説明

公共工事帳票データの管理システム

【課題】公共工事の施工期間中に受発注者間で交換される工事帳票の作成、提出、承認等の手続に要する時間やコストを削減可能とする公共工事帳票データの管理システムを提供する。
【解決手段】サーバー1にアクセスした受注者端末7の入力手段による選択指示信号によって必要となる工事帳票の書式データを選択すると、端末7にその書式データが送信され、送信された書式データに基づいて端末7の入力手段で入力された入力データが、端末7の入力手段による格納指示信号に基づいて入力データベース部3に格納されるとともに、この入力データが格納されたことおよびその格納先を、選択された書式データの属性データとして予めサーバー1に登録されている承認先ルートデータに基づいて、メール配信部4が電子メールでその承認先となる発注者端末6に配信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、公共工事帳票データの管理システムに関し、さらに詳しくは、公共工事の施工期間中に受発注者間で交換される工事帳票の作成、提出、承認等の手続に要する時間やコストを削減可能とする公共工事帳票データの管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
公共工事の工事施工期間中に、受注者側と公官庁等の発注者側との間で交換される工事帳票は、種類が多く、その提出先も多岐に渡る。従来、受注者は、これらの必要な帳票を紙書類として作成して、発注者の所管提出先に持参、郵送等で提出していた。また、発注者は、これらの紙書類の内容を確認し、承認等の結果を受注者に連絡して、一連の手続が完了するようになっていた。
【0003】
しかしながら、この方法では受発注者の手続が煩雑となり、帳票の作成、提出、承認等に余分な時間やコストを要するという問題があった。
【0004】
このような余分な時間やコスト等を削減するために、公共工事帳票をインターネットで送受信するシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この提案では、受注者が帳票データをインターネット経由で送信し、発注者側のデータベースに格納するようにして、帳票提出に要する時間等を削減している。ところが、発注者側の承認者が自発的にデータベースにアクセスしなければ、その帳票データが格納されたことを知ることができないため、帳票情報が格納されてから、承認者が決裁するまでの一連の手続が完了するまでに余分な時間がかかるという問題があった。
【特許文献1】特開2003−99562号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、公共工事の施工期間中に受発注者間で交換される工事帳票の作成、提出、承認等の手続に要する時間やコストを削減可能とする公共工事帳票データの管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため本発明の公共工事帳票データの管理システムは、公共工事の受発注者端末にインターネットでアクセス可能に接続されたサーバーを備え、公共工事の施工期間中に前記受発注者端末の入力手段によって入力される公共工事帳票データを管理する公共工事帳票データの管理システムであって、前記サーバーは、前記公共工事で必要とされる工事帳票の書式データを格納した書式データベース部と、該書式データに基づいて前記受発注者端末の入力手段で入力された入力データを格納する入力データベース部と、メール配信部とを有し、前記サーバーにアクセスした前記受発注者端末の入力手段による選択指示信号により選択されて、その端末に送信された前記書式データに基づいて、その端末の入力手段で入力された入力データが、その端末の入力手段による格納指示信号に基づいて前記入力データベース部に格納されると、該入力データが格納されたことおよびその格納先を、前記選択された書式データの属性データとして予め前記サーバーに登録されている承認先ルートデータに基づいて、前記メール配信部が電子メールでその承認先となる前記受発注者端末に配信することを特徴とするものである。
【0007】
本発明において、公共工事帳票とは公共工事関係者の間でやり取りされる工事関係書類を意味し、例えば、打合せ書類、施工計画書、履行報告書(工事旬報)、検査書等を含むものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の公共工事帳票データの管理システムによれば、公共工事の受発注者端末にインターネットでアクセス可能に接続されたサーバーを備え、公共工事の施工期間中に受発注者端末の入力手段によって入力される公共工事帳票データを管理する公共工事帳票データの管理システムであって、サーバーは、公共工事で必要とされる工事帳票の書式データを格納した書式データベース部と、この書式データに基づいて受発注者端末の入力手段で入力された入力データを格納する入力データベース部と、メール配信部とを有し、サーバーにアクセスした受発注者端末の入力手段による選択指示信号によって必要となる書式データを選択して、端末にその書式データが送信されるので、受発注者端末によって必要となる書式データに容易にアクセスでき、その入力手段でデータ入力ができるので、書類作成の労力が軽減される。
【0009】
また、送信された書式データに基づいて、その端末の入力手段で入力された入力データが、受発注者端末の入力手段による格納指示信号に基づいて入力データベース部に格納されると、この入力データが格納されたことおよびその格納先を、選択された書式データの属性データとして予めサーバーに登録されている承認先ルートデータに基づいて、メール配信部が電子メールでその承認先となる受発注者端末に配信するので、承認者に入力データの閲覧、決裁等を促すことができ、無駄な待ち時間をなくして、手続きの円滑化を図ることが可能となる。
【0010】
これによって、従来の工事帳票の作成、提出、承認等の一連の手続きに要する時間、コスト等を削減することができ、データの管理も容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の公共工事帳票データの管理システムを実施形態に基づいて説明する。図3に、全体構成を例示するように、この管理システムは公共工事の受注者端末7および発注者端末6にインターネット8でアクセス可能に接続されたサーバー1を備え、このサーバー1は書式データベース部2と、入力データベース部3と、メール配信部4と、PDF変換部5とを有している。それぞれの端末6、7にはデータ入力するためのキーボードやマウス等の入力手段Kとデータを表示する表示画面Mが備わっている。
【0012】
図1に示すように、公共工事の受注者は、受注者端末7でインターネット8を経由して、サーバー1の書式データファイル部2にアクセスする(S1)。書式データベース部2には、公共工事で必要となる工事帳票の書式データがすべて格納されており、受注者は、受注者端末7の入力手段で必要な書式データを選択して、その入力手段の選択指示信号によって、その書式データを受注者端末7に送信させて表示画面に表示させる。
【0013】
この画面には、例えば、図4に示すような手書き書類と同じイメージの書式データが表示され、手書きと同じ感覚で、必要なデータを入力手段で入力できるようになっている。
【0014】
受注者端末7の入力手段の選択指示信号で選択した書式データに基づいて、必要事項を入力手段で入力した後に、この入力データは入力手段の格納指示信号によって、サーバー1の入力データベース部3に格納される(S2)。それぞれの書式データに対する属性データがサーバー1に予め登録されており、この属性データには、承認先ルートデータとして、この入力データに対する承認者のメールアドレスおよび承認順序が含まれている。
【0015】
ここで、ある書式データに基づいて入力された入力データが格納指示信号に基づいて入力データベース部3に格納されると、メール配信部4に配信指示信号が出され(S3)、メール配信部4が承認者ルートデータに基づいて承認者のメールアドレス、即ち、発注者端末6に、この入力データがサーバー1に格納されたことおよびその格納先を電子メールで配信する(S4)。
【0016】
この電子メールによって、発注者端末6の表示画面を通じて承認者に入力データの閲覧、決裁等を促すことができ、無駄な待ち時間をなくして、手続きの円滑化を図ることが可能となる。
【0017】
この配信される電子メールには、入力データベース3に格納された入力データにアクセスできるリンクデータが添付されており、このリンクデータに基づいて配信先の発注者端末6の表示画面に格納先を示すリンク表示がされる。
【0018】
電子メールを見た承認者が、発注者端末6の入力手段でこのリンク表示をクリック等すると、リンクデータに基づいて格納されている入力データにインターネット8を経由して容易にアクセスすることができ、その内容についての判断結果を承認者端末6の入力手段で入力する(S5)。入力された判断データも、この書式データに基づく入力データとなる。
【0019】
この承認者端末6の入力手段で入力された判断データが格納指示信号によって、入力データベース部3に格納されると、この格納指示信号に基づいてメール配信部4に配信指示信号が出され(S6)、メール配信部4が承認先ルートデータに基づいて承認者(ここでは、受注者)のメールアドレス、即ち、受注者端末7に、この入力データがサーバー1に格納されたことおよびその格納先を電子メールで配信する(S7)。
【0020】
電子メール受注者端末7の表示画面を通じて見た受注者は、受注者端末7の入力手段でインターネット8を経由して入力データベース部3にアクセスして、この入力データの内容を確認する(S8)。ここで、承認者の判断が承認であれば、この書式データに基づいて入力されたデータについての手続きが完了となる。
【0021】
一方、承認者の判断が否認であれば、先に入力したデータを受注者端末7の入力手段で修正して再度、承認先ルートを繰り返すことになる。
【0022】
一般的に、一つの工事帳票の書式データに基づく入力データに対しては、複数の承認者(発注者端末6)が存在するので、図2に示すように承認先ルートデータに基づいて、各承認者が入力データの内容を承認して、それぞれの承認者端末6a〜6cから、承認したとの判断データを入力手段で入力して格納指示信号を出すと、順次、この書式データに基づく入力データが入力データベース3に格納され、第一承認者端末6a、第二承認者端末6b、最終承認者端末6cへと電子メールが配信される。最終承認者が最終承認者端末6cで、承認したとの判断データを入力手段で入力して格納指示信号を出すと、その入力データが入力データベース部3に格納され、格納指示信号に基づいてメール配信部4から次の承認者となる受注者の受注者端末7に、承認したとの電子メールが配信される。
【0023】
この承認先ルートデータでは、承認者端末6の入力手段で、入力データに対して否認と判断するデータが入力されると、その時点で承認先が受注者端末7となり、受注者が入力したそのデータは、否認されたことが電子メールで受注者端末7に配信されることになる。
【0024】
この実施形態では、承認者(発注者端末6)が複数であっても、順次、承認者端末6a〜6cに電子メールを配信して承認者に入力データの閲覧、決裁等を促すことができ、無駄な待ち時間をなくして、手続きの円滑化を図ることが可能となる。そして、入力データの保存や整理等の管理が容易になる。
【0025】
それぞれの書式データの属性データとしては、例えば、図5に一部を示すように、宛名、承認者とその承認順序等が予めサーバー1に登録されており、この登録内容は、必要に応じて変更可能となっている。
【0026】
図4に示したように、受注者端末7の入力手段の選択指示信号で送信された書式データには、サーバー1に予め登録されている属性データの内、入力時に確定している項目A、例えば、帳票名称、起票日時、宛先、差出人、工事名、契約年月日等が、この選択指示信号に基づいて自動的に入力されて、画面表示される。これによって、入力する手間が軽減される。
【0027】
一方、その他の入力必要項目Bについては、端末の入力手段でデータ入力される。データ入力する際に、図4に示すように、必要なデータを添付ファイルCとして入力データベース部3に格納することもできる。
【0028】
1つの書式データに基づいて入力された一連の蓄積された入力データは履歴データとしてサーバー1に格納される。この履歴データはCD―R等の電子媒体に取り込んで、受注者が発注者に納品することもできる。
【0029】
履歴データは、この実施形態で例示したデータに限定されず、先に公共工事帳票として定義した工事関係書類のデータを履歴データとすることができる。
【0030】
また、この履歴データをサーバー1のPDF変換部によって、格納指示信号等に基づいてPDF形式のデータに変換してサーバー1に格納することもできる。例えば、現行書類の書式と同様の書式にPDF変換して格納するなど、予め定められた書式に基づいて格納するようにする。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の管理システムにおけるデータフローを例示する説明図である。
【図2】本発明の管理システムにおけるデータ承認フローを例示する説明図である。
【図3】本発明の公共工事帳票データの管理システムの全体構成を示す説明図である。
【図4】本発明において、公共工事帳票の書式データに基づいて端末で入力する際の端末の画面表示の一例を示す説明図である。
【図5】本発明に用いる書式データの属性データの一部を示すデータシートの一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0032】
1 サーバー
2 書式データベース部
3 入力データベース部
4 メール配信部
5 PDF変換部
6 発注者端末
6a 第1承認者端末
6b 第2承認者端末
6c 最終承認者端末
7 受注者端末
8 インターネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
公共工事の受発注者端末にインターネットでアクセス可能に接続されたサーバーを備え、公共工事の施工期間中に前記受発注者端末の入力手段によって入力される公共工事帳票データを管理する公共工事帳票データの管理システムであって、前記サーバーは、前記公共工事で必要とされる工事帳票の書式データを格納した書式データベース部と、該書式データに基づいて前記受発注者端末の入力手段で入力された入力データを格納する入力データベース部と、メール配信部とを有し、前記サーバーにアクセスした前記受注者端末の入力手段による選択指示信号により選択されて、その端末に送信された前記書式データに基づいて、その端末の入力手段で入力された入力データが、その端末の入力手段による格納指示信号に基づいて前記入力データベース部に格納されると、該入力データが格納されたことおよびその格納先を、前記選択された書式データの属性データとして予め前記サーバーに登録されている承認先ルートデータに基づいて、前記メール配信部が電子メールでその承認先となる前記受発注者端末に配信することを特徴とする公共工事帳票データの管理システム。
【請求項2】
前記配信する電子メールに、前記格納された入力データにアクセス可能なリンクデータを添付して、該リンクデータに基づくリンク表示を配信先端末の表示画面に表示する請求項1に記載の公共工事帳票データの管理システム。
【請求項3】
前記サーバーにアクセスした前記受発注者端末の入力手段の選択指示信号で選択されてその端末に送信された前記書式データに、該選択指示信号に基づいて、予め前記サーバーに登録されているその書式データの属性データの一部がデータ入力されるとともに、その端末の表示画面に表示される請求項1または2に記載の公共工事帳票データの管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−185346(P2006−185346A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−380606(P2004−380606)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(501198039)国土交通省国土技術政策総合研究所長 (23)
【出願人】(397030422)財団法人港湾空港建設技術サービスセンター (2)