説明

免疫測定法

【課題】 検体を希釈することなく、検体中に存在するCA15−3を精度よく広い濃度域で測定し得る方法を提供する。
【解決手段】 CA15−3とCA15−3を認識する配位子(A1)との反応をポリエチレングリコール及び/又は非イオン界面活性剤を含有する水溶液(W)中で行う工程を含むことを特徴とするCA15−3の免疫測定法。前記免疫測定法は下記工程1〜4を含むヘテロジニアスな免疫測定法であることが好ましい。
工程1:不溶性担体(B)に結合した前記配位子(A1)とCA15−3の反応を前記水溶液(W)中で行う工程。
工程2:工程1のポリエチレングリコール及び/又は非イオン界面活性剤をB/F分離で除く工程。
工程3:工程1で得られた反応物に標識体(C)を反応させる工程。
工程4:工程3で得られた反応物中の標識体(D)の量を計測する工程。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は臨床検査薬等に応用可能な免疫測定法に関する。更に詳しくは、体液中に広い濃度域で存在するCA15−3を精度良く測定が可能な免疫測定法に関する。
【背景技術】
【0002】
CA15−3は、ヒト乳脂肪球膜上の糖蛋白MAM−6を免疫原として作製されたモノクローナル抗体115D8と乳癌の肝転移細胞株MCF−7の細胞膜成分を免疫原として樹立されたモノクローナル抗体DF3により認識される糖鎖抗原である。CA15−3は、癌細胞の破壊により血中に放出されると考えられており、再発乳癌や転移性乳癌においては血中濃度の上昇が著しいことが知られている。
【0003】
従来、高濃度の抗原をホモジニアスな免疫測定で定量する場合には比濁法や比朧法が主に用いられてきた(例えば非特許文献1参照)。しかし、比濁法や比朧法では低濃度域を測定することは困難である。一方、ヘテロジニアスな免疫測定で高い濃度域の抗原を含む検体を希釈せずに免疫測定する方法としては、反応系のpHを2〜4.5とする方法(例えば特許文献1参照)や、測定対象物と不溶性担体に結合した配位子を反応させる際、遊離の配位子を添加する方法(例えば特許文献2参照)等が知られている。しかし、これらの方法では希釈無しに測定できる抗原の濃度範囲が狭く、またpHや添加する配位子量のわずかな変動により測定可能な濃度域が変化するという問題がある。一方、検体を希釈することにより測定できる抗原の濃度範囲は広くなるが、多数の検体を測定する時、繁雑な希釈操作が必要なばかりでなく、希釈誤差による測定値の変動が起きるという問題がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】「臨床検査マニュアル」(株式会社文光堂、1988年刊行)p117〜119
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平02−128159号公報
【特許文献2】特開平02−082161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、検体を希釈することなく、検体中に存在するCA15−3を精度よく広い濃度域で測定し得る方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。即ち本発明は、CA15−3とCA15−3を認識する配位子(A1)との反応をポリエチレングリコール及び/又は非イオン界面活性剤を含有する水溶液(W)中で行う工程を含むことを特徴とするCA15−3の免疫測定法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の免疫測定法を用いることにより、再発乳癌や転移性乳癌において血中濃度の上昇が著しいことが知られているCA15−3を、検体を希釈することなく、広範囲な濃度域で精度よく測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】標準液のCA15−3濃度と発光量の関係を表したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
CA15−3とCA15−3を認識する配位子(A1)との反応をポリエチレングリコール及び/又は非イオン界面活性剤を含有する水溶液(W)中で行うことにより、検体を希釈することなく、広範囲な濃度域で精度よくCA15−3を測定することができる。
【0011】
水溶液(W)中のCA15−3の濃度は、測定精度の観点から好ましくは0.5〜400U/mL、更に好ましくは0.5〜300U/mLである。
【0012】
CA15−3を認識する配位子(A1)は、CA15−3を特異的に認識する物質であり、従来免疫測定で用いられた物が全て使用できる。即ち、CA15−3に対する抗体並びにレクチン、アビジン及びビオチン等の特異的な結合を生じる物質等が使用できる。また、CA15−3を特異的に認識する配位子(1)と、配位子(1)を特異的に認識する配位子(2)を組み合わせて用いることも可能である。
【0013】
配位子(A1)が抗体の場合、モノクローナル抗体でもポリクローナル抗体でもよく、更に免疫活性を保持した抗体の分解物、例えば抗体をペプシンで消化して得られるF(ab’)2、これを更に還元して得られるFab’等であってもよい。
使用する配位子(A1)の量は、(A1)の種類やCA15−3の量等により適宜好ましい範囲を選択することができる。
【0014】
本発明に用いられるポリエチレングリコールの数平均分子量(以下、Mnと略記)は、2,000〜200,000が好ましく、更に好ましくは5,000〜100,000、特に好ましくは6,000〜50,000である。Mn5,000以下であるとCA15−3と比較してMnが小さく、CA15−3を認識する配位子(A1)間との作用が起きにくくなる傾向にあり、またMnが200,000を超えると溶液の粘度が高くなり、免疫反応性が低下する傾向にある。
本発明におけるMnはゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、溶媒としてテトラヒドロフランを用い、ポリエチレングリコールを標準物質として測定される。
【0015】
非イオン界面活性剤としては、アルキレンオキサイド(以下、AOと略記)付加型非イオン界面活性剤[高級アルコールのAO付加物、アルキルフェノールのAO付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコールプロピレンオキサイド付加物及び脂肪酸AO付加物]及び多価アルコール型非イオン界面活性剤等が挙げられる。
【0016】
非イオン界面活性剤におけるAOとしては、エチレンオキサイド(以下、EOと略記)、プロピレンオキサイド(以下、POと略記)及びブチレンオキサイド等が挙げられる。
【0017】
高級アルコールのAO付加物としては、炭素数8〜24の高級アルコール(デシルアルコール、ドデシルアルコール、ヤシ油アルキルアルコール、オクタデシルアルコール及びオレイルアルコール等)のEO1〜20モル付加物等及び炭素数8〜24の高級アルコールのPO1〜40モル付加物等が挙げられる。
【0018】
アルキルフェノールのAO付加物としては、炭素数7〜36のアルキルフェノール(ノニルフェノール及びセチルフェノール等)のEO1〜40モル付加物等及び炭素数7〜36のアルキルフェノールのPO1〜40モル付加物等が挙げられる。
【0019】
ポリプロピレングリコールEO付加物としては、プルロニック型界面活性剤が挙げられ、プロピレンオキシドの繰り返し単位が10〜100個のポリプロピレングリコールのEO2〜40モル付加物等が挙げられる。
【0020】
ポリエチレングリコールPO付加物としては、エチレンオキシドの繰り返し単位が10〜100個のポリエチレングリコールのPO2〜20モル付加物等が挙げられる。
【0021】
脂肪酸AO付加物としては、炭素数8〜24の高級脂肪酸(ラウリル酸、ステアリン酸及びオレイン酸等)のEO1〜25モル付加物等が挙げられる。
【0022】
多価アルコール型非イオン界面活性剤としては、炭素数3〜36の2〜8価の多価アルコール(グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビット及びソルビタン等)の脂肪酸(炭素数8〜24)エステル等、炭素数3〜36の2〜8価の多価アルコールの脂肪酸(炭素数8〜24)エステルのEO及び/又はPO付加物等並びに脂肪酸(炭素数10〜18)アルカノールアミド(ラウリン酸モノエタノールアミド及びラウリン酸ジエタノールアミド等)等が挙げられる。
【0023】
これらの内、好ましいのはCA15−3とCA15−3を認識する配位子(A1)との反応性の観点から、高級アルコールのAO付加物及びアルキルフェノールのAO付加物であり、更に好ましいのは炭素数8〜24の高級アルコールのEO1〜20モル付加物であり、特に好ましいのはラウリルアルコールのEO1〜10モル付加物である。
【0024】
ポリエチレングリコール及び非イオン界面活性剤はそれぞれ1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用することも可能である。
ポリエチレングリコール及び/又は非イオン界面活性剤の含有量は、CA15−3を認識する配位子(A1)の種類等により種々の値を取り得るが、水溶液(W)の重量を基準として、測定精度及び免疫反応性の観点から好ましくは1〜7重量%、更に好ましくは2〜5重量%、特に好ましくは3〜5重量%である。
【0025】
ポリエチレングリコール及び/又は非イオン界面活性剤を含有する水溶液(W)は、更に通常免疫反応に用いられる緩衝剤(例えばリン酸及びグッド緩衝剤等)、牛血清アルブミン等のタンパク質、食塩及び防腐剤等を含有することができる。
【0026】
CA15−3とCA15−3を認識する配位子(A1)との反応をポリエチレングリコール及び/又は非イオン界面活性剤を含有する水溶液(W)中で行う工程を含む免疫測定法の内、最も好ましいのは、不溶性担体(B)を用いたヘテロジニアスな免疫測定法であり、以下の工程1〜4を含む免疫測定法である。
工程1:不溶性担体(B)に結合したCA15−3を認識する配位子(A1)とCA15−3の反応をポリエチレングリコール及び/又は非イオン界面活性剤を含有する水溶液(W)中で行う工程。
工程2:ポリエチレングリコール及び/又は非イオン界面活性剤をB/F分離で除く工程。
工程3:工程1で得られた反応物に標識体(C)を反応させる工程。
工程4:工程3で得られた反応物中の標識体(D)の量を計測する工程。
【0027】
工程1における不溶性担体(B)としては、従来公知のもの等、例えば、ガラス又はポリスチレン等の高分子を素材とするビーズ、試験管又は微粒子等の形状のものが使用できる。
また、配位子(A1)と不溶性担体(B)の結合方法も従来公知の物理吸着法又は化学結合法等が使用でき、例えば、不溶性担体(B)がポリスチレンの場合、物理吸着法が一般に用いられ、配位子(A1)を0.001〜0.04%(W/V)含有する炭酸緩衝液(pH9.0)に不溶性担体(B)を適当時間浸漬することにより行われる。化学結合法としては、シランカップリング剤を用いて配位子をガラスに結合させる方法(例えば、P.J.Robinsonら,Biochim.Biophys.Acta,242巻,1971年,p.659−661に記載の方法)等がある。
【0028】
工程2は、通常B/F分離の操作で実施できる。例えば、液をアスピレーター等で除去し、脱イオン水、生理食塩水等を加えてCA15−3と反応した配位子(A1)を有する不溶性担体(B)を洗浄し、再度液を除去することで、ポリエチレングリコール及び/又は非イオン界面活性剤を除くことができる。
工程2は、工程1と工程3の間又は工程3と工程4の間に実施することが好ましく、両方で実施することが更に好ましい。
【0029】
工程3で使用される標識体(C)は、標識物質と配位子(A2)の結合体である。
標識物質は、従来公知のもの等、例えばラジオアイソトープ、蛍光物質、発光物質及び酵素等が使用でき、標識物質と配位子(A2)の結合は従来公知の方法等、例えば「続生化学実験講座5免疫生化学実験法」(日本生化学会編、東京化学同人、1986年発行)p102〜112に記載の方法で実施することができる。
標識物質がアイソトープの場合、例えばクロラミンTを酸化剤として用いて放射性ヨウ素を配位子(A2)のチロシン残基に導入できる。標識物質が蛍光物質の場合、例えばフルオレセインイソチオシアネートを緩衝液中で配位子(A2)に反応させると、配位子(A2)のリシン残基に結合する。
標識物質が酵素の場合、例えば酵素の持つアミノ基と配位子(A2)の持つチオール基をN−スクシンイミジル6−マレイドヘキサノエート等のニ架橋性試薬で結合することができる。
標識物質が発光物質の場合、例えばアクリジニウム誘導体−I(同人化学研究所社製)を緩衝液中で配位子(A2)に反応させると、配位子(A2)のアミノ基に発光化合物であるアクリジニウム誘導体を結合できる。
【0030】
標識体(C)に用いられる配位子(A2)としては、前述のCA15−3を認識する配位子(A1)と同様のものが使用できる。この場合、工程1においてポリエチレングリコール及び/又はノニオン性界面活性剤を含有する水溶液(W)中でCA15−3との反応に用いられる配位子(A1)と同じものを配位子(A2)として使用可能であるが、CA15−3との認識部位(結合部位)が配位子(A1)と異なるもの、由来する動物が配位子(A1)と異なるもの等を使用する方が望ましい。
【0031】
工程3の反応は、通常の免疫反応に用いられる緩衝液(例えば、緩衝剤と、タンパク質、食塩及び・又は防腐剤等とを含む水溶液)中で行われる。また、工程3の反応をポリエチレングリコール及び/又は非イオン界面活性剤の存在下で行うことも可能である。
【0032】
工程4は、標識体(D)に用いられる標識物質の種類に応じた従来公知の方法で実施できる。標識物質が酵素の場合を例示すると、酵素としてペルオキシダーゼを選択した場合、基質としてはABTS[2、2’−アジノ−ビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)ニアンモニウム]や、ルミノール類/過酸化物等が選択でき、それぞれ比色(分光光度計を使用し波長は通常420nm、620〜670nmで計測)、発光検出(光電子増倍管を用いたフォトンカウンティングで計測)で計測できる。酵素としてアルカリフォスファターゼを選択すれば、基質はp−ニトロフェニルフォスフェート、4−MUP(4−メチルウンベリフェリルリン酸)又はAMPPD[3−(2’−スピロアダマンタン)−4−メトキシ−4−(3’’−ホスホリルオキシ)フェニル−1,2−ジオキセタン]等が使用でき、それぞれ比色(分光光度計を使用し波長は通常405nmで計測)、蛍光(蛍光測定機を使用し励起波長は通常365nm、測定波長は通常450nmで蛍光強度を計測)、発光検出(光電子増倍管を用いたフォトンカウンティングで計測)で計測できる。
【0033】
本発明の方法に使用するポリエチレングリコール及び/又は非イオン界面活性剤を含有する試薬を、標識体(C)や不溶性担体(B)等と組み合わせて、測定試薬セットとして用意することが可能である。これにより、臨床診断に必要な検査を簡便に実施することが可能となる。
【実施例】
【0034】
以下、実施例により本発明を更に説明するが本発明はこれに限定されるものではない。
[実施例1〜7及び比較例1]
<ポリエチレングリコール及び/又は非イオン界面活性剤を含有する水溶液(W)の調製>
脱イオン水10mLにリン酸二水素カリウム8mg、リン酸水素二ナトリウム50mg、塩化ナトリウム0.085g及び10重量%のアジ化ナトリウム水溶液0.05gを加えて30分間撹拌を行った後、牛血清アルブミン0.02gを加えて完全に溶解するまで2時間撹拌した。更に表1に記載の量のポリエチレングリコール及び/又はラウリルアルコールEO9モル付加物を加えて1時間撹拌することにより実施例1〜7で使用する水溶液(W1)〜(W7)及び比較例1で使用する水溶液(W’−1)を調整した。
【0035】
【表1】

【0036】
<抗CA15−3モノクローナル抗体結合ビーズの調製>
抗CA15−3モノクローナル抗体(BIODESIGN社製)をpH9の0.1M炭酸緩衝液に20μg/mlの濃度で溶解させた。直径3mmのガラスビーズ[(株)岡部製作所製ケイ酸塩ガラス]を加え、48時間反応させた後、0.1%牛血清アルブミン含有リン酸緩衝液でコーティングし乾燥させた。
【0037】
<ペルオキシダーゼ標識抗CA15−3モノクローナル抗体の調製>
抗CA15−3モノクローナル抗体(BIODESIGN社製)及び西洋ワサビ由来ペルオキシダーゼ(東洋紡社製)を用い、文献[エス・ヨシタケ、エム・イマガワ、イー・イシカワ、エトール;ジェイ.バイオケム,Vol.92(1982)1413−1424]に記載の方法でペルオキシダーゼ標識抗CA15−3モノクローナル抗体を調製した。
【0038】
<過酸化水素水の調製>
200μlの35%過酸化水素水を脱イオン水1リットルに溶解し、過酸化水素水とした。
【0039】
<基質液の調製>
ルミノール[東京化成工業(株)社製]0.18g及び4−(シアノメチルチオ)フェノール0.1gをpH8.5の0.1M(モル/L)トリス/塩酸緩衝液1リットルに溶解した。
【0040】
上記で調製した試薬を用いて、全自動酵素免疫測定装置[オリンパス(株)製「スフィアライト180」]」により発光量の測定を行った。即ちまず、抗CA15−3モノクローナル抗体結合ビーズ1個が入った反応槽に検体10μL及びポリエチレングリコール及び/又はラウリルアルコールEO9モル付加物を含有する水溶液(W)130μLを加え、37℃、約7分間反応させた(工程1)。次いで、ポリエチレングリコール及び/又はラウリルアルコールEO9モル付加物をB/F分離で除いた(工程2)。次に工程1で得られた反応物に1%牛血清アルブミン含有リン酸緩衝液で1000倍希釈したペルオキシダーゼ標識抗CA15−3モノクローナル抗体を140μL加えて反応させた(工程3)。最後に過酸化水素水70μL及び基質液70μLを更に加えて、工程3で得られた反応物中のペルオキシダーゼと反応させることにより、発光量を計測した(工程4)。
上記検体として、0、0.5、300、400、1000U/mLの各濃度の標準CA15−3溶液を用い、上記水溶液(W)として上記水溶液(W1)〜(W7)及び(W’−1)を用いて測定した発光量の値を表2及び図1に示す。
【0041】
【表2】

【0042】
図1から、本願発明の方法によればCA15−3の濃度が400U/mL以上の領域では傾きがやや小さくなるものの1000U/mLまでの領域で発光量からCA15−3の濃度を精度よく算出できるのに対し、比較例1の方法では300U/mL以上の領域では発光量が異常に低下し、1000U/mLでの発光量は400U/mLでの発光量より減少しているため発光量からCA15−3の濃度を算出できないことが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
CA15−3とCA15−3を認識する配位子(A1)との反応をポリエチレングリコール及び/又は非イオン界面活性剤を含有する水溶液(W)中で行うことにより、広い濃度域のCA15−3を検体を希釈することなく測定することができるので、CA15−3の免疫測定に好適に使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CA15−3とCA15−3を認識する配位子(A1)との反応をポリエチレングリコール及び/又は非イオン界面活性剤を含有する水溶液(W)中で行う工程を含むことを特徴とするCA15−3の免疫測定法。
【請求項2】
下記工程1〜4を含む請求項1記載のヘテロジニアスな免疫測定法。
工程1:不溶性担体(B)に結合したCA15−3を認識する配位子(A1)とCA15−3の反応をポリエチレングリコール及び/又は非イオン界面活性剤を含有する水溶液(W)中で行う工程。
工程2:工程1のポリエチレングリコール及び/又は非イオン界面活性剤をB/F分離で除く工程。
工程3:工程1で得られた反応物に標識体(C)を反応させる工程。
工程4:工程3で得られた反応物中の標識体(D)の量を計測する工程。
【請求項3】
前記水溶液(W)中の前記CA15−3の濃度が、0.5〜400U/mLである請求項1又は2記載の免疫測定法。
【請求項4】
ポリエチレングリコールの数平均分子量が、2,000〜200,000である請求項1〜3のいずれか記載の免疫測定法。
【請求項5】
前記水溶液(W)中の前記ポリエチレングリコール及び/又は非イオン界面活性剤の濃度が、1〜7重量%である請求項1〜4のいずれか記載の免疫測定法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−198125(P2012−198125A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62853(P2011−62853)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)