説明

全空気式改良形輻射空調システム

【課題】 居室内の気流を人が感じる事のない速度とし輻射効果を大きくし、対流効果との複合効果で居室内を快適空間にする、窓際の空調処理のために別の空調機を置かないで窓の視野を妨げない、静かで、設備コストを安く、高い省エネルギー効果もたらすことが出来る全空気式改良形輻射空調システムを提供する。
【解決手段】 居室内の気流を感じない様にして快適空間を得るには、輻射効果を大きくして気流速を遅くする手段を用いる。空調機で生成された、床面、壁面に平行の送気流を床下空間、二重壁空間に送気し半月状の気流衝突器に衝突させ、乱流を起こして床、壁材に気流の熱を効率良く伝え床、壁面から大きな輻射を得、衝突後の気流を居室に吹き出す、輻射効果と対流効果の複合効果で前記課題を解決できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、床下、壁空間に空調機で生成された冷風、温風の空調空気を送気して輻射と対流の複合効果で快適な空調空間を提供するものである。前記床下、壁空間に送気されて来る気流に向かって半月状の気流衝突器を床裏面、壁裏面の造営材に取り付け衝突した気流を床裏面壁裏面に再度衝突させて境膜を破壊し床表面、壁表面を効率良く冷却、加熱して床、壁面からの大きな輻射効果を得るシステムである。輻射効果による省エネルギーは空気を冷却、加温せずに直接人体に輻射されるためで過去から広く知られている処である。
空調機から生成された冷風、温風を床下、壁空間に送気し、前記床表面を冷却、加熱した後この送気流は窓際の床吹出口6、居室端部の壁吹出口6から室内Rに吹きだされ、室内Rを冷却、加温して空調機に戻り循環を完結する。即ち床、壁面からの輻射効果と床、壁吹出口6からの対流効果の複合効果で、気流を感じる事のない、温度分布の良い、極めて快適な空調空間が得られる事を特徴とする。
【背景技術】
【0002】
従来のシステムで類似のアンダーフロアー空調システムは、図4に示す様に床吹出型空調機2と床構造体1及び床吹出口6からなる構成で、この床吹出口6が数多く床面に取り付けられ室内6に空調空気を吹き出し、対流効果による空調が主で輻射効果は少ないものである、従って室内6は部分的に気流を強く感じるため不快である欠点があった。また別に床全面に空気透過型のカーペットを敷き詰め床全面の床から空調空気を吹き出す空気置換型と呼ばれるシステムもあるが、暖房加温時は吹出速度が遅いので対流効果でも不快さはあまりないが、冷房冷却時は、足元に冷気流を感じ、かなり不快であるという問題がある。また空調機2は吹出温度や風量、静圧が通常の空調機と異なるため専用の空調機が必要で他の空調システムの居室と兼用することができない、等の欠点がある。
【0003】
また前記システムは円状200〜300Φの床吹出口6を椅子の側傍にとりつけられる場合が多く気流による不快感のために移設せざるを得ない等の不便がある。また前記別のシステムでは床全面に敷設した空気透過性のカーペットが長時間の使用で埃による目詰まりを熾し空気の吹き出しが悪くなると言う問題がある。また図4のように窓際には専用の別の空調機が必要であり、設備コストも高くなる等の欠点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明で解決しようとする課題は室内の気流速を0・5m/sec以下にする必要から居住域の床面吹出口6を窓際を除き全て無くし輻射効果のみとする、空調機の風量、静圧を減じて、吹出温度も通常の床上空調機と同等にする、居室R部分の空調以外に窓際部分の特にコールドドラフト対策として別の空調機を必要としないシステムとする、この様な問題点を全て解決できるシステムで更に設備コストの低廉なものは、現在まで存在しない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明はこのような点に着目してなされたもので、その目的とするところは、簡単な構成で、製造コストを廉く、運転経費を大幅に削減し、静謐で安全な輻射空調システムを提供する事にある。
室内の気流速を0.5m/以下にして快適空間を得るには床面に吹出口を設けずに、充分な輻射効果によらねばならず、その手段として空調機で生成される送気流を床下吹出型空調機2、または通常の空調機と短いダクトとの組み合わせで、床下送気空間や壁中送気空間に空調機で生成した空気流を送気して、床面裏、壁面裏に1m当たり1個取付けられた、半月状の気流衝突器3で、床や壁に並行して流れる空調空気流をこの気流衝突器で垂直に変換して床裏面や壁裏面に再度衝突させ効率良く冷却加温するので、床面や壁面から大きな輻射効果を得る。また居室内Rには床面の場合は窓際に吹出口6を取付け、壁面の場合はコーナー部分等に吹出口6を取付け、床面、壁面の冷却、加熱後の空調気流を吹出口6から居室に静かに吹き出し対流効果を得る、この複合効果により居室内Rは極めて快適な空間となる、またこの吹出口6を2m位の高さに取付けると、居室のS部分は非空調空間となり、事実上の空調空間は狭くなり、空調負荷が大幅に減り大きな省エネルギーとなる。
【発明の効果】
【0006】
前記システムを採用する事により吹出口6は窓際、壁コーナー部分以外には全くないので居室内Rの気流速は0,5m/sec以下にでき、気流を感じることはない。輻射効果、対流効果の複合効果ではあるが、対流効果のみの場合、冷房モード、暖房モード共に対流の特性上床表面近くの温度が低くなり不快であるが、このシステムは輻射効果により居室の上下に温度差がなく極めて快適な空間になる、また前記アンダーフロアー空調システムでは窓際の空調処理専用の空調機10が必要であったが、このシステムでは床吹出口6から床冷却、加熱後の空気流が吹き出し夏季熱気の侵入や冬季不快なコールドドラフトを防止するので全く不要となり居室内Rがすっきりして窓からの景観も阻害しない、更に輻射効果と非空調空間が出来る事による省エネルギー効果も大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
このような目的を達成するために、図1の3のような半月状の気流衝突器をステンレス等の金属または樹脂の材料を用いて造り図2、図3のように二重床、二重壁の表面の造営材に丸穴を開口して気流が衝突する方向に取り付け、床下、壁中を流れる平行気流をこの気流衝突器に衝突させて境膜を破壊し床面、壁面を効率良く冷却、加温させ大きな輻射効果を得る、また上記衝突後の気流を窓際や壁コーナーに金属製、樹脂製の吹出口6を取り付け居室Rに緩やかに吹出し、対流効果を得る、輻射との複合効果で気流を感じない極めて快適な空間が創造できる。更に輻射効果で居室内R空気温度の設定を摂氏2度、冷房モードでは高く暖房モードでは低くしても通常空調と同じ体感が得られる、また実験結果から輻射効果は床面の場合約2mから2.3mが有効範囲であることから、対流気流の空調機えの還口吸込みグリル8を2mの高さに取り付けて、この高さ以上の空間は非空調空間Sとすれば、通常空調と比較して大きな省エネルギーとなる。
壁面からの輻射効果も壁コーナーからの吹出口器具6を図5のように約2mの高さに取り付け、吸込口8も2mの位置に取り付けると、輻射効果と対流効果で非空調空間Sが出きるため、床面の場合と同様の効果がえられる。
【実施例1】
【0008】
床輻射、吹出型の場合、空調機を図3−2の様に設置し、床構造材1、5と支持材4で二重床の空間を造る、この時床下貼り合板5に前記半月状の気流衝突器3を、貼り付施工完了後、送気流の方向に合せ合板5に丸穴を開口して気流衝突器3を取付け、その上面に床仕上材1を貼る、空調機2で生成された気流を床下空間に給気口9から送気して水平流で進み気流衝突器3に衝突するとこの気流は乱流を起こし、下貼り合板5の裏面の境膜が破壊され気流の熱を効率良く合板5に伝え、更に合板5から仕上材1に熱を伝え床表面を冷却、加温して居室Rは大きな輻射効果を得る、床面材5、1を冷却、加温した送気流は窓際の床面に取り付けられた床吹出口6から緩やかに居室Rに吹出され対流効果を得て空調機2に戻る、居室Rは輻射効果と対流効果の複合効果で気流を感じない極めて快適な空間となる。
【実施例2】
【0009】
壁輻射、吹出の場合、空調機を図5−2の様に機械室等に設置しダクト16を通し二重壁下面の給気口9から空調機で生成された空気を送気する、図2の二重壁構造でこの空間に壁表面材1と平行に進む気流が半月状の気流衝突器3に衝突して乱流を起こし、壁構成材5の裏面の境膜破壊により効率良く気流の熱を伝え、表面材1更に仕上げクロス11を冷却、加温し居室Rに大きな輻射効果を得る、壁表面を冷却、加温した送気流は壁吹出口6から緩やかに居室Rに吹出され対流効果を得て居室内空気還口8から還ダクト15を通り空調機2え戻る。居室Rは輻射効果と対流効果の複合効果を得て気流を感じない極めて快適な空間となる。従来の建物に比べ、階高の低い建物でも居室の天井高を高くすることができ、快適な居住空間が得られ建設コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【00010】
【図1】この発明の実施形態に係る半月状気流衝突器の斜視図。
【図2】この発明の実施形態に係る壁輻射空調システムの拡大部分詳細図。
【図3】この発明の実施形態に係る床輻射空調システムの構成図である。
【図4】従来例を示すアンダーフロアー空調システムを示す構成図である。
【図5】この発明の実施形態に従い壁輻射空調システムの構成図である。
【符号の説明】
【0011】
R 居室
S 非空調空間
1 床構造材
2 空調機
3 半月状気流衝突器の斜視図
4 床、壁仕上材の支持材
5 床、壁下貼り材
6 床、壁吹出口
7 ガラス窓
8 室内空気還口
9 床、壁給気口
10 窓際専用空調機
11 壁仕上クロス
12 壁仕切りコンクリート
13 壁断熱材
14 壁中仕上ボード
15 空調機還ダクト
16 空調機給気ダクト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床下空間、二重壁空間に取付けて気流を衝突させ、この空間に乱流を起こさせ熱伝達効率を上げる、金属製、樹脂製の半月状の気流衝突器及びその取り付け方法。
【請求項2】
前記気流衝突器を用いた、床、壁、天井輻射空調システム及び輻射、対流の複合効果のある装置、システム全て。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−112764(P2006−112764A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−324285(P2004−324285)
【出願日】平成16年10月12日(2004.10.12)
【出願人】(592147790)株式会社インターセントラル (11)
【Fターム(参考)】