説明

入浴装置

【課題】音波振動を発生させるためにケーブルの配線引き回しが不要であり、面倒な設置作業を行うことなく浴槽内で簡単に使用することができる入浴装置を提供することを目的とする。
【解決手段】入浴装置1は、電気的な音波信号を生成する信号生成部3と、信号生成部3の生成する音波信号を機械的な振動に変換して音波振動を発生する信号変換部4と、信号生成部3および信号変換部に作動用電力を供給する電源部5とを、防水容器2に一体にして内蔵している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽内で音波振動を発生させて、疲労回復効果、精神安定効果、美容効果を奏する入浴装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
音波振動を治療に役立てるという試みがなされいる。例えば特許文献1には、適応症に応じた音波振動を発生させることによって治療効果を得る医療装置が開示されている。この医療装置は、本体ケースとこの本体ケースにケーブル接続されて音波振動を出力するアプリケータと本体に電源を供給するための電源ケーブルとを備えて構成されている。このため、使用する際に、アプリケータと本体を別途に扱う必要があり、水中等に設置して使用するのが面倒であり、ケーブルの配線引き回しも煩雑であるという問題点が存在する。
【0003】
また特許文献2に、浴槽内に設置した低周波振動子を音楽の低音部分で駆動し、その振動を水を介して人体に伝え、人体のマッサージを行う水中音波マッサージ装置が開示されている。この水中音波マッサージ装置は、音源装置と低周波振動子等を内装した部材とがケーブルで接続されて構成されている。この水中音波マッサージ装置には、音源装置を浴槽外に設置すると共に低周波振動子等を内装した部材を浴槽内壁に設置する必要があり、設置作業が大掛かりで面倒であるという問題点が存在する。
【0004】
【特許文献1】特開平9−94301号公報
【特許文献2】特開2005−400号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、音波振動を発生させるためにケーブルの配線引き回しが不要であり、面倒な設置作業を行うことなく浴槽内で簡単に使用することができる入浴装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するためになされた、特許請求の範囲の請求項1に記載された入浴装置は、浴槽内で音波振動を発生する入浴装置であって、電気的な音波信号を生成する信号生成部と、該信号生成部の生成する音波信号を機械的な振動に変換して音波振動を発生する信号変換部と、該信号生成部および該信号変換部に作動用電力を供給する電源部とを、防水容器に一体にして内蔵したことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載された入浴装置は、請求項1の入浴装置であって、該電源部は、外部電源から充電した電力を該作動用電力として出力する充電式電池を備え、該防水容器には、該充電式電池に電気的に接続されて充電用電力を供給するための充電端子が配設されていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載された入浴装置は、請求項1または2の入浴装置であって、該防水容器は、内部に空隙を有し水に浮遊することを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載された入浴装置は、請求項1から3のいずれかの入浴装置であって、該信号生成部は、信号選択スイッチに連結した複数の周波数の音波信号を生成可能に構成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の入浴装置は、信号生成部、信号変換部および電源部を、防水容器に一体にして内蔵した構造であるため、ケーブルの配線引き回しも必要なく、面倒な設置作業を行うことなく、浴槽内に防水容器を持ち込むだけで簡単に使用することができる。
【0011】
この装置は、充電式電池を備え、防水容器には、この充電式電池を充電するための充電端子が配設されている。このため、電池残量がなくなっても、電池の交換や充電のために防水容器を開けるという煩雑な作業を行うことなく、充電端子に充電器を接続するだけの簡単な作業で、この装置を繰り返し使用することができる。
【0012】
この装置は、防水容器が水に浮くため、水面の任意の位置で使用することができる。このため、入浴者の近くで作動させて音波振動の効果を高めさせることができるし、浴槽への出入りの際には妨げとならない場所に移動させることもできる。
【0013】
この装置は、複数の音波信号を切り替え可能に構成されている。このため、一台の装置でありながら、例えば、疲労回復効果、精神安定効果、美容効果等に対応付けられた音波信号を、入浴者の欲している効果や好みに合わせて切り替えて使用することができる。
【0014】
この装置は、信号生成部が外部からの入力信号を録音、再生可能に構成され、録音した入力信号を信号生成部が再生することによって音波信号を生成する。このため、音波信号を家庭などで容易に変更することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0016】
図1に本発明を適用する入浴装置1の斜視図を示す。
【0017】
入浴装置1は、外形を略直方体とする合成樹脂製の防水容器2に回路部分が収容される。防水容器2は、上蓋2aと下容器2bとを備えており、上蓋2aにそれぞれ防水型の電源スイッチ11、信号選択スイッチ12、音量調整スイッチ13、表示部14、充電端子15および充電端子16を備えると共に、下容器2bに信号変換部4を備えて構成されている。この上蓋2aと下容器2bの各々の端部に形成された防水構造の嵌合部によって嵌合されて、四隅をネジ30,30・・・で固定することにより一体に連結されて、防水容器2が全体として防水型の密閉筐体に構成されている。また、防水容器2は、図2に示す信号生成部3、電源部5、制御部6、音声信号入力端子21および録音スイッチ17を内蔵している。さらに、容器2は、内部に空間を有することによって全体として比重が1より小さく水に対して浮力を有する構造に構成されると共に、防水容器2の下面側の重量を上面側の重量よりも大きくすることによって防水容器2の下面を下にして安定して水に浮かぶ構造に構成されている。
【0018】
一対の充電端子15,16は、各々、樹脂製の蓋付き防水カバーを備えている。
【0019】
図2には、本発明を適用する入浴装置1のブロック回路図を示す。
【0020】
入浴装置1は、信号生成部3、信号変換部4、電源部5、制御部6、電源スイッチ11、信号選択スイッチ12、音量調整スイッチ13、表示部14、充電端子15、充電端子16および録音スイッチ17を備えて構成されている。制御部6は、信号選択スイッチ12、音量調整スイッチ13および録音スイッチ22が接続されて操作信号を入力する。また、制御部6は、表示部14が接続されて表示部14の表示を制御する。さらに、制御部6は、信号生成部3が接続されて、信号生成部3の動作を制御する。
【0021】
信号生成部3は、一例として、A/D(アナログ/ディジタル)変換器、D/A(ディジタル/アナログ)変換器および不揮発性メモリ(いずれも不図示)で構成される。制御部6の制御に従い、音声信号入力端子から入力する音の周波数帯域の電気的なアナログ信号(音波信号)をディジタル信号に変換して不揮発性メモリに記憶し、このディジタル信号をアナログ信号に再生して(音波信号を生成して)信号変換部4に出力する。この場合、信号生成部3は、複数の音波信号(一例として、3種類の信号)を録音再生可能に構成されている。
【0022】
なお、信号生成部3には入浴装置1の工場出荷時に、疲労回復効果を奏する音波信号、例えば特許文献1に記載されている調和信号の内、疲労回復に効果の有る組合せ、精神安定効果を奏する音波信号、例えばモーツアルトの音楽、および美容効果を奏する音波信号、例えば特許文献1に記載されている調和信号の内、美容に効果の有る組合せの3種類の音波信号が予め録音されている。
【0023】
信号変換部4は、一例として防水型の水中スピーカであり、電気的な信号を機械的な振動に変換する。すなわち、信号生成部3から出力される電気的な音波信号を機械的な振動に変換して音波振動を発生する。
【0024】
電源部5は、充電式電池31、ダイオード32および定電圧回路33を備えて構成されている。充電式電池31は、例えば、ニッカド充電電池、ニッケル水素充電電池、またはリチウムイオン充電電池などの充放電可能な電池で構成されて、正極端子(+端子)および負極端子(−端子)間に充電用の電力を供給することによって充電されると共に入浴装置1全体の作動用電力を出力する。この充電式電池31は、その正極端子(+端子)が逆流防止用のダイオード32を介して正極用の充電端子15に接続されると共に、電源スイッチ11を介して定電圧回路33の入力側に接続されている。また、充電式電池31は、その負極端子(−端子)が負極用の充電端子16に接続されると共に入浴装置1の基準電位配線(グランド)に接続されている。
【0025】
定電圧回路33は、充電式電池31から出力された直流電圧を所定電圧に安定化して信号生成部3、制御部6および表示部14に出力する。
【0026】
この入浴装置1は、次のようにして使用される。
【0027】
最初に、入浴装置1の充電式電池31の充電について説明する。なお、図3に示す充電器101は、充電式電池31を充電可能に構成され、充電が完了した際に点灯する充電完了ランプ105を備えている。
【0028】
先ず、入浴装置1の電源スイッチ11をオフにすると共に、充電端子15,16の防水カバーの蓋を開ける。次に、図3に示すように、充電端子15,16に充電器101の接続ケーブル10音声信号入力端子03を各々接続すると共に、充電器101の電源ケーブル104を商用交流電源に接続する。これにより、充電端子15,16およびダイオード32を介して充電器101から充電式電池31の正極端子および負極端子間に充電用電力が供給されて充電式電池31の充電が開始される。所定時間の経過後、充電式電池31が満充電になって充電完了ランプ105が点灯する。以上により充電式電池31の充電が完了したため、入浴装置1から充電器101を取り外す。また、充電端子15,16の防水カバーの蓋を閉める。
【0029】
このように、電池の交換や充電のためにネジ30,30・・・を外して防水容器2を開けるという煩雑な作業を行うことなく、商用交流電源に接続した充電器101を充電端子15,16に接続するだけの簡単な作業で充電することができ、電池残量がなくなっても繰り返し使用することができる。
【0030】
次に、入浴装置1の浴槽8内での使用について説明する。
【0031】
図4に示すように、信号変換部4を下にして入浴装置1を浴槽8内の浴湯10に浮かべる。次に、電源スイッチ11をオンにする。これにより、定電圧回路33で安定化された作動用電力が各部に供給される。次に、制御部6は、電源投入時の初期値として疲労回復効果を奏する音波信号を信号生成部3に所定の音量レベルで再生させると共に、表示部14に疲労回復を示す表示を表示させる。次いで、信号生成部3は、疲労回復効果を奏する音波信号を信号変換部4に出力する。続いて、信号変換部4は、音波信号を音波振動に変換することにより、信号変換部4に接している浴湯10を振動させる。これにより、音波振動が浴湯10を伝播して入浴者9に到達し、入浴者9が音波振動によって振動して、血流の流れが促進されて疲労回復効果を奏する。なお、音量調整スイッチ13を操作することにより、制御部6が信号生成部3の出力レベルを変更するように制御して音波振動レベルを調整することが可能である。
【0032】
また、信号選択スイッチ12を操作することにより、疲労回復効果、精神安定効果、美容効果を奏する音波振動を選択して出力することが可能である。この場合、制御部6は、信号選択スイッチ12の選択に予め対応付けられた音波信号を信号生成部3に出力させると共に、表示部14に信号選択スイッチ12の選択に対応する表示を表示させる。精神安定効果を選択した際には、周波数的な揺らぎや強度の揺らぎを有する音波振動を出力して、精神的安定効果を奏する。また、美容効果を選択した際には、高い周波数の音波振動を出力して、肌の汚れを落とし易くして美容効果を奏する。
【0033】
このように、入浴装置1は、ケーブルの配線引き回しも必要なく、面倒な設置作業を行うことなく、浴槽8内に持ち込むだけで簡単に使用することができる。
【0034】
また、入浴装置1は、防水容器2が水に浮くため、水面の任意の位置で使用することができる。このため、入浴者の近くで作動させて音波振動の効果を高めさせることができるし、浴槽8への出入りの際には妨げとならない場所に移動させることもできる。また、入浴者の欲している効果や好みに合わせて音波振動を切り替えて使用することができる。
【0035】
次に、入浴装置1の音波信号の録音について説明する。
【0036】
音波信号を録音する際には、防水容器2の四隅のネジ30,30・・・を外し、上蓋2aと下容器2bに分割する。防水容器2の内部に備えられた音声信号入力端子21に、例えばCD(Compact Disc)再生機やDVD(Digital Versatile Disc)再生機の音声外部出力端子を接続する。次に、電源スイッチ11をオンにする。次いで、信号選択スイッチを操作して、3種類の音波信号のいずれを新しく録音するか選択する。続いて、録音スイッチ17を操作した際に、音声信号入力端子21から入力される信号の録音を開始する。次に再度、録音スイッチ17を操作した際に録音を停止する。このように、音波信号を家庭などで容易に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明を適用する入浴装置1の外観斜視図である。
【0038】
【図2】本発明を適用する入浴装置1のブロック回路図である。
【0039】
【図3】本発明を適用する入浴装置1に充電器を接続した状態を示すブロック回路図である。
【0040】
【図4】本発明を適用する入浴装置1を浴槽8内で使用している状態を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
1は入浴装置、2は防水容器、3は信号生成部、4は信号変換部、5は電源部、6は制御部、8は浴槽、9は入浴者、10は浴湯、11は電源スイッチ、12は信号選択スイッチ、13は音量調整スイッチ、14は表示部、15は充電端子、16は充電端子、17は録音スイッチ、21は音声信号入力端子、30はネジ、31は充電式電池31、32はダイオード32、33は定電圧回路33、101は充電器、102は接続ケーブル、103は接続ケーブル、104は電源ケーブル、105は充電完了ランプである。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽内で音波振動を発生する入浴装置であって、電気的な音波信号を生成する信号生成部と、該信号生成部の生成する音波信号を機械的な振動に変換して音波振動を発生する信号変換部と、該信号生成部および該信号変換部に作動用電力を供給する電源部とを、防水容器に一体にして内蔵したことを特徴とする入浴装置。
【請求項2】
該電源部は、外部電源から充電した電力を該作動用電力として出力する充電式電池を備え、該防水容器には、該充電式電池に電気的に接続されて充電用電力を供給するための充電端子が配設されていることを特徴とする請求項1に記載の入浴装置。
【請求項3】
該防水容器は、内部に空隙を有し水に浮遊することを特徴とする請求項1または2に記載の入浴装置。
【請求項4】
該信号生成部は、信号選択スイッチに連結した複数の周波数の音波信号を生成可能に構成されたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の入浴装置。
【請求項5】
該信号生成部は、外部からの入力信号を録音、再生可能に構成され、録音した入力信号を該信号生成部が再生することによって該音波信号を生成することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の入浴装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−195720(P2007−195720A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−17592(P2006−17592)
【出願日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(505340560)株式会社稲栄研究所 (3)
【Fターム(参考)】