入力装置
【課題】複数の入力スイッチを備える入力装置を提供すること。
【解決手段】画像形成装置1は、入力媒体が接触した場合に発生する最大の静電容量値が互いに異なるタッチスイッチSW11、SW12を備える。タッチスイッチSW11、SW12に直列に接続され、入力媒体がタッチスイッチSW11、SW12の少なくとも何れか1つに接触または接近した場合に発生する静電容量値を検知するA/D変換器13を備える。入力媒体がタッチスイッチSW11およびSW12の少なくとも何れか1つに接触した場合に発生する静電容量値の所定範囲を示すタッチ認識範囲TRを記憶する、閾値レジスタ14を備える。A/D変換器13により検知された静電容量値と、閾値レジスタ14に記憶されたタッチ認識範囲TRとの比較に基づいて、入力媒体により入力を受け付けたタッチスイッチSW11およびSW12を検出する比較器15を備える。
【解決手段】画像形成装置1は、入力媒体が接触した場合に発生する最大の静電容量値が互いに異なるタッチスイッチSW11、SW12を備える。タッチスイッチSW11、SW12に直列に接続され、入力媒体がタッチスイッチSW11、SW12の少なくとも何れか1つに接触または接近した場合に発生する静電容量値を検知するA/D変換器13を備える。入力媒体がタッチスイッチSW11およびSW12の少なくとも何れか1つに接触した場合に発生する静電容量値の所定範囲を示すタッチ認識範囲TRを記憶する、閾値レジスタ14を備える。A/D変換器13により検知された静電容量値と、閾値レジスタ14に記憶されたタッチ認識範囲TRとの比較に基づいて、入力媒体により入力を受け付けたタッチスイッチSW11およびSW12を検出する比較器15を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の入力スイッチを備える入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ等の各種装置に、複数の静電スイッチを有する入力装置が備えられている場合がある。このような入力装置では、簡易な構成でより多くの静電スイッチを制御することが要求されている。特許文献1には、隣接して配置される複数の静電スイッチにおいて、静電スイッチに対して1つおきに検知電極を配置する構成が開示されている。当該構成では、検知電極に対応しない位置にある静電スイッチに対するタッチの有無は、隣接する2つの検知電極による電圧値によって判断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−242571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、検知電極に対応しない位置にある静電スイッチは、隣接する2つの検知電極により入力が判断されるため、静電スイッチ同士が直線状に近接して配置されている構成において好適であり、静電スイッチの配置が制限されるという問題がある。本明細書では、このような不便性を解消することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願に記載の入力装置は、入力媒体が接触した場合に当該入力媒体との間で発生する最大の静電容量値が互いに異なる複数のタッチスイッチと、直列に接続された複数のタッチスイッチに直列に接続され、入力媒体が複数のタッチスイッチの少なくとも何れか1つに接触または接近した場合に、そのタッチスイッチと入力媒体との間で発生する静電容量値に基づく静電容量出力値を出力する静電容量出力手段と、静電容量出力値を含む所定範囲を示す容量範囲値を記憶する記憶手段と、静電容量出力手段により出力された静電容量出力値と、記憶手段に記憶された容量範囲値との比較に基づいて、入力媒体により入力を受け付けたタッチスイッチを検出するタッチ検出手段と、を備えることを特徴とする。
【0006】
このように構成された入力装置によれば、1つの静電容量出力手段を用いて、複数のタッチスイッチの各々において、入力媒体により入力を受け付けたタッチスイッチを検出することが可能となる。これにより、静電容量出力手段とタッチスイッチとを1対1で接続する場合に比して、静電容量出力手段の必要数を減少させることが可能となる。また、静電容量出力手段が複数のタッチスイッチに直列に接続されていればよいため、複数のタッチスイッチの各々を自由に配置することが可能となる。
【0007】
また請求項2に記載の入力装置では、容量範囲値を、複数のタッチスイッチの間で共通とすることができる。これにより、複数のタッチスイッチの各々に異なる容量範囲値を割り当てる場合に比して、容量範囲値の範囲を広く設定することができるため、入力媒体により入力を受け付けたタッチスイッチを検出する感度を高めることができる。
【0008】
また請求項3に記載の入力装置では、静電容量出力値の各々が、複数のタッチスイッチの間で共通の容量範囲値の範囲内の値となるように、倍率が設定される。これにより、容量範囲値を、複数のタッチスイッチの間で共通とすることができる。
【0009】
また、請求項4に記載の入力装置では、不使用のタッチスイッチについて、静電容量値の変換動作を行う必要を無くすことができる。よって、使用するタッチスイッチにおける、入力媒体による入力の有無の検出速度を高めることができる。
【0010】
また、請求項5に記載の入力装置では、容量範囲値を、複数のタッチスイッチの各々に割り当てることができる。これにより、入力媒体により入力を受け付けたタッチスイッチを検出することが可能となる。
【0011】
また、請求項6に記載の入力装置では、少なくとも1つの閾値を用いることで、容量範囲値を識別することが可能となる。
【0012】
また、請求項7に記載の入力装置では、検知電極の面積を調整することにより、複数のタッチスイッチの各々において、入力媒体が接触した場合に当該入力媒体との間で発生する最大の静電容量値を異ならせることが可能となる。
【0013】
また、請求項8に記載の入力装置では、タッチ面と検知電極との間の誘電率を調整することにより、複数のタッチスイッチの各々において、入力媒体が接触した場合に当該入力媒体との間で発生する最大の静電容量値を異ならせることが可能となる。
【0014】
また、請求項9に記載の入力装置では、入力媒体がタッチ面に接触可能な接触面積を調整することにより、複数のタッチスイッチの各々において、入力媒体が接触した場合に当該入力媒体との間で発生する最大の静電容量値を異ならせることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】画像形成装置の制御構成を示すブロック図である。
【図2】第1スイッチ部の分解斜視図である。
【図3】画像形成装置の動作フローである。
【図4】画像形成装置の動作フローである。
【図5】タッチ入力の有無の判定方法を説明する図である。
【図6】タッチ入力の有無の判定方法を説明する図である。
【図7】タッチ入力の有無の判定方法を説明する図である。
【図8】第1スイッチ部の上面図および断面図である。
【図9】第1スイッチ部の上面図および断面図である。
【図10】第1スイッチ部の上面図および断面図である。
【図11】第1スイッチ部の上面図および断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る画像形成装置1の制御構成を示すブロック図である。画像形成装置1は、インクジェット方式に従う記録ヘッドを用いた画像形成装置である。なお、記録ヘッド、オートシートフィーダ機構、ペーパーフィード機構などの、画像形成に必要な各種の構成要素は、図1では図示を省略している。
【0017】
<画像形成装置1の構成>
図1に示すように、画像形成装置1は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)3、第1スイッチ部31および第2スイッチ部32を備える。第1スイッチ部31の構成を、図2の分解斜視図を用いて説明する。第1スイッチ部31は、配線基板5、検知電極P11およびP12、樹脂部R11およびR12、スイッチパネル6、を備える。配線基板5上には、検知電極P11およびP12が配置されている。検知電極P11およびP12は、配線L11によって互いに接続されている。検知電極P11は、配線L12によって、入力端子IT1に接続されている。すなわち、入力端子IT1には、検知電極P11およびP12が直列接続されている。検知電極P11およびP12とスイッチパネル6との間には、樹脂部R11およびR12が挟み込まれるようにして存在する。スイッチパネル6の上面には、スイッチマークB11およびB12が形成されている。スイッチパネル6は、例えば、樹脂やガラス等の材料により形成される。スイッチマークB11およびB12は、スイッチの位置や機能を表示する文字や図形などである。スイッチマークB11と検知電極P11とは、樹脂部R11を挟んで互いに対向するように配置されている。樹脂部R11は直方体の形状を有しており、その上面の面積は、スイッチマークB11の面積と同等とされている。同様に、スイッチマークB12と検知電極P12とは、樹脂部R12を挟んで互いに対向するように配置されている。樹脂部R12は直方体の形状を有しており、その上面の面積は、スイッチマークB12の面積と同等とされている。
【0018】
検知電極P11、樹脂部R11およびスイッチマークB11によって、静電容量式のタッチスイッチSW11が構成される。タッチスイッチSW11は、検知電極P11と入力媒体(例:ユーザの指先)によって構成されるコンデンサの静電容量変化を検出することによって、タッチの有無を判断するスイッチである。同様に、検知電極P12、樹脂部R12およびスイッチマークB12によって、静電容量式のタッチスイッチSW12が構成される。
【0019】
また、入力端子IT1に対して直列に接続されている検知電極P11およびP12では、検知電極P11の面積の方が、検知電極P12の面積よりも大きくされている。これにより、入力媒体がスイッチマークB11に接触した場合にタッチスイッチSW11で発生する静電容量の最大値が、入力媒体がスイッチマークB12に接触した場合にタッチスイッチSW12で発生する静電容量の最大値に比して、大きくなる。なお、静電容量の最大値とは、入力媒体によって検知電極の全面が覆われる場合に発生する静電容量値である。
【0020】
なお、第2スイッチ部32(図1)の構成も、第1スイッチ部31の構成と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0021】
ASIC3(図1)は、第1スイッチ部31および第2スイッチ部32や、画像形成に必要な各種の構成要素(不図示)を制御するための、特殊用途集積回路である。ASIC3は、CPU(Central Processing Unit)10、記憶部21、タッチ検出部41および42、入力端子IT1およびIT2、を備える。
【0022】
CPU10は、画像形成に関連する情報処理を行う回路である。CPU10は、有効タッチスイッチレジスタ11、検出結果レジスタ12を備える。有効タッチスイッチレジスタ11は、タッチスイッチSW11、SW12、SW21、SW22のうちの何れが有効タッチスイッチであるかについて、記憶するレジスタである。有効タッチスイッチとは、タッチ入力を受け付け可能なタッチスイッチである。有効タッチスイッチは、CPU10が取得する装置状態情報に基づいて設定される。装置状態情報は、画像形成装置1の装置状態(例:スタンバイ状態か否か、エラー状態か否か、画像形成装置1のFAX機能が使用中の状態であるか否か、など)を示す情報である。例えば、装置状態情報によって、画像形成装置1のFAX機能が使用中の状態であることが示されている場合には、FAX機能に関連するタッチスイッチ(例:数字キー)が、有効タッチスイッチとして有効タッチスイッチレジスタ11に一時的に記憶される。検出結果レジスタ12は、有効タッチスイッチの各々について、タッチ入力の有無の判定結果を記憶するレジスタである。
【0023】
記憶部21は、各種の設定情報を記憶する回路である。設定情報の一例としては、入力端子カウンタ値n、入力端子数T_NUM、ゲインG1およびG2、閾値XおよびY、などが挙げられる。入力端子カウンタ値nは、入力端子IT1およびIT2の何れの入力端子に接続されているスイッチ部について、タッチ入力有無の判断を実行した回数を示す値である。入力端子数T_NUMは、ASIC3に備えられている入力端子(スイッチ部が接続される端子)の数である。図1の例では、入力端子数T_NUMは「2」である。ゲインG1およびG2は、後述するA/D変換器13および23において、静電容量の検出値を増幅する際の倍率である。ゲインG1は、タッチスイッチSW11およびSW21に対応するゲインであり、タッチスイッチSW11およびSW21へのタッチ入力の有無を判定する際に用いられるゲインである。ゲインG2は、タッチスイッチSW12およびSW22に対応するゲインであり、タッチスイッチSW12およびSW22へのタッチ入力の有無を判定する際に用いられるゲインである。
【0024】
閾値XおよびYは、後述する静電容量変換値C1での、タッチ認識範囲を規定するための値である。タッチ認識範囲は、タッチスイッチに入力媒体がタッチされたか否かを判定するための、静電容量変換値C1の範囲である。具体的には、あるタッチスイッチから出力される静電容量変換値C1の値が、タッチ認識範囲の範囲内である場合には、当該タッチスイッチに入力媒体がタッチされていると判定することができる。
【0025】
タッチ検出部41は、A/D変換器13、閾値レジスタ14、比較器15、を備える。A/D変換器13の入力端子には、入力端子IT1が接続される。すなわちA/D変換器13には、検知電極P11およびP12が直列に接続されている。A/D変換器13には、CPU10からのゲイン設定信号GS1が入力される。A/D変換器13からは、静電容量変換値C1が出力される。閾値レジスタ14は、CPU10からの閾値設定信号TS1が入力される。閾値レジスタ14からは、閾値XおよびYが出力される。比較器15には、A/D変換器13から出力される静電容量変換値C1と、閾値レジスタ14から出力される閾値XおよびYが入力される。比較器15の出力はCPU10に入力される。
【0026】
A/D変換器13は、入力媒体(指先など)がタッチスイッチSW11およびSW12の少なくとも何れか1つに接触した場合に、検知電極P11およびP12と入力媒体との間で発生する静電容量を検出する部位である。またA/D変換器13は、静電容量の検出値(アナログ値)を、設定されたゲイン値に基づいて増幅し、AD変換によりデジタル値に変換して静電容量変換値C1を生成する。A/D変換器13のゲイン値は、CPU10が出力するゲイン設定信号GS1によって、ゲインG1またはG2に設定される。
【0027】
閾値レジスタ14は、設定された閾値を比較器15へ出力する部位である。閾値レジスタ14の閾値は、CPU10が出力する閾値設定信号TS1によって、閾値XおよびYに設定される。
【0028】
比較器15は、A/D変換器13から出力される静電容量変換値C1と、閾値レジスタ14から出力される閾値XおよびYとに基づいて、入力媒体によりタッチされたタッチスイッチを検出する部位である。具体的には、比較器15は、静電容量変換値C1と閾値XおよびYとを比較して、静電容量変換値C1がタッチ認識範囲TRの範囲内であるか否かを判断する。
【0029】
比較器15で行われる判断処理について、図5および図6の具体例を用いて説明する。図5および図6の具体例では、ゲインG1によって設定される倍率の値が「1.0」であり、ゲインG2によって設定される倍率の値が「1.5」である場合を説明する。また、タッチスイッチSW11がタッチされた場合の静電容量の検出値(ゲインによる増幅前の値)の最大値が、「120」である場合を説明する。また、タッチスイッチSW12がタッチされた場合の静電容量の検出値(ゲインによる増幅前の値)の最大値が、「80」である場合を説明する。また、閾値Xの値が「100」であり、閾値Yの値が「140」の場合を説明する。この場合、静電容量変換値C1の100〜140までの範囲が、タッチ認識範囲TRとなる。ここで、ゲインG1によって設定される倍率の値(1.0)は、入力媒体がタッチスイッチSW11に接触した場合にA/D変換器13に入力される静電容量の検出値の最大値(120)に、ゲインG1を乗じた値が、タッチ認識範囲TR(100〜140)の範囲内となるように定められている。また、ゲインG2によって設定される倍率の値(1.5)は、入力媒体がタッチスイッチSW12に接触した場合にA/D変換器13に入力される静電容量の検出値の最大値(80)に、ゲインG2を乗じた値が、タッチ認識範囲TR(100〜140)の範囲内となるように定められている。
【0030】
図5を用いて、A/D変換器13のゲインが、ゲインG1(1.0)に設定される場合を説明する。ゲインG1(1.0)は、タッチスイッチSW11に対する入力媒体の接触の有無を検出する場合に用いられるゲインである。図5において、パターン(1)の場合(タッチスイッチSW11およびSW12の何れもタッチされていない場合)には、静電容量変換値C1は「0」となる。また、パターン(2)の場合(タッチスイッチSW12のみがタッチされている場合)には、静電容量変換値C1は「80」となる。また、パターン(4)の場合(タッチスイッチSW11およびSW12の両方がタッチされている場合)には、静電容量変換値C1は「120+80=200」となる。よってパターン(1)(2)(4)の場合には、静電容量変換値C1の値がタッチ認識範囲TR(100〜140)の範囲外であるため、タッチスイッチSW11に入力媒体が接触していないと判定することができる。
【0031】
一方、図5において、パターン(3)の場合(タッチスイッチSW11のみがタッチされている場合)には、静電容量変換値C1は「120」となる。この場合には、静電容量変換値C1の値がタッチ認識範囲TR(100〜140)の範囲内であるため、タッチスイッチSW11に対して入力媒体が接触していると判定することができる。
【0032】
図6を用いて、A/D変換器13のゲインが、ゲインG2(1.5)に設定される場合を説明する。ゲインG2(1.5)は、タッチスイッチSW12に対する入力媒体の接触の有無を検出する場合に用いられるゲインである。図6において、パターン(1)の場合(タッチスイッチSW11およびSW12の何れもタッチされていない場合)には、静電容量変換値C1は「0」となる。また、パターン(3)の場合(タッチスイッチSW11のみがタッチされている場合)には、静電容量変換値C1は「120×1.5=180」となる。また、パターン(4)の場合(タッチスイッチSW11およびSW12の両方がタッチされている場合)には、静電容量変換値C1は「120×1.5+80×1.5=300」となる。よってパターン(1)(3)(4)の場合には、静電容量変換値C1の値がタッチ認識範囲TR(100〜140)の範囲外であるため、タッチスイッチSW12に対して入力媒体が接触していないと判定することができる。
【0033】
一方、図6において、パターン(2)の場合(タッチスイッチSW12のみがタッチされている場合)には、静電容量変換値C1は「80×1.5=120」となる。この場合には、静電容量変換値C1の値がタッチ認識範囲TR(100〜140)の範囲内であるため、タッチスイッチSW12に対して入力媒体が接触していると判定することができる。
【0034】
なお、タッチ検出部42の構成は、タッチ検出部41の構成と同様であるため、詳細な説明は省略する。また、タッチ検出部42に備えられるA/D変換器23、閾値レジスタ24、比較器25の各々の動作は、前述したA/D変換器13、閾値レジスタ14、比較器15の動作と同様であるため、詳細な説明は省略する。
<画像形成装置1の動作>
画像形成装置1の動作を、図3および図4のフローを用いて説明する。画像形成装置1の電源が投入されると、図3および図4のフローが開始される。図3および図4のフローは、画像形成装置1の電源がオン状態である期間中に実行され続けるフローである。
【0035】
S112において、CPU10は、タッチ検出部41および42の初期化を実行する。初期化の具体例としては、環境変化によるセンサ取得値のバラツキを抑えるためのキャリブレーション、閾値レジスタ14への閾値の設定、A/D変換器13のゲイン値の設定、などが挙げられる。
【0036】
S114において、CPU10は、画像形成装置1の装置状態情報を取得する。S116において、CPU10は、取得した装置状態情報に基づいて、タッチスイッチSW11、SW12、SW21、SW22のうちから、有効タッチスイッチを抽出する。CPU10は、抽出した有効タッチスイッチを、有効タッチスイッチレジスタ11に記憶する。
【0037】
S118において、CPU10は、入力端子カウンタ値nを「1」に設定する。これにより、タッチ入力有無の判断を実行する端子として、入力端子IT1が選択される。
【0038】
S120において、CPU10は、ASIC3の全ての入力端子(入力端子IT1およびIT2)について、タッチ入力有無の判断が実行されたか否かを判断する。具体的には、入力端子カウンタ値nが、入力端子数T_NUMよりも大きいか否かを判断する。全ての入力端子についてタッチ入力有無の判断が実行された場合(S120:Y)には、S122へ進む。S122において、CPU10は、検出結果レジスタ12の記憶内容に従ってタッチされたタッチスイッチを判定し、タッチされたタッチスイッチに割り当てられている処理を実行する。
【0039】
一方、ASIC3の全ての入力端子について、タッチ入力有無の判断が実行されていない場合(S120:NO)には、S130へ進む。S130において、CPU10は、現在選択されている入力端子に接続されている2つのタッチスイッチのうち、何れのタッチスイッチが有効タッチスイッチに設定されているかについての情報を、有効タッチスイッチレジスタ11から読み出す。
【0040】
S132(図4)において、CPU10は、現在選択されている入力端子に接続されている全てのタッチスイッチが、有効タッチスイッチに設定されていない状態であるか否かを判断する。現在選択されている入力端子に接続されている全てのタッチスイッチが、有効タッチスイッチに設定されていない場合(S132:YES)には、タッチ入力の有無を判定することなく、S160へ進む。一方、少なくとも1つのタッチスイッチが有効タッチスイッチに設定されている場合(S132:NO)には、S136へ進む。
【0041】
S136において、CPU10は、現在選択されている入力端子に接続されているタッチスイッチのうち、有効タッチスイッチに設定されているタッチスイッチの数を、有効タッチスイッチレジスタ11から読み出した情報に基づいて判断する。有効タッチスイッチに設定されているタッチスイッチの数が2つの場合(S136:2つ)には、S152へ進む。
【0042】
S152において、CPU10は、現在選択されている入力端子に接続されているA/D変換器に対して、ゲインG1(1.0)を設定する。これにより、図5で前述したように、タッチスイッチSW11(またはSW21)へのタッチ入力の有無を判定することが可能な状態とされる。S154において、比較器15(または比較器25)は、静電容量変換値C1とタッチ認識範囲TRとの比較結果を、CPU10へ出力する。CPU10は、受信した比較結果に基づいて、静電容量変換値C1の値がタッチ認識範囲TRの範囲内であるか否かを判断する。そして、判断結果を検出結果レジスタ12に記憶させる。
【0043】
S156において、CPU10は、現在選択されている入力端子に接続されているA/D変換器に対して、ゲインG2(1.5)に設定する。これにより、図6で前述したように、タッチスイッチSW12(またはSW22)へのタッチ入力の有無を判定することが可能な状態とされる。S158において、比較器15(または比較器25)は、静電容量変換値C1とタッチ認識範囲TRとの比較結果を、CPU10へ出力する。CPU10は、受信した比較結果に基づいて、静電容量変換値C1の値がタッチ認識範囲TRの範囲内であるか否かを判断する。そして、判断結果を検出結果レジスタ12に記憶させる。
【0044】
S160において、CPU10は、入力端子カウンタ値nを1カウントアップする。これにより、ASIC3に備えられている複数の入力端子から、次の入力端子が選択される。そしてS120へ戻る。
【0045】
一方、S136において、有効タッチスイッチに設定されているタッチスイッチの数が1つの場合(S136:1つ)には、S137へ進む。S137においてCPU10は、有効タッチスイッチレジスタ11から読み出した情報に基づいて、有効タッチスイッチに設定されているタッチスイッチを判断する。タッチスイッチSW11(またはSW21)が有効タッチスイッチに設定されている場合(S137:SW11、SW21)には、S138へ進み、現在選択されている入力端子に接続されているA/D変換器に対して、ゲインG1(1.0)を設定する。一方、タッチスイッチSW12(またはSW22)が有効タッチスイッチに設定されている場合(S137:SW12、SW22)には、S139へ進み、現在選択されている入力端子に接続されているA/D変換器に対して、ゲインG2(1.5)を設定する。S140において、比較器15(または比較器25)は、静電容量変換値C1とタッチ認識範囲TRとの比較結果を、CPU10へ出力する。CPU10は、受信した比較結果に基づいて、静電容量変換値C1の値がタッチ認識範囲TRの範囲内であるか否かを判断する。そして、判断結果を検出結果レジスタ12に記憶させる。そしてS160へ進む。
【0046】
<第1実施形態の効果>
第1実施形態に係る画像形成装置1の効果を説明する。画像形成装置1では、1つの入力端子IT1に接続された2つのタッチスイッチSW11およびSW12の各々について、タッチスイッチSW11へのタッチ入力の有無の判定(S154)と、タッチスイッチSW12へのタッチ入力の有無の判定(S158)とを行うことができる。すなわち、2つのタッチスイッチSW11およびSW12によって、1つの入力端子IT1を時分割して共用することができる。これにより、ASIC3の入力端子とタッチスイッチとを1対1で接続する場合に比して、入力端子の必要数を減少させることが可能となる。また、入力端子IT1が2つのタッチスイッチSW11およびSW12に直列に接続されていればよいため、2つのタッチスイッチSW11およびSW12の配置位置を自由に設定することが可能となる。なお、1つの入力端子IT2に接続された2つのタッチスイッチSW21およびSW22についても、同様の効果が得られる。
【0047】
また、タッチスイッチSW11とSW12との間で、タッチされた場合の静電容量の検出値(ゲインによる増幅前の値)の最大値が異なるように設定されている。また、静電容量の検出値の最大値にゲインを乗じた値がタッチ認識範囲TRの範囲内となるように、ゲインG1およびG2の各々が設定されている。これにより、1つのタッチ認識範囲TRを、2つのタッチスイッチSW11およびSW12の間で共通とすることができる。これにより、タッチスイッチSW11およびSW12の各々に異なるタッチ認識範囲TRを割り当てる場合に比して、タッチ認識範囲TRの範囲を広く設定することができるため、入力媒体により入力を受け付けたタッチスイッチを検出する精度を高めることができる。
【0048】
また、S116において有効タッチスイッチとして検出されていないタッチスイッチについて、タッチ入力の有無の判定(S140、S154、S158)を行う必要を無くすことができる。よって、画像形成装置1の処理負担を軽減することができる。また、有効タッチスイッチにおける、タッチ入力の有無の判定速度を高めることができる。
【0049】
また、検知電極P11の面積の方が、検知電極P12の面積よりも大きくされている。これにより、入力媒体がスイッチマークB11に接触した場合にタッチスイッチSW11で発生する静電容量の最大値(120)を、入力媒体がスイッチマークB12に接触した場合にタッチスイッチSW12で発生する静電容量の最大値(80)に比して、大きくすることができる。
【0050】
<第2実施形態>
第2実施形態は、比較器15および25で行われる、タッチ入力の有無の判断処理の変形例である。第2実施形態では、記憶部21に閾値A、B、Cが記憶される。また、閾値レジスタ14からは、閾値A、B、Cが出力される。また、A/D変換器13および23において、静電容量の検出値はゲインによって増幅されない。なお、第2実施形態における画像形成装置1の他の構成は、第1実施形態で説明した画像形成装置1の構成と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0051】
第2実施形態で行われる判断処理について、図7の具体例を用いて説明する。図7の具体例では、タッチスイッチSW11がタッチされた場合の静電容量の検出値の最大値が、「120」である場合を説明する。また、タッチスイッチSW12がタッチされた場合の静電容量の検出値の最大値が、「80」である場合を説明する。また、閾値Aの値が「60」であり、閾値Bの値が「100」であり、閾値Cの値が「140」である場合を説明する。この場合、静電容量変換値C1の閾値BからCまでの範囲(100〜140)が、タッチ認識範囲TR1となる。また、静電容量変換値C1の閾値AからBまでの範囲(60〜100)が、タッチ認識範囲TR2となる。また、静電容量変換値C1の閾値C以上の範囲(140以上)が、タッチ認識範囲TR3となる。ここで、タッチ認識範囲TR1は、入力媒体がタッチスイッチSW11に接触した場合にA/D変換器13に入力される静電容量の検出値の最大値(120)が、タッチ認識範囲TR1(100〜140)の範囲内となるように定められている。また、タッチ認識範囲TR2は、入力媒体がタッチスイッチSW12に接触した場合にA/D変換器13に入力される静電容量の検出値の最大値(80)が、タッチ認識範囲TR2(60〜100)の範囲内となるように定められている。また、タッチ認識範囲TR3は、入力媒体がタッチスイッチSW11およびSW12の両方に接触した場合にA/D変換器13に入力される静電容量の検出値の最大値(120+80=200)が、タッチ認識範囲TR3(140以上)の範囲内となるように定められている。
【0052】
図7において、パターン(1)の場合(タッチスイッチSW11およびSW12の何れもタッチされていない場合)には、静電容量変換値C1は「0」となる。この場合、静電容量変換値C1の値がタッチ認識範囲TR1〜TR3の範囲外であるため、タッチスイッチSW11およびSW12の何れにも入力媒体が接触していないと判定することができる。
【0053】
また、パターン(2)の場合(タッチスイッチSW12のみがタッチされている場合)には、静電容量変換値C1は「80」となる。この場合には、静電容量変換値C1の値がタッチ認識範囲TR2(60〜100)の範囲内であるため、タッチスイッチSW12に対して入力媒体が接触していると判定することができる。
【0054】
また、パターン(3)の場合(タッチスイッチSW11のみがタッチされている場合)には、静電容量変換値C1は「120」となる。この場合には、静電容量変換値C1の値がタッチ認識範囲TR1(100〜140)の範囲内であるため、タッチスイッチSW11に対して入力媒体が接触していると判定することができる。
【0055】
また、パターン(4)の場合(タッチスイッチSW11およびSW12の両方がタッチされている場合)には、静電容量変換値C1は「120+80=200」となる。この場合には、静電容量変換値C1の値がタッチ認識範囲TR3(140以上)の範囲内であるため、タッチスイッチSW11およびSW12の両方に対して入力媒体が接触していると判定することができる。
【0056】
第2実施形態に係る画像形成装置1の動作を、図3および図4のフローを用いて説明する。第2実施形態では、図4のS136〜S158までのステップに代えて、静電容量変換値C1の値がタッチ認識範囲TR1〜TR3の何れか範囲内であるかを比較器15(または比較器25)で判断するステップを実行すればよい。なお、他のステップの各動作は、第1実施形態で説明したステップの各動作と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0057】
<第2実施形態の効果>
第2実施形態に係る画像形成装置1の効果を説明する。第2実施形態では、タッチスイッチSW11とSW12との間で、タッチされた場合の静電容量の検出値の最大値が異なるように設定されている。また、タッチ認識範囲TR1〜TR3の各々を、入力媒体がタッチスイッチSW11に接触した場合、入力媒体がタッチスイッチSW12に接触した場合、入力媒体がタッチスイッチSW11とSW12の両方に接触した場合、のそれぞれの場合に割り当てることができる。これにより、入力媒体が接触したタッチスイッチを検出することが可能となる。
【0058】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0059】
<変形例>
検知電極が出力可能な面積を異ならせる方法は、検知電極自体の面積を異ならせる方法に限られない。例えば、スイッチマークと検知電極との間に配置される、樹脂部の面積を異ならせる方法であってもよい。図8に、変形例に係る第1スイッチ部31aの、上面図およびVIII−VIII断面図を示す。第1スイッチ部31aでは、検知電極P11aの面積と検知電極P12aの面積とが同等とされる。また上面図において、検知電極P11a及びスイッチマークB11とそれぞれ接する樹脂部R11aの面積の方が、検知電極P12a及びスイッチマークB12とそれぞれ接する樹脂部R12aの面積よりも大きくされている。これにより、検知電極と入力媒体によって構成されるコンデンサの面積を、タッチスイッチSW12よりもタッチスイッチSW11方を大きくすることができる。よって、入力媒体が接触した場合にタッチスイッチSW11で発生する静電容量の最大値を、入力媒体が接触した場合にタッチスイッチSW12で発生する静電容量の最大値よりも大きくすることができる。
【0060】
入力媒体がスイッチマークB11に接触した場合にタッチスイッチSW11で発生する静電容量の最大値と、入力媒体がスイッチマークB12に接触した場合にタッチスイッチSW12で発生する静電容量の最大値とを互いに異ならせる方法は、検知電極の面積を互いに異ならせる方法に限られず、各種の方法が存在する。例えば、スイッチマークB11と検知電極P11との間の誘電率と、スイッチマークB12と検知電極P12との間の誘電率を互いに異ならせる方法であってもよい。図9に、変形例に係る第1スイッチ部31bの、上面図およびIX−IX断面図を示す。第1スイッチ部31bでは、上面図において、樹脂部R11bの面積と樹脂部R12bの面積とが同等とされている。また、スイッチマークB11が形成されている部分のスイッチパネル6bの下面と検知電極P11bとの距離D1の方が、スイッチマークB12が形成されている部分のスイッチパネル6bの下面と検知電極P12bとの距離D2よりも小さくされている。これにより、タッチスイッチSW11の誘電率の方を、タッチスイッチSW12の誘電率よりも大きくすることができる。
【0061】
図10に、変形例に係る第1スイッチ部31cの断面図を示す。図10の断面図は、図8のVIII−VIII断面図や、図9のIX−IX断面図と同様の位置における断面図である。第1スイッチ部31cでは、タッチスイッチSW12のスイッチパネル6の表面に、突起部7が形成されている。これにより、タッチスイッチSW11に比してタッチスイッチSW12の方が、入力媒体をスイッチパネル6の表面に密着しにくくすることができる。すなわち、タッチスイッチSW11に比してタッチスイッチSW12の方が、入力媒体とスイッチパネル6の表面との接触面積を小さくすることができる。よって、入力媒体が接触した場合にタッチスイッチSW11で発生する静電容量の最大値を、入力媒体が接触した場合にタッチスイッチSW12で発生する静電容量の最大値よりも大きくすることができる。
【0062】
図11に、変形例に係る第1スイッチ部31dの断面図を示す。図11の断面図は、図8のVIII−VIII断面図や、図9のIX−IX断面図と同様の位置における断面図である。第1スイッチ部31dでは、タッチスイッチSW12のスイッチパネル6の表面に、陥没部8が形成されている。これにより、タッチスイッチSW11に比してタッチスイッチSW12の方が、入力媒体をスイッチパネル6の表面に密着しにくくすることができる。すなわち、タッチスイッチSW11に比してタッチスイッチSW12の方が、入力媒体とスイッチパネル6の表面との接触面積を小さくすることができる。よって、入力媒体が接触した場合にタッチスイッチSW11で発生する静電容量の最大値を、入力媒体が接触した場合にタッチスイッチSW12で発生する静電容量の最大値よりも大きくすることができる。
【0063】
入力端子IT1およびIT2に接続されるタッチスイッチの数は、2つに限られず、3つ以上であってもよい。本願の技術によれば、3つ以上のタッチスイッチによって1つの入力端子を共用することも可能である。また、ASIC3に備えられる入力端子は、入力端子IT1およびIT2の2つに限られず、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0064】
A/D変換器13および23を備えない形態としてもよい。この場合、比較器15および25では、アナログ値の静電容量の検出値と閾値とを比較すればよい。
【0065】
本実施形態では、タッチ検出部41および42がASIC3の内部に備えられている場合を説明したが、この形態に限られず、タッチ検出部41および42がASIC3の外部に備えられていてもよい。
【0066】
A/D変換器13および23において、静電容量の検出値に対して各種の換算を行った上で、デジタル化する処理を行ってもよい。
【0067】
タッチスイッチでは、入力媒体(指先など)の接触の有無を検出するのみならず、入力媒体の接近の有無を検出する態様であってもよい。
【0068】
閾値X、Y、A、B、Cの値は、固定値に限られず、ユーザによって設定可能であるとしてもよい。例えば、ユーザの指の大きさに応じて、閾値X、Y、A、B、Cの値を自動的に設定するとしてもよい。この場合、画像形成装置1は、閾値の設定モードを備えていてもよい。閾値の設定モードでは、CPU10は、タッチスイッチの何れか1つにタッチする操作をユーザに要求する。タッチ入力が受け付けられると、CPU10は、タッチスイッチの静電容量の最大値に対する、タッチスイッチで発生した静電容量値の割合を算出する。そして、当該割合が小さくなるほど、閾値X、Y、A、B、Cの値を低く設定する。これは、検知電極が入力媒体によって覆われる面積に応じて、タッチスイッチで発生する静電容量値が決まるため、指先の小さいユーザほど、タッチスイッチにタッチしたときに発生する静電容量が小さくなってしまうためである。これにより、何れのユーザに対しても、確実にタッチ検出を行うことが可能とすることができる。
【0069】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【0070】
静電容量変換値C1は、静電容量出力値の一例である。A/D変換器13、検知電極P11およびP12は、静電容量出力手段の一例である。タッチ認識範囲TRは、容量範囲値の一例である。閾値レジスタ14は、記憶手段の一例である。S122を実行するCPU10は、タッチ検出手段の一例である。ゲインG1、G2は、倍率の一例である。有効タッチスイッチレジスタ11は、設定手段の一例である。
【符号の説明】
【0071】
1:画像形成装置、3:ASIC、10:CPU、11:有効タッチスイッチレジスタ、13および23:A/D変換器、14および24:閾値レジスタ、C1:静電容量変換値、G1およびG2:ゲイン、IT1およびIT2:入力端子、P11およびP12:検知電極、SW11およびSW12:タッチスイッチ
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の入力スイッチを備える入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ等の各種装置に、複数の静電スイッチを有する入力装置が備えられている場合がある。このような入力装置では、簡易な構成でより多くの静電スイッチを制御することが要求されている。特許文献1には、隣接して配置される複数の静電スイッチにおいて、静電スイッチに対して1つおきに検知電極を配置する構成が開示されている。当該構成では、検知電極に対応しない位置にある静電スイッチに対するタッチの有無は、隣接する2つの検知電極による電圧値によって判断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−242571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、検知電極に対応しない位置にある静電スイッチは、隣接する2つの検知電極により入力が判断されるため、静電スイッチ同士が直線状に近接して配置されている構成において好適であり、静電スイッチの配置が制限されるという問題がある。本明細書では、このような不便性を解消することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願に記載の入力装置は、入力媒体が接触した場合に当該入力媒体との間で発生する最大の静電容量値が互いに異なる複数のタッチスイッチと、直列に接続された複数のタッチスイッチに直列に接続され、入力媒体が複数のタッチスイッチの少なくとも何れか1つに接触または接近した場合に、そのタッチスイッチと入力媒体との間で発生する静電容量値に基づく静電容量出力値を出力する静電容量出力手段と、静電容量出力値を含む所定範囲を示す容量範囲値を記憶する記憶手段と、静電容量出力手段により出力された静電容量出力値と、記憶手段に記憶された容量範囲値との比較に基づいて、入力媒体により入力を受け付けたタッチスイッチを検出するタッチ検出手段と、を備えることを特徴とする。
【0006】
このように構成された入力装置によれば、1つの静電容量出力手段を用いて、複数のタッチスイッチの各々において、入力媒体により入力を受け付けたタッチスイッチを検出することが可能となる。これにより、静電容量出力手段とタッチスイッチとを1対1で接続する場合に比して、静電容量出力手段の必要数を減少させることが可能となる。また、静電容量出力手段が複数のタッチスイッチに直列に接続されていればよいため、複数のタッチスイッチの各々を自由に配置することが可能となる。
【0007】
また請求項2に記載の入力装置では、容量範囲値を、複数のタッチスイッチの間で共通とすることができる。これにより、複数のタッチスイッチの各々に異なる容量範囲値を割り当てる場合に比して、容量範囲値の範囲を広く設定することができるため、入力媒体により入力を受け付けたタッチスイッチを検出する感度を高めることができる。
【0008】
また請求項3に記載の入力装置では、静電容量出力値の各々が、複数のタッチスイッチの間で共通の容量範囲値の範囲内の値となるように、倍率が設定される。これにより、容量範囲値を、複数のタッチスイッチの間で共通とすることができる。
【0009】
また、請求項4に記載の入力装置では、不使用のタッチスイッチについて、静電容量値の変換動作を行う必要を無くすことができる。よって、使用するタッチスイッチにおける、入力媒体による入力の有無の検出速度を高めることができる。
【0010】
また、請求項5に記載の入力装置では、容量範囲値を、複数のタッチスイッチの各々に割り当てることができる。これにより、入力媒体により入力を受け付けたタッチスイッチを検出することが可能となる。
【0011】
また、請求項6に記載の入力装置では、少なくとも1つの閾値を用いることで、容量範囲値を識別することが可能となる。
【0012】
また、請求項7に記載の入力装置では、検知電極の面積を調整することにより、複数のタッチスイッチの各々において、入力媒体が接触した場合に当該入力媒体との間で発生する最大の静電容量値を異ならせることが可能となる。
【0013】
また、請求項8に記載の入力装置では、タッチ面と検知電極との間の誘電率を調整することにより、複数のタッチスイッチの各々において、入力媒体が接触した場合に当該入力媒体との間で発生する最大の静電容量値を異ならせることが可能となる。
【0014】
また、請求項9に記載の入力装置では、入力媒体がタッチ面に接触可能な接触面積を調整することにより、複数のタッチスイッチの各々において、入力媒体が接触した場合に当該入力媒体との間で発生する最大の静電容量値を異ならせることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】画像形成装置の制御構成を示すブロック図である。
【図2】第1スイッチ部の分解斜視図である。
【図3】画像形成装置の動作フローである。
【図4】画像形成装置の動作フローである。
【図5】タッチ入力の有無の判定方法を説明する図である。
【図6】タッチ入力の有無の判定方法を説明する図である。
【図7】タッチ入力の有無の判定方法を説明する図である。
【図8】第1スイッチ部の上面図および断面図である。
【図9】第1スイッチ部の上面図および断面図である。
【図10】第1スイッチ部の上面図および断面図である。
【図11】第1スイッチ部の上面図および断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る画像形成装置1の制御構成を示すブロック図である。画像形成装置1は、インクジェット方式に従う記録ヘッドを用いた画像形成装置である。なお、記録ヘッド、オートシートフィーダ機構、ペーパーフィード機構などの、画像形成に必要な各種の構成要素は、図1では図示を省略している。
【0017】
<画像形成装置1の構成>
図1に示すように、画像形成装置1は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)3、第1スイッチ部31および第2スイッチ部32を備える。第1スイッチ部31の構成を、図2の分解斜視図を用いて説明する。第1スイッチ部31は、配線基板5、検知電極P11およびP12、樹脂部R11およびR12、スイッチパネル6、を備える。配線基板5上には、検知電極P11およびP12が配置されている。検知電極P11およびP12は、配線L11によって互いに接続されている。検知電極P11は、配線L12によって、入力端子IT1に接続されている。すなわち、入力端子IT1には、検知電極P11およびP12が直列接続されている。検知電極P11およびP12とスイッチパネル6との間には、樹脂部R11およびR12が挟み込まれるようにして存在する。スイッチパネル6の上面には、スイッチマークB11およびB12が形成されている。スイッチパネル6は、例えば、樹脂やガラス等の材料により形成される。スイッチマークB11およびB12は、スイッチの位置や機能を表示する文字や図形などである。スイッチマークB11と検知電極P11とは、樹脂部R11を挟んで互いに対向するように配置されている。樹脂部R11は直方体の形状を有しており、その上面の面積は、スイッチマークB11の面積と同等とされている。同様に、スイッチマークB12と検知電極P12とは、樹脂部R12を挟んで互いに対向するように配置されている。樹脂部R12は直方体の形状を有しており、その上面の面積は、スイッチマークB12の面積と同等とされている。
【0018】
検知電極P11、樹脂部R11およびスイッチマークB11によって、静電容量式のタッチスイッチSW11が構成される。タッチスイッチSW11は、検知電極P11と入力媒体(例:ユーザの指先)によって構成されるコンデンサの静電容量変化を検出することによって、タッチの有無を判断するスイッチである。同様に、検知電極P12、樹脂部R12およびスイッチマークB12によって、静電容量式のタッチスイッチSW12が構成される。
【0019】
また、入力端子IT1に対して直列に接続されている検知電極P11およびP12では、検知電極P11の面積の方が、検知電極P12の面積よりも大きくされている。これにより、入力媒体がスイッチマークB11に接触した場合にタッチスイッチSW11で発生する静電容量の最大値が、入力媒体がスイッチマークB12に接触した場合にタッチスイッチSW12で発生する静電容量の最大値に比して、大きくなる。なお、静電容量の最大値とは、入力媒体によって検知電極の全面が覆われる場合に発生する静電容量値である。
【0020】
なお、第2スイッチ部32(図1)の構成も、第1スイッチ部31の構成と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0021】
ASIC3(図1)は、第1スイッチ部31および第2スイッチ部32や、画像形成に必要な各種の構成要素(不図示)を制御するための、特殊用途集積回路である。ASIC3は、CPU(Central Processing Unit)10、記憶部21、タッチ検出部41および42、入力端子IT1およびIT2、を備える。
【0022】
CPU10は、画像形成に関連する情報処理を行う回路である。CPU10は、有効タッチスイッチレジスタ11、検出結果レジスタ12を備える。有効タッチスイッチレジスタ11は、タッチスイッチSW11、SW12、SW21、SW22のうちの何れが有効タッチスイッチであるかについて、記憶するレジスタである。有効タッチスイッチとは、タッチ入力を受け付け可能なタッチスイッチである。有効タッチスイッチは、CPU10が取得する装置状態情報に基づいて設定される。装置状態情報は、画像形成装置1の装置状態(例:スタンバイ状態か否か、エラー状態か否か、画像形成装置1のFAX機能が使用中の状態であるか否か、など)を示す情報である。例えば、装置状態情報によって、画像形成装置1のFAX機能が使用中の状態であることが示されている場合には、FAX機能に関連するタッチスイッチ(例:数字キー)が、有効タッチスイッチとして有効タッチスイッチレジスタ11に一時的に記憶される。検出結果レジスタ12は、有効タッチスイッチの各々について、タッチ入力の有無の判定結果を記憶するレジスタである。
【0023】
記憶部21は、各種の設定情報を記憶する回路である。設定情報の一例としては、入力端子カウンタ値n、入力端子数T_NUM、ゲインG1およびG2、閾値XおよびY、などが挙げられる。入力端子カウンタ値nは、入力端子IT1およびIT2の何れの入力端子に接続されているスイッチ部について、タッチ入力有無の判断を実行した回数を示す値である。入力端子数T_NUMは、ASIC3に備えられている入力端子(スイッチ部が接続される端子)の数である。図1の例では、入力端子数T_NUMは「2」である。ゲインG1およびG2は、後述するA/D変換器13および23において、静電容量の検出値を増幅する際の倍率である。ゲインG1は、タッチスイッチSW11およびSW21に対応するゲインであり、タッチスイッチSW11およびSW21へのタッチ入力の有無を判定する際に用いられるゲインである。ゲインG2は、タッチスイッチSW12およびSW22に対応するゲインであり、タッチスイッチSW12およびSW22へのタッチ入力の有無を判定する際に用いられるゲインである。
【0024】
閾値XおよびYは、後述する静電容量変換値C1での、タッチ認識範囲を規定するための値である。タッチ認識範囲は、タッチスイッチに入力媒体がタッチされたか否かを判定するための、静電容量変換値C1の範囲である。具体的には、あるタッチスイッチから出力される静電容量変換値C1の値が、タッチ認識範囲の範囲内である場合には、当該タッチスイッチに入力媒体がタッチされていると判定することができる。
【0025】
タッチ検出部41は、A/D変換器13、閾値レジスタ14、比較器15、を備える。A/D変換器13の入力端子には、入力端子IT1が接続される。すなわちA/D変換器13には、検知電極P11およびP12が直列に接続されている。A/D変換器13には、CPU10からのゲイン設定信号GS1が入力される。A/D変換器13からは、静電容量変換値C1が出力される。閾値レジスタ14は、CPU10からの閾値設定信号TS1が入力される。閾値レジスタ14からは、閾値XおよびYが出力される。比較器15には、A/D変換器13から出力される静電容量変換値C1と、閾値レジスタ14から出力される閾値XおよびYが入力される。比較器15の出力はCPU10に入力される。
【0026】
A/D変換器13は、入力媒体(指先など)がタッチスイッチSW11およびSW12の少なくとも何れか1つに接触した場合に、検知電極P11およびP12と入力媒体との間で発生する静電容量を検出する部位である。またA/D変換器13は、静電容量の検出値(アナログ値)を、設定されたゲイン値に基づいて増幅し、AD変換によりデジタル値に変換して静電容量変換値C1を生成する。A/D変換器13のゲイン値は、CPU10が出力するゲイン設定信号GS1によって、ゲインG1またはG2に設定される。
【0027】
閾値レジスタ14は、設定された閾値を比較器15へ出力する部位である。閾値レジスタ14の閾値は、CPU10が出力する閾値設定信号TS1によって、閾値XおよびYに設定される。
【0028】
比較器15は、A/D変換器13から出力される静電容量変換値C1と、閾値レジスタ14から出力される閾値XおよびYとに基づいて、入力媒体によりタッチされたタッチスイッチを検出する部位である。具体的には、比較器15は、静電容量変換値C1と閾値XおよびYとを比較して、静電容量変換値C1がタッチ認識範囲TRの範囲内であるか否かを判断する。
【0029】
比較器15で行われる判断処理について、図5および図6の具体例を用いて説明する。図5および図6の具体例では、ゲインG1によって設定される倍率の値が「1.0」であり、ゲインG2によって設定される倍率の値が「1.5」である場合を説明する。また、タッチスイッチSW11がタッチされた場合の静電容量の検出値(ゲインによる増幅前の値)の最大値が、「120」である場合を説明する。また、タッチスイッチSW12がタッチされた場合の静電容量の検出値(ゲインによる増幅前の値)の最大値が、「80」である場合を説明する。また、閾値Xの値が「100」であり、閾値Yの値が「140」の場合を説明する。この場合、静電容量変換値C1の100〜140までの範囲が、タッチ認識範囲TRとなる。ここで、ゲインG1によって設定される倍率の値(1.0)は、入力媒体がタッチスイッチSW11に接触した場合にA/D変換器13に入力される静電容量の検出値の最大値(120)に、ゲインG1を乗じた値が、タッチ認識範囲TR(100〜140)の範囲内となるように定められている。また、ゲインG2によって設定される倍率の値(1.5)は、入力媒体がタッチスイッチSW12に接触した場合にA/D変換器13に入力される静電容量の検出値の最大値(80)に、ゲインG2を乗じた値が、タッチ認識範囲TR(100〜140)の範囲内となるように定められている。
【0030】
図5を用いて、A/D変換器13のゲインが、ゲインG1(1.0)に設定される場合を説明する。ゲインG1(1.0)は、タッチスイッチSW11に対する入力媒体の接触の有無を検出する場合に用いられるゲインである。図5において、パターン(1)の場合(タッチスイッチSW11およびSW12の何れもタッチされていない場合)には、静電容量変換値C1は「0」となる。また、パターン(2)の場合(タッチスイッチSW12のみがタッチされている場合)には、静電容量変換値C1は「80」となる。また、パターン(4)の場合(タッチスイッチSW11およびSW12の両方がタッチされている場合)には、静電容量変換値C1は「120+80=200」となる。よってパターン(1)(2)(4)の場合には、静電容量変換値C1の値がタッチ認識範囲TR(100〜140)の範囲外であるため、タッチスイッチSW11に入力媒体が接触していないと判定することができる。
【0031】
一方、図5において、パターン(3)の場合(タッチスイッチSW11のみがタッチされている場合)には、静電容量変換値C1は「120」となる。この場合には、静電容量変換値C1の値がタッチ認識範囲TR(100〜140)の範囲内であるため、タッチスイッチSW11に対して入力媒体が接触していると判定することができる。
【0032】
図6を用いて、A/D変換器13のゲインが、ゲインG2(1.5)に設定される場合を説明する。ゲインG2(1.5)は、タッチスイッチSW12に対する入力媒体の接触の有無を検出する場合に用いられるゲインである。図6において、パターン(1)の場合(タッチスイッチSW11およびSW12の何れもタッチされていない場合)には、静電容量変換値C1は「0」となる。また、パターン(3)の場合(タッチスイッチSW11のみがタッチされている場合)には、静電容量変換値C1は「120×1.5=180」となる。また、パターン(4)の場合(タッチスイッチSW11およびSW12の両方がタッチされている場合)には、静電容量変換値C1は「120×1.5+80×1.5=300」となる。よってパターン(1)(3)(4)の場合には、静電容量変換値C1の値がタッチ認識範囲TR(100〜140)の範囲外であるため、タッチスイッチSW12に対して入力媒体が接触していないと判定することができる。
【0033】
一方、図6において、パターン(2)の場合(タッチスイッチSW12のみがタッチされている場合)には、静電容量変換値C1は「80×1.5=120」となる。この場合には、静電容量変換値C1の値がタッチ認識範囲TR(100〜140)の範囲内であるため、タッチスイッチSW12に対して入力媒体が接触していると判定することができる。
【0034】
なお、タッチ検出部42の構成は、タッチ検出部41の構成と同様であるため、詳細な説明は省略する。また、タッチ検出部42に備えられるA/D変換器23、閾値レジスタ24、比較器25の各々の動作は、前述したA/D変換器13、閾値レジスタ14、比較器15の動作と同様であるため、詳細な説明は省略する。
<画像形成装置1の動作>
画像形成装置1の動作を、図3および図4のフローを用いて説明する。画像形成装置1の電源が投入されると、図3および図4のフローが開始される。図3および図4のフローは、画像形成装置1の電源がオン状態である期間中に実行され続けるフローである。
【0035】
S112において、CPU10は、タッチ検出部41および42の初期化を実行する。初期化の具体例としては、環境変化によるセンサ取得値のバラツキを抑えるためのキャリブレーション、閾値レジスタ14への閾値の設定、A/D変換器13のゲイン値の設定、などが挙げられる。
【0036】
S114において、CPU10は、画像形成装置1の装置状態情報を取得する。S116において、CPU10は、取得した装置状態情報に基づいて、タッチスイッチSW11、SW12、SW21、SW22のうちから、有効タッチスイッチを抽出する。CPU10は、抽出した有効タッチスイッチを、有効タッチスイッチレジスタ11に記憶する。
【0037】
S118において、CPU10は、入力端子カウンタ値nを「1」に設定する。これにより、タッチ入力有無の判断を実行する端子として、入力端子IT1が選択される。
【0038】
S120において、CPU10は、ASIC3の全ての入力端子(入力端子IT1およびIT2)について、タッチ入力有無の判断が実行されたか否かを判断する。具体的には、入力端子カウンタ値nが、入力端子数T_NUMよりも大きいか否かを判断する。全ての入力端子についてタッチ入力有無の判断が実行された場合(S120:Y)には、S122へ進む。S122において、CPU10は、検出結果レジスタ12の記憶内容に従ってタッチされたタッチスイッチを判定し、タッチされたタッチスイッチに割り当てられている処理を実行する。
【0039】
一方、ASIC3の全ての入力端子について、タッチ入力有無の判断が実行されていない場合(S120:NO)には、S130へ進む。S130において、CPU10は、現在選択されている入力端子に接続されている2つのタッチスイッチのうち、何れのタッチスイッチが有効タッチスイッチに設定されているかについての情報を、有効タッチスイッチレジスタ11から読み出す。
【0040】
S132(図4)において、CPU10は、現在選択されている入力端子に接続されている全てのタッチスイッチが、有効タッチスイッチに設定されていない状態であるか否かを判断する。現在選択されている入力端子に接続されている全てのタッチスイッチが、有効タッチスイッチに設定されていない場合(S132:YES)には、タッチ入力の有無を判定することなく、S160へ進む。一方、少なくとも1つのタッチスイッチが有効タッチスイッチに設定されている場合(S132:NO)には、S136へ進む。
【0041】
S136において、CPU10は、現在選択されている入力端子に接続されているタッチスイッチのうち、有効タッチスイッチに設定されているタッチスイッチの数を、有効タッチスイッチレジスタ11から読み出した情報に基づいて判断する。有効タッチスイッチに設定されているタッチスイッチの数が2つの場合(S136:2つ)には、S152へ進む。
【0042】
S152において、CPU10は、現在選択されている入力端子に接続されているA/D変換器に対して、ゲインG1(1.0)を設定する。これにより、図5で前述したように、タッチスイッチSW11(またはSW21)へのタッチ入力の有無を判定することが可能な状態とされる。S154において、比較器15(または比較器25)は、静電容量変換値C1とタッチ認識範囲TRとの比較結果を、CPU10へ出力する。CPU10は、受信した比較結果に基づいて、静電容量変換値C1の値がタッチ認識範囲TRの範囲内であるか否かを判断する。そして、判断結果を検出結果レジスタ12に記憶させる。
【0043】
S156において、CPU10は、現在選択されている入力端子に接続されているA/D変換器に対して、ゲインG2(1.5)に設定する。これにより、図6で前述したように、タッチスイッチSW12(またはSW22)へのタッチ入力の有無を判定することが可能な状態とされる。S158において、比較器15(または比較器25)は、静電容量変換値C1とタッチ認識範囲TRとの比較結果を、CPU10へ出力する。CPU10は、受信した比較結果に基づいて、静電容量変換値C1の値がタッチ認識範囲TRの範囲内であるか否かを判断する。そして、判断結果を検出結果レジスタ12に記憶させる。
【0044】
S160において、CPU10は、入力端子カウンタ値nを1カウントアップする。これにより、ASIC3に備えられている複数の入力端子から、次の入力端子が選択される。そしてS120へ戻る。
【0045】
一方、S136において、有効タッチスイッチに設定されているタッチスイッチの数が1つの場合(S136:1つ)には、S137へ進む。S137においてCPU10は、有効タッチスイッチレジスタ11から読み出した情報に基づいて、有効タッチスイッチに設定されているタッチスイッチを判断する。タッチスイッチSW11(またはSW21)が有効タッチスイッチに設定されている場合(S137:SW11、SW21)には、S138へ進み、現在選択されている入力端子に接続されているA/D変換器に対して、ゲインG1(1.0)を設定する。一方、タッチスイッチSW12(またはSW22)が有効タッチスイッチに設定されている場合(S137:SW12、SW22)には、S139へ進み、現在選択されている入力端子に接続されているA/D変換器に対して、ゲインG2(1.5)を設定する。S140において、比較器15(または比較器25)は、静電容量変換値C1とタッチ認識範囲TRとの比較結果を、CPU10へ出力する。CPU10は、受信した比較結果に基づいて、静電容量変換値C1の値がタッチ認識範囲TRの範囲内であるか否かを判断する。そして、判断結果を検出結果レジスタ12に記憶させる。そしてS160へ進む。
【0046】
<第1実施形態の効果>
第1実施形態に係る画像形成装置1の効果を説明する。画像形成装置1では、1つの入力端子IT1に接続された2つのタッチスイッチSW11およびSW12の各々について、タッチスイッチSW11へのタッチ入力の有無の判定(S154)と、タッチスイッチSW12へのタッチ入力の有無の判定(S158)とを行うことができる。すなわち、2つのタッチスイッチSW11およびSW12によって、1つの入力端子IT1を時分割して共用することができる。これにより、ASIC3の入力端子とタッチスイッチとを1対1で接続する場合に比して、入力端子の必要数を減少させることが可能となる。また、入力端子IT1が2つのタッチスイッチSW11およびSW12に直列に接続されていればよいため、2つのタッチスイッチSW11およびSW12の配置位置を自由に設定することが可能となる。なお、1つの入力端子IT2に接続された2つのタッチスイッチSW21およびSW22についても、同様の効果が得られる。
【0047】
また、タッチスイッチSW11とSW12との間で、タッチされた場合の静電容量の検出値(ゲインによる増幅前の値)の最大値が異なるように設定されている。また、静電容量の検出値の最大値にゲインを乗じた値がタッチ認識範囲TRの範囲内となるように、ゲインG1およびG2の各々が設定されている。これにより、1つのタッチ認識範囲TRを、2つのタッチスイッチSW11およびSW12の間で共通とすることができる。これにより、タッチスイッチSW11およびSW12の各々に異なるタッチ認識範囲TRを割り当てる場合に比して、タッチ認識範囲TRの範囲を広く設定することができるため、入力媒体により入力を受け付けたタッチスイッチを検出する精度を高めることができる。
【0048】
また、S116において有効タッチスイッチとして検出されていないタッチスイッチについて、タッチ入力の有無の判定(S140、S154、S158)を行う必要を無くすことができる。よって、画像形成装置1の処理負担を軽減することができる。また、有効タッチスイッチにおける、タッチ入力の有無の判定速度を高めることができる。
【0049】
また、検知電極P11の面積の方が、検知電極P12の面積よりも大きくされている。これにより、入力媒体がスイッチマークB11に接触した場合にタッチスイッチSW11で発生する静電容量の最大値(120)を、入力媒体がスイッチマークB12に接触した場合にタッチスイッチSW12で発生する静電容量の最大値(80)に比して、大きくすることができる。
【0050】
<第2実施形態>
第2実施形態は、比較器15および25で行われる、タッチ入力の有無の判断処理の変形例である。第2実施形態では、記憶部21に閾値A、B、Cが記憶される。また、閾値レジスタ14からは、閾値A、B、Cが出力される。また、A/D変換器13および23において、静電容量の検出値はゲインによって増幅されない。なお、第2実施形態における画像形成装置1の他の構成は、第1実施形態で説明した画像形成装置1の構成と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0051】
第2実施形態で行われる判断処理について、図7の具体例を用いて説明する。図7の具体例では、タッチスイッチSW11がタッチされた場合の静電容量の検出値の最大値が、「120」である場合を説明する。また、タッチスイッチSW12がタッチされた場合の静電容量の検出値の最大値が、「80」である場合を説明する。また、閾値Aの値が「60」であり、閾値Bの値が「100」であり、閾値Cの値が「140」である場合を説明する。この場合、静電容量変換値C1の閾値BからCまでの範囲(100〜140)が、タッチ認識範囲TR1となる。また、静電容量変換値C1の閾値AからBまでの範囲(60〜100)が、タッチ認識範囲TR2となる。また、静電容量変換値C1の閾値C以上の範囲(140以上)が、タッチ認識範囲TR3となる。ここで、タッチ認識範囲TR1は、入力媒体がタッチスイッチSW11に接触した場合にA/D変換器13に入力される静電容量の検出値の最大値(120)が、タッチ認識範囲TR1(100〜140)の範囲内となるように定められている。また、タッチ認識範囲TR2は、入力媒体がタッチスイッチSW12に接触した場合にA/D変換器13に入力される静電容量の検出値の最大値(80)が、タッチ認識範囲TR2(60〜100)の範囲内となるように定められている。また、タッチ認識範囲TR3は、入力媒体がタッチスイッチSW11およびSW12の両方に接触した場合にA/D変換器13に入力される静電容量の検出値の最大値(120+80=200)が、タッチ認識範囲TR3(140以上)の範囲内となるように定められている。
【0052】
図7において、パターン(1)の場合(タッチスイッチSW11およびSW12の何れもタッチされていない場合)には、静電容量変換値C1は「0」となる。この場合、静電容量変換値C1の値がタッチ認識範囲TR1〜TR3の範囲外であるため、タッチスイッチSW11およびSW12の何れにも入力媒体が接触していないと判定することができる。
【0053】
また、パターン(2)の場合(タッチスイッチSW12のみがタッチされている場合)には、静電容量変換値C1は「80」となる。この場合には、静電容量変換値C1の値がタッチ認識範囲TR2(60〜100)の範囲内であるため、タッチスイッチSW12に対して入力媒体が接触していると判定することができる。
【0054】
また、パターン(3)の場合(タッチスイッチSW11のみがタッチされている場合)には、静電容量変換値C1は「120」となる。この場合には、静電容量変換値C1の値がタッチ認識範囲TR1(100〜140)の範囲内であるため、タッチスイッチSW11に対して入力媒体が接触していると判定することができる。
【0055】
また、パターン(4)の場合(タッチスイッチSW11およびSW12の両方がタッチされている場合)には、静電容量変換値C1は「120+80=200」となる。この場合には、静電容量変換値C1の値がタッチ認識範囲TR3(140以上)の範囲内であるため、タッチスイッチSW11およびSW12の両方に対して入力媒体が接触していると判定することができる。
【0056】
第2実施形態に係る画像形成装置1の動作を、図3および図4のフローを用いて説明する。第2実施形態では、図4のS136〜S158までのステップに代えて、静電容量変換値C1の値がタッチ認識範囲TR1〜TR3の何れか範囲内であるかを比較器15(または比較器25)で判断するステップを実行すればよい。なお、他のステップの各動作は、第1実施形態で説明したステップの各動作と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0057】
<第2実施形態の効果>
第2実施形態に係る画像形成装置1の効果を説明する。第2実施形態では、タッチスイッチSW11とSW12との間で、タッチされた場合の静電容量の検出値の最大値が異なるように設定されている。また、タッチ認識範囲TR1〜TR3の各々を、入力媒体がタッチスイッチSW11に接触した場合、入力媒体がタッチスイッチSW12に接触した場合、入力媒体がタッチスイッチSW11とSW12の両方に接触した場合、のそれぞれの場合に割り当てることができる。これにより、入力媒体が接触したタッチスイッチを検出することが可能となる。
【0058】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0059】
<変形例>
検知電極が出力可能な面積を異ならせる方法は、検知電極自体の面積を異ならせる方法に限られない。例えば、スイッチマークと検知電極との間に配置される、樹脂部の面積を異ならせる方法であってもよい。図8に、変形例に係る第1スイッチ部31aの、上面図およびVIII−VIII断面図を示す。第1スイッチ部31aでは、検知電極P11aの面積と検知電極P12aの面積とが同等とされる。また上面図において、検知電極P11a及びスイッチマークB11とそれぞれ接する樹脂部R11aの面積の方が、検知電極P12a及びスイッチマークB12とそれぞれ接する樹脂部R12aの面積よりも大きくされている。これにより、検知電極と入力媒体によって構成されるコンデンサの面積を、タッチスイッチSW12よりもタッチスイッチSW11方を大きくすることができる。よって、入力媒体が接触した場合にタッチスイッチSW11で発生する静電容量の最大値を、入力媒体が接触した場合にタッチスイッチSW12で発生する静電容量の最大値よりも大きくすることができる。
【0060】
入力媒体がスイッチマークB11に接触した場合にタッチスイッチSW11で発生する静電容量の最大値と、入力媒体がスイッチマークB12に接触した場合にタッチスイッチSW12で発生する静電容量の最大値とを互いに異ならせる方法は、検知電極の面積を互いに異ならせる方法に限られず、各種の方法が存在する。例えば、スイッチマークB11と検知電極P11との間の誘電率と、スイッチマークB12と検知電極P12との間の誘電率を互いに異ならせる方法であってもよい。図9に、変形例に係る第1スイッチ部31bの、上面図およびIX−IX断面図を示す。第1スイッチ部31bでは、上面図において、樹脂部R11bの面積と樹脂部R12bの面積とが同等とされている。また、スイッチマークB11が形成されている部分のスイッチパネル6bの下面と検知電極P11bとの距離D1の方が、スイッチマークB12が形成されている部分のスイッチパネル6bの下面と検知電極P12bとの距離D2よりも小さくされている。これにより、タッチスイッチSW11の誘電率の方を、タッチスイッチSW12の誘電率よりも大きくすることができる。
【0061】
図10に、変形例に係る第1スイッチ部31cの断面図を示す。図10の断面図は、図8のVIII−VIII断面図や、図9のIX−IX断面図と同様の位置における断面図である。第1スイッチ部31cでは、タッチスイッチSW12のスイッチパネル6の表面に、突起部7が形成されている。これにより、タッチスイッチSW11に比してタッチスイッチSW12の方が、入力媒体をスイッチパネル6の表面に密着しにくくすることができる。すなわち、タッチスイッチSW11に比してタッチスイッチSW12の方が、入力媒体とスイッチパネル6の表面との接触面積を小さくすることができる。よって、入力媒体が接触した場合にタッチスイッチSW11で発生する静電容量の最大値を、入力媒体が接触した場合にタッチスイッチSW12で発生する静電容量の最大値よりも大きくすることができる。
【0062】
図11に、変形例に係る第1スイッチ部31dの断面図を示す。図11の断面図は、図8のVIII−VIII断面図や、図9のIX−IX断面図と同様の位置における断面図である。第1スイッチ部31dでは、タッチスイッチSW12のスイッチパネル6の表面に、陥没部8が形成されている。これにより、タッチスイッチSW11に比してタッチスイッチSW12の方が、入力媒体をスイッチパネル6の表面に密着しにくくすることができる。すなわち、タッチスイッチSW11に比してタッチスイッチSW12の方が、入力媒体とスイッチパネル6の表面との接触面積を小さくすることができる。よって、入力媒体が接触した場合にタッチスイッチSW11で発生する静電容量の最大値を、入力媒体が接触した場合にタッチスイッチSW12で発生する静電容量の最大値よりも大きくすることができる。
【0063】
入力端子IT1およびIT2に接続されるタッチスイッチの数は、2つに限られず、3つ以上であってもよい。本願の技術によれば、3つ以上のタッチスイッチによって1つの入力端子を共用することも可能である。また、ASIC3に備えられる入力端子は、入力端子IT1およびIT2の2つに限られず、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0064】
A/D変換器13および23を備えない形態としてもよい。この場合、比較器15および25では、アナログ値の静電容量の検出値と閾値とを比較すればよい。
【0065】
本実施形態では、タッチ検出部41および42がASIC3の内部に備えられている場合を説明したが、この形態に限られず、タッチ検出部41および42がASIC3の外部に備えられていてもよい。
【0066】
A/D変換器13および23において、静電容量の検出値に対して各種の換算を行った上で、デジタル化する処理を行ってもよい。
【0067】
タッチスイッチでは、入力媒体(指先など)の接触の有無を検出するのみならず、入力媒体の接近の有無を検出する態様であってもよい。
【0068】
閾値X、Y、A、B、Cの値は、固定値に限られず、ユーザによって設定可能であるとしてもよい。例えば、ユーザの指の大きさに応じて、閾値X、Y、A、B、Cの値を自動的に設定するとしてもよい。この場合、画像形成装置1は、閾値の設定モードを備えていてもよい。閾値の設定モードでは、CPU10は、タッチスイッチの何れか1つにタッチする操作をユーザに要求する。タッチ入力が受け付けられると、CPU10は、タッチスイッチの静電容量の最大値に対する、タッチスイッチで発生した静電容量値の割合を算出する。そして、当該割合が小さくなるほど、閾値X、Y、A、B、Cの値を低く設定する。これは、検知電極が入力媒体によって覆われる面積に応じて、タッチスイッチで発生する静電容量値が決まるため、指先の小さいユーザほど、タッチスイッチにタッチしたときに発生する静電容量が小さくなってしまうためである。これにより、何れのユーザに対しても、確実にタッチ検出を行うことが可能とすることができる。
【0069】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【0070】
静電容量変換値C1は、静電容量出力値の一例である。A/D変換器13、検知電極P11およびP12は、静電容量出力手段の一例である。タッチ認識範囲TRは、容量範囲値の一例である。閾値レジスタ14は、記憶手段の一例である。S122を実行するCPU10は、タッチ検出手段の一例である。ゲインG1、G2は、倍率の一例である。有効タッチスイッチレジスタ11は、設定手段の一例である。
【符号の説明】
【0071】
1:画像形成装置、3:ASIC、10:CPU、11:有効タッチスイッチレジスタ、13および23:A/D変換器、14および24:閾値レジスタ、C1:静電容量変換値、G1およびG2:ゲイン、IT1およびIT2:入力端子、P11およびP12:検知電極、SW11およびSW12:タッチスイッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力媒体が接触した場合に当該入力媒体との間で発生する最大の静電容量値が互いに異なる複数のタッチスイッチと、
直列に接続された前記複数のタッチスイッチに直列に接続され、入力媒体が前記複数のタッチスイッチの少なくとも何れか1つに接触または接近した場合に、そのタッチスイッチと前記入力媒体との間で発生する静電容量値に基づく静電容量出力値を出力する静電容量出力手段と、
前記静電容量出力値を含む所定範囲を示す容量範囲値を記憶する記憶手段と、
前記静電容量出力手段により出力された静電容量出力値と、前記記憶手段に記憶された容量範囲値との比較に基づいて、前記入力媒体により入力を受け付けたタッチスイッチを検出するタッチ検出手段と、
を備えることを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記タッチスイッチと前記入力媒体との間で発生する静電容量値を変換するための倍率を、前記複数のタッチスイッチ各々について記憶する倍率記憶手段をさらに備え、
前記記憶手段は、1の前記容量範囲値を記憶し、
前記静電容量出力手段は、前記倍率記憶手段に記憶されている複数のタッチスイッチ各々に対応する倍率に基づいて、入力媒体が前記複数のタッチスイッチの少なくとも何れか1つに接触または接近した場合にそのタッチスイッチと前記入力媒体との間で発生する静電容量値を変換して静電容量出力値を出力し、
前記タッチ検出手段は、前記静電容量出力手段により出力された前記静電容量出力値の何れか1つが前記1の容量範囲値の範囲内である場合、当該範囲内となる静電容量出力値を生成した倍率に対応するタッチスイッチを、前記入力媒体により入力を受け付けたタッチスイッチとして検出することを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記倍率は、前記複数のタッチスイッチ各々について、入力媒体が1の前記タッチスイッチに接触または接近した場合に当該タッチスイッチと当該入力媒体との間で発生する静電容量値に基づく前記静電容量出力値の各々が、前記記憶手段に記憶された1の容量範囲値の範囲内の値となるように設定されることを特徴とする請求項2に記載の入力装置。
【請求項4】
前記複数のタッチスイッチのうち、不使用のタッチスイッチを少なくとも1つ設定する設定手段をさらに備え、
前記静電容量出力手段は、前記設定手段で不使用のタッチスイッチに設定されたタッチスイッチに対応する倍率に基づいて、前記タッチスイッチと前記入力媒体との間で発生する静電容量値の変換を行わないことを特徴とする請求項2または3に記載の入力装置。
【請求項5】
前記記憶手段は、入力媒体が前記タッチスイッチに接触または接近した場合に当該タッチスイッチと当該入力媒体との間で発生する静電容量値を含む所定範囲を示す容量範囲値を、前記複数のタッチスイッチ各々について記憶し、
前記タッチ検出手段は、前記静電容量出力手段から出力される前記静電容量出力値が複数の容量範囲値の何れかの範囲内である場合、当該容量範囲値に対応するタッチスイッチを、前記入力媒体により入力を受け付けたタッチスイッチとして検出することを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項6】
前記記憶手段は、前記容量範囲値を規定する少なくとも1つの閾値を記憶し、
前記タッチ検出手段は、前記静電容量出力手段から出力された静電容量出力値と前記少なくとも1つの閾値とを比較して、当該静電容量出力値が前記容量範囲値の範囲内であるか否かを判断することを特徴とする請求項1ないし5の何れか1項に記載の入力装置。
【請求項7】
前記複数のタッチスイッチの各々は、入力媒体が接触するタッチ面と対向する位置に検知電極を備えており、
前記検知電極の面積は、前記複数のタッチスイッチの各々の間で互いに異なっており、
前記静電容量出力手段は、前記入力媒体が前記複数のタッチスイッチの少なくとも何れか1つに対向するタッチ面に接触または接近した場合に、前記検知電極と前記入力媒体との間で発生する静電容量値に基づく静電容量出力値を出力することを特徴とする請求項1ないし6の何れか1項に記載の入力装置。
【請求項8】
前記複数のタッチスイッチの各々は、入力媒体が接触するタッチ面と対向する位置に検知電極を備えており、
前記タッチ面と前記検知電極との間の誘電率が、前記複数のタッチスイッチの各々の間で互いに異なっており、
前記静電容量出力手段は、前記入力媒体が前記複数のタッチスイッチの少なくとも何れか1つに対向するタッチ面に接触または接近した場合に、前記検知電極と前記入力媒体との間で発生する静電容量値に基づく静電容量出力値を出力することを特徴とする請求項1ないし6の何れか1項に記載の入力装置。
【請求項9】
前記複数のタッチスイッチの各々は、入力媒体が接触するタッチ面と対向する位置に検知電極を備えており、
入力媒体が前記タッチ面に接触可能な接触面積が、前記複数のタッチスイッチの各々の間で互いに異なっており、
前記静電容量出力手段は、前記入力媒体が前記複数のタッチスイッチの少なくとも何れか1つに対向するタッチ面に接触または接近した場合に、前記検知電極と前記入力媒体との間で発生する静電容量値に基づく静電容量出力値を出力することを特徴とする請求項1ないし6の何れか1項に記載の入力装置。
【請求項1】
入力媒体が接触した場合に当該入力媒体との間で発生する最大の静電容量値が互いに異なる複数のタッチスイッチと、
直列に接続された前記複数のタッチスイッチに直列に接続され、入力媒体が前記複数のタッチスイッチの少なくとも何れか1つに接触または接近した場合に、そのタッチスイッチと前記入力媒体との間で発生する静電容量値に基づく静電容量出力値を出力する静電容量出力手段と、
前記静電容量出力値を含む所定範囲を示す容量範囲値を記憶する記憶手段と、
前記静電容量出力手段により出力された静電容量出力値と、前記記憶手段に記憶された容量範囲値との比較に基づいて、前記入力媒体により入力を受け付けたタッチスイッチを検出するタッチ検出手段と、
を備えることを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記タッチスイッチと前記入力媒体との間で発生する静電容量値を変換するための倍率を、前記複数のタッチスイッチ各々について記憶する倍率記憶手段をさらに備え、
前記記憶手段は、1の前記容量範囲値を記憶し、
前記静電容量出力手段は、前記倍率記憶手段に記憶されている複数のタッチスイッチ各々に対応する倍率に基づいて、入力媒体が前記複数のタッチスイッチの少なくとも何れか1つに接触または接近した場合にそのタッチスイッチと前記入力媒体との間で発生する静電容量値を変換して静電容量出力値を出力し、
前記タッチ検出手段は、前記静電容量出力手段により出力された前記静電容量出力値の何れか1つが前記1の容量範囲値の範囲内である場合、当該範囲内となる静電容量出力値を生成した倍率に対応するタッチスイッチを、前記入力媒体により入力を受け付けたタッチスイッチとして検出することを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記倍率は、前記複数のタッチスイッチ各々について、入力媒体が1の前記タッチスイッチに接触または接近した場合に当該タッチスイッチと当該入力媒体との間で発生する静電容量値に基づく前記静電容量出力値の各々が、前記記憶手段に記憶された1の容量範囲値の範囲内の値となるように設定されることを特徴とする請求項2に記載の入力装置。
【請求項4】
前記複数のタッチスイッチのうち、不使用のタッチスイッチを少なくとも1つ設定する設定手段をさらに備え、
前記静電容量出力手段は、前記設定手段で不使用のタッチスイッチに設定されたタッチスイッチに対応する倍率に基づいて、前記タッチスイッチと前記入力媒体との間で発生する静電容量値の変換を行わないことを特徴とする請求項2または3に記載の入力装置。
【請求項5】
前記記憶手段は、入力媒体が前記タッチスイッチに接触または接近した場合に当該タッチスイッチと当該入力媒体との間で発生する静電容量値を含む所定範囲を示す容量範囲値を、前記複数のタッチスイッチ各々について記憶し、
前記タッチ検出手段は、前記静電容量出力手段から出力される前記静電容量出力値が複数の容量範囲値の何れかの範囲内である場合、当該容量範囲値に対応するタッチスイッチを、前記入力媒体により入力を受け付けたタッチスイッチとして検出することを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項6】
前記記憶手段は、前記容量範囲値を規定する少なくとも1つの閾値を記憶し、
前記タッチ検出手段は、前記静電容量出力手段から出力された静電容量出力値と前記少なくとも1つの閾値とを比較して、当該静電容量出力値が前記容量範囲値の範囲内であるか否かを判断することを特徴とする請求項1ないし5の何れか1項に記載の入力装置。
【請求項7】
前記複数のタッチスイッチの各々は、入力媒体が接触するタッチ面と対向する位置に検知電極を備えており、
前記検知電極の面積は、前記複数のタッチスイッチの各々の間で互いに異なっており、
前記静電容量出力手段は、前記入力媒体が前記複数のタッチスイッチの少なくとも何れか1つに対向するタッチ面に接触または接近した場合に、前記検知電極と前記入力媒体との間で発生する静電容量値に基づく静電容量出力値を出力することを特徴とする請求項1ないし6の何れか1項に記載の入力装置。
【請求項8】
前記複数のタッチスイッチの各々は、入力媒体が接触するタッチ面と対向する位置に検知電極を備えており、
前記タッチ面と前記検知電極との間の誘電率が、前記複数のタッチスイッチの各々の間で互いに異なっており、
前記静電容量出力手段は、前記入力媒体が前記複数のタッチスイッチの少なくとも何れか1つに対向するタッチ面に接触または接近した場合に、前記検知電極と前記入力媒体との間で発生する静電容量値に基づく静電容量出力値を出力することを特徴とする請求項1ないし6の何れか1項に記載の入力装置。
【請求項9】
前記複数のタッチスイッチの各々は、入力媒体が接触するタッチ面と対向する位置に検知電極を備えており、
入力媒体が前記タッチ面に接触可能な接触面積が、前記複数のタッチスイッチの各々の間で互いに異なっており、
前記静電容量出力手段は、前記入力媒体が前記複数のタッチスイッチの少なくとも何れか1つに対向するタッチ面に接触または接近した場合に、前記検知電極と前記入力媒体との間で発生する静電容量値に基づく静電容量出力値を出力することを特徴とする請求項1ないし6の何れか1項に記載の入力装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−114827(P2013−114827A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258471(P2011−258471)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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