説明

入力装置

【課題】主に自動車の空調や音響機器等の操作に用いられる入力装置に関し、見易く、操作の容易なものを提供することを目的とする。
【解決手段】操作体11と12に照光表示部11Aと12Aを形成すると共に、制御手段17が回転押圧操作型電子部品4の操作に応じて、照光表示部11Aや12Aの消点灯と表示手段6の表示を制御することによって、例えば、ある操作をした場合、制御手段17がこれに応じて表示手段6の表示を切換えると共に、照光表示部11Aや12Aを消灯または点灯することで、表示手段6の表示を見なくとも、照光表示部11Aや12Aの消点灯のみにより動作状態等の確認を行えるため、見易く操作の行い易い入力装置を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に自動車の空調や音響機器等の操作に用いられる入力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、車室内のフロントパネル部に、様々な操作体を備えた入力装置を配置し、これらによってエアコンやオーディオ等の各種電子機器の操作を行うものが増えている。
【0003】
このような入力装置について、主にエアコン用の入力装置を例に、図3〜図5を用いて説明する。
【0004】
図3は従来の入力装置のブロック回路図、図4は同正面図であり、同図において、1及び2は絶縁樹脂製で略円盤状の操作体、3は絶縁樹脂製で略箱型の筐体で、筐体3前面左右に複数の操作体1と2が回転及び押圧可能に装着されると共に、操作体1前面には印刷等によって文字や記号等の表示部1Aが形成されている。
【0005】
そして、4はスイッチや可変抵抗器等の回転押圧操作型電子部品で、絶縁樹脂製のケース4A内にはスイッチ接点や抵抗回路(図示せず)等が形成されると共に、前方へ突出した操作軸4Bには操作体1や2が装着され、この操作体1や2の回転や押圧によって、スイッチ接点の電気的接離や抵抗の増減が行われるように構成されている。
【0006】
また、筐体3内には上下面に複数の配線パターンが形成された配線基板(図示せず)が収納され、この配線基板の配線パターンに半田付け等によって、二つの回転押圧操作型電子部品4が電気的に接続されると共に、配線基板には固定抵抗器やコネクタ(図示せず)等の各種電子部品が実装接続されている。
【0007】
さらに、6は液晶表示素子等の表示手段で、この表示手段6が表示部を前面に露出させて筐体3に装着されると共に、配線基板にはマイクロコンピュータ等によって制御手段7が形成され、この制御手段7に二つの回転押圧操作型電子部品4と表示手段6が電気的に接続されて、入力装置が構成されている。
【0008】
そして、このような入力装置が、操作体1が運転席側、操作体2が助手席側になるようにして、車室内のフロントパネル部に装着されると共に、制御手段7がコネクタやリード線(図示せず)等によって、エアコンやオーディオ等の各種電子機器や、自動車の電子回路等の駆動手段8に電気的に接続される。
【0009】
以上の構成において、例えば駆動手段8がエアコンで、その設定温度が27℃であった場合、車両のエンジンを始動した状態では、図4(a)に示すように、表示手段6にはエアコンの設定温度である「27℃」が左右に表示されている。
【0010】
そして、この状態から、エアコンの風量や風向等を自動動作にするために、表示部1Aに「PUSH AUTO」と表示された操作体1を押圧操作すると、この後方に装着された回転押圧操作型電子部品4の、スイッチ接点の電気的接離が行われ、これを制御手段7が検出して、駆動手段8を自動動作に切換えると共に、図4(b)に示すように、表示手段6の右上に自動動作を表す「AUTO」を表示させる。
【0011】
また、運転手が操作体1を回転操作すると、この後方の回転押圧操作型電子部品4の、スイッチ接点の電気的接離や抵抗の増減が行われ、これを制御手段7が検出して、駆動手段8の温度設定を切換えると共に、図4(c)に示すように、表示手段6の温度表示を例えば「32℃」に切換える。
【0012】
なお、同乗者が操作体2を回転操作した場合には、この後方の回転押圧操作型電子部品4の操作が行われ、助手席側のみの温度設定や温度表示が切換わるようになっている。
【0013】
つまり、運転席側の運転手は操作体1を、助手席側の同乗者は操作体2を、各々回転または押圧操作することで、エアコンの動作や温度を、各々の好みに切換えることができるように構成されている。
【0014】
また、この操作体1や2の操作を、制御手段7が左右の回転押圧操作型電子部品4の操作から検出し、これに応じた表示を表示手段6に表示することによって、エアコンの現在の動作状態や自分が行った操作が判るようになっている。
【0015】
なお、以上の説明では、入力装置の操作を判り易くするために、表示手段6の表示を簡略化して表したが、実際には図5の正面図に示すように、表示手段6には温度や「AUTO」のほか、風量や風向、内外気の切換え状態等の様々なものが表示されている。
【0016】
また、例えば、操作体1の表示部1Aの「PUSH AUTO」といった表示は、印刷等によって形成されているため、図4(b)に示したように、操作体1を押圧操作して、駆動手段8が自動動作に切換わり、表示手段6に「AUTO」が表示された状態でも、消えずに表示されたままとなっており、表示部1Aによっては動作状態を判別することはできない。
【0017】
したがって、現在エアコンの動作状態が自動となっているかどうかは、図5に示すような、様々な表示がされた表示手段6を目視し、表示手段6に「AUTO」が表示されているかどうかを確認しなければならないものであった。
【0018】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開2005−216798号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、上記従来の入力装置においては、エアコンやオーディオ等の駆動手段8の動作状態を確認するには、様々な表示がされた表示手段6を目視し、表示を確認する必要があるため、操作が煩雑なものとなり、誤操作も生じ易いという課題があった。
【0020】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、見易く操作の行い易い入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するために本発明は、操作体に照光表示部を形成すると共に、制御手段が回転押圧操作型電子部品の操作に応じて、照光表示部の消点灯と表示手段の表示を制御するようにして入力装置を構成したものであり、例えば、ある操作をした場合、制御手段がこれに応じて表示手段の表示を切換えると共に、操作体の照光表示部を消灯または点灯することによって、表示手段の表示を見なくとも、照光表示部の消点灯のみにより動作状態等の確認を行えるため、見易く操作の行い易い入力装置を得ることができるという作用を有するものである。
【発明の効果】
【0022】
以上のように本発明によれば、見易く操作の行い易い入力装置を実現することができるという有利な効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、主にエアコン用の入力装置を例に、主に図1及び図2を用いて説明する。
【0024】
なお、背景技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。
【0025】
(実施の形態)
図1は本発明の一実施の形態による入力装置のブロック回路図、図2は同正面図であり、同図において、11及び12はアクリルやポリカーボネート等の絶縁樹脂製で略円盤状の操作体、3は絶縁樹脂製で略箱型の筐体で、筐体3前面左右に複数の操作体11と12が回転及び押圧可能に装着されると共に、操作体11と12前面には文字や記号等の照光表示部11Aと12Aが形成されている。
【0026】
そして、4はスイッチや可変抵抗器等の回転押圧操作型電子部品で、絶縁樹脂製のケース4A内にはスイッチ接点や抵抗回路(図示せず)等が形成されると共に、前方へ突出した操作軸4Bには操作体11や12が装着され、この操作体11や12の回転や押圧によって、スイッチ接点の電気的接離や抵抗の増減が行われるように構成されている。
【0027】
また、筐体3内には上下面に複数の配線パターンが形成された配線基板(図示せず)が収納され、この配線基板の配線パターンに半田付け等によって、二つの回転押圧操作型電子部品4が電気的に接続されると共に、配線基板には固定抵抗器やコネクタ(図示せず)等の各種電子部品が実装接続されている。
【0028】
さらに、6は液晶表示素子等の表示手段、13は絶縁樹脂製の押釦で、表示手段6が表示部を前面に露出させて筐体3の中央に装着されると共に、この下方に配列された複数の押釦13の背面には、押釦13の押圧操作によって電気的接離を行う、プッシュスイッチ等の複数のスイッチ接点14が設けられている。
【0029】
また、筐体3内の配線基板には、マイクロコンピュータ等によって制御手段17が形成されると共に、この制御手段17に配線パターンを介して、二つの回転押圧操作型電子部品4と表示手段6、複数のスイッチ接点14、照光表示部11A、12Aが各々電気的に接続されて、入力装置が構成されている。
【0030】
なお、上記のような照光表示部11Aや12Aは、配線基板の回転押圧操作型電子部品4近傍に実装された、発光ダイオード等の発光素子(図示せず)の前面に、文字や記号、絵柄等の透光部が形成された表示板(図示せず)と、黒色や褐色等の暗色ではあるが透光性のスモーク板(図示せず)が積載されて形成されている。
【0031】
あるいは、黒色や褐色等の不透光性の操作体11や12の前面に、レーザ加工や二色成形等によって、暗色で透光性の文字や記号、絵柄等を露出させて照光表示部11Aや12Aが設けられ、これを背面から発光素子で照光するように構成されている。
【0032】
つまり、照光表示部11Aと12Aは、配線基板に実装され制御手段17に接続された、背面の発光素子が消灯した状態の時には、文字や記号、絵柄等の表示が見えづらいようになっている。
【0033】
そして、このような入力装置が、操作体11が運転席側、操作体12が助手席側になるようにして、車室内のフロントパネル部に装着されると共に、制御手段17がコネクタやリード線(図示せず)等によって、エアコンやオーディオ等の各種電子機器や、自動車の電子回路等の駆動手段8に電気的に接続される。
【0034】
以上の構成において、例えば駆動手段8がエアコンで、その設定温度が27℃であった場合、車両のエンジンを始動した状態では、図2(a)に示すように、表示手段6の左右にエアコンの設定温度である「27℃」が表示されると共に、操作体11の照光表示部11Aが点灯し、「PUSH AUTO」が照光して表示されている。
【0035】
そして、この状態から、エアコンの風量や風向等を自動動作にするために、操作体11を押圧操作すると、この後方に装着された回転押圧操作型電子部品4の、スイッチ接点の電気的接離が行われ、これを制御手段17が検出して、駆動手段8を自動動作に切換えると共に、図2(b)に示すように、表示手段6の右上に自動動作を表す「AUTO」を表示させる。
【0036】
また、同時に、制御手段17がこの押圧操作に応じて、操作体11背面の発光素子を消灯するため、照光表示部11Aに表示されていた文字が消え、殆んど見えなくなる。
【0037】
そして、運転手が操作体11を回転操作すると、この後方の回転押圧操作型電子部品4の、スイッチ接点の電気的接離や抵抗の増減が行われ、これを制御手段17が検出して、駆動手段8の温度設定を切換えると共に、図2(c)に示すように、表示手段6の温度表示を例えば「32℃」に切換える。
【0038】
また、この状態から、エアコンの温度や風量等を手動で設定するために、表示手段6下方の「MODE」と表示された押釦13を押圧操作すると、この背面のスイッチ接点14の電気的接離が行われ、これを制御手段17が検出して、駆動手段8を手動に切換えると共に、図2(a)に示したような、表示手段6の「AUTO」が消え、照光表示部11Aに「PUSH AUTO」が照光して表示された状態に戻す。
【0039】
さらに、同乗者が操作体12を回転操作した場合には、この後方の回転押圧操作型電子部品4の操作が行われ、これを制御手段17が検出して、図2(d)に示すように、助手席側のみの温度設定や温度表示を切換えると共に、表示手段6左上に「DUAL」を表示させる。
【0040】
また、同時に、制御手段17がこの回転操作に応じて、操作体12背面の発光素子を点灯し、照光表示部12Aに「PUSH DUAL OFF」を照光表示させる。
【0041】
つまり、運転席側の運転手は操作体11を、助手席側の同乗者は操作体12を、各々回転または押圧操作することで、エアコンの動作や温度を、各々の好みに切換えることができるように構成されている。
【0042】
そして、この操作体11や12、押釦13の操作を、制御手段17が左右の回転押圧操作型電子部品4やスイッチ接点14の操作から検出し、これに応じた表示を表示手段6に表示すると共に、照光表示部11Aや12Aを消点灯することによって、エアコンの現在の動作状態や自分が行った操作が判り、誤操作がなく容易に操作が行えるようになっている。
【0043】
すなわち、以上の説明では、入力装置の操作を判り易くするために、表示手段6の表示を簡略化して表したが、実施には図5の正面図に示したように、表示手段6には温度や「AUTO」のほか、風量や風向、内外気の切換え状態等の様々なものが表示されているため、この中から例えば、現在の動作状態である「AUTO」を目視によって探すことは煩雑で、誤確認も生じ易い。
【0044】
しかしながら、本発明においては、例えばエアコンが自動動作状態である場合には、図2(b)に示したように、表示手段6に「AUTO」が表示されていることに加え、操作体11と12の照光表示部11Aと12Aが消灯し、これらの表示が消えた状態となっている。
【0045】
これに対し、エアコンが手動の状態である場合には、図2(a)に示したように、表示手段6の「AUTO」表示が消えると共に、照光表示部11Aが点灯し、押圧により自動動作に切換わることを示す「PUSH AUTO」が、照光して表示されている。
【0046】
あるいは、同乗者が操作体12を操作し、運転席側と助手席側の温度等が異なる状態に設定されている場合には、図2(d)に示したように、表示手段6に「DUAL」が表示されると共に、照光表示部12Aが点灯して、「PUSH DUAL OFF」が照光表示されている。
【0047】
つまり、操作体11や12、押釦13の操作を、制御手段17が回転押圧操作型電子部品4やスイッチ接点14の操作から検出し、これに応じた表示を表示手段6に表示することに加え、照光表示部11Aや12Aを消点灯することで、エアコンの動作状態や設定状態等は、照光表示部11Aと12Aの消点灯によっても確認できるように構成されている。
【0048】
したがって、例えば上記のように、エアコンの動作状態が自動か手動かといったようなことや、運転席側と助手席側の設定状態が同じか否かといったようなことは、様々な表示がされた表示手段6を目視しなくとも、照光表示部11Aと12Aの表示の有無によって確認できるため、見易く容易な操作が可能なようになっている。
【0049】
このように本実施の形態によれば、操作体11と12に照光表示部11Aと12Aを形成すると共に、制御手段17が回転押圧操作型電子部品4の操作に応じて、照光表示部11Aや12Aの消点灯と表示手段6の表示を制御することによって、例えば、ある操作をした場合、制御手段17がこれに応じて表示手段6の表示を切換えると共に、照光表示部11Aや12Aを消灯または点灯することで、表示手段6の表示を見なくとも、照光表示部11Aや12Aの消点灯のみにより動作状態等の確認を行えるため、見易く操作の行い易い入力装置を得ることができるものである。
【0050】
なお、以上の説明では、入力装置を主にエアコン操作に用いた場合について説明したが、コンパクトディスクやカーラジオ等のオーディオ機器の操作等に用いても本発明の実施は可能である。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明による入力装置は、見易く、操作の容易なものを実現することができ、主に自動車の空調や音響機器等の操作用として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施の形態による入力装置のブロック回路図
【図2】同正面図
【図3】従来の入力装置のブロック回路図
【図4】同正面図
【図5】同正面図
【符号の説明】
【0053】
3 筐体
4 回転押圧操作型電子部品
4A ケース
4B 操作軸
6 表示手段
8 駆動手段
11、12 操作体
11A、12A 照光表示部
13 押釦
14 スイッチ接点
17 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照光表示部が形成された操作体と、この操作体が装着された回転押圧操作型電子部品と、この回転押圧操作型電子部品と表示手段に接続された制御手段からなり、上記制御手段が上記回転押圧操作型電子部品の操作に応じて、上記照光表示部の消点灯と上記表示手段の表示を制御する入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−230454(P2008−230454A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−74184(P2007−74184)
【出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】