説明

内燃機関用点火コイル

【課題】二次コイルボビンから外部に引き出される二次コイルの引出し端末の周囲に耐電圧を確保するように絶縁ケース内に空間を設けても絶縁ケースを小型化できる内燃機関用点火コイルを提供する。
【解決手段】外側に突出した高圧筒部3を有し、一次コイル5及び二次コイル7をそれぞれ巻回し、同心状に配設した筒状の一次コイルボビン6及び二次コイルボビン8を磁気的に結合する鉄心9,10と、外部に出カされる高圧端子4と、これらを収納する絶縁ケース2により構成され高圧筒部3と二次コイル7の軸が略直角に交差して配置された内燃機関用点火コイル1であって、前記二次コイルボビン8は、複数の鍔18が間隔を有して設けられ、各鍔18間に二次コイル7が分割して巻かれ、前記二次コイルボビン8から外部に引き出される二次コイル7の引出し端末17が前記複数の鍔18の中で端部の鍔18aより内側の鍔18bから引き出されて高圧端子4と接続されているようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車のエンジンの点火プラグにおいて火花放電を発生させるために高電圧を供給するモールド型の内燃機関用点火コイルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、外側に突出した高圧筒部を有し、一次コイル及び二次コイルをそれぞれ巻回し、同心状に配設した筒状の一次コイルボビン及び二次コイルボビンを磁気的に結合する鉄心部と、外部に出カされる高圧端子と、その高圧端子と二次コイルの一端とを接続する接続端子、これらを収納する絶縁ケースにより構成され高圧筒部と二次コイルの軸が略直角に交差して配置された内燃機関用点火コイルが知られている。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−237131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の内燃機関用点火コイルの場合、図2に示すように、二次コイルボビン8は、複数の鍔18が間隔を設けて設けられ、各鍔18間に二次コイル7が分割して巻かれ、その巻き終りの端末線が端部の鍔18aに取り付けられて、この端部の鍔18aから接続端子17が引き出されて高圧端子4と当接している。内燃機関用点火コイルは、二次コイル7の引出し端末となる接続端子17と二次コイル7との間及び接続端子17と絶縁ケース2との間に必要な距離Lを置いて二次コイル7の端末の周囲の耐電圧を確保している。
【0005】
上記従来の内燃機関用点火コイルは、二次コイルボビンの端部の鍔から外部に引き出される二次コイルの引出し端末の周囲に耐電圧を確保するための距離を有するように絶縁ケース内に空間を設けているので、絶縁ケースが小型化できないという問題があり、改善が望まれていた。
【0006】
本発明は、前記課題を解決するもので、二次コイルボビンから外部に引き出される二次コイルの引出し端末の周囲に耐電圧を確保するように絶縁ケース内に空間を設けても絶縁ケースを小型化できる内燃機関用点火コイルを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために請求項1に記載の発明は、外側に突出した高圧筒部を有し、一次コイル及び二次コイルをそれぞれ巻回し、同心状に配設した筒状の一次コイルボビン及び二次コイルボビンを磁気的に結合する鉄心と、外部に出カされる高圧端子と、これらを収納する絶縁ケースにより構成され高圧筒部と二次コイルの軸が略直角に交差して配置された内燃機関用点火コイルであって、前記二次コイルボビンは、複数の鍔が間隔を有して設けられ、各鍔間に二次コイルが分割して巻かれ、前記二次コイルボビンから外部に引き出される二次コイルの引出し端末が前記複数の鍔の中で端部の鍔より内側の鍔から引き出されて高圧端子と接続されていることを特徴とした内燃機関用点火コイルである。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、前記引出し端末は、二次コイルの巻き終りの端末が一端に接続される接続端子であって前記接続端子の一端が前記複数の鍔の中で端部の鍔より内側の鍔に配置されて引き出され、他端が高圧端子と当接している請求項1に記載の内燃機関用点火コイルである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の内燃機関用点火コイルによれば、二次コイルボビンから外部に引き出される二次コイルの引出し端末は、二次コイルボビンに間隔を設けて設けられた複数の鍔の中で端部の鍔より内側の鍔から引き出されて短くなるので、絶縁ケースが小型化できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る実施例1の内燃機関用点火コイルの概略断面図である。
【図2】従来例の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明に係る実施例1の内燃機関用点火コイルの概略断面図を示すもので、自動車のエンジンに取り付けられるモールド型の点火コイルを例示している。ただし、図1に用いる符号は、図2と同様の機能を持つものについては、同じ符号を用いるものとする。
【0012】
図1において、内燃機関用点火コイル1は、上面が開口し、側壁2aに高圧筒部3を外側に突出した形状の絶縁ケース2を有している。高圧筒部3には、高圧端子4を嵌めて収納している。絶縁ケース2中には、一次コイル5が巻回された筒状の一次コイルボビン6と二次コイル7が巻回された筒状の二次コイルボビン8とが、同心状に配設されて収容されている。また、高圧筒部3と二次コイル7の軸は略直角に交差して配置されている。
【0013】
また、一次コイルボビン6及び二次コイルボビン8は鉄心9,10により磁気的に結合している。二次コイルボビン8は、複数の鍔18が間隔を有して設けられ、各鍔18間に二次コイル7が分割して巻かれている。二次コイルボビン8は、複数の鍔18の中で端部の鍔18aより内側に位置する、例えば2番目の鍔18bに接続端子17の電線接続部17aが取り付けられている。そして、接続端子17は、一端の電線接続部17aに二次コイル7の巻き終りの端末線が接続され、鍔18bから外部に引き出されて二次コイル7の引出し端末となっており、接続端子17の他端が高圧端子4に接続されている。
【0014】
内燃機関用点火コイル1は、二次コイルボビン8から外部に引き出される二次コイル7の引出し端末が、二次コイルボビン8の端部の鍔18aより内側に位置する鍔18bから引出されて高圧端子4と接続するので、従来に比べて二次コイル7の引出し端末の長さが短くなる。
【0015】
そのため、内燃機関用点火コイル1は、二次コイル7の引出し端末となる接続端子17と二次コイル7との間及び接続端子17と絶縁ケース2との間に必要な距離Lを設けて二次コイル7の引出し端末の周囲の耐電圧を確保しても、二次コイル7の引出し端末となる接続端子17の周囲において、耐電圧を確保するために設ける空間が小さくてよいので絶縁ケースを小型化することができる。
【0016】
尚、実施例1において、二次コイル7の端末線を接続端子17と接続して、二次コイルボビン8から外部に引き出される二次コイル7の引出し端末を接続端子17で構成するものを例示したが、二次コイル7の端末線を二次コイルボビン8の端部の鍔18aより内側に位置する2番目の鍔18bから外部に引き出して、二次コイル7の引出し端末を二次コイル7の端末線で構成し、この二次コイル7の端末線を高圧端子4に直接接続するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0017】
1 内燃機関用点火コイル
2 絶縁ケース
2a 側壁
3 高圧筒部
4 高圧端子
5 一次コイル
6 一次コイルボビン
7 二次コイル
8 二次コイルボビン
9,10 鉄心
17 接続端子
18 鍔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側に突出した高圧筒部を有し、一次コイル及び二次コイルをそれぞれ巻回し、同心状に配設した筒状の一次コイルボビン及び二次コイルボビンを磁気的に結合する鉄心と、外部に出カされる高圧端子と、これらを収納する絶縁ケースにより構成され高圧筒部と二次コイルの軸が略直角に交差して配置された内燃機関用点火コイル装置であって、前記二次コイルボビンは、複数の鍔が間隔を有して設けられ、各鍔間に二次コイルが分割して巻かれ、前記二次コイルボビンから外部に引き出される二次コイルの引出し端末が前記複数の鍔の中で端部の鍔より内側の鍔から引き出されて高圧端子と接続されていることを特徴とした内燃機関用点火コイル。
【請求項2】
前記引出し端末は、二次コイルの巻き終りの端末が一端に接続される接続端子であって前記接続端子の一端が前記複数の鍔の中で端部の鍔より内側の鍔に配置されて引き出され、他端が高圧端子と当接している請求項1に記載の内燃機関用点火コイル。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−212395(P2010−212395A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−55993(P2009−55993)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(000174426)阪神エレクトリック株式会社 (291)