説明

入力回路および計測機器

【課題】電流出力によるセンサを接続するか、あるいは、測温抵抗体によるセンサを接続するかに応じて、切換えスイッチ等をオンオフ操作する必要のない入力回路を提供する。
【解決手段】熱電対によるセンサ2、測温抵抗体によるセンサ3、電流出力によるセンサ4および電圧出力によるセンサ5のいずれかを選択的に接続できるとともに、3つの入力端子6〜8を備える入力回路であって、電流出力によるセンサ4が接続される第1,第2の入力端子6,7間には、測温抵抗体によるセンサ3を接続したときの入力電圧よりも高い順方向電圧で導通する第1,第2のダイオード16,17を接続し、測温抵抗体3を接続して定電流回路15から定電流を流すときには、前記両ダイオード16,17によって、抵抗18に定電流が流れないように構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度センサやその他のセンサなどからのアナログ信号が入力される入力回路およびその入力回路を備える計測機器に関し、更に詳しくは、熱電対、測温抵抗体、電流出力あるいは電圧出力による他のセンサからのアナログ信号の入力が可能な入力回路および該入力回路を備えて温度やその他の物理量を計測する計測機器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、熱電対によるセンサおよび測温抵抗体によるセンサのいずれも選択的に接続できる入力回路では、測温抵抗体によるセンサが、導線抵抗の影響をなくすことができる3線式の場合には、3端子となるので、入力端子は、3端子必要である。
【0003】
熱電対によるセンサおよび測温抵抗体によるセンサを用いた温度計測に加えて、例えば、圧力、流量といった他の物理量の計測を行おうとすると、電流出力や電圧出力によるセンサからの電流や電圧の入力を可能にするために、入力端子を、4端子にすることが考えられる。
【0004】
しかしながら、4端子にすると、3端子の場合に比べて、端子数が増えて全体が大きくなってしまい、計測機器の小型化、薄型化が図れないことになる。
【0005】
このため、従来から、入力端子数を増やすことなく、熱電対、測温抵抗体、電圧出力および電流出力のいずれかによるセンサからのアナログ信号の入力を可能とした入力回路が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−279171号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電流出力によるセンサでは、該センサからの出力電流を入力回路の内部抵抗で電圧に変換して計測するのに対して、測温抵抗体によるセンサでは、入力回路から定電流を測温抵抗体によるセンサに流して温度に対応した電圧を計測することになる。
【0007】
3つの入力端子の構成では、前記内部抵抗に接続される入力端子が、測温抵抗体によるセンサに対して定電流を流すための入力端子にもなるので、測温抵抗体によるセンサを接続するときには、測温抵抗体によるセンサのみに定電流を流して内部抵抗には定電流が流れないよう切換えスイッチ等を設けて回路をオフする必要があり、また、電流出力によるセンサを接続するときには、前記切換えスイッチ等で回路をオンする必要がある。
【0008】
このように、電流出力によるセンサを接続するか、あるいは、測温抵抗体によるセンサを接続するかに応じて、切換えスイッチ等で切換操作するのは面倒である。
【0009】
本発明は、上述の点に鑑みて為されたものであって、電流出力によるセンサを接続するか、あるいは、測温抵抗体によるセンサを接続するかに応じて、切換えスイッチ等を切換操作する必要のない3つの入力端子を備える入力回路およびそれを備える計測機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明の入力回路は、熱電対、測温抵抗体、電流出力および電圧出力のいずれかによるセンサを選択的に接続できるとともに、3つの入力端子を備える入力回路であって、前記電流出力によるセンサが接続される2つの前記入力端子間には、一定電圧以上の入力電圧で導通する半導体素子と、抵抗とを直列に接続している。
【0011】
前記一定電圧は、測温抵抗体によるセンサを接続したときの入力電圧よりも高い電圧であるのが好ましい。
【0012】
前記2つの入力端子の一方の入力端子には、測温抵抗体によるセンサが接続されたときに、該測温抵抗体によるセンサに定電流を流す定電流回路が接続されるのが好ましく、この定電流を制限して測温抵抗体によるセンサを接続したときの入力電圧を、前記一定電圧未満にするのが好ましい。
【0013】
本発明の入力回路によると、電流出力によるセンサが接続される2つの入力端子間には、抵抗が接続されているのであるが、測温抵抗体によるセンサを接続して定電流を流したときには、前記2つの入力端子間の入力電圧は、前記一定電圧未満であるので、前記抵抗に直列に接続された半導体素子は導通せず、定電流が前記抵抗に流れることがなく、測温抵抗体によるセンサのみに定電流を流すことができる一方、電流出力によるセンサが接続されたときには、入力電圧が前記一定電圧以上となって前記半導体素子が導通し、前記抵抗に電流出力によるセンサの出力電流を流して対応した電圧として計測することができる。
【0014】
これによって、電流出力によるセンサを接続するか、あるいは、測温抵抗体によるセンサを接続するかに応じて、切換え操作や切換え信号によってオンオフを切換える切換えスイッチ等を設ける必要がなく、面倒な切換え操作が不要になるとともに、切換え信号が不要となって構成が簡素化する。
【0015】
(2)本発明の入力回路の他の実施形態では、前記半導体素子がダイオードである。
【0016】
この実施形態によると、ダイオードの順方向電圧やツェナー電圧を利用してオンオフを行うことができるので、例えば、FET等の半導体素子をオンオフ制御するのに比べて構成が簡素化する。
【0017】
(3)上記(2)の実施形態では、前記ダイオードは、前記電流出力によるセンサの出力電流の向きと同じ順方向に接続され、前記一定電圧が前記ダイオードの順方向電圧である。
【0018】
前記一定電圧を確保するために、ダイオードの個数は、複数であってもよいし、単数であってもよい。
【0019】
この実施形態によると、測温抵抗体によるセンサを接続して定電流を流したときには、入力電圧は、ダイオードの順方向電圧未満であるので、ダイオードが導通せず、定電流が抵抗に流れることがなく、測温抵抗体によるセンサのみに定電流を流すことができる一方、電流出力によるセンサが接続されたときには、入力電圧がダイオードの順方向電圧以上となってダイオードが導通し、前記抵抗に電流出力によるセンサの出力電流を流して対応した電圧として計測することができる。
【0020】
(4)上記(2)の実施形態では、前記ダイオードをツェナーダイオードとし、前記一定電圧をツェナー電圧としてもよい。
【0021】
この実施形態によると、測温抵抗体によるセンサを接続して定電流を流したときには、入力電圧は、ツェナー電圧未満であるので、ツェナーダイオードが導通せず、定電流が抵抗に流れることがなく、測温抵抗体によるセンサのみに定電流を流すことができる一方、電流出力によるセンサが接続されたときには、入力電圧がツェナー電圧以上となってツェナーダイオードが導通し、前記抵抗に電流出力によるセンサの出力電流を流して対応した電圧として計測することができる。
【0022】
(5)本発明の入力回路は、熱電対、測温抵抗体、電流出力および電圧出力のいずれかによるセンサを選択的に接続できるとともに、3つの入力端子を備える入力回路であって、前記電流出力によるセンサが接続される2つの前記入力端子間に、抵抗と半導体素子とを直列に接続する一方、前記電流出力によるセンサと前記測温抵抗体によるセンサとに応じて、基準入力となる入力端子を切換えるスイッチを設け、前記半導体素子は、前記測温抵抗体によるセンサが接続されたときには、該測温抵抗体によるセンサに供給される定電流が前記抵抗に流れるのを遮断する一方、前記電流出力によるセンサが接続されたときには、該電流出力によるセンサの出力電流を前記抵抗に流すものである。
【0023】
半導体素子は、ダイオードであるのが好ましく、測温抵抗体によるセンサに供給される定電流に対しては逆方向であって、電流出力によるセンサの出力電流に対しては順方向になるように接続するのが好ましい。
【0024】
基準入力となる入力端子は、測温抵抗体、熱電対および電圧出力によるセンサで共通であるのが好ましい。
【0025】
本発明の入力回路によると、測温抵抗体によるセンサを接続したときの基準入力となる入力端子と、電流出力によるセンサを接続したときの基準入力となる入力端子とが異なるように、電流出力によるセンサを接続することにより、2つの入力端子間に接続された前記抵抗に対する前記定電流の向きと前記出力電流の向きとを逆にすることができ、したがって、測温抵抗体によるセンサを接続して定電流を流したときには、前記抵抗に定電流が流れることなく、測温抵抗体によるセンサのみに定電流を流すことができる一方、電流出力によるセンサが接続されたときには、前記抵抗に電流出力によるセンサの出力電流を流して対応した電圧として計測することができる。
【0026】
これによって、電流出力によるセンサを接続するか、あるいは、測温抵抗体を接続するかに応じて、切換え操作によってオンオフを切換える切換えスイッチ等を設ける必要がなく、面倒な切換え操作が不要になる。
【0027】
(6)本発明の計測機器は、本発明の入力回路と、前記入力回路からのアナログ信号をA/D変換するA/D変換器とを備え、前記熱電対によるセンサまたは前記測温抵抗体によるセンサからのアナログ信号に基づいて、少なくとも温度を計測するものである。
【0028】
ここで、計測機器とは、温度やその他の物理量を計測する機器であり、計測機能を有する機器であればよく、計測し、それに基づいて制御する調節器などを含むものである。
【0029】
本発明の計測機器によると、入力端子数を増やすことなく、熱電対、測温抵抗体、電流出力および電圧出力のいずれかによるセンサからのアナログ入力に基づいて、温度やその他の物理量を計測することができ、当該計測機器の小型化、薄型化を図ることができる。しかも、電流出力によるセンサを接続するか、あるいは、測温抵抗体によるセンサを接続するかに応じて、切換え操作する切換えスイッチ等を設ける必要がなく、面倒な切換え操作が不要になる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、電流出力によるセンサを接続するか、あるいは、測温抵抗体によるセンサを接続するかに応じて、切換え操作する切換えスイッチ等を設ける必要がなく、面倒な切換え操作が不要になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
(実施形態1)
図1は、本発明の一つの実施の形態に係る調節器などの計測機器のブロック図である。
【0032】
この実施の形態の計測機器1は、温度および圧力や流量といったその他の物理量を計測して目標値になるように制御するものであり、熱電対によるセンサ2、測温抵抗体(Pt)によるセンサ3、直流電流を出力する電流出力によるセンサ4および直流電圧を出力する電圧出力によるセンサ5のいずれかが選択的に接続されるものであり、第1〜第3の3つの入力端子6〜8を備えている。
【0033】
測温抵抗体によるセンサ3は、導線抵抗の影響をなくすことができる3線式であって、第1〜第3の入力端子6〜8に接続され、電流出力によるセンサ4は、第1,第2の入力端子6,7間に接続される。また、熱電対によるセンサ2および電圧出力によるセンサ5は、第2,第3の入力端子7,8間に接続される。
【0034】
この実施の形態の計測機器1は、熱電対によるセンサ2、測温抵抗体によるセンサ3、電流出力によるセンサ4および電圧出力によるセンサ5からのアナログ入力が与えられる本発明に係る入力回路9と、この入力回路9からのアナログ入力をA/D変換するA/D変換器10と、このA/D変換器10の出力に基づいて計測処理やPID制御などを行うCPU11と、目標値、あるいは、熱電対や測温抵抗体等のセンサの種類などの各種の設定入力を行う設定部12と、計測値や目標値などの表示を行う表示部13と、制御出力などを出力する出力部14とを備えている。
【0035】
入力回路9は、測温抵抗体によるセンサ3が接続されたときに、CPU11からの制御信号によって、測温抵抗体によるセンサ3に定電流を供給する定電流回路15と、第1の入力端子6と第2の入力端子7との間に、直列に接続された後述の2つの第1,第2のダイオード16,17および抵抗18と、各入力端子6〜8からの入力を、A/D変換器10に選択出力するマルチプレクサ19とを備えている。
【0036】
マルチプレクサ19は、CPU11によって制御され、接続される熱電対や測温抵抗体などのセンサの種類に応じて、後述のように第1〜第3の入力端子6〜8からのアナログ入力を切換選択してA/D変換器10に与える。
【0037】
第1の入力端子6は、測温抵抗体によるセンサ3が接続されたときには、該測温抵抗体によるセンサ3に対して定電流回路15からの定電流を流す一方、電流出力によるセンサ4が接続されたときには、該電流出力によるセンサ4からの出力電流を上述の抵抗18に流して電圧に変換することができる。
【0038】
測温抵抗体によるセンサ3を接続して温度を計測する場合には、定電流回路15からの定電流を、測温抵抗体によるセンサ3のみに流して抵抗18には定電流が流れないようにしなければ、温度計測の誤差が大きくなり、あるいは、計測が困難になってしまう。
【0039】
そこで、この実施形態では、第1の入力端子6と第2の入力端子7との間には、測温抵抗体によるセンサ3を接続したときの入力電圧よりも高い一定電圧以上の入力電圧で導通する上述の2つの第1,第2のダイオード16,17を接続している。
【0040】
すなわち、測温抵抗体によるセンサ3を第1〜第3の入力端子6〜8に接続し、定電流回路15から定電流を測温抵抗体によるセンサ3に流した場合に、第1,第2の入力端子6,7間の入力電圧は、第1,第2のダイオード16,17の順方向電圧の和未満となっている。
【0041】
このため、測温抵抗体によるセンサ3を、第1〜第3に入力端子6〜8に接続し、定電流回路15から測温抵抗体によるセンサ3に定電流を流した場合に、第1,第2のダイオード16,17は導通せず、抵抗18に定電流が流れるのを阻止することができ、精度よく温度を計測することが可能となる。
【0042】
一方、電流出力によるセンサ4を、第1,第2の入力端子6,7間に接続した場合、このときには、定電流回路15から定電流は供給されず、電流出力によるセンサ4からの出力電流が順方向の第1,第2のダイオード16,17を介して抵抗18に流れることになり、出力電流に応じた電圧を計測できることになる。
【0043】
このように、測温抵抗体3を接続したときには、第1,第2のダイオード16,17によって、定電流回路15からの定電流が抵抗18に流れるのを阻止する一方、電流出力によるセンサ4を接続したときには、出力電流を第1,第2のダイオード16,17を介して抵抗18に流すので、切換え操作や切換え信号によってオンオフを切換える切換えスイッチ等を設ける必要がなく、面倒な切換え操作が不要になるとともに、切換え信号が不要となって構成が簡素化される。
【0044】
以上の構成を有する計測機器1の動作を、測温抵抗体によるセンサ3、電流出力によるセンサ4、熱電対によるセンサ2および電圧出力によるセンサ5がそれぞれ接続された各場合について説明する。
【0045】
(a)測温抵抗体によるセンサ
測温抵抗体によるセンサ3を、図2に示すように、第1〜第3の入力端子6〜8に接続し、測温抵抗体によるセンサ3を接続したことを設定部12から設定入力する。
【0046】
これによって、CPU11は、定電流回路15から定電流を供給し、測温抵抗体によるセンサ3には、定電流が流れる一方、上述のように、第1,第2のダイオード16,17によって、定電流が抵抗18に流れるのが阻止される。
【0047】
測温抵抗体によるセンサ3からの温度に対応するアナログ入力および導線抵抗に対応するアナログ入力は、第1,第3の入力端子6,8を介してマルチプレクサ19に与えられる一方、基準入力が第2の入力端子7を介してマルチプレクサ19に与えられる。
【0048】
マルチプレクサ19は、CPU11からの制御信号に応じて、前記両アナログ入力を時分割に切換えてA/D変換器10に与える一方、基準入力をA/D変換器10に与える。
【0049】
A/D変換器10に与えられたアナログ入力および基準入力は、ディジタル信号に変換されてCPU11に与えられ、CPU11では、計測した温度を、表示部13に表示するとともに、目標温度になるように制御出力を与える。
【0050】
(b)電流出力によるセンサ
電流出力によるセンサ4を、図3に示すように、第1,第2の入力端子6,7間に接続し、電流出力によるセンサ4を接続したことを設定部12から設定入力する。
【0051】
電流出力によるセンサ4からのアナログ入力は、第1の入力端子6および第1,第2のダイオード16,17を介してマルチプレクサ19に与えられる一方、基準入力は、第2の入力端子7を介してマルチプレクサ19に与えられる。
【0052】
マルチプレクサ19は、CPU11からの制御信号に応じて、前記アナログ入力および基準入力を選択してA/D変換器10に与え、A/D変換器10でディジタル信号に変換され、さらに、CPU11に与えられて対応する計測データに変換され、計測データが表示部13に表示されるとともに、CPU11は、目標値になるように制御出力を与える。
【0053】
(c)熱電対によるセンサ
熱電対によるセンサ2を、図4に示すように、第2,第3の入力端子7,8間に接続し、熱電対によるセンサ2を接続したことを設定部12から設定入力する。
【0054】
熱電対によるセンサ2からのアナログ入力は、第3の入力端子8を介してマルチプレクサ19に与えられる一方、基準入力は、第2の入力端子7を介してマルチプレクサ19に与えられる。
【0055】
マルチプレクサ19は、CPU11からの制御信号に応じて、前記アナログ入力および基準入力を選択してA/D変換器10に与え、A/D変換器10でディジタル信号に変換されてCPU11に与えられる。
【0056】
CPU11では、温度データに変換するとともに、計測した温度を、表示部13に表示するとともに、目標温度になるように制御出力を与える。
【0057】
(d)電圧出力によるセンサ
電圧出力によるセンサ5を、図5に示すように、第2,第3の入力端子7,8間に接続し、電圧出力によるセンサ5を接続したことを設定部12から設定入力する。
【0058】
電圧出力によるセンサ5からのアナログ入力は、第3の入力端子8を介してマルチプレクサ19に与えられる一方、基準入力は、第2の入力端子7を介してマルチプレクサ19に与えられる。
【0059】
マルチプレクサ19は、CPU11からの制御信号に応じて、前記アナログ入力および基準入力を選択してA/D変換器10に与え、A/D変換器10でディジタル信号に変換されてCPU11に与えられる。
【0060】
CPU11は、対応する計測データに変換し、計測データが表示部13に表示されるとともに、CPU11は、目標値になるように制御出力を与える。
【0061】
以上のようにして、第1〜第3の3つの入力端子6〜8によって、測温抵抗体によるセンサ3、電流出力によるセンサ4、熱電対によるセンサ2および電圧出力によるセンサ5のいずれの入力も計測できるので、端子数を増やす必要がなく、計測機器の小型化、薄型化を図ることができる。
【0062】
(実施形態2)
図6は、本発明の他の実施形態の図1に対応するブロック図であり、上述の実施形態1に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
【0063】
この実施形態では、上述の実施形態1の第1,第2のダイオード16,17に代えて、電流出力によるセンサ4が接続されたときの出力電流とは逆向きにツェナーダイオード20を接続している。
【0064】
この実施形態では、測温抵抗体によるセンサ3を第1〜第3の入力端子6〜8に接続し、定電流回路15から定電流を測温抵抗体によるセンサ3に流した場合に、第1,第2の入力端子6,7間の入力電圧は、ツェナー電圧未満である。
【0065】
上述のように、測温抵抗体によるセンサ3を第1〜第3の入力端子6〜8に接続し、定電流回路15から定電流を測温抵抗体によるセンサ3に流した場合に、第1,第2の入力端子6,7間の入力電圧は、ツェナー電圧未満であるので、抵抗18に定電流が流れるのを阻止することができ、精度よく温度を計測することが可能となる。
【0066】
一方、電流出力によるセンサ4を、第1,第2の入力端子6,7間に接続した場合、このときには、定電流回路15から定電流は供給されず、入力電圧がツェナー電圧を超えるので、ツェナーダイオード20が導通して電流出力によるセンサ4からの出力電流が抵抗18に流れることになり、出力電流に応じた電圧を計測できることになる。
【0067】
このように、測温抵抗体によるセンサ3を接続したときには、ツェナーダイオード20によって、定電流回路15からの定電流が抵抗18に流れるのを阻止する一方、電流出力によるセンサ4を接続したときには、出力電流をツェナーダイオード20を介して抵抗18に流すので、切換え操作や切換え信号によってオンオフを切換える切換えスイッチ等を設ける必要がなく、面倒な切換え操作が不要になるとともに、切換え信号が不要となって構成が簡素化する。
【0068】
しかも、ツェナーダイオード20を用いているので、電流出力によるセンサ4の出力範囲が、正から負までの広い範囲の電流出力によるセンサ4を接続することもできる。
【0069】
その他の構成および効果は、上述の実施形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【0070】
(実施形態3)
図7は、本発明の更に他の実施形態の図1に対応するブロック図であり、上述の実施形態1に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
【0071】
この実施形態では、電流出力によるセンサ4の接続を、上述の実施形態1とは逆にするとともに、上述の第1,第2のダイオード16,17に代えて、逆向きにダイオード21を接続している。
【0072】
更に、電流出力によるセンサ4が接続されたときと、測温抵抗体によるセンサ3および熱電対によるセンサ2等の他のセンサが接続されたときとで、基準入力となる入力端子を切換える切換えスイッチ22を設けており、CPU11によって、この切換えスイッチ22の切換えを制御するようにしている。
【0073】
この切換えスイッチ22は、ダイオード21と抵抗18との接続部に接続された第1の固定接点22aと、第2の入力端子7と抵抗18との接続部に接続された第2の固定接点22bと、マルチプレクサ19の入力側に接続された可動接点22cとを備えている。可動接点22cは、電流出力によるセンサ4が接続されたときには、第1の固定接点22a側に接続され、測温抵抗体によるセンサ3や熱電対によるセンサ2などの他のセンサが接続されたときには、第2の固定接点22b側に接続される。
【0074】
この実施形態では、測温抵抗体によるセンサ3を、第1〜第3の入力端子6〜8に接続し、定電流回路15から測温抵抗体によるセンサ3に定電流を流した場合に、ダイオード21によって定電流が抵抗18へ流れるのが遮断され、精度よく温度を計測することが可能となる。このように逆向きに接続したダイオード21によって定電流を遮断することができる。
【0075】
一方、電流出力によるセンサ4を、第1,第2の入力端子6,7間に接続した場合には、上述の実施形態1とは逆向きに出力電流が流れ、抵抗18によって電圧に変換されて計測されることになる。
【0076】
以下、測温抵抗体によるセンサ3、電流出力によるセンサ4、熱電対によるセンサ2および電圧出力によるセンサ5がそれぞれ接続された各場合について説明する。
【0077】
(a)測温抵抗体によるセンサ
測温抵抗体によるセンサ3を、図8に示すように、第1〜第3の入力端子6〜8に接続し、測温抵抗体によるセンサ3を接続したことを設定部12から設定入力する。
【0078】
これによって、CPU11は、切換えスイッチ22の可動接点22cを第2の固定接点22b側に接続し、また、定電流回路15から定電流を供給し、測温抵抗体によるセンサ3には、定電流が流れる一方、上述のように、逆向きのダイオード21によって定電流が遮断されて抵抗18に流れることがない。
【0079】
測温抵抗体によるセンサ3からの温度に対応するアナログ入力および導線抵抗に対応するアナログ入力は、第1,第3の入力端子6,8を介してマルチプレクサ19に与えられる一方、基準入力が第2の入力端子7および切換えスイッチ22を介してマルチプレクサ19に与えられる。
【0080】
マルチプレクサ19は、CPU11からの制御信号に応じて、前記両アナログ入力を時分割に切換えてA/D変換器10に与える一方、基準入力をA/D変換器10に与える。
【0081】
A/D変換器10に与えられたアナログ入力および基準入力は、ディジタル信号に変換されてCPU11に与えられ、CPU11では、計測した温度を、表示部13に表示するとともに、目標温度になるように制御出力を与える。
【0082】
(b)電流出力によるセンサ
電流出力によるセンサ4を、図9に示すように、第1,第2の入力端子6,7間に上述の実施形態1とは逆向きに接続し、電流出力によるセンサ4を接続したことを設定部12から設定入力する。
【0083】
これによって、CPU11は、図9に示すように、切換えスイッチ22の可動接点22cを第1の固定接点22a側に切換え接続する。
【0084】
電流出力によるセンサ4からのアナログ入力は、第2の入力端子7を介してマルチプレクサ19に与えられる一方、基準入力は、第1の入力端子6および切換えスイッチ22を介してマルチプレクサ19に与えられる。
【0085】
マルチプレクサ19は、CPU11からの制御信号に応じて、前記アナログ入力および基準入力を選択してA/D変換器10に与え、A/D変換器10でディジタル信号に変換され、さらに、CPU11に与えられて対応する計測データに変換され、計測データが表示部13に表示されるとともに、CPU11は、目標値になるように制御出力を与える。
【0086】
(c)熱電対によるセンサ
熱電対によるセンサ2を、図10に示すように、第2,第3の入力端子7,8間に接続し、熱電対によるセンサ2を接続したことを設定部12から設定入力する。
【0087】
これによって、CPU11は、切換えスイッチ22の可動接点22cを、第2の入力端子22b側に切換え接続する。
【0088】
熱電対によるセンサ2からのアナログ入力は、第3の入力端子8を介してマルチプレクサ19に与えられる一方、基準入力は、第2の入力端子7および切換えスイッチ22を介してマルチプレクサ19に与えられる。
【0089】
マルチプレクサ19は、CPU11からの制御信号に応じて、前記アナログ入力および基準入力を選択してA/D変換器10に与え、A/D変換器10でディジタル信号に変換されてCPU11に与えられる。
【0090】
CPU11では、温度データに変換するとともに、計測した温度を、表示部13に表示するとともに、目標温度になるように制御出力を与える。
【0091】
(d)電圧出力によるセンサ
電圧出力によるセンサ5を、図11に示すように、第2,第3の入力端子7,8間に接続し、電圧出力によるセンサ5を接続したことを設定部12から設定入力する。
【0092】
これによって、CPU11は、切換えスイッチ22の可動接点22cを、第2の入力端子22b側に切換え接続する。
【0093】
電圧出力によるセンサ5からのアナログ入力は、第3の入力端子8を介してマルチプレクサ19に与えられる一方、基準入力は、第2の入力端子7および切換えスイッチ22を介してマルチプレクサ19に与えられる。
【0094】
マルチプレクサ19は、CPU11からの制御信号に応じて、前記アナログ入力および基準入力を選択してA/D変換器10に与え、A/D変換器10でディジタル信号に変換されてCPU11に与えられる。
【0095】
CPU11は、対応する計測データに変換し、計測データが表示部13に表示されるとともに、CPU11は、目標値になるように制御出力を与える。
【0096】
(その他の実施の形態)
上述の実施形態では、設定部から設定入力および表示部に表示を行なうようにしたけれども、本発明の他の実施形態として、通信によって設定や表示をできるようにしてもよい。
【0097】
上述の実施の形態では、調節器に適用して説明したけれども、本発明の他の実施の形態として、温度、圧力、流量などの物理量を計測するデジタルパネルメータなどにも同様に適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の一つの実施形態の計測機器のブロック図である。
【図2】測温抵抗体によるセンサを接続したときのブロック図である。
【図3】電流出力によるセンサを接続したときのブロック図である。
【図4】熱電対によるセンサを接続したときのブロック図である。
【図5】電圧出力によるセンサを接続したときのブロック図である。
【図6】本発明の他の実施形態の計測機器のブロック図である。
【図7】本発明の更に他の実施形態の計測機器のブロック図である。
【図8】測温抵抗体によるセンサを接続したときのブロック図である。
【図9】電流出力によるセンサを接続したときのブロック図である。
【図10】熱電対によるセンサを接続したときのブロック図である。
【図11】電圧出力によるセンサを接続したときのブロック図である。
【符号の説明】
【0099】
1,1a,1b 計測機器
2 熱電対によるセンサ
3 測温抵抗体によるセンサ
4 電流出力によるセンサ
5 電圧出力によるセンサ
6〜8 第1〜第3の入力端子
9,9a,9b 入力回路
10 A/D変換器
16,17 第1,第2のダイオード
20 ツェナーダイオード
21 ダイオード
22 切換えスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱電対、測温抵抗体、電流出力および電圧出力のいずれかによるセンサを選択的に接続できるとともに、3つの入力端子を備える入力回路であって、
前記電流出力によるセンサが接続される2つの前記入力端子間には、一定電圧以上の入力電圧で導通する半導体素子と、抵抗とを直列に接続したことを特徴とする入力回路。
【請求項2】
前記半導体素子がダイオードである請求項1に記載の入力回路。
【請求項3】
前記ダイオードは、前記電流出力によるセンサの出力電流の向きと同じ順方向に接続され、前記一定電圧が前記ダイオードの順方向電圧である請求項2に記載の入力回路。
【請求項4】
前記ダイオードがツェナーダイオードであり、前記一定電圧がツェナー電圧である請求項2に記載の入力回路。
【請求項5】
熱電対、測温抵抗体、電流出力および電圧出力のいずれかによるセンサを選択的に接続できるとともに、3つの入力端子を備える入力回路であって、
前記電流出力によるセンサが接続される2つの前記入力端子間に、抵抗と半導体素子とを直列に接続する一方、前記電流出力によるセンサと前記測温抵抗体によるセンサとに応じて、基準入力となる入力端子を切換えるスイッチを設け、
前記半導体素子は、前記測温抵抗体によるセンサが接続されたときには、該測温抵抗体によるセンサに供給される定電流が前記抵抗に流れるのを遮断する一方、前記電流出力によるセンサが接続されたときには、該電流出力によるセンサの出力電流を前記抵抗に流すことを特徴とする入力回路。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の入力回路と、前記入力回路からのアナログ信号をA/D変換するA/D変換器とを備え、前記熱電対によるセンサまたは前記測温抵抗体によるセンサからのアナログ信号に基づいて、少なくとも温度を計測することを特徴とする計測機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−198946(P2007−198946A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−18794(P2006−18794)
【出願日】平成18年1月27日(2006.1.27)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)