説明

免疫測定方法

【課題】
検出感度を著しく向上することができ、更に抗原抗体反応の反応時間を短縮させることができる免疫測定方法を提供する。
【解決手段】
反応容器及び抗体又は抗原を固定化した固相を用いた免疫測定方法であって、反応容器の下部を加熱し上部を冷却する条件下で抗原抗体反応を行う工程を含むようにした。前記固相及び反応容器がマイクロプレートであることが好ましい。前記反応容器の下部の加熱温度が25℃以上55℃以下であり、前記反応容器の上部の冷却温度が前記下部の加熱温度より低く且つ0℃以上25℃以下であることが好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗体又は抗原を固定化した固相を用いた免疫測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
臨床検査診断薬等の分野で使用される免疫測定法としては、抗体又は抗原を固定化した固相(固相)を用いた免疫測定法が比較的簡便な方法として用いられている。該方法は、一定の温度に保持して抗原抗体反応を行わせるものであり、例えば、室温(20℃)又はインキュベーターや恒温槽等を用いて反応温度を均一に制御し、反応させる方法が一般的である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、検出感度の向上した免疫測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、従来行われてきた一定の温度条件とは逆に、反応容器の下部を加熱し上部を冷却する条件下で抗原抗体反応を行わせることにより、検出感度を著しく向上させることができることを見いだした。
即ち、本発明の免疫測定方法は、反応容器及び抗体又は抗原を固定化した固相を用いた免疫測定方法であって、該反応容器の下部を加熱し上部を冷却する条件下で抗原抗体反応を行う工程を含むことを特徴とする。
【0005】
前記抗原抗体反応の温度条件は、反応容器の上部を下部よりも低温に設定した条件下であれば特に限定されないが、反応容器の下部の加熱温度が25℃以上55℃以下であり、前記反応容器の上部の冷却温度が前記下部の加熱温度より低く且つ0℃以上25℃以下であることが好適である。
前記固相及び反応容器はそれぞれ特に限定されないが、マイクロプレートを固相及び反応容器として用いることが好ましい。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、簡便に免疫測定方法における検出感度を著しく向上することができる。また、本発明によれば抗原抗体反応の反応時間を短縮させることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明するが、図示例は例示的に示されるもので、本発明の技術思想から逸脱しない限り種々の変形が可能なことはいうまでもない。
【0008】
本発明の免疫測定方法は、反応容器の下部を加熱し上部を冷却する条件下で抗原抗体反応を行う工程を含むことを特徴とする。前記反応容器の下部とは、反応容器の下面(底面)や下方側面等を含むものであり、反応容器の上部とは、反応容器の上面(例えば、蓋体)や上方側面等を含むものである。例えば、反応容器の下面全面を均一に加熱し、反応容器の上面全面を均一に冷却する条件下で反応を行うことが好ましい。反応容器は、抗原抗体反応が可能な反応器具であれば特に限定されないが、例えば、ポリスチレン等のマイクロプレートやマイクロアレイを用いることが好ましい。
【0009】
本発明において、下部を加熱し上部を冷却するとは、上部を下部よりも低い温度に設定することを意味する。反応容器の上部と下部の温度差は、特に限定されないが、上部を下部より5℃以上、好ましくは10℃以上、より好ましくは15℃以上低く設定し、反応容器内の抗原抗体反応を行う液(反応溶液)中に上下に温度差、例えば、温度勾配を設けることが好適である。具体的には、反応容器の下部を25℃以上55℃以下、好ましくは30℃以上50℃以下、より好ましくは35℃以上40℃以下の温度範囲で加熱し、反応容器の上部を0℃以上25℃以下、好ましくは4℃以上25℃以下の温度範囲で冷却することが好ましい。
【0010】
本発明において、免疫測定方法としては、抗体又は抗原を固相に固定化し用いる免疫学的測定法であれば特に限定されない。例えば、酵素免疫測定法(EIA)、化学発光免疫測定法、蛍光免役測定法(FIA法)、放射線免疫測定法(RIA)等が挙げられる。
【0011】
本発明において前記固相とは不溶性担体であり、例えば、マイクロプレート、ビーズ、試験管、ラテックス、磁性粒子、ニトロセルロース膜等が挙げられるが、ポリスチレン等のマイクロプレートが好ましい。固相に固定する抗体又は抗原は、測定物質に応じて適宜選択すればよく特に限定されないものである。本発明において、測定物質は免疫学的測定法により測定可能な物質であれば特に限定されないものである。また、前記抗原はハプテン等の合成抗原、及び天然抗原のいずれも使用可能である。
【0012】
以下、二抗体を用いるサンドイッチ法により抗原を測定する場合を例に、本発明の免疫測定方法をより具体的に説明する。
図1〜図5は本発明の免疫測定方法の一例を示す断面概略説明図であり、測定物質が抗原であり、固相及び反応容器としてマイクロプレートを用いる場合の例を示した。
図1は、抗体を固定化した固相の一例を示す断面概略説明図である。図1において符号10は固相であり、固相としてマイクロプレートを用いた場合の例を示した。前記マイクロプレート10は1又は複数のウェル(穴)12を有する。なお、図1〜5では、6個のウェル12a〜12fを示したが、ウェルの数は特に限定されない。
【0013】
図1に示した如く、まず、被測定抗原20に対する第1の抗体22が所定の固定化部位、例えば底部14に固定化されたマイクロプレート10のウェル12等の固相を準備する。本発明に使用される抗体は、被測定抗原に対し特異的に結合することができる物質であれば特に限定されない。具体的には、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体を用いることができる。
抗原又は抗体を固相に固定化する方法は特に限定されず、公知のいずれの方法も適用できる。なお、図1は、マイクロプレートの底部に抗体を固定化させた場合の例を示したが、本発明において、抗原又は抗体の固定化部位は特に限定されないものである。
【0014】
図2は、固相14に固定化された第1の抗体22、被測定抗原20、及び反応溶液26を含む反応容器16の一例を示す断面概略説明図である。
図2に示した如く、固相としてマイクロプレートを用いる場合、該マイクロプレートを反応容器としても用いることが可能である。前記準備した固相10を反応容器16として用い、該反応容器16に被測定抗原20を含む又は含む可能性のある試料及び反応溶液26を加え、反応容器16を蓋体18等により封じる。図中、ウェル12aは被測定抗原を含まない試料を添加した場合を示し、ウェル12b〜12fは被測定抗原を含む試料を添加した場合を示した。
【0015】
本発明において反応溶液は特に限定されず、抗原抗体反応に使用される公知の反応用溶液を用いることが可能であり、緩衝液を用いることが好ましい。
なお、図1〜5はマイクロプレートを反応容器及び固相として用いる場合の例を示したが、反応容器と固相を別途用意する場合も本発明に含まれるものである。例えば、固相としてビーズや磁気粒子等を用い、該固相に抗体又は抗原を固定化させ、反応容器に添加してもよい。
【0016】
その後、該反応容器16の下部を加熱し上部を冷却する条件下で第1の抗原抗体反応(第1反応)を行う。前記抗原抗体反応において、反応容器の下部を加熱し上部を冷却する方法は特に限定されないが、反応容器の下部を加熱可能な加熱手段を備え且つ上部を冷却可能な冷却手段を備えた温度制御装置を用いることが好ましい。
【0017】
図6は、本発明方法を実施するために好適に用いられる温度制御装置の一例を示す概略説明図である。図6において、符号30は温度制御装置で、反応容器を収納する収納部32と、該反応容器を加熱する加熱手段34と、該反応容器を冷却する冷却手段36とを有している。図6において、38は基台であり、該基台38の上面に前記加熱手段34が設けられている。該加熱手段34の上部には前記収納部32及び該収納部の側壁39が設けられており、前記収納部32の上部には冷却手段36が設けられている。
前記加熱手段34及び冷却手段36は温度を制御できることが好ましい。マイクロプレートで抗原抗体反応を行う場合は、図3及び6に示した如く、前記加熱手段34及び冷却手段36ともに平面でマイクロプレート10と接触する構造であることが好ましい。
【0018】
図3は図6に示した温度制御装置を利用したサンドイッチ法における第1の抗原抗体反応の一例を示す断面概略説明図である。図3において、温度制御装置30は図6と同様に構成されている。図3に示した如く、温度制御装置30の収納部32に反応容器16を載置し、加熱手段34により反応容器16の下面全面を均一に加熱し且つ冷却手段36により反応容器16の上面(蓋体18)全面を均一に冷却する条件下で所定時間反応させることが好ましい。該第1の抗原抗体反応により、被測定抗原20を固相抗体である第1の抗体22に結合させる。
【0019】
前記第1の抗原抗体反応後、未反応物を洗浄除去し、標識物質で標識された第2の抗体及び反応溶液を加え、反応容器の下部を加熱し上部を冷却する条件下で第2の抗原抗体反応(第2反応)を行う。該第2の抗原抗体反応は、図4に示した如く、前記第1の抗原抗体反応と同様、反応容器の下部を加熱可能な加熱手段を備え且つ上部を冷却可能な冷却手段を備えた温度制御装置を用いて行うことが好ましい。
【0020】
図4は、本発明方法を実施するために用いられる温度制御装置を利用した前記第2の抗原抗体反応の一例を示す断面的概略説明図である。図4において、温度制御装置30は図6と同様に構成されている。
図4において、24は標識物質で標識された第2の抗体、25は標識物質、27は反応溶液である。前記第2の抗体を標識する方法は特に限定されず、公知の標識法を使用することができ、標識物質25としては、例えば、酵素、蛍光物質、化学発光物質、放射性物質、金属等が挙げられる。図4に示した如く、温度制御装置30の収納部32に反応容器16を載置し、加熱手段34により反応容器16の下面全面を均一に加熱し且つ冷却手段36により反応容器16の上面(蓋体18)全面を均一に冷却する条件下で所定時間反応させることが好ましい。該第2の抗原抗体反応により、前記第1の抗体24と被測定抗原20の複合体に第2の抗体26を結合させ、固相化された第1の抗体−被測定抗原−標識された第2抗体からなる複合体28を形成させる。
【0021】
前記第2の抗原抗体反応後、未反応物を洗浄除去する。図5は、第2の抗原抗体反応及び洗浄工程後の固相の一例を示す断面概略説明図である。図5において、符号28は固相化された第1の抗体22−被測定抗原20−標識された第2抗体24からなる複合体である。図5に示した如く、被測定抗原20を含まない試料を添加したウェル12aは複合体28が形成されず、標識物質25が存在しないのに対し、被測定抗原20を含む試料を添加したウェル12b〜12fは複合体28が形成され、標識物質25が存在する。従って、標識物質25を測定することにより、被測定抗原を測定することができる。また、標識物質25の量を測定することにより、被測定抗原20の量を測定することができる。
【0022】
なお、前記方法においては、第1の抗原抗体反応及び第2の抗原抗体反応を共に下部を加熱し上部を冷却する温度条件下で行う例を示したが、本発明においては、複数の抗原抗体反応を行う場合は少なくとも1の抗原抗体反応を該温度条件下で行えばよいものであり、例えば、一方の抗原抗体反応を該温度条件下で行い、他方の抗原抗体反応を均一な温度条件下で行う方法も本発明に含まれるものである。本発明方法において2ステップのサンドイッチ型免疫測定法を用いる場合、少なくとも第1の抗原抗体反応を下部を加熱し上部を冷却する条件下で行うことが効果的である。
【実施例】
【0023】
以下に実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、これらの実施例は例示的に示されるもので限定的に解釈されるべきでないことはいうまでもない。
【0024】
(実施例1)
市販の血清中のシアル化糖鎖抗原KL−6測定用キット(三光純薬(株)製、商品名:エイテスト(エーザイ(株)の登録商標)KL−6)を用いて、反応温度条件以外はキット添付の操作法に準じてサンドイッチ型酵素免疫測定法により下記の如く測定を行った。
【0025】
反応用溶液(正常ウサギ血清を含むトリス緩衝液)100μLを分注した抗体コートカップ(ポリスチレン製カップ(U型)に抗KL−6マウスモノクローナル抗体を固相化したマイクロプレート、以下、カップと称する。)に、各濃度の標準抗原(KL−6抗原を0,1,2.5,5,10又は20U/mL含むトリス緩衝液)を各20μL注入し、よく混和した。
カップにアルミシールをした後、図6と同様の装置を用いてU型に対応できるアルミブロックに設置し、下部を37℃、上部を5℃に制御した条件下で第1反応を2時間行った。
【0026】
前記第1反応後のカップ内を洗浄液(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートを含む生理食塩水)で洗浄後、酵素標識抗体液(西洋わさびペルオキシダーゼ標識抗KL−6マウスモノクローナル抗体を含む液)を100μL加えてアルミシールをし、図6に示す装置を用い、下部を37℃、上部を5℃に制御した条件下で第2反応を1時間行った。
【0027】
発色剤(2,2’−アジノ−ビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)を含む凍結乾燥品)1バイアルに精製水12mLを加えて溶解し、酵素基質(日局オキシドール)を30μL加え、基質液を調製した。
前記第2反応後のカップ内を洗浄液で洗浄後、基質液を100μL加えてアルミシールし、25℃で第3反応を30分行った後、反応停止液(アジ化ナトリウム液)を100μL加えて、405nmの吸光度測定を行った。結果を図7に示す。なお、本実施例及び下記実施例及び比較例において、吸光度の測定結果は、各測定値から標準抗原の濃度0の場合の測定値を差引いた値を示した。
【0028】
(比較例1)
第1反応及び第2反応を37℃のインキュベーター内で行った以外は実施例1と同様に測定を行った。結果を図7に示す。
【0029】
図7に示した如く、下部を加熱し上部を冷却して温度差(32℃)を設けた条件の実施例1は、一定温度条件の比較例1に比べて感度が向上した。
【0030】
(実施例2及び比較例2)
実施例2は、第1反応及び第2反応を下部を37℃、上部を10℃に制御した条件下で行った以外は実施例1と同様の手順により実験を行った。
また、比較例2として、第1反応及び第2反応を37℃のインキュベーター内で行った以外は実施例2と同様の手順により実験を行った。
実施例2及び比較例2の結果を図8に示す。図8に示した如く、下部を加熱し上部を冷却して温度差(27℃)を設けた条件の実施例2は、一定温度条件の比較例2に比べて感度が向上した。
【0031】
(実施例3及び比較例3)
実施例3は、第1反応及び第2反応を下部を37℃、上部を15℃に制御した条件下で行った以外は実施例1と同様の手順により実験を行った。
また、比較例3として、第1反応及び第2反応を37℃のインキュベーター内で行った以外は実施例3と同様の手順により実験を行った。
実施例3及び比較例3の結果を図9に示す。図9に示した如く、下部を加熱し上部を冷却して温度差(22℃)を設けた条件の実施例3は、一定温度条件の比較例3に比べて感度が向上した。
【0032】
(実施例4及び比較例4)
実施例4は、第1反応及び第2反応を下部を37℃、上部を20℃に制御した条件下で行った以外は実施例1と同様の手順により実験を行った。
また、比較例4として、第1反応及び第2反応を37℃のインキュベーター内で行った以外は実施例4と同様の手順により実験を行った。
実施例4及び比較例4の結果を図10に示す。図10に示した如く、反応溶液の上下に温度差(17℃)を設けた条件の実施例4は、一定温度条件の比較例4に比べて感度が向上した。
【0033】
(実施例5及び比較例5)
実施例5は、第1反応及び第2反応を下部を37℃、上部を25℃に制御した条件下で行った以外は実施例1と同様の手順により実験を行った。
また、比較例5として、第1反応及び第2反応を37℃のインキュベーター内で行った以外は実施例5と同様の手順により実験を行った。
実施例5及び比較例5の結果を図11に示す。図11に示した如く、反応溶液の上下に温度差(12℃)を設けた条件の実施例5は、一定温度条件の比較例5に比べて感度が向上した。
【0034】
図12は実施例1〜5の結果を示すグラフであり、図13は比較例1〜5の結果を示すグラフである。図12及び13に示した如く、実施例1〜5は再現性の高い結果が得られたのに対し、比較例1〜5は日差変動が高く、再現性が低かった。したがって、本発明の方法に用いた下部を均一に加熱し、上部を均一に冷却する装置は、インキュベーターを用いる方法と比較して、再現性にも優れることが明らかとなった。
【0035】
(実施例6及び比較例6)
実施例6は、第1反応の反応時間を60分間に変更した以外は実施例2と同様の手順により実験を行った。また、比較例6として、第1反応の反応時間を90分間に変更し、第1反応及び第2反応を37℃のインキュベーター内で行った以外は実施例6と同様の手順により実験を行った。結果を図14に示す。
図14に示した如く、反応溶液の上下に温度差(27℃)を設けた条件の実施例6は、一定温度条件の比較例6に比べて短い反応時間で同等の感度が得られた。よって、本発明により、抗原抗体反応の反応時間を短縮させることができることが判明した。
【0036】
(実施例7)
市販の血清・血漿中ペプシノゲンI測定用キット(栄研化学(株)製、商品名:Eプレート‘栄研’ペプシノゲンI)を用いて、反応温度条件以外はキット添付の操作法に準じてプレート固相による2ステップサンドイッチ型酵素免疫測定法により下記の如く測定を行った。
【0037】
ペプシノゲンI抗体固相化プレート(抗ペプシノゲンIマウスモノクローナル抗体を固相化したプレート)の各ウェルに緩衝液(リン酸水素二ナトリウム・12水塩及びリン酸二水素カリウムを含む液)を100μLずつ加え、各濃度の標準抗原(ペプシノゲンIを0,2,6,20,60又は200ng/mL含む標準液)を20μLずつ加えた。
プレートにアルミシールをし、10分間攪拌後、図6と同様の装置を用い、下部を37℃、上部を5℃に制御した条件下で第1反応を110分間行った。
【0038】
前記第1反応後、ウェルから反応液を除去し、洗浄液(モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタンを含む水溶液)で3回洗浄する。
洗浄後、各ウェルに酵素標識抗体液(ペルオキシダーゼ標識抗ペプシノゲンIマウスモノクローナル抗体を含む液)を100μLずつ加え、プレートにアルミシールをし、図6と同様の装置を用い、下部を37℃、上部を5℃に制御した条件下で第2反応を55分間行った。
【0039】
前記第2反応後、反応液を除去し、洗浄液で3回洗浄した後、各ウェルに基質液を100μLずつ加える。プレートにアルミシールをして、遮光して室温で30分間酵素反応を行った後、反応停止液(硫酸を含む液)を100μL加えた。なお、基質液の調製は、基質剤(o−フェニレンジアミン二塩酸塩を含む錠剤)を溶解液(過酸化水素水を含む液)に加えて溶解し、基質液とした。
マイクロプレート用分光光度計(パーキンエルマー社製、Wallac Arvo.8X 1420 Multilabel Counter)を用いて、波長490nmの吸光度を測定した。結果を図15に示す。
【0040】
(比較例7)
第1反応及び第2反応を37℃のインキュベーター内で行った以外は実施例7と同様の手順で実験を行った。結果を図15に示す。
【0041】
図15に示した如く、下部を加熱し上部を冷却して温度差(32℃)を設けた条件の実施例7は一定温度条件の比較例7に比べて感度が向上した。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】抗体を固定化した固相の一例を示す断面概略説明図である。
【図2】固相に固定化された抗体、被測定抗原、及び反応溶液を含む反応容器の一例を示す断面概略説明図である。
【図3】本発明方法を実施するために用いられる温度制御装置を利用したサンドイッチ法における第1の抗原抗体反応の一例を示す断面概略説明図である。
【図4】本発明方法を実施するために用いられる温度制御装置を利用したサンドイッチ法における第2の抗原抗体反応の一例を示す断面概略説明図である。
【図5】第2の抗原抗体反応及び洗浄工程後の固相の一例を示す断面概略図である。
【図6】本発明方法を実施するために好適に用いられる温度制御装置の一例を示す断面概略説明図である。
【図7】実施例1及び比較例1の結果を示すグラフである。
【図8】実施例2及び比較例2の結果を示すグラフである。
【図9】実施例3及び比較例3の結果を示すグラフである。
【図10】実施例4及び比較例4の結果を示すグラフである。
【図11】実施例5及び比較例5の結果を示すグラフである。
【図12】実施例1〜5の結果を示すグラフである。
【図13】比較例1〜5の結果を示すグラフである。
【図14】実施例6及び比較例6の結果を示すグラフである。
【図15】実施例7及び比較例7の結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0043】
10:固相、マイクロプレート、12,12a〜12f:ウェル、14:マイクロプレートの底部、16:反応容器、マイクロプレート、18:蓋体、20:被測定抗原、22:第1の抗体、24:標識された第2の抗体、25:標識物質、26、27:反応溶液、28:固相化された第1の抗体−被測定抗原−標識された第2抗体からなる複合体、30:温度制御装置、32:反応容器収納部、34:加熱手段、36:冷却手段、38:基台、39:反応容器収納部の側壁。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応容器及び抗体又は抗原を固定化した固相を用いた免疫測定方法であって、該反応容器の下部を加熱し上部を冷却する条件下で抗原抗体反応を行う工程を含むことを特徴とする免疫測定方法。
【請求項2】
前記反応容器の下部の加熱温度は25℃以上55℃以下であり、前記反応容器の上部の冷却温度は前記下部の加熱温度より低く且つ0℃以上25℃以下であることを特徴とする請求項1記載の免疫測定方法。
【請求項3】
前記反応容器及び前記固相がマイクロプレートであることを特徴とする請求項1又は2記載の免疫測定方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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