓
40b… 稜線部
40c… 稜線
40d… 傾斜面
41… 後端開口
42… 開閉蓋
45… 原稿
46… 文字・図柄
47… 消色領域
50… 可動本体部
51… 本体部ハウジング
60… 固定支持部
61… 支持部ハウジング
61a… 下端開口
61b… 下端開口端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端部側が先端に向かって徐々に縮小する傾斜面を有する筒状の本体内に、光源からの光の光路を形成する光照射部と、前記光源の点灯制御を行う制御回路部と、前記制御回路部を介して前記光源に給電する電源部を備えた光照射装置であって、
前記光照射部は、前記本体の前記傾斜面の傾斜方向に長手方向がほぼ沿うように配置された筒状の放電管と、
前記放電管の長手方向と同一方向を長手方向とし該放電管を囲むように配置された開口を有するリフレクタと、
前記リフレクタの前記開口前方に位置し、該リフレクタの長手方向と同一方向を長手方向として前記本体に嵌め込まれた、透明材料からなる透光窓を備え、
前記透光窓は外面が本体から突出していることを特徴とする光照射装置。
【請求項2】
互いに交差する平面で形成される稜線を少なくとも1つ有する形状、又は2つの平面に交差する交差平面を少なくとも1つ有する形状の本体内に、光源からの光の光路を形成する光照射部と、前記光源の点灯制御を行う制御回路部と、前記制御回路部を介して前記光源に給電する電源部を備えた光照射装置であって、
前記光照射部は、前記本体の稜線方向又は交差平面の長手方向に沿うように配置された筒状の放電管と、
前記放電管の長手方向と同一方向を長手方向とし該放電管を囲むように配置された開口を有するリフレクタと、
前記リフレクタの開口前方に位置し、該リフレクタの長手方向と同一方向を長手方向として前記本体の稜線部又は交差平面部に嵌め込まれた、透明材料からなる透光窓を備えたことを特徴とする光照射装置。
【請求項3】
前記透光窓は外面が前記稜線又は前記交差平面から突出していることを特徴とする請求項2に記載の光照射装置。
【請求項4】
下端開口を設けた枠状の支持部ハウジングを有する固定支持部と、前記固定支持部の内壁に沿って移動可能に配設された、本体部ハウジングを有する可動本体部を備え、
前記本体部ハウジング内に、光源からの光の光路を形成する光照射部と、前記光源の点灯制御を行う制御回路部と、前記制御回路部を介して前記光源に給電する電源部を備えた光照射装置であって、
前記光照射部は、前記支持部ハウジングの前記下端開口を輪郭とした面に長手方向が平行に配置された筒状の放電管と、前記放電管の長手方向と同一方向を長手方向とし該放電管を囲むように且つ開口を前記支持部ハウジングの前記下端開口の方向に向けた状態で配置されたリフレクタと、前記リフレクタの前記開口を塞ぐように該開口の端部に設置された透明材料からなる透光窓と、を備えていることを特徴とする光照射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9−1】
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【図9−2】
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【図10】
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【図11】
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