説明

光触媒機構

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は住居等の居住空間の臭いの除去、抗菌、防汚等を実現しうる光触媒機構に関する。
【0002】
【従来の技術】住居やオフィスの居住空間には種々の悪臭が漂い、従来、芳香剤や活性炭で臭いを吸着する等の方法で防臭や脱臭が図られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら芳香剤は消耗品であり薬液の補充が大変であり、また、活性炭は寿命に限りがあり、再生が難しいことから頻繁に新品と交換しなければならず不経済である。
【0004】そこで、本発明の目的は生活空間を構成する透光性基材を有効に利用して脱臭、抗菌、防汚を図ることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すべく本発明は、透光性を有する基材の居住空間側の表面に光触媒が付設された部材と、波長410nm以下の紫外線を含む光線を照射する光源からなり、かつ前記光源から発せられた光線が前記透光性基材を透過して前記光触媒を照射しうる位置に光源が配置されているように、光触媒機構を構成する。
【0006】光源から発せられる紫外線を含む光線が透光性基材を透過して光触媒に照射されて光触媒を活性化するので、光触媒作用により居住空間の空気の脱臭や抗菌、光触媒面の防汚を何時でも図ることが出来る。また、光源から発せられる光線が透光性基材を透過して光触媒を照射するように(例えば裏側に)光源が配置されているので、本発明の光触媒機構は、照明としての機能や、室内を飾るシャンデリヤ等の装飾品としての機能や、疑似窓機能等を兼ねさせることが出来る。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る光触媒機構の断面図である。図1はビル内部のトイレルーム等外壁に臨んでいない箇所に取り付けた人工の灯取り窓であり、光触媒機構20は、前面即ち室内側の面に光触媒5が付設され、透光性基材としての石英ガラス等の極めて光透過度のよいガラス板21と、壁2の大きな凹部2bに収納取付けられた短波長光ランプ8及び可視光ランプ22とからなる。
【0008】本実施例においては、短波長光ランプ8の光線はほぼ光触媒5を照射する広がり角を有する。また、可視光ランプ22は凹部2bを介してガラス板21を全体的に明るくする作用をなす。
【0009】図2は本発明に係る光触媒機構の作用図であり、短波長光ランプ8の光線はガラス板21を透過して光触媒5に当り、それを活性化する。すると、光触媒5表面の吸着水と光触媒の光励起により生成する正孔とが反応してラジカルOH(水酸基ラジカル)が生成される。そして、例えば、アンモニアの脱臭の場合には、このラジカルOHが付近の空気(矢印■)中のアンモニア等の臭いを無臭化する。なお、脱臭用途の場合、部屋にはサーキュレータが取付けられていて、このサーキュレータで空気の強制循環をなさせてもよい。
【0010】ガラス板21が明るいので、灯取り窓と同じ感覚を与え、疑似窓機能を発揮可能となる。尚、このとき短波長光ランプ8が紫系可視光を含む場合、上記可視光ランプ22は省略してもよい。また可視光ランプ22の存在により可視光線は充分に透過されるので、従来の照明と同様の機能も発揮可能である。尚、短波長光ランプ8が発する360nm以下の紫外線は、光触媒5で充分に減衰されるので、害はない。
【0011】光触媒5は、光触媒材料としてTiO2単独またはTiO2に波長調整のためにSnO2、WO3、Y23等の添加物を添加させたものを用い、ガラス板、プラスチック板等の透光性基材21に塗布、塗布焼結などしてコーティングしたものである。尚、ここで、光触媒5が固定されたシートを貼着等の手法で透光性基材に固定してもよい。光触媒5は、所謂光触媒作用を持ち、脱臭、抗菌、防汚等の機能を発揮する。脱臭用途で用いる場合には、更に加えて、光触媒に悪臭物質を一旦吸着保持させ、この状態の悪臭成分に光を照射して悪臭化させるようにしてもよい。吸着保持の手法としては、光触媒の比表面積を大きくする、または多孔質な建材に引かし触媒を付設することが有効である。
【0012】短波長光ランプは波長410nm以下の紫外線を含む光線を主に照射するもので、図1に図示するごとく指向性を有するようにして、前記光触媒5のみを照射する照射角度にしてもよい。
【0013】一方、部屋に一般に設けられている排気ダクトの能力を高めて、排気を促すことで防臭は図れるが、暖房した部屋や冷房した部屋では、部屋外の冷気又は暖気が大量に部屋に流入することは、エネルギロスの点から見て好ましくない。この点、本発明の光触媒機構は、閉空間の空気を脱臭等処理するものであるから、前記換気ダクトの能力は低く設定することが可能であり、充分快適な部屋を形成することができる。
【0014】また、壁材11に悪臭を吸着保持させる機能を持たせた場合には、ある一定間隔で光を照射させ、吸着保持させた悪臭を無臭化させるようにしてもよい。
【0015】
【発明の効果】以上に述べた通り、本発明の光触媒機構を部屋に適用すると、照明としての作用や、装飾品としての作用や人工の灯取り窓の作用をすると共に、紫外線を含む光線の照射等少量の電気エネルギだけで、芳香剤や活性炭の消耗を心配することなく室内の空気をリフレッシュできる。
【0016】
【発明の効果】即ち、本発明の光触媒機構は、住居やオフィスの居住空間に適用されるので、生活空間の脱臭、抗菌、防汚を容易且つ経済的に図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光触媒機構の断面図
【図2】本発明の光触媒機構の作用図
【符号の説明】
1…、2…壁、2b…凹部、4…、5…光触媒、6…、7…、8…短波長光ランプ、9…、10…、11…壁材、12…、13…、20…光触媒機構、21…透光性基材、22…可視光ランプ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 透光性を有する基材の居住空間側の表面に光触媒が付設された部材と、波長410nm以下の紫外線を含む光線を照射する光源からなり、かつ前記光源から発せられた光線が前記透光性基材を透過して前記光触媒を照射しうる位置に光源が配置されていることを特徴とする照明機能付きの光触媒機構。
【請求項2】 前記光触媒はTiO2またはTiO2に波長調整のためにSnO2、WO3、Y23が添加されたものであることを特徴とする請求項1に記載の光触媒機構。

【図1】
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【図2】
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【特許番号】特許第3063685号(P3063685)
【登録日】平成12年5月12日(2000.5.12)
【発行日】平成12年7月12日(2000.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平9−170133
【分割の表示】特願平3−96360の分割
【出願日】平成3年4月2日(1991.4.2)
【公開番号】特開平10−71197
【公開日】平成10年3月17日(1998.3.17)
【審査請求日】平成9年6月26日(1997.6.26)
【出願人】(000010087)東陶機器株式会社 (3,889)
【参考文献】
【文献】特開 平1−252244(JP,A)